「挫折の体験」と「イノベーション」

去年の秋ですが、新しく経済産業省の官房長に就任した上田隆之さんと「イノベーションクーリエ」誌(6号)対談しました。勿論、テーマはイノベーションです。

中見出しを見るだけでも結構に刺激的と思います。
・ イノベーションとはなにか
・ 需要サイドと供給サイドの最適点を見つけることがイノベーション
・ 需要側から創造する
・ 長期的な視点と、戦略的思考で推進
・ 途上国では、相手が払えるお金で作る
・ 日本でベンチャービジネスが育たないのはなぜか
・ 人材イノベーションこそが重要
・ 休学のすすめ
・ 挫折のストーリーが参考になる
・ CO2削減の評価システムを作る
・ ブランド戦略が大事になる
・ 感動的なイノベーション事業
・ グリーン技術の広がり

という構成です。私が従来から言っていることと、それほど違うわけではありませんが、、。上田さんとは意気投合して、盛り上がりました。なにか政策として実現し、成果がでてくるとうれしいのですが、、。一番のコアはやはり「出る杭」(資料1) をのばし、育てることです。後はすべて2次的なことです。

ところで、冨山和彦さんが「挫折力-一流になれる思考・行動術」 という本を上梓しました。まだ読んでいませんが、趣旨は同じところを見ているのでは、と思います。

「FaceBook」の映画「The Social Network」を見ましたか?やはり「人」と「出会い」です。

 

Vabel Conference、パリパリのKimくん

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日曜日の午後、GRIPSで「Vabel Conference」が開催されました。先日紹介したパリパリの元気じるしKimくんの企画です。

学生さんたちが主要なお客さんでしたが、南篠さん、石倉さん、林さん、齋藤さん、わたし、茂木さんと、皆さん話もうまいし、若い人たちが大部分だったので、感動する、元気の出る話ばかりでした。このあたりは石倉洋子さんのblogによく書いてありますので、そちら資料1)をどうぞ。

皆さんプレゼンも英語、質問も答えも、全部英語。誰かがtwitter(#vabel)で「ほとんど全員が日本人なので、始めは変な感じだったけれど、なんだか慣れてしまった」、と発信していました。やはり雰囲気と、慣れることが大事ですね。

Kimくんは、自分でドンドン考え、この企画を進めていたので、いろいろうまくいかないところも多かったのですが、何とか無事に終わりました。案の定、Ustreamもあまりうまく行かず、ちょっと残念でした。私もGRIPSですから、ホスト側の裏方で、会議の計画、スピーカーへの連絡など、意見を言ったり、会場他の手配、設定とかしていたのですが、皆さんが楽しんでくれてよかったです。

GRIPSでの数人の「裏方さん」には本当にお世話になりました、ご苦労さま。無事終了、とても活気のある半日でした。

パリパリの説明はこの記事が楽しいので、紹介します。

 

慶応SFCのクラス; 最後の授業は最高のパネル

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私の慶応SFCのクラス、今学期最後の授業が終わりました。

最後の2回は、年末までに提出してもらったエッセイの相互評価(ピアレビュー)と、その結果発表とパネルです。

エッセイのテーマは「10年後自分の姿と、そのために2年後にしていること」。

ピアレビューの評点合計のトップ6人でパネル。クラス全体が素晴らしい人たちばかりですが、その中でも評価が高かっただけのことはあります。司会は第2回では話を聞かせてくれたWilliam齋藤さん資料1)。学生さんたちにそれぞれの生き方を示唆してくれた多くのゲストの方々の応援を受けてできたこのクラス。この最後の授業のパネルはこのコースで一番面白かったかもしれない、と思いました。何しろクラスもパネルも1-4年生の混成ですから「若いのにすごい」、と思いませんか?

最後の2回のセッションは東京工業大学大学院から、この2年弱をMITですごし、かなり強烈な刺激を受けて帰国したばかりの鹿野くんも参加。このクラスのような場合のtwitter「まわし方」の役を務めてくれて、twitterも大いに盛り上がっていたようです。MITやシアトルからもクラスに参加してくれていましたね、ありがとう。彼はBostonにいたときからこのクラスに参加していました。

写真も撮ってくれました。

宮入くん、遠藤さん、それぞれTA, SAをありがとう。ゲストの皆さんにも本当に貴重な時間と話をありがとうございました。

とても楽しい1学期でした。

教育デイベート: 渋沢さんたち「コモンズ30ファンド」設立2周年で

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1月19日、慶応SFC最後の授業を終えて(後で紹介します)、夕方から私の友人の一人渋沢さんが始めた「コモンズ30ファンド」設立2周年の会のパネルに参加しました。

パネルは渋沢 健さんの司会によって、ベネッセのCFO、Corporate Communication本部長の福原賢一さんと私の対話 (これは知っていたのですが、、)、しかもテーマが「教育」。これは私のテリトリーではないか!

福原さんのスライドを使った「ガラパゴス島からの脱出」と題して、実は、「日本の教育」もガラパゴス化している!、、、との強いメッセージがありました。強烈ですね。そして、最近おなじみの「若者の内向き」の話題となりました。

これを引き取って、私が、「若者ではない、親の世代、その上の世代も内向きだ」(資料1)、とこのほぼ1-2ヶ月集中して発信しているメッセージをお話しました。

この刺激的なパネルはUStreamで見れます。ちょっと恥ずかしいですけどね。でも、若者の将来が一番大事ですから。

何事も、まずことの本質を俯瞰的に見る、考えることです。

PS; 早くもいくつかのblog 資料1) に出ていました。コメントがうれしい。

 

 

「若者は内向き」なの? では大人たちは?

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このところ、「内向きの若者」という意見がメデイアなど、そこかしこで見られるようになっています。

本当でしょうか?このサイトでも1月12日付けで書きましたがそんなことはない、さらにほかにも「そんなことはないのでは?」 という意見が出てきています。

1月12日でも書いてあるように、「いまどきの若者の親の世代」を囲む日本の社会状況や、「それよりも上の世代」にしても、自分で決断し、自分で退路を絶って海外へ出かけた方(特に男性)はそれほど多くはないと思います。

経済成長していた1960-90年の間、そしてその後でも、多くの方達は、社命や、役所からの留学、海外駐在が多かったのでしょう。そして、多くは数年で帰国するなりしています。自分の決定で滞在している海外ではないのです。言うなれば、何年海外にいても基本的には「出張」なのです。

Harvard Kennedy Schoolの栗原さんも最近の「Cambridge Gazette」で、同じような見解、体験を発信しています。皆が心配しているのです。(今回の「Harvard Gazette」は少し長めなので、まず最後の編集後記から読むのも面白いと思います。)

若者のことには意見を言っても自分たちのことはタナに上げている。若者たちは直感的に「そうかな?」、と気が付いているのでは、と思います。この点については、白洲次郎も指摘 しています。

若者を励まし、応援することこそが、大人たちの役目です。

OIST Symposiumへ参加、チャレンジしてみよう

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風光明媚な、沖縄の恩納村の海辺を見下ろす陸に位置するOIST(Okinawa Institute of Science and Technology)は、日本に出来たまったく新しい科学研究機構ですが、いまや大学院大学へ変身中。

建築も進み、素敵な概容を見せ始めています。多くのSymposiumが、海辺の会議場で、世界一流の科学者たちが集まって開催されています。

一度参加してみませんか?

そんな機会へのご招待です。春休みの3月14-18日。あなたのすることは、エッセイコンテストに応募することです。英語で500字。締め切りは1月31日、On-lineで送ればいいのです。

「日本在住の自然科学分野の学生または修士課程の院生を対象に、英文で懸賞論文を募集中。論題は「学際的アプローチの有効性について」。副賞は3月の入選者限定ワークショップに招待です。詳細はこのサイトで

締切りも間近ですが、大丈夫。集中し、考え、整理しつつ、まず書き始めること。

意欲ある応募者を広く募っているのです。チャレンジのときだ。

 

St Gallen Symposiumへ参加、チャレンジしてみよう

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Swissの風光明媚なSt Gallenの町。St Gallen大学の学生たちが主催するSt Gallen Symposium が、5月12-13日に開催されます。素晴らしい場所で、世界のリーダーたちの話を聞き、個人的にも近しくお話しできる機会です。多くの学生さんたちと新しい友人が出来るでしょう。

私も2度ほど参加 (資料1)しましたが、いろいろ出来ることで応援しています。40年の伝統のある素晴らしい企画ですし、ぜひ皆さんにも参加できるといいな、と思います。

今年も、そのような機会があります。いつものことですが、エッセイを書いて応募するのです、英語ですが。

石倉洋子さんのblog (資料1)でも紹介されていますので、訪ねてください。

集中して、考え、書いてみる。何事も挑戦しなければ、得られないのです。応募の詳細は、ここを見てください。締め切りが近い(2月1日)のですが、大丈夫。

ぜひチャレンジして見ましょう。

 

東京大学ブランドは世界に通用するか?

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田村耕太郎 くんという若手の代議士(いまは、Yaleへ?)がいます。

私も何度かお会いしましたが、元気が良くて、ハキハキしているし、このような「元気印」もなかなか良いね、と思っています。彼の経歴(これがなんともいえない「凄み」のある履歴、、)、主義主張、ファッション(これがまたカラフルなのだ、、)などについての意見もはっきりと自分のHPに書いています。

勿論、blog, twitterも書いていますが、その最近の1つが「東大ブランドは世界には通用しない:灘高トップはエール大学を選んだ」という過激なものです(ちなみにこの灘校生はHarvardにも合格したけどYaleを選んだということです、、)。

しかし、ここに書かれているYale大学での学生生活の刺激的なことは、日本の高校、大学生さんたちに、また大学教育にかかわる人たち、企業人、また政府や政治にかかわる、またメデイアなどのいわゆる「リーダー」といわれる方達にどう響くのでしょうか?

ここは、まず読んでのお楽しみ。いずれ、この話題について議論しましょう。

「休学のすすめ: 海外出る若者 応援しよう」

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去年1年、機会のあるごとに「休学のすすめ」 を学生さん中心に提案してきました。若者反応は悪くないです。少しずつですが広がりを見せているように思いますが、「朝日新聞」に投稿しました。これが1月14日の朝刊「私の視点」に掲載されました。

きわめて限られたスペースで、以下のように、話は進みます。このタイトルが、このカラムのタイトルです。ゲラ段階で修正できなかた所も2,3ありますが、皆さんで、メール、blog、twitterなどでも広げていただけるとうれしいです。

若者は決して内向き (資料1)ではありません。「若者は社会を映すかがみ」なのです。

政府も、企業も、教育機関もしっかりしてください。若者こそが日本の将来を担う人材、人財なのですから。

「私の視点」

■ 「大学の学部生のうちに、休学してでも海外に出て見聞を広めてほしい。かねて、そんな「休学のすすめ」を訴えてきた。

■ どんな分野であろうと、リーダーになるには幅広い人脈がものをいう。さらにグローバル化が進むこれからの時代には、若いときに独立した個人として「同じ釜の飯」を食べた外国人の友人たちは、その後の人生の貴重な財産となるからだ。

■ 大学に短期留学するもよし。途上国でNGOの活動に加わるもよし。海外企業でインターンシップを経験するのも意義があろう。ところが、いまの日本には、「海外に出てみよう」という若者を後押しする体制がきわめて心もとない。私にメールをくれたり、会いに来たりする学生たちが真っ先に気にするのは授業料の問題である。

■ 国公立大学だと休学中は授業料が免除されるが、私立大学は授業料を支払わせる場合があるようだ。人材を育成するはずの大学が経営を優先しているようにも見える。実に情けなく、嘆かわしい。休学している間は授業料を免除できないものか。行政ももっと関心を持って取り組んでほしい。

■ 問題は授業料だけではない。海外の大学との単位の互換や一定期間の転校など、海外での経験を復学後の実績として生かせるようなシステムも充実させるべきだ。大学はどう考えているのだろうか。

■ 若者のみなさんにも注文したい。内向きになるのではなく、海外に飛び出してみるというチャレンジ精神をもっと持とう。バブル崩壊後、若者も親も安全で安定した人生を第一に考えるあまり、海外留学のリスクを避けるようになってはいないか。

■ 大学3年生になるとシューカツ(就活)に走り回り、少しでも早く、一つでも多く内定を取ることに血道をあげる。グローバルな人材など育ちようもない。すでに国際的な政治や経済、外交における日本の存在感が薄れつつあるというのに、次世代の人材まで育っていないようでは地盤沈下を止められない。そんな危機感を抱く。

■ 各国の若者は、優れた人材が輩出してきた欧米の名だたる大学に果敢にチャレンジしている。質のいい教育を受けられるのはもちろん、国籍や人種を超えた交友のネットワークを広げられる。歴史や文化の背景が異なる仲間たちに刺激されれば、自分のやりたいことや目標も見えてくるだろう。個人のキャリアの利益になるだけではない。グローバルな人材は、その国の政治や経済、社会の根幹となり、国の将来をも左右する。それが世界の常識だ。

■ 日本の将来を背負う若者の背中を押し、どんどん武者修行してもらう。大学も企業も親も、社会全体でそういう意識を共有しなければならない。休学して海外に出る若者をみんなで応援することが「人財」を育て、日本の将来を明るくする。」

2011年1月14日(金)朝日新聞19面より

 

休学のすすめー若者は内向きなの?

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このところ、「内向き日本の若者」がメデイアにも盛んに書かれています。本当でしょうか?

先日のある講演会でもそのような話が出ていましたが、私の見方はちょっと違うな、と話しました。慶応SFCでも話したことですが、今回は要旨を大きくまとめJSTの小岩井さんが書いてくれたので紹介します。「休学のすすめ-日本が求める人材とは」というタイトルです。

一方で、この問題について意見はいろいろ出ています。当然のことです。『「若者は内向き」の欺瞞』資料1, 2)の意見は、私もその通りだと思います。

グローバル時代の日本の大学資料1) はどうなのか、大企業の採用制度(学部3年生で内定など)(参考:パソナ)はどうなのか、などなど、従来の慣行から変われない組織が多いですね。

いつも言っているように、大学生の親の世代、その上の世代でさえも「独立」した「個人」で海外に行った人は極めて少ないだろうと思います。企業から、役所からの留学資料1)、出張だった方達が多いはずです。

将来ある若者にこそ、もっともっと「個人」の資格で、短期でもいいので「外の世界」を見る、感じる、自分を見つめるなどの機会を増やすなどしながら、自分を探し、一人ひとりのネットワークを作り、変わっていく世界を見据えたキャリアを開拓していく応援をしたいものです。

やはり、今のところは「休学のすすめ」(資料1)でしょうか。