「医学生のお勉強」を更新しました

今回は「Chapter6:医療経済」です。

from K.K.
横浜国立大学の井伊先生をお招きして、日本の医療制度についての医療経済からの分析と問題点の抽出、医療制度改革として何ができるのかを考えようというのがこのセッション。
昭和36年に導入された国民皆医療保険制度は経済成長とともに大きな問題を露呈しないままここまで来ましたが、高齢化社会と経済の低迷、疾病構造の変化と医療の進歩を受けて医療制度は大きな転換を求められています。利害の対立する抵抗勢力の排除と、国民の意識の変革なしにはこれらの改革はなかなか難しいことと思われます。しかし、改革しなければ医療制度も保険制度も破綻するのです。
昨今の医療費自己負担の増加等の議論を聞いていると、いかに医療制度の本質に関わる論点が抜けているかが、よく理解されるのではないでしょうか。
医学生も、30兆円のパチンコ産業とか、混合診療とか、このような日本の医療制度の現状と問題点を理解し、医療の改革への課題を理解するとともに、将来の医師として自分達にできることを考えてもらう、というのがこのセッションのねらいです。
セッションのオリジナルタイトルは「Healthcare System and Healthcare Economy」です。

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「医学生のお勉強」を更新しました

今回は「Chapter5:医療事故」です。

from K.K.
医療事故は、ある程度の軽いものは日常的に起こっていると考えられます。平成12年には東海大学でも、患者さんが亡くなるという大きな事故を経験し、私達もテレビの前で謝罪することになりました。東海大学の対応は早く、現在の状況では適切であったと思われます。この理由の一つには、我々がアメリカでの Institute of Medicine の「To Err is Human」の報告書を受けて、かなり前向きに医療事故についての現状認識があったことが挙げられます。
しかし、とにかく悲しいことです。医療事故では皆が loser〔敗者〕であり、winner〔勝者〕はいません。
このセッションでは東海大学での医療事故に始まって、医療事故の原因になる因子についての議論、医療の現場の大変さと社会からの理解の不足、その対策等について活発な議論が展開できたと思います。
そして、それらの根本にある日本の医療制度と医療保険制度の問題点、さらに日本社会の基本的問題点へと討論は発展し、医療人の社会的責任のあり方等へ展開していきました。
セッションのオリジナルタイトルは「Patient Safety and Medical Accidents」です。

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「医学生のお勉強」を更新しました

今回は「Chapter4:生活習慣病」です。

from K.K.
経済成長とともに生活のパターンが変わり、また高齢化社会を迎えて疾病構造は大きく変わりました。特に「生活習慣病」といわれる一群の疾患、病態である「高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満」は従来見られなかったような高頻度にみられ、欠陥の病変を進行させます。
このセッションでは私がもっぱら語り手になり、「高血圧」という上に述べたすべての病態に共通する血管病変の大きなリスク因子について解説しようとするものでした。
遺伝子の分析から何を読み取るのか、遺伝子の変異は何を意味するのか、脊椎動物はどのように進化してきたのか、人間の文明とは何か、などについても考えながら、病気の由来を考察する、という企画です。高血圧と食塩摂取量との関係は? その理由は? どのくらい食塩があれば十分なのか? どこまで食塩摂取量を減らせるのか? どのようにしたら現実的な減塩ができるのか? 等々。
このように「生活習慣病」を文明と生活という観点から考えると、おのずと対策が見えてくるというのが本当のところでしょう。
病気のメカニズムを理解することに、いかに知的興味を引き出すか、ということも医学教育にはかかせない要素だと思います。
セッションのオリジナルタイトルは「Hypertension, Salt, and Kiney: How and Why」です。

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