Fusionopolis開所式、Singaporeから

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先日のソウルからSingaoreにやってきました。

Fusionopolis開所式に参加するためです。Singaore内外から多くの科学者が参加して、A*STAR所長のLimさんの挨拶に始まり、Singapore首相のLee Hsien Loongの力強いメッセージがあり、すばらしいハイテク映像のデモや研究者グループが参加する音楽、そしてレセプションも行なわれました。レセプション会場ではLee首相に紹介されて挨拶をしました。活気があって、世界中から研究者、若者を惹きつける場所とするために、力を注いでいます。この建物の設計は黒川紀章さんです。

Dsc00165写真 Lee首相のご挨拶

翌日はA*STARの理事会に参加。その翌日はA*STARで活躍している元京都大学ウイルス研究所所長の伊藤教授(参考 1 )と理研の現地事務所を預かる柿原さんと夕食をして、飛行場へ。

皆さん、とにかく日本の研究者、特に若手がこのような場所に武者修行、他流試合に来ないのをさびしく思っています。理研も研究所なのですから、できない理由などいわずにもっと多くの研究者をここへ送りこむといったことをすべきではないですか。そういったことができないのであれば、はっきりいってお金の無駄です。「若者は荒野を目指す」。「かわいい子には旅をさせよ」。昔からの言葉には普遍性、含蓄がありますね。

しっかりしてくださいね、皆さん。

World Knowledge Forum、ソウルから

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去年に 続いて、第9回 World Knowledge Forum(10月14日~16日)にお招きを受けて、ソウルに来ました。

李明博大統領の挨拶(写真1)に始まり、ゲストのリストは素晴らしいものでした。FinlandのAhoさんにもお会いしましたが、彼の発言を聞いていても、ここでも抜け出ている政治のリーダーだと思いました。Wall Street発の金融恐慌、世界不景気の影が忍び寄る中、New Yorkとライブ討論。また、Virgin AirlineのRichard Bransonもテレビで登場しました。

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写真1 李大統領の挨拶、右へIreland前首相のAhernさん、Finland元大統領のAhoさん。

東大の小宮山総長も参加。出番も多く、発言も多いので存在感がありました。何しろ日本の「学」のトップなのですから。とにかく海外にいると日本が見えませんから、理由はともかく発信しないといけません。

私に言わせると、80年代はバブルで「Japan Bashing」、バブルがはじけて90年代は「Japan Passing」、ネット時代の21世紀になると「Japan Nothing」、いまや「Japan Missing」、つまり世界第2の経済大国なのに何をしたいのか発信が少ない、意見を聞いてもはっきりしない、呼びかけても来ない、来ても発言がない、といった感じでしょうか。

多くの韓国の方(3日で3,000人を超える参加者があったということです)が参加していますが、このような会議を開催しても、日本ではあまり人が集まらないのではと感じるところもありますね。なぜでしょうか?ちょっと考えてみてください。

アメリカ労働省女性局長のShinae Chunさんとも知り合いになれました。韓国で大学を出てからアメリカにわたり、シカゴでアジアコミュニテイをまとめるような社会運動もしておられたようです。そんな背景もあってWashingtonに抜擢されたようです。ご主人も同じように韓国で大学を出てから渡米。PhDを持つエンジニアです。

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写真2 アメリカ労働省女性問題局長Chunさんを囲んで。右端がご主人、右から3人目がAppletreetales出版のKimさん(以下に出てきます)

主催はMaeil Business News です。夜のレセプションは15日はソウル市 、16日は京畿道が後援。それぞれ市長知事 がこられ、挨拶がありました。15日は韓流ドラマで日本でも人気の倉本裕基さんのピアノ、NYフィルで活躍する韓国のviolinist、Michelle Kimさん(NYフィルは今年はじめ、歴史的な北朝鮮訪問を果たしました。これは在イタリアの日本のご婦人、Yoko Nagae Ceschinaさんの支援があったのです)、16日はAndre Kimさん のファッションショー。素敵でした。

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写真3~5 レセプション(倉本さんはトップから照明なので、ちょっと写りが悪かったです。ごめんなさい。)

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ところで、私と石倉さんとで出した「世界級キャリアの作り方」ですが、これの韓国訳が出版されました。出版社Appletreetalesの社長で聖心女子大学で勉強されたOkhee Kimさん(写真)にもお会いし、Maeil Business NewsのChungさんの取材を受けました。

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写真6 右からKimさん、石倉さん、私(この本を持っている、ピンクでかわいい)、Chungさん

私はというと以下の3つのパネルに参加。

1.Outlook: India 2009: Another Opportunity or Bubble (写真7)

2.Outlook: ASEAN+East Asia 2009: The New Collaborative Model

3.Future Energy

いつも新たな出会いがあり、友人との再会があり、いいものです。去年も参加した石倉さんも3つ4つのパネルに出番がありました。特に、今回はIndonesiaの政府投資銀行のトップMuhammad Lutfiさんとパネルでご一緒しましたが、彼は40歳ちょっと前と若いですがとても優れていると思いました。以前もどこかで彼の30分ほどの講演を聴いたことがありますが、素晴らしいリーダーです。将来がとても楽しみです。

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写真7 右からTata SteelのVPの一人H Jhaさん、OECD前局長のD Johnstonさん、Stanford大学のD Bangaloreさん。

「リスクをとる」-これからの時代へ若者は何をしたいのか

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東京工業大学で、MOT藤村先生の主催で、かなり過激なシンポジウム「リスクをとる」が開催されました。平日の昼間というのは若者にとってはちょっと違う時間帯ではないか、という気もしましたが、大学院学生さんも多く参加してくれてうれしかったです。

演者は私の他に、ベンチャーキャピタルの村口さん、元産業再生機構、「会社は頭から腐る」などの冨山さんエルピーダを率いる坂本さん等。皆さんそれぞれの業界で“外れた”と認識されている人たちで、過激でしたね。この時の様子はいくつかのblogで紹介されています。(参考: 1 2 )。これらも過激ですねが、これぐらいでいいのです。

東工大でも大学院生の70%が「大企業志向」だとか、演者の皆さんにハッパをかけられていました。若いときには世界へ出てみよう、なんてものは感じられず、ちょっとさびしく感じました。内向きの男の子、元気のある外へ出て行く女の子、という構図ですかね?

アメリカの若者には、若いときに「Peace Corps」とか「Teach for America」Wikipedia)などの国際貢献とか、社会貢献などを経験してみようという意識が高いようで、社会人としてはじめにつきたい仕事、企業「トップ10」あたりに、このような「選択肢」が入っているのです。これらは「リーダーシップ育成」(資料)の社会人コースと認識されているのです。こんなことは日本でも考えるといいと思います。

また、日本から例えば米国に留学する学生の数も減っていますよね。

 

アレキサンドリア図書館、グローバルヘルス、そしてPatient University

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世界最古といわれ(紀元前3、4世紀)、世界に(当時の)開かれたアカデミー、知人・賢人が集まり、いろいろと交流をさせた(ここに本当の価値のあることを認識した見識)というBibliotheca Alexandria。6年前に再建され、いまやdigital libraryとして素晴らしい活動を始め、急速に成長しています。Ismail Serageldin館長の素晴らしいリーダーシップで、若い人たちが思う存分に活躍しています。

この図書館の日本語ウェブサイト開設1周年を記念して、Egyptの高等教育、科学担当大臣Helal博士、Serageldin館長、Abdelnasser大使などご主席のもと、10月4日に青山の国連大学で講演とパネルが開催されました。私も理事をしていますので、挨拶をしました。初代理事のお一人の高橋先生もパネルに参加していました。

午後は、洞爺湖G8サミットで日本が提案を行なったGlobal HealthのHealth Systemsのフォローアップの会議。武見敬三さんをヘッドとする素晴らしいメンバーが集まり、基盤を固め、来年のG8のホストであるItalyに引き継ぎたいと思います。

途中、私たちのNPO「医療政策機構」の“Patient University”という、GE HealthCareと、患者さんの支援を行なうNGOを中心とした講習会がありました。私も挨拶し、「なぜNGOが増えてきたのか」という話をしました。こうしたプロセスを共有して「市民活動」を支援していこうというものです。皆さんご苦労様でした。

長い、土曜日でした。

新しいビジネスモデル Intellectual Ventures

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最近、アメリカでも日本でも話題になっているIntellectual Venturesがいよいよ日本にも上陸。9月30日、そのお披露目がありました。この新しいビジネスモデルを考え、数年前から活動を始めているのがMicrosoftの元CTO、Nathan Myhrvold、そしてEdmond Jungなどです。こういうとんでもないことを考える人たちが活躍する、活躍する「場」を開拓していくところにアメリカの強さがあるのでしょう。フロンティア精神とも言うのでしょう。Intellectual VenturesついてGoogleで検索してみるといろいろと出てきます。面白いblogや記事がいくつもあります。Patent Trollingであるとか、いろいろと噂はありますが、これは面白いと思います。

「大学発ベンチャー」などに関わったりするとわかるのですが、研究者や技術者の特徴でもありますが、大きな全体像とその中での自分の立場が見えないものなのです。経営のほうではこれも現場のことが見えないものです。大体多くの特許は活用されていない、活用できないものなのです。

眠っている特許を掘り起こし、社会や、企業などの新しいニーズに合わせるのはとても大事なこと。発明家や特許に新しい付加価値をつけ「Inventor Capital」ともいえるものにする、これがこのビジネスのコアです。

9月30日の夜、日本支社開設のお披露目に行ってきました。Myhrvoldさんは14歳でUCLAに入り、物理を専攻。一種の天才ですね。恐竜が大好きで、いくつもの発見もしているようです。こういう人を捕まえてくるところにBill Gatesのすごいところがある。Jungさんも先日お会いしましたが、なかなかいい人たちでした。教育にもとても熱心な方たちです。

Government Leaders Forum Asia 2008

Microsoftが発行する雑誌「The EDGE」(7月号)に、5月に開催された「Government Leaders Forum Asia 2008」の記事が掲載されていたので紹介します。

  Bill Gates 来日 & Government Leaders Forum Asia 2008(PDF)
  (Microsoft 「The EDGE」 Vol.17 2008年7月号PP12-15)

デザインとイノベーション

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天津から帰って翌日、博報堂Innovation Lab(栗田部長さん)主催の講演会でした。私、そして東大総長の小宮山さん、最後にIDEOの社長、Tim Brownさんといったメンバーです。Brownさんとは今年1月のダボス会議で一緒のパネルでしたし、天津でもお会いしました。それぞれの持ち時間は1時間ほどだったので、時間的にはたっぷり。小宮山さんは忙しいので、会場に駆けつけ、「課題先進国日本」について講演し、終わるとまたすぐに帰られました。しかし、皆さん話はそれぞれ面白いのですが、せっかくの機会なのに質問が少ないですね。

私はというと、いつものことですが、まずその場で借りた赤い「iPod nano」を見せて“ものづくり”だけではなくて“ものがたり”の大事さ、“コンセプト”、“デザイン”にも多様性や意外性が必要なこと、企画のはじめから参加していることの大事さ、そしてグローバル時代の「Melting Pot vs Salad Bowl」の意味などについて話しました。少し違いますが、先日、日建設計の会合で話した「グローバル世界と日本」 の原稿をここで紹介しておきます。

Dsc00119写真1 Tim Brownさんと会場で。

Brownさんの話も、私と同じようなデザイン、プロセス、スピードの考え方について具体例をいくつもあげられ、私の話の一部を再確認し、補足しながら、大変面白い話でした。彼の今年のHBR論文は参考になるでしょう。博報堂はIDEOとも仕事しています。

「大学病院革命」応援団

ようやく、医療制度や医師養成制度などが国民的話題になってきました。結構なことです。このように国民的な問題にならないと政治は動かないのです。密室的に役所と協議などしていると間違えますよ。これがグローバル情報の時代の怖さなのです。

しかし、これらの議論の背景を見ていると、いかにも最近導入された卒後研修制度が悪かったという論調が結構多いのですね。これはまったく見当違いで、医師不足とか、教育や臨床研修制度の欠陥などの根底の問題を浮き彫りにするのに少々役立っただけです。この研修制度の導入で誰が利権を失い、損したかを考えれば、批判の出所はすぐに理解できますし、どうもそのとおりらしいですね。旧社会のエスタブリッシュメントでしょう。

医師定員増についての厚生労働省の中間まとめを見ると、医師育成に関わっていた人たちからの反省の意識もなく、こんな基本スタンスでは本当に困ったものです。

私が書いた「大学病院革命」という本ですが、そこに書いてあるメッセージの本質を見て応援してくれる人がいることはうれしいことです。

参考: 「私の1冊-何を情報源にするのか?」 大学病院革命書評 (看護教育 2008年9月号)

どの制度にも過去から来る理由があり、今の社会の変化に不適応を起こしているものがいくらでもあるのです。それを小手先でやりくりするようでは、いつまでたっても対応できないのです。

これが今の日本の現状の根幹にあるのです。また考えてください。このブログでも、その本質を手を変え品を変え発信しているのですけどね。

カンフーマスター、世界的スターJet Liの活動、天津で

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私はJet Li参考)のファンの一人で、彼の映画は飛行機やテレビでよく見ます(この10年余り映画館に行ったことがないのですけどね)。軽快で痛快、テンポが早く、なんとも言えない楽しさがあります。最近では中国の映画(テレビなどで見ますが)にも良く出てきますね、孫悟空とか。

このスターが“One Foundation”参考)というNGOを立ち上げ、中国の、そして世界の課題への貢献へ向けた活動を開始しています。先日の中国での大地震、貧困や格差、教育等々への活動で、多くのビジネスなどの世界的にパートナーを巻き込みながら、大きな運動にしたいという意欲満々の計画です。

天津で“One Foundation”のスタッフにも会いました。皆さん若いですけど意欲があって、元気いっぱいです。「私のマスター(My Master)によろしくね!」なんていって別れたのですが、素晴らしい、しかも大きな構想ですね。

私がこのブログで何度も、繰り返して発信しているテーマですが、これがグローバル化の基本に流れている事象であり、個人の能力や信頼などを背景にした活動ができるのです。これが“connected and flattening”なグローバル時代だからこそ、個人を“enable”、“empower”しているのです(この二つとも日本語ではちょっと表現しにくいですね。例えば、今年の5月に行なったG8環境大臣会合で開会の基調講演の5ページ目などを読んでください)。

ところで、Jet LiさんもThe New Championsにも参加していました。28日には彼とのインタビューセッションがあり、時間をとってちょっと出てみました。しかし、映像で想像するよりずっと小柄な人で、一瞬、意外な感じがしましたが、彼の情熱と意欲はやはり素晴らしいものでした。いろいろと出される質問に対しても、なんなく答えていました。活動と運営には「透明性とがガバナンス」こそが大事と繰り返していました。少しの失敗はあっても、少しでも世界をよくしたい、自分たちに何ができるだろうか、みんなの参加を呼びかけるその強い思いがひしひしと伝わってくる素敵なひと時でした。

グローバルな課題には皆さん一人ひとりのちょっとした行動にかかっているのです。

The New Champions、天津から

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第2回のNew Championsが天津で開催されました。去年は大連でした。これもWorld Economic Forum (通称ダボス会議)が主宰する新しい企画です。若い起業家も数多く参加するところに特徴があります。日本からも若手の起業家など60人ほどが参加しています。うれしいですね。全体としては1,500人近い方たちが世界から来ているようです。

26日の朝6時の新幹線で名古屋へ向かい、そこから名古屋国際空港へ。ここからは天津への直行便があるのです。2時からINSEADのSoumitra Duttaさんの司会で行なわれたRisk ManagementのWorkshopには間に合いました。便利なものです。先月の北京Olympicから「北京~天津」の新幹線が運行開始となりましたが、飛行場からの距離などを考えると、こちらの方が確実で、時間も短いようです。

国際会議場もなかなかのものでした。ちょうど40年前に日本でOlympicが開催されたときに、新幹線が開通し、東名高速が開通したのと同じような大きな活気が感じられます。ですが、いまのスピードやグローバル化などの状況を考えると、規模が全く違うのですけどね。

日本からの参加者の顔ぶれは去年とダブルところも多いのですが、夜はUnison Capital江原さんがJapan Sushi Dinnerを開催してくれました。これが大盛況、このあたりには日本の魅力があるのです。しかし、こういうことは口コミで仲間に、そして徐々に世界へ広がり、会社の信用へ、新しい機会へとつながるのです。まさに「intangible asset」として貢献するでしょう。江原さんはまったく目立たないようにふるまっておられましたが、日本のためにも素敵なプレゼントでした。ありがとうございました。

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写真1 INSEADのDuttaさん(中央)、WEFのProbstさんと

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写真2 横浜市長の中田さんと

27日の午後もパネルに出ましたが、これはなかなか面白かったです。いつも、ゆっくり話そうと心がけているのですが、特に今回はこのパネルの後に温家宝首相の登場が控えてるとあって、終わりの時間がきっちりと決められていて、一人ひとりの最初の発言も2~3分で行なう必要があり、元来、早口なのについついさらに早口になってしまいました。他のパネリストとの違いを明確にし、聞いている人たちに自分のポイントをアピールするのは、なかなか大変なものです。もっと練習が必要ですね。

国連総会が行なわれたNew Yorkから直行で天津に来られたという温家宝首相の演説は、力が入っていて素晴らしいものでした。質問への回答もなかなかでした。特に地震、食品問題、環境問題などについての質問は回答が難しいところですが、明確に答えておられました。

夜はガラディナー。催し物は西洋の音楽とダンスなどが殆どで、中国のものが少なかったのがちょっと残念。

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写真3~4 ガラディナーの様子

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