環境技術と日本の成長、アジアの成長

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日本の環境技術は優れています。世界一のものが多くあります。

グローバルにクリーンエネルギー、環境などの技術が注目を集めています。日本にとってこれらの技術を世界に広げる大きなビジネス成長の機会です。でもなかなかこれが見えないのです。日本のソーラーパネルも世界ではどんどん遅れていますね、これらは日本だけの技術ではありません。ドイツ、中国、米国、等々もこの技術を持っています。石倉洋子さんの最新書「戦略シフト」 にもありますが、グローバル時代のビジネスは、機会を捕らえ、「ANDもORも」、予測して手を打つこと、そしてスピード、これが大事なことです。

「内需拡大」は大事ですが、トータルの経済成長がなければ、国内の需要も増えません。ましてや、日本は世界に冠たる「(国民からの)借金大国」ですし、高齢化でも世界一ですから。高齢化の進行は人口動態予測でも確かなのに、どうするつもりなのでしょうね。情けないことです。

9月にNew Delhiに行き、日本の環境技術推進のお手伝いをさせてもらいました。私の意見(資料)も言わせてもらいましたが、せっかくの大きなビジネスチャンスなのにもったいないことです。積極的に成長する国、地域、つまり大きなアジアへもっともっと進出しなくてはいけません、EUも米国もCanadaもどんどん出ています。ここは産業界、しっかりしてください、内向きはダメです、グローバル展開です。世界でのCollaborationとスピードが大事です。

このNew Delhi会議の報告広告 (資料) が日経新聞に出ましたので、紹介します。

オタワでグローバルヘルス、トロントでイノベーション

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カナダは来年G8サミット(おそらく最後のG8で最初のG20となるでしょう)の主催国となります。当然のことながら、グローバルヘルスをサミットでの主要な議題とするために、カナダの様々な分野でいろいろな努力が重ねられ、交渉や準備がなされてきたことでしょう。

CCGHRもその一環としてある会議を開催しました(10月25日)。この会議はどちらかといえばリサーチに重点を置いていて、出席した会員約150名のうち25%は海外の方々でしたが、私はここで基調講演に招待されました。大変な熱気で、私もいくつかのワークショップに参加、役員会にはゲストとして出席、G8の議題についてカナダの視点から協議する内輪のセッションにも出席しました。大変有意義で学ぶことも多く、沢山の新しい友人や仲間との出会いにも恵まれた一日でした。

10月の終わり頃のオタワはそれなりに寒いですが、天気は良かったです。ここで、1人の女性の日本人研究者にお会いしました。McMaster大学で学部教育を受け、McGill大学で疫学、生物統計学、産業衛生学の修士号、博士号を取得された方です。彼女は小さいときにほんの数年を日本で過ごし、現在は南アフリカで、アフリカにおけるメンタルヘルスと貧困に関するイギリスとの共同プロジェクトにポスドク・フェローとして参加し、勉強しています。やりがいのあるミッションですね!

次の日はトロントを再訪し資料1)、いくつかの仕事をしました。トロント大学のMunk Center では私のための夕食会をMassey College で開催して下さいました。

その翌日はMunk Centerで「イノベーション、グローバリゼーションと大学」と題するパネルがあり、私の手短な基調講演の後、活発で建設的なパネルセッションが行われました。今後ますます相互依存を強める世界において、一流大学は将来のリーダー達を育成し、彼らをコネクトし、将来の課題に備えさせるための開かれた場にならなければいけないという点では皆さんの意見が一致しているように思いました。現在のグローバルな国際社会では途上国及び低開発国が抱える諸問題やその地域は彼らだけのものではなく私たちのものでもあるのだということを認識しなければなりません。ここでも、日本の女性放射線医師に出会いました。彼女は東京女子医大の出身で、Massey Collegeのresident junior fellowとして医学教育研究の勉強を始めたばかりだそうです。このような経験は彼女のキャリアにおいて広い視野や考え方を身につける貴重な機会ですね。トロント大学は多民族性、多様性、カリキュラムや講義の幅広さで知られる素晴らしい大学ですから。

「岡目八目」、宋 文洲さんの辛口カラム

宋 文洲さん は大変な苦労の後、「ソフトブレーン」で成功した起業家です。時々テレビでも見かけます。北海道大学大学院に留学、その後は苦労しながら日本で成功した起業家の一人です。このような実体験の背景から、日本の「常識」の「非常識」を、素晴らしい筆力で鋭く指摘しています。彼の著書、例えば「やっぱり変だよ日本の営業」でも明確です。何かの機会に2,3度お会いしたことがあります。

ありがたいことに、宋さんはメルマガも書いていますが、彼の意見はその時々に大いに参考になります。お勧めします。

最近では、「官僚よりも民間に問題がある」、「負けたほうがいい」、「社員のモチベーションは上げるな」、「マスコミは国民のレベルを代表する」などなど、素晴らしいです。

ドッキリすることもあるかもしれませんが、気にしないこと。よく読んでみれば、殆どは本質をついたいい意見ですから。大いに考えて見ましょう。ありがたいことです。

昔の人はいいことを言うものですね、「岡目八目」とか。当事者にはなかなか見えないことが多いのです。「日本の常識は世界の非常識」ということはいくらでもあります。これを認識することは、グローバル時代にはとても大事なことです。「内」の人たちにはなかなか見えないものが、「外」からははっきり見えるものです。

「辛口」の宋さんは、お世話になった日本を応援している、と私には思えます。企業、政府、政治、大学等々、大事なポストについている人たち、皆さん、しっかりしてくださいね。

それにしても、感じたことを、読む人に分かるように書くのは難しいことです。宋さんの感性にも感心しますが、表現の能力、書く能力に感心します。

2つのExecutive Session; リーダーシップ、イノベーション、女性のパワーについて考えたこと・感じたこと

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最近私は2つのExecutive Sessionに出席する機会がありました。その一つはロンドンで開催された業界トップクラスを誇るグローバルな会社の世界戦略に関する会議です。この会社は最近或る買収合併に成功したばかりです。

この会議のメンバーは全部で10カ国から10人(女性は1人)でしたが、その多くが自国の政治・行政において高い地位にある方々、即ち、大臣、最高裁裁判官、国や地域(EU)の議員であったという点において他の同様な会議とは一線を画していました。

例えば、会議の議長をされたPat Cox氏は欧州議会の議長(2002-04)であられましたし、Chuck Hagel氏は今年1月まで12年間共和党の議員でいらっしゃいました。Hagelさんとは少しお話をしましたが、それだけでも氏が大変思慮深い、人間としても立派な政治家であるということが良く分かりました。彼はブッシュ大統領の対イラン政策を最もはっきりと批判したことでも有名です。年の初めにもブログでご報告しましたが、彼はAtlantic Council というワシントンDCに拠点を置く有力な「シンクタンク」の会長に就任され、そのことは私も知っていました。そして今回彼から直接聞いたのですが、オバマ大統領から外交に関する委員会のメンバーにもなるように頼まれたそうです。大変良いニュースですね。

Pat Cox氏の議事進行は素晴らしかったです。流れるようで暖かく、会社の上層部によるプレゼンからその後の質疑応答、提案まで一切を取り仕切り、各委員や幹部の発言だけでなく席順までメモを取って記録されていました。いつも思うのですが、このように立派な経歴を持つ方々とディスカッションやプライベートな会話を通じて知り合うことができるというのは、大変光栄なことです。実に多くのことを教えられます。ところでついでに申し上げると、この会社の代表者の半分は議長を含め女性でした。

東京に戻ってもう一つのexecutive sessionに出ましたが、こちらは日本のグローバルブランドの会社で、国内での売り上げは年間総売り上げの25%です。CEOを中心とするチームは私たちが議論すべき当日の議題を一生懸命考えてくれました。普段はあまり経験しないような活気に溢れた質疑や討論があって、楽しく会議をすることができました。これは、なぜかというとメンバーがかなり「出る杭」的な人たちだからです。例えばiモードを発明した夏野さん資料1)とか。役員レベルに女性が居ないことはさておいても全15人の会社側出席者のうち、女性は1人だけというのは驚きでした。。

この会社の考えは私から見ると男性の発想であり、且つ男性の考えをターゲットにしています。そこで私からの質問は、日常の買い物をするときや大きな買い物をするときの意思決定は女性がしているという、ニューズウィークの‘The Real Emerging Market’と題する記事でも紹介されている事実に関するものでした。私もニューズウィークの表紙の写真入カラムでこの記事を取り上げていますし、その後の2009年10月26日発行のタイム(米国版)‘What Women Want Now’  (資料1) にも同様な趣旨の記事が出ています。言っておきますが、製品は男性向けであるかもしれませんが、それを買うかどうかの意思決定は想像以上に女性によって行われているのです。

男女共同参画の問題は日本の社会に広く存在する喫緊の課題です。このブログでも繰り返し書いていますし、最近ではジャパンタイムズのインタビューでも述べましたが、女性の活用は日本社会、経済にとって「変革の鍵」となり得るのです。

もう一つこれらの二つのセッションに出て思ったのは、このような大会社の要職におられる方々は、急速にフラット化している世界すなわち‘Open and Demand-driven Innovation’の時代に世の中で何が起きているのかを実感していらっしゃらないのではないかということでした。‘Open and Demand-driven Innovation’はグローバルな現代において、どのビジネス分野にとっても非常に重要な、基本的な考え方となっています。

「外から見る日本」への懸念

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このカラムを時々訪問してくださる方はすでに感じ取るっておられるでしょうが、私は以前から日本の将来に懸念している一人です。ちょっと以前までは「いざなぎ景気以来」などという妙な「いいわけ」のようなオプチミズムが蔓延していましたが、その当時から警鐘を発していました。例えば2008年正月の東洋経済に掲載された私の記事 です。

私の見解を認めない、認めたくない人たちも多いと思いますが、「リーマン」の時もはじめは「日本は大丈夫」という雰囲気でしたね。でも一般的に言えば、本質的には日本の企業、特に経営陣が弱いと思います。新しい産業も育ちつつありますが、小さいときに既存の大手に邪魔されたり、大手は変化に対応が遅いのです、よくある話ですが。また、グローバル世界での「異質性、多様性」が、多くの日本人にとっては実体験のないこともあり、直感的に感じ取る感性が弱いと思います。

まさに「地球の限界、アジアの成長」 を受けて、日本の政治も、経済も、産業も、大学も正念場ですね。グローバル時代の本質が直感的に理解できない、今までのシステムで出世してきた「リーダーたち」、しかしそれなりに「まあまあ」と思っているので思い切った対応ができないのです。「ぬるま湯のカエル」に喩える人もいるようですが。日本には生かすべき多くの「強み」があるのですから、がんばって欲しいです。「進取の気性」ですね。「弱み」をしっかり認識し、国内ばかりでなく、世界へ目を向け、世界のパートナーと組みながら、行動することです。スピードが大事です。

海外で、「個人」の資格で長く活躍している人たちにはこれが直感的に見え、感じられるのですね。「「外」から見る日本」だからこその直観力です。「日本から見る世界」を基本に考えている大部分の日本の方たちの「世界の日本」とは大きく違います。

この2週間、お二人の日本の学者、研究者の訪問を受けました。一人はどなたでもご存知のPrinceton大学Hisashi Kobayashi教授です。日本のあまりの内向き発想と行動に懸念されて、訪問してくださいました。私も100%先生の認識と同じですし、何をするのか、いろいろ可能性を議論しました。このサイトを訪ねている方にはご理解いただけると思いますが、私もそれなりに努力しているのですが、何しろ自立、自律しているはずの、「知性の集まり」の大学まで内向きですから。特に「一流大学」といわれる大学では、若い学生さんたちにとっては、これが一流なのだ、と思い込んでしまいますから、たまったものではないですね。

2人目はDr Ryo Kubotaです。在米10年の医学研究者でBiotech Venture も起業しています。東京にきた折にお会いしましたが、本当に日本の研究やベンチャーのあり方などに大きな懸念、いったい日本は何をしているのだ、という危機感です。

これは「愛国心Patriotism」というものでしょう。このような経験を通すことで、偏屈な「Nationalism」は生まれにくいと思います。

このお二人の在外日本人に加えて、Finlandの政府系投資ファンドSITRA  (資料)トップの方々、さらに米国のバイオ関係投資ファンド2社も前後して私に話しにこられました。皆さん、話題は同じであり、懸念も、ポイントも同じです。

もっと多くの人たちが、できるだけ若いときに(いくつも失敗できますし、、そこから学べ、賢くなるのですし、、)広い世界に出て、世界を知る、「外」から日本を見る、直感的に感じ取れるようになる実体験が大事だろうと思います。「井の中の蛙、大海を知らず」です。大海を実体験として「知る」、ことは特にグローバル時代には必須の要件です。今回訪問された日本の方たちは、そのような実体験があるからこそ、とても心配しているのです。

なんといってもまだまだ、世界で2,3番の経済大国なのです。しかも、うらやましいほどのいくつもの強みを持っているのですから、皆さん世界に羽ばたいて欲しいです、引きこもりにならずにね。

この2年ほど私と仕事をしているDr William Saitoさん (資料)も、アメリカ生まれの日本人、彼も同じ認識ですが、彼はアメリカで実際に成功したベンチャー経験がありますから、かなり見方がシビアで、日本の制度的弱点を明確に認識しています。何とかしたいと、私ともモガイテいるのですけどね。いろいろ楽しみな仕掛けを作り、種をまいています。

MITのD-Lab、学生との起業

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先日もMITのD-Labを紹介しました。ここで活躍している遠藤くんが、日本を訪問した機会に、ということで私を尋ねてきました。私のイノベーション関係の研究や教育活動に参加してくれているDr William Saitoさんも参加して、いろいろ話が弾みました。遠藤くんは慶応大学で学部、修士を終えて、MITでPhD、現在MITでD-Labに参加しながら、自分の研究活動にも活躍しています。

遠藤さんのD-Labでのテーマは、途上国の義肢(義足、義手等々)を必要としている人たちに、安く、しかも使いやすい義肢を提供しよう という計画です。交通事故、戦争、地雷などで、不自由な生活を強いられているのです。また、現地での義肢は質も悪く、使いにくいとか、なかなか上手くフィットしないとか、すぐに壊れるとか、社会基盤、技術の程度を考えれば、致し方ないところもあるのですが、これを開発して普及させたい、このような人たちの自立を助けたいという、壮大な計画です。素晴らしい活動です。

Img_1889_top 写真; 左からSaitoさん、遠藤くんと

このような活動が実際の社会活動、事業へ発展することも多いようで、上手くいかないのが多いのは当然です。しかし、このサイトに掲載してあるのはまだ続いているものだそうで、起業したものの26%が残っているということです。William Saitoさんはアメリカで学生のときに起業し、それが大成功した人ですが、「この比率はすごいね」、とすぐにコメントしました。本当ですね。

遠藤くんは、世界記録を破れるような高度の義足の開発にも関係しているようですね。高い目標と、とても広い視野での活躍です。慶応の学生のときにソニー研究所北野宏明さん とAIBO の開発にかかわったそうです。

ダボス会議;世界の中の日本

昨日、思いがけなく、BSフジテレビの番組で「ダボス会議;世界の中の日本」というテーマで論じました。ネットhttp://www.bsfuji.tv/primenews/movie/index.htmlで見れますので、ご覧いただけますとうれしいです。

また、World Economic Forumのサイトで、「Close Up 現代」の国谷さんによるKlaus Schwabさんのダボス会議でのインタビューを見ることができます。こちらもご覧ください。

サマーダボス -2  輝く日本女性たち

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今回のサマーダボスの感想です。一言で言えば地元とはいえ、中国の元気とプレゼンスの大きさ、政府の力の入れようは温家宝首相、天津市長の挨拶など、すごいものです。そして今回のサマーダボスに関してはそのウェヴサイト(webcast 写真も沢山ありますーいろいろ探してください)、石倉さんのいくつもの報告(9月9、10、12、13、16日分)も読んでください。大いに現場感があり参考になります。

日本からも大勢の参加があってうれしいです。興味あるセッションが多く、パラレルに複数の会場で開催されるし、個人的なネットワーキング、相談事もありますし忙しいです。第2日のレセプションでも大勢の古い、また新しい友人に会いしました。

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レセプション1-4; 3つのレセプション風景、China Daily社長とスタッフと韓国Yonsei大学Moon教授(左端)

IdeasLabでは慶応義塾大学東京大学が参加、これもうれしいことですね。両方とも石倉洋子さんがセッションを引っ張ります。この2つにしても私は全部を聞き、議論に参加したわけではありませんが、慶応はインターネット、携帯電話など情報系を中心に村井さん、夏野さんなどが情報系のテーマで、プレゼンも上手に刺激的なプレゼン。特に夏野さんの日本の携帯機能には参加者も驚いていました。これがなぜ世界の一定のターゲット市場を開拓する、届けようとしないのか、できないのか、この辺の課題はこのお2人のほかにも私も参加している「超ガラパコス研究会」でも議論しており、間もなく政策提言が出ます。東京大学は持続可能な人間社会をテーマに環境、特に「水」問題が中心のテーマ。これも光触媒の橋本さん、世界水バランスの沖さんなど、面白いセッションでしたが、ちょっと時間が足りずに残念。これらの詳細などはウェヴサイト(資料)で見られますので、お時間のあるときに楽しんでください。

Photo_5_ishikurasan 写真5; グローバル競争力報告パネル

ダボス会議を主催する世界経済フォーラムは毎年「グローバル競争力報告 The Global Competitiveness report」 を発表しています。日本では石倉さんたちが分析、評点など、この報告書作成に参加しています。今回の2009-2010年度 では、日本は133国で8位 (8/133) です、悪くないです。これで安心していてはいけません、もっともっとできることがあります。元気を出しましょう。自分の得意なところと独自性を伸ばし、活かし、世界へ思いを馳せ、広げる、そこへ果敢に行動することです。この報告書を取り上げたパネルはBBCの有名アンカーNik Gowingの司会で、Vietnam (75位/133国) 副総理、Costa Rica (55/133) 通商大臣, Mauritius (57/133) 副総理と石倉さんでした。石倉さんによる報告の説明に始まり、各自のコメント、考えなど、そして最後に会場のZimbabwe (132/133)の大臣にも Nikからの問いかけ(ちょっと意地悪ですね)があり、その課題、計画、世界への約束などの返答があり、これが石倉さんに振られますが、うまく答えていますね。

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写真6-9: 国谷さん司会のパネル(6、7)、道傳さん司会のパネル(8、9)

最終日のグローバル金融についてのホットなパネル「Asia’s New Role in Managing the Global Economy」 はNHK「Close-Up現代」でおなじみの国谷裕子さんが、一流のパネラー5人を相手に、IMFの役割などなど、この難題をとてもうまく捌き、進めました。最終の全体セッションの直前の一つはNHKのホストで道傳愛子さんの司会による「China, Japan and South Korea; Shifting the Power Equation Together?」 。これも事前の打ち合わせの時間がそれ程あったとも思えませんが、なかなか上手な司会ぶりでした。近いうちに日本で放送されるでしょう。

ここに紹介した日本の女性3人はとても英語が流暢ですが、それだけでなく司会として出すぎず、でもしっかり「カンドコロ」を押さえて発言をひきだす、時に挑発しながら全体を流れるように動かすなどなど。パネル参加とはまったく違ったスキルが要求されるのですから、とても大変と思います。上手な人の捌き方を見たり、自分で経験し、広く評価してもらいながら、うまくなってくるのでしょう。何事も勉強と、世界のモデルを見ること、まねしてみること、実践してみること、経験と評価と反省から進歩でしていくのですね。「暗黙知」とも言うもので、決してマニュアルでは得られない能力です。

今回は何人もの日本の方たちも参加し、活躍しましたが、特に女性陣が司会というパネル全体を仕切る役割で活躍が目立ったのではないでしょうか。IdeasLabを含めると、ここに書いた日本女性が司会した4つのセッションでは、パネラー、プレゼンは全部が男性でした。だからなおさら、目立ったのでしょうか? 相当な立場の男性を、うまく順々にスポットライトを当てていくというような役回りですからね。私の偏見ですかね? 日本の方の活躍が目立つことはいいことです。

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写真10-11:皆さんとデイナー

最後の夜は日本からの参加者12人ほどで国谷さん、道傳さんほかの方たちととても楽しい夕食会(写真11)。この機会を持てたこと、とてもよかったです。この席は女性男性が半々でした。

サマーダボス・大連で:「D.Light」 など、活躍する社会起業家たち

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夏のダボスでも「社会起業家」たちは注目です。日本は技術先進国ですし、とかく世界を国内からばかり見ているので、国際貢献といっても、思考、製品の基本に「現地での感覚がかけている」、「進んだ技術に気をとられすぎる」傾向があり、これが日本の「弱さ」だということに気がつかなくてはいけません。

このような視点で立ち上がってきたのが、すでに紹介したMITのD-Labです。

社会起業家をテーマにしたIdeasLabで提示された事例の一つが「D.Light」(資料1)のNed Tozanで、これは最も注目を集めました。インドやアフリカでは電気がなく、夜はケロシンを燃やしているところもあります。危険ですし、健康にも良くない、貧しい人にとってそれなりのお金もかかります。これを何とかしたい。ここから始まります。皆さんの意気込みが伝わってきます。

他にも;1)出稼ぎに来た人たちにそれなりの教育と能力開発をし、帰国して自立できるようにしようという活動、2)小さな土地しかない人たちを自立させてきた活動、3)カンボジアなどで若い売春婦にさせられた女性を自立させてきた活動などなどです。

Tozanさんに、「これはD-Lab (資料1)から出てきたの?」と聞くと、「そうです」、といっていました。先日、MITが始めた素晴らしいコースとして紹介しましたが、そのときにも卒業生を通してどんどん広がって、Stanfordの学生が始めた成功事例として話を聞いていましたが、やっぱりそうでしたね。創業者のSam Goldman資料1) の背景からもアメリカの若者 たちの、若いときからの世界へという考え方、活力、駆動力、それも受け止めるエリート大学のイノベーションは素晴らしいと心の底から感じます。

日本のビジネスも若者も、世界の問題に自分で実体験として接してみると、このような人たちが、もっともっと出てくるのでしょうね。引きこもりなんてもったいないです。自分たち世代から20歳、30歳年上の周りの「おじさんたち」を見ていると、それしか選択肢がないと思い込んで、将来が暗くなってしまうのでしょうか。そんなことはありません。「若者にはもっと外の世界を見せ、体験させる」(資料)このことこそがこれからの世界の日本の構築には大事なのです。いつも言っていることですが、再確認しました。世界は広いのです、Steve Jobsの「Don’t Settle, Keep Looking」資料1)です。

ダボス会議東京事務所開所記念の集まり、そしてニューデリー、台北、サマー・ダボス大連へ

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ダボス会議は世界的に知られているいわゆる「track2」のグローバル社会の対話の場であるといえます。このサイトでも「サーチ」していただければ多くの報告が読めます。今年で39年ということですが、今回東京の事務所を開設しました。世界で4番目ということですが、うれしいですね。なぜでしょうか、日本への期待でしょうか。しっかりしたいものです。

9月4、5日にお広めの会(資料) が東京であり、多くの方が集まってくださり、大変に活気のある会議となりました。ちょうど衆議院選挙が終わり、歴史的ともいえる新政権ができる期待もあり、鳩山民主党党首(ダボス会議議員連です)もご挨拶にこられ、力強いスピーチをされました。その後、私もパネルに参加しました。

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この会議の初日の午後からNew Delhiへ向かいました。Singapore経由で翌朝早く到着、早速9時から「クリーンエネルギー技術のインドと日本」(資料)というテーマです。IPCCのPachauriさん(1年ぶりです)と私の基調講演で始まり、特に日本からいくつも省エネ技術の発表があり、両国の「Win-Win」のpartnershipを築きたいというものです。堂道大使もこられご挨拶、夕方のレセプションにも参加してくださいました。

インドは10億の人口を有する、しかもこれから当分は年6-8%の成長が見込まれるのですが、インド駐在の日本ビジネスの方たちは、全インドでなんとたったの3,300人とか。何か情けないですね。大いに期待できる、お互いに「Win-win」の関係になれるのになのです。これは残念ですね、いつも言っている(資料) ことですが。製造業では中国、韓国企業がどんどん進出しています。日本からの参加者の方々には、日本のこの弱さをはっきり伝えしましたけど。

Img_1815 総督府で。後ろは孫文の胸像

翌日は、台北へ。政策大学院大学の同僚の角南さんたちと合流、ここでも「日本のクリーンエネルギー技術」がテーマなのですが、この強さが世界に広がっていない、世界では目立たないのですね。なぜでしょう。これもお話しました。グローバル時代には、グローバルな課題へ自分たちの強さを生かし、弱さを認識して、コラボレーションですばやく社会へ、世界へ広げる事が大事なのです。これが21世紀のイノベーション、つまり「新しい社会的価値の創造」 です。

ついで台北から上海経由で大連へ来ました。’Summer Davos’とも言われる‘New World Champions’  (このサイトでいろいろ見たり、読むことができます)と言われるダボス会議主催の会議へ参加です。ちょっとばかり忙しい旅ですが、これも外交であり、世界の仲間つくりです。第1回は大連 、第2回は天津で開催されましたが、若手もビジネスの方が多く、なかなか活気があります。初日から3つのセッションに参加です。日本からの方たちも80人ほどの参加があるとかで、なかなか活躍しておられ、嬉しいです。初日からたくさんの友人に会いました。石倉洋子さんの9月9日からのBlogも見てください。前回、前々回と同様に、温家宝首相が出席、このグローバル規模の経済危機に際しての中国のとった政策とその成果と現況、そしてこれからも世界での責任を果たしていきたいという自信に満ちた講演をしました。

夜は、太陽経済の会主催の日本デイナーなどいくつかのレセプションへ参加です。