「タフな東大生を育てる」: 東京大学の講義シリーズ

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東京大学の浜田総長は去年12月、「タフな東大生を育てる」 というメッセージを掲げました。

その一環として、今年の4月から主として教養学部時代の学生を対象にして「グローバル時代をどう生きるか―プロフェショナルが語る新しい可能性」新しい講義シリーズが始まりました。講師、タイトル、講義のあらましなどはウェブ で見ることができます。確かにすばらしい方たちをお招きしています。私もお招きいただき、感謝ですね。

今学期の最後は6月25日(月)の午後。私の担当でした。ちょうど、夜明けまでWorld Cup「日本vs Denmark」戦があり、しかも日本が「3-1」で勝ち、初めて決勝トーナメント進出を決めたとあって、寝不足であまり参加者が来ないのかな、とちょっと心配しましたが、杞憂だったようです。

皆さんの反応もよく、もっともっと自分を探す旅をすることの意義 「休学のすすめ」 (資料1)の話、Steve Jobsと彼のスピーチ を聞く、見ること、自分個人の、そして日本の「強さ」と「弱さ」その由来、などの話をしました。

質疑応答も、多くの素敵な質問も多くとても楽しめる時間をすごしました。みな、目が輝いています。一人ひとりに、これからのすばらしい将来をつかんで欲しいのです。

若い人たちには、「グローバル時代」へ向けてもっと広い世界を知ってもらい、自分のしたいこと、目指したいことを探す時間を持つようにしてほしいのです。大いに世界に人脈を作り、個人としての自分を探し、世界に活躍の場を広げる可能性を見つけてほしいのです。このサイトでも繰り返し勧めていることですが。

大学の先生たちも、企業の方たちも、学生さんにはいろいろな期間、形式、プログラムなどを使ってでも、学生自身の企画でもいいので「休学をしてでも海外へ出てみること」をぜひ勧めてほしいし、それぞれができる範囲ででも支援、応援してほしいものです。

何しろ、未来は若者にあるのですから。

Michael Jacksonと私の家族; Encinoの生活

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Michael Jackson (MJ)  が急死して、ちょうど1年が過ぎました。本当に残念なことです。20世紀の60年代末に「Jackson Five」のリードヴォーカルでデビュー、最初のシングルが続けて(I Want You Back, ABC, The Love You Save, I’ll Be There) ヒットチャートの#1になりました。

80年代初めに「Billie Jean, Beat It, Thriller」など、歌と踊りとヴィジュアルをあわせた時代を先取りするような作品を次々とだして、Pop Musicを根本的に変えた、稀有な天才です。「King of Pop」といわれるのも当然です。今はよく見られる歌、踊り、ヴィジュアルを組み合わせた「時代の新しい芸術」にしたといえます。しかも、彼の作品は今でも燦然と輝いています。

彼が急死する前、予定されていた最後の公演シリーズ「This Is It」を世界中が楽しみにしていたと思います。そのリハーサルのClipから作った「This Is It」 を見ると本当に彼の才能と、人となり、そして本物のプロ興行のスゴサ、厳しさを感じ取れます。何度見ても飽きないすばらしい作品です。リハーサルのclipからの編集ですから、彼自身が本当に歌っているのではないのがちょっとさびしいですが、もし彼が死んでいなかったらどんな公演、そして作品になっていただろうか、想像するだけでもとても残念です。私も彼の大ファンです。いくつかのヴィデオも持っています。

彼の死後1年間ですが、「This Is It」などからも彼の人柄がそこかしこに垣間見え、彼の人気はますます上がっているとの話も聞きます。DVDなどの売り上げは3,000万枚を超え、1,000億円近い売り上げだとか。すごいことです。

実は1977年の夏、私はUCLA に戻り、Encino というUCLAの横のFreeway 405 を北へ車で15分ほどのところ、Santa Monica Mountains の峠を超えてMulholland Drive (映画でも有名な道路です 資料1 )からSan Fernando Valley へ降りていく途中の町に家を買い換えて移りました。16465 Refugio Road、どんづまりCul de Sacの家です。見晴らしも、環境も、近所の方々もよい方ばかりでした。

その後、まもなくでしょうか、なんとMichael Jackson (MJ)が近くに引っ越してきました。4641 Havenhurst Avenue です。当時すでに有名でしたが、彼のキャリアでは、次への一歩を模索していたころですね。その後、1988年にEncinoから200kmほど西のSanta Maria に近いところ、Neverland  に移りましたが、1年前、彼が亡くなったときには、ここには彼のご両親が住んでいることになっていました。

ところで、その頃のことですがMichael Jacksonと私たちは時に会うことがあったのです。私の一家がよく行く近くのスーパーマーケットGelson (Havenhurst Avenue とVenture Blvdの交差点にある高級スーパーです)で時々会うのです。彼は1人でショッピングしていて、そのときには言葉を交わすのですが、とてもシャイで、素敵な若者でした、MJが19歳のころです。

私が日本に帰国したのは1983の10月。MJはすでに大スター、1982年のAlbum「Thriller」  のリリースです。このalbumにはThrillerのほかに「Beat It、Billie Jean」などが入っているのです。すごいアルバムです。そして、あのころは「Thriller」のヴィデオがテレビで盛んに流れていました。

私が渡米した1969年に始まり、1983年のMJ、そしてその後のMJ。20世紀を21世紀につなぐ、最高のEntertainerでした。

ところで、Google Maps(地図、Street Viewなど)はすごいもので、MJの家から北にHavenhurst Avenueを100mほど行くとGelsonが見れます。南へ400mほどでLanai Roadへ、400mでHavenhurst Driveを東へ、300mでBallina Driveへ、300mでBallina Canyon Roadへ、どんどん山へあがっていくのです. 200mで右にRefugio Roadをはいると5軒目で突き当たり。右側が私たちの住んでいた家です。様子はStreet Viewでも、航空地図でも見れますが、家の様子は、ここ(リンク)を見てください。その頃ですが、今はなくなられた作家の城山三郎さんが尋ねてくださり、私のことを書いてくださった小文に、この家の様子にちょっと触れておられます。

Michael Jacksonの1周忌の機会にこのポストにしました。

 

2010年7月

第42回日本医学教育学会大会
「休学のすすめ:グローバル「Web 2.0」時代の人材育成」
   日程: 2010年7月30日(金)15:40-16:40
   場所: 都市センターホテル 第一会場
      東京都千代田区平河町2-4-1
<連絡先>
   株式会社コンベンションアカデミア
      TEL:03-5805-5261 FAX:03-3815-2028
      Email: 42jsme@coac.co.jp
    URL: http://jsme42.umin.jp/sanka.html

第25回研究・技術計画学会シンポジウム

「グローバル時代の戦略的な技術経営― 元気の出る先進事例から学ぶ ―」

日程: 2010年7月3日(土)13:20-14:00
場所 : 政策研究大学院大学 1階 想海楼ホール
          東京都港区六本木7-22-1 
<連絡先>
研究・技術計画学会事務局
     TEL/FAX: 03-3586-5302 e-mail: office@jssprm.jp
      住所: 〒107-0052 東京都港区赤坂2-15-4 赤坂第一ビル203号
(財)未来工学研究所分室気付
      *申込書はこちらから

熱い思いで世界の役に立つことをしたい学生さんたち、この夏、8月に出かけてみないか?

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このところ何回か紹介している「Global Change Maker Program」。早稲田の学生さんたちが中心になって自分たちで立ち上げ、いよいよ第1号プロジェクト、「E Education」がYunus教授の率いるGrameen銀行と始まります。

若者たち、学生さんたち、この夏の活動にぜひ参加してみませんか?

以下が案内です。振るって応募してください。去年参加した人たちにもお会いしましたが、皆さんもすっかり目覚めて、積極的な人たちになってきましたね。すばらしい計画です。

彼らのサイトは;
1.http://profile.ameba.jp/wakurevo/
2.http://astu0301.blog13.fc2.com/などなど

そしてこの「You Tube」 を見よう。

私のblogでは;
2010年6月6日 
2010年4月14日 
2009年 6月29日 
2008年12月19日 

今年も8月18-29日。以下のようなプログラムです。奮って応募しよう、世界を見よう。

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10年 後 、 世 界 を 動 か し て い る あ な た へ 。
+ Global Change Maker Program +
世界を変えるチカラを身につける、とびっきり熱い12日間。
詳細・お申し込みはこちら ⇒ ⇒ ⇒ http://www.gcm-p.com/
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世界最高峰社会的企業グラミングループ共催のもと、バングラデシュ農村で実施する実践型チェンジメイキング能力養成プログラム参加者募集のお知らせ です。

◆プログラム内容について◆
グラミングループの1社であるグラミンコミュニケーションズ内グローバルコミュニケーションズセンター(以下GCC)、そしてGlobal Change Makers Program(以下GCMP)事務局の共同運営によりこの夏提供される次世代チェンジメーカー創出プログラムです。GCCインターンシップ生としてバングラデシュの農村でのフィールドワーク調査実施後、そこから発見した問題のソリューションアイデアをグラミングループ、そしてバングラデシュへ提案します。

※このプログラムはグラミン銀行へのインターン、及びマイクロファイナンスに特化したプログラムではありません。

◆参加者のメリット、得られる力◆
ありのままの貧困を肌で感じ、本を読むだけでは見えてこない「世界的視野」を獲得できます。本プログラムは、単なる学びの場ではなく、リサーチから アイディアを得て提案する、というアウトプット重視型です。現地大学生通訳と共に調査チームを構成し、現地に入りこんだフィールドワークを行います。これ により、身体を耳にした本当の貧困の現場が見えてくるはずです。そして自分のアイディアを主体的に提案していくことにより、スタディツアーでは養えない 「フィールドワーク力」「問題解決力」が身につきます。参加者が収集した情報や村人の声、トライアル等の結果は「視える形」で残るとともに、次回のプログ ラムに引き継がれます。グラミングループの方々、そして私たち日本人学生とで共に世界を動かすソリューションモデルを創っていきましょう。

◆プログラム概要◆
○プログラム実施予定期間
2010年8月18日~8月29日(12日間)

○参加資格
・大学生以上(外国籍生も可)
※社会人の方、大学院生の応募も可能です。その場合、あくまでもプログラム主体は大学であるということを予めご承知おきください。
・日常会話レベル以上の英語力が望ましい。

○プログラムスケジュール(予定)
    7/31    事前説明会(東京都内)
    8/18    都内宿泊施設にて、帰国前研修  (※参加必須)
    8/19  出国(成田発)、バングラデシュ・ダッカ着
    8/20  グラミン銀行本部にてプログラムオリエンテーション
    8/21~8/25 5チームに分かれ、農村にてフィールドワーク調査
    8/26  プレゼンテーション準備
    8/27  ダッカにてバングラデシュで活動している日本人との懇親会
    8/28   プレゼンテーション、フリータイム 深夜:バングラデシュ発
    8/29   帰国(成田着)、解散

○参加予定費用
15万円程度(航空代、現地生活費込)
※航空券価格、現地レートが不確定のため暫定価格となっております。ご了承ください。確定次第、こちらのサイトにてお知らせ致します。

◆募集要項◆
○募集人数
大学学部生15名、社会人・院生5名
 
○参加者選抜方法
簡単なショートエッセイ,そして面接にて評価・選抜させていただきます。
 
〇募集締切
2010年6月30日

〇申込方法
応募要項・注意事項をHP(http://www.gcm-p.com/)にて確認の上、HP上のエントリーサイトよりお申し込みください。

バングラデシュで世界一アツイ夏を!世界をもっとワクワクさせたいワカモノ、大募集!
ご不明な点がございましたら、下記メールアドレスまでお問い合わせください

問い合わせ先
GCMP日本事務局 お茶の水女子大学2年
永岡由衣
info@gcm-p.com

New York City、すばらしい季節、すばらしい議論、若い医師たちとの再会

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ソウルから14時間、JFK空港に到着。空から見ていてもすばらしい天気でしたが、飛行機から降り立つとカラッとして、まさに一番いい季節の天気です。

ManhattanのMid-Town、Le Meridian へ。今回は以前にも紹介した東京大学のPresident Council資料1) の会議です。小宮山前総長のときに始まり、濱田総長もこれを継承して活動しています。前回は去年の11月、濱田新総長の下で東大の駒場キャンパスで開催 され、Bill Emmottさんの講演、Victor KK Fungさんのセミナーなどもありました。

ホテルチェックインして一休み、Central Park資料1)を小1時間ほど、新緑とそよ風の中を歩きながらMOMA  (月曜日で休館、残念)、Madison Avenueを楽しみながらすばらしい午後の時間をすごしました。

夕方はレセプションをかねて、現地の東京大学卒業生の会 (大学のアーカイヴ 2001年6月8日参照)があり、大勢の関係者が参集しました。何人かの懐かしい顔にもお会いし、新しい方たちにもお会いしました。

翌日の会議にはタイのProfessors Chulabhorn Mahido王女、Vartan Gregorian、Rita Colwell、Kari O Raivio、マイケル吉野Harvard大学名誉教授 などの学者たちや、AT KearneyのP Laudicinaさん、もとMcKinseyの横山ヤスさんなどの委員の参加がありました。

今回の特別ゲストはSwarthmore Collegeの学長Rebecca Choppさん(資料1)です。今回の会議では「Liberal Arts」教育を中心テーマでした。これについては、別に次のpostingに書きます。

夜は、NYCで臨床研修をしている、そしてそのOB/OGの若手日本の医師たちと夕食を楽しみ、いろいろな話題に大いに盛り上がりました。このような人たちが一人でも増えること、活躍の場を日本の外に広げていくことが、日本の将来と世界からの信頼にとって大事なことです。このような若者の活躍が若者たちへ広く知られ、彼らの目標の一つになっていくこと、これらが日本のグローバル人材の育成にとっても大事なことです。

「国際保健政策サマープログラム」へのお誘い

医療政策機構のプログラムの一環として、東京大学大学院と共催で国際保健政策のサマープログラムが7月25- 8月1日にわたって、東京大学本郷キャンパスで開催されます。

このサイトの案内でもお分かりのように、保健、医療を含むグローバルな課題に対し、省庁、ビジネス、NGO/NPO、アカデミアなど、様々なかたちで関わるプロフェッショナルへヒアリングを行い、実際に政策提言を作成、提出するというプログラムです。

将来、国際機関での勤務を目指す大学生・大学院生(医学生含む)、ビジネスやメディア、NGO/NPOなど様々なかたちで地球規模課題解決に取り組むキャリアに興味のある学生を対象とし、政策提言作成、実際に議員に提出という実践的プログラムを通じ、将来のキャリア設計の一助となればと考えています。

実は、私のこのサイトからリンクしている医療政策機構ではご案内しているのですが、ここでの興味のある方も多いかと思い、ちょっと締め切りが迫っていますが、ご案内します。

今週6月18日(金)が応募締切なのです。奮って応募してください。

お問い合わせは、上のサイトを訪ねてください。

 

ソウルでアジア太平洋腎臓学会

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先日も、久しぶりに国際腎臓学会の活動 にちょっとだけでしたが参加したことをお伝えしました。

6月1日夜、Dohaから帰国。翌日は慶応大学の矢上キャンパスで、去年に続いてSONY寄附講座の所 眞理雄教授のイノベーションシリーズ の講師をしました。翌日3日、いくつかの用事を済ませてソウルへ向かい、COEX で開催されたアジア太平洋腎臓学会 (資料1)に参加し、まずOpening Plenaryの司会を会長のHo Yung LEE教授と務めました。

久しぶりに多くのアジア太平洋諸国の方々や、欧米の参加者ともお会いでき、とても楽しい時間を過ごすことができました。私は国際腎臓学会の理事、理事長時代にはせっせと世界中へ出かけていましたので、当時お会いした若い人たちが、大きく成長してそれぞれの国、世界の場でもリーダーになっている方たちも多く、久しぶりにお会いできてとても嬉しい時間をすごせました。私事ですが、前回、2年前ですがありがたいことにこの学会に新しく設置された「Priscilla Kincaid-Smith Award」 の第1回を受賞しました。彼女はAustraliaを代表する医学者であり、特に世界的に腎臓学の発展に大きく貢献され、国際腎臓学会でもアジア太平洋では始めて理事長(しかも女性としても)になられた方です。私も多くの機会に昵懇にさせていただいていました。

会長招宴はWalkerhill Hilton  の別館(韓国テレビで人気だった「Hotelier」 の舞台のひとつAston House の庭(ウェブ上でも写真が楽しめます)で、ここは南北首脳会談のために建設されたとか。多くの友人と歓談の時を持つことができました。

学会は途中で失礼して、7日にIncheon飛行場 からNew YorkのJFKへ、14時間のフライトでした。

日英米韓国、ガン臨床治験会議 ?その報告

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5月29日付けで日英米韓国のガン臨床治験会議を開催したことを報告しました。

その報告が「医療政策機構」のホームページ に出ています。

どのセッションも充実していましたが、日本側からすると注目したいのは、韓国の臨床治験のこの数年での急速な国際化と急成長です。プレナリーセッション の3番目 (最初が厚生労働省の宮田さん、ついでPMDAの近藤理事長) の韓国のソウル大学のYung-Je Bang教授のスライド (特に後半に出てくる図、#7以下です)で見て取ることができます。特にガンの治験は治験の主力になっています。

これらの急速な変化は、政府、大学、医療界、企業等々の関係者の協力と思い切った集中と選択、さらに国際化(国際システムの導入)などの決断と実行力に負うところが大きいように思います。

日本もどんどん国際的な治験に、早期のフェーズから同時進行の形で積極的に参加するのが一番早そうです。これを推進するのには患者さんと家族の理解と協力と圧力が大事でしょう。

いわゆる「Drug Lag」は審査機構ばかりでなく、企業の決断と臨床治験でのスピードも大事な要因です。

Doha, Qatar -3: グローバル時代の教育、日本への懸念

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グローバル時代と急成長するアジア、そして世界大転換期の予測の時代を迎えて日本の教育には問題が「おおあり」 です。

従来の教育を受け、60-90年代までの経済成長時代を経験した人たちとこの20年のジャパン・「バッシング → パッシング → ナッシング → ミッシング」 を過ごしてきた人たちが、大学を含めた教育界、政府、産業界で主流なのですから、グローバル時代への教育改革の本質が見えていないのではないか、といぶかりたくもなります。

人口に比べると、日本では海外の大学で学部教育を受けている人があまりにも少ないのです。大学院でも自力で正式に入学し、正式に卒業した人も少ないと思います。特に男性では企業や役所など「組織」からの「派遣」でMBAなどを経験した人が多いのではないかと思います。

歴史的背景があったとはいえ、成長するアジアの中で特に日本が英米など海外での大学教育、さらに「エリート」を育てる「Boarding School」卒業の人材が、人口に比べてもあまりにも少ないのです。それでいて「リーダー」といわれる立場の人たちが、物知り顔で「教育のあり方」を大声で叫ぶのです。

もちろん日本の一流大学もいいところです。でも、日本の「エリート」(政治、企業、政府などなど、大学はどんなものでしょう、、、)たちが、今もってあまり英語をしゃべらず、最近では中国や韓国のエリートに比べても国際的な場でのアッピールや発信能力で、正直なところ一般的に見て「勢い」からして負けていると思います。

Dohaでは「教育」のセッションがあり、各国ともグローバル化へ向けた次世代の育成に真剣に取り組んでいます。従来の教育とは違った課題があることを強く認識しています。

その点で、JordanのRania王妃 の本質を突いた教育についてのメッセージは素晴らしいものがありました。ウェブ資料1)で聞いてみてください。彼女はこのフォーラムでも発信力の大きいすばらしい方です。

今回の「Doha, Qatarシリーズ3報」には、石倉洋子さんのblog の5 月30 -6月2日掲載分も、ぜひとも参照してください。私の意見ともあわせて、とても参考になると思います。

目覚める若者たち、世界に出て自力で始めたプロジェクト

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写真:Yunus博士のゴーサインをいただいたときの税所くん, プログラムに参加する女子生徒達

以前から紹介している若者たち資料1)がいよいよ,本格的に活躍を始めました。

これは最近の朝日新聞 にも出ました。

大学を休学して自分たちで現地に向かい、国内でも活動をアッピールしながら、問題解決を模索し、企画し、活動しながら、とうとう「Grameen銀行」内では初めての日本人発ソーシャルビジネスを始めます。早稲田大学の税所くん (資料1) の「E Education Project」です。同じ仲間の早稲田大学の三好君  も今年は大学を休学してBangladeshへ、次のプロジェクトへ余念がありません。

この「E Education Project」の目標は;

1.未来のバングラデシュのリーダーを村から輩出する。
2.農村部の貧しい家庭に生まれたが、それでも学びたい生徒に「Eラーニング」で最高水準の教育を届け、国内最高峰ダッカ大学へ合格させる。

税所君の「ものがたり」は以下のようです。
1.20歳の最年少グラミンコーディネーター税所篤快は高校時代、学年順位最下位の落ちこぼれでした。

2.親を学校に呼び出され、担任の先生に「2浪して3流大学に行け!」といわれた日に予備校 東進ハイスクールに入学。

3.すべてDVDのデジタル授業で、3年間のシラバスを3ヶ月で学び、早稲田大学合格。

4.そんなことはすっかり忘れていたグラミンの日々で、ある日村の小学校で深刻な先生不足に出会う。

5.「4万人先生が足りないこの国で必要なのは、東進のモデルではないのか?」

6.「誰でも、どこでも、何回でも、最高の先生の授業を受けることができる教育モデル」

7.このビジョンをグラミン総裁ユヌス博士に話したところ「DO IT!DO IT!GO AHEAD!!」とゴーサイン!

7.グラミンと一橋大学イノベーション研究所(米倉誠一郎教授)合同による、ソーシャルビジネスを立ち上げる。

このプロジェクトの概要は:
ダッカの最高水準の先生の授業をデジタルコンテンツにし、グラミンのネットワークで村の子どもたちに届ける。

1.プログラム:
1.1.ダッカ大学受験コンテンツ:
バングラデシュ最高の先生たち3名(国語、英語、社会)の集中講義
1.2.リーダーシップコンテンツ:
ハーバード大学ハイエッツ先生の一番弟子のバングラ若手社会起業家EJ Ahmedによるリーダーシッププログラム
1.3.未来キャリア育成コンテンツ:
ダッカ大学現役学生による、毎週のスカイプ将来面談
ダッカ大学教授による未来のキャリア授業

2.期間と目標:
2.1.2010年6月より授業スタート
2.2.同年11月のダッカ大学受験までの5ヶ月

3.対象:
農村部エクラスプールの高校三年生20名(うち女性7名)

4.将来への構想:
4.1.2010年成功モデルをひとつつくる。
4.2.2011年より、全国600のグラミンネット支店でソーシャルビジネスとして順次拡大。
4.3.2015年には6000人の子どもたちに教育を届ける。
4.4.バングラデシュで成功の後には「教師不足で悩むアジア諸国」にモデルを拡大させる。

5.ものがたり:
5.1.農村部ではなにより子どもたちに希望が欠けています。
5.2.彼らの周りには、将来目指したいと思えるようなモデルがないのです。
そんな彼らに、将来「あんなかっこいい仕事をしたい」「こんな風な将来の歩み方もあるのか」と思わせるようなモデルを提示する。

税所君たちの思いは:
「未来への可能性を届ける」
これが一番の成し遂げたいこと。

いかがです。すばらしいと思いませんか?輝いています。皆さんも応援しましょう。
でもそれより、自分一人ひとりは何ができるか?
世界は広いのです、世界へ出てみよう、世界は皆さんをまっているのです。
だからこそ、「休学のすすめ」(資料1)、 なのです。

ところで、このプログラムの募集をかけたとところ、10名の枠に直ちに20数人の応募があり、なんとイスラムのこの国で7名の女子生徒(トップ写真)が集まってくれました、と。

これは快挙です!地元の人は「一種の革命だ」と。優秀な女子生徒を引きつれてきた地元の高校の先生は「この子たちはこの村のHidden Treasureだ。私たちではダッカ大学にすくいとってやれない。E educationですくってやってくれ。」といってくれました、と。この6月に授業開始です。

最後に三好くんの熱い思いと決意 を聞いてください。一人ひとりのこのような思いこそが日本を変え、世界を変えていくちから(力)となっていくのでしょう。