「Asia Vision 21」、Singaporeから

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4月29、30日のことですが、「Asia Vision 21」会議がNational University of SingaporeのLee Kwan Yew School of Public Policy  とHarvard UniversityのAsh Centerの共催で開かれました。このAsh Centerのプログラムには数年前からお招きを受けていたのですが今回初めて参加しました。今回はBiotechのパネルに出るのです。

Lee Kwan Yewの学部長は、いくつかのよく知られた著書もあるKishore Mahbubaniさん。長い外交官歴とその識見はたいしたもので、世界中で活躍しています。わたしのblogにも2,3度、出てきます (資料1)。 

Harvard側は皆さんおなじみのEzra Vogelさん、Asia Center所長のArthur Kleinmanさんをはじめとした面白い顔ぶれです。Kleinmanさんとは1月にBostonに行ったときに、美味なMartiniで私もけっこう出来上がってしまいました。

2日間のセッションは、特にアジア政治や経済など、世界の一流の論客、専門家が多いので、私にとってはとても刺激的な討論の場であり、大いに勉強になりました。新しい友人もできたし、こういう会への参加はとても楽しいです。

この会の記録はウェブにも掲載しないルールなのだそうで、演者、参加者などについて長々とご紹介できないのがちょっと残念。

ただ、2日目のBreakout Sessionでは「Flashpoints in Asia」に出ました。参加は10人ほどでしたが、Co-ChairのAstrid Tuminez さん、Huang Jing さん、とてもよかったです。多くの方のアジアを見つめる鋭い視点はとても参考になり、とても刺激的でした。Harvard大学は人材豊富ですが、Singapore大学も多彩な、すばらしい教員を集め、とても活気があります。

 

借金漬け、日本は崖っぷち

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世界、特に「先進国」では公的出費が増え続け、しかも経済の回復が遅いので(日本ほどではないにしても、、)、国の債務が増えることに対して懸念が問題にされています。

EUではギリシャが債務超過になり、ついでスペイン、ポルトガルも債務過剰になりそうでユーロの価値の危機です。

日本の経済はあいも変わらず調子が悪いですね、この20年、ほとんど成長できないのです。今年の予算は、税収より国債のほうが多く、打ち出す政策は公費の出費が多くなるばかりです。国の債務(借金)がGDPの200%近くになりました。

しかし、日本ではあまりにも債務が巨額(GDPの200%)だからでしょうか、国債発行にもまったく規律が欠けていますし、よそに比べても国内ではこの債務への懸念が、学者も、報道などもあまり大声では叫ばれていません。「麻薬中毒」状態です。しかも、高齢化が進み、借金返済はほとんど不可能ですね。将来の世代はますます暗い気持ちでしょう。この世代は実に無責任です。

日本の「偉い人たち」などが、日本には国民の貯金その他で1,400兆円ほどあるから、国全体としては債務過剰ではないから大丈夫、などといっていましたがさすがにそんな発言は、最近は不思議に減っているように感じませんか?なぜでしょう。

今年1月末、格付け機関Standard and Poor’s (最近のGoldman-Sacks問題などに関して、企業格付けでまた不正を働いたようなこともあるようですが、、)が日本の国の信用を1ランク下げました。日本の報道では、不思議なことにちょっとしか扱われなかったですね、こんな大問題なのに。

思い起こせば前回の格下げは2002年5月でしたか、そのときの日本は大騒ぎの報道と、財務省まで抗議文、広告を送りつけなどしました。次の記事などがあります。覚えていますか?今回とはずいぶんな違いです。なぜなのか、考えてみましたか?

本当はどうなのでしょう。確かに日本の借金は返済不可能でしょう。国の信用は低下していくでしょう、経済成長もなかなか難しそうですね、、、。来年度は日本が発行する国債が国内だけでは売れさばけず海外に購入してもらうより仕方ありません(普通は国内だけで売っているほうがおかしいのですけどね)。このときは金利が4-5%程度には上がる、借金の返済はさらに苦しくなり、国の借金は急速に増え、インフレになり、国民の生活はさらに苦しくなるでしょう。

今の政治のひどさ、今までの「政産官の鉄の三角」もひどいものです。政治財務省などの「エリート」の考えていることは大体想像できますね、自分たちは責任を採らない、政治の貧困のせいだと。国民、特にこれからの世代は困窮というシナリオでしょう。ひどいものです。その先の手も読めそうな気もしますが。

最近、亀井大臣が郵便貯金の上限を2,000万円にあげました。不思議ですね。来年の国債を国内だけで買いきれるようにしようとの陰謀にもみえます。だから金利の上昇、インフレをさしあたり1年延ばそうという、いつもながら「問題の先送り」、「陰謀」でしょうか。あまりにも突然ですしね。では、その翌年は予算が成立するのでしょうか?

結局、国債の金利が上がり、返済額が増え、日本円は安くなり、ひどいインフレになるでしょう。ひどいことですよ。

選挙を前にして政治家は消費税上げることを言えず、役所に大鉈を振るえず、決断できず、役所も、学者もね。報道も政府に操作されているのか、広告料で企業に遠慮しているのか、あまりつらいことには意見を広く発信しません。

大体、日本はバブルがはじけて、1998年ごろから超低金利、私たちの預金はみんな国外へ出て行ってしまって、結構「サブプライム」の引き金の1部になっていた可能性は高いのです。サブプライムでバブルがはじけて、私たちの預金は実はもう返ってこない、と思いますが。

日本国の財政状況は極めて危険水域(資料)です。政治は選挙を前にして減税はできない、企業も集中と選択がなかなかできない。外人や女性を重要なポストにつけたくないとか、希望ないですね。「あれもこれも」と議論しているのは結構なのですが、問題は実行です。大企業も内向きで元気ないですね、もっともっと「M&A」など積極的な、厳しい経営が必要と思います。

世界では日本への信頼はガタ落ちで、できれば相手にしたくないという雰囲気も出始めていますね。日本経済は「弱い」のではなく「麻痺している」のです。

今回も、もっぱら「The Economist」の記事を引用している理由は、2月15日のカラム「トヨタの問題と苦悩」 に書いた通りです。

カナダ: 朝日「Globe」から

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朝日新聞では数年前から、毎月2回「Globe」という8ページ特集を組んでいます。内容といい、取り上げるトピックスもなかなかユニークで、とても楽しめるものです。

タイトルからもわかるように大きな視野で「グローバル世界と日本」をいろいろな角度で分析している、素敵な特集です。船橋編集主幹の企画と思いますが、彼らしい企画です。

さらにすばらしいのは、すべてが「On-line」で読めることです。新聞に出てから何日かかけながら全体の記事が読めるようになっています。

最近の4月21日号は「カナダ」がテーマでした。私も大学関係者と広く交流 (資料1)、(ほかにもこのサイト内で「カナダ」「Canada」で「search」してください)があるので取材を受けました。このカナダ特集は「日本とカナダは超大国のそばで見えない国になるおそれがある。どう対応するかが21世紀の挑戦だ――。両国の大学関係者の会合で、こんな話が出たという」で始まります。これは読んでのお楽しみです。カナダの人口は隣の米国の10%、日本も中国の10%。お隣の大国、米国との協調と自分の独自性の維持、などなど、興味ある記事です。

私もカナダは好きですね。一言で言えば、「英国のいいところを受け継いで、階級社会を引き継がなかった国」でしょうか。「英国のいいところ」はやや社会主義的要素を持ち、民主制度がよく機能している、教育程度が高い、いくつかのすばらしい大学がある、医療制度はマイケルムーアの映画に見るように国の機能ですが、質がいい、患者の負担は少ない、信頼が高いのです。医師も大学教員の質も高いです。

2008年からの金融危機の影響を最も受けなかったのがカナダでした。銀行がサブプライムに巻き込まれなかったのです。

昨日からTorontoに来ました。ディナーの席では、130万の都会Calgaryでも、多くの人たちは自宅のドアのロックをほとんどしないそうです。いい昔の姿が残っているのですね。この話はマイケルムーアの映画でも出てきます。

ひとつだけ朝日新聞に注文。こんなすばらしい特集をせめて「On-line」だけでも英語で出してくれないものでしょうか?日本人対象だけでは、本当にもったいないです。

新しい息吹きと遭遇のいろいろ

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4月になって、いろいろ新しい社会への動きを感じる機会がありました。

若いとき、南アフリカのアパルトヘイトからの道のりにもかかわった感動的な経験から、紛争、対立の対話の推進などの活動を進めるReos PartnersKahenaさんとLeanne Grilloさんを迎えて、いわゆる広い意味での「社会変革イノベーション」についてのお話を聞く機会です。このウェブサイトから伺い知れるように、多様な、多くの利害関係者の中での難しい状況の経験を通した、何かとても大事な基本的なスタンスをお聞きすることができました。

お招きを受け集まったのは10数人ほど。半分は女性ですが、「単線路線」の方はおられませんでした。残りの男性たちも「単線路線」よりは、海外も含めて多彩なキャリアで活動してきた方たちで、社会をよくしたいと、いろいろ活動しておられる方たちです。少数派の「単線路線」のかたでも、実際に組織とは離れて社会活動もされている方たちです。 SoL (Society for Organizational Learning)の日本支部として活躍している方たちの主催です。

いろいろ理由を言いながら変われない日本の中で、社会を変えよう、世界を変えようという広い裾野が広がりつつあるのが、個人個人の行動として感じ取れるとても気持ちのいい会合でした。このような方たちとお会いできるのは、素敵なことです。

米国内科学会日本支部年次総会(資料)でも女性医師の問題、「プロフェッショナリズム」を中心に取りあげる活動、症例提示スキルアップなど、若い人たちの活発な参加が目立ついい会に成長してきていると感じます。今回もDr Gremillionさんをはじめとして米国医師、米国研修帰りの医師たちの参加もあって、若い人たちの盛り上がりを感じました。2次会、3次会にも参加しましたが、学生さん、研修医のみなさんも含めて、若い人たちが大いに盛り上がりました。ありがとう。

久しぶりに国際腎臓学会主催の集まり「Nexus」に少しの時間ですが出席でき、世界の旧友、新しい人たちとの時間をすごせました。

これからの人たちが、若いときから広い世界とつながることを大事にしながら、日本社会で、また世界でのキャリアをつんでいく選択も意識できる、その能力を高めていくことができると、これからの日本にとっても素敵なことでしょう。

いろいろな場を通じて、これからフラットな世界での、そして新しい世界の価値を見出そうとしている日本を担っていく人たちとお会いし、若者たちが育っているのを感じ取れることはすばらしいことです。

 

世界銀行と日本の「科学技術と開発」、Win-win協力のチャンスだが

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4月16日、京都での「ISN Nexus」から早朝に出発。10時から世界銀行の東京事務所で、世界銀行のAl Watkinsさん一行と「科学技術と開発」の会議です。

私は世界銀行のこのプロジェクトには2008年1月から関係していて、これが日本で開催されたTICAD4 Toyako G8 Summit、またG8科学顧問会議 (資料)などの「場」へつながり、「タテ、ヨコ」につながりながら成長しているのです。

2008年1月の講演から世界銀行へは2回ほど(2009年4月) (資料1)、2009年12月とWashington DCへ出かけ、この会議とワークショップなどに参加しました。

これらの3回の会議は、これら私のサイト以外にも、世界銀行の「科学技術政策」サイト で詳しく見ることができます。

2008年1月の講演 

2009年4月の会議 

2009年12月のフォーラム 

世界銀行のサイトも進化しているのが見てとれます。

その間に日本の科学技術政策も「科学技術外交」の政策テーマで「日本-アフリカの架け橋」を作るなど、進化していきます。これはとてもいいことです、世界も変わっていくのですから。

2国間で行われる2国間支援(ODA)、世界銀行のような多国間組織を通した支援などをどのように調整、協調していくのか、これは大きな課題です。

このようなプロセスを経て、世界銀行の政策を、日本の政策とどうすり合わせできるか、これが今回の会議の目標の一つでした。去年12月の世界銀行のフォーラムにも出席した内閣府の岩瀬審議官、JICA後藤さんをはじめ関係各省担当者の参加もあり、難しいですが、意味のある時間をすごせたと思います。日本のODA政策の評価は、世界銀行でもとても高いのです。すばらしいことです。もっと国内外への宣伝も必要です。

世界銀行では、出資額に比べて、日本人職員が余りに少ないことはよく知られています。最近、日本からの4,5人の公募に対して400人ほどが出願したとか、いい傾向です。このような機会だけでなく、もっともっと「外」へ、「国際機関へ」、多くの日本人が積極的に参加してほしいです、日本のためにも、若者のキャリア形成のためにも。

世界は広いのです、数多くの機会が、将来の友人やパートナーとともに、あなたたちを待っているのです。

「休学のすすめ」-1: 慶應義塾大学SFC新入生へのメッセージ

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4月6日は、慶応義塾大学SFC の新入生1,000名を迎えて、いろいろな行事があるのですが、今年の特別講演にお招きを受けました。光栄なことです。村井 純 (資料1)(環境情報学部)、国領二郎 (資料1)(総合政策学部)の両学部長としばらくお話しをした後、θ館講堂で(入れなかった人たちは別室でもテレビ中継があったそうです) 80分ほどの時間をいただきました。

SFCは今年が開校20周年。4月4日にはその記念行事が盛りだくさんあったようです。私も何人かの卒業生とは仕事の関係でよく知っています。皆さん、「日本の常識」を外れた、グローバルキャリアの方ばかりですが、、、。それが、あまり変でないところがSFCのひとつの特徴でしょう。これからの計画などについてもお話をうかがうことができました。

ホームページを見れば、SFCの歴史、内容、キャンパス、その素敵さが想像できると思います。

約18%の新入生が留学生、かなり(40-50%程度か?)が海外生活の経験があるということです。在学中に海外留学も推進、来年からは英語の授業だけで卒業できるようにする計画とか。

私の講演もこのサイトにもリンクしますが、講演の後半の背景に、講演の内容に関係のあるいろいろな光景を流しました。

ところで、私はこの2年ほど、2,3度以外は講演にpowerpointスライドを使わないことにしているのです。なぜか?講演のテーマにもよりますが、大体、政治家はそんなもの使わないですよね。オバマ大統領にしても、小泉元総理にしても、スライドを使った講演を見たことがありますか?あまりないですね。これが理由です。いかにコアのメッセージを伝えるか、研究成果の報告ではないですし、私にとってはこれが大事だと思います。

私の話は、多くの新入生が生まれた1992年前後の日本、世界の変化などについて話しながら、これからのグローバル化世界の動き、日本の課題などについて話を進めました。私のサイトにいろいろなタイトルで、いろいろな形で、繰り返し出てくるテーマです。

特に多くの男性は「単線路線」のキャリアが常識と考え、それに縛られていたのです。女性は単線路線では、最後のほうは限界がある制度なので、どんどん自分で複数路線になってきていた、だから、この新入生の生まれた頃からの、この20年になると海外でも「個人力」が出る人が多いのです。男性は「タテ社会」の「単線路線」キャリアがおかしいと感じても(あまり感じていないのかもしれませんが、、)、思考も、行動も、内向きになる、横に広がりにくいのでしょう。

明治維新以後の近代日本では、慶応義塾設立者の福沢諭吉の「学問のすすめ」(1876年)ですが、グローバル化が進むこれからの時代、学部生が4年で卒業する必要はない、5年のうち1年程度は社会活動もよし、留学もよし、いろいろな海外での活動もよし、いろいろなところでの生活も、旅行もよし。「外」へ出る、「外」で感じることで自分を見つめ、多様な世界を知り、違いを感じ、だからこそ「外」から日本を見る、感じ取ることができる。ここから多層な、国境を越えた仲間ができる。この「異質性、多様性」への感性が獲得できる。このような感性、能力、人の繋がりこそが、グローバル世界に向けて自分の本当にしたいこと、価値を見つける。だからこその「休学のすすめ」なのです。

大体、「学部3年時に内定」などという企業は、あまり将来があるとは思えません。そんな大学、企業が主力だ、というような日本の社会は世界でも例外的と思います。日本「社会の上」のほうにいる皆さん、いい加減に目を覚ましてほしいです。

最後に、Appleの創設者、iTune, iPod, iPhone, iPadなどなど作り出して世界を変えてきたSteve JobsのStanford大学卒業式の「私のお気に入りの14分の講演」をちょっと見せて、私がまとめました。

講演が終わってから、大勢の学生さんに囲まれてとてもうれしいひと時をすごしました。

家を出かけるときからキャンパスに着くまで3つのtwitterを発信しました。いくつかのパワフルなメッセージが出ていました。これもうれしいことです。

大学トップの招聘; KUSTARとOIST

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前回ポストしたMIT D-Labの翌日は日曜日。アブダビへ向かいました。KUSTARの理事会出席のためです。KUSTARは、何回も書いていますが、アラブ首長国連邦の科学技術高等教育の中心にしたいという意欲的なプロジェクトです。このサイトでこの1月に何回も報告したアブダビで韓国の原子力発電事業の勝利にも、この大学での人材育成大事な要件でした。

今回は招聘する学長を決める大事な案件があり、約6時間にわたって、短い休みを2,3度入れながら議論が続きました。候補者4人のうち2人もこられ抱負、質疑等のインタヴュー。皆さんすばらしい方ばかりでした。もうしばらくで決まるでしょう。

アブダビでは原子力エネルギーへ向けて着々と手を打っています。IAEAとの連携も視野に入れて人材獲得に向け動いています。日本の人材ももっと現地へ行って活躍してほしいものです。関係の何人かの方とお会いしてきました。またIAEAの人材育成の会議も開催されたばかりで、日本からも何人か参加されていました。

ところで、帰国して2日後の夜から沖縄へ。沖縄科学技術大学院大学 OIST 移行への理事会です。ここでも招聘する学長が大きな課題です。基本的に、国の支援を受けながら運営する新しい形の「私立大学」となる予定ですが、何をするにも前例のないことをする手続きが大変です。「グローバル世界の大学、研究所」などと言葉では言っていても、いつまでたっても大学でさえ「知の鎖国」(資料1)状態ですから。

成長するアジア、グローバル化する世界で、日本の高等教育の劣化が目立ち、「出る杭」枠を外れる若者は頭をたたかれ、財界も、政界も、政府も、大学も、いつまでたっても変われないですね。

私はこの10日間で、SingaporeではA*STARの会議東京でMITのD-Labの紹介、Abu Dhabi、日本(沖縄)と大学、大学や研究中心の課題を中心として会議に参加してきましたが、「外から見た日本」のスピード感のなさ、リーダーの影の薄さ、存在感のなさは、情けないです。

Singaporeの水事業

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Singaporeは小さな島です。歴史的に水の供給の大部分はMalaysiaに依存しており、Johor Bahrから水を送ってもらうことになります。ここの水プラント、管理等はすべてSingaporeが負担です。これは交渉ごとであり、国の弱みでもあるので、長期的には当然のことですが、国の生命線として致命的になる可能性もあります。

日本でも同じですが、1960年代までは川や海は、生活廃棄物も含めて工業排水さえも流していました。水俣病などの公害もこのような結果のひとつです。1962年のRachael Carson著「Silent Spring」も大量規格工業製品生産と消費社会の環境破壊への警告書です。Singaporeの川にも生活排水も、ごみもたくさん捨てられていました。

そこで、長期の国家計画のひとつが水計画 です。

今回、19日に定例のA*STAR会議 (資料1)終了後にMarina Barrage資料1) 、を見学、すばらしい建造物の全体もさることながら、その歴史、計画、実現へ、ほかの水関係事業など、ビジョン、戦略、事業計画などなど、総合力の優れた国家事業です。

2009年のSingaporeでもWater EXPOでもSingaporeの水事業のpackageの展示が注目を集め、日本の展示は質のよい「部品」展示ということで、この視点はNHKでも報道されていました。これでは国際競争にも負けてしまいます。システムの「トータルパッケージ」の提示ができないからです。

今年の6月末にもSingapore International Water Week も大々的に計画、発信され、水事業システムの新興成長国への売り込み計画にもぬかりありません。

日本の水処理技術には定評があり、「水の技術は日本」などと最近まで認識されていたようですが、これはいつのことでしょうか?これも所詮は海水の脱塩膜処理など、所詮は水システム全体を事業として見れば、5%程度以下の部分としての部品の性能と品質なのです。

携帯電話、原子力発電、ソーラーパネルなど数多くの例と同じように、水もまたまた「ガラパゴス部品屋さん」 (資料1) として下請けになって活動していくつもりなのでしょうか?

ガーナから-3

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10日は、まずAccra郊外にあるAchimota病院 (写真)へ。ここは英国植民地時代1927年設立、Ghanaの超名門Achimota学校の広い敷地内にあります。この学校の校章にあるように高い理想と、この時代に英国人もアフリカ人も一緒、男女共学という革新的な思想でできていて、多くの人材を輩出しています。病院もこの学校付属の診療所だったそうです。独立後の3人のガーナ大統領を含めて多くのアフリカのリーダーを育てています。どの時代でも大きく将来を見据えた人材育成こそがいつの時代でも、最も重要であることを思い起こさせます。

ところで、やはり英国ですね。この敷地内にGolf Courseを作ります。名門Achimota Golf Clubです。英米の名門校にもよく見られます。

院長先生をはじめ(医師は4人とか)、多くの看護師さんが活躍。Computerは診療所全体で1つとか。手術などは市内の大きな病院に移送するとか。毎日、妊婦さんが200人ほど受診するとか。訪問したときに1人赤ちゃんが生まれました。Dr Greenwood, Wereさんもご一緒しましたが、Wereさんは大もてです。Africaのヒロインですから。

そこから日本が設立した「Noguchi Memorial Institute for Medical Research」(このサイトのトップに私たちの訪問の写真が出ています)。これは近郊のLegonにある広大なUniversity of Ghana (資料) のなかにあります。東京大学、医科歯科大学から先生がHIV/AIDS、H1N1などの研究にも参加しています。頼もしい限りです。研究所の見学、討論などとても活発で、楽しかったです。

昼食時に空を見上げると、なんと頭の真上にある太陽の周りを丸く囲んだ「虹 Circle Rainbow;
暈(かさ)Halo」(写真)が出ていました。

ここに別れを告げて、次は82年前に野口英世が研究していた研究室へ。皇太子殿下も訪問されたばかりです。University of Ghanaキャンパスとは別にAccra市内にある大学病院敷地の一部にあります。1993年にここをご訪問された高円宮殿下、妃殿下のご記帳があります。今から80年前は、ここはどんなところだったでしょうね。でも、野口博士からNew York Cityの野口夫人への電報も展示されています。これが現在でも「鎖国の日本」の例として私が指摘している「Western Union」 です。もちろん今回の旅でもGhana、Botswanaでも町の中で「Western Union」を見かけます。日本ほか世界の4カ国にだけにこのサービスがないのです。実に異常です。

夕方に片上大使にお招きを受け、大使館で夕食をいただきました。大使館の庭も広くとても素敵でした。この日はそれほど暑くなく、快適でした。食後酒にはご当地の名物「Takai」。Tia Mariaのような味、おいしいので、つい飲み過ぎそう。

ところで、Ghanaはココア生産で有名、主要産業です。最近Off Shoreに石油も見つかりました、日本で有名なチョコレート「Ghana」ですが、ご当地のチョコレートはこの暑さでも溶けないということです。私たちの味覚には合わないそうですが。

夜に飛行場へ、London経由で故国の途に。2晩が機内泊で2月23日に出発した18日の旅を終えます。

ガーナ、アクラから-2: 野口英世アフリカ賞シンポジウム

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3月9日は、1日「Hideyo Noguchi Afriza Prize Symposium」です。会場もこのHotel内の会議場です。

今回の訪問は、このサイトでも何回か報告しましたが、2年前に始まった日本政府の主催する唯一の賞、「野口英世アフリカ賞 資料1)シンポジウム」委員長としてきたのです。皇太子殿下もご臨席です。Sub-Saharaへは初めてのことですが、うれしいことです。第1回の受賞者のDrs Greenwoodさん、Wereさんも参加。

私の開会の挨拶、Ghanaの副大統領John Mahamaさん、そして皇太子殿下のお言葉です。その後、Drs Greenwood、Wereさんの講演と続きます。ここで、皇太子殿下と副大統領はご退席。

午後は活発なパネル、最後にWereさんの主催するUZIMA財団の若者たちが作った「野口英世ものがたり」の「紙芝居」で2人の若者がせりふをつけ、最後にこの2人が詩を朗読する、という感動的な終わり方でした。この最後のセッションをぜひ撮影してUZIMAのホームページに掲載してくれるようWereさんにお願いしました。できたときには「リンク」しましょう。

夕方に皇太子殿下が再度お見えになり、まず演者、パネリスト等に謁見、その後、皆さん参加のレセプションでした。パネリスト日本財団の笹川会長のblog、3月9日分も見てください。

皇太子殿下には、本当にハードスケジュールで大変です。これからの旅先のお疲れが少ないことを願っています。

今回の訪問についてGhanaでも、日本でもいくつかテレビ、新聞、On-lineなどで報道されています。ほかにもあるでしょうが、以下にいくつか紹介します。

Ghana news coverage;
http://www.graphicghana.com/news/page.php?news=6722
http://www.graphicghana.com/news/page.php?news=6705
http://mobile.ghanaweb.com/wap/article.php?ID=176510
http://mobile.ghanaweb.com/wap/article.php?ID=178171
http://www.afriquejet.com/news/africa-news/japanese-crown-prince-urges-int%27l-effort-against-infectious-diseases-2010031045535.html                                          http://www.breitbart.com/article.php?id=D9EB5MCG0&show_article=1

日本:
<Japan Times Online>
http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/nn20100311a7.html?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+japantimes+%28The+Japan+Times%3A+All+Stories%29
<皇室ニュース> http://worldtimes.co.jp/today/photonews/100310/100310-1.html
<日刊スポーツ>
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20100310-604410.html
<山陰中央新聞>
http://www.sanin-chuo.co.jp/newspack/modules/news/article.php?storyid=1030617011
<47 News> http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010030901000989.html