RedHerring、そしてSteve Jobs

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RedHerringの名前を知っていますか?

シリコンバレーでは有名なメディアです。これが、今回初めてなのだそうですが、日本のそれも京都で、7月22日~24日の2日間、カンファレンスを開催したのです。ベンチャー起業家とベンチャー投資家たちが集まりました。私は「イノベーション」というテーマで講演をという依頼があって参加しました。プログラムや、講演者、パネルの内容の一部はRedHerring Japan 2007のサイトで見られます。私としてはこのよう集まりで話をするのが初めてなので、どんな人たちが来るのかということもあって、1日目から出かけました。元KDDIの千本さんや(6月にSt. Petersburgでお会いしました)、元ソニーの出井さん(4月にCamargueからでも紹介しました)は存じ上げているのですが、せっかく話をさせてもらうのですから、第一にどんな方たちに話すのかを知っておくことは、こちらとしては大事なことですから。

参加者は150人ほどでしょうか。半分は日本人、残りはいろいろでしたが、みな若い。日本人の70%はシリコンバレー組。外国人の半分は日本をベースにした人たちで、韓国などからのシリコンバレー組も多かったです。ほとんどがICT関係のベンチャーで、バイオ関係者は少なかったです。

SwedenのFredrick Harenさんは“Creativity, Innovation”といったテーマで、実にユニークな、インパクトのある話をされました(ある意味でとんでもない人と思われているかもしれませんね)。「New Ideas」という本を出版したとか紹介されていましたが、後ですっかり意気投合してしまい、この本を少々持ってきたので差し上げますね、とかでもらってきました。私も「変な」人とはすぐ気があってしまいます。根がDon Qixote同士なのでしょうかね?変な話ですが。

そんな調子ですから、皆さんの話を聞きながらスライドをとっかえひっかえ。最終的には先日のGIES2000、そして6月のWorkshopでのJorgenson教授のスライドの一部を使ってお話しました。これはJorgenson教授の最近の著書、「Productivity: Information Technology And the American Growth Resurgence」(MIT Press, 2005)にも出ている資料を更に新しくしているものです。この本は2000年のIT バブル崩壊後の米国の産業成長とIT関係企業の成長を知るのに絶好の本です。皆さんも、産業界の方も、政策の方も、大学人もしっかり読んでください。このような本が大学から次々と出てくるところにも米国の力を見て取ることができます。私の講演の最後は、Appleを創業したSteve Jobsの2005年のStanford大学卒業式での講演からのメッセージで締めくくりました。以下のようなものです。

1) you can’t connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. You have to trust in something…
2) You’ve got to find what you love. Don’t settle.
3) Death is Life’s change agent.
4) STAY HUNGRY, STAY FOOLISH!

これらの意味を理解するには、上に掲載したサイトで彼の講演をしっかり読むことです。感じ取ってください。メッセージがすばらしいと感じました。こんな講演を卒業式で聞けるなんて、うらやましい。ところで、今年のHarvardの卒業式ではBill Gatesがスピーチをしていますが、これも心を動かす内容です。彼らの実体験から出る言葉は、何にもまして強いです。

私が講演をこのスライドで締めくくったので、司会をしていたRedHerringの社長 Alex Vieuxがすっかり喜んでくださり、彼なりの話を付け加えてくれました。嬉しかったです。

ここの参加者は私が普段お会いする日本のビジネスマンとは違っているのは明らかで、仕事を楽しみ、若く、活発で、どんどん発言し、めげず、英語で上手下手も関係なくしゃべる、という典型的な日本人には当てはまらず、なかなかよかったです。

石倉洋子さんのお友達の岡島悦子さんとか、いろんな方にも会えてよかったです。パーティーなど、その辺の状況はhttp://v.japan.cnet.com/beatproject/blog/story/0,2000071498,000241c-0000019673o,00.htmで見ることができます(なんと私の写真もありました)。

天城学長会議から

毎年7月の終わりに、伊豆の天城で大学学長会議が開催されています。

今回は担当幹事の東海大学高野学長、東京工業大学相沢学長のお招きで、1日目の午後の基調講演に参りました。2日目の朝の基調講演は、JR東海の葛西会長がされるそうです。一般的には、私たち二人は意見がかなり対立していると思われているかもしれませんが、面白い組み合わせと思います。実は葛西さんとは個人レベルでのお付き合いもあって、二人ともどちらかといえば「歯に衣を着せない」ほうですし、歴史観も、哲学も明晰で(とにかく沢山の本を読んでおられる)、気骨のある方として意気投合しています。ですから、葛西さんたちの音頭とりで始まった「海陽学園」という6年一貫、全寮制の男子校の応援もしているのです。人材育成は国家の根幹ですからね。

しかし、この学長会議の最近5~6年の議事録や基調講演などを見てみると、問題点の認識と、課題はすべて議論されつくしていると思いました。最近の大学の状況、社会の変容、グローバル時代の世界の大学をめぐる大きな流れの変わり様、具体的な動きなどについてお話しましたが、私の主張はこのブログを読んでいただいている方にはおなじみのことと思います。

問題は、それぞれの大学で学長という立場の人がどんな決断をして、それを実行するかにかかっているのです、と申し上げました。皆さん問題は十分に分かっておられるのですから、どのようにして自分の信念を実現していくかにかかっていると思います。もちろん難しいがあることも十分に理解しています。それでも、実践していくこと、これこそがリーダー、責任者に求められていることではないでしょうか。学長という立場は評論家でいられるはずがありません。

学長の先生方にはこのことを理解してもらった上で、この会議が終わるまでに一人一人が今年中にやることを紙に書いて約束し、来年のこの会議でどこまで実行できたかを検証することをお勧めしました。そうでもしないと、いつまでたっても前進しませんからね。将来を担う若者たち、学生さんがかわいそうだと思いませんか。

学長先生方、ご苦労様です。でも仕方ないですね、これがお仕事ですから。

講演録はこちら

新健康フロンティア戦略

先日紹介しました「医療白書 2007年度版 医療崩壊から、再生への“新しき潮流”-日本の医療を救う国民の選択」から、私が書いた部分を一部見られるようにしました。下記よりPDFをダウンロードしてみてください。

 第2章 健康国家の将来像を提示する「新健康フロンティア戦略」

『医療白書 2007年度版』が出版されました。

「医療白書」は私が代表理事を務める日本医療政策機構が編集して、毎年出版している本です。

2007年度版では、医師不足、看護師不足といった加速する「医療崩壊」の問題から、医療財政と医療費(診療報酬改定)、がんと生活習慣病対策、動き出す地域医療など、日本の医療の“今”を読み解くテーマ・課題を検証しています。

国民は医療従事者や医療制度改革に対して何を求めているのか、医療従事者自身は医療に何を求めているのか、その問題解決の選択肢としては何があるのか??政権・与野党トップをはじめ、キーパーソン、有識者による提言、現場からの実践例を通して、皆さんが医療を自分自身の問題として真剣に考えるための材料となればと願っています。

 

『医療白書 2007年度版』
医療崩壊から、再生への“新しき潮流”-日本の医療を救う国民の選択

Iryohakusyo2007

 

編集:日本医療政策機構
発行:日本医療企画
体裁:B5判・並製、本文352ページ・2色刷
定価:4,800円(本体4,571円+税5%)
発売日:7月16日
ISBNコード:978-4-89041-769-8

 

【主な内容】
第1部 2006-07年度 日本の医療における問題点と新しき潮流〈5つの主張〉
第2部 医療政策に関する2007年世論調査
第3部 トップが語る、医療政策の課題
2007年度の最重要医療政策/主要政党 政策部会長・厚生労働部会長インタビュー
第4部 2007年度 日本の医療の「論点」
医療財政と医療費(診療報酬改定)/医療提供体制の整備
医療人材の確保・育成/がんと生活習慣病対策
第5部 動き出す地域医療
地域の時代と医療政策/ケーススタディ??地域医療の3タイプ
都道府県・医療指標別ランキング
第6部 〈資料〉日本の医療2007年の情報源
医療政策のための基礎データ/医療関連情報を知るための主な機関の連絡先
医療関連学会その他の日程/医療改革カレンダー2007-08年