南フランス プロヴァンス、カマルグから

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Singaporeから帰国したのは22日の日曜日の朝でしたが、午後には私達のNPO、Health Policy Instituteが主催する心臓病についての会議が国連大学講堂で開催され、私も参加しました。このNPOの活動もどんどん広がっているようで嬉しいです。これからの日本の社会のあり方を示す、一つの活動だと思います。

23日は朝早くから官邸で「大学改革」についての「教育再生会議」に参加。それからすぐにイノベーション25会議と盛りだくさんの一日でした。夕方には、科学技術振興機構主催の各国大使館科学アタッシェもお招きした会議でイノベーションについて講演し(沖村理事長も来ておられました)、その後すぐに成田に向かいました。私がよく利用するAir France成田21:55発のパリ行便です。この便はヨーロッパのどこに行くにもとても便利で、朝4:30にパリCDG着なので、午前中にはヨーロッパの主要都市に着くことができるのです。東京で一日仕事をしてからの出発ですし、12~13時間のゆっくりしたフライトがとても楽なのです。

フライト中に2本映画を見ました。新007の「Casino Royale」、そして「Dreamgirls」(Diana RossとSupremesがモデルですね。70年代に青春を過ごされた方たちには懐かしい名前と思います)です。それから、機内で元SONY社長の出井伸之さんや日産のゴーン社長の奥様にお会いしました。

出井さんは面白いことを始めましたね。「Quantum Leap」というコンサルティング会社です。 2006年12月に発売された出井さんの本、「迷いと決断:ソニーと格闘した10年の記録」(新潮新書2006)を読むとわかりますが、グローバル企業のトップは特に大変な仕事です。

今回の目的はSONYのComputer Science Laboratory(CSL)が主催する会議に参加することで、会議は南フランスのプロヴァンス、ローヌ川河口の湿地帯にあるCamargueで開催されます。CSLの所眞理雄所長も同じフライトで、現地パリのCSL所長Steelsさん、東京の吉田さんと北森さんたちと合流し、TGVで快適な旅をし、3時間ほどの車中ではワインでランチをしました。フランスは平らで広々と一面の緑と菜の花の黄色が広がり、天気は快晴でとてもいい気分です。

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写真1: シャルルドゴール空港のTGV駅で、左から所さん、北森さん、私

Camargueはローヌ川河口の湿原にあり、塩の産地でも有名です(写真2)。さらに、ダヴィンチコードのマグダラのアリアの従者であったとされる「黒サラ(サラ・カリ)」を祭る教会のある、Saintes-Maries de la Merが海辺にあります(写真3)。50年ほど前に「Crin Blanc」(「白いたてがみ」という意味ですが、邦題は「白い馬」でしたでしょうか・・・)というフランス映画があったのを思い出しました。Camargueの名物の白いたてがみの白馬と少年の物語で、白いたてがみの白馬が海を走る美しい最後のシーンが目に浮かびます。ここかしこに白馬がいて、乗馬なども楽しめるようになっています。

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写真2: 積み上げられた大量の塩の丘

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写真3: 教会の屋根で

今回は小さな会議(全員で15人程度)で、テーマは「持続可能な社会」でした。場所はHotel Mas de la Fouque (写真4)で開催され、なかなか魅力的なところでした。会議の内容もなかなか面白いもので、特にコンゴに3年も滞在して(すごいことに奥さんと3歳の息子も連れて)、未開の現地人と生活をしたLondon School of Economicsの話は、想像を超えていてとても面白かったです。自然の中に住む人間の知恵の深さを感じさせるような話でした。こんな研究をするなんてすごいですね。なぜ、コンゴなのか。ちゃんと理由があるのです。とにかく人がしない、したことのないテーマを追求することを求められるのだそうです。さすが、英国の強さだと感じました。

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写真4: ホテルの周りの風景

夜からはいつも仲良くしている北野さんも参加し、大いに盛り上がりました。

2日目の会議でも議論は尽きず、ヨーロッパの省エネ住宅(例えば、Passive-On Project)など、大変参考になるものばかりでした。