韓国に学ぼう? いいことですね

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前回でも触れましたが、韓国に学ぼうという社説が日経に出たそうです。結構なことです。原子力、サムソン、現代自動車、Vancouver Olympicと、このところ立て続けにまともにパンチを浴びていますからね。

日本でも、私が時に触れるJBPressなどのネットニュース。これが結構「イケル」のです。そこに出ているのが、JBPress、野口 透さんのサムソンの「ヴァンクーヴァー五輪、真の勝者はサムソンだった; 半導体や液晶だけでない長期事業育成策がここにも」です。

日本の新聞も大丈夫でしょうか?時代の流れの方向は確実ですけどね。発行部数を競争したり、いまだに「記者クラブ制度」にこだわったりとはね。

一方で韓国での報道もあります。

中央日報が、その日本語ネット版で、「日本はいま“快速コリア”研究中」 という記事を掲載、日本経済新聞の社説に触れ、さらに私が前回触れた日経ビジネスの特集を紹介、私のコメントも入れ込んでいます。私の取材は私が滞在中のパリまでの電話でした。

「環境後進国ニッポン」、ついに明らかに?

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日経ビジネス3月1日号の特集を見ましたか?(ネットでは有料のみで見れるようですが、なぜでしょうか)。

はじめには「今週の焦点」で、経済同友会代表幹事、リコーの桜井正光会長。いつも財界のうち向きさ加減に鋭い異論を唱えていましたが、この特集との組み合わせは編集者の意図があるのでしょう。よい選択です。

特集は22-39ページ。タイトルは、ずばり「環境後進国ニッポン」です。世界の動きについていけない、内向きの「技術過信」日本の産業界。特に大企業は会社内の理屈ばかりで、グローバルな世界の動向を「実感」として知らない、議論すると「できない理由」ばかりをいう。

環境技術、日本は世界一、とずいぶん言われていましたね。省エネルギー、水処理、電池等々、でも世界の市場ではどうでしょうか?

技術が進んでいても「グローバルの横への展開」思考と、その「ノウハウ」がわからない。「ガラパゴス」 (資料1)、といわれてもなかなか新しい展開ができない。世界の人脈が薄い、英語もだめ、過去の「成功」にとらわれている精神的鎖国の上層部、責任者に運営される大企業群。国内事業で満足していた「ツケ」ですね。そこへ入社したい若者たちの10-20年後の将来は?そこでの中間管理職をはじめとする「人材」を見ることでしょうか。

具体例もいろいろ、大きく「こと」を見れない、「ものがたり」 を構想し、語れないのでは、いくら技術があっても、宝の持ち腐れです。

これは電気製品ばかりでないのは明白でしたが、なぜか国内の抵抗勢力の力が大きく、また横並び企業が多くて大転換できないでズルズルここまで来たのでしょう。

少々明かりが見えてはいますが、規模が小さい、スピード感に欠ける、何度も指摘されているとこところです。いつまで「単線路線」の従来型のキャリアパスが邪魔なのです。

このように、紙面、報道、ニュースなどなど、しっかり、繰り返し、国民へのメッセージの発信が大事です。それこそがメデイアの役割、そこでこそ政策の施行が可能になるのです。もう「黒船は来ない」 (資料1) のです。

今年1月に何報か報告した韓国の原子力 、さらに産業界ではサムソンをはじめとする、LG、現代、ポスコなどの躍進、最近ではVancouverでの韓国選手の活躍、そこへのトヨタの問題です。

ニッポンがんばれ。ニッポン企業がんばれ。大学も

人材、人財の育成、教育こそが国の根幹です。どんな教育なのか、これは別のことですが。

中国ばかりでなく、韓国にも学ぼうという素直な機運は結構なことです。何事にも謙虚であることは、昔からの知恵であり、教えです。

トヨタ問題はトヨタ固有のものか?

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トヨタ車リコール問題は1月終わりから急激に広がりました。この問題はトヨタという日本を代表する、そして日本が世界に誇る、世界から高く信頼されている企業だからこそ、トヨタにとっても日本にとってもとても深刻な問題です。

トヨタ問題については、このカラムで2度も触れていますので資料1)、この辺で発言を控えておきたいところです。基本的には、従来型日本の「常識」を反映した「タテ社会」、「男社会」、「年功序列」、「横に動きにくい」、「終身雇用と大きな退職金」、「ものづくり信仰」などなどを背景にした日本大企業の課題が根底にあるのです。

この点について、Economist誌がその最新版で指摘 (資料)しています。フラット化するグロ-バル社会へ日本の対応の共通課題であり、私も繰り返し指摘していることですが。

トヨタばかりでなく、ほかの大企業もここに指摘される同じ問題を抱えています。

産業界も大変革のときです、がんばってください。政治にも大きな課題がありますが、産業界にも思い切った改革が必要です。「失われた30年」の始まりになるかもしれません。時間はあまりないと思います。

トヨタの問題と苦悩: 外から見る目、外を感じるこころ

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リコール宣言になりましたが、トヨタ問題はしばらく続きそうな気配です。米国でもニュースの扱いは大きいですし、豊田社長も近々にも渡米予定と報道されています。米国議会でもヒアリングの動き、議員の動き、報道や論説等々、日本の報道ばかりでなく、ネット時代はだれでもできることですが、海外の報道はたくさんあります。「Google」すればいいのです。これらを多面的にフォローしていることは大事です。特にこのような日本を代表する企業、しかも今回は海外での問題が大きいのですからね。日本での報道ばかり頼っているのではいけません。特にウェブ時代のメデイア、インターネットでも情報、ネット新聞、雑誌などいいものがいくつもあります。

世界のビジネス関係者に一番読まれているのは、新聞ではFinancial Times (42万ほどの発行部数、日本のメジャー新聞とは桁違いに少ない発行部数ですが世界的インパクトは日本の新聞と比べて段違いです)、週刊誌ではThe Economist ではないか、と私は思うのですが、いかがなものでしょう。記事も世界をカバーし、米国よりでもないし、英国にも辛らつですし、記者の書きぶりもうまいし、客観性が高いと思います。これが英国流かも知れませんが、タイミングのよい、的を得た記事が多く、対象の見方もなるほどと思わせる「プロの仕事」が多いのです。私はこの2誌は好きで「Kindle」に入れています。

英語をあまり読まない人たちには、 「JBPress」というOn-line Pressで一部を読むことができます。私はThe Economist 2009年12月10日号「Toyota Slips Up」「Toyota Losing Its Shine」 で豊田章男さんがJim Collinsの「How the Mighty Falls」を読んで、「トヨタは結構まずいところまできている」と認識しましたとあり、ちょっと気になっていました。The Economistのこの記事の日本語訳主要部分はJBPressに出ています。

The Financial Timesにも最近いくつかのToyota記事が出ていますが、これもJBPress でいくつかも日本語訳(「自らの名声失墜を招いたトヨタ」「よろめくトヨタの御曹司」 、「顧客対応でミソつけたトヨタ、不発に終わるダメージコントロール」「トヨタを脅かす安全性の危機;世界シェアの拡大にひた走った代償」など)を読むことができます。これらの2誌はビジネス関係者には必須でしょう。

ところで技術のトヨタがどうしたのか。電気自動車のブレーキ、アクセルなどについて、米国から発信している冷泉さんがわかりやすく説明しています。これは村上龍さんのウェブメデイアです。これを見ると、「なるほど」とよくわかるところがあります。従来とは電気制御ではメカニズムがブレーキもアクセルも大きく違うのですね。しかし、車の運転する人にとってそんなことは関係ないのです。特にブレーキとアクセルは車の運転では一番大事で、車の運転している人も、乗っている人も、ぶつけられた人も命にかかわる事故に直結するところですから。技術の先端と、製品の市場価値、お客さん、社会への対応を、戦略的に考えておかないといけないのです。

つまり技術だけではない、客を向いた、車の、ドライビングの「ものがたり」を語れるか、ここが大事です。特にアクセル、ブレーキといった人命にかかわるところの管理は最重要です。

Toyotaの記者会見も、前回から繰り返しますが、実にまずいです。どんな会見が社会から好意的に受け入れられるか。これもプロの仕事師チームが必要です。Toyotaの皆さん、がんばってください。

なんかヘンではないか、トヨタの対応

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トヨタの車は製品の品質による世界的知名度、市場規模からも、まさに日本を代表する大企業です。高品質、ハイブリッドの開発などで高い評価です。しかし、ここに来てヘンですね。

まず米国でトヨタの車にアクセル、さらにプリウスのブレーキなどの繰り返す事故、リコールへ発展しました。技術的な欠陥によるものらしいのですが、技術の日本、品質の日本だったのですし、この代表がトヨタということだったのですから、これは大変なことです。しかも、米国政府からのきつい言葉もありました。これも問題ですが、トヨタの対応がヘンだと思いませんか。

海外での報道の扱いは大きいようですが、それに比べると日本ではちょっと小さ過ぎるように思います。日本産業の信用の根幹を揺るがす問題ですから、新聞なども扱いにくいのでしょうか。日本の方たちにももっともっとこの問題について考えてほしいとこころです。

この問題は米国では2007年からのことですし欧州でも2年ほど前からこの問題は認識されていた、ということです。

最近、日本でも担当役員による記者会見がありました。テレビですから、前後の言葉は聞けませんが、ブレーキに関しては「お客様のブレーキに関する感覚が、、」と言ったので、私は「これはとてもまずい」、「言い訳」会見としか思えませんでした。まったくズレています。その後、2月5日には豊田章男社長が記者会見(社長の英語はよかったのですが、「本物のプロ」 -社内にはいないと思います- による原稿作成、指導が必要でした)をしました。どれもこれも後手、後手、しかもコメントが「受身、言い訳、お客様の感覚」等などなのです。これは、リスク対応では最悪と思います。

最近のことではないでしょうが、現場でも、社内でもあまりオープンにものが言えない雰囲気が醸成されてきていたのでしょうか。トヨタは「カイゼン」、「現場から」、「みんなが問題を洗い出し、解決策を見つける」、これが企業文化といううたい文句だったわけですから。

「事故」、「事件」のあったときの対応こそ、後になればなるほど、ダメージは大きくなります。「透明性、客観性、スピード、お客(被害者)志向」、これらはリスク対応の基本ですが、どうなっているのでしょう。

とてもとても心配です。

「東大までの人」と「東大からの人」

人材育成こそが国家の根幹 であることは、このカラムでも繰り返し書いているところでです。グローバル時代に大変化を始めている時代への人材育成には従来とはまた違った要素が必要です。

大学教育については小林久志Princeton大学名誉教授も憂慮されており、最近も小林さんのblog記事を紹介したばかりです。小林さんの意見は、今の日本、皆さんが感じている「衰えていく日本」の根本問題について正鵠をえていると思います。特に大学人、大学関係者、文部科学省関係者には小林さんの資料などにも、よく目を通してほしいものです。

2月6日号の「週刊現代」にも「「東大までの人」と「東大からの人」」PDF)という特集記事が「理系、文系」と分けて書かれています。私のコメントも引用されて(On-lineでは3ページ目、pdfでは4ページ目)いますが、皆さんのお考えはいかがでしょうか。「トップ」はどこでも、いつでも社会の目標、標的ですから。それだけ社会への責任が大きいということです。仕方ないですね。

理系ではUniversity of California at Berkeleyから東大で活躍する村山さんが取り上げられています。

すぐれた若者の才能をノビノビと伸ばす、世界に広く、物理的にも、精神的にも開かれた、闊達でオープンな大学、学会の環境づくりが大事です。

大学も、企業も、組織も、横に動けない「タテ」の社会構造は「フラット」な世界には基本的に適さなくなっているのです。

大きな可能性ある若者たちをどのような人材、人財に育てるか、これがグローバル時代の大きな課題 です。内向きの偏差値人間ばかりでは困るのです。どう育てるか、どのような人たちに育ってほしいのか、これこそが大事なのです。大学の教育への使命は重要です。研究も当然ですがこれも、将来の人材育成の大きな計画の一部です。

ダボスから-3

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ダボス3日目の29日は、午前は何人かのVIPと個別に面談、午後は2時間の長丁場「Prepared for a Pandemic?」、感染症などの専門家のほかに企業、保険会社などの方も参加したセッションの「Discussion Leader」 の1人として参加しました。去年の春からのH1V1に何が学べるか、政府の役割、企業の準備は、などなどリスク、保険、損失、社員と家族、経済へのインパクト等々、実に多面な議論になり、とても勉強になりました。企業も実に周到に考え、予防策を考えているものだ、と感心しました。この辺が、違う分野の一流の人たちとの議論がとても勉強になり、また楽しいところです。

Bill Gatesさんとばったり出会いましたので、2008年のJakartaの話などちょっと。夕方のメイン会場で「Business Leadership」  、Obama政権の経済諮問会議議長のLawrence Summersの「The US Economic Outlook」、司会のCharlie Roseの柔らかですが、タイミングのよい核心をつく質問はすばらしかったですし、またSummersの対応も見事なものでした。このあたりはウェブで見てください。

夜はまずHarvard大学のレセプションへちょっと顔を出し、Drew Gilpin Faust学長 (資料1)(女性の学長です、知っていますね?)と。今年3月に日本にもこられるとか。夜半すぎに仙石大臣ほか2人の大臣が到着される予定もあり、竹中平蔵さん、朝日新聞の船橋洋一さんたち数人で、久しぶりに中華料理レストランでわが国の政権について話す機会をもてました。となりました。ホテルに帰るとロビーでGrameen BankのYunusさんとばったり。去年と同じですね。去年、そしてすでに今年の1月初めにもバングラデッシュに出かけている日本の学生たち (資料) のことをお話しました。彼らも現地でYunusさんと何回かお会いしています。特に今年の新年の訪問では一橋大学の米倉誠一郎先生 (資料1) も学生と一緒に現地に行かれました。教育者はかくあるべしというようなすばらしい先生です。米倉さんのイノベーター(=Entrepreneur「出る杭」)若者支援、実行力には頭が下がります。

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写真1‐3; 「Toward an East Asia Community?」パネル。

翌朝30日、ホテルをチェックアウトして会場へ「Toward an East Asia Community?」、直嶋経済産業大臣登壇、司会はSingaporeのLee Kuan Yew Business School学部長、Kishore Mahbubaniさん (資料1)。私は前列で田坂広志さん、Lawsonの新浪社長さんたちと(写真)。

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写真4; 左から新浪さん、田坂さんと。

次いで、仙石大臣もでられる「Global Economic Outlook」 の前半だけ出席して会場を離れ、帰国の途へ、Zurich空港へ向かいました。このセッションもウェブでご覧ください。Financial Timesの名物カラムニストMartin Wolfの鋭い、しかも軽快な司会というところです。午後は、NHKがホストする道傳愛子さん司会のパネル「The Great Shift East in the Global Agenda」  があり、古川副大臣が登場、ウェブでも見れます。日本でも2月6日(土)、13日(土)にテレビで放映される予定です。

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写真5; 竹中さんと。

ZurichからParis経由で成田へ、機中であまり眠れず、ちょっと疲れました。なぜか日本の将来がちょっと心配になりました、私のこのサイトでも繰り返し出てくるテーマですが。30日午後のパネル「Japan in Transition」でもそんな総括だったようですね。

ダボス会議のウェブサイト はなかなか充実しています。皆さんもそれぞれの関心にしたがっていろいろ訪ねてください。ずっしりと、たくさんの情報、背景、解釈、思想などに触れることもできますし、世界へ目を開かせてくれるでしょう。

アラブ首長国、原子力発電は韓国の勝ち-その4

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今年1月に入ってこの報告シリーズを3回出しました。この背景と、これからの成長産業「クリーンエネルギー」を日本がどのように推進して行くのか、大いに参考になることが多いのでわざわざ書いているのです。

その第4報ですが、これは相手がどのような要望を提示していたのか、どのような点で韓国が評価されたのか、公開された資料、報道ですが、参考になると思います。「そんなことはこっちも知っていたよ」、「きれいごとばかりです」などといっているようでは、単なる負けたものの恨み節です。これでは、また負けますね。

この興味ある資料は英語ですが、読んでください。

謙虚に学ぶ姿勢、負けたときこそ学ぶ、勝った時こそ「勝って兜の緒を締めよ」、これが普遍的な知恵であり、大事なのです。これらの公表されたものから何を読み取るか、今までの3報に加えて何を学ぶのか、さらにどう対応するのか、情報を取るのか、人脈を作っていくのか、このあたりの日本の認識とあちらの認識のギャップをできるだけ埋める努力も大事です。UAEに限ったことではありませんが。

何しろ、UAEと石油契約の改定が2012年(UAEの石油輸出量の50%は日本向けで、これは日本の石油総輸入量の25%に相当し、従ってUAEとの関係は非常に重要)ですが、エネルギー獲得競争が激しくなるなか、競争相手はすでに、しっかりと動いているに違いありません。「油断大敵」、「おごる平家は久しからず」です。国民のためにも、関係者諸氏、しっかりお願いします。

「ものづくり」と、相手を知った「ものがたり」の違い

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日本の「強さ」は何か。多くの方々が「ものづくり」、「技術」、「匠の技」などといいます。しかし、それだけでは需要を創る、顧客の心をつかみ財布の紐を緩める、新しい市場の開拓には不十分 です。これがグロ―バル時代の「新しい社会的価値の創造」、すなわち「イノベーション」なのです。このサイトでも繰り返し出てくるテーマ です。

さらに、これらの「ものづくり」、「技術」の強さは、アジアの成長がするなかで、アジアの人たちなかなかできない、できにくいことだとも思えません。

では、日本の「弱さ」はなにか?

特に「日米欧」からグローバル市場経済になったこの20年、グローバル世界への大変換です。そこで着眼、大きなビジョン、構想力、戦略と交渉、行動ができるのでしょうか。

相手を知り、顧客へ「ものがたり」を伝える力です。 顧客のニーズを知り、相手を知り、相手の立場で感じ取る力 (Ref.1)。

成長するグローバル社会で欧米諸国、アジア、ラテンアメリカ諸国などと比べて、日本の組織、その「リーダー」達の戦略と決断と実行のスピードはどうでしょうか?この辺が、今の日本の「弱さ」であることを認識し、しっかりコラボレーションのパートナーと組んで、目標へ、スピードをもって進むべきなのです。

1月8日の朝日新聞、朝刊の1面と3面に「日本のすぐれた技術とその課題」がくっきりと取り上げられ、3面には、左下に私のコメントの囲み記事も出ています。私のコメントは、このサイトでも以前から繰り返し指摘していることですが、このように大新聞にキチンと取り上げられるとうれしいです。一時的ではありますが、私のサイトとは、広がる範囲か桁違いに大きいですから。

アラブ首長国United Arab Emiratesの原子力発電は韓国の勝ち-その3

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第1,2報に続いて、いろいろ世界に話題になっている、韓国原子力の勝利ですが、海外、韓国、フランスの対応など、興味深いものがあります。

ところで、前回の2報の記事にあるアブダビの担当責任者「ムハマド王子」 とは「ムハンマド皇太子」、私もお会いしたことがありますが、話をお聞きしていて、とても聡明で思慮深い方であることは歴然です。このムハンマド皇太子が第2報の「#1」にも出てくる「向こうのトップ」ですね。

いつもながらのことですが、The Economist、また韓国の中央日報(日本語版)にもいくつかの動きが読めますし、世界トップであるフランスのショックはいかばかりか、報道 「France24」の「UAE nuclear deal: a French flop?」、さらには、今回の反省に立って、すでに 次の戦略を始めています。

朝鮮日報では、前回の報道にさらに続けて以下のような生々しい経過を伝えてくれます。見出しを抜き出しました。日本にとって参考になることが実に多いと思います。(Chosun Onlineの記事は1週間で見れなくなりますので、本文を資料として引用させて頂だき、ご紹介します)

原発輸出:逆転に次ぐ逆転、交渉の舞台裏(上)
原発輸出:逆転に次ぐ逆転、交渉の舞台裏(下)

原発輸出:UAEの次狙え、海外原発市場開拓で総力戦(上)
原発輸出:UAEの次狙え、海外原発市場開拓で総力戦(下)

原発輸出:「今回の受注でUAEと70年の兄弟に」
原発輸出:「韓国人特有の“やってみよう”精神に感銘」

第1,2報でも書きましたが、では、日本の対応はどうなのでしょうか?この3報で紹介した内容などをよく読んで、自分たちと比べ、考える。何事にも勝ち負けはあるのですから、謙虚に学ぶことが、次への第1歩です。

「トーナメント戦で優勝」(基本的には失敗しない人が上がってきた)した人と、「リーグで優勝」(負けから学びながら強くなった人が上がってきた)した人が組織の上に立つ違い(冨山和彦著の「指一本の執念が勝負を決める」 、「会社は頭から腐る」など(資料1))、こういう場面で出てくる、効いてくるのだ、と思います。若いときに本当の修羅場の経験がない人には、負けたときこそ学ぶ、成長するチャンスと考える、というベンチャー精神、アントレプレナー精神「出る杭」資料1)的な価値観がないのです。

バブル崩壊以後の20年間成長しなかった、「失われた20年」の日本にとって、2010年は正念場です。