ワタミの渡邉美樹社長、教育、そして農業特区

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「和民」の社長の渡邉美樹さんは、すばらしい情熱と夢を実現していく熱血漢、起業家、経営者です。いくつもの本も出版されているので、amazonで調べてください。教育を大事に考えておられて、日本ではいうまでもないのですが、カンボジア(最近ではネパールも)でも多くの子供の教育支援など、ご自分でできる活動をどんどん展開しています。本当に立派なことです。

原油の値段が上がり(今は、一時的にちょっと落ち着いていますが・・・さて、いずれはどこまで?)、ただでさえ世界的に食料が不足していて(さらに気候変動、水不足などで、悪化する様相)、現在でも毎年数百万の人たちが飢え死にしている現状(「2C+3F」:-Climate Change and Fuel, Food, Feed-ともいわれますが・・・) は決してよくなるとはいえないのです。日本の農業技術はすばらしいのですから、長期的は視点でこれを成長産業に育成すべきと考えています。いくつもの世界的なブランドもできるでしょう。もちろん、食料の自給率も向上します。さらに、食用以外の部分で再生可能エネルギー源としても大きな可能性があり、研究開発は世界的な競争になっています。

私も機会を捉えて発言しています。今年5月には加藤紘一さんが座長で、茂木幹事長、さらに農林水産大臣もされた谷津議員も出席された自民党の委員会でも、農業政策について話す機会がありました。

渡邉さんは農業特区(実は使いにくいのです、なぜでしょうか)も使っておられるので話しを伺いたいと思っていたところ、渡邉さんが機会を作って下さり、1ページほどに短縮した対談も出ることになっています。対談の様子の一部は、渡邉さんのBlogにも出ています。

 「農業の今、そして未来」  (「ecocolo」 10月20日掲載)

Ferrari Californiaのお披露目

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イタリア大使館でFerrari Californiaのお披露目がありました。

なぜ私が?実は先日、「自動車イノベーション」でお声がけいただき、日本とイタリアの自動車の強さ、顧客を意識した「ものづくり」だけでなく、デザインなどで心をつかむ「ものがたり」の大事さについてお話ししました。Ferrariのデザインなどで著名な奥山さんが企画したのです。そこで、次の機会には、という話になったからでしょうか。

ちょうど日本でF1が開催されるタイミング。Ferrariチームのレーサー、キミ・ライコネン(フィンランド)とフェリペ・マッサ(ブラジル)も来ていました。なかなかうまいPRをするものです。

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写真 経済産業省の渡辺さんと

クランスモンタナ、スイス

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クランスモンタナはジュネーブから車で2時間ほどの谷間にある小さな美しい町です。World Knowledge Dialogue に参加するため9月10日にロンドンから来ています。この会議が開催されるのは今回で2回目で1回目は以前ご紹介したように、当地で2006年に開催されました。1月のダボス、5月のSt.Gallenに続いて今年スイスに来るのはこれで3回目になります。

この4日間の会議で私はハーバード大学のEdward O Wilson教授にお会いする機会がありました。光栄なことです。彼は現代の最も尊敬される学者の一人で、画期的で時には物議を醸した「社会生物学」(‘Sociobiology’)やピュリッツァー賞を受賞した「人間の本性について」(‘On Human Nature’), 「アリ」(‘The Ants’)などの著者でもあります。彼は陽気で立派な方で‘fairy fly’など彼の考えについて話し合い、有意義な時間を過ごすことができました。ところで、彼の講義はハーバードのwebにも掲載されています。

日本からは吉川弘之教授を含む大勢が参加し、会議に大きく貢献をすることができてよかったと思います。

プログラムの詳細は2006年のサイト(私はパネルに登場します)や2008年のサイトをご覧ください。たくさんの写真が掲載されていますのでもし私を発見したらご一報ください。

今年は初日のオープニングでDame Julia Higgins(彼女が王立協会でForeign Secretaryだった頃からの知り合いです)と共に私は登壇し、4日目の全体の議長も務めたので私のコメントや発言についてはwebcastで見ることができます。4日目というのは参加者も少なくなり、みんな疲れてきて、中には中座する人もいたりして結構大変です。従って、出来る限り全体のセッションを興味を引くようなカジュアルな形にしました。時間内に終え、割合うまくいったと思います。スケジュールよりも9分早く終わりました。ご興味の或る方はサイトとwebcastをご覧下さい。

旧知の友に会ったり、新しく交友関係を広げたり、色々な面白い人達と会い、会議を大いに楽しむことができました。とは言え、議論した通り、枠組みとして或る程度の戦略的ゴール、参加型プロセス、なんらかのアウトリーチ型配布物やアクションがまだ必要です。

ここには非常に素晴らしいゴルフコースがあり、先週までOmega European Mastersが行われていました。朝の7時から10時までで、何とか18ホールプレーすることができました。大変楽しかったです。

4日目の午後にはジュネーブに移動し、名所旧跡を訪れました。そのうちの一つが16世紀中期に町をカトリックからプロテスタントに改宗させたJohn Calvinが1559年に創立したジュネーブ大学のキャンパスでした。John Calvinとその他の3人の宗教改革記念碑も見てきました。

オープニングのスピーチで「インキュナブラ」についてコメントし、インターネットは予想していない結果を導き、世の中を変えることができる現代版インキュナブラであると言ったこともあって、この観光にはちょっと感激しました。実は、私はスピーチで、印刷された聖書というインキュナブラがグーテンベルグの15世紀中期から1501年までにあったからこそ約100年後に宗教改革が始まったと言っていたのです。私のブログ(参照:123 他)その他でもご覧の通り、このメッセージは幾つかの基調講演で私が繰り返し発信している「フラット化し、つながる世界」のテーマでもあります。

全くの偶然から、私はJohn Calvinが導いた偉大な結末の碑の前に立っていたのです。

日本女性の意欲とパワー、再び「アジア青年の家」プログラムから

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つい最近ですが、「L’Orealと女性研究者」、そして沖縄で始まった「アジア青年の家」についてブログに書きました。

「L’Orealと女性研究者」のブログでは、北京オリンピックのソフトボール、野球、サッカー、柔道、レスリングなどの活躍に、日本の男女の違いが明示的に出ているのではないか?と書きました。

「アジア青年の家」は、私も関わった「イノベーション25」の政策を一部実現した安倍総理、高市大臣の企画で、新らしく始まった素晴らしい政策だと思います。全国的に広がり、継続されるといいですね。プログラムへの資金は必ずしも公的なものだけを考えないでも、税制とかいろいろ工夫できるし、学校も、地域社会も、企業もどんどん自発的に貢献し、参加して欲しいものです。これこそが「社会イノベーション」であり、「人材イノベーション」なのです。

その「アジア青年の家」に参加したアジア太平洋大学のインドネシア留学生、Ivannantoさんが、Flickrのページで沢山の写真を載せてくれています。皆さん楽しそうですね。ありがとう。

この「アジア青年の家」の資料を調べていて気がついたのですが、海外から参加した30名は男女それぞれ15名ずつでした。日本からの参加は45名でしたが、女性が30名に男性が15名。「おや?」と思って、事務方に、国内ではどれだけ応募があったのか聞いたところ、女性の応募者数が圧倒的に多く、しかも女性のほうが結果として競争率が高かったということでした。応募要項にはある程度の適性を考えた資格に関することが書いてあるのですが、それにしても参加への積極性がずいぶん違いますね。なぜでしょう。

皆さんも考えてください。私の意見は、このブログでしばしば述べていますけど。

シンガポール、沖縄、そして若者のエネルギー

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お盆明けの20~22日はA*STARの理事会のため、Singaporeへ。場所は新しく開設されたFusionopolis(10月に開所の式典があります)、いよいよバイオを理工学分野と融合させようという意欲的な試みが始まります。理事会の開催された21日の夜は貢献者たちの表彰式が威勢よく開催され、Guest of Honorで産業担当大臣も出席されました。とにかく意欲と元気があり、研究者も事務方も、多くの若者がバリバリ活躍しています。

24日は沖縄へ。「アジア青年の家」プログラムに参加しました。私たちの提案から始まった、アジア諸国と日本(沖縄と本土)の若者(14~17歳)が80人ほどで、沖縄で3週間を一緒に過ごし、交流しようというものです。「ハイサイ日記」に楽しそうな写真と日記が満載。このプログラムの基本精神は私のメッセージにも読み取れると思います。

この日は「科学者シンポジウム」に参加しました。東北大学で脳研究をしている大隅典子さん、琉球大学理学部長でサンゴ研究で知られる土屋さん(去年は太平洋科学会議で大変にお世話になりました。いまはこの学会の事務局長もされています。)、住友化学でこのブログで何回も紹介しているOlycetNetというマラリアに有効な画期的な蚊帳の開発にかかわった石渡さん、司会は御茶ノ水大学の塩満さんで行われました。参加した学生さんたちは、皆さん元気いっぱいとても楽しそうで、うれしかったです。共通の言語は勿論、“Broken English”。

大学生も何人かお手伝いをしてくれました。大分にある立命館アジア太平洋大学の留学生たちです。若いときのこのような交流は何にも増して視野を広げ、違いを認め、広い視野と友情を育てることでしょう。参加した若者たちの10年、20年先の将来に何が出てくるのか楽しみです。わくわくします。もっともっと、各地の学校でこのような活動、夏休みの交換ホームステイなどを自発的にはじめて欲しいものです。

パネルの終了後すぐに飛行場へ向かった大隅さん、当日の夜に早速blogで発信しています。写真も、お話もうまいものです。

私は内閣府の主管する沖縄総合事務局長の福井さんと、沖縄全島「エイサーまつり」を見に行きました。特に「琉球国祭り太鼓」は素晴らしかったです(写真)。その後は夕食へお招き受けました。

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皆さんありがとう、お世話になりました。

ブレアチームの成果発表

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6月27日(金)、トニー・ブレアさんが代表するチームによる報告書、「Breaking the Climate Deadlock」の発表が東京でありました。ブレアさんはG8サミットで初めて気候変動を取り上げ、その後もこの問題については「Gleneagles Process」を立ち上げ、世界のリーダーとして首相退任後も世界的に活発な活動を続けています。以前にもご紹介しましたが、今回はその活動の成果を引っさげて、G8サミットに働きかけようという狙いもあるでしょう。

Dsc_0158blair01写真1 トニー・ブレアさん

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写真2 ブレアさん、Ngubane南アフリカ大使

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写真3 安倍前総理と

6月28、29日にはG8+5の政治家の活動であるGLOBE Internationalが開催される予定で、ここでも基調講演をされるそうです。

27日の夕方から英国大使館でレセプションがあり、多くの英国の議員も参加されました。そこから六本木ヒルズへ移動し、Miliband外務大臣と100名ほどの若者の参加を得たパネルに参加しました。Milibandさんは42歳という期待の星で、ご自身のblogでも積極的に情報発信、広報活動を展開しています。この辺の話題を中心にしたパネルでしたが、時間が1時間とちょっと短くて残念でした。もっとこのような催しを開催したいですね。このパネルの様子は彼のブログで見ることができます。

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写真4 パネルでMilibandさんと司会の枝広さん

教育でも独自の強みを生かす

わたしは成蹊学園に6年間在学し、中学高校を卒業しました。英国のPublic Schoolをモデルに100年前に作られた学校で、リベラルな、でも規律のある校風です。Public Schoolの雰囲気は、60年前に出版された、池田潔慶応大学教授の「自由と規律」 をお勧めします。もちろん日本での事情は大いに違いますが。

最近、母校へのメッセージを書きましたので、紹介します。

 成蹊学園広報 2008 Spring
 (成蹊学園広報のウェブサイト「SEIKEI WEB MAGAZINE」はこちら)

グローバル時代の大学教育、一ツ橋大学ビジネススクール

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先日ご報告したように、Golden Week前半はいつものことですが、せわしなく飛び回ってきました。

6日は休みでしたが、一ツ橋大学ビジネススクールで行われた石倉洋子教授のCompetitivenessのクラスFinland大使と参加しました。石倉さんのリードで問題提起があり、対話形式で進みました。学生達もドンドンと手を挙げて積極的に発言し、いろんな意見が出て実に建設的で楽しい時間でした。

ここの講義は全部英語で、学生も7割ぐらいが留学生です。講義の教員もHarvard Business SchoolをHubにして、世界のいくつもの代表的なビジネスを互いにネットで見ることが出き、評価も共通なものにしているそうです。これだけ広らかれた評価をされると教員も大変でしょうが、世界の多くの教員の講義の様子なども参考にして、がんばれるのです。教育の質、講義の質について教員達も厳しいけど、文句のつけようがありませんね。これがネット時代の怖いところでもあるのですが、グローバル基準で競争する醍醐味なのです。こんな大学ほかにありますか?これでなければ日本の大学は世界から優秀な若者を集められませんね、フラットな時代にはみんなに知られてしまっていますから。大学人たち、しっかりお願いしますよ。

クラスが終わってから、India、US、Bangladesh、Russia、Myanmar、Poland、Uzbekistan、Thailand、Vietnamなど、いろいろな国の学生さんたちを交えて、ラウンジでワインを楽しみながらひと時を過ごしました。素敵なおもてなしに感謝。

グローバル時代の大学教育のあり方と評価については、最近の石倉さんのコメントと、実に示唆に富む論文が出されています。竹内弘高研究科長の方針も最初から厳しいものだけど素晴らしいですね。

ところで、このフォローアップが、石倉さんのブログに出ていますので、参考にしてください。

Bill Gatesとの会談

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7日の朝からJakartaへ。Microsoftが主催する「The Government Leaders Forum- Asia」のパネル、“IT and Healthcare”のKeynote Lectureにお招きを受けたのです。日本からも慶応大学副学長でネットと言えばの村井純さん(パネル素晴らしかったです)、広島市長の秋葉さん他、約20人ほどが参加されました。

(※Microsoft「The EDGE」(7月号)にGovernment Leaders Forum Asiaの記事が掲載されました。)

この会議はMicrosoftがアメリカでスタートさせ、次いでヨーロッパ、そしてアジアでは4年目になるようです。Indonesiaの担当大臣はじめ、ASEAN事務総長のSurinさん(この2ヶ月間で3回も会っています)などの講演のあと、第1日目は3つのパネルがありました。Indonesia大統領、そしてBill Gatesの講演は2日目に予定されていましたが、私は残念ながら1日目の夕方にホテルを出発し、帰国の途に着きました。ちょうど44時間ほど、日本を離れていたことになりますね。

私のパネルのあと、Gatesさんとの会談がセットされていて、先日のGlobal Health Summitのこと、G8を始めとするグローバルな課題、教育や医療の“IT化”の課題などについて話をしました(写真、さすがに周りはピリピリしていました)。
とても切れますね、黙っているときも資料に目を通していました。日本Microsoftの大井川さんの話では、いつももっと気難しそうにしていて、あんな表情のGates氏を見たことがないと言っていました。

国境なき医師団

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国境なき医師団(MSF:Medecins San Frontieres)のことは皆さん聞いたことがあるでしょう。この医師団は1971年にできたのですが、もともとはその前からフランスにある救急医療制度(SAMU)から発展したもので、そのきっかけとなった一つがBiafra, Nigeriaの大飢餓だったそうです。1999年にはNobel Peace Prizeを受賞しています。立派な活動で、日本の医師たちも数多く参加しています。

2月1日のことですが、この医師団の立ち上げに関わったDr. Xavier Emmanuelliが、同僚のDr. Tartiere、そしてFrance大使館のY. Miauxさんたちとお見えになりました(写真1)。話題は、いろいろと広がりましたが、日本でのホームレスにも関心がおありで、山谷に行かれたそうです。

Msf04写真1 Dr. Xavier Emmanuelliと。左はDr. Tartiere、中央はMiauxさん、左にFrance大使館のスタッフ

私的なことで恐縮ですが、私の娘はアメリカで医師をしていますが、2006年4月から6ヶ月間、Liberiaの奥地へMSFの活動で行っていました。医師は彼女一人で、電気も1日2時間程度しか使えないのです。この国は2005年11月に選挙が行われ、初めての女性大統領 Madame Ellen Johnson-Sirleaf(2007年のダボス会議でお会いしました)が選出され、ようやく治安が回復し始めていた頃でした。MSFは現地の安全はある程度確認したうえで医師を派遣するのですが、娘もよくも行ったものですが、何事もなく無事に戻り、ひと安心。得がたい経験をしたといっていました。そこでは日本の若い人たちにも会うことがあったそうです。日本の若者も捨てたものではありません。

私もその年の6月にKenyaのNairobiに行きました。今、暴動で話題になっているNairobiのスラムKiberaに行ったのですが、その時は、ホテルから携帯電話で「Liberiaはどうか」と話し、メールのやり取りもしました。便利なものですね。