Cape Town

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横浜でのTICADが終わり、6月3日午後に成田を出発。シンガポール経由で喜望峰のあるアフリカ最南端のCape Townに来ました。World Economic Forumのアフリカ会議に出席です。今回が18回目ということで、17年前から毎年開催しているのです。すごいことです。

TICAD推進の中心人物の一人でもあるJICA総裁の緒方貞子さんは今回の会議の共同議長の一人。3日間、毎日のようにいくつものパネルに出られ、大活躍でした。本当にご苦労様です。日本のビジネス界からも東京エレクトロン(佐藤社長)、日立、三菱商事、双日など10社程度が参加。また小田野TICAD担当大使も参加され、日本の存在感が見えてとてもよかったです。何ごともビジネスが付いて来なければ成長はありません。アフリカ全体で起こっている紛争の数は減り、経済成長率は5~6%。ここはビジネスチャンスなのです。日本のビジネス界もしっかりして下さいね。

私も2つのパネルに参加し、特にTICADでの成果やG8、MDGへの期待について、エネルギー、食料危機、開発といった切り口から話しをしました。

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写真1 パネルの様子

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写真2 日本からの参加者による会議、緒方さんを中心に

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写真3 左からWEFの土屋さん、JICAの黒川さん、日本医療政策機構の近藤さん

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写真4 日立の八丁地さん、岡田さん

アフリカからの参加者も南アフリカ連邦のMbeki大統領を始めTICADに参加された方が多く、この会議での日本の存在もそれなりに高く、良かったと思います。しかし、なんと言っても緒方さんですね、ここでも。知名度は桁違い、皆さんに尊敬され、しかも発言が実に的を得ていて、本当に「日本の誇り」です。

2日目の午後、天気があまりにもすばらしいので、ちょっと抜け出して喜望峰へ行ってきました。どこもかしこもSanta Monica、Malibuのようなところばかり、まるでCaliforniaです。

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写真5 喜望峰。私の後ろへまっすぐが南極方向。左から日立の岡田さん、八丁地さん

3日間の会議を終えて、Dubai経由でAbu Dhabiへ。波多野大使を訪問した他、政府の大学関係者、医療政策担当者等と会談し、20時間ほどを過ごして帰路につきました。8日の夜、日本に到着。

 

TICAD4横浜と朝日新聞Bono編集長

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横浜で行われたTICAD4では、日本から多くの成果が発信が出きたと思います。アフリカ40ヵ国の首脳を迎え、福田総理は毎日のように首脳と面談、さらにBono、国連事務総長顧問のJeffrey Sachsとも個別に面談され、日本政府もがんばりました。総理もNGOの活動が大事との強い認識を深めたようです。

Wefcapetownjune2008001写真1 TICAD会場で、左から私のスタッフの原君、杉山さん、Dr. Pablos-Mendes

私もHideyo Noguchi Africa Prizeの贈呈式や翌日行われた国連大学での受賞者講演会への出席、尾身幸次議員主催のパネルに、Rwanda大統領、Harvar d大学のJuma教授等と参加したりと、いろいろとありました。ちょうどRwandaに行っている東京大学の伊東 乾さんから、講義をしているところの写真が送られてきたばかりでしたので、そのことをきっかけにパネルは話しました。ここでも多くの日本の若者ががんばっています。

Rwanda02写真2 Rwandaで教える伊東さん

先日ご報告したBonoさん朝日新聞 5月31日号の1日編集長というすばらしい企画で、アフリカやTICADといったことを取り上げていて、いつもの紙上とは違って光っていましたね。今回発表された、日本のアフリカ支援プログラム予算のことも書かれていました。

野口英世アフリカ賞

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28日、TICAD 4の1日目の夜、天皇皇后両陛下のご臨席のもと、第1回 Hideyo Noguchi Africa Prize賞の授賞式が行われました。受賞されたGreenwood、 Were両博士とも実にすばらしく、しかも野口英世の精神をそのまま具現化するような方たちです。とても謙虚で、気さく。夫婦共に支えあい、助け合い、40年も前から30年以上にわたって、アフリカという地でここまでの仕事をされたことは本当に畏敬の念を禁じられません。私はこの選考委員長として、世界に誇れるすばらしい選考結果となったことを、心の底からうれしく思います。

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アフリカから40ヵ国を超える元首と政府の長が参加され、本当にお二人のお人柄を表すような清清しく、気持ちのいいレセプションでした。

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小泉元総理はこの賞の創設者としての挨拶をされ、「今日、ここの会場の皆さんの上に野口博士の魂が降りてきているようだ。」といわれましたが、後で聞いたところでは、原稿にもなかった即興だったのようです。うまい表現ですね。会場全体に、本当にそんな雰囲気がありました。

翌日の午前は青山の国連大学で、ご両人の講演会がありました。NHKの道傳さんの司会で、私とお二人のパネルもあって、これもよかったです。その後、皆さんで猪苗代の野口英世の生家訪問へと向かわれました。猪苗代での歓迎も盛り上がったようです。会津若松市長の菅家さんのブログ5月29日30日)にその辺のことが書かれています。野口英世の生い立ちなど現地で改めて知ったこともあったでしょう。受賞者やそのご家族の皆さんも喜ばれたようですね。

また、アフリカがちょっと近く感じられたひと時でした。

アフリカ週間:Jeffrey Sachs、Bono、Tony Blairとの一日

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私も手伝っている「Table For Two」の活動広報の集まりが、Jeffrey Sachsをお迎えして議員会館で開催されました

このような社会起業家の活動が日本発で世界に広がって、世界の一方で起こっている食糧不足と、他方で起こっている過食の問題に対する一つの運動になることはすばらしいことです。皆さんも参加しましょう。

午後は慶応大学へ。今年は150周年でいろいろな行事が開催されています。ロックバンドU2のBonoさんの法学博士号の授与式(写真1~3)、そして授与記念講演がありました。授賞式会場は福沢諭吉が推進した演説の講堂で、慶応でも由緒あるところです。今回、Bonoさんから招待を受けたのですが、彼とは今年のダボス会議で会って から、緒方貞子さんたちのお手伝いをとおして協力しているのです。

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写真1 法学博士授与式のBonoさんと安西慶応義塾長

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写真2 Bonoさんと

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写真3 Jeffrey Sachsも参加

この講演は慶応大学の渋沢栄一記念寄付講座の講演シリーズで、「Civil Society」の動きを推進するものです。

その後、先日ご報告した前英国首相Tony Blairのスタッフと会って打ち合わせ

全てが今週から横浜で始まるアフリカ開発会議(TICAD)と、7月の洞爺湖G8サミットに関するものです(参考)。日本に対する注目度、期待度は非常に高いのですがね。

教育でも独自の強みを生かす

わたしは成蹊学園に6年間在学し、中学高校を卒業しました。英国のPublic Schoolをモデルに100年前に作られた学校で、リベラルな、でも規律のある校風です。Public Schoolの雰囲気は、60年前に出版された、池田潔慶応大学教授の「自由と規律」 をお勧めします。もちろん日本での事情は大いに違いますが。

最近、母校へのメッセージを書きましたので、紹介します。

 成蹊学園広報 2008 Spring
 (成蹊学園広報のウェブサイト「SEIKEI WEB MAGAZINE」はこちら)

G8環境大臣会合で開会の基調講演

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5月24日に神戸で行われたG8環境大臣会合で開会の基調講演 を依頼されました。大変名誉なことです!しかしそのあと、頭の痛いことに日本語、英語、仏語、中国語、スペイン語の同時通訳が付くと言われてしまいました。そこで、英語で原稿を作り、英語で話すことに決めました。

同時通訳でスピーチを聞くといつも思うのですが、翻訳という作業の性格上、実際のスピーチよりもやや遅れがちだったり明らかにいくつかの言葉が省略されているために翻訳の精度に疑問を感じたりして、聞き取りにくくフラストレーションが溜まります。とはいっても、当然のことながら、数ヶ国語に精通でもしていない限りこのプロセスは国際会議では避けて通ることはできません。

そこで考えた末、スピーチの作成・校閲・読み直しを自分でしてから、原稿を通訳の方々に送る際に「私はこの原稿をそのまま読むので、あなた方はそれぞれの言語に翻訳して読んでください。勿論、パワーポイントは使用しません。」というメモをつけました。

写真 1 ・ 2  会場の雰囲気 Dsc_0247g8kobe05240801_2

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話し終えた後にUKのHilary Benn環境大臣が演台に近寄っていらして、私の講演が大変よく練られ、構築され、話されていて感心したとお褒め下さり、とても嬉しく思いました。イギリスの要職にある政治家であり正真正銘の英語のネイティブスピーカーからそのようなコメントを頂くとは!感激です。Benn大臣とはしばし演台で会話がはずみました。

このような光栄な場を与えてくださった鴨下環境大臣に感謝します。それにしても3日間という長い会期は参加者の方々にとって大変だったことでしょう。私は講演の後すぐに東京に戻りました。皆様も良くご存知のIPCC議長Dr. Pachauriにお会いするためです。私たちはこの2月にもNew Delhiでお会いしました。

「グリーンIT」講演からのメッセージ

ITも多くの電力を使います。サーバーであり、ルーターであり、端末です。また、発熱を冷やすのに使う電力も大変なものです。モーターも多くの電力を使うのです。こういったことについても色々と工夫や新しい技術開発などが行われています。

このような背景から、第4回の日経環境シンポジウム「経済と環境の共生を実現するグリーンIT投資」が開催され、基調講演をさせていただきました。その記事が3月26日の日経新聞朝刊(24面)に広告特集として掲載されました。基調講演の概要も掲載されましたのでご紹介します。

1時間の講演でしたが、大事な点は「2050年までに食料とエネルギーの輸出国になろう(この2つがいつも国家の存続と独立の基本であり、争いや戦争の原因になってきたのです)というぐらいの大きいな国家ビジョンを、政治のリーダーシップで打ち出し、国民と共有することだ」という点です。そこからの社会構造、政策を変え、グローバル世界の“日本”を打ち出していかないといけないということです。

今までの既得権のある人達やその業界自体がその既得権にしがみついて抵抗する、だから変われないのが今の日本です。グローバル世界は日本がどうなっても、どんどん変わっているのです。

 地球温暖化、環境技術、そして日本(PDF)
 出典 2008年3月26日(水)24面より ※広告特集に掲載されました

St. Gallenから

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Familynewyear2008000St. Gallenの南にあるMt. Santis (2503m)

去年も参加したので報告しましたが、今年もSt. Gallen Symposiumにやって来ました。これは38年前にSt. Gallenの学生達が始めた企画で、いまでも学生が企画、運営を行っています。すばらしいですね。世界から200人ほどの学生と400人ほどのビジネスなど広い分野の方(ヨーロッパの方が多い)が参加します。初めてのことですが、今年は日本からも競争倍率5倍という中、20人ほどの学生さんが参加しています。日本からの学生枠は日本人だけでなく、半分ほどは留学生です。この選抜は英語での論文の審査で行われます。

今年のテーマは“Global Capitalism – Local Values”、タイムリーなテーマですね。開会はPascal Couchepin Swiss大統領、Dr. Heinz Fischer Austria大統領お二人のすばらしいOpening Addressesで始まりました。

今年は、去年もいらしていた方々の他に、1日目には林芳正議員がPlenaryで、一ツ橋大学の石倉洋子さんがFacultyで参加し、Workshopをリードしました。

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写真1 Lord Griffiths(右)、Financial TimesのMartin Wolf(左)と。二人ともすばらしい。

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写真2 日本から参加した学生達。鈴木さん(Credit Swiss Japan会長、左から3人目)と石倉さん(右端)と。

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写真3 鈴木さん、私のスタッフの原くん(左端)、St. GallenのPhilipp Kuhn-Regnier君(右端)と。

私は2日目のWorkshopに出ました。去年は最初のPlenary Panelに出たのですが、その時の話と学生に向かって送ったメッセージがとてもよかったとかで(全体座長の英国のLord Griffithsに会場で言われました。うれしいことですね。)、今回はエッセイコンテストで表彰された南アフリカの学生、さらにRhodes ScholarCillierくん(9月からOxford大学へ留学するそうです)と、それと対照的な意見を書いたSt. Gallenの学生Klaassenくんに私がコメンテーター、BBCのPeter Dayの司会で進めようという企画でした。テーマは“Global Capitalism and Local Cultures of Innovation”。これは大変楽しかったですね。会議のサイトで見てください。

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写真4 原くん、Philipと。

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写真5 すばらしいEntrepreneurであり、Social entrepreneurのY.C. Deveshwarさんと。

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写真6 小和田さん、安部大使、明石さん、元気な学生さんMs. Imaiさんと。

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写真7 パネルのCillierくん、私、Klaassenくん、Bayさん。

14日の夜はレセプション、15日は去年と同じレストラン、Der Gupf(ワインセラーとそのコレクションでも知られたレストラン)で。Lake Bodenseeを見下ろす場所にあり、今年は天気もよく初めて周りの景色を見ることができました。

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写真8 Gupfで石倉さんと。

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写真9 Gupfで小和田ご夫妻、明石さん、安部大使と。

世界経済危機 日本の教訓?

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よく言われることですが、日本ははっきりと見えないということが、特にこの10年くらいの国際的な場面で、国内問題、国際的・地球規模の問題の区別に関係なく言われます。時には重要な問題について外国の報道関係者から質問を受けた政治家が自分の立場を守るような発言をし、その内容が偏っていたりします。しがらみのない団体や個人からもっと沢山の声があがること、特に日本で主流として報道される意見に反しながらも、より理屈が通っている意見がいろいろと出ることがとても重要です。そういった多様な発言がよりバランスの取れた正しい日本理解へとつながるのです。

世界中で最も良く読まれている新聞の一つ、Financial Timesに東京大学教授で経済財政諮問会議議員もされている伊藤隆敏先生が最近寄稿され、米国サブプライムローンに端を発する世界的な経済危機に関して、一部の日本の指導的立場に居る人たちの「米国は90年代から最近に至るまでバブル崩壊への日本の対応から教訓を学べるのではないか」という議論についてコメントされていました。伊藤教授は米国の民間や政府による合理的でスピード感のある対応について述べ、その確かな回復力を明らかにしています。

日本のあらゆる分野のリーダー、関係者は伊藤教授の例を見習い、世界に向けて正しいと思うことを発言するべきです。それでなければ日本はどんどんグローバル化していく世界の出来事の中で、これからも島国、無関係、理解不能な国であり続けてしまうでしょう。

日本は島国

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最近Newsweek誌に“This Nation Is An Island”という記事が掲載されました。その主旨は、日本人の考え方が昔からいかに島国根性で、今も日本社会のあらゆるところにそれが残っているかというものでした。このメッセージは主要な外国雑誌(例えば2008/02, 2007/12)の過去の記事と良く呼応しますし、私の近著“イノベーション思考法”でも数例取り上げたように、いくつかの日本人による最近の著作のメッセージとも合致しています。
ブログのあちこちで言及していますが、私もこの意見に同意します。

このレポートでは日本は過去に何世紀も閉ざされてきており、外国人にとってはオフリミット(立ち入り禁止)で、このグローバル化が進んだフラットな時代にあっても、今も根本的には鎖国状態が続いていると強い調子で述べています。人類共通の利益に貢献するような新しい世界的秩序を追求すべく、日本が世界規模の活動の一員、プレーヤーとして参加することを助けてくれるような幅広い活躍の機会を持つ優秀な人材が沢山いるのに、日本がグローバルな場に出て行かないのを見るのは悲しすぎます。

日本は依然として世界で2番目に大きな経済力を持っていることを忘れないで下さい。ローカルに考え(ローカルな価値観や個性)グローバルに行動する起業家がもっともっと必要です。最近1960年代のソニーの盛田さんを想起させるようなビジネスマンを見たことがありますか?テクノロジーだけでは充分ではありません。世界の人々の心を捉えるのは全体としての企業活動なのです。