The Economist、皮肉屋だけど本当のことを書く: ‘Food for Zombies’、 ‘The civil service serves itself’

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世界の経済関係者に最も読まれている週刊誌の1、2位を争うのがThe Economistでしょう。自分の国の英国の問題に遠慮もせず物を言う、皮肉もいっぱいに遠慮しない、国民に、世界に報道する、知ってもらう。これがジャーナリズムの基本的役割だし、信頼の一番の基本です。さすがに、文章も、タイトルも、図表も「ユニーク、クール」なのです。

これがThe Economist、Financial Timesが広い世界で評価 され、読まれている理由と思います。プロの仕事です。

ここが日本のジャーナリズムとの大きな違いがあると思います。「記者クラブ」とか、基本的に体制側なので、世界人口の2%弱の日本人だけに発信しているのです。これでは「グローバル時代」のジャーナリズムなど生まれようもありません。きっと、そんな気概もないのでしょうね。

最近のThe Economistの記事を紹介しましたが、その中に注目すべき皮肉 (1)、さらに「On-line」版でもう一つ (2)。

全文は読んでいただくとして:
(1) では、中見出しが、なんと 「Food for zombies」(日本語訳はこちら)。政府はだめ企業をいつまでもサポートする、新しい企業が出てきにくい、だめ企業はもちろん「zombies」になるだけ。本当ですね。
(2) では、タイトルが「The civil service serves itself」では日本の官僚の「天下り」(Descent from Heaven) の無責任さの実態を書く。

世界に知られる日本の実態。 国家の信用はいかに。

政治は党内のいざこざのみの様相。 4年間で5人目の総理という トンデモ国家で、6人目の総理となるのか?

「政官産」、そして「学」など、国の「知」のエリート (Ref.1) たちはどうなっているのだ?

どっちにしても国民などはどうでもいいと思っているのか。

いよいよ日本はピンチへ向かう ?

 

Hayman島、ADC Leadership Retreat -1

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写真はこちら(クリックしてください。)

27日の朝から2つの会議をこなして、帰宅。旅行の荷物をつめて、夕方に成田へ。この件で、Sandel教授の講演に参加できなかったのです。

成田を夜9時過ぎに出発、約9時間の飛行時間でBrisbane空港へ朝7時に到着。ビジネスクラスでもあまりゆったりもしていないし、席はフラットにもならないし、ほとんど眠れませんでした。ここで4時間ほど時間待ち、JQ (JetStar)で約1時間40分でHamiltonへ到着。ここからいよいよHayman島へ cruiserに乗り換える。この数年お招きを受けていたのですが日程の都合がつかず、はじめて「ADC ForumRetreat」に来ました。

船の中は皆さん、同じ会議へ向かう方達ばかり。快適なスペース、順調に静かな海をすべるように進む、回りは島々を近くに見ながらすべる素敵な空間。鯨が見えた、ここは鯨がよく通る道なのだとか。あまり天気は良くないがそんなに寒いわけでもない。たぶん20゜C程度だろうか、曇っていて、いつでも雨が降ってきそう。

シャンパンなどいただき、皆さんと話をしているうちに1時間でHayman島に到着。早速ホテルにチェックイン、4時に部屋へ移る。荷物がなかなか届かない。

もたもたしているうちに4時45分から「ADC Forum」(資料1)の開始です。私は最初の「Opening Plenary: Australia ?Big questions and new unknowns」のパネルに出るので、ジーンズのままで会場へ(さすがに皆カジュアルで、ネクタイしている人はいませんでした。ちょっと安心)。

6日前の選挙で自由党(Abbottさん)も労働党(Gillardさん、女性)も1票差程度で半数とれず、少数党との協力を取り付けに入るところ。こんなこと(Hung Parliamentといいます、「ねじれ国会」でしょうか) はこの国でははじめのこととか。「2大政党の時代」は終わりなのかも、という議論がでます。ことしの英国の総選挙もそうでしたね。グローバル時代の多様、多彩な価値観を表しているのかもしれません。

このOpening PanelはBBCの名アンカーマンNik Gowing が司会。前半Part-1は今回の選挙についての「ABC Online」の政治主筆Ms Annabel Crabbの15分ほどの意見のあと、3人のPanelistで元気な議論。

後半part2は「Lord Nicholas Stern」のClimate Changeと経済成長への課題についてChris Freemanの産業革命以来の50-60年の技術革新、社会の変革と経済成長のサイクルにも触れながら20分ほどのスピーチ。そのあと、Dr Raghida Dergham、Kaplan社 Chief Learning OfficerのBror SaxburgHarvard大学のDr Daniel Shapiro, そして私というパネル。

「Part 1, 2」ともすごく面白い議論が出来ました。

Australiaの今回の国政選挙もさることながら、何しろ、日本では小泉総理が止めてから、4年で5人の総理が出たわけですし、1週間前には民主党から小沢さんが総裁選挙に出馬とすると。もしかしたら、4年で6人の総理、6つの内閣。ご当地では今回の選挙結果で政治的に大きな課題だ、と大きく問題視しているのに、わが国日本はのんきというか。とにかく国の政治の「リーダーたち」の「コップの中」的発想と行動は耐え難い。やれやれ。大体、どの政治家からも「国のビジョンとそれへの戦略的政策課題」なんて聴いたことがない。

夕食はStern氏と隣になり、ずいぶん密に議論が出来たのが大収穫。彼はこの2年で2度、東京で会える機会を逃したし。そんなことも話題にすばらしい一日でした。

食事のあと10時から最後のセッション「Science, Public Policy and the Elusive Common Ground」にAustralia政府の「Chief Scientist for Australia」のProf Penny Sackett と2人、CSIROのCEO、Dr Megan Clark の司会で1時間。

なかなか充実した1日でした。

Michael Jacksonとの話題に、城山三郎さんも参加してAERAの記事に

今年の6月26日にMichael Jackson(MJ)の1周忌に「Michael Jacksonと私」のことをお話しました。これを読んで、私の友人の出口さんが、そこにあった「Cul de Sac」を「キーワード」として使ってすばらしい話を作って、これが9月6日号のAERAに「マイケル招いた飛翔への交錯:マイケル・ジャクソン一周忌追憶秘話」 というタイトルで掲載されました。

出口さんの着眼点と物語りの作り方には、感心してしまいました。私にはタイトルがちょっとわかりにくいというか、物語りのメッセージの核がぼやけた気もしますが、、。

人生には、多くの人の出会いがあり、何が起こるかわからない。だからいつも前向きに、人が見ていてもいなくても、真剣に考え、まじめに自分の考えをすすめていくことが大事だと思います。

L’Oreal女性科学者奨励賞、宇宙飛行士山崎直子さん特別賞

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8月23日、沖縄AYEPO2010閉会式から東京へ、そこからL’Oreal女性科学者奨励賞の授賞式参加へ直行。

いつものことですが、輝く女性たちは日本の希望です。

今年もすばらしい4人の新進気鋭の女性科学者がうれしい受賞。さらに宇宙飛行士の山崎直子さん資料1)に特別賞という粋が決定。山崎さんの参加でさらに盛り上がりました。式はいつもながらのとてもスマートなL’Orealらしい、きれいな舞台と進行。私も、乾杯の音頭といううれしい役目をさせていただきました。

世界の5大陸から毎年5人の素晴らしい女性科学者が選ばれますが資料1)、この奨励賞は5年前から日本で始まった試みです。

前々回も素晴らしい方達 と楽しいひと時を共有しましたが、今年もまた嬉しい時間でした。

前UNESCO事務局長の松浦さん、前職(坂東さん)と現職(岡島さん)の男女共同参画局長(このポストが出来てからの3人も局長は皆女性です)ほか、多くの関係者が参加してくださいました。

日本の将来は、女性の活躍する場?(資料1)をどれだけ速やかに広げられるか、にかかっています。

抵抗勢力は、もちろん「タテ」社会で「草食系男性」が威張っている男性社会そのものでしょうね。実態が明らかになるのが怖いのでしょう。「タテ」から「ヨコ」に広がるグローバル時代、本質的な内容の伴わない「肩書き」の時代は、とっくに終わったのです。

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Michael Sandel教授が来た、そのインパクトは何か?

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NHKの「白熱教室Justice」で大人気のHarvard大学のMichael Sandel 教授が来日。早速、東京大学の安田講堂で講演しました。申し込みは定員の10倍とか?その授業は今日(26日)、NHKで放送されるとか。また再放送もあるでしょう。ぜひ見てください。

27日にも都内某所で講演されるので、私もお誘いを受けましたが、都合がつかず、残念(この件は後ほど報告します、、)。そこで私の代わりに、何人かの若い方達をご紹介、皆さんにとって、とてもいい経験になると思います。

この授業については、5月16日19日にポストしましたが、授業の進め方で特に優れているいくつかの点について私なりのコメントをしました。すばらしいですね。

さて、このような授業を「ナマ」で聞けた方達は、いつも受けている授業、自分たちの先生たちとついつい比べてしまうでしょう。それは仕方のないことですね。

このようにいろいろな先生の授業を多くの学生が受けること、それらが学生や教師にオープンになることが、教育の質の向上になるのです。誰でもいいと感じるほうを選ぶに決まっていますし、先生たちも、よりすばらしい講義とその進め方を見れば、それをお手本に、目標にするでしょうから。

これがグローバル時代には「OCW」、「YouTube」などのデジタル技術で「オープン化」が可能になり、これが徐々に「グローバル評判」から、「グローバル標準」になっていくのです。教育の評価、教員の評価も、大学内だけ、国内だけにとどまってはいられないのです。

このような「グローバル」時代の「オープンな他流試合」を基本とした教育を取り入れているのが、一橋大学ビジネススクールです。これは先生たちにとってはとても「しんどい」ことでしょうが、学生さんたちにとっては、うれしいことですし、多いに勉強もさせられるし、これが大学の「国内外」での評判になっていくのです。

何も研究の成果の「impact factor、citation」ばかりが大学の評価ではないのです。大学教育の評価もグローバルにできるのです。学生たちはそれを求めているのです。

もちろん、Sandel教授の授業もOn-lineで見ることができます

「アジア青年の家2010」、すばらしい若者たちのネットワークを

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8月23日は、今年のアジア青年の家「AYEPO 2010」 最後の日で、私も閉会式に参加のために沖縄へ向かいました。安倍内閣のときに政策になり、2008年に始まったプログラム資料1)です。

今年も元気なアジア各国からの15,16歳の若者30人、日本は45名(1/3は相変わらず女性です)が元気に参加、3週間の間に台風が来たり、平和祈念公園、ホームステイ、海に潜ったり、海岸をきれいにしたり、沖縄科学技術大学院大学(OIST)美ら海水族館など、多くの活動からすばらしい体験をしたようです。

私も閉会式に参加、皆さんの生活のビデオ、そして皆で「We are the World」を歌うビデオ紹介、去年に続いて共通のテーマを「水」に絞って、議論を重ね、自分たちの2030年という立場からみた「Kiseki奇跡」というすばらしい詩を書きました。私の講評とコメント、そして閉会式があり、とても素敵な1日でした。皆さん10年後、20年後はどうしているでしょうね。この沖縄での3週間から出発して、すばらしいネットワークを築いていることを期待しています。

また、10数人の大学生 (第1回から参加してくれている立命館アジア太平洋大学からは300人を超える応募があったとか、すばらしい反響です) が参加、事務方、支援の方たちも奮闘、すばらしい3週間の経験だったと思います。このような活動を日本中で、自発的にドンドン広げてほしいですね、将来のリーダーを作り、友だちの輪を広げること、これこそが、グローバル時代への人材育成の基本です。

GDPは中国2位、日本は世界第3位へ、The Economist記事から

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世界第2の日本のGDPは中国に抜かれて第3位に。

GDPは国民の数が大きく影響する数字ですから、それほど心配することはないのです。日本の10倍の人口をもつ中国が世界第2位になるのは時間の問題で、とっくに予測されていたところです。

大事なのは国民一人当たりのGDPです。これは90年代以来、日本は世界2位を滑り落ち、とっくの昔に18位程度に落ちています。第1、この15年、日本のGDPは増えていないのですから。この15年GDPが増えていないOECD国は日本だけなのではないでしょうか

今でも成長の気配が感じられない、世界から期待されていない、投資も来ない。2008年のリーマンショックからは、OECD国も状況が変化していますが、日本の「経済成長なし、借金のみ増え続ける」のは相も変わらずひどいものです。

さすがThe Economist (8月19日)の記事 「Watching China whizz by」(日本語訳はここ)は大事なところをきちんと伝えています。友人の石倉洋子さんの意見 も記事になっています。いつも言っていることですが、大企業は決断ができない、できても遅い、基本的にはヨコ並びの大企業、政治的にはだめな企業を退出させないで「ゾンビ企業」にしてしまう。そして新しい企業が出てこないのです。世界のマーケットは大きく変わっているのです。Demand-driven、Open and Disruptive Innovationの時代になっているのにね。

それにしても、The Economistの図にあるように中国の経済成長はすさまじいですね。

相手を良く知らない、成長する新興国に以前からの長い知己の人脈がないのでは、成長するのは大きなハンデイです。たとえば、来年のアフリカ全体の成長予測は5.6%です。どんな戦略を考えているのでしょうか。

「偽リーダー」論

「リーダー論」とか、「エリート論」は、いつもなにか調子の悪いときに出てくることが多いテーマです。ですから、この20年ほど、よく取り上げられていたように思います。この数年はあまりにも変われない日本に、皆さん内心ではあきれ、当惑し、あまり取り上げられていないようにも思います。

以前も紹介 しましたが、SoftBrainを創設した宋文州さんのメルマガ はとても内容があって、私の好きなカラムのひとつです。

特にご本人自身もとても苦労した実体験もあり、「外から見た」日本 (資料1 )(このカラムでも頻繁に出てくるテーマですが、、)を感じ、さらに岡目八目もあって、物事の本質を良くついているからこのカラムが好きなのです。また、中国の方でもあるので、その意見は参考になることも多いのです。

最近の、この宋さんの「偽リーダー論:」は「逆説的表現」ではありますが、とても本質を突いたいいカラムです。ぜひ、読んでみてください。

今回は「1-3」ですが、まだ続くのでしょうか。

実践する若者たち、Grameen日本の若者の新しいProject

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このサイトでしばしば報告していますが、早稲田大学の学生(もちろん休学中)、税所くんたちによる日本人初の活動がBangladeshのGrameen 銀行で始まっています。

「アジア最貧国ドラゴン桜」e-education programです。

彼のblog からもわかりますが、日本国内にも朝日新聞で取り上げられました。今度は「ソトコト」に連載されるようです。第1回が出ました。本当にがんばっていますね。うれしいです。皆さんも応援してください。

実際に現地で7時間もかけて、バスで村の若者を大学キャンパスへ連れて行く、などの発想、実行力は、現地で生活し、考えていなければ、出てこない発想でしょうね。税所くんからのメールと写真によれば;

「昨日、村の高校生を連れてダッカ大学スタディツアーを行いました。
どうしても村の高校生は「ダッカ大学に合格する」ということが想像できないようで、
じっさいに見てもらおう!という企画です。
「一生忘れられない経験になりました!!!」
と大絶賛のツアーになりました。」、、、、」

という反応なのです。

村の子供たち、親たち、村人たちにはどんな感動の体験だったでしょうか。そしてもちろんYunusさんをはじめとするGrameen銀行関係者の日本人を見る目が変わってくるでしょう。

このようなことが市民外交の基本のひとつですね。大学関係者もこのような若者をもっともっと応援してやるべきでしょう、もちろん企業関係からのサポートもね、将来へのブランドになるのです、「社会企業」であり、「戦略的投資」です。国にばかり頼っていることもないのです。何かといえばすぐに「予算がない」という言い訳をする大人たちも、国の教育政策も頼りならないし。どうすれば支援できるか、なのです。若者の意欲(資料1)をそぐことは、大人が一番してはいけないことです。

日韓の交流、楽しい会合

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8月15日のLee大統領の演説は約20分、特に北との関係については「平和」「経済」「民族」共同体という3つの戦略的ステップの考えを表明しました。また「Green Growth」についても述べたということでした。講演全文の英語、日本語訳などがあるとうれしいのですが。

今回のソウル滞在中にはいろいろな方達とお会いすることができました。ソウル大学での講演では、以前からの腎臓学の仲間、新しい方達は当然ですが、2008年のL’Oreal賞受賞のNarry Kimさん (資料1) も来てくれました。

到着の13日の夜は、以前にもご紹介した朱先生 (資料1)を囲んで韓国の医学史を研究している石田純郎さん(いろいろオランダ、韓国の医学教育史などについて書いています)、Lee, Heung-Ki教授(ソウル大学で病院の歴史を研究)(写真は前回カラムのトップに)とも皆さんとの再会を祝して夕食。朱先生は89歳ですが、頭脳明晰で、本当にすばらしい方です。

15日夜は、夏休みでソウルに帰省している早稲田大学2年生の女子留学生を夕食にお招きしました。ご両親の仕事で5歳まで日本で生活したそうで、日本語もたいしたものです。お兄さんはCanadaの大学に行っているとか。しっかりした目標を持っていて、それで早稲田を選んだそうです。この7月に早稲田大学の女性同窓会 から奨学金を受けたそうです。すばらしいことですね。このような若者の双方向の交流がもっともっと増えるとうれしいです。

ソウル最後の16日。朝はホテルのExecutive Loungeで、時々電話で話をしている中田 力さん資料1)とばったり。一昨日ソウルに到着、今日帰京するとか、こんなこともあるのですね。これも旅の楽しさの一部です。久しぶりなので、しばらく話が弾みました。

昼食は韓国Han Seung-Sooさんと。韓国政府の歴代の大臣を務め、国際舞台でも良く知られ、国連総会議長(その就任式典の朝にNYCで9/11 が起こった、、)も勤められた大人物、元は経済学者、ソウル大学教授などでもありました。

国連総会議長としての1年の記録を著書「Beyond the Shadow of 9/11」 にしておられます。すばらしい記録で、外交、国連などに関係したい方には特にお勧めです。

日韓はお隣どうし、1,500年以上も前から歴史的にも経済、政治、文化などなど深いつながりがあります。世界がグローバルしていく中で、一番大事なパートナーです。「大きな枠組みで、大きく変化している世界の中のこの2つのお隣同士の国」という認識で、考えていくことが大事です。

これは、前回報告した私のソウル大学での講演の骨子でもありました。