以前にも紹介しましたが、化粧品会社として著名なL’Orealは、「For Women in Science」(ここのウェブサイトはなかなか綺麗ですので、いろいろ探索してみて下さい)というプログラムをUNESCOと共同で主宰し、世界にその存在感を示しています。このプログラムは今年で10周年を迎え、この春パリで、今までの受賞者たちをお迎えしてお祝いの会がありました。
日本でも3年前から国内の若手女性研究者を表彰する企画が始まりました。去年もこの表彰式と祝賀会に出席したのですが、今年も素晴らしい方たちが表彰され、式にはご家族、指導をされた先生や研究者仲間たちも出席して、とても素敵なお祝いの会になり、うれしい気持ちになりました。
今年は4人の素晴らしい方たちが選ばれました。晴れやかで、また楽しいひと時を皆さんで共有することができました。
女性誌の「Marie Claire」も活動に参加し、受賞された皆さんには赤いバラのブーケ(写真)が手渡されました。2日前に沖縄でご一緒した大隅典子さん、そしてやはり高名な科学者である大隅さんのお母さまにも、お会いしました。
レセプションでは内閣府男女共同参画担当の坂東局長が、日本の科学者で、女性の割合がOECD諸国で最低であることなどについて述べられ、エールが送られました。私は乾杯の音頭を任されたのですが、日本では女性の開発指数(Gender Development Index)は世界でトップ10内なのに、女性の社会進出(Gender Empowerment Index)は世界70数国でも40番程度と低いこと、この差は実力主義でないオトコ社会であること、そして、今回の北京のOlympicでの野球とソフトボールの日本選手の違い、そしてサッカー、レスリング、柔道などに、日本の男子と女子の根本的な違いが見てとれはしないか、という話をしました。皆さんも考えてみてください。ここに日本社会の問題があるのも事実と思うのです。
受賞者の皆さん、ご家族の皆さん、支えあった研究仲間の皆さん、審査に関わった先生方、その他関係者すべての方々に、おめでとうと言いたいですね。
しかし、このような賞を作るところに、世界企業の戦略が見えますね。受賞者の一人ひとりが、これからの長い間、L’Orealの大使として、国内ばかりでなく、広い世界にスポンサー企業の広告塔として、世界の女性の心をつかみ、男性の心を動かす、素晴らしい役目を果たしてくれるのです。これほど素敵で、美しい広告媒体はなかなかないと思います。日本企業も、もっともっとこのような視点で社会貢献を考えてもらいたいと思います。これこそが、企業の社会的責任(CSR)なのですよ。