素敵な若者の会「プロジェクト13%」の講演

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私の友人の一人に渋沢健さんという方がいます。最近人気の渋沢栄一の5代目で、UCLAのAndersen Business Schoolでも学んだビジネスマンです。彼のブログ、「オルタナティブ投資日記」「渋沢栄一の『論語と算盤』を今、考える」等、情報発信の量は相当なものですし、最近では渋沢栄一の思想に関する本もいくつか出版しています。Amazon等で調べてみてください。

少し前になりますが、9月9日(日)の午後、この渋沢さんが主宰する“プロジェクト13%”に呼ばれて、六本木にある由緒正しい国際文化会館でお話しました。集まった人たちは150人ほど。まず一見して若い人たち、そして女性が多かったです。多くは起業家たちで、これは日本で行なわれている多くの講演会では珍しいことです。先日紹介したRedHerringの時とは少し違う層のように感じましたが、多くは同様のスピリットを持った方たちと見受けしました。

私の基調講演から始まったのですが、最初に「40歳以上の人は手を挙げて」といったところ、約30%がそうでした。そして女性は約40%で、このことにもコメントしてイノベーションの話を始めました。

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写真1 私の講演。日曜の午後はカジュアルで。

私の後は、五百旗頭薫(東京大学)、西澤直子(慶応義塾)、島田昌和(文京学院大学)の、気鋭の若手学者3名によるパネルで、始めに、五百旗頭さんが「大隈重信」、西澤さんが「福澤諭吉」、そして島田さんが「渋沢栄一」について、一人ずつこれらの偉大な先人達を紹介し、見解を述べ、そしてパネルに入るといった流れでした(写真2)。このような若く、情熱あふれる学者のいることは、とても嬉しいことです。大隈重信について話をされた五百旗頭さんは、8月のブログでご紹介した、神戸大学教授から防衛大学校校長に就任された五百旗頭真(いおきべまこと)先生のご子息でした。苗字がかなり珍しいですし、学問分野も近かったので、そうではないかなと思っていました。皆、素晴らしかったですが、ちょっと時間が足りなかったですかね。

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写真2 パネルの様子。左から五百旗頭さん、西澤さん、島田さん、司会は小笹俊一さん(ブルームバーグTV)。

最後は、渋沢さんと最近何度かご紹介している多摩大学大学院教授の田坂広志さんの対談でした。

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写真3  田坂さん(左)と渋沢さんの対談。

素晴らしい晴天の日曜日の午後、燦々とした太陽の光の中で輝く素敵な樹木の自然に囲まれた庭園をみながら、久し振りに気分のよい、会合でした。

いろいろな方にお会いしました。皆さんとてもハッピーな午後を過ごしたようです。

今回のプロジェクト 13%のセミナーについては、たくさんのブログで紹介されているのでいくつか紹介します。

 「クロスワイズ代表取締役です☆」

 「港区ではたらく女社長のblog」

 「Capriのゆる~い日記」

 「team_yama with Toshi」

など。

元気いっぱいな人たちなので嬉しくなります。

参加された皆さん、元気でね。

また、次の機会に。

大連から、New World Championsに出席して

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9月5日から8日まで、大連に行ってきました。

いわゆるダボス会議(World Economic Forum-WEF)の主宰する“New World Champions”という会議です。毎年1月に開催されるダボス会議には7年連続で出席していますし、WEFの主宰するその他の会議にもいくつか出ています。このブログを読んでくれている方たちには結構おなじみかと思います。今年1月のダボス会議6月のSingaporeでの会議など、お伝えしているとおりです。大連では、とても大きな会場でした。

今回はアジアを中心に90ヵ国から1,700人ほどの世界のリーダーが集まり大盛会でした。特に若手、また新しい企業などの参加が多く、大変な賑わいでした。日本からは川口順子さん、古川元久さん、浅尾慶一郎さんなどの政治家や、大学関係では竹中平蔵さん、立命館大の永田理事長、石倉洋子さん等々。また朝日新聞主筆の船橋洋一さんや環境省の田村事務次官など、ビジネスの方々が中心ではありましたが、広い範囲で社会のStakeholdersが参加されていました。最近、このサイトでご紹介した田坂広志さんや藤沢久美さんにもお会いしました。

Dalien20070908001_2写真1 会場入り口でWEFのGeneva本部 日本担当の坪内さんと

Dalien20070908002写真2 左からWEF会議アジア総括のLee Howell、Geneva本部 日本担当の土屋君、石倉さん、私、竹中さん

Dalien20070908003写真3 左から朝日新聞論説委員の高成田享さん、私、主筆の船橋洋一さん

私は2つのパネルにパネリストとして参加しました。1つは「The Transformative Potential of Science and Technology in Asia」というパネルで、webcastで見ることができます。このセッションの司会をされたGravesさんは以前、今は花形政治家の一人の小池百合子さんと、サンヨー電気の会長にもなって話題となった野中ともよさんをキャスターとして使った番組の制作に関わっていた方です。会議の後もメールのやり取りをしています。中国の科学技術大臣Wan Gangさんはもともと科学者で大学学長もなさった方です。ご意見も素晴らしいものでした。www.weforum.orgのサイトで調べてください。

また、私たちの仲間の近藤ジェームス、古川民主党議員、中田横浜市長、伊藤忠の千野さん、そして日本のWEFのYoung Global Leadersたちの企画で始まった「Table for Two」の広報活動も活発で、この会議中に世界へのプレスリリースも行われました。素晴らしいことです。先進国の肥満、糖尿病などの栄養過多の余剰を、食べ物もろくに取れない貧困地域の子供たちに、WFP(World Food Program)を通じて提供しようという画期的な発想に基づいた、実践的なプログラムです。多くの国内企業、国際企業に参加していただきたいですし、そのような企業をご紹介ください。このプログラムへの私の支援メッセージも読んでください。

Dalien20070908004写真4 民主党の古川議員と私、“Table for Two”のポスターの前で

第2日目の夜のレセプションには温家宝首相がご挨拶に来られ、引き続いてテンポのいい素晴らしい数多くのショーが次々と繰り出されました

Dalien20070908005写真5 レセプションでの聴力障害の若者たちによる「千手観音」。本当に素晴らしい、日本でもテレビで見た方もいるでしょう。

Dalien20070908006写真6 レセプションのショーの1つ

私が参加した2つ目のパネルは、ディナーでのエネルギーのセッションです。楽しかったですね。私の核エネルギーに関する意見をとても支持してくれた、米国Securities and Exchange Commission(SEC)の元Commissionerで、20年ほど前には東京証券取引所を何度も訪問されていたというLady Barbara Thomas Judgeと1年ぶりの再会をしました。彼女とは昨年11月に北京で行なわれたBusinessWeek CEO Forumで一緒のパネルに参加しています。

Dalien20070908007写真7 Lady Judge、私、石倉さん

Dalien20070908008写真8 曹教授(大連出身で、立命館アジア太平洋で教鞭をとっていました)、永田理事長、私、JETROの塚本理事

いろいろな新しい出会いがあり、再会があり、友人の輪が広がり、ダイナミックなエネルギーに触れ、本当に刺激的な3日間でした。またたくさんの刺激を得ることができましたね。こうした私たちの参加活動が、日本から参加した若い人たちにそれなりの刺激を与えているようで嬉しいです。いつも発言しているように、将来は若い人たちのためにあるのですから。

Dalien20070908009写真9 日本レセプションでWEF会長Schwab教授夫妻と私

大連の町はきれいです。日本がインフラを構築したこともあってか、大歓迎してくれます。あれが、満鉄の本社、あれが満鉄の研究所ですよ、とか教えてくれます。立派に維持され、町の中心にあります。日本企業も4,000社ほどあるそうで、経済、雇用の拡大等への日本の貢献は相当なものと思います。ホテルなどではほとんどの現地スタッフが日本語をしゃべります。

8日は朝5時半に起床。8時の飛行便で中部国際空港へ。そこから名鉄で名古屋駅に向かい、新幹線で東京へ。15時には日本腎臓学会発足50周年の記念講演会の会場に到着し、話をさせていただきました。その後、すぐに日本学術会議に向かい、毎年開催している「持続可能な社会」国際会議の第2日目に参加。18時から最後の締めくくりの講演をさせていただきました。

いやはや、忙しく飛び回っています。

イノベーションジャパン2007での基調講演、そして驚愕ニュース「総理退任」

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9月12日、東京国際フォ―ラムで開催された「イノベーションジャパン2007」でパネルの基調講演をしました。13時から30分ほどお話しましたが、概略は先日の「GIES2007」ブログはこちら)やHelsinkiブログはこちら)で、それぞれ日本語と英語で話したものとほぼ同じで、スライドも大体同じです。それぞれのサイトに掲載されているので、読んで、見て、聞いてください。

さて、パネルの基調講演が始ったのはまさに安倍総理が辞任を発表したときで、その後のパネルの最中に司会をされていたNEDOの橋本正洋さんが上手に発表してくれました。

パネリストは総合科学技術会議の原山優子さん、我が国を代表する、異能で、有能で、明確に「出る杭」のイノベーターたちといえる東大先端研所長だった光触媒の橋本和仁さん、阪大教授でAngesの森下竜一さん、そして、NECからスピンアウトして素晴らしいLaser技術で起業した、これも「変人」と思われているCyber-Laserの関田仁志さん等で、素晴らしいパネルでした。これらのパネルや会場の様子は、いつものことですが、よりすぐれた描写で描かれている出口さんのサイトを訪ねてみてください。

会場では主に大学発ベンチャーの展示を見て回りました。日本女子大学 小舘香椎子教授のグループの女子学生たちの展示などなど。いつも言っているように、女性の活躍は世界レベルでの課題であり、楽しみでもあり、特に日本にとってはとても大事な課題なのです。

研究の成果には多くの素晴らしい「ネタ」がありますが、これらを事業化するのは「起業家」精神あふれる投資家、事業家が必要です。研究者の多くは投資家への説明も下手で、勿論、事業化の経験も、知識もないのです。ここが日本の課題です。この点では、最近の冨山和彦さんの著書「会社は頭から腐る」は実体験からのお話で、身につまされる点からも参考になるでしょう。ぜひ読んでください。

城山三郎さんのこと

偉大な作家、反骨精神にあふれた作家、城山三郎さんが今年3月22日にお亡くなりになりました。この2ヵ月間ほど、城山さんの精神、業績をたたえ、偲ぶ記事が多く見られました。城山さんの書くような立派なリーダーがいなくなったことを嘆いているように感じられます。そのとおりなのではないでしょうか。

実は、城山三郎さんは以前、私のことも書いてくださっています。

文芸春秋のシリーズで、私がまだアメリカにいたころのことです。城山さんが私の話を聞きたいと、ロサンゼルスに訪ねてこられたのです。その時は本当にびっくりして、ご当地には本当に立派な方がたくさんおられる、特に日系の方たちは本当に苦労され、戦争中は財産を没収され、マンザナなどの日本人強制収容所に収容されて苦労されながら、それでも成功し、戦後の日本の復興に多くの支援の手を差し伸べた方々が多いことを話しました。そして、和田フレッド勇さんをご紹介しました。城山さんはとても喜ばれて、和田さんのことも私のことと一緒に文芸春秋に書いてくださいましたし、私が日本に帰国したばかりの昭和59年に、和田さんが吉川英治文化賞受賞されたときも、城山さんのご推薦があったと聞きました。本当に嬉しかったです。和田さんもこの受賞を本当に喜んでいました。和田さんとは帰国した後も、東京やロスで折りに触れ何度もお会いしていました。2001年にお亡くなりになられましたが、本当にすばらしい方でした。

この城山さんの文芸春秋のシリーズは後に単行本になり、さらに文庫本になりました。1987年7月に出版された「アメリカ生きがいの旅」(文春文庫 刊)で、私のことが書かれている部分があります。その一部を紹介します。

 「アメリカ生きがいの旅」 城山三郎著 pp63-70(文春文庫 1987年7月)より

EUの科学政策-FP7-について

EUではFranmework Programmeという科学政策を進めていますが、今回その第7版となりました。域内の学生のモビリティーをさらに促進するなどの施策が入れ込んであります。これについてインタービューを受けました。http://ec.europa.eu/research/rtdinfo/special_fp7/fp7/04/article_fp728_en.htmlで見ることができます。

2007年9月

第16回 横幹フォーラム
日程: 2007年9月4日(火)
会場: キャンパス・イノベーションセンター 国際会議場
演題: 「イノベーション25 戦略の概要と今後の作戦」

日本腎臓学会創立50周年記念式典
日程: 2007年9月8日(土)
会場: 東京国際フォーラム
演題: 「日本腎臓学会50年の歩み」

プロジェクト13%フォーラム
-日の出ずる社会の豊かさを実現する資本主義のイノベーション会議-

日程: 2007年9月9日(日)
会場: 東京国際文化会館
演題: 「21世紀の日本のイノベーション」

イノベーション・ジャパン2007 - フォーラム
日程: 2007年9月12日(水)
会場: 東京国際フォーラム
パネルディスカッション: 「イノベーション立国の実現に向けて」

Bio Japan 2007
日程: 2007年9月19日(水)
会場: パシフィコ横浜会議センター
演題: 「バイオ技術におけるイノベーション:どこへ向かうのか?」

日本オペレーションズ・リサーチ学会 創立50周年記念講演会
「ORの新展開-さらなる変革と融合と発展を目指して-」
日程: 2007年9月26日(水)
会場: 政策研究大学院大学(六本木キャンパス)
演題: 「イノベーション」

ヘルシンキから

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フィンランドに関しては、1991年にソ連が崩壊し、この国が一番ひどい状態だったときに大統領を務めたAhoさんとの付き合いがあります。この春に、ご本人から突然の電話があり、彼がPresidentを務めるSITRAが毎年開催している会議に参加して欲しいという要請でした。もちろん喜んでお引き受けしました。6月にはSt. Petersburgの会議でもお会いした、世界のリーダーのお一人です。今回は、その会議でHelsinkiにきました。

写真1  ホテル前の公園で
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Helsinkiは国際生理学会以来ですから10数年ぶりでしょうか。当時は宮川さんが大使をされていて、松田さんがDenmark大使でした。お二人は私がUCLA在任中にLos Angelesの総領事だったこともあり、知己を得ていただいていましたので、両方にお誘いを受け、お邪魔したのでよく覚えているのです。Helsinkiは落ち着きのある、きれいな街です。この辺りは大きな岩が目立ちますね。人口はHelsinki市内で50万、郊外を入れて100万ということです。到着した夜は本田大使のお招きで、坂元一等書記官と大使公邸での会食でした。

翌日は、6月27日のブログで紹介した「Global Innovation Ecosystem」のワークショップに参加のため、6月に1ヵ月ほど、ご家族(奥様とお子様2人。奥様はプロのバレーダンサーで、今は民族的背景を学びながら創作舞踊に携わっているそうです。)で東京にいらっしゃったTeppo Turkkiさん(写真2)と一緒に、芸術、デザイン、演劇を教えているUniversity of Art and Design HelsinkiThe Theatre Academyを訪問しました(写真3)。Finlandの人はデザインや演劇等の活動がとても好きらしく、大事にしているそうす。とても人気があります。大学の授業料は無料で、これは留学生でも同じことだそうです。恵まれた環境ですよね。日本や中国、韓国からの学生もいるそうです。

Helsinki002写真2  Turkkiさんと

Helsinki003写真3  アカデミーの学長さんと(勿論、後ろのポスターが話題になりました)

ところで、Teppoさんは日本訪問の報告をいくつかSITRAのウェブサイトに掲載しています。最近のものはまだFinland語なので、読めないのがちょっと残念です。英語でも読めるように、お願いしておきました。最近のマンガ「クール」など、日本の文化について本も書かれていますが、これもFinland語です。

夕方からは明日の会議の打ち合わせ。今回のテーマが「アジアとの課題: India, China, Japan」で演者がDr. Ramasami(Secretary to the Government, Department of Science and Technology)とDr. Jun Yu(Beijing Genomics Institute, Chinese Academy of Sciences)、そして私でした。

夜は、船で5分ほどのところにある島のレストランで、夕日を見ながらの楽しい夕食となりました(写真4~6)。10センチほどの茹でた“ザリガニ”が出ましたが、Ahoさんに扱い方を教わって、8匹ほど“捌き、頂き”ました。

NokiaのDr. Erkki Ormalaさん(Vice President of Technology Policy)も一緒でした。携帯電話の世界シェアはNokia 38%、Motorola 14%、Samsung 13%、Sony-Erikson 11%で、日本のメーカーは10数社合わせても一桁です。しかも、通話料金は日本が一番高いのですね。どこに問題があるか分かりますか?本当に考えさせられますね。

Helsinki004写真4  レストランでAhoさんと

Helsinki005 写真5・6  レストランから見た外、そして夕暮れ

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翌日の午前中はHelsinkiの街を案内していただきました(写真7~10)。午後に始まった会議では、まずトップに30分ほどお話し、他の2人の講演を聞きました。飛行機の時間があったので、その後のパネルは失礼して飛行場ヘと向かい、帰路につきました。皆さん喜んでくれたと思います。

会議の内容は全てSITRAのウェブサイトで見ることができます。もうウェブキャストで見られるのですから、早いですよね。情報時代のインパクトを感じます。これを利用するかどうかが勝負ですね。これが私のメッセージです。

Helsinki007写真7  歴史的長距離ランナーのヌルミ像のまえで(Olympic長距離で9つの金、3つの銀メダルをとった伝説のランナーです

Helsinki008写真8  シベリウス像と記念モニュメント

Helsinki009 写真9  岩窟を掘った教会

Helsinki010 写真10  街の中心の広場にあるカテドラルの前で

翌朝、関西空港経由で羽田に到着し、午後から文部科学省の「World Premier International Research Center(WPI) Initiative」のヒアリングに参加しました。夜はドイツ大使館で来日中のMerkelさんとの夕食でした。明日もWPIのヒアリングが続きます。

再びシンガポールから

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8月9日の夜にニューデリー発ち、10日の朝、シンガポールに到着しました。4月に続いて、シンガポールの科学技術のセンターといえるA*STAR4月のブログでも紹介しています)の、年に3回開催される理事会です。

インドから到着した日はちょうどシンガポールの建国記念日で、夜には盛大な祝賀会、大掛かりなショーがありました。ホテルからも一部みえましたが、テレビでもライブで放映していました。

翌日がA*STARの理事会でしたが、みな国際的なリーダーばかりで、議論は白熱しました。皆さん本気で若く素晴らしい人材を育て、選抜し、国際的なリーダーにしたいという気持ちで溢れかえっていて、ちょっと日本では考えられないようなオープンで建設的な意見交換が行なわれます。国ができるだけそれらのうちの優れた提言を実現しようと対応するので、様々なプログラムの進捗状況や評価などもオープンで、建設的で、刺激的。したがって素晴らしい理事会だといえます。勿論、事務局が資料をそろえるのですが、あくまでも理事会の議論を踏まえて、どんどん進めていこうという政府の強い意志と実行力が感じられます。どこかの国とはかなり違います。

先日、東京で一緒だったGates財団のDr. Yamada(4月20日8月16日に紹介しています)や、今回初めてですがMotorolaのCTO、Ms. Padmasree Warriorさん(インドの方で、あの有名なIITを卒業されています。)にもお目にかかれました。先日紹介したGlobal FundのRajat GuptaさんもIITの卒業生だったので、話が弾みました。

しかし、国籍を問わず、優秀な若者を呼びよせ、若い人たちが活躍する場を作ろうという議論の躍動感はたまらないものがありますね。こちらも力が入ってしまいます。

11日の朝に成田に着きました。

イノベーションがつくる2025年の社会を展望して-イノベーターが未来を創る-

2007年5月23日に開催された、第41回「JATES通常総会」での特別記念講演の内容です。

 イノベーションがつくる2025年の社会を展望して-イノベーターが未来を創る-

出典: 「技術と経済」(2007年9月号)

ニューデリー、インド厚生大臣の国際諮問会議へ

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前回はGates財団とDr. Yamadaの話を報告しましたが、その翌日5日にはNew Delhiへ飛びました。

今回の訪問は、3月に紹介したJeffrey Sachs教授達と、6日、7日の2日間に渡って開催されるインド厚生大臣の国際諮問会議の一員としての訪問で、農村部の保健医療行政(Rural Health)についてのヒアリングと意見交換が主な目的です。

このプログラムとパネルのメンバーはMV Projectのサイトの“Agenda and Meeting Presentations”のとおりですが、私の事務所の坂野(ばんの)君(写真1)も参加しました。彼は9月からHarvardのSchool of Public HealthのMaster courseへ留学しますが、その直前に世界の各分野を代表するトップの方々に会うことができた、と言って喜んでいました。

Sachsさんの本務はColumbia UniversityのThe Earth Instituteの所長です。近々また本が出版されるそうですが、本当によくがんばりますね。すごいエネルギーです。

諮問会議では、Mrs. Sachs(写真2:3月13日のブログでも紹介しましたが、Nobel医学生理学賞のPaul Ehrlichは彼女の大叔父さん。Ehrlichの弟子の秦佐八郎が感染症(スピロヘータ)に効く初めての人工化合物“salvarsan”を発見したのです)や、去年のDCPP 2nd edition「世界の健康政策」(2006/4/2))をDean Jamisonとともにまとめ、その発表の時に北京でお会いしたDr. Jaime Sepulveda(写真3:「ナイロビから ~立派なリーダーを知ること」(2006/6/30)でも紹介した、前厚生大臣のJulio FrenkとともにMexicoの医療政策のブレインです)にも久し振りにお会いしました。ちなみに彼は8月からGates財団に移るそうです。

また、つい最近「Global Fund」の理事長に選出された元McKinseyのRajat Guptaさんに会えたのもよかったです。(Global Fundは2000年の沖縄サミットで日本の提案によって設立されました。ここでも日本のイニシアティブは素晴らしいのですが・・・)

しかし、貧困で電気もろくにない困難を乗り越えようと、よくがんばっていますね。私と一緒にWHOのCommissionerをしているMirai Chatterjeeさん達が考えた、ASHAという村での女性の活躍を支援するプログラムはずいぶんと成果をあげているようです

翌日は朝から5時間ほど厚生大臣のDr. Ramadossと議論をしましたが、細部まで本当によくご存知で感心しました(写真4、5)。それもそのはずで、医師ですが、もともと農村の保健衛生をテーマとしていて、若干37歳で厚生大臣に就任し、今年で3年目です。経済成長も見込めて予算も増えていくでしょうから、課題は山積みですが、時間はかかっても、いい方向に動いていくと思います。

ところで、インドでは32州のうち8つの州で(もっと広い範囲だそうですが・・・)、水に含まれるフッ素の量が多く、中毒者が数百万人いると言われています。また3つの州では水からの砒素中毒が多いということで、これは本当に悲惨なことです。砒素といえばBangladeshでの中毒がよく知られていますが、同じ原因ですね。

9日、夜の便でシンガポールへ向かいました。

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写真1: 坂野君、Dr. Roger Glass(NIH Fogerty Intl Center)、私

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写真2: Dr. Sonia Erhlich Sachs、Mrs. Joanna Rubinstein(NY Academy of ScienceのEllis Rubinsteinの奥さんで、J. SachsのChief of Staff)、そして私

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写真3: 左から、Dr. Glass、 J. Rubinstein、J. Sachs、J. Sepulveda、(?)、そして私

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写真4: 左から、私、R. Gupta、(?)、厚生大臣

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写真5: Columbia U. The Earth InstituteのN. Bajpai、私、J. Sachs