ダボスから -2

→English

ダボス、2日目も快晴。朝早くからGAC(Global Agenda Council)の「Japan」の朝食会。若い方達YGL(Young Global Leaders)の方々の参加もあるので、20人ほどですが、全員が日本の方ばかりで、日本語で議論が進みました。初めての方もおられるて、私が座長なので、このCouncilだけが全員日本語(ほとんど日本人ばかりと在日の米国の方たち)を話す方達ばかりで、このようなCouncil は唯一であることを、まず英語でお話しました。皆さんビックリしたかもしれませんが、Ice breakingでよかったです、とあとでいわれました。29日には総理もこられるので、もちろん話題の中心です。

午前は、いくつかのセッションに出た後、Indonesia のYudhoyono大統領とFrance のSarkozy大統領のスピーチ。Indonesiaは民主的に選出された大統領の下、地方分権、思い切った人材採用など、この数年8%の成長です。今年のASEANのホストでもあり、立派なスピーチでした。リーダーの立派な演説は、いつも心に響く ものです。

昼からは例年のことですが化学工業大企業のGovernors会議にゲストとして出席。例年のことですが、今年は、三菱化学の小林さん、テイジンの大八木さんなどが参加され、面白い議論が聞けました。私もShale Oil、「Global to Local」などについていくつかコメントさせてもらいました。企業トップとの話はこれもなかなか勉強になります。

夜は、Japan Night, Korea Night, Indonesia Nightとはしご。Indonesiaが会場としては1番良かったですが、10時すぎに伺ったので、人が少なめでちょっと残念。Japan Nightが一番盛況でした。これはプラス。

でもどうも国内ではS&Pの国の格付けで日本が「AAからAA-」へということで、ちょっとした騒ぎもあったようですね。これについては1年ほど前ですが、私のblogでもコメントしています。前回は、日本のメデイアではあまり取り上げられなかったようですが、今回はどうでしょう。総理のコメントもちょっと取り上げられていましたが、、、。

寝付かれないような気分で、眠ることに、、。

ACCJ 2010 Person of the Year、なぜわたしが?

→English

ACCJとは「American Chamber of Commerce in Japan」 の略で、「日本にある米国商工会議所」です。多くの国に、そのような組織があるのは当然です。2国間交流のなかでも、ビジネスや産業界の交流は双方にとって経済の根幹ですから。何回か講演の機会もいだきました。

いくつもの政策提言などを発表するのも1つの大事な機能です。最近では、日本の成長戦略健康政策などへの提言を発表しています。

しかし、私はビジネスマンではありませんし、この連絡を受けたときは、本当のところびっくりしました。でも、お話を聞くと、日常的に私のしていること、発言していることの根幹は、日本を世界へ開かれた国にすること、激変するグローバル世界に,日本と将来を担う若者の育成に最も重点を置いていたことなどを高く評価していただいた様でした。このような活動は、私は教育の世界にいるのですから当然のことですけどね。

私のインタービュー記事資料1) も読むことができます。かなり辛らつと感じられる方も多いかもしれませんが、これらは私が医師という日本の組織に関係のない「個人の資格」で、15年ほどの在米から1980年代中ごろに帰国してから常日頃から言っていたことであり。このサイトや、多くの著書 、エッセイなどでも発信していることです。

いろいろご意見はあると思いますが、これは個人への批判でもなんでもなくて、私が日ごろから懸念している日本への発言の趣旨とほぼ一致していると思います。

わたしをこんな人間であると認識して選んでくれたACCJに感謝しています。そして、これを名誉ではなく、私に与えられた1つの任務として、日米ばかりでなく、日本と世界をつなぐことで、ACCJの活動を通して、私が出来ることをしていこう、と考えています。例えば、`今までの大学での活動や「Think Tank」 強化のほかにも、最近立ち上げた「Impact Japan」 の活動とか、いろいろ考えられます。

この「事件」について何人の方達からメールを頂き、石倉洋子さんがblog で紹介してくれました。

ACCJを拠点に1つ新しい任務が出来たみたいで、ワクワクしています。

教育デイベート: 渋沢さんたち「コモンズ30ファンド」設立2周年で

→English

1月19日、慶応SFC最後の授業を終えて(後で紹介します)、夕方から私の友人の一人渋沢さんが始めた「コモンズ30ファンド」設立2周年の会のパネルに参加しました。

パネルは渋沢 健さんの司会によって、ベネッセのCFO、Corporate Communication本部長の福原賢一さんと私の対話 (これは知っていたのですが、、)、しかもテーマが「教育」。これは私のテリトリーではないか!

福原さんのスライドを使った「ガラパゴス島からの脱出」と題して、実は、「日本の教育」もガラパゴス化している!、、、との強いメッセージがありました。強烈ですね。そして、最近おなじみの「若者の内向き」の話題となりました。

これを引き取って、私が、「若者ではない、親の世代、その上の世代も内向きだ」(資料1)、とこのほぼ1-2ヶ月集中して発信しているメッセージをお話しました。

この刺激的なパネルはUStreamで見れます。ちょっと恥ずかしいですけどね。でも、若者の将来が一番大事ですから。

何事も、まずことの本質を俯瞰的に見る、考えることです。

PS; 早くもいくつかのblog 資料1) に出ていました。コメントがうれしい。

 

 

「若者は内向き」なの? では大人たちは?

→English

このところ、「内向きの若者」という意見がメデイアなど、そこかしこで見られるようになっています。

本当でしょうか?このサイトでも1月12日付けで書きましたがそんなことはない、さらにほかにも「そんなことはないのでは?」 という意見が出てきています。

1月12日でも書いてあるように、「いまどきの若者の親の世代」を囲む日本の社会状況や、「それよりも上の世代」にしても、自分で決断し、自分で退路を絶って海外へ出かけた方(特に男性)はそれほど多くはないと思います。

経済成長していた1960-90年の間、そしてその後でも、多くの方達は、社命や、役所からの留学、海外駐在が多かったのでしょう。そして、多くは数年で帰国するなりしています。自分の決定で滞在している海外ではないのです。言うなれば、何年海外にいても基本的には「出張」なのです。

Harvard Kennedy Schoolの栗原さんも最近の「Cambridge Gazette」で、同じような見解、体験を発信しています。皆が心配しているのです。(今回の「Harvard Gazette」は少し長めなので、まず最後の編集後記から読むのも面白いと思います。)

若者のことには意見を言っても自分たちのことはタナに上げている。若者たちは直感的に「そうかな?」、と気が付いているのでは、と思います。この点については、白洲次郎も指摘 しています。

若者を励まし、応援することこそが、大人たちの役目です。

St Gallen Symposiumへ参加、チャレンジしてみよう

→English

Swissの風光明媚なSt Gallenの町。St Gallen大学の学生たちが主催するSt Gallen Symposium が、5月12-13日に開催されます。素晴らしい場所で、世界のリーダーたちの話を聞き、個人的にも近しくお話しできる機会です。多くの学生さんたちと新しい友人が出来るでしょう。

私も2度ほど参加 (資料1)しましたが、いろいろ出来ることで応援しています。40年の伝統のある素晴らしい企画ですし、ぜひ皆さんにも参加できるといいな、と思います。

今年も、そのような機会があります。いつものことですが、エッセイを書いて応募するのです、英語ですが。

石倉洋子さんのblog (資料1)でも紹介されていますので、訪ねてください。

集中して、考え、書いてみる。何事も挑戦しなければ、得られないのです。応募の詳細は、ここを見てください。締め切りが近い(2月1日)のですが、大丈夫。

ぜひチャレンジして見ましょう。

 

「休学のすすめ: 海外出る若者 応援しよう」

→English

去年1年、機会のあるごとに「休学のすすめ」 を学生さん中心に提案してきました。若者反応は悪くないです。少しずつですが広がりを見せているように思いますが、「朝日新聞」に投稿しました。これが1月14日の朝刊「私の視点」に掲載されました。

きわめて限られたスペースで、以下のように、話は進みます。このタイトルが、このカラムのタイトルです。ゲラ段階で修正できなかた所も2,3ありますが、皆さんで、メール、blog、twitterなどでも広げていただけるとうれしいです。

若者は決して内向き (資料1)ではありません。「若者は社会を映すかがみ」なのです。

政府も、企業も、教育機関もしっかりしてください。若者こそが日本の将来を担う人材、人財なのですから。

「私の視点」

■ 「大学の学部生のうちに、休学してでも海外に出て見聞を広めてほしい。かねて、そんな「休学のすすめ」を訴えてきた。

■ どんな分野であろうと、リーダーになるには幅広い人脈がものをいう。さらにグローバル化が進むこれからの時代には、若いときに独立した個人として「同じ釜の飯」を食べた外国人の友人たちは、その後の人生の貴重な財産となるからだ。

■ 大学に短期留学するもよし。途上国でNGOの活動に加わるもよし。海外企業でインターンシップを経験するのも意義があろう。ところが、いまの日本には、「海外に出てみよう」という若者を後押しする体制がきわめて心もとない。私にメールをくれたり、会いに来たりする学生たちが真っ先に気にするのは授業料の問題である。

■ 国公立大学だと休学中は授業料が免除されるが、私立大学は授業料を支払わせる場合があるようだ。人材を育成するはずの大学が経営を優先しているようにも見える。実に情けなく、嘆かわしい。休学している間は授業料を免除できないものか。行政ももっと関心を持って取り組んでほしい。

■ 問題は授業料だけではない。海外の大学との単位の互換や一定期間の転校など、海外での経験を復学後の実績として生かせるようなシステムも充実させるべきだ。大学はどう考えているのだろうか。

■ 若者のみなさんにも注文したい。内向きになるのではなく、海外に飛び出してみるというチャレンジ精神をもっと持とう。バブル崩壊後、若者も親も安全で安定した人生を第一に考えるあまり、海外留学のリスクを避けるようになってはいないか。

■ 大学3年生になるとシューカツ(就活)に走り回り、少しでも早く、一つでも多く内定を取ることに血道をあげる。グローバルな人材など育ちようもない。すでに国際的な政治や経済、外交における日本の存在感が薄れつつあるというのに、次世代の人材まで育っていないようでは地盤沈下を止められない。そんな危機感を抱く。

■ 各国の若者は、優れた人材が輩出してきた欧米の名だたる大学に果敢にチャレンジしている。質のいい教育を受けられるのはもちろん、国籍や人種を超えた交友のネットワークを広げられる。歴史や文化の背景が異なる仲間たちに刺激されれば、自分のやりたいことや目標も見えてくるだろう。個人のキャリアの利益になるだけではない。グローバルな人材は、その国の政治や経済、社会の根幹となり、国の将来をも左右する。それが世界の常識だ。

■ 日本の将来を背負う若者の背中を押し、どんどん武者修行してもらう。大学も企業も親も、社会全体でそういう意識を共有しなければならない。休学して海外に出る若者をみんなで応援することが「人財」を育て、日本の将来を明るくする。」

2011年1月14日(金)朝日新聞19面より

 

休学のすすめー若者は内向きなの?

→English

このところ、「内向き日本の若者」がメデイアにも盛んに書かれています。本当でしょうか?

先日のある講演会でもそのような話が出ていましたが、私の見方はちょっと違うな、と話しました。慶応SFCでも話したことですが、今回は要旨を大きくまとめJSTの小岩井さんが書いてくれたので紹介します。「休学のすすめ-日本が求める人材とは」というタイトルです。

一方で、この問題について意見はいろいろ出ています。当然のことです。『「若者は内向き」の欺瞞』資料1, 2)の意見は、私もその通りだと思います。

グローバル時代の日本の大学資料1) はどうなのか、大企業の採用制度(学部3年生で内定など)(参考:パソナ)はどうなのか、などなど、従来の慣行から変われない組織が多いですね。

いつも言っているように、大学生の親の世代、その上の世代でさえも「独立」した「個人」で海外に行った人は極めて少ないだろうと思います。企業から、役所からの留学資料1)、出張だった方達が多いはずです。

将来ある若者にこそ、もっともっと「個人」の資格で、短期でもいいので「外の世界」を見る、感じる、自分を見つめるなどの機会を増やすなどしながら、自分を探し、一人ひとりのネットワークを作り、変わっていく世界を見据えたキャリアを開拓していく応援をしたいものです。

やはり、今のところは「休学のすすめ」(資料1)でしょうか。

慶応SFCのクラス、土屋アキラさん、小手川大助さんをお迎えする。

→English

私が、慶応義塾大学SFCキャンパスで2010年秋学期クラスを持っていることは、何回か (資料1)お知らせしました。

土屋 聡(アキラ)さんはSFCの卒業生、Harvard, Columbia, Georgetownの大学院で学び、この何年かはWorld Economic Forum、通称「Davos」会議のGeneve本部と日本の事務局と掛け持ちでがんばっています。もう10年近いお付き合いで、いろいろな機会にご一緒しています。私はちょうどDoha に行っていたので、残念ながら、彼の話を聞くことができませんでしたが、後で彼からの話を伺いました。学生さんの評判もとても良かったと聞いています。何しろ世界を舞台に活躍するSFCの先輩が実際の活動についての話ですから。この講義は、まだ広く公開できないPowerpointがいくつもあるので、学内限定のアクセスになっています、残念ですが。

次の週は、IMF の理事、最近Washington DCから帰国、財務省を退官した、とてもスケールの大きいユニークな国際派、実力派の小手川大助さん(Googleするといくつも出てくるが、決定的なのが見つからない、、)。彼のような人は最近では珍しい、「国士」とでも言えるか。いくつもの言語を操りますが、今は中国語を個人tunorから習っているとか。さらに磨きをかけているのでしょう。

今回の講義 は英語で国際金融の話、20年前の日本のバブル崩壊と2008年のLehman破綻、そこから学ぶこと、これからの日本と世界の予測など。これが、いかにも彼らしい、とてもスケールの大きな話でした。日本のバブル崩壊のときは大蔵省、2008年はIMFとどちらも直接の担当でしたから、彼の対応の経験からの話はとても迫力と現場感がありました。学生さんにも大きな刺激になったと思います。

私も部外者ですので、とても参考になりました。お2人に感謝、感謝。

 

「Design Thinking」、新しい時代の動き

→English

明けましておめでとうございます。

2011年こそは、日本ももう少し活性が感じられるといいですね、期待したいですが、、。

この2,3年のことでしょうか、「Design Thinking」という言葉が広がりはじめたように思います。人によってその解釈は違うと思いますが、グローバル世界になって、問題の複雑さへの多くの知恵の結晶かもしれません。

私のサイトでも、紹介していると思いますが、「Design」という言葉が、単なる、物や形のDesignという次元を超えて、多様で、異質な考えなどを広く、多角的に取り入れながら、複雑な問題 complex problemsを分析、理解し、「現実的な解」 practical solutionsを提示するという考え方がその背景にあるように思います。「Design Thinking」というプロセスと理解するとでも言うところでしょうか。

これは多くの分野で見られる現象だと私は感じていて、科学研究のアプローチから言えばSonyの所マリオさんの「Open Systems Science」 という考えかた、Harvard, Stanford大学などのGraduate School of Design, dSchool、また東京大学の「i.School」が出てきた背景なのだと思います。

さらに問題を整理するうえで、しばしば図示するプロセスが取り入れられます。World Economic ForumでのIdeasLabもそんな感覚でしょうか、また最近Dubaiで参加した「Global Redesign Summit」(資料1)「Global Risk Response Network」(資料1)などでも「Design、Innovation」 などのCouncilが素敵なヴィジュアルのデモを作成してくれているのも、複雑な問題の「見せる」、「見える化」することの大事さを示しています。

ここ数年、いわゆるdesignerという方達のビジネスでの活躍が目立っているのも、時代の流れと情報を図示化してみせる技法が、デジタル技術の発達で多様になっていることにも関係しているのかもしれません。奥山清行さん (資料1)、三宅一生さん 資料1)、佐藤可士和さん 資料1)などの方達です。

皆さん国際派でもあり、人間の心の本質をいつも考えているからこそ、「Open- and Demand-driven Innovation、新しい価値の創造」という時代に要請にこたえるべき視点が、自然に身に染みついているからなのかもしれません。

2009年に続いて開催した2010年のGlobal Entrepreneurship Week (GEW)でも「Impact Japan : Design Thinking」(資料1)をテーマに、若い人たちのグループをお招きしてWorkshopを開催したものそのような意図があったからです。ここから始まって「Impact Japan」という組織を立ち上げましたが、このGEW企画の活動「Design Thinking」が日経新聞の年末12月29日朝刊に、広告記事として掲載されました。

新しい時代へ対応すべく、世界の知恵が動いているように感じます。今年の日本はどうなのでしょうか。

 

AIESECの合宿に参加する

→English

オープニングセッションとクロージングセッションのビデオ

 


 

このカラムで海外と学生のインターンシップを推進するAIESECを紹介 (資料1)しました。

年末に、代々木の青年センターでAIESECの合宿が行われ、お招きをうけてお話をする機会がありました。150人ほどの若者が何日か合宿しているのです。企業からも応援の方々が参加されました。Works Applications (これはすごい会社、先日、LFA松田くん、と牧野正幸社長資料1) に会いに行きました、またそのうちポストします)、田中貴金属(金はさらに価値が上がりそう)、GRAPH (これも面白いです)です。

皆さん元気、元気、私も質問が出やすいように話したこともありますが、質問がドンドン出る、出る。80分程度の時間があっという間に過ぎてしまいました。その後3組に分かれて、上の3人(企業からの講師)とのクラスへ。

来年早々には、この組織をもっと世界に広げる企画を立ち上げるお手伝いをちょっと。今年は300人ほどが海外研修(写真はここ)へ、60人ほどが海外から日本に。これは完全なミスマッチです。来年度は400人ほどが海外へ、そして100人ほどが海外から、ということ。まだまだです。

これを双方向にもっともっとマッチさせながら、2011からは増やす計画のお手伝いです。