Asian Innovation Forum 2010 開催のご案内

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去年ここでも報告しました元SONY会長の出井伸之さん(Quantum Leaps)の主催する「Asian Innovation Forum(AIF)」 が9月28、29日の両日、東京で開催されますので、ここでもご案内します。このサイトから申し込みできます。

このForumは4年前からですが、出井さんというすばらしいビジネスリーダーのお手伝いを、私もさせていただいています。

私としては、今年の会「AIF2010」が、去年よりさらにかなり過激な議論の場になることを期待しています。日本の状況はちっともよくなっているわけでもないですしね、むしろ悪くなっているようにも皆さん感じているのでは?

この会のTwitter もできていますのでフォローしてください。

当日、お会いできるのを楽しみにしています。

沖縄大学院大学の学長にJonathan Dorfan氏が就任

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ご存知かと思いますが、沖縄に研究大学院を、という構想が進んでいました。

この構想が始まってからほぼ10年、OIST (Okinawa Institute of Science and Technology)独立法人としてSydney Brenner氏を理事長にこの数年頑張ってきましたが、内閣府担当に始まり、何もかにもが新しいグローバル時代への世界に開かれた研究機関という画期的な構想です。特にBrenner氏の広い視野と人脈は驚くほどです。

従来にない構想のためもあり、国内の研究者たちを含めて理解もなかなか進まず、いろいろ苦労しながら、ようやく大学院大学への道筋もつき、7月に初代学長としてStanford大学のJonathan Dorfan氏資料1)の就任が決まりました。とても画期的なことですし、日本でも世界に開かれた将来志向の研究大学院が実現することはとてもうれしいことです。実に画期的なことです。

従来の日本の大学では、口では言っていても、実行になるとできなかった資料1)ことなのですから。

私もDorfan学長を支えてこの新構想を何とか成功させたいと思います。日本の科学研究の信用が、このような些細に見えることからも、世界からはとても注目されているのです。世界でも日本もようやく変わるのか、という期待も出てきたと思います。

とにかく今になっても、「学の世界」でさえも鎖国資料1)なのですから。

 

Chatham Houseで: G8からG20へ、健康と開発の課題

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写真提供:NHK Asian Voice日本医療政策機構

ロンドンのChatham House といえば王立国際問題研究所 The Royal Institute of International Affairs といわれる世界でも有数な国際問題関係のThink Tankであり、デイベートの場であり、しばしば「Chatham House Rule」  といわれる原則でもよく知られています。

このChatham Houseと米国ワシントンDCのThink Tank、国際戦略研究所 CSIS (Center for Strategic and International Studies) (資料1) 、 と、私たちの日本医療政策機構  Health Policy Institute Japan が、この1年ほどかけて準備してきたのが、今回6月30日にChatham Houseで開催された会議です。この会議は、その数日前にCanadaで開催されたG8 Summitのタイミングを受けてのもので、「Global Health: What’s next for the G20? Investing in health and development」 がテーマです。

Agendaパネル参加者後援 などすばらしいと思います。全体で200人ほどの方がお見えになりました。日本からは政府代表として尾身 茂 前WHO西太平洋事務局長が出席、日本大使館からも岡公使ほか、またJETROからも来てくださいました。NHKも取材にきてくれました。ありがとうございました。

このように、政府ではなく、独立したThink Tankなどが主催し、グローバルなアジェンダ設定する会議を組織し、議論をまとめていくのは、これからの世界ではとても大事なプロセスですし、また参加することはとてもいい経験になります。私も1日の議論を聞きながら、最後のまとめの役割でした。この会議の成果をどのような形にするか、次に何をするか、これもつめています。

このようなことは言うのは簡単ですが、ここまでくるのもとても大変です。このような企画を私たちがいろいろ工夫しながら進めていることは、このサイトでも何回かメッセージ (資料1)を書きましたし、また報告などを出しているところです。一番大事なことは、グローバル世界では、そのような「世界の仲間たち」の中での「個人」としての信用の構築がもっとも大事なことなのです。

従来の日本ではこのような役割は関係省庁、つまりは政府、役所のことであり、あるい産業界では大企業などのことであろうか、と多くの国民もそのように思い込んでいたところに日本の基本的問題のひとつがあると考えています。いってみれば、まだまだ「市民社会」Civil Societyになっていない、ということです。

「お上に」頼らない、独立した個人の活動と信頼が、特に「グローバル」な「フラット」な世界では、いかに大事なのか、しっかりと認識し、活動できる人材を一人でも多く育てたいものです。

 

Harvard大学関係へのCommentaryなど

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今年のことですが1月5月 (資
料1)
の2度ほどHarvard大学関係の活動に参加しました。

1月の会議は何か出版されたわけではありませんが、5月の会議 の報告はChatham House Rule で参加者内部の文書として作成されました。参加者の一人の栗原さんが「黒川教授の話で笑ってしまった、、」(p.3 の左カラム) と書いていますが、私にとっては「うれしい名誉」なことです。

この部分の短い記述がありますのでここで以下に紹介します。

Session 2: Biotech Models for Development
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‘Panelist Kiyoshi Kurokawa, National Graduate Institute for Policy Studies, Japan, addressed the issue of biotechnology by first delineating some key issues related to its development ? globalization, food and water, environment, and biodiversity ? and then discussing some of the challenges facing countries interested in advancing biotech. Citing Ghana and Botswana as examples, Kurokawa argued that developing countries have little need for the newest and most scientifically intricate technologies, like genetic recombination. Rather, they need simple technologies that can be used to improve the quality of life for local people.

Kurokawa advocated the deployment of existing technology to address the most severe of world crises, like food and water shortage. Such use of technology could also result in bottom-up growth and benefit social entrepreneurs. Again emphasizing the local, Kurokawa further argued that biotech enterprises should also consider how “indigenous knowledge” might propel new developments in biotechnology. Local remedies, like the use of bark to treat malaria in China or of aspirin, have the potential to help biotechnology better address the “big needs” of the world today.’
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‘In the discussion that followed, Kurokawa re-emphasized his position that while frontier science contributes important discoveries, these discoveries should be shared and there should be a collective effort to apply new advancements to the betterment of the human condition.’

もうひとつは、Harvard Asia Center の発行する「Harvard Asia Quarterly」  に依頼された原稿で友人のWilliam Saitoさん と書いた以下のタイトルとサマリーのCommentaryです。

Global Climate Change:
The Interconnection with Medical Technology and Health Care

Medicine, along with culture and technology, can both cause and resolve the problem of climate change. Medicine has helped reduce infant mortality and increase longevity, thus contributing to overpopulation which results in excessive pollution and resource consumption. But it can also help solve these problems by providing better forms of contraception and education.

原稿の全体は約7,000 wordsとちょっと長いですが、時間のあるときにでも読んでいただければ幸甚です。

「タフな東大生を育てる」: 東京大学の講義シリーズ

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東京大学の浜田総長は去年12月、「タフな東大生を育てる」 というメッセージを掲げました。

その一環として、今年の4月から主として教養学部時代の学生を対象にして「グローバル時代をどう生きるか―プロフェショナルが語る新しい可能性」新しい講義シリーズが始まりました。講師、タイトル、講義のあらましなどはウェブ で見ることができます。確かにすばらしい方たちをお招きしています。私もお招きいただき、感謝ですね。

今学期の最後は6月25日(月)の午後。私の担当でした。ちょうど、夜明けまでWorld Cup「日本vs Denmark」戦があり、しかも日本が「3-1」で勝ち、初めて決勝トーナメント進出を決めたとあって、寝不足であまり参加者が来ないのかな、とちょっと心配しましたが、杞憂だったようです。

皆さんの反応もよく、もっともっと自分を探す旅をすることの意義 「休学のすすめ」 (資料1)の話、Steve Jobsと彼のスピーチ を聞く、見ること、自分個人の、そして日本の「強さ」と「弱さ」その由来、などの話をしました。

質疑応答も、多くの素敵な質問も多くとても楽しめる時間をすごしました。みな、目が輝いています。一人ひとりに、これからのすばらしい将来をつかんで欲しいのです。

若い人たちには、「グローバル時代」へ向けてもっと広い世界を知ってもらい、自分のしたいこと、目指したいことを探す時間を持つようにしてほしいのです。大いに世界に人脈を作り、個人としての自分を探し、世界に活躍の場を広げる可能性を見つけてほしいのです。このサイトでも繰り返し勧めていることですが。

大学の先生たちも、企業の方たちも、学生さんにはいろいろな期間、形式、プログラムなどを使ってでも、学生自身の企画でもいいので「休学をしてでも海外へ出てみること」をぜひ勧めてほしいし、それぞれができる範囲ででも支援、応援してほしいものです。

何しろ、未来は若者にあるのですから。

「国際保健政策サマープログラム」へのお誘い

医療政策機構のプログラムの一環として、東京大学大学院と共催で国際保健政策のサマープログラムが7月25- 8月1日にわたって、東京大学本郷キャンパスで開催されます。

このサイトの案内でもお分かりのように、保健、医療を含むグローバルな課題に対し、省庁、ビジネス、NGO/NPO、アカデミアなど、様々なかたちで関わるプロフェッショナルへヒアリングを行い、実際に政策提言を作成、提出するというプログラムです。

将来、国際機関での勤務を目指す大学生・大学院生(医学生含む)、ビジネスやメディア、NGO/NPOなど様々なかたちで地球規模課題解決に取り組むキャリアに興味のある学生を対象とし、政策提言作成、実際に議員に提出という実践的プログラムを通じ、将来のキャリア設計の一助となればと考えています。

実は、私のこのサイトからリンクしている医療政策機構ではご案内しているのですが、ここでの興味のある方も多いかと思い、ちょっと締め切りが迫っていますが、ご案内します。

今週6月18日(金)が応募締切なのです。奮って応募してください。

お問い合わせは、上のサイトを訪ねてください。

 

ソウルでアジア太平洋腎臓学会

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先日も、久しぶりに国際腎臓学会の活動 にちょっとだけでしたが参加したことをお伝えしました。

6月1日夜、Dohaから帰国。翌日は慶応大学の矢上キャンパスで、去年に続いてSONY寄附講座の所 眞理雄教授のイノベーションシリーズ の講師をしました。翌日3日、いくつかの用事を済ませてソウルへ向かい、COEX で開催されたアジア太平洋腎臓学会 (資料1)に参加し、まずOpening Plenaryの司会を会長のHo Yung LEE教授と務めました。

久しぶりに多くのアジア太平洋諸国の方々や、欧米の参加者ともお会いでき、とても楽しい時間を過ごすことができました。私は国際腎臓学会の理事、理事長時代にはせっせと世界中へ出かけていましたので、当時お会いした若い人たちが、大きく成長してそれぞれの国、世界の場でもリーダーになっている方たちも多く、久しぶりにお会いできてとても嬉しい時間をすごせました。私事ですが、前回、2年前ですがありがたいことにこの学会に新しく設置された「Priscilla Kincaid-Smith Award」 の第1回を受賞しました。彼女はAustraliaを代表する医学者であり、特に世界的に腎臓学の発展に大きく貢献され、国際腎臓学会でもアジア太平洋では始めて理事長(しかも女性としても)になられた方です。私も多くの機会に昵懇にさせていただいていました。

会長招宴はWalkerhill Hilton  の別館(韓国テレビで人気だった「Hotelier」 の舞台のひとつAston House の庭(ウェブ上でも写真が楽しめます)で、ここは南北首脳会談のために建設されたとか。多くの友人と歓談の時を持つことができました。

学会は途中で失礼して、7日にIncheon飛行場 からNew YorkのJFKへ、14時間のフライトでした。

Doha, Qatar -3: グローバル時代の教育、日本への懸念

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グローバル時代と急成長するアジア、そして世界大転換期の予測の時代を迎えて日本の教育には問題が「おおあり」 です。

従来の教育を受け、60-90年代までの経済成長時代を経験した人たちとこの20年のジャパン・「バッシング → パッシング → ナッシング → ミッシング」 を過ごしてきた人たちが、大学を含めた教育界、政府、産業界で主流なのですから、グローバル時代への教育改革の本質が見えていないのではないか、といぶかりたくもなります。

人口に比べると、日本では海外の大学で学部教育を受けている人があまりにも少ないのです。大学院でも自力で正式に入学し、正式に卒業した人も少ないと思います。特に男性では企業や役所など「組織」からの「派遣」でMBAなどを経験した人が多いのではないかと思います。

歴史的背景があったとはいえ、成長するアジアの中で特に日本が英米など海外での大学教育、さらに「エリート」を育てる「Boarding School」卒業の人材が、人口に比べてもあまりにも少ないのです。それでいて「リーダー」といわれる立場の人たちが、物知り顔で「教育のあり方」を大声で叫ぶのです。

もちろん日本の一流大学もいいところです。でも、日本の「エリート」(政治、企業、政府などなど、大学はどんなものでしょう、、、)たちが、今もってあまり英語をしゃべらず、最近では中国や韓国のエリートに比べても国際的な場でのアッピールや発信能力で、正直なところ一般的に見て「勢い」からして負けていると思います。

Dohaでは「教育」のセッションがあり、各国ともグローバル化へ向けた次世代の育成に真剣に取り組んでいます。従来の教育とは違った課題があることを強く認識しています。

その点で、JordanのRania王妃 の本質を突いた教育についてのメッセージは素晴らしいものがありました。ウェブ資料1)で聞いてみてください。彼女はこのフォーラムでも発信力の大きいすばらしい方です。

今回の「Doha, Qatarシリーズ3報」には、石倉洋子さんのblog の5 月30 -6月2日掲載分も、ぜひとも参照してください。私の意見ともあわせて、とても参考になると思います。

Doha, Qatar -1: Museum of Islamic ArtとQatar Foundation

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カタールQatar航空で成田から関西空港経由で29日の早朝、Qatarの首都ドーハDoha に到着。World Economic Forum主催の「Global Redesign Summit」  への参加です。

ホテルでしばらく休んでから、Museum of Islamic Art (資料1)に出かけました。展示する作品には、この美術館のために買い付けたものも多いとかで、300億円ほどのコストがかかったとかです。

世界の大物建築家の1人として著名なIeoh Ming Pei氏の作品で、2008年開館。現在93歳ですから、依頼を受けたのは90歳近いころですから、すごいことです。イスラムの文化を知るためにいろいろ訪ねたそうです。

イスラム圏の、いろいろな時代の、多様な作品が展示されていて、飽きることがありません。イスラムのパターン はとても複雑ですが、幾何学的で、どのようにこのようなパターンを作っていくのかとても不思議に思います。とても繊細な加工などを見ると、人間の可能性のすごさに感動する一方で、人間のすることの可能性の恐ろしさも感じます。

翌日の午前、Qatar Foundation資料1)を訪問、約1時間を研究担当のVice Presidentと懇談、そのあと研究施設のうちのCornell大学の‘Qatar campus’ (資料1)を訪問しました。すばらしい施設 (2004年に開設)のなかで、かなりの数の若い研究者が世界から来てがんばっています。

以前からQatarがこの財団などを通して教育や研究に熱心であることを知っていたので、その現場を見てきたかったのです。まだまだ計画の半分もできていませんが、この訪問で、感覚的にもかなり収穫があったと感じます。

このキャンパスの全体設計は磯崎新さん(資料1)ということで、とてもうれしいことです。磯崎さんの設計になる建物もいくつかあり、このCornell Qatar campus (講堂が円形になっているートップ写真シリーズにも出てくる)もそのひとつです。

SONY Computer Science Laboratoryの天才、異才たち

天才、異才が飛び出すソニーの不思議な研究所」といわれる「SONY Computer Science Laboratory (CSL)」 の「Open House 2010」に出かけました。

桜田さん、暦本さんの抜群に面白い成果のプレゼン、この2人を迎えて北野さん、所さん司会のパネル、私も「なにかコメントは?」といわれたので、ごく最近のショッキングがことですが「Craig Venterが人工生命を実験的に作ったこと」について2人の成果も意味合いについての考えを伺いました。このVenterの成果は本当に「とんでもない」結果です。

次は、若手の面白い研究成果発表。「Process Design」を提案しているTomato (London)資料1)の長谷川さん、Comic Computingの飛田さん、「トイレ、萌え」など大和田さん、みなとても「変」「おたく風」ですが、何かすごいです。この後のパネルでは茂木健一郎さんがやたらと挑発するのですが、3人ともなかなかというか、意外にこの挑発に乗らないのですね。

最後に会場前列に来ていた山本寛斎さんが、「がんがん「奇」であることが大事なのだあ、、」と応援、そのとうりですね。

研究所長の北野さんは、日本の大学で活動したことがないのにNature誌の「Mentor Award」を、「The Crazy Ones」を主張して受賞したたほどの人ですから。

「変な人」「出る杭」でないと、新しい分野、概念、従来のドグマを変えるほどの成果を出すことはなかなかできないでしょうし、社会を変えるほどのエネルギーで、何かを追及しきれないのでしょう。歴史はいつもそうなのです。

これがイノベーションを生むアントレプレナー精神であり、GEW資料1)、TEDxTokyoD-Labなど活動の底流にある思想、価値観そのものだと思います。

この2日後に「Demonstration」が予定されているのですが、そちらは都合で出席できないのです。残念。

SONY CSLのOpen House 2010で、とても満足した半日をすごしました。