CSISとの共同事業とCongressional Briefing: 新しい「プロセスのありかた」?

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私たちの主催するHGPI(Health and Global Policy Institute)資料1)は、毎年2月に「Health Summit」 を開催してきました。今年は2月26日でした。

今回は去年からの懸案でしたが、私たちのHGPIとWashington DCの著名なシンク・タンクCSIS(Center for Strategic and International Studies)が共同で健康政策についての共同作業を始めることになりました。

これは、去年のHGPIの主催するHealth SummitにCSISのBrian Bilesさんが参加したこと、さらに去年6月にLondonで、「Transition from G8 to G20: Health and Development」という会議をCSIS、Chatham House(英国の著名なシンク・タンク)と主催 (資料1)したことなどが背景にあります。

そこで、2月25日に国会議員会館の会議場で、有力議員さんたちとCSISチーム、Stephen Morrison , Brian Biles、このプロジェクトに参加する日米識者(病院の支払いについてはJohns HopkinsのGerard Anderson教授  と慶応義塾大学の池上教授、ITではHarvardのJohn Hamelka教授(素晴らしいblog を提供しています)と東京大学の秋山教授)との会合を開催しました。

お忙しい中を、尾辻さん(自民党、元厚生大臣)、坂口さん(公明党、元厚生労働大臣)、世耕さん(自民党)、鈴木(寛)さん(民主党、現文部科学副大臣)、足立さん(民主党、前厚生労働政務官)、梅村さん(民主党)、小西さん(民主党)などの、厚生行政に精通している何人かの国会議員の方々に参加いただき、活発な意見交換ができ、とても有益な時間を共有することが出来ました。

いくつかの民間企業の方達や、メデイアの方達もお呼びしました。Gates財団のDavid Bowenさんも東京にきていたので、お呼びしました。彼は長年Edward Kennedy上院議員の政策スタッフとして活躍していた方で、このような政策と国会議員さんたちの対話のプロセスもよくご存知の方です。

このような政策へのプロセスが開催されたのは初めてのことではないのかと思います。日米での独立したシンク・タンクが、共同の政策への作業をはじめ、しかも超党派の国会議員さんたちとの議論の場を議員会館で設定した、という点です。このCSIS-HGPIの今回の事業は、大きな枠組みが出来る頃、ということで、次回は、7月14日にWashington DCで開催の予定です。

このような機会が、日本の新しい一歩のひとつになるとうれしいのですが、、。

世界のシンク・タンクのランキング: HGPIが2年続けてトップ10入り

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グローバル化が進むとともに、「世界ランキング」が何かと話題になります。世界Top 500企業、国のDGPや競争力、大学、富豪などなどです。

去年のことですが、なんと「シンク・タンク」のランキングもあるのに気が付きました。Pennsylvania大学の研究成果です。

そして、なんと2009年度には、私たちの「Health and Global Policy Institute (HGPI)」 2004年設立、2011年に「Health Policy Institute Japan日本医療政策機構」から改称)が、「Health Policy」分野で、Harvard大学、Johns Hopkins大学、RANDなどの世界に名だたる「政策研究機関」として認識されている著名どころと肩を並べて「Top 10」 入りしました資料1 p.42)。

今年はどうか、2009年は何かの間違いかも、とも思っていたのです。例年2月に開催する「Health Summit」を前に2010年度の評価が気にかかっていたのですが、2010年度も「Top 10」入りしました(資料1 p.34&35 )。自分たちで言うのも変ですが、すごいことと思います。

英米以外で,政府機関とはまったく独立して活動しているシンク・タンクは数少なく、私たちの活動を支援してくださっている方達、またここで活動している方達の皆さんに心から感謝しています。

 

San Diegoから、第1回「Cell Society」で基調講演

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2月17日に成田発、San Francisco経由でSan Diegoに到着。「Cell Society」 に参加、ここで基調講演をするのです。La Jollaにある会場のEstancia Hotel にチェックイン、なかなか快適なホテルです。

何しろ天気が悪い、寒い、しかも雨、という状況。南Californiaで、こんな天気は珍しいですが、致し方ないですね。2日目の午後だけ晴れでした、、。

この会の趣旨は、成人Stem Cellの臨床の現況、というテーマに絞って議論する会議なので、基礎研究的なものよりは、圧倒的にどんなことが、どんな分野でなされているかについて、審査当局とのやり取りも含めた、明確な目的を持った会です。普段では私の学会活動でもお会いしたこともないような方々の発表も多いので、新しい現場感が為になりました。

いろいろな分野での知見を見ると、この成人「Stem Cell」の臨床の展開の可能性がいろいろ見えてきます。特に整形外科的、美容整形的な分野では、大きな可能性が見えます、何しろ高齢社会という枠組みでは、通常の医療を超えたニーズが大きいでしょう。ローカルニュースはこちら

そのような大きな視点で考えて見ると、私の基調講演は「Watson」(資料1,)(石倉洋子さんもWatsonについて書いていましたね、、)についても触れたり、とても適切だった様に思いました。参加の皆さんから、素晴らしい話だったよ、と何度も言われました。うれしいことです。

さらに、このような会議そのものが、20世紀の医学の進歩を踏まえてみても、とてもユニークな位置にあり、まったく違った視点と枠組みの可能性を与えているのではないかと、強く思いました。また別の機会に話してみようと思います。

夜は9時半から、UCSDなどにいる日本の若者たちとCONNECT の方達と、ホテルのバーでワインを楽しみながら、夜中近くまで歓談。写真はこちら)。元気な日本からの若い人たちと意見を交換するのはいいものです。広い世界で活躍して欲しいし、とても楽しみです。

またいろいろ考えてみることが増えました。

Table for Twoの年末Charity

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 Table for Two (TFT) を知っていますか? 

日本発の世界への素敵なアイデイア。「途上国、貧困地帯の飢餓」と「先進国の肥満」をつなげる。世界でもドンドン広がってきている、世界での知名度も上がってきている。

私も立ち上げの時から応援団 の一人として参加。

25日夜、青山でCharity Party。私も久しぶりに参加、TFTを引っ張る小暮さんにも、久しぶりに会いたいしね、、。

小暮さん、元気そう、でもご苦労も多い。そして元気な若者ばかりで、私など場違いな感じ。プレゼンも、グループ形式クイズも(私はルワンダ組に)、余興も、次々と参加者を飽きさせない工夫がいっぱい。

最後は「We are the World」 (資料1)で。プロが歌い、皆でうたう。

やはりこの歌の力はすごいものだ。

 

 

Qatar Foundation Annual Research Forum

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Tunisでパネルを終えて夕方にホテルを出発。Dubai経由で、朝の6時半にQatarのDohaに到着。今年6月に来たばかり資料1)のSheratonにチェックイン。2022年のWorld Cup開催が決まったばかりです。

ここには2日間にわたって開催されるQatar Foundation Annual Research Forum にお招きを頂いたいたのです。Qatar財団 (資料1) は、教育に実に熱心なQatarの目玉の一つで王妃が先頭に立ってご活動です。Cornell、Carnegie Mellon、Texas A&Mなどの大学が広いキャンパスに研究所を出しており、なかなか活発に活動をはじめています。

今回のForumはこのQatar財団の活動のお披露目とでも言うのでしょうか、第1回ということです。この1年でかなり人も集まっています。何しろ国が若い。一方で教育でもQatar大学などが中心になって人材育成にとても熱心、というところです。しかし、何しろ、ガスと石油をあわせると、この小さな島が世界有数のエネルギー産出国ということで、急速に豊かになっていますが、将来は「人材」しかないということで、熱心なのですね。しかし豊かになると、若者の意欲はどんなものでしょうか。男性は海外へ留学する人も多いでしょう、でも女性の意欲は特に高いようです。

また、文化、芸術をとても大事にしています。先日も紹介したイスラム美術館などもその良い例です。

Forumは朝9時から開始。王妃のスピーチでプログラムが始まり、休み時間はポスターなど(特に学生さんのポスターを中心に尋ねました)を回りました。また、研究発表の審査もあり、私はElias Zerhouni(前NIH所長)、 Peter Agre (水チャネル発見でNobel化学賞)、 Monsef Saloui(GSKのRDのトップ)と一緒にBiomedical Scienceを担当  しました。EliasとMoncefとはお互いに良く知っているのですが、Agreさんの研究も、講演も何度か聞きましたが、一緒に何かするのは初めてでした。若い活気を感じる1日でした。特に若い女性の活躍が目に付きます。

夜は土屋組(12月1日から社名はTsuchiya Corporationとして新事業の展開を図っています、、)の土屋さんと社員数人と在Qatarの門司大使を公邸に尋ね(以前Abu Dhabi大使館でお会いしたアラビア語が上手な西田くんにもお会いしました、、)、そのあとは最近まで9年間にわたって駐日Qatar大使のReyad Ali Al-Ansariさん のところで夕食にお招きいただきました。いろいろな人脈が広がるのは楽しいものです。Al-Ansariさんの息子さんは米国へ留学、帰国して石油関係の仕事。でもお嬢さんの留学には反対のようでした。

翌日は午後に科学政策などのいくつものセッションもあるので、昼にちょっとQatar財団本部に王妃の官房長官を訪問。このような研究所との交流にも、もっと日本の研究者や若い人たちも参加して欲しいと思います。若者の交流を広げたいのです。

夕方のレセプションでは受賞者の表彰、私たちの部門ではこのあたりに見られる難聴について、その原因遺伝子を明らかにし、それが毛細胞hair cells機能不全であることの研究で、とてもいい研究でした。Q/Aにもテキパキと返事があります。彼女の上司の病院の事務長の立場の方(これも女性です)がとても喜んでいましたーーこの方がまたとても優秀な人で、ずいぶんいろいろお話をしました。食事では同じテーブルにMIT、UCLAの教授たち、当地のTexas A&MのDeanの方などと一緒で、これも共通の話題が多く楽しかったです。私は、途中で退席、22:50時発でAbu Dhabiへ、40分のフライトです。

若い人たちの意欲とエネルギーに接すると、いつも応援したくなります。日本との交流も期待しています。

「医療制度」改革の課題、JBPress私の意見

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私は、もともとは臨床医ですし、日本と米国で医師としての生活を10年以上しています。当然のことですが、医療制度にはとても身近なところにいますし、いろいろ考えることもあり、またとても気になっている日本の大きな社会的課題です。

このサイトをはじめとして、以前から問題点を指摘していますし、「ナンのカンの」と多くの日本の「権威の方たち」に言われながら、出来るだけのことはしてきたつもりです。その成果も、あまり見えないかもしれませんが、出ていると思います。制度改革は、なんと言ってもグローバル時代に適応できる人材の育成に尽きます。

関係するキーワードを入れると、いくつものpostingを見ることが出来ますし、一般向けの本としても「大学病院革命」、「日本の医療風土への挑戦」、「医学生のお勉強」 ほかにいくつもの本も出し、紹介しています

21世紀になり世界の様相はすっかり変化しました。医療制度関係では、根本的な問題が「高齢社会」、「慢性疾患、特に生活習慣病の増加」、さらにグローバル市場経済になったこの20年で「貧富の差の拡大」、そしてリーマンショック以降は「国の借金の急増」という課題です。

わが国の課題はどうでしょうか?先進国の中でも、高齢化は最も進んでいますし、とても問題が多いですね。

私どもの主宰する「医療政策機構」 (資料1)、「WHO」 などの活動も通して発言し、改革に微力は貢献したいとは思いますが、多くの利害関係者(抵抗勢力です)の力関係で、どこの国でも大きな政治課題であり、実行が難しいのです。

最近でもいくつも活動を報告し意見を述べていますが、最近は「e-Health革命 ITで変わる日本の健康と医療の未来」 、またOn-lineでもJBPressなど(資料1)でも始めています。

時間のあるときなどに、注目していただけるとうれしいです。

その点では10月のSeattleでの会議 から出た「12のアイデイア」 は大事と思います。

どのようにこの政治的プロセスを可能にできるのか、ここが課題です。以前紹介した本が参考になるでしょう。

基本的には「医療制度」ではなく、今の社会では「健康・医療政策」(資料1)とでも改名しないと、実情に沿った制度改革は結構、むずかしいと思います。

政策の命名は大事です。

 

 

WHO事務局長Margaret Chanさんと会見

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Margaret Chanさん(資料1)が神戸WHO Centerでの会議に来日、そのあと東京にもこられました。久しぶりにお会いする機会をもてました。

私たちの医療政策機構で「Global Health」を担当している4人のスタッフと一緒に30分ほど、活発な意見交換が出来ました。彼女とはいろいろ会う機会資料1)がありましたが、今回は久しぶりのことでした。WHOのAssistant Director の一人の中谷さんも、厚生省の方と陪席してくれました。

Global Health、Chatham Houseでの会議、慢性疾患増加の問題、健康の社会的因子、来年1月のDavos会議のことなど、いくつかの課題について話が弾みました。

Global Healthにかかわる若いスタッフには、WHOを引っ張る女性Topとの会見に同席することはとてもいい刺激になったと思います。

若い人たちに、世界のリーダーを身近に接する機会を作ってあげることは、とても大事なことです。若者へのいい刺激になり、また若者たちが自分たちの目標をより高く持てるようになるでしょう。

「なぜ一番でなくてはいけないのか?」ではなくて、高い目標を感じ取れるからこそ、自分の仕事への励みになるのです。

これが若者たちへのAspirationになるのです。

慶応SFCクラス、乗竹亮治さんを迎える

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私の慶応SFCのクラス。10月27日は、私たちが主催している医療政策機構で大活躍している好青年、乗竹亮治さんをゲストにお迎えしました。

乗竹さんは、このSFCの2007年の卒業生。卒業とともに私たちの「Think Tank医療政策機構」に参加しました。以来、ガン対策、ガン患者さんの支援活動、そのほかにも脳卒中患者支援や、患者リーダー養成講座などで活躍し、いくつも成果を挙げながら幅広い活動をリードし、本当に大きくリーダーへと成長しています。この機構に欠かせない中心人物の一人です。

彼は、学生さんたちにとっても、SFCの先輩であり、お兄さんであり、その話は身近に感じられ、さらにいくつもの感動的な「自分のものがたり」があり、とても素晴らしい時間を皆さんと共有できたと思います。

特に2001年9月11日のWorld Trade Centerのテロ攻撃の時は、Oklahoma大学で学生生活をしていて、そのときの周囲の反応、彼自身の思いがけない「言葉のちから」への新鮮な感動などなど、本当にいい話でした。

このコースでの私の狙いは、出来るだけ学生さんにとって「グローバル時代」を目指すことの大事さと、その「ロールモデル」になれる人たちの、現実感のある「ものがたり」を聞かせたいという狙いがあります。その「ものがたり」が、本人の実体験からくる話だからこそ、若者たちへの説得力がある、若者たちがその様な人、キャリアを目指そうという気持ちになるのです。

皆さんもご存知かと思いますが、白洲次郎という快男子がいます。私のこのカラムで何度か紹介しています (資料1)。終戦後の日本で大いに活躍した、Cambridge大学で学んだ「英国紳士」です。彼についてはいつかの本がありますが、いつも「Principle」(ことの本質とでもいうのでしょう、、)を大事していたことで知られていて、痛快なエピソードにはこと欠きません。このような快男子、紳士は、このところトンと見かけませんね。

この次郎さんの書いたエッセイを集めた「Principleのない日本」をいう本があります。彼の住んでいた、「武相荘(ブアイソウ)」で購入しました。そこにこんなことが書いてあります。「教育とは、先生が自分の教えていることを、先生自身が実践しているかどうかなのだ、、」といった趣旨のことが書かれています。これは、特に高等教育では大事なPrincipleではないかと私も思っていることで、読んでいたときになんとなく頷いたことを覚えています。

乗竹さんの話は、私がいつも訴えているように、若いときに「外」の世界を体験することの大事さを明確に示しています。

乗竹さん、大事な話をありがとう。多くの後輩たちが「何か」を感じ取ったと思います。 

新しい地域医療を構築するチャレンジャー

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日本を含めた先進諸国では「高齢社会、慢性疾患、これ以上の公費出動は無理」、という状況で、従来型の「医療制度」は制度的に限界に来ていることは明らかです。

これについては従来から私も発言し (最近のではこれ(資料1、 )など)、政策提言し、実践を促しているのですが、従来からの利害関係者の「抵抗」で、なかなか政策の実現は進みません。

一方で、まずは出来ることから実践しようという人たちもいます。そのような一人に武藤真祐さんがいます。

彼は医師として恵まれた10年ほどを過ごしましたが、それには飽き足らず、より高い目標を設定して、この数年、医師ではない仕事でがんばってきました。

このような社会経験を経て、まったく新しい形の都会型地域医療を始めました。

これをはじめてから武藤さんが私に言ったことが本当に良かったのです。「いろいろ迷い、医師を離れ、自分の一生の仕事を捜し求めていたのですが、高齢化の進む都会の医療の現場に戻って、これこそが心から私がやりたかった仕事だと感じました」、と。

武藤さんと私の対談が出ましたのでご覧ください。

素敵な気持ちですね。ほんとうに素晴らしい門出です。心からの祝福を送りつつ、彼を応援しています。

 

健康・医療政策の話

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少しずつ遅れ気味の報告ですが、10月5日からのちょっと長めの旅から14日に帰国。

翌日は朝から都内のDenmark大使館で、Denmarkの国会議員ほか30人ほどの訪問を受けて、「高齢社会への健康・医療政策」についてお話しました。Melbin大使 (資料1)、を始め、皆さんとても喜んでいただけたようでした(4月頃でしたか、大使とはWorld Cupの日本とDenmark戦についてもお目にかかってお話する機会がありました、、、)。Seattleでの議論がとても役に立ちました。

Denmark大使館から羽田へ向かい松山に飛びました。松山にあるPanasonic四国がヘルスケアに特化する、というので「高齢社会への健康・医療政策」といった話題で話しに行きました。

ここ連日、この話題でいっぱいで、私もずいぶんと勉強になりましたし、新しいアイデアもいくつも出てきました。

先進国はどこでも、「1.さらに進む高齢社会; 2.慢性疾患; 3.そしてこれ以上、医療には公的資金を投入できない」という共通の課題なのです。私の考え方の枠組みはいくつも書いていますし、この考え方はずっと変わっていないのですが、最近でもOn-lineでも見ることが出来ます

もっとも大事な政治課題の1つです。