目覚める若者たち、世界に出て自力で始めたプロジェクト

→English

写真:Yunus博士のゴーサインをいただいたときの税所くん, プログラムに参加する女子生徒達

以前から紹介している若者たち資料1)がいよいよ,本格的に活躍を始めました。

これは最近の朝日新聞 にも出ました。

大学を休学して自分たちで現地に向かい、国内でも活動をアッピールしながら、問題解決を模索し、企画し、活動しながら、とうとう「Grameen銀行」内では初めての日本人発ソーシャルビジネスを始めます。早稲田大学の税所くん (資料1) の「E Education Project」です。同じ仲間の早稲田大学の三好君  も今年は大学を休学してBangladeshへ、次のプロジェクトへ余念がありません。

この「E Education Project」の目標は;

1.未来のバングラデシュのリーダーを村から輩出する。
2.農村部の貧しい家庭に生まれたが、それでも学びたい生徒に「Eラーニング」で最高水準の教育を届け、国内最高峰ダッカ大学へ合格させる。

税所君の「ものがたり」は以下のようです。
1.20歳の最年少グラミンコーディネーター税所篤快は高校時代、学年順位最下位の落ちこぼれでした。

2.親を学校に呼び出され、担任の先生に「2浪して3流大学に行け!」といわれた日に予備校 東進ハイスクールに入学。

3.すべてDVDのデジタル授業で、3年間のシラバスを3ヶ月で学び、早稲田大学合格。

4.そんなことはすっかり忘れていたグラミンの日々で、ある日村の小学校で深刻な先生不足に出会う。

5.「4万人先生が足りないこの国で必要なのは、東進のモデルではないのか?」

6.「誰でも、どこでも、何回でも、最高の先生の授業を受けることができる教育モデル」

7.このビジョンをグラミン総裁ユヌス博士に話したところ「DO IT!DO IT!GO AHEAD!!」とゴーサイン!

7.グラミンと一橋大学イノベーション研究所(米倉誠一郎教授)合同による、ソーシャルビジネスを立ち上げる。

このプロジェクトの概要は:
ダッカの最高水準の先生の授業をデジタルコンテンツにし、グラミンのネットワークで村の子どもたちに届ける。

1.プログラム:
1.1.ダッカ大学受験コンテンツ:
バングラデシュ最高の先生たち3名(国語、英語、社会)の集中講義
1.2.リーダーシップコンテンツ:
ハーバード大学ハイエッツ先生の一番弟子のバングラ若手社会起業家EJ Ahmedによるリーダーシッププログラム
1.3.未来キャリア育成コンテンツ:
ダッカ大学現役学生による、毎週のスカイプ将来面談
ダッカ大学教授による未来のキャリア授業

2.期間と目標:
2.1.2010年6月より授業スタート
2.2.同年11月のダッカ大学受験までの5ヶ月

3.対象:
農村部エクラスプールの高校三年生20名(うち女性7名)

4.将来への構想:
4.1.2010年成功モデルをひとつつくる。
4.2.2011年より、全国600のグラミンネット支店でソーシャルビジネスとして順次拡大。
4.3.2015年には6000人の子どもたちに教育を届ける。
4.4.バングラデシュで成功の後には「教師不足で悩むアジア諸国」にモデルを拡大させる。

5.ものがたり:
5.1.農村部ではなにより子どもたちに希望が欠けています。
5.2.彼らの周りには、将来目指したいと思えるようなモデルがないのです。
そんな彼らに、将来「あんなかっこいい仕事をしたい」「こんな風な将来の歩み方もあるのか」と思わせるようなモデルを提示する。

税所君たちの思いは:
「未来への可能性を届ける」
これが一番の成し遂げたいこと。

いかがです。すばらしいと思いませんか?輝いています。皆さんも応援しましょう。
でもそれより、自分一人ひとりは何ができるか?
世界は広いのです、世界へ出てみよう、世界は皆さんをまっているのです。
だからこそ、「休学のすすめ」(資料1)、 なのです。

ところで、このプログラムの募集をかけたとところ、10名の枠に直ちに20数人の応募があり、なんとイスラムのこの国で7名の女子生徒(トップ写真)が集まってくれました、と。

これは快挙です!地元の人は「一種の革命だ」と。優秀な女子生徒を引きつれてきた地元の高校の先生は「この子たちはこの村のHidden Treasureだ。私たちではダッカ大学にすくいとってやれない。E educationですくってやってくれ。」といってくれました、と。この6月に授業開始です。

最後に三好くんの熱い思いと決意 を聞いてください。一人ひとりのこのような思いこそが日本を変え、世界を変えていくちから(力)となっていくのでしょう。

Doha, Qatar -2: Global Redesign Summitと緒方貞子JICA理事長

→English

今回のDoha訪問はGlobal Redesign Summit 参加が目的です。このプログラムなどはウェブで見ることができますが、いわゆる「Chatham House Rule」 で、一部を除いては、発言者がだれかはわからないようにして、文書、報告書等を出すスタイルです。したがって、blogのような形式でも、基本的には誰が何を言ったかを書くには、会議主催者や本人の了承が必要です。

今回のアジェンダは、今までの「Global Agenda Council」(資料) で議論されてきたことから問題点をフォーカスし、これをさらに議論をして今回のサミットで議論を進め、来年1月のダボスでの会議へパネル等に使ってグローバルな行動を起こそうとするものと思われます。

今回もいくつかのテーマに絞ってあり、さらに1セッションでしたが「Oceans」というのが設けられ、これはもともと私自身も興味をもっているテーマですし、面白そうなので、参加しました。

参加者は「Global Agenda Council」などのメンバーを中心に、これらの課題にふさわしい方々を絞り込んでいるように思われます。

この2年間、私は世界銀行の仕事 (資料1)を「Volunteer」で手伝ってきたので、もっぱら「Development(開発)」関係のセッションに出ました。これらのテーマで議論を積み上げてきた委員会メンバーが5分ほどで課題設定での意見をそれぞれの立場で提示、その後で意見交換するのですが、参加も50人ほど、多くても100人ほどでしたので、いろいろ意見の言いやすい形式でした。

このような場を通して、ポイントをついた発言、違う見方、議論の進め方、各分野の専門家の意見などは大変参考になるものが多いですし、自分の意見を限られた時間でどうまとめるか、どのように議論を進める、展開、新しい視点を入れるなど、などなどいつものことですが大いに勉強になります。

以前も報告していますが、JICA理事長の緒方貞子さん の発言はその一言一言の意味が明確で皆さんに届き、評価され、最後のPlenary Panelを含めて4つのパネルに登場でした。これは毎年のダボスの本会議でも感じることで、こんな方は世界でも数えるほどしかいません。この最後のパネル'A Framework for the Future' は司会が男性、パネリストは男性2、女性4、このことに最後の発言となったFinlandの大統領(女性、5年外務大臣、大統領は9年目、もともとNGOの活動家)が締めくくりで触れました。このようなパネル構成は日本ではなかなか考えられないことです。

今回は緒方貞子さんとご一緒の時間が随分ありましたが、いろいろな国家元首(前職)を含めて実に多くの方々のことを10,20年前から個人的にも知っておられるのです、すごいことです、そして皆さんが緒方さんをとても尊敬しているのがよくわかります。日本の誇りですね。緒方さんは、先日もAfghanistanのKabulへ、今回はこの会議の後はEgyptと、世界中を回っておられます。

また韓国の参加者(大統領府のスタッフー若い–、G20シェルパのAhn Ho-Youngさん 資料1)、政治学者のMoon, Chung-inさんなど –何人かの方とは知り合いですが)の方たち、中国からも政府関係者、大学の研究者など、Plenaryでの発言も活発、質疑のさばきも見事なものでした。

日本の若手もこのような「場」に積極的に参加し、パネルの質疑の仕方、それを真似する、失敗もしながら成長し、「場」慣れしていくのです。そのような機会には、ぜひもっと積極的に参加してくさい。それでないと日本人の存在はますます希薄ですね。人間のネットワーク作りにも絶好の機会です。

Doha, Qatar -1: Museum of Islamic ArtとQatar Foundation

→English

カタールQatar航空で成田から関西空港経由で29日の早朝、Qatarの首都ドーハDoha に到着。World Economic Forum主催の「Global Redesign Summit」  への参加です。

ホテルでしばらく休んでから、Museum of Islamic Art (資料1)に出かけました。展示する作品には、この美術館のために買い付けたものも多いとかで、300億円ほどのコストがかかったとかです。

世界の大物建築家の1人として著名なIeoh Ming Pei氏の作品で、2008年開館。現在93歳ですから、依頼を受けたのは90歳近いころですから、すごいことです。イスラムの文化を知るためにいろいろ訪ねたそうです。

イスラム圏の、いろいろな時代の、多様な作品が展示されていて、飽きることがありません。イスラムのパターン はとても複雑ですが、幾何学的で、どのようにこのようなパターンを作っていくのかとても不思議に思います。とても繊細な加工などを見ると、人間の可能性のすごさに感動する一方で、人間のすることの可能性の恐ろしさも感じます。

翌日の午前、Qatar Foundation資料1)を訪問、約1時間を研究担当のVice Presidentと懇談、そのあと研究施設のうちのCornell大学の‘Qatar campus’ (資料1)を訪問しました。すばらしい施設 (2004年に開設)のなかで、かなりの数の若い研究者が世界から来てがんばっています。

以前からQatarがこの財団などを通して教育や研究に熱心であることを知っていたので、その現場を見てきたかったのです。まだまだ計画の半分もできていませんが、この訪問で、感覚的にもかなり収穫があったと感じます。

このキャンパスの全体設計は磯崎新さん(資料1)ということで、とてもうれしいことです。磯崎さんの設計になる建物もいくつかあり、このCornell Qatar campus (講堂が円形になっているートップ写真シリーズにも出てくる)もそのひとつです。

SONY Computer Science Laboratoryの天才、異才たち

天才、異才が飛び出すソニーの不思議な研究所」といわれる「SONY Computer Science Laboratory (CSL)」 の「Open House 2010」に出かけました。

桜田さん、暦本さんの抜群に面白い成果のプレゼン、この2人を迎えて北野さん、所さん司会のパネル、私も「なにかコメントは?」といわれたので、ごく最近のショッキングがことですが「Craig Venterが人工生命を実験的に作ったこと」について2人の成果も意味合いについての考えを伺いました。このVenterの成果は本当に「とんでもない」結果です。

次は、若手の面白い研究成果発表。「Process Design」を提案しているTomato (London)資料1)の長谷川さん、Comic Computingの飛田さん、「トイレ、萌え」など大和田さん、みなとても「変」「おたく風」ですが、何かすごいです。この後のパネルでは茂木健一郎さんがやたらと挑発するのですが、3人ともなかなかというか、意外にこの挑発に乗らないのですね。

最後に会場前列に来ていた山本寛斎さんが、「がんがん「奇」であることが大事なのだあ、、」と応援、そのとうりですね。

研究所長の北野さんは、日本の大学で活動したことがないのにNature誌の「Mentor Award」を、「The Crazy Ones」を主張して受賞したたほどの人ですから。

「変な人」「出る杭」でないと、新しい分野、概念、従来のドグマを変えるほどの成果を出すことはなかなかできないでしょうし、社会を変えるほどのエネルギーで、何かを追及しきれないのでしょう。歴史はいつもそうなのです。

これがイノベーションを生むアントレプレナー精神であり、GEW資料1)、TEDxTokyoD-Labなど活動の底流にある思想、価値観そのものだと思います。

この2日後に「Demonstration」が予定されているのですが、そちらは都合で出席できないのです。残念。

SONY CSLのOpen House 2010で、とても満足した半日をすごしました。

Asia Vision 21に参加した「7人のサムライ?」

→English

先日、Singaporeで開催されたHarvard UniversityとNational University of Singapore, Lee Kwan Yew School of Public Policyの共催による「Asia Vision 21」についてこのサイトで報告しました。

この中で日本方の参加者は7名で、自民党の林 芳正議員(元防衛大臣等)、山本UNESCO大使、渡辺元財務省財務官、現JBIC 総裁などです。皆さん、活発にいろいろ発言しましたので、あとで、Harvardの方々から、今回は、日本の参加者の存在がずいぶん目立つね、と喜ばれたそうです。うれしいことです。

これに関して、Harvard大学Kennedy School of GovernmentのSenior Fellowをしているちょっと変わった経歴(日本以外では特に変わっていると思われるわけではありませんが、、)のJun Kurihara(栗原潤)さん(写真)にお会いしました。去年からCanonグローバル戦略研究所の研究主幹にも招聘されています。なかなか「枠には入りきらない」研究者であり、勉強家で、独立した個人として活躍しています。Cambridge GazettというタイトルのCanonグローバル戦略研究所からの報告書 、さらに同名のNewsletterなども配信しています。その内容がなかなか充実して、彼の深い洞察と勉強量がわかります。

Asia Vision21 栗原潤さんと私

こういう現地での活動を通した個人としての人脈は、自分の評価が個人として相互に信頼を伴う認識をされなければ、成り立ちません。これが本人個人としての、社会的肩書きに関係のない履歴であり、実力なのです。

彼の「Asia Vision 21」の報告に触れている報告をリンク(資料1)します。わたしの発言が面白いと思ってくれたのはうれしいです。ほかの方の活躍にも触れています。

もっともっと丁々発止と議論できる、それなりの立場の方たちが増えてほしいものです。

「Invictus」:リーダーの意思、決断と戦略、そして行動

→English

1国トップの責任は、1企業トップ、1大学トップより大きいのは当然です。

この40-50年の激動の世界で、いろいろ国のトップであった人たちで、長く歴史に名を残すような人は、それほどいるわけではありません。でも確実に入る人に南アフリカのNelson Mandela氏がいます。あの、人種差別Apartheidのなかで、弁護士として、また1950年ごろから政治活動を始め、27年にわたって監獄に収監されるなど、想像を絶する人生を送られた人です。1990年に国際情勢の変化などを受けて釈放され、1994年のApartheid廃止後の全国民参加の選挙で最初の大統領に就任。こんな難しい時代の1国のトップの苦悩は想像を絶すると思います。政治家としてGandhiを尊敬していたということです。

ここでは、そのようなことではなくて、この直後の1995年に南アフリカで開催されたラグビーWorld Cup のことです。すべてのゲームが南アフリカで開催され、まさかのことですが、南アフリカが、最強といわれたNew Zealand代表を破って優勝したという、まさに「真実は小説より奇なり」です。

これをテーマにした映画 (資料1)が最近上映されました。「Invictus」 (William E Henleyの詩からきたものです) です。映画はMandelaが大統領になった当時、南アフリカ駐在だったジャーナリストJohn Carlinの本、「Playing the Enemy: Nelson Mandela and the Game that Made a Nation」 を元にしたものです。

とても感動的な物語です。想像しただけでも極めて難しい状況で国をまとめる責任を負ったトップの意思、決断と戦略、そして行動。さすがにClint Eastwood監督ですね、いつものことですが、題材の着眼がすばらしいです。ぜひご覧になってください。

時代が変わっても、国のリーダーの責任はますます大きくなってきています。これからグローバル世界の行く末が、見えにくい時代になってきていますし。大きな歴史観、哲学と実践的知恵、人の心を動かす力です。

友人のジャーナリストLaurie Gallettさんの部屋には、Mandela大統領の等身大写真が置いてあります。本当に世界の人々から尊敬を受ける偉大なリーダーです。

大変化の時代、日本のトップはどんなものでしょうね、なにか迷走状態です。

出でよ、日本のリーダー(何も政治ばかりではないですが、、)。

とても刺激的なTEDxTokyo 2010の1日

→English

写真はここにもあります。

5月15日、東京都臨海副都心にある科学未来館で、去年ご紹介した第1回についで、今年も第2回「TEDxTokyo2010」 が開催されました。

すばらしい五月晴れ、さわやかな海風、素敵な会場設定、気持ちのいい、躍動する人たち。

主催、TED本部 や関係者たちの努力と多くの協力のもとで、この1、2年いろいろな関係イヴェント、プログラムを開催、TEDxTokyoをひとつの「目玉」としながら、「アントレプレナ-シップ (=進取の気性)」の育成、「出る杭」(資料)を伸ばす大きな動きを、一連の活動などを通して育てようというものです。

TEDの活動は急速に世界に、若者へ、と広がっています。

プログラム、スピーカー、すばらしい技を見せてくださった方たちについてはTEDxTokyo2010を見ていただくとして、世界同時On-line Liveであり、またblogtwitter、YouTubeなどでのひろがりはすごいものです。

ウクレレの名手Jake Shimabukuro 、(YouTube はここ)、Human Right Watch土井香苗さんなど、皆さんが多くの感動、驚き、笑いと涙、「わくわく」を共有した、すばらしい当日の天気よりももっとすごい気持ちのよい1日でした。

なんといってもTodd, Patrickほかの企画運営、100名を超えるような多くのボランテイアの方たちのすばらしい仕事のおかげ、そして多くのパートナー、支援者たちの援助を忘れるわけにはいきませんね。本当に素敵な1日をありがとう。

ところで、話題の「Tesla」も一台、(赤色ですよ)試乗に出してくれたのですが、私はすっかりそのことを忘れてしまって実に残念、、ムムム、、。

日本銀行での講演; 「日本の経済低迷とその出口」

→English

5月14日、日本銀行での講演でした。このお招きはちょっと驚きですが、約2時間。白川総裁は急用でご出席できませんでしたが、西村副総裁ほかの50人ほどでしょうか。みな優秀な方たちばかり(と思います)でしたが、男性ばかりでした(女性の2人はサイド席にお座りでした、、)。

「日本の経済低迷とその出口を探る」というテーマで、ということでした。レジュメ、参考図を数枚、推薦図書リスト、また、石倉洋子さんと共著の「世界級キャリアの作り方」、「イノベーション思考法」を数冊、贈呈。

ご存知の方もおられると思いますが、あまりの人気にHarvard大学が初めてその講義シリーズを公開したというMichael Sandel教授の「Justice」のいうテーマの講義。この講義ははじまりから引き込まれるようにすばらしい講義で、NHKの教育テレビで日曜夕方(深夜にもありますが、、)オンエアー。

そこで、私もこのスタイルの日銀でのセミナーを始めました。皆さん面食らったでしょうね?銀行ですし、難しい雰囲気もあるかとは思いましたが、若い人たちは面食らったかもしれません。みなさんの前で、発言しにくい理由はよく理解できます。

特に、インターアクテイヴには進行させにくい雰囲気があります。そこにこそ日本の閉塞感の基本があるのですけど、これについても申し上げました。

タテの男性社会、年功序列、偏差値から出発する社会的ヒエラルキーを当然と認識する精神的価値構造などが特徴的な日本社会、これがフラットなグローバル世界での急激な変化に対応できない底流にあります。「強さ」を生かす、しかし「弱さ」を認識し行動する力の欠如などなど、これは私のサイトにも繰り返し出てく「底流的テーマ」といえます。これを象徴的に、しかも劇的なかたちで表わしたのが「トヨタ問題」であり、アブダビでの原子力の競り合いだったといえます。

このような講演の機会はとても貴重です。今回は、お呼びいただいただけでもうれしいです。次回もまたチャレンジの機会があるとうれしいです。

 

カナダの新プログラム

→English

5月3日、カナダ政府は「Global Challenge Canada」(資料1)という5年間にわたる新しいプログラムを発表しました。

これはゲイツ財団が実践している「Grand Challenge Explorations」(資料1)とも協力しながら、しかし、(主に)カナダの研究者たちが、プロジェクトに参加する途上国の貧困、健康、公衆衛生、医療などの向上に貢献しようというものです。

これは5年という時限ですが、新しい形の科学技術外交を途上国との「Win-Win」関係を構築しようというアプローチです。この成果を見ながら、さらに国際舞台での存在を高めたいという意図があります。

私も支援していますが、日本でも世界銀行との協力関係 のさらなる推進の可能性、最近での日本のアフリカ支援の再確認 、またJICA-JSTのプログラム協力などが進められることになって、うれしいことです。

多くの国の2国間協力、世界銀行のような多国間機構などと歩調を合わせて、最貧国、途上国の多様なニーズに合わせ、MDGなどへ向けて、多面的な展開をしていくことは、人間の安全保障、またMDG推進へ向けても、とてもいいことです。

さらに、多くの支援国の間の協力、情報交換などは特に大事になっていくでしょう。

まだまだ、日本が世界課題に貢献できることはたくさんあるのです。

私たち一人ひとりに何ができるか、これを考えるのはとても大事なことです。大事なことは、「日本から見る世界、そして世界からみる日本」の視点です。

「Asia Vision 21」、Singaporeから

→English

4月29、30日のことですが、「Asia Vision 21」会議がNational University of SingaporeのLee Kwan Yew School of Public Policy  とHarvard UniversityのAsh Centerの共催で開かれました。このAsh Centerのプログラムには数年前からお招きを受けていたのですが今回初めて参加しました。今回はBiotechのパネルに出るのです。

Lee Kwan Yewの学部長は、いくつかのよく知られた著書もあるKishore Mahbubaniさん。長い外交官歴とその識見はたいしたもので、世界中で活躍しています。わたしのblogにも2,3度、出てきます (資料1)。 

Harvard側は皆さんおなじみのEzra Vogelさん、Asia Center所長のArthur Kleinmanさんをはじめとした面白い顔ぶれです。Kleinmanさんとは1月にBostonに行ったときに、美味なMartiniで私もけっこう出来上がってしまいました。

2日間のセッションは、特にアジア政治や経済など、世界の一流の論客、専門家が多いので、私にとってはとても刺激的な討論の場であり、大いに勉強になりました。新しい友人もできたし、こういう会への参加はとても楽しいです。

この会の記録はウェブにも掲載しないルールなのだそうで、演者、参加者などについて長々とご紹介できないのがちょっと残念。

ただ、2日目のBreakout Sessionでは「Flashpoints in Asia」に出ました。参加は10人ほどでしたが、Co-ChairのAstrid Tuminez さん、Huang Jing さん、とてもよかったです。多くの方のアジアを見つめる鋭い視点はとても参考になり、とても刺激的でした。Harvard大学は人材豊富ですが、Singapore大学も多彩な、すばらしい教員を集め、とても活気があります。