「岡目八目」、宋 文洲さんの辛口カラム

宋 文洲さん は大変な苦労の後、「ソフトブレーン」で成功した起業家です。時々テレビでも見かけます。北海道大学大学院に留学、その後は苦労しながら日本で成功した起業家の一人です。このような実体験の背景から、日本の「常識」の「非常識」を、素晴らしい筆力で鋭く指摘しています。彼の著書、例えば「やっぱり変だよ日本の営業」でも明確です。何かの機会に2,3度お会いしたことがあります。

ありがたいことに、宋さんはメルマガも書いていますが、彼の意見はその時々に大いに参考になります。お勧めします。

最近では、「官僚よりも民間に問題がある」、「負けたほうがいい」、「社員のモチベーションは上げるな」、「マスコミは国民のレベルを代表する」などなど、素晴らしいです。

ドッキリすることもあるかもしれませんが、気にしないこと。よく読んでみれば、殆どは本質をついたいい意見ですから。大いに考えて見ましょう。ありがたいことです。

昔の人はいいことを言うものですね、「岡目八目」とか。当事者にはなかなか見えないことが多いのです。「日本の常識は世界の非常識」ということはいくらでもあります。これを認識することは、グローバル時代にはとても大事なことです。「内」の人たちにはなかなか見えないものが、「外」からははっきり見えるものです。

「辛口」の宋さんは、お世話になった日本を応援している、と私には思えます。企業、政府、政治、大学等々、大事なポストについている人たち、皆さん、しっかりしてくださいね。

それにしても、感じたことを、読む人に分かるように書くのは難しいことです。宋さんの感性にも感心しますが、表現の能力、書く能力に感心します。

2つのExecutive Session; リーダーシップ、イノベーション、女性のパワーについて考えたこと・感じたこと

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最近私は2つのExecutive Sessionに出席する機会がありました。その一つはロンドンで開催された業界トップクラスを誇るグローバルな会社の世界戦略に関する会議です。この会社は最近或る買収合併に成功したばかりです。

この会議のメンバーは全部で10カ国から10人(女性は1人)でしたが、その多くが自国の政治・行政において高い地位にある方々、即ち、大臣、最高裁裁判官、国や地域(EU)の議員であったという点において他の同様な会議とは一線を画していました。

例えば、会議の議長をされたPat Cox氏は欧州議会の議長(2002-04)であられましたし、Chuck Hagel氏は今年1月まで12年間共和党の議員でいらっしゃいました。Hagelさんとは少しお話をしましたが、それだけでも氏が大変思慮深い、人間としても立派な政治家であるということが良く分かりました。彼はブッシュ大統領の対イラン政策を最もはっきりと批判したことでも有名です。年の初めにもブログでご報告しましたが、彼はAtlantic Council というワシントンDCに拠点を置く有力な「シンクタンク」の会長に就任され、そのことは私も知っていました。そして今回彼から直接聞いたのですが、オバマ大統領から外交に関する委員会のメンバーにもなるように頼まれたそうです。大変良いニュースですね。

Pat Cox氏の議事進行は素晴らしかったです。流れるようで暖かく、会社の上層部によるプレゼンからその後の質疑応答、提案まで一切を取り仕切り、各委員や幹部の発言だけでなく席順までメモを取って記録されていました。いつも思うのですが、このように立派な経歴を持つ方々とディスカッションやプライベートな会話を通じて知り合うことができるというのは、大変光栄なことです。実に多くのことを教えられます。ところでついでに申し上げると、この会社の代表者の半分は議長を含め女性でした。

東京に戻ってもう一つのexecutive sessionに出ましたが、こちらは日本のグローバルブランドの会社で、国内での売り上げは年間総売り上げの25%です。CEOを中心とするチームは私たちが議論すべき当日の議題を一生懸命考えてくれました。普段はあまり経験しないような活気に溢れた質疑や討論があって、楽しく会議をすることができました。これは、なぜかというとメンバーがかなり「出る杭」的な人たちだからです。例えばiモードを発明した夏野さん資料1)とか。役員レベルに女性が居ないことはさておいても全15人の会社側出席者のうち、女性は1人だけというのは驚きでした。。

この会社の考えは私から見ると男性の発想であり、且つ男性の考えをターゲットにしています。そこで私からの質問は、日常の買い物をするときや大きな買い物をするときの意思決定は女性がしているという、ニューズウィークの‘The Real Emerging Market’と題する記事でも紹介されている事実に関するものでした。私もニューズウィークの表紙の写真入カラムでこの記事を取り上げていますし、その後の2009年10月26日発行のタイム(米国版)‘What Women Want Now’  (資料1) にも同様な趣旨の記事が出ています。言っておきますが、製品は男性向けであるかもしれませんが、それを買うかどうかの意思決定は想像以上に女性によって行われているのです。

男女共同参画の問題は日本の社会に広く存在する喫緊の課題です。このブログでも繰り返し書いていますし、最近ではジャパンタイムズのインタビューでも述べましたが、女性の活用は日本社会、経済にとって「変革の鍵」となり得るのです。

もう一つこれらの二つのセッションに出て思ったのは、このような大会社の要職におられる方々は、急速にフラット化している世界すなわち‘Open and Demand-driven Innovation’の時代に世の中で何が起きているのかを実感していらっしゃらないのではないかということでした。‘Open and Demand-driven Innovation’はグローバルな現代において、どのビジネス分野にとっても非常に重要な、基本的な考え方となっています。

「外から見る日本」への懸念

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このカラムを時々訪問してくださる方はすでに感じ取るっておられるでしょうが、私は以前から日本の将来に懸念している一人です。ちょっと以前までは「いざなぎ景気以来」などという妙な「いいわけ」のようなオプチミズムが蔓延していましたが、その当時から警鐘を発していました。例えば2008年正月の東洋経済に掲載された私の記事 です。

私の見解を認めない、認めたくない人たちも多いと思いますが、「リーマン」の時もはじめは「日本は大丈夫」という雰囲気でしたね。でも一般的に言えば、本質的には日本の企業、特に経営陣が弱いと思います。新しい産業も育ちつつありますが、小さいときに既存の大手に邪魔されたり、大手は変化に対応が遅いのです、よくある話ですが。また、グローバル世界での「異質性、多様性」が、多くの日本人にとっては実体験のないこともあり、直感的に感じ取る感性が弱いと思います。

まさに「地球の限界、アジアの成長」 を受けて、日本の政治も、経済も、産業も、大学も正念場ですね。グローバル時代の本質が直感的に理解できない、今までのシステムで出世してきた「リーダーたち」、しかしそれなりに「まあまあ」と思っているので思い切った対応ができないのです。「ぬるま湯のカエル」に喩える人もいるようですが。日本には生かすべき多くの「強み」があるのですから、がんばって欲しいです。「進取の気性」ですね。「弱み」をしっかり認識し、国内ばかりでなく、世界へ目を向け、世界のパートナーと組みながら、行動することです。スピードが大事です。

海外で、「個人」の資格で長く活躍している人たちにはこれが直感的に見え、感じられるのですね。「「外」から見る日本」だからこその直観力です。「日本から見る世界」を基本に考えている大部分の日本の方たちの「世界の日本」とは大きく違います。

この2週間、お二人の日本の学者、研究者の訪問を受けました。一人はどなたでもご存知のPrinceton大学Hisashi Kobayashi教授です。日本のあまりの内向き発想と行動に懸念されて、訪問してくださいました。私も100%先生の認識と同じですし、何をするのか、いろいろ可能性を議論しました。このサイトを訪ねている方にはご理解いただけると思いますが、私もそれなりに努力しているのですが、何しろ自立、自律しているはずの、「知性の集まり」の大学まで内向きですから。特に「一流大学」といわれる大学では、若い学生さんたちにとっては、これが一流なのだ、と思い込んでしまいますから、たまったものではないですね。

2人目はDr Ryo Kubotaです。在米10年の医学研究者でBiotech Venture も起業しています。東京にきた折にお会いしましたが、本当に日本の研究やベンチャーのあり方などに大きな懸念、いったい日本は何をしているのだ、という危機感です。

これは「愛国心Patriotism」というものでしょう。このような経験を通すことで、偏屈な「Nationalism」は生まれにくいと思います。

このお二人の在外日本人に加えて、Finlandの政府系投資ファンドSITRA  (資料)トップの方々、さらに米国のバイオ関係投資ファンド2社も前後して私に話しにこられました。皆さん、話題は同じであり、懸念も、ポイントも同じです。

もっと多くの人たちが、できるだけ若いときに(いくつも失敗できますし、、そこから学べ、賢くなるのですし、、)広い世界に出て、世界を知る、「外」から日本を見る、直感的に感じ取れるようになる実体験が大事だろうと思います。「井の中の蛙、大海を知らず」です。大海を実体験として「知る」、ことは特にグローバル時代には必須の要件です。今回訪問された日本の方たちは、そのような実体験があるからこそ、とても心配しているのです。

なんといってもまだまだ、世界で2,3番の経済大国なのです。しかも、うらやましいほどのいくつもの強みを持っているのですから、皆さん世界に羽ばたいて欲しいです、引きこもりにならずにね。

この2年ほど私と仕事をしているDr William Saitoさん (資料)も、アメリカ生まれの日本人、彼も同じ認識ですが、彼はアメリカで実際に成功したベンチャー経験がありますから、かなり見方がシビアで、日本の制度的弱点を明確に認識しています。何とかしたいと、私ともモガイテいるのですけどね。いろいろ楽しみな仕掛けを作り、種をまいています。

STS Forum、科学技術担当大臣会合、Young Scientistsとのセッション

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京都で開催されるSTS Forum (Science and Technology in Society Forum) に参加しました。始まりのときから手伝っています(資料)。世界から政治、ビジネス、科学など広い分野の方々が集まって議論、課題を共有しようという大胆な試みです。

今年は、開会のパネルで副総理、科学技術担当大臣の菅 直人さんの挨拶を兼ねた演説がありました。なかなか好評でした。

私の役割は、第1日に、Nature編集長のPhilip Campbellと科学技術担当大臣会議(写真1-4)で基調講演。24カ国(Africaから9カ国)の大臣がご出席。議長は日本の科学技術政務官、民主党の若手のホープの一人、津村啓介さんです。その後、各大臣からの各国の政策、課題などについて活発な発言がありました。

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写真1-4; 会議の参加諸氏と

第2日、「Proposals from Young Scientists」で、TWAS などで大活躍している旧友Mohamed Hassan と共同議長。2時間に及ぶセッションでしたが、8人の若手が自己紹介のあと、4つのテーブルに別れ、各テーブル8-10人ほどの参加者と1時間にわたり議論を展開し、最後にまとめていろいろ提言してくれました。なかなか素晴らしいセッションでした。セッション要旨 も見ることができます。何人かの方から、私は若者のほうに入るね、などとからかわれました。

203f3session 写真;5 参加のYoung Scientistsの皆さんと。前列中央は私、スポンサーとなったJSPS小野さん、Hassanさん。

NYASのPresident and CEOのEllis Rubinsteinは途中から参加するよ、といっていたのですが、よそに参加で動けなくなったようでした。NYASでは私も「Scientists Without Borders」、 に諮問委員として参加しています。

MITのD-Lab、学生との起業

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先日もMITのD-Labを紹介しました。ここで活躍している遠藤くんが、日本を訪問した機会に、ということで私を尋ねてきました。私のイノベーション関係の研究や教育活動に参加してくれているDr William Saitoさんも参加して、いろいろ話が弾みました。遠藤くんは慶応大学で学部、修士を終えて、MITでPhD、現在MITでD-Labに参加しながら、自分の研究活動にも活躍しています。

遠藤さんのD-Labでのテーマは、途上国の義肢(義足、義手等々)を必要としている人たちに、安く、しかも使いやすい義肢を提供しよう という計画です。交通事故、戦争、地雷などで、不自由な生活を強いられているのです。また、現地での義肢は質も悪く、使いにくいとか、なかなか上手くフィットしないとか、すぐに壊れるとか、社会基盤、技術の程度を考えれば、致し方ないところもあるのですが、これを開発して普及させたい、このような人たちの自立を助けたいという、壮大な計画です。素晴らしい活動です。

Img_1889_top 写真; 左からSaitoさん、遠藤くんと

このような活動が実際の社会活動、事業へ発展することも多いようで、上手くいかないのが多いのは当然です。しかし、このサイトに掲載してあるのはまだ続いているものだそうで、起業したものの26%が残っているということです。William Saitoさんはアメリカで学生のときに起業し、それが大成功した人ですが、「この比率はすごいね」、とすぐにコメントしました。本当ですね。

遠藤くんは、世界記録を破れるような高度の義足の開発にも関係しているようですね。高い目標と、とても広い視野での活躍です。慶応の学生のときにソニー研究所北野宏明さん とAIBO の開発にかかわったそうです。

パリ、UNESCO-L’Oreal賞、そして「ソフトパワー」

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写真 サンジェルマン教会前

秋のパリはいいですね。9月28日に出かけました。以前にも報告した素晴らしい女性科学者を表彰するL’Oreal賞の選考委員会が29日に開催されるのです。以前も報告 (資料1)しましたね。

到着した28日の夜は、パリのアメリカ病院 (資料1)に 、アメリカでの臨床研修を終えて最近就任した三村先生ご夫妻と夕食。この病院とのお付き合いも10年を超えました。ところで、この三村さんご夫妻お二人とは家族ぐるみでお付き合いがあるのです。特に奥さんの夏チャン(やはりお医者さんです)のご家族とは、長いのです。食事の後はホテル近くのSt Germain de Presへ3人で散歩に出かけました。Top写真はパリで一番古いSt Germain de Pres教会(再建にはVictor Hugoの力があったとか)前です。秋のパリは素敵です。

Dsc00642_2 写真2; St German de PresのCafeで三村夫妻と

29日の選考委員会、素晴らしい5人が選ばれました。大いに議論しましたが、最後は選考委員の皆さんの意見は一致でした。公式発表の後で、また報告しましょう。このL’Orealのような活動は企業としても世界への素晴らしい広報活動であり、これこそがソフトパワーなのです。

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写真3、4: 選考委員会スナップ

夜は、2年前と同じくL’Orealのご招待でコンサートへ(写真4、5)。前回はIntermissionのところで失礼して帰国の途についたのですが、今回は最後までお付き合い。UNESCO大使館勤務の秋葉さんにバッタリお会いしました。Intermissionでは、私たちはカクテル、演奏終了後は、コンサートホールで夕食、終わったのは12時過ぎでした。

プログラムはPiano、Daniel Barenboim、指揮はChristoph Eschenbach、演奏はOrchestre de Parisです。日本の方も何人か活躍しています。

プログラムは: 
Berlioz; Benvenuto Cellini, ouverture, op. 23; Carnaval romain, ouverture, op 9
Chopin ; Concerto pour piano n. 2 en fa minerur, op. 21 ;  n. 1 en mi mineur, op. 11

Barenboimは素晴らしかったです。お人柄がよく出ていました。

Dsc00665_5  写真5; Barenboim (中央)とEshenbach(左端)

素敵な、豊かな気分の一晩の経験でした。こういうのこそを「ソフトパワー」というのでしょう。伝統であり、洗練されていて、劇場がやたらと立派というわけでもないし。何かというと、「ソフトパワー」とかいって、アニメと言っては「ハコモノ」、いろいろ名前をつけては「国立」とか「自治体立」の美術館とか劇場とか、「ハコ」ばかりが立派で国民の借金ばかりが増えるという国の形。それでいて中身のソフトが弱いのですね、海外から有名どころを招聘してはやたらと高額だったりして。ヨーロッパの音楽の専門家からも話を聞ましたよ、日本公演はもっぱら「おいしい」との評判だ、と。

政権交代でこのような妙な政策はいい加減にして、時代にふさわしい政策への「改革」が始まることを期待しましょう。もう出始めていますね、飛行場と特別会計の関係、ダム工事などの変な仕掛けがバレ始めました。恥ずかしい話が多すぎます。テレビでも新しい大臣が皆さん役所の準備したメモなしで、自分たちの言葉で就任の記者会見でもしゃべり、質問への応答もしています。気がつかないかもしれませんが、皆さんも新鮮に感じているのではないでしょうか。以前、この件についても感想(この第2パラグラフですが、、)を述べていますが、いかがお考えでしょうか。

医師のプロフェッショリズム

特に最近はよくこの言葉「プロフェッショリズム」が使われますね。なぜでしょう。どの職業でも同じようなことがいえるのでしょうが、医師については特に歴史的にもこの言葉が使われます。

アメリカ内科学会の日本支部資料1) についてはこのサイトでも何回か報告していますが、ここでは特にこの「プロフェッショリズム」 についての活動、啓発に特に熱心です。ここで中心的役割を果たしてきた宮崎 仁、尾藤誠司、 大生定義さんたちが中心になって「白衣のポケットの中―医師のプロフェッショリズム」 と.いう本を出版しました。この意識を共有し、活動を広め、行動を共有しようという決意ともいえます。現場の医師の悩みも読み取れますし、主体的な行動は特にうれしいことです。

私も喜んで書評を書かせてもらいました。グロ-バル時代のプロは、「外」にも開かれた他流試合を繰り返しながら成長し、生まれてくるのです。決して独りよがりのプロではいけません。医師同士ばかりでなく、広く国内外の皆さんにも見られているのですから。これがネット時代、フラットな世界の怖いところなのです。

ジャック・アタリさんと会う

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9月16日、フランス大使館で来日中のジャック・アタリさんとの夕食にご招待されました。うれしいですね。一緒のテーブルだったので、いくつかの話題で意見交換ができました。

彼の本を紹介した私のblog の英語版を印刷してお渡しし、英語で書かれた彼の本にもサイン(写真)してもらいました。たった2日間の来日、新しい本の出版と、講演やインタビューで忙しそうで、くたびれた、といっていましたが。

今はフランス政府の顧問のほか、PlaNet FinanceというGrameen BankYunus教授(

資料1) のモデルで貧困へ立ち向かい、社会を変えたいと、活動しています。

ダボス会議;世界の中の日本

昨日、思いがけなく、BSフジテレビの番組で「ダボス会議;世界の中の日本」というテーマで論じました。ネットhttp://www.bsfuji.tv/primenews/movie/index.htmlで見れますので、ご覧いただけますとうれしいです。

また、World Economic Forumのサイトで、「Close Up 現代」の国谷さんによるKlaus Schwabさんのダボス会議でのインタビューを見ることができます。こちらもご覧ください。

Asia Innovation Forum開催;「外から」日本を見る目

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先日ご紹介しましたが、元SONY会長の出井さんが主催する「Asia Innovation Forum」が、9月14、15日の両日にわたって六本木ヒルズで開催されました。プログラムをご覧になると分かるように「Group20」 が苦労しながらの作品、いい仕上がりです。大勢の方が参加され、うれしいことでした。会議の運営についてはTwitter、webcastなども取り入れ、いっそうの効果を出そうと工夫しました。

今回は初めからの予定で主たる参加者を日本の方にしたので、日本人でない方は少数派でした。他にも用事があり第1日目のはじめの部分は出られませんでしたが、セッションは快調に進んだようです。スピーカー はそれぞれ一人ひとりの方たちが素晴らしいし、皆さん論客であり、時間の制限のなかで言いたいことも多いので、司会の方は苦労しましたね。司会の方たちも素晴らしかったです。

第2日は一日出席しました。ランチのときの奥山ケンさん資料1)久しぶりにお会いしましたが、雄大な話と実践力は素晴らしいものがあります。また、ベネッセの福武社長の世界でよく知られた名所「直島」の話は素敵、その後の米倉さんのパネル司会も心優しくてとてもよかったです。最後の「Group20」のパネル、時間の関係もあり、ちょっと不満がのこり気味。最後は緒方貞子さんでしたが、社会起業を目指している方たちのセッションもあり、素晴らしい締めくくりでした。

新しい試みとして「Twitter」を使い、またWebcastも見ることができます。事務方、スタッフたち本当にご苦労様でした。

この「Group20」は従来の日本のビジネス界から見れば、かなり際立って異質と見られるかもしれない人たちかもしれません。従来の「エリート」とはまったく違ったグローバル時代に挑戦している実力のある若手のリーダーたちです。でも、発言を聞いていると、基本的には日本から世界を見ること以上にはなれない限界がある、これが弱みだ、と思いました。つまり、日本を本当に「世界からの視点」からはまだ実感し、見ていないのではないでしょうか。でもこれが外国人の日本を見る視点なのですけど。。。。これは実際に日本の組織、企業を辞めて、海外で「個人として」長い生活経験がないと難しいと思います。いくら長期に海外滞在しても、所詮本社の決断にしたがっているのは「長期の出張」ですから、日本社会、日本の会社の文化から出ることができません。この辺がパネルへ参加した外国人からの質問にいくつも現れていると感じました。自分の「強み」と「弱み」を知ることが大事です、皆さん全員が日本を担う大事な人材ですから。

私のまとめの話資料1)は、その辺の日本人の海外での実践、実体験のなさを中心に話しました。女性の活用程度の低さも大きな問題と指摘しました。翌日の「Newsweek International版」(9月21日号)には、「The Female Factor」(トップの写真をご覧下さい。)という特集記事「The Real Emerging Market」が出ていました。私の意見もですが(このサイトでもしばしは出てくるテーマです)、これは世界の趨勢と思います。日本だけが特殊な国などということを考えていてはいけないと思います。で、ちょっときつめのコメントにしました。今回のテーマ「地球の限界、アジアの成長、日本の責任」 は、日本に期待したいからこそ、なのです。まだまだやること、やるべきことはたくさんあります。行動あるのみです。