ガーナ、アクラから-2: 野口英世アフリカ賞シンポジウム

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3月9日は、1日「Hideyo Noguchi Afriza Prize Symposium」です。会場もこのHotel内の会議場です。

今回の訪問は、このサイトでも何回か報告しましたが、2年前に始まった日本政府の主催する唯一の賞、「野口英世アフリカ賞 資料1)シンポジウム」委員長としてきたのです。皇太子殿下もご臨席です。Sub-Saharaへは初めてのことですが、うれしいことです。第1回の受賞者のDrs Greenwoodさん、Wereさんも参加。

私の開会の挨拶、Ghanaの副大統領John Mahamaさん、そして皇太子殿下のお言葉です。その後、Drs Greenwood、Wereさんの講演と続きます。ここで、皇太子殿下と副大統領はご退席。

午後は活発なパネル、最後にWereさんの主催するUZIMA財団の若者たちが作った「野口英世ものがたり」の「紙芝居」で2人の若者がせりふをつけ、最後にこの2人が詩を朗読する、という感動的な終わり方でした。この最後のセッションをぜひ撮影してUZIMAのホームページに掲載してくれるようWereさんにお願いしました。できたときには「リンク」しましょう。

夕方に皇太子殿下が再度お見えになり、まず演者、パネリスト等に謁見、その後、皆さん参加のレセプションでした。パネリスト日本財団の笹川会長のblog、3月9日分も見てください。

皇太子殿下には、本当にハードスケジュールで大変です。これからの旅先のお疲れが少ないことを願っています。

今回の訪問についてGhanaでも、日本でもいくつかテレビ、新聞、On-lineなどで報道されています。ほかにもあるでしょうが、以下にいくつか紹介します。

Ghana news coverage;
http://www.graphicghana.com/news/page.php?news=6722
http://www.graphicghana.com/news/page.php?news=6705
http://mobile.ghanaweb.com/wap/article.php?ID=176510
http://mobile.ghanaweb.com/wap/article.php?ID=178171
http://www.afriquejet.com/news/africa-news/japanese-crown-prince-urges-int%27l-effort-against-infectious-diseases-2010031045535.html                                          http://www.breitbart.com/article.php?id=D9EB5MCG0&show_article=1

日本:
<Japan Times Online>
http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/nn20100311a7.html?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+japantimes+%28The+Japan+Times%3A+All+Stories%29
<皇室ニュース> http://worldtimes.co.jp/today/photonews/100310/100310-1.html
<日刊スポーツ>
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20100310-604410.html
<山陰中央新聞>
http://www.sanin-chuo.co.jp/newspack/modules/news/article.php?storyid=1030617011
<47 News> http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010030901000989.html 

L’Oreal-UNESCO 女性科学者賞受賞式

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BeauneからTVGでパリへ。2010年のL’Oreal-UNESCOの「Women in Science」授賞式です。今年もすばらしい5人が選ばれました。生命科学関係では2008の受賞者からElizabeth BlackburnとAda Yonathの2人が2009年のNobel賞受賞でしたので、関係者皆さんとてもハッピーでした。

しかし、パリはやはり素敵です。ちょっと寒いけどいい天気です。選考委員としてInterviewを受け、その後、UNESCO勤務中の渡辺さん、坂下さんと「il Vino- Enrico Bernardo」

UNESCOでの授賞式はいつもながらとても素敵。松浦さんの後任のUNESCO事務局長のIrena Bokovaさん、L’Oreal会長Lindsay Owen-Jonesさんの挨拶(トップ写真です)に始まり、15人の国際フェローの紹介。司会はいつもですが、世界でもよく知られた、Christine Ockrent(トップ写真の中央)、いつもの軽快なテンポで進行を勤めます。ご主人は現在のフランス外務大臣、国境なき医師団を始めた1人 Dr Bernard Kouchnerです。

Dr Cruz 写真1:Dr Cruz(右は委員長のGunter Blobelさん)

今年のアジアからのL’Oreal受賞はThe PhilippinesのCruzさん(写真1)。地元の貝からconotoxinを同定し、これがなかなかのneurotoxinなのです。フグの毒からtetrodotoxinが見つかったのと似ています。このような方が選ばれるのはとてもうれしいです。

皆さん受賞スピーチ、それぞれキャリアの話そのものが感動的でした。レセプションではUNESCOで活躍する日本の女性4人とパチリ(写真2)。

Bottom写真2:UNESCOで活躍する日本の女性4人と

 

韓国に学ぼう? いいことですね

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前回でも触れましたが、韓国に学ぼうという社説が日経に出たそうです。結構なことです。原子力、サムソン、現代自動車、Vancouver Olympicと、このところ立て続けにまともにパンチを浴びていますからね。

日本でも、私が時に触れるJBPressなどのネットニュース。これが結構「イケル」のです。そこに出ているのが、JBPress、野口 透さんのサムソンの「ヴァンクーヴァー五輪、真の勝者はサムソンだった; 半導体や液晶だけでない長期事業育成策がここにも」です。

日本の新聞も大丈夫でしょうか?時代の流れの方向は確実ですけどね。発行部数を競争したり、いまだに「記者クラブ制度」にこだわったりとはね。

一方で韓国での報道もあります。

中央日報が、その日本語ネット版で、「日本はいま“快速コリア”研究中」 という記事を掲載、日本経済新聞の社説に触れ、さらに私が前回触れた日経ビジネスの特集を紹介、私のコメントも入れ込んでいます。私の取材は私が滞在中のパリまでの電話でした。

「環境後進国ニッポン」、ついに明らかに?

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日経ビジネス3月1日号の特集を見ましたか?(ネットでは有料のみで見れるようですが、なぜでしょうか)。

はじめには「今週の焦点」で、経済同友会代表幹事、リコーの桜井正光会長。いつも財界のうち向きさ加減に鋭い異論を唱えていましたが、この特集との組み合わせは編集者の意図があるのでしょう。よい選択です。

特集は22-39ページ。タイトルは、ずばり「環境後進国ニッポン」です。世界の動きについていけない、内向きの「技術過信」日本の産業界。特に大企業は会社内の理屈ばかりで、グローバルな世界の動向を「実感」として知らない、議論すると「できない理由」ばかりをいう。

環境技術、日本は世界一、とずいぶん言われていましたね。省エネルギー、水処理、電池等々、でも世界の市場ではどうでしょうか?

技術が進んでいても「グローバルの横への展開」思考と、その「ノウハウ」がわからない。「ガラパゴス」 (資料1)、といわれてもなかなか新しい展開ができない。世界の人脈が薄い、英語もだめ、過去の「成功」にとらわれている精神的鎖国の上層部、責任者に運営される大企業群。国内事業で満足していた「ツケ」ですね。そこへ入社したい若者たちの10-20年後の将来は?そこでの中間管理職をはじめとする「人材」を見ることでしょうか。

具体例もいろいろ、大きく「こと」を見れない、「ものがたり」 を構想し、語れないのでは、いくら技術があっても、宝の持ち腐れです。

これは電気製品ばかりでないのは明白でしたが、なぜか国内の抵抗勢力の力が大きく、また横並び企業が多くて大転換できないでズルズルここまで来たのでしょう。

少々明かりが見えてはいますが、規模が小さい、スピード感に欠ける、何度も指摘されているとこところです。いつまで「単線路線」の従来型のキャリアパスが邪魔なのです。

このように、紙面、報道、ニュースなどなど、しっかり、繰り返し、国民へのメッセージの発信が大事です。それこそがメデイアの役割、そこでこそ政策の施行が可能になるのです。もう「黒船は来ない」 (資料1) のです。

今年1月に何報か報告した韓国の原子力 、さらに産業界ではサムソンをはじめとする、LG、現代、ポスコなどの躍進、最近ではVancouverでの韓国選手の活躍、そこへのトヨタの問題です。

ニッポンがんばれ。ニッポン企業がんばれ。大学も

人材、人財の育成、教育こそが国の根幹です。どんな教育なのか、これは別のことですが。

中国ばかりでなく、韓国にも学ぼうという素直な機運は結構なことです。何事にも謙虚であることは、昔からの知恵であり、教えです。

ボツワナから-3

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ボツワナからの写真はこちら; http://www.flickr.com/photos/whsaito/sets/72157623508216878/

ボツワナ2日目の25日の夜、Phakalane Golf Estate and Hotel Resortでレセプション。同行のGRIPSのWilliam Saitoさん、双日の多田さんのほかにも、日本大使館から大使はご不在でしたがKosaka公使、そして現地で活躍されているNHKの仲居さんも参加してくださいました。

26,27日は6つの省、ボツワナ大学、また4つの国立研究所と、この国の科学技術イノベーション政策あり方について会談、討議しました。皆さん熱心なのですが、やはりどうしてもそれぞれ自分たちの立場からの見方になってしまいます。大学も研究の重要性と政府の予算のことが中心になってしまうのですが、卒業するとどのような職があるのか、などの質問などにはなかなかすぐには答えられないところがあります。致し方ないところですが。

面白いことに、あちらのスケジュールで3つの省と一緒に会議をしたときのことですが、このようなスタイルはあちらでもなかなかないようで、後でずいぶん参考になったといわれました。どこでも役所には同じようなところがあります。

26日は昼にちょっと近くにある「Mokolodi Nature Reserve」 へいきました。野生の動物を見るのは、美しいし、いつも何かの感動をくれます。でもここは完全な開放された自然の中ではないので、ケニアのMasai MaraやタンザニアのSerengeti のような感動にはならないのは致し方ないですね。次回はもっと本格的な自然のなかへ行ける時間の余裕を持ちたいところです。Okavango DeltaKalahari砂漠Zanbezi川、またライオン、象などの動物の多さ等々、それこそがBotswanaの魅力ですから。

27日の午後はLobatse (ここにも Western Union (資料1) がありましたよ)にある JOGMEC (JOGMECに限らずいつものことですが、ウェブサイト何とかなりませんかね。もっと工夫ができると思います。)を訪問しました。衛星から資源調査をしているのです。現地で活躍している鈴木所長、沼田さん、ご苦労様です。この日は「Mokolodi Nature Reserve」を大きく回った形で、約200キロ、車での移動でした。

どこでも活発な議論ができて、とてもよかったと思います。日本との2国間、そしてさらに大きな枠組みで、どんな協力体制ができるか、これからの課題はたくさんあります。

ボツワナから-2; 国内外との送金、携帯とWestern Union

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ボツワナの写真はこちら;  http://www.flickr.com/photos/whsaito/sets/72157623508216878/

ボツワナはとても広い面積の国です。いろいろ話を聞いて見ると、携帯電話は広く普及していますし、皆さん共通言語は英語ですし、義務教育は全体にいきわたり、日本の高校一年まではほとんどが進学するようです。授業料は不要です。立派な国です。これらはこの国の強みです。

ところで、先日の「Western Union」 の件で、日本の鎖国政策がいかにひどいものかについて書きました。

これについていくつかご意見をいただきました。Vodafoneが中心になってKenyaと英国の間での携帯電話をつかった送金サービス が始まります。Kenyaでは「Safaricom」と いう通信会社が携帯電話での小額の送金を可能にしています。これこそが、多くのアフリカの国のような、交通、通信など社会インフラが十分に広がっていない国ではとても便利ですね。「Western Union」といっても銀行も窓口がなければなかなか送金は難しいでしょう。新しい「Demand-driven innovation」です。

このボツワナの国内の送金は携帯電話で簡単にすませるようです。Western Unionのオフィスを街中で見かけました。

アラブ首長国連邦のように海外からの労働力に大きく依存している国では、この母国の家族への送金は大事なビジネスになります。送金は、年に1兆円近くにもあるようで、より透明な形で携帯電話を通じた送金ができるようになるようです

日本の銀行では、このような小額送金を携帯電話などで簡単に利用できるようにするのに反対なのでしょうね。なぜでしょう、とても高額の手数料で結構大きな収入を上げているから反対なのでしょうか。このような大きなパラダイムを変える「Flattening世界」では、その変化に対して抵抗する企業は確実に どんどん衰弱します。しっかりしてください。

トヨタ問題はトヨタ固有のものか?

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トヨタ車リコール問題は1月終わりから急激に広がりました。この問題はトヨタという日本を代表する、そして日本が世界に誇る、世界から高く信頼されている企業だからこそ、トヨタにとっても日本にとってもとても深刻な問題です。

トヨタ問題については、このカラムで2度も触れていますので資料1)、この辺で発言を控えておきたいところです。基本的には、従来型日本の「常識」を反映した「タテ社会」、「男社会」、「年功序列」、「横に動きにくい」、「終身雇用と大きな退職金」、「ものづくり信仰」などなどを背景にした日本大企業の課題が根底にあるのです。

この点について、Economist誌がその最新版で指摘 (資料)しています。フラット化するグロ-バル社会へ日本の対応の共通課題であり、私も繰り返し指摘していることですが。

トヨタばかりでなく、ほかの大企業もここに指摘される同じ問題を抱えています。

産業界も大変革のときです、がんばってください。政治にも大きな課題がありますが、産業界にも思い切った改革が必要です。「失われた30年」の始まりになるかもしれません。時間はあまりないと思います。

トヨタの問題と苦悩: 外から見る目、外を感じるこころ

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リコール宣言になりましたが、トヨタ問題はしばらく続きそうな気配です。米国でもニュースの扱いは大きいですし、豊田社長も近々にも渡米予定と報道されています。米国議会でもヒアリングの動き、議員の動き、報道や論説等々、日本の報道ばかりでなく、ネット時代はだれでもできることですが、海外の報道はたくさんあります。「Google」すればいいのです。これらを多面的にフォローしていることは大事です。特にこのような日本を代表する企業、しかも今回は海外での問題が大きいのですからね。日本での報道ばかり頼っているのではいけません。特にウェブ時代のメデイア、インターネットでも情報、ネット新聞、雑誌などいいものがいくつもあります。

世界のビジネス関係者に一番読まれているのは、新聞ではFinancial Times (42万ほどの発行部数、日本のメジャー新聞とは桁違いに少ない発行部数ですが世界的インパクトは日本の新聞と比べて段違いです)、週刊誌ではThe Economist ではないか、と私は思うのですが、いかがなものでしょう。記事も世界をカバーし、米国よりでもないし、英国にも辛らつですし、記者の書きぶりもうまいし、客観性が高いと思います。これが英国流かも知れませんが、タイミングのよい、的を得た記事が多く、対象の見方もなるほどと思わせる「プロの仕事」が多いのです。私はこの2誌は好きで「Kindle」に入れています。

英語をあまり読まない人たちには、 「JBPress」というOn-line Pressで一部を読むことができます。私はThe Economist 2009年12月10日号「Toyota Slips Up」「Toyota Losing Its Shine」 で豊田章男さんがJim Collinsの「How the Mighty Falls」を読んで、「トヨタは結構まずいところまできている」と認識しましたとあり、ちょっと気になっていました。The Economistのこの記事の日本語訳主要部分はJBPressに出ています。

The Financial Timesにも最近いくつかのToyota記事が出ていますが、これもJBPress でいくつかも日本語訳(「自らの名声失墜を招いたトヨタ」「よろめくトヨタの御曹司」 、「顧客対応でミソつけたトヨタ、不発に終わるダメージコントロール」「トヨタを脅かす安全性の危機;世界シェアの拡大にひた走った代償」など)を読むことができます。これらの2誌はビジネス関係者には必須でしょう。

ところで技術のトヨタがどうしたのか。電気自動車のブレーキ、アクセルなどについて、米国から発信している冷泉さんがわかりやすく説明しています。これは村上龍さんのウェブメデイアです。これを見ると、「なるほど」とよくわかるところがあります。従来とは電気制御ではメカニズムがブレーキもアクセルも大きく違うのですね。しかし、車の運転する人にとってそんなことは関係ないのです。特にブレーキとアクセルは車の運転では一番大事で、車の運転している人も、乗っている人も、ぶつけられた人も命にかかわる事故に直結するところですから。技術の先端と、製品の市場価値、お客さん、社会への対応を、戦略的に考えておかないといけないのです。

つまり技術だけではない、客を向いた、車の、ドライビングの「ものがたり」を語れるか、ここが大事です。特にアクセル、ブレーキといった人命にかかわるところの管理は最重要です。

Toyotaの記者会見も、前回から繰り返しますが、実にまずいです。どんな会見が社会から好意的に受け入れられるか。これもプロの仕事師チームが必要です。Toyotaの皆さん、がんばってください。

「医療改革をどう実現すべきか」: すばらしい一冊

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医療改革は世界どこの国でも大きな課題です。現在、日本も米国でも、もっとも大きな政治的課題のひとつになっています。

国によってその社会的、政治的、経済的、文化的など複雑な要素があり、その一方で医学や医療技術がすすむものです。すべての国に適応する制度などありません。特に先進国では制度改革になりますが、最も大きな政治的課題です。側に社会に情報が広がる世界で、社会の期待と現場の状況との乖離は広がります。

医療制度のついては多くの本が出ています。それぞれの国の改革を述べたものもいくつもあります。普遍的なモデルはないのですから、できるだけ多くを学びながら、それぞれの「識者」も、もっと自分の立場を離れた俯瞰的視点からの発言が求められます。このサイトでも述べていますが、私の見るところ、わが国の多くの「識者」は、えてして自分の経験と立場からの発言で、自分を突き放して、大きな時間軸と社会背景などを考慮した客観の高い、俯瞰的視野から発言 (資料) が少ないように感じます。大部分が国内の単線キャリアを積んでいく「タテ社会」の弱みです。

数日前、「医療改革をどう実現すべきか」(日本経済新聞社)という本が出版されました。Harvard大学の公衆衛生大学院の教授たちによって書かれた「Getting Health Reform Right; A Guide to Improving Performance and Equity」 (2nd edition, 2008)を、著者たちの薫陶を受けた日本のお弟子さんたちが訳したものです。Amazonで調べてください。

同じテーマのいくつもの本と違って、著者たちはいくつもの国での経験を踏まえて、多様な社会的背景をよく理解した上で、政策ばかりでなく、医療改革の5つの「Controllers」、すなわち「財政、支払い、組織、規則、行動」を解析し、倫理的、政治的側面と改革への可能性のプロセスを書く、というすばらしい内容です。

日本ではどのような課題と側面があるだろうか、ではどのように改革を進めることが可能なのか、政策の根拠は等々、実によく考えられた、大きく俯瞰的、実践的な思考力を刺激される本です。

Harvard大学の4人の著者、また邦訳を企画、実践してくれた方たちに敬意を表したいと感じた一冊です。ありがたいことに、私も「推薦の言葉」を書かせていただきました。

医療政策に関心のある方たちに、ぜひ読んでほしい本です、ちょっと高い(4,500円)ですけどその価値はあります。

医療政策機構の活動と「驚くべき」評価

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私は6年ほど前から、「医療政策機構」というNPOを立ち上げ、意識を共有する仲間たちと活動しています。

機構のサイトからもわかるように、国に頼らず、超党派で医療政策の検討、患者の声や社会の声を取り入れるプロセス形成の政策とリーダーシップ形成、また「グローバルヘルス」 主要な3つの柱にして活動しています。有能な意識の高い人たちが参加し、若い人たちにはキャリアの一部として参加してくれる方たちが増えているのもうれしいことです。つまりは、日本の市民社会への転換の促進と、グローバル世界の市民国家への転換を促進する活動ともいえます。

奇数月に朝食会を開催し、会員との対話の機会も作っています。恒例ですが、1月は私がご挨拶を兼ねてお話しました。みなさん、それぞれの立場で医療に関心のあ る方たちばかりです。ですから、今回はちょっと趣向を変えて、自分の立場をはなれて、より客観的に自分の立場を批判的に観察したうえで発言していただく「Q&A」 にしました。皆さんには突然だったのでちょっと難しかったかもしれません。でも、客観的に自分の立場を離れて全体像を俯瞰して自分と自分の属する業界を見る「クセ」をつけることは、政策などを考えるときには特に大事です。「外から見た日本」、「全体のなかの部分」を常に考えることです。ある書評(3段目)にもこのことを書いたことがあります。

2 月10,11日の2日にわたって、恒例の「医療政策サミット2010」を開催しました。これについてはまた報告しますが、民主党政権からは長妻 昭 厚生労働大臣、枝野幸男行政刷新担当大臣(10日任命されたばかりでした)、古川元久内閣府副大臣、津村啓介科学技術等の政務官、また民主党からは小宮山 洋子議員、桜井 充 議員、梅村さとし議員、自民党から川崎二郎議員、鴨下一郎議員、世耕弘成議員、公明党の福島元厚生政務次官など参加され、また医療界、患者会、学会、産業界、メデイア 等、多くの参加をえて多いに議論が沸きました。

ところでとても嬉しいことがひとつ。Pennsylvania大学が世界の「Think Tank」評価 をしています。大学の評価ランキングなども、なにかと話題になっていますが、これは「Think Tank」ランキングです。この2009年の評価で は、全体としては「Brookings Institution」でした。しかし、「Health Policy」のカテゴリーでは、1. Harvard University School of Public Health; 2. Bloomberg School of Public Health, Johns Hopkins Universityと順調なところですが、なんと10位に私たちの「医療政策機構」がRank-Inしているではないですか。これにはびっくりしました が、皆さんのおかげ、そして私たちの活動を広く見え、情報発信するよう、日常的に努力していることも評価されているのでしょう。何と言っても政府系の 「Think Tank」が多い中で大奮闘と思います。政府からまったく独立した、この若い、小さな「Think Tank」にとって大いに励みになることでした。