日英米韓国、ガン臨床治験会議

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すがすがしい天気の5月25日、英国大使館で日英米韓の4カ国でガンの臨床治験についての会議を開催しました。開会には主催者を代表して英国大使Warrenさん、米国大使Roosさん(大使館サイトの「News from the Embassy」、5月27日付)、韓国は大使館から黄 淳澤(Hwang, Soon-Taik)公使がご挨拶、そして私が医療政策機構を代表し、最後に日本対がん協会ほほえみ大使のAgnes Chanさん。

臨床治験についてはこの20年、日欧米の3極協議(ICH: International Conference on Harnomization) が続けられていたところですが、いつも日本の遅れが指摘され、いろいろ対応がとられ、ごく最近までも国内では「Drug Lag」などが指摘されていたところです。

最近では、台頭するアジアなどと急成長する市場を背景に世界の様相も急激に変化しています。米国の当局FDAはかなり前から中国、インドなどの当局に人材を送り込み、指導、人材育成などを通して、これらの成長市場の臨床治験、新薬許認可システムを共通化する試みなどを始めています。ヴィジョンを持った戦略的思考と行動というべきでしょう。欧州もどんどん進出していますし、「アジアの核」となるべく活動の展開にいとまがありません。

今回の発表でも、韓国の急変は目覚しいです。英米韓国からそれぞれの専門家が、日本からも医薬品医療機器総合機構PMDA 、厚生労働省が参加しました。わが国の政府も「ライフイノベーション」という成長戦略を掲げていますが、どんな戦略的政策が描けるでしょうか。

この会議のプログラム、参加者、資料、報告などは「医療政策機構」サイトに近日中に掲載されますので、そのときにまた改めて報告します。

Asia Vision 21に参加した「7人のサムライ?」

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先日、Singaporeで開催されたHarvard UniversityとNational University of Singapore, Lee Kwan Yew School of Public Policyの共催による「Asia Vision 21」についてこのサイトで報告しました。

この中で日本方の参加者は7名で、自民党の林 芳正議員(元防衛大臣等)、山本UNESCO大使、渡辺元財務省財務官、現JBIC 総裁などです。皆さん、活発にいろいろ発言しましたので、あとで、Harvardの方々から、今回は、日本の参加者の存在がずいぶん目立つね、と喜ばれたそうです。うれしいことです。

これに関して、Harvard大学Kennedy School of GovernmentのSenior Fellowをしているちょっと変わった経歴(日本以外では特に変わっていると思われるわけではありませんが、、)のJun Kurihara(栗原潤)さん(写真)にお会いしました。去年からCanonグローバル戦略研究所の研究主幹にも招聘されています。なかなか「枠には入りきらない」研究者であり、勉強家で、独立した個人として活躍しています。Cambridge GazettというタイトルのCanonグローバル戦略研究所からの報告書 、さらに同名のNewsletterなども配信しています。その内容がなかなか充実して、彼の深い洞察と勉強量がわかります。

Asia Vision21 栗原潤さんと私

こういう現地での活動を通した個人としての人脈は、自分の評価が個人として相互に信頼を伴う認識をされなければ、成り立ちません。これが本人個人としての、社会的肩書きに関係のない履歴であり、実力なのです。

彼の「Asia Vision 21」の報告に触れている報告をリンク(資料1)します。わたしの発言が面白いと思ってくれたのはうれしいです。ほかの方の活躍にも触れています。

もっともっと丁々発止と議論できる、それなりの立場の方たちが増えてほしいものです。

「JUSTICE」; Michael Sandel教授の連続講義

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ハーバード大学のMichael Sandel教授による連続講義「JUSTICE」がNHKの教育テレビで毎週日曜夜6-7時に放送され、深夜にBSで再放送されていることをご存知の方も多いでしょう。このブログでも先日ご紹介したばかりです。

この連続講義はハーバード大学で大評判で、時には1,000人もの学生が出席するとかで、あまりの人気の高さにHarvard大学では初めて「On-line」で公開しました。NHKのテレビを見た人はまるで自分が講堂に学生として座っているかのような気分になります。

私もこの講義のファンで、どうしたらこういう講演ができるのか、番組から学ぶことは多いと思っています。

ところで、この講義シリーズに関してはいくつか驚くような事実があります。1つ目は、Sandel教授はこのテーマに関して数冊の本を書かれていますが、私は教授の著作の 「JUSTICE」をKindle で電子的に手に入れたことです。これはAmazonで買うよりもずっと早いわけで、思いついたときにすぐ反応したのです。これは読書の世界における飛躍的な進歩と言えるでしょう。本に目を通すことで、講義の内容や議論の詳細をよりよく理解することができました。

2つ目は講義のスタイルです;学生との対話から始め、課題についてお互いの対話の上に質問を積み重ねて議論を進めていきます。

3番目は、講義で取り上げるテーマや内容が日常生活の身近な問題を取り扱っているにも拘わらず、毎回30分間でセッションが終わってしまうことです。講義を進めていく教授の技量は大変なものでどうしたらあれほど効率よく、しかも内容の豊かさやワクワク感を持続し続けることができるのか驚きます。私もこのような講演ができるよう、と思います。

4番目は教授の知識の深さとそれらを現代の課題や論争に関連付けていく能力です。
 
そして、最後に5番目として挙げられるのは彼の記憶力で、質問に答えた学生の名前をすぐに憶えていることです。なかなかできることではないと思いますが、、。

このようなスタイルの講義は出席した学生に強い印象を与え、さらには質問を促す効果があるでしょう。

幸い、これらの講義シリーズはウェブでも公開されているので誰でも視聴して楽しみ、考え、インスピレーションを得ることができます。NHKの番組では英語でも日本語でも見られますが、「On-line」版はもちろん英語のみです。私としては1人でも多くの学生がOn-lineで本来の英語の講義を視聴することを勧めます。

もっと言えば、日本の学生さんに、これらの講義を通してハーバード大学の講義に直に触れて欲しいです。世界の一流大学の講義、教授がどういうものかを見聞きすることで外国の学生が置かれている授業環境、受講している講義の内容やスタイル、教授の資質やクラスの雰囲気などを知ることができるからです。

教授や先生方にはとっては講義やクラスの参考になることが多いばかりか 、学生達も違いを知ることができます。このような授業公開を今後増やしていくことで、デジタル時代は大学教育の質向上や、数10年単位での未来の教育の変革資料1)手段となる可能性が十分にあると思います。

本当に素晴らしい講義です!

とても刺激的なTEDxTokyo 2010の1日

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写真はここにもあります。

5月15日、東京都臨海副都心にある科学未来館で、去年ご紹介した第1回についで、今年も第2回「TEDxTokyo2010」 が開催されました。

すばらしい五月晴れ、さわやかな海風、素敵な会場設定、気持ちのいい、躍動する人たち。

主催、TED本部 や関係者たちの努力と多くの協力のもとで、この1、2年いろいろな関係イヴェント、プログラムを開催、TEDxTokyoをひとつの「目玉」としながら、「アントレプレナ-シップ (=進取の気性)」の育成、「出る杭」(資料)を伸ばす大きな動きを、一連の活動などを通して育てようというものです。

TEDの活動は急速に世界に、若者へ、と広がっています。

プログラム、スピーカー、すばらしい技を見せてくださった方たちについてはTEDxTokyo2010を見ていただくとして、世界同時On-line Liveであり、またblogtwitter、YouTubeなどでのひろがりはすごいものです。

ウクレレの名手Jake Shimabukuro 、(YouTube はここ)、Human Right Watch土井香苗さんなど、皆さんが多くの感動、驚き、笑いと涙、「わくわく」を共有した、すばらしい当日の天気よりももっとすごい気持ちのよい1日でした。

なんといってもTodd, Patrickほかの企画運営、100名を超えるような多くのボランテイアの方たちのすばらしい仕事のおかげ、そして多くのパートナー、支援者たちの援助を忘れるわけにはいきませんね。本当に素敵な1日をありがとう。

ところで、話題の「Tesla」も一台、(赤色ですよ)試乗に出してくれたのですが、私はすっかりそのことを忘れてしまって実に残念、、ムムム、、。

「Asia Vision 21」、Singaporeから

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4月29、30日のことですが、「Asia Vision 21」会議がNational University of SingaporeのLee Kwan Yew School of Public Policy  とHarvard UniversityのAsh Centerの共催で開かれました。このAsh Centerのプログラムには数年前からお招きを受けていたのですが今回初めて参加しました。今回はBiotechのパネルに出るのです。

Lee Kwan Yewの学部長は、いくつかのよく知られた著書もあるKishore Mahbubaniさん。長い外交官歴とその識見はたいしたもので、世界中で活躍しています。わたしのblogにも2,3度、出てきます (資料1)。 

Harvard側は皆さんおなじみのEzra Vogelさん、Asia Center所長のArthur Kleinmanさんをはじめとした面白い顔ぶれです。Kleinmanさんとは1月にBostonに行ったときに、美味なMartiniで私もけっこう出来上がってしまいました。

2日間のセッションは、特にアジア政治や経済など、世界の一流の論客、専門家が多いので、私にとってはとても刺激的な討論の場であり、大いに勉強になりました。新しい友人もできたし、こういう会への参加はとても楽しいです。

この会の記録はウェブにも掲載しないルールなのだそうで、演者、参加者などについて長々とご紹介できないのがちょっと残念。

ただ、2日目のBreakout Sessionでは「Flashpoints in Asia」に出ました。参加は10人ほどでしたが、Co-ChairのAstrid Tuminez さん、Huang Jing さん、とてもよかったです。多くの方のアジアを見つめる鋭い視点はとても参考になり、とても刺激的でした。Harvard大学は人材豊富ですが、Singapore大学も多彩な、すばらしい教員を集め、とても活気があります。

 

カナダ: 朝日「Globe」から

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朝日新聞では数年前から、毎月2回「Globe」という8ページ特集を組んでいます。内容といい、取り上げるトピックスもなかなかユニークで、とても楽しめるものです。

タイトルからもわかるように大きな視野で「グローバル世界と日本」をいろいろな角度で分析している、素敵な特集です。船橋編集主幹の企画と思いますが、彼らしい企画です。

さらにすばらしいのは、すべてが「On-line」で読めることです。新聞に出てから何日かかけながら全体の記事が読めるようになっています。

最近の4月21日号は「カナダ」がテーマでした。私も大学関係者と広く交流 (資料1)、(ほかにもこのサイト内で「カナダ」「Canada」で「search」してください)があるので取材を受けました。このカナダ特集は「日本とカナダは超大国のそばで見えない国になるおそれがある。どう対応するかが21世紀の挑戦だ――。両国の大学関係者の会合で、こんな話が出たという」で始まります。これは読んでのお楽しみです。カナダの人口は隣の米国の10%、日本も中国の10%。お隣の大国、米国との協調と自分の独自性の維持、などなど、興味ある記事です。

私もカナダは好きですね。一言で言えば、「英国のいいところを受け継いで、階級社会を引き継がなかった国」でしょうか。「英国のいいところ」はやや社会主義的要素を持ち、民主制度がよく機能している、教育程度が高い、いくつかのすばらしい大学がある、医療制度はマイケルムーアの映画に見るように国の機能ですが、質がいい、患者の負担は少ない、信頼が高いのです。医師も大学教員の質も高いです。

2008年からの金融危機の影響を最も受けなかったのがカナダでした。銀行がサブプライムに巻き込まれなかったのです。

昨日からTorontoに来ました。ディナーの席では、130万の都会Calgaryでも、多くの人たちは自宅のドアのロックをほとんどしないそうです。いい昔の姿が残っているのですね。この話はマイケルムーアの映画でも出てきます。

ひとつだけ朝日新聞に注文。こんなすばらしい特集をせめて「On-line」だけでも英語で出してくれないものでしょうか?日本人対象だけでは、本当にもったいないです。

新しい息吹きと遭遇のいろいろ

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4月になって、いろいろ新しい社会への動きを感じる機会がありました。

若いとき、南アフリカのアパルトヘイトからの道のりにもかかわった感動的な経験から、紛争、対立の対話の推進などの活動を進めるReos PartnersKahenaさんとLeanne Grilloさんを迎えて、いわゆる広い意味での「社会変革イノベーション」についてのお話を聞く機会です。このウェブサイトから伺い知れるように、多様な、多くの利害関係者の中での難しい状況の経験を通した、何かとても大事な基本的なスタンスをお聞きすることができました。

お招きを受け集まったのは10数人ほど。半分は女性ですが、「単線路線」の方はおられませんでした。残りの男性たちも「単線路線」よりは、海外も含めて多彩なキャリアで活動してきた方たちで、社会をよくしたいと、いろいろ活動しておられる方たちです。少数派の「単線路線」のかたでも、実際に組織とは離れて社会活動もされている方たちです。 SoL (Society for Organizational Learning)の日本支部として活躍している方たちの主催です。

いろいろ理由を言いながら変われない日本の中で、社会を変えよう、世界を変えようという広い裾野が広がりつつあるのが、個人個人の行動として感じ取れるとても気持ちのいい会合でした。このような方たちとお会いできるのは、素敵なことです。

米国内科学会日本支部年次総会(資料)でも女性医師の問題、「プロフェッショナリズム」を中心に取りあげる活動、症例提示スキルアップなど、若い人たちの活発な参加が目立ついい会に成長してきていると感じます。今回もDr Gremillionさんをはじめとして米国医師、米国研修帰りの医師たちの参加もあって、若い人たちの盛り上がりを感じました。2次会、3次会にも参加しましたが、学生さん、研修医のみなさんも含めて、若い人たちが大いに盛り上がりました。ありがとう。

久しぶりに国際腎臓学会主催の集まり「Nexus」に少しの時間ですが出席でき、世界の旧友、新しい人たちとの時間をすごせました。

これからの人たちが、若いときから広い世界とつながることを大事にしながら、日本社会で、また世界でのキャリアをつんでいく選択も意識できる、その能力を高めていくことができると、これからの日本にとっても素敵なことでしょう。

いろいろな場を通じて、これからフラットな世界での、そして新しい世界の価値を見出そうとしている日本を担っていく人たちとお会いし、若者たちが育っているのを感じ取れることはすばらしいことです。

 

世界銀行と日本の「科学技術と開発」、Win-win協力のチャンスだが

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4月16日、京都での「ISN Nexus」から早朝に出発。10時から世界銀行の東京事務所で、世界銀行のAl Watkinsさん一行と「科学技術と開発」の会議です。

私は世界銀行のこのプロジェクトには2008年1月から関係していて、これが日本で開催されたTICAD4 Toyako G8 Summit、またG8科学顧問会議 (資料)などの「場」へつながり、「タテ、ヨコ」につながりながら成長しているのです。

2008年1月の講演から世界銀行へは2回ほど(2009年4月) (資料1)、2009年12月とWashington DCへ出かけ、この会議とワークショップなどに参加しました。

これらの3回の会議は、これら私のサイト以外にも、世界銀行の「科学技術政策」サイト で詳しく見ることができます。

2008年1月の講演 

2009年4月の会議 

2009年12月のフォーラム 

世界銀行のサイトも進化しているのが見てとれます。

その間に日本の科学技術政策も「科学技術外交」の政策テーマで「日本-アフリカの架け橋」を作るなど、進化していきます。これはとてもいいことです、世界も変わっていくのですから。

2国間で行われる2国間支援(ODA)、世界銀行のような多国間組織を通した支援などをどのように調整、協調していくのか、これは大きな課題です。

このようなプロセスを経て、世界銀行の政策を、日本の政策とどうすり合わせできるか、これが今回の会議の目標の一つでした。去年12月の世界銀行のフォーラムにも出席した内閣府の岩瀬審議官、JICA後藤さんをはじめ関係各省担当者の参加もあり、難しいですが、意味のある時間をすごせたと思います。日本のODA政策の評価は、世界銀行でもとても高いのです。すばらしいことです。もっと国内外への宣伝も必要です。

世界銀行では、出資額に比べて、日本人職員が余りに少ないことはよく知られています。最近、日本からの4,5人の公募に対して400人ほどが出願したとか、いい傾向です。このような機会だけでなく、もっともっと「外」へ、「国際機関へ」、多くの日本人が積極的に参加してほしいです、日本のためにも、若者のキャリア形成のためにも。

世界は広いのです、数多くの機会が、将来の友人やパートナーとともに、あなたたちを待っているのです。

「休学のすすめ」-2: 国際交流基金理事長との対談

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時々このカラムでも書いているのですが、若いときにいろいろな実体験をすることは自分の人生で「どこに就職したい」のかではなく、「何をしたい」のか、を見つけことはとても大事なことです。城 繁幸さんの本、「内部から見た富士通成果主義の崩壊」、「若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来」、また冨山和彦さんの本、「会社は頭から腐る」などにも明示してあるところです。これらの本は「アマゾン」で調べてください。

よく考えてみれば、ほとんどの日本人、特に男性にとって、キャリアはひとつの直線の上にあるのが常識でした。年功序列の「タテ」社会です。1990年までは成長率は鈍くなっても経済成長をしてきたので、社会制度もそのようになっていました。大きな「退職金」、横に動けない(三菱銀行からみずほ銀行へ移るとか、、、)などがその例です。思考までそうなっているのです。特に男性ではこの現象が顕著です。

前回、「慶応義塾SFCでの私の講演」にも書きましたが、このところ、「休学のすすめ」をキーワードにして発信しています。文部科学省の方にも話をしたりしています。もっと大学が自発的にするといいのですけどね。できない理由を考えるのではなく、どうしたらできるか、を考え抜く、行動することが大事です。

今回、国際交流基金小倉和夫理事長との対談でもこのテーマにしました。リンクしました。いかがお考えでしょうか?

私が以前に紹介している、Anne-Marie Slaughter米国国務省政策局長のPrinceton学部長時代の2年前の論文、また最近2月の講演でもこの点を強調していますね。私の世界銀行の講演でも同じ趣旨で話しています。

「休学のすすめ」-1: 慶應義塾大学SFC新入生へのメッセージ

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4月6日は、慶応義塾大学SFC の新入生1,000名を迎えて、いろいろな行事があるのですが、今年の特別講演にお招きを受けました。光栄なことです。村井 純 (資料1)(環境情報学部)、国領二郎 (資料1)(総合政策学部)の両学部長としばらくお話しをした後、θ館講堂で(入れなかった人たちは別室でもテレビ中継があったそうです) 80分ほどの時間をいただきました。

SFCは今年が開校20周年。4月4日にはその記念行事が盛りだくさんあったようです。私も何人かの卒業生とは仕事の関係でよく知っています。皆さん、「日本の常識」を外れた、グローバルキャリアの方ばかりですが、、、。それが、あまり変でないところがSFCのひとつの特徴でしょう。これからの計画などについてもお話をうかがうことができました。

ホームページを見れば、SFCの歴史、内容、キャンパス、その素敵さが想像できると思います。

約18%の新入生が留学生、かなり(40-50%程度か?)が海外生活の経験があるということです。在学中に海外留学も推進、来年からは英語の授業だけで卒業できるようにする計画とか。

私の講演もこのサイトにもリンクしますが、講演の後半の背景に、講演の内容に関係のあるいろいろな光景を流しました。

ところで、私はこの2年ほど、2,3度以外は講演にpowerpointスライドを使わないことにしているのです。なぜか?講演のテーマにもよりますが、大体、政治家はそんなもの使わないですよね。オバマ大統領にしても、小泉元総理にしても、スライドを使った講演を見たことがありますか?あまりないですね。これが理由です。いかにコアのメッセージを伝えるか、研究成果の報告ではないですし、私にとってはこれが大事だと思います。

私の話は、多くの新入生が生まれた1992年前後の日本、世界の変化などについて話しながら、これからのグローバル化世界の動き、日本の課題などについて話を進めました。私のサイトにいろいろなタイトルで、いろいろな形で、繰り返し出てくるテーマです。

特に多くの男性は「単線路線」のキャリアが常識と考え、それに縛られていたのです。女性は単線路線では、最後のほうは限界がある制度なので、どんどん自分で複数路線になってきていた、だから、この新入生の生まれた頃からの、この20年になると海外でも「個人力」が出る人が多いのです。男性は「タテ社会」の「単線路線」キャリアがおかしいと感じても(あまり感じていないのかもしれませんが、、)、思考も、行動も、内向きになる、横に広がりにくいのでしょう。

明治維新以後の近代日本では、慶応義塾設立者の福沢諭吉の「学問のすすめ」(1876年)ですが、グローバル化が進むこれからの時代、学部生が4年で卒業する必要はない、5年のうち1年程度は社会活動もよし、留学もよし、いろいろな海外での活動もよし、いろいろなところでの生活も、旅行もよし。「外」へ出る、「外」で感じることで自分を見つめ、多様な世界を知り、違いを感じ、だからこそ「外」から日本を見る、感じ取ることができる。ここから多層な、国境を越えた仲間ができる。この「異質性、多様性」への感性が獲得できる。このような感性、能力、人の繋がりこそが、グローバル世界に向けて自分の本当にしたいこと、価値を見つける。だからこその「休学のすすめ」なのです。

大体、「学部3年時に内定」などという企業は、あまり将来があるとは思えません。そんな大学、企業が主力だ、というような日本の社会は世界でも例外的と思います。日本「社会の上」のほうにいる皆さん、いい加減に目を覚ましてほしいです。

最後に、Appleの創設者、iTune, iPod, iPhone, iPadなどなど作り出して世界を変えてきたSteve JobsのStanford大学卒業式の「私のお気に入りの14分の講演」をちょっと見せて、私がまとめました。

講演が終わってから、大勢の学生さんに囲まれてとてもうれしいひと時をすごしました。

家を出かけるときからキャンパスに着くまで3つのtwitterを発信しました。いくつかのパワフルなメッセージが出ていました。これもうれしいことです。