福島原発の現状、Washington Postの記事

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福島原発の事故から2年半を超える時間がたっていますが、この事故が収束状態などと考える人はいないでしょう。メディアは地下水の問題で騒ぐ、汚染水がもれては騒ぐ、大雨が降れば騒ぐ。福島原発事故は、現在も大きな日本の、そして世界の大きな問題なのです。

東電の能力、日本政府が何を考え、行動しているのか、これには国民も、世界もかなりの懸念を持っています。政府も国際廃炉研究開発機構という、いつものような政府の得意なやり方の組織を作っていますが、どれだけ開放的か、透明性と国際性が高いか、みなさんもよく見ていましょう。

東電も国際的な諮問委員をお招きしてはいますが、どれだけ真剣に学び、意見を取りいれ、実行しようとしているのか、このプロセス全体の透明性が大事です。これにもずいぶん問題があると聞いています。その一人、東電の福島原発の監視委員会副委員長Lady Judgeの東電の対応について不満が10月22日の日経新聞朝刊16ページにも出ていました。

10月21日のWashington Postの10月21日号では、1面トップから3ページという大きな扱いは、9日4日のNew York Timesの扱いと同じと思います。Washington Post(PDF)とOn-line版では体裁も違いますし、それぞれに見る人へのインパクトがちょっと違いますが、on-line版のイラストは、なかなかの出来ですね。このあたりが新聞紙面と違うところです。これらの米国主要紙の扱いは、福島原発の現状への懸念の大きさを意味しているのです。世界の見る目は厳しいです。

ところで海外の主要報道の日本語訳を毎日1本作成している小林順一さんのblog(Twitterは@idonochawan)があります。最近は福島関係が多いのは致し方ないですが、「世界の日本を見る目」を感じ取るのにもとても良いと思います。

大変な努力ですが、ありがたいことです。

「無鉄砲娘」の活躍つづく、そして私の意見も

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国会事故調に参加してから、ずいぶん違ったキャリアを選び始めた人たちがいます。先日のコラムで紹介した椎名くん、石橋さん、「無鉄砲娘」相川さんの3人はそんな人たちです。

相川さんの本「避難弱者」は、広く読まれているようですが、最近ウェブにも記事が出ています。彼女のメッセージが広がるのはうれしいです。「若い者たちは行動する」のです。大したものです。

ところで、この3人のことも含めて、国会事故調のその後の在り様を、外国記者クラブの発行する機関誌「Number 1」 (英語)で紹介しました

国会事故調は、日本では「憲政史上初」です。「初」ということは、政治家も、官僚たちも、メディアも、学者も、広く国民もですが、この「国会事故調」が何を意味しているのか、あまり理解していないのでしょう。日本国内の反応は、海外の反応12)に比べればはるかに小さいですしね。

民主制度を機能させるのは、時間のかかることなのです。

私も福島のことは本当に心配です。そして世界では日本のことを本気で心配している人たちも多いことをお忘れなく。

グアム大学へ

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2年前の太平洋会議でお会いしてからのお付き合いですが、グアム大学学長のRobert Underwoodさんのお招きで10月13日から3泊4日の予定でグアムに行きました。ここの主産業は観光で日本からのお客さんが一番多いのです。

東海大学の救急医学の中島 功教授とBirdLife Internationalの市田さんも、グアムで進行中のクイナ再生プログラム1)の見学などもあり同行してくれました。沖縄のクイナとくちばしの色は違いますが、とても近い関係ということです。

翌日はPresidential Lectureシリーズで教員、役員、学生さんも参加で、講堂に大勢の方が参加してくれました。質疑も活発で楽しい時間を過ごすことができました。カリフォルニア大学バークレイ校出身のクラシナ名誉教授はじめとした大学の幹部の皆さんにCalvoグアム知事も参加した会食となりました。

翌日は学生さんたちとのセミナーでしたが、多くの教員も参加して、みなで討論を楽しみました。そのあとグアムの議員さんたちともお会いして、いろいろとご意見をうかがうことができました。

沖縄との関係もあり沖縄科学技術研究大学院(OIST)の話などをしました。

翌日は日本へ台風が向かっていましたが、正午の便は予定どおり出発し、成田の上空では千葉県の北部が一面の水浸しで驚きました。

台風はちょっと前に過ぎ去った様子でしたが、そうとうな被害が出てしまったようです。

2013年10月

「イノベーティブ・シティ・フォーラム」
日時: 2013年10月16日(水)~18日(金)
場所: アカデミーヒルズ (森タワー49階)
※18日(金)14:00-15:30 森美術館セッション3「創造的都市と生活の未来」に
パネリストとして参加いたします。
申し込みはこちらから
開催概要詳細なプログラム登壇者をご覧ください。

 

オリエンタル技研工業株式会社 創立35周年記念フェア
「イノベーション戦略とラボ環境の最前線」にて講演
日時: 2013年10月 9日(水)13:30-14:30/10日(木)13:30-14:30
場所: 東京国際フォーラム Eブロック 地下2階 (東京都千代田区丸の内3-5-1)
演題: 「不確実な世界、何が起こるのか?」/「Uncertain Times; Changing Principle」

 

日米原子力ワーキンググループ 公開セミナー
ポスト3.11時代:日米が直面する戦略的優先課題 
プレゼンテーション&公開セミナー in 大阪
日時: 2013年10月1日(火)13:30-15:30
場所: 大阪大学中之島センター 10階 佐治敬三メモリアルホール (大阪市北区中之島4-3-53)
*14:35-15:00にコメンテーターとして参加
*参加される方は9月25日までに<tokyoinfo@mansfieldfdn.org>宛に、
①名前 ②所属 ③連絡先を明記の上ご登録ください。
お問い合わせ: モーリーン・アンド・マイク・マンスフィールド財団 TEL:03-5403-7228

いろいろなところへ

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大阪で行われたMansfield財団による原子力の日米協力のパネル(10月1日)の後は、すぐに沖縄へ。OISTの理事会へ向かいました。

ここでは2泊(10月2、3日)の予定でしたが、風邪気味で、2日目を終わって東京へもどり、翌日4日はテレビ会議で参加しました。いろいろな課題はありますが、10年でここまで来たのは素晴らしいことです。しかし、これからが一つの転換期になるように思います。

5日の午前中は日本腎臓学会の「男女共同参画のパネル」に参加、その後は京都へ、STS Forum(10月5日~8日)です。これも今年で10周年を迎えました。素晴らしいことです。参加者も1,000人ほどと増加し、安倍総理のスピーチに始まる良い出だしでした。私も「ICTと教育」というセッションのパネルに出ました。期間中に多くの友人にお会いしますが、今年はQatar財団の方々も初めて見えられ、会談のほかにも、日本から協力していただけそうな何人かの研究者をご紹介しました。

8日、京都から帰ってからは、東京で某外資系企業の役員と会食。9日、10日はオリエンタル技研の35周年で2日にわたってOISTの設計を担当したKen Kornbergと講演をしました。彼はノーベル医学・生理学賞を受賞したArther Kornbergの息子さんで、お兄さんのRoger Kornbergはノーベル化学賞を受賞しています。
もう一人のお兄さんThomasもすごい分子生物学者です。

11日は自民党で新しい原子力規制委員会の在り方について議論、その後HGPI主催のグローバルヘルスの夏のセミナーでお世話になった「IOCA」のアトリエを訪問。これは企業役員などにも評価されているということで、一度は参加してみようと思いました。

夜はスイス大使館で、環境・交通・エネルギー・通信を担当する実力大臣Mrs Doris Leuthardさんを迎えて、主として原子力についての話題をめぐってお招きを受けました。

相も変わらずいろいろと忙しくしていますが、私が何かの成果が出しているのか(?)、貢献をしているのか(?)、といわれるとちょっと考えてしまいます。

Mansfield財団の日米原子力ワーキンググループ

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大阪で行われたMansfield 財団日米ワーキンググループ公開セミナーの会議に参加しました。

このグループは日米の原子力に関する戦略的優先課題という報告書を発表し、これを日本の関係者と共有しようという企画です。福岡、大阪、東京で開催ですが、私は大阪だけにしか参加できませんでした。

提言は両国の関係から見たこれからの多様な協力関係についての提言です。内容はそれぞれに、もっともなことが多いものです。議長の一人は、去年10月に、Japan-US Council主催で、私がWashington DCの議会内で国会事故調について報告した時の座長でもあったCharles Fergusonでしたので、私の紹介では、その時の皆さんの反応を含めて、ずいぶんと持ち上げてくれました。

大阪のプログラムではパネルの皆さんの発表の後で、大阪大学の星野俊也さんと私がコメントしました。

参加された方々はそれぞれ原子力の関係者が多いようでしたので、細かいことより、国会事故調の意義、Group Thinkなどを含め、日本にかなり特異な課題ついて、具体例を挙げながらお話ししました。

その1つが、この参加の方々の構成です。全部で200人は超えていたと思いますが、同時通訳の2人の女性を除けば、参加の方の中に女性は3、4人しかいないことも指摘しました。これは確かに変ですね。かなり日本に特異なことと思います。

パネルでは4人のうち女性は1人、Sharon Squassoniさん(Director and Senior Fellow, Proliferation Prevention Program, CSIS)でした。

講演会が終わってワーキンググループの皆さんは福島へ、私は関空から沖縄へ、OISTの理事会へ向かいました。