14~16日にわたり京都で“Science and Technology in Society Forum (STS Forum)が開催されました。
「科学技術のダボス会議」と通称されているものです。50カ国、500名が参加し、ノーベル賞受賞者が10名ほど、各国科学技術関係担当大臣が20名ほど、米英その他の科学アカデミー代表、産業界の代表等の多彩な方たち、つまり、世界の政産学のリーダーたちが集結しました。前科学技術担当大臣の尾身幸次議員の発案によるもので、これからの地球規模の課題へのフリーな対話を、基本的に個人のレベルで自由に交わそうという会合です。
従来は、「学」は「学」で、「産」は「産」で、「政」は「政」で、という会合ばかりでした。しかし、CO2京都議定書に見られるように、20世紀の科学技術の急速な進歩によってもたらされた現代社会における問題は、従来の政治・産業・経済・学問等のそれぞれの世界だけで解決に結び付けようとするには余りにも問題が大きくなっているのです。地球人口はこの100年で16億から64億になり、それに伴って生じるエネルギー、食料、水、森林等の環境問題は地球温暖化等の地球規模の大問題をもたらしています。さらに、情報と交通手段の急速な発達でもたらされる南北格差の拡大は、地球人口の80%が低開発、開発途上国にあることを考えれば、これからの人類社会の大きな課題である事は自明でしょう。つまり、人類はこの地球上で「持続可能」なのかという大命題です。さあどうなるのでしょう。「Science and Technology in Society Forum」はこのような趣旨で開催された初めての会合なのです。これらの命題については、このサイトでも繰り返し書いていますので読んでみてください。
小泉首相も開幕に参加し、「科学技術によって環境と経済は両立しうる」と、実例を挙げながら10分ほど良いお話をされていました。また、先進国における科学技術投資や途上国援助の一定比率を、途上国の科学技術とその人材育成に当てる政策を強制するべきだ(カナダが始めました)等の建設的な意見も出され、大変有意義な会でした。来年9月にまた京都で開催する事になりました。
この会をどのようにして「持続可能」な場にしていくのかが、これからの大きな課題です。このテーマは今を生きている世代の、将来の世代へ対する最大の責任であり、最大の課題でしょう。