Singaporeから

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 Marina Bay Sands resortの写真はこちら

10月5日、STS  Forumの京都を早朝に出発、一度帰宅して、昼過ぎにGRIPSへ。先日ソウルでお会いした韓国のHan Seung-Soo元首相(写真)といろいろと歓談。すぐに、東京駅から成田空港へ、夜中すぎにSingaporeに到着。

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翌朝は、A*STARの理事会。活発な議論に終始して、昼食後に終了。とにかく積極的に活動しています。予算配分にも、より競争力をつけ、新しい機会を構築というメリハリ。また、イランの大学との提携を進め、優秀な学生の交流を深めようという計画です。また、別件ですが、Yale大学ともLiberal Artsの全寮制のコースが始まるようです。とにかくグローバル人材の育成に実に熱心です。「国家の根幹は人つくり」が常識ですが、どこかの国とはずいぶん違いますね。とにかく大人たちが「内向き」なのではこれからさらに進む「グローバル時代」へ、どうしようもないのですけどね。

夕方から、「Marina Bay Sands Hotel and Resort」へ。まず一番上へ上がってすばらしい景観、目の下には先日のF1レースのコース、先日訪れたMarina Barrage、海を越えたすぐ向こうはMalaysiaとIndonesiaが。57階の3つの建物から構成され、hotel、condo、大会議場、Casinoなどなど、建物の一番上には150mのプールが。息を呑むようなすばらしさです。エレベーターは上り下りもとても早いのにほとんど何も感じませんし、とても静かです。

でもスケールばかりでなく、値段も、Hotelも、Condoも(まだ空きがあるようです、、)、Casinoも(入場料だけで7,000円ほど)、なんでも高そう。そのあと、理事の皆さんたちと楽しく夕食をとりました。

機会があったらぜひここSands Hotel and Resortを訪ねてください。

Hotelに戻ってから、当地で10年弱ほど活躍している伊藤教授、最近に参加した山本教授、さらにUCLA理事を勤めるSteve Chuさんと2時間ほどご一緒。伊藤さんとは伊藤さんが京都大学時代からのお付き合いですが、定年退官後こちらに活躍の場を移し、今年のSingapore大統領科学賞(President’s Science Award)を受賞されました。おめでとう、伊藤さん。私たちの誇りです。

それにしても、いつまでも大学にへばりついているより、定年後でもこのような活躍の場を求める教授がもっと出てもよさそうなものですね。最近では、独立法人化とかで結構居残っている人が増えていますね。研究室のスペースも空かないし、若い人たちがかわいそう。それでいて、最近の若いものは外へ出たがらない、などという「大人」「教授」たちが多いのにも困ったものです。若者は先輩の言っていることと、やっていることが違うことをちゃんと感じ取っているのですよ。

翌日は朝5時15分に迎えの車で飛行場へ、これからTorontoへ向かいます。

いろいろな企画に参加、そしてまたまた岡目八目

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9月28,29日にわたって、去年も紹介しましたが、Asia Innovation Forumが開催されました。今回は第4回ですが、いくつかの「サテライト」が併設され、そちらのほうが部屋も狭く、お互いの討論が緊張感を持って進んだようで人気があったようでした。私は2日目の最後の2つのパネル参考1)に出ました。1つ目は先日ご紹介した「丸の内キャリア塾」と同じ石倉さんと石黒さん、さらに佐々木かおりさん、フィリピンからビジネスリーダーのMagsaysay Chouさんの参加でした。1週間前と同じように、男性は私だけとなりました。しかし、前回と違って、聞いておられる参加者はほとんどが中高年の男性でした。これは確かに議論していても感じというか、前回とは手ごたえがまったく違いましたね。

最後のパネルは主催者Quantum Leapの出井さん(元Sony)を交えて、去年と同じ楠木さんの司会で進みました。今年の私はおとなしくしていました。「日本を変える1つのこと」という質問で、いろいろ意見が出ましたが、従来の制度は抵抗勢力の力が強いので20年変化しなかったわけですから、将来ある若者たちに自分で選択肢を考えさせる「休学のすすめ」を主張するばかりでした。ほかのことは何を言っても、いままでも言われ、変わっていないのですから。将来の人たちに希望をもたせたいです。既存勢力を変えるには、やれ法律だ、予算だ、などといっても、残念ながらこの10-20年ほとんど変われなかったのですから、困ったものです。基本的に「世代間の闘争」になっていると思います。

来年の企画はもうちょっと考える必要がありますね、出井さんは素晴らしいビジネス界のリーダーであり、来年へ向けてより、いっそうインパクトのある企画に出来るように考えたいです。

10月2日は、石倉洋子さんのGlobal Agenda Seminar参考1)に参加。世界銀行で活躍する加納さんがゲスト、世界で活躍する若者は、参加している若者たちの心と確実に共鳴します。

2日の午後から京都に。STS Forum に参加しました。ここでは、実に多くの世界のリーダーが集まられるので、いろいろな友人にも会え、パネルなども面白いのです。

これらの報告はそれぞれのサイトに報告されると思いますので、ご注目ください。

いろいろと忙しいことは確かですが、変われない日本には困ったものです。民主党政権もまだまだ苦労するでしょう。まだまだ政治のプロセスに十分になれていないように思います。しっかりと動き始めるのにはもう1-2年かかるのでしょうか?対中国問題についてもいろいろな閣僚が個別に発言するのもいただけません。外交はしっかりした司令塔がなくては動けませんからね。国内での発言だと考えて発言しても、すぐに翻訳されて、世界にみんな知られているのです。これでは政府のガバナンスがないと思われるだけです。

このサイトで「岡目八目」の効用について述べたことがありますが、その点では日中両国の考え方、感じ方などを熟知している宋 文州さんのメールマガジンtwitter両方とも、なかなか考えさせるものがあります。

慶応義塾湘南藤沢キャンパス(SFC)で「Global Science and Innovation」講義はじまる

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慶応義塾の湘南藤沢キャンパス(SFC)の今年の入学式で、私は新入生を迎えて特別講演の機会をいただきました。このキャンパスは、設立152年の伝統ある慶応義塾の中でも、今年で設立20年を迎えたばかりの、新しいコンセプトによる、とても注目されてきたキャンパスです。

多くの卒業生が、広い世界を含めたいろいろ場で活躍しています。その中でも多くの方が従来の日本の常識(世界ではよくあるキャリアなのですが、、、)では考えられないようなキャリアを積んでいます。私もSFCのOB、OGの何人もの方を知っていますし、今でも一緒に仕事関係が出来ている人もいます。

そのご縁もあってでしょう、今年の秋学期、「Global Science and Innovation」  というコースを担当します。

9月29日は初日。これは「顔見世」だそうで、コースに興味のある学生さんたちが出席。次回までに登録するかを決めるのだそうです。大学院生TAと学部生SAがサポートしてくれます。さすが慶応SFC、もうこの授業をウェブで見ることが出来ます

このようなウェブという「道具」を使って、このコースでは学生さんたちも参加しながら、楽しい、全員参加型の、そしてオープンなクラスを、試行錯誤しながら作っていきたいと考えています。最近話題の1冊「ウェブに学ぶ」も学生さんたちに紹介しましたが、時代は確実に、しかも急速に変化しているのです。

参加するのは1-4年の学部生ですから、半数以上がBerlinの壁が崩壊し、北京で天安門事件が起こり、日経株価が3.9万円の最高値をつけたバブル経済崩壊前年の1989年以後に生まれた人たちです。幼稚園の頃から日本の経済成長は止まったままなのです。ご両親の年齢からは、この学生さんたちの物心ついていらいの育ってきた時代がどんな社会情勢に囲まれていたのかも、考える必要があります。皆さん、あの「9/11」のときはまだ小学生だったのです。

かなりの学生さんが海外生活の経験があるようで、これは楽しみです。何人の学生さんが参加してくれるでしょうか?ちょっと不安です。「授業仕分け」です。これが「Open Education」、「ウェブ時代の教育」の、先生たちにとっては怖いところなのです。

いろいろなゲストも迎えながら、学生さんたちと一緒にこのコースを作って行きます。

 

Harvard Kennedy Schoolの栗原さん

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Harvard大学Kennedy SchoolでSenior Fellow栗原潤さんをここでも2回 (資料1)ほどご紹介しました。

キャノン国際戦略研究所の研究主幹もしておられ、世界を駆け回り、前回も紹介 したように、毎月のように「The Cambridge Gazette」 を発行しています。これがなかなく面白い、というか栗原さんの交友の広さ、そして学識の広さと深さを感じ取ることが出来るからです。

先日も東京に来たので、私のオフィスで楽しく時間を過ごすことが出来ました。それをまた今回の「The Cambridge Gazette」にも書いてくださるのですから、ありがたいことですね。この号でも、栗原さんの学識の深さと、交友の広さが明らかです。

御本人によれば、「私のような人間は、日本の組織では扱いにくいでしょう、だからこうなっているのですよ、、」などとおっしゃりますが、貴重な人材です。このような人がもっと多くいれば日本はもっと活性化できるでしょう。このように「異色の人材」、「出る杭」の活躍の場がもっともっと増えると、組織も活性化し、日本の若者たちの「Role model」にもなり、若者たちも、もっと元気になれるでしょう。組織も適材適所で活躍の場を増やすことが大事です。

栗原さんのような「個人の信用」に立脚する国内外に広がる人脈は、大きな財産です。キャノンの戦略研究所はいい人に参加してもらっていますね。大金に代えることの出来ない「人財Human capital」(「人材Human resource」とはちょっと違うのです)の一人です。

 

「イノベーション思考法」を整理する

先日、「ウェブで学ぶ:オープンエデュケーションと知の革命」 を紹介しましたが、この本の評判はかなり広がっていると思います。

その時、この本に紹介されているいろいろな「サイト」を整理してリンクしてくれているBlogを紹介しました。ありがたいことですね。

その方が、今度は私が2008年に出版した「イノベーション思考法」について分析、整理し、解説してくれています。なかなか面白く、うれしいことです。

「イノベーション」は、「アントレプレナーシップ」(資料1)とともに、どの国でも政策の中心に位置付けている「キーワード」です。日本語では、それぞれ「新しい社会価値の創造」、「進取の気性」です。変わる世界、社会で、どうするのか。ここはPeter Druckerの言葉(twitterで @DruckerBOT)をいつも噛みしめてみることです。

2008年秋のリーマンショックから世界はすっかり変わり始め、当初は「土地バブルがはじけて20年の経過から、日本は大丈夫」などといっていましたが、とんでもないですね。

世界がすっかり様変わりしているなかで、日本経済も低迷が続いています。内向きの独りよがりはもういい加減にして、もっともっと世界の動向を感じて考え、行動していなければいけないのでしょう。

 

Bangladesh「ドラゴン桜」、GCMP続報

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Grameen Change Maker Program (GCMP) (資料1)という税所、三好くんなどの早稲田大学の学生さんたちによって、2年前にできたBangladesh で活動しているプログラムがあります。そのひとつが「ドラゴン桜 e-education」をGrameen財団と立ち上げ活躍する早稲田大学(休学中)の税所君 (資料1)。

現場でいくつもの困難に遭遇。そこから貧しい村の高校生を、このプログラムで目標とする超一流大学「Dhaka大学」へバスで7時間かけて連れて行ったことを報告しています。これなどは現場にいないと決して出てこない発想ですね。その辺の背景も書いてある第2報現地の報道などが届きました。

彼の最近のメールでは;

「ダッカ大学受験までいよいよあと一ヶ月です!

ダッカ大学スタディツアーのあとから生徒たちのモチベーションも非常に高く、模擬試験の結果も徐々に上がってきています。

現在生徒は23人。

ダッカ大学模試を参考に
Aチーム5名: 最優秀
Bチーム5名: 優秀
Cチーム女性: 5名
Dチーム13名: 普通

1週間ごとのテストによってクラス間の間を下克上にして競争意識を駆り立てています。

とくにABチームの生徒のモチベーションは高く結果が期待できるのではないかと、チームで話しています。

10月上旬に大学の手続きのため一時帰国します。その際に詳しく報告できたらと思います。」

しかし、このアイデイアは税所くん自身の挫折と、それを乗り越えた体験 から。これは現実の発想力に大事なことです。何でも「現場力」が大事ということは、こういう「現場体験」にあると思います。頭の中での思考だけでは、こうはいかないのですね。

一方の三好くんは、再度Bangladeshへ、さらに昨日からさらに世界へ自分発見の旅へ向かっています。

今日は、今年の夏にBangladeshの現地にいってきた学生、院生などの若者たちが集まって発表会。休日にもかかわらず、大勢が集まり、HIS  、Sunstarなどの協賛してくれている企業の方達も参加してくれています。一橋大学の米倉誠一郎さん、元JICAの阿部英雄さんも参加して講評など。すばらしい4時間でした。

皆さん、現地での実体験からそれぞれのグループテーマを決めて知恵を絞り、プロジェクト提案のプレゼン。現場からいろいろ学んでいます。そして、そのプロセスそのこと自体が、自分自身の発見の機会になっていると思います。「外」に出てはじめて自分を、個人として見つめ、感じ取ることが出来る、そして日本を見始める。その上で、自分の思いと、自分のしたいことを感じ、どう自分のキャリアを選んでいくのか、などについても感じ取っていけるのではないでしょうか?

みんな自分がとても変わったと感じ取っています (資料1)。そして、このような機会が一人ひとりの若者の将来のキャリア形成で、世界へ広がる「dots」になることを確信しています。

 

Michael Sandelと「ウェブで学ぶ」: 「問う」ことの大事さを感じとる

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最近、このサイトでも紹介し、大いに話題になっている2つのことがあります。それはMichael Sandel教授の「白熱教室 Justice」資料1)と梅田、飯吉さんの著した「ウェブで学ぶ」 です。

Michael SandelさんのTV番組 (On-line でも見ることができます)は急激な人気で、Sandel教授は8月には日本に招かれるほどの急激な熱狂ぶりです。もっとも、この反応も日本的かもしれませんが。

また、「ウェブで学ぶ」も大きな反応が出そうです。ウェブやtwitterでは良好な反応がたくさん見受けられます。

何故か?

Sandel教授の授業は、日常の身近な具体的な事例から、その「本質を問い」かけ、「何故?」を考えさせる。そして、そのような思考過程から問題の普遍性と個別性を認識させ、根底にある人間と社会の問題の「正義とは?」を哲学的にも思考する、というプロセスを感じ取らせているところにあると思います。だからこそ、皆さんが「知的興奮」を感じているのではないでしょうか?こんなに「自分で考える」という授業を大学で共有したことがあまりないからこそ、目が覚めるように感じたのではないのか、ということです。

飯吉さんも、これらの反応についてもblogでフォロー していますが、うれしいことに私のblogのコメントについて、梅田さんとこの本で書きたかったことは皆さんに「問いかける」ことだ、という思いを私が共有していると感じ取ってくれていることを知りました。とてもうれしいことです。

私たちの日常生活、教育のプロセスで、最も欠けているのは「何故?」と常に問いかける姿勢、習慣、そしてそこから始まる「教える側と教わる側」の共同した思考プロセスだと思います。これは一般的に日本の教育、企業などの組織での研修などに決定的にかけているのではないかと思います。「指導要綱」、「教科書検定」とか。法律にしても同じです。基本的に「タテ」の思考なのですね。

教育でも、生徒と一緒に問いかけ、考えるという姿勢よりは、先生が答えを持っているかのように解説していく授業が多いと思います。大学でさえも基本的に知識の伝達ですね。だからこそSandel教授の講義は刺激的なのです。また多くの講演などでも「、、対策法」などの「Know How」ものが人気のようですが、一番大事なのは「何故?」を考えることなのです。

オープンで、フラットに広がる「知の時代」、知的興奮を刺激しないと、「指示まち」では何も始まりません。このSandel教授、「ウェブで学ぶ」の2つは、皆さんの内蔵している「知的な問いかけ」をしているからこそ、皆さんが興奮しているのだと思います。

 

「ウェブで学ぶ:オープンエデュケーションと知の革命」、必読の一冊

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去年ご紹介した飯吉さん blog 、資料1)が、「ウェブ時代をゆく」などシリコンヴァレー発のメッセージ(将棋についてもすごいですが、、)を書いている梅田さん blog)、と書いた「ウェブで学ぶ」 を出版しました。とても豊かな内容で、「目からうろこ」にも満ちた、多くの教育関係者、自分自身や子供たちの教育に関心のある方たちにぜひ読んでほしい一冊です。

MITの画期的なOpenCourseWare (最近のTimesでTop50 websites)に始まるといえる教育の「オープン化」、「ウェブ時代」の流れの進み方の速さ、激しさを感じ取ることが出来るでしょう。

私が公的な「場」でも繰り返し指摘 (資料1) していることですが、Internetは15世紀のGutenbergの印刷術と同じようなインパクトがある、「個人をempower」するツールなのです。より広い範囲の人たちに「情報」へのアクセスも発信も可能とし、広げるツールなのです。しかも国境も時間も越えるグローバルな広がりなのです。ここからより多くの人たちの新たな「問いかけ」が始まる、従来からの「権威への疑問」が生まれるのです。だから、この流れは進みこそすれ、戻ることはないのです。国家も、企業も、組織も、この流れに適応できず、抵抗すればするほど、結局はダメージを受けるのは必須です。私はこれが「グローバル化」の流れの本質と考えています。

最近の例では iTune、iPod、iPhone、iPadなどがいい例です。それぞれが市場にでてきた時に、どの業界が抵抗勢力で、どう国内社会が、そしてグローバル世界が変化してきているのか、その抵抗勢力がどうなったのかを考えてみればよく理解できると思います。

つまり、この本「ウェブで学ぶ」は、教育者には世界の新しい教育の動向だけではなく、自分たちに課せられた責任を知らせ、さらにこの責任を問うているのだ、ともいえます。

しかし一方で、「個人のempower」の立場から言えば、教育を受ける人、学びの心のあるすべての人たちには、どんな教育を受けたいのか、世界にはどんな教育や学びの機会、新しいツールがあるのか、自分を育てていく発見の可能性などを積極的に問いかけている本であるといえます。

そればかりでなく、この本からは世界の動向になぜか隔離されているような日本への懸念が感じ取ることが出来ます。それは、この著者の2人が長い間、日本を離れて、日本から独立したキャリアを積み、グローバル化の進む世界の中で、なぜか変われない、内向き日本への切歯扼腕の思いがいっそう強くなっているからこその懸念であり、日本へのあふれる愛国心からの思いからなのだと思います。

教育担当のすべての大人たち必読の書であり、またすべての人たちに読んでもらいたい1冊です。

ところで、著者の趣旨や内容の概略については、上に紹介した梅田さん 飯吉さんのblogで見ることが出来ます。またこの本の中で紹介されている、多くのリソースサイトについては、このblog でも整理されています。この本「ウェブで学ぶ」が手元になくてもいろいろ貴重なサイトを訪ねることが出来ます。

それにしても「世界」の人たちを育てることに熱い人たちが、実にたくさんいます。

 

「「美しい」履歴書の時代」

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「一橋ビジネスレビュー」という季刊のビジネス関係の方に広く読まれている雑誌があります。一橋大学イノベーション研究センター編(センター長は米倉誠一郎教授)で、この創刊10周年ということで、御手洗冨士夫キャノン会長、野中郁次郎先生、岩崎卓也「Diamondハーバード・ビジネス・レビュー」編集長とご一緒に特別企画「10周年に寄せて」に、私も祝辞を書かせていただきました。

「「美しい」履歴書の時代」というタイトルです。この言葉は、Silicon Valleyからblogでも大いに発信している海部美知さんの「パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本」 (1) から引用した言葉と、その説明も引用してあります。この海部さんの本では、実にうまい言葉がたくさん出てきます。お勧めの本のひとつです。

私がいつも主張している「他流試合の連続を通して、自分のグローバル世界での「立ち位置」を認識するキャリア」ということと、ほぼ同じことですが、海部さんは言葉の使い方で美しく表現しているので、使わせていただきました。

このような「美しい」履歴書の作り方、これが石倉洋子さんと書いた「世界級キャリアの作り方」のコアのメッセージでもあるのです。

そして、そのために出来ることの始まりのひとつが、私の言っている「休学のすすめ」 であり、また「アジア青年の家」 計画などなのです。

単線路線、同じ組織で順々に上がる、しかも大学新卒から、しかも3年で内定などなど、というキャリア、それが常識と広く認識している社会などは「トンデモ」キャリアの時代なのです。本来、終身にわたって同じ組織に勤務するのは「雇用される側」の選択肢なのです。役所、大企業もそうなのですが、自律度が高いはずの大学でも「4行教授」 (資料1)などが、結構多いのですから。

このようビジネスの本に、私ごときが寄稿させていただけるのはなぜなのか?私も読者のことを考えるとちょっと躊躇しましたが、うれしかったです。そこは米倉先生の目利きでしょうか? 私の察するところ、ビジネスでも、教育でも、医療でも、政府でも、すべての基本は「BtoB」、そして「変化の本体を知る、感じ取れるか」なのだ、といっているからでしょうね、「Back to Basics」ということです。これを企業家、起業家に言い続けていたのが皆さんよくご存知のPeter Druckerなのですね。

自分の「こころの声」を感じとった熱い若者たちの会合

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最近の就職難、若者たちの将来はとても暗いようにも思えます。これを積極的に支援している大人たち、企業家も少しはいます。たとえば新卒をいろいろ支援するパソナの「フレッシュキャリアコース」(資料1)です。すばらしいことで、私も応援団の一人として参加しています。

一方で自分の目標を実体験を通して見つけ、そこへ向かっての道を探し苦労しながらまっしぐらに進んでいく若者たちが増えてきています。私もこのサイトでいくつも紹介していますが資料1)支援しています。

2日前にはHuman Rights Watch の土井香苗さん、Joe’s Labの城 繁幸さん  、最近出来たばかりでとても苦労している「Learning For All」(Teach For America―2年前にここでも紹介しましたがーの日本版を作る移行期です)の松田悠介さんと深沢厚太さん 、そして今月からWashington DCで世界銀行勤務を始めるSoket金平直人さん  とその仲間(D-Lab Japanの新井さん )などが大雨の中、集まってお互い「自分のものがたり」、そして「つながる」、「ヨコへ広がる」機会を作りました。これから、いろいろな活動が広がるでしょう。

このサイトで何度も紹介しているBangladeshで活躍する早稲田の学生、税所くんと三好くん資料1)とその仲間たち、また「休学のすすめ」に反応して4年生なのに就職活動を中断してもMoscowへいっている、また来週ガーナへ出かける学生さんたちなど、若者たちは「自分の実体験」で自分の「こころの声」に目覚め、燃えてくるのだと思います。

すぐに「出来ない理由」を口にする多くの大人たちより、よっぽどことの本質を嗅ぎ取っている、感じ取っていると思います。

大人たちは、このような若者を支援することはあっても、決して邪魔をしてはいけないのです。世界はドンドン変わっているのです。若者たちの将来こそが、人材育成、そして日本の将来にとっても一番大事なことです。