WEFのRisk Response Network: 世界が注目する日本の対応

→English

World Economic Forum (ダボス会議) は、ますます相互依存を深めつつ、一方で多くのリスクの広がりが進む世界での「危険」について議論し、その対応を構築しようと「Risk Response Network (RRN)」 資料1)の会合を続けています。

私も参加しているのですが、なんと今回の「3.11」の大震災と原発事故は、そのような大事件が、まさに日本で起こったのです。

4月にNew Yorkで会合があり、5月18日には、特別に今回の大災害の日本の対応にフォーカスしたWorkshopが、東京で開催されました。

多くの方の参加、まだ枝野官房長官の挨拶等がありました。会議の要約 、また関連資料資料1)、などいろいろと見ることが出来ます。RRNのCOOであるKevin Steinbergのサマリー も見ることが出来ます。

この3日間に、この公開の会合に加えて、いろいろな主要人物との面談、議論の場がもたれました。

日本の対応は世界注目の的です。

 

Washington DCで: 30時間の充実した訪問

→English

Golden Week明け早々の5月9日(月)、Washington DCへ向かいました。同じ日付けの午後2時近くに到着、早速Hotelへ。着替えなどちょっと一休みして、Carnegie Institution of Scienceへ、以前からの友人でもあるDr Richard Meserveさん(資料1)との面会です。米国の原子力政策の重要人物の1人ですし、福島原発関係のことなどです。先日も参議院の藤田議員が訪問したばかりです。

40分ほどで、次はCSISへ向かいました。ここでは先日も報告した私達HGPI との共同作業資料1)(ビデオはここ)の進捗の打ち合わせ、そして先日4月20日に発表されたCSISによる「‘3.11’以後の日本再興プラン」 の協力などの打ち合わせです。

1時間ほどで、National Academies of Sciencesへ。Drs Michael Clegg (Foreign Secretary)、John Boright (Executive Director, International Affairs)、 Kevin Crowley (Senior Board Director, Nuclear and Radiation Studies Board), Richard Bissell (Executive Director, Policy and Global Affairs Division)という 原子力、国際関係の専門家、担当者を入れての議論が中心です。Michael CleggもJohn Borightも、この10年ほど、科学者の行動がグローバル時代へ政策提言も含めて動き出した、私が日本学術会議副会長、会長時代からの付き合いが長く、お互いに時々連絡などしているので、今回の訪問の要件をよく理解してくれており、とてもいい議論が出来ました。このような個人的な、相互の信頼関係を築いていることが、いざという時にとても大事なことなのです。

いろいろ難しい課題はありますが、今回の福島原発の問題は、世界での大関心事であるだけでなく、危機管理とその対応、放射線の健康、環境、農業や工業製品への影響、さらに海洋への放出対策など含めて、日本の対応全体が世界中に観察されているのです。「予測できない」事が起こったときこそ、その対応は国の信用の根幹なのです。

このような状況には、国際的な専門家による諮問会議の設置は、国家の信用に欠かせない時代であり、きわめて大事な政治のプロセスなのです。

1980年代に始まった英国のBSE問題でも、結局はEUの科学委員会への諮問とその結果を待つまで、結局のところ英国の信用回復には20年近くの年月を必要としたのです。

グローバル時代、国際的にも相互信頼がますます重要になる中で、今回の原発の対応とそのプロセスの透明性、客観性が極めて大事な時代になっているのに、どうも日本の政府も大企業も、そしてメデイアも、科学者たちも、そのような認識に著しく欠けています。だから、世界から見て信頼される、スピード感のある対応とその決断が出来ない、国内から見た、場当たり的な政策しかでてこない、としか思えないのです。それが世界中で認識され、あっという間に、国家の信頼と、産業などへの風評が広がっている大きな原因のひとつなのです。

翌日は朝7時からWashington DC の藤崎駐米大使と朝食、その後は高齢社会Think Tank10数人の専門家グループの議論に1日参加。さらに昼食は、ちょうどJohannesburgからDulles空港に到着したばかりのProject Hopeを引っ張るPresidentのDr John Howe、 さらに先週まで日本で一緒だった、Drs Darrel Porr and Frederic Gerber (Dr GerberもJohannesburgから直行) を迎えて、藤崎大使のお招きで、短い時間でしたが、楽しい会話のひと時を持つことが出来ました。

再び会議へ戻り、私の話題提供、会議終了直前の夕方5時にDulles空港へ、London経由、Zurich、そこからSt Gallenへ向けて出発しました。

たった30時間ほどのDC滞在でしたが、とても忙しく、しかし、きわめて充実した時間をすごすことが出来ました。藤崎大使ほかに日本大使館ほかの方達に、大変お世話になりました。

この旅が、今の日本の状況に対して役に立てることになるといいのですが、、。

 

日本のエリートたちのひ弱さ、「リーダーの作り方」

→English

「3.11」の大災害以来、息を飲んで世界が日本を見つめていました。私は結構きついことを、日本のこのblogで発信 (資料1) しています。しかし、これらのコメントは、従来から私が指摘していたことで、いまさらのことですが、今回の福島原発の対応で、世界に知れ渡ってしまった、日本の弱みでもあるのです。

原発以外には、このところ世界のニュースにはあまりでなくなりましたが、、。

科学者の対応もかなり信用を落としました。日本語でしゃべっていても、皆さん世界中に知れ渡っているのです。いろいろ事情はあるのでしょうが、特に原発についての発言では大変に頼りないものだった、というのが評価でしょうね。いろいろ事情があるのはわかるのですが、、。

5月9日の日経朝刊に私のコメントが出ています。読んでみて、ちょっと考えていただけるとうれしいです。何人もの方からメールなどをいただきました。

ちょっと以前にも私の発言が引用されている記事が、やはり日経に掲載されていましたので、これも紹介します。

大災害の後に現れた、科学者・技術者たちの対応と「社会的責任SSR」

→English

大災害に対して私達科学者、技術者たちもいろいろな状況に置かれました。いろいろな専門家がテレビなどでコメントしました。皆さん何を感じたでしょうか?それぞれの専門家として。これで多くの人が納得するような説明になっているとお考えでしたか?

勿論、政府の記者会見、東電や保安員の記者会見はあまりに「拙劣」なので、これはひどいと思うことが多かったと思います。「科学者」といってもそれ以上のコメントが出来ない状況もあったでしょう。

基本的には、実際のデータを何も見せずに、解釈や根拠を示さずに、結論だけを、しかも多くの場合、明確に判りやすく言わなかった、いえない理由があったからでしょう、と多くの方たちが感じたでしょう。たぶん、それは本当でしょうね。当事者としては、不確実である、直接確認していないとか、言い逃れと思われても致し方ない対応が続きます。

この情報の時代、後出しのデータが出てくれば、信用はドンドン失われるのです。

主要メデイアも、自分達の今回の初動対応を反省し、将来への特集を出し始めましたね、はじめは皆横並びで、ひどかったですけどね。日経新聞朝刊では、「新しい日本へ」シリーズ第1部「危機からの再出発」が始まりました。なかなかよいシリーズになりそうです。

その第2回が「「井の中」の技術立国」で、私のコメントも引用されています。このカラムでも以前から繰り返し指摘し、使っている「知の鎖国」 資料1(2005)資料2(2005)資料3(2006)、 資料4(2006)資料5(2009)資料6(2009)、、資料7(2010) のコンセプトも引用されています。

科学者も技術者も、日本社会ばかりでなく、世界への対応によって、世界の科学者の間での力量(研究ばかりが科学者の責任ではないのです)が評価されることをしっかり認識して欲しいものです。

ちょっと我田引水ですが、日本学術会議で吉川会長の下で、皆さんと作成した「日本の計画Japan Perspective」は、時代の世界の動きを見据えて、日本の科学者と社会との関わりについて、課題の本質を「タテ割り」ではなく、「横グシ」を刺す形で、明らかに指摘した報告書 だと思います。

科学者も技術者も、自分達の強さと弱さをしっかり認識し、時代の変化と要請、そして社会のあり方への対応する意識をしっかり認識し、行動することが大事です。

グローバル世界にあっての、科学者の社会的責任 SSR 「Scientists’ -as a community- Social Responsibility」です。

 

Project Hopeとの共同活動は続く

→English

 

訪れた被災地の写真はここ

「3.11」以後、私たちの主催しているHGPI (Health and Global Policy Institute)Impact JapanProject Hope 共同作業をしていることをお伝えしました。

すでに2チームが参加し、数回にわたって三陸の災害地へ出かけています。そのうちの2回はDr島袋も再度の参加で日本に戻ってきました(が、すぐにまたUCLAに戻りましたが、、)。米国で活躍している日本人医師の何人かも、Project Hopeチームに参加してくれています。皆さん、頼もしい限りです。

HGPIの会員企業を中心とした朝食会で、私が今回の経過簡単に説明したあと、Drs Frederic Gerber and Darrel Porrに、Project HOPEの背景と今回の活動の一部を紹介していただきました。

私の締めくくりは、これからどのように医療計画を進めていくか、の基本的な考え方についてちょっと一言。

参加の皆さんにとても喜んで頂けました。被害地の状況を考えれば、この活動は当分のあいだと考えていますので、次の機会には、多くの方々にご参加いただける別の朝食会もありますので、そちらでも講演をしていただく予定です。

Drs GarberとPorrは、この講演の後すぐに、再び岩手県のほうへ戻りました。

そして、4日後、東京に戻り、再びDe-briefingの会合を持ちました。今回は岩手県知事を含めて、岩手県の行政担当ともずいぶん話をしてきました。このDe-briefingにはPCATで参加し、現地でお会いしたDrs 林Hayashi角Kaku吉田Yoshidaも参加してくれました。さらに新しくProject HopeからのGeorgeが、来日し、参加しました。

Dr Gerberは翌日、南アへ飛び、Nelson Mandela Children Hospital 建設計画 (これもProject Hopeが中心的な役割をしている)へ参加する、ということでした。

林さんはMSF など世界中で活躍しており、角さんもHaitiなどで活動、吉田さんは4人のお子さんを育てながら、今はHarvard School of Public Healthで活動しています。

皆さん、世界広く活動をしていて、話の調子がよく合っていました。

 

中東の科学技術政策: 中東調査会で講演

→English

中東調査会という組織があります。三菱商事前会長の佐々木幹夫さんが会長をつとめ、政府特使とした長く活躍された有馬龍夫大使 が理事長を務める会員制組織です。

ここの朝食会で中東の高等教育・科学技術の現況についての話を、というお招きをいただきました。

この会は、去年12月にTunisで開催されたJapan Arab Economic Forumにも貢献され、そこへは私もお招き受けました。

財界の方が多く、私がこのテーマでお話しすることは限られているわけですが、私自分の経験からの範囲で出来るだけ正直に、忌憚のない意見をお話しました。

皆さんも、このサイトでの私の中東・イスラム関係、Egypt, Abu Dhabi, Dubai, Qatar(これらのキーワードで探してください、、)での活動をご存知と思います。このあたりのこと、日本との関係などからの話と、Tunisへ行った1週間後に起こった「革命」と、それ以後の中東と日本の課題、という視点にフォーカスしました。

このような、まったく違う分野の方々と、こちらも出来るだけストレートに、そして意見の交換することで、教えていただけることも多く、いつもありがたく思っています。

また、関連する機会をいただけると、うれしいですね。

世界との輪を広げる、活発な行動を、もっともっと

→English

東日本災害とその対応は日本の将来を決する大きな危機です。日本の持つ「強さ」と「弱さ」 がはっきりと、日本国内ばかりでなく、世界中に丸見えになっています。どの程度、日本の方達がそれらの「強さ」と「弱さ」のその理由や、背景を理解しているか別として、皆さん「何かおかしい」と感じているでしょう。フラット、情報の広がるグローバル世界にあって、「透明性」が信頼の元にあります。今回のタテ日本社会 (‘Japan Inc’) の対応は、1次情報、実際のデータをドンドンと出さないことにこそあるのです。だから、当事者達の対応が後手後手に回る、そのたびに信用がなくなっていく、国の信頼の低下という悪循環になっているのです。

民主制度が機能するには、広い範囲の国民に多様な情報が提供され、自分達の選択肢が与えられていることが必要なのです。

最近、ユニークな2つの機会に参加しました。

1つはWall Street Journal (WSJ) の編集長 Robert Thompson、東京支局長Jacob Schlesinger他のスタッフ、そして7人ほどの政産官学の「グローバル派の論客」をお招きした、という触れ込みでした。議論噴出、皆さん、グローバル時代に不適応症候群的とも思える日本のことを大変に懸念し、普段から行動している方たちです。会話は全部「off- the-record」ということでしたので、参加者の名前は出さないことにしましょう。

ところで、WSJ からは編集局長、日本支局長以外は数人のコアスタッフが参加ですが、皆さん女性ばかりでした。皆さん、素敵でした。やっぱり「これ」ですね。

もう1つ。日本で活躍している外国の方々が、「Giving Back to Japan」 と題して、日本にある各国の商工会議所(CCJ- Chamber of Commerce of Japan; 私は今年、米国商工会議所大使をしています、、)と、今回の災害で活躍しているいくつかのNGOが集まり、活動支援、ネットワークつくりの機会を作ってくれました。

私にもKeynoteのスピーチを、というありがたいことで、「Re-inventing Japan」というタイトルで、お話させてもらいました。この災害は「危機」であり、だからこそ、今まで言われていても出来なかった種々の「改革」ばかりでなく、この機会を捉えた、日本を大変革する「開国」する「機会」としなければ、お亡くなりになった方々に申しわけない、それには将来を担う若者への未来を作る機会を、「グローバル世界の市民Global citizen」(資料1,2)となることを基本にすべき、そして、そのような目的で設立した「Impact Japan」 を紹介しました。災害地の子供たちのためにいろいろ活動している方たち「KnK国境なき子どもたち」、「PA International」の方たちともお会いできました。

レセプションは大いに盛り上がりました。このような会合を、6ヵ月後に持つことになっています。

世界の皆さんと連携の輪をひろげよう、日本の将来を作る若者達のためにも。

 

危機に見える「エリート」の本質

→English

今回の大災害、そして原発の事故、日本の状況は「国家の大危機」です。

このところ、3月25日からいくつかポストしましたが、未曾有の危機に政府の反応はどうでしょうか。

4月2日の朝日新聞の「オピニオン 耕論 3.11」に何人かの意見が出ていました。その一人が、大惨事があって、すぐに電話があった冨山和彦さん。「すべては子供のために」です。冨山さんについてはこのblogでも何回か紹介、最近は「カイシャ維新」、「挫折力」 という組織、人間の本質に迫る刺激的な本を出しました。このサイト内で「冨山和彦」でサーチしてください。私の尊敬する経営者の一人です。自分が責任を負っている会社の従業員の放射能への懸念についての電話でした。

この朝日の記事には、彼の忌憚のない意見が出ています。とても参考になると思いますので以下に掲載します。

「すべては「子どものために」    冨山和彦さん (株式会社 経営共創基盤CEO)

■ 私も当事者になりました。福島、茨城、岩手の三つの地方バス会社がうちの子会社です。従業員2100人、バス1200台。自ら被災しながら現地はすぐに運行を再開し、原発周辺からの多数の住民退避や、医療チームの搬送にも対応しました。

■ でも燃料が足りない。私は官邸や各省庁、知り合いの政治家に訴えて回った。なのになかなか動かない。

■ 震災は3月11日、政府が石油備蓄の取り崩しを発表したのは14日、さらに大幅な取り崩しの決定は22日でした。この間、全国で買いだめが進んでしまった。寒冷地で広域激甚災害が起きたら、燃料が被災者の死活問題なることは明明白白です。なぜあんなに時間がかかったのか。

■ 私が直接、政治家や官僚、企業と掛け合って痛感したのは、彼らエリート層の資質の問題です。危機に直面しているのに、決めるべきことが決められない。判断することを避ける。なんだこれは、と思いました。

■ 「上と相談する」「県からの要請が来ていない」「要件に該当しない」。そんな反応ばかりです。保身とメンツと責任転嫁。

■ 指示や命令も、いろいろなところがばらばらなことを言ってくる。行ってみたら、その通りになっていない。こちらからの問題を提起したら、ピンボールマシンのボールのようにあちこちに飛んでいってしまう。

■ 燃料や物資については、政府が早々に被災地でない地域に向けて「しばらく我慢してほしい」と訴えればよかった。原発から30キロ圏内の扱いや、野菜、飲料水の汚染についても「絶対安全とは言えないが、かなり安全」なんていうのは全然だめ。白か黒か言わないと人は動けません。でも、びびったんでしょうね。

■ 私たちはこういう「リスクを取れない、判断できない」人たちを長い間、「エリート」として政と官と民のリーダー層に据えてきた。その結果、この国は頭から腐っているんじゃないか。そんな実感があります。

■ 彼らの多くは東大をはじめ一流大学出です。成績優秀、人格温厚、調整力があり、みんなにいい顔をして組織の階段を上がっていった。でもいざ危機に面したら、批判をこわがり、決められない。逃げる。だから物事が進まない。

■ 決断とは一部に犠牲を強いることです。できない人にリーダーの資格はありません。有事に判断を先送りする人間が、平時に決断できるわけがない。官公庁、企業、政党は人の評価をやり直したらどうでしょう。

■ 修羅場の中で、政官財の誰が役に立ち、誰が役に立たなかったか、逃げたか。記者のみなさんは見ていますね?国民はそれを知りたい。あとで総括して報道してほしい。

■ これからの日本再興で一番大切なことは、すべての政策やプランを「子どもたちにプラスかマイナスか」で判断することです。「国は何をしてくれるか」ではなく、「あなたは国の未来のために何ができるか」を問うこと。それを国民に問う勇気のあるリーダーを選ぶこと。

■ だから町づくりも、さらには国づくりも30代までの若い世代に任せたい。50年後にも生きているだろう彼らが、未来を決めるべきです。

■ それより上の世代は、子どもたちのためにどれだけ犠牲になれるか、当然と思っている既得権益をどれだけ捨てられるか、が問われる。年金受給権も、医療保障も、あるいは年功序列や終身雇用も。それが大事です。すべての政策や復興計画は、子どもたちの未来を軸に考えていく。

■ うちのバスは止まらずにすみました。少数ですが、結果が出るまでやるべきことをやり通した政治家や官僚がいた。さらに、心ある運送業者が自分たちの分を分けてくれるなど、現場の助け合いのおかげです。

■ 現場は立派です。うちの連中のやる気と献身には涙が出ました。震災からわずか5日後に、盛岡から激甚被災地の宮古に路線バスを復活させたんです。その第1号に、いかにも今どきの若者が、支援物資をたくさん抱えて乗り込んできた。満席です。草食系なんてとんでもない。

■ 日本の強みは、我慢し自己犠牲をいとわない、一般の人々です。そして現場の力。自衛隊も消防も立派です。役所も課長以下や自治体の現場がよくやっている。

■ 会社も国も、破滅的な事態が起きると、隠れていたいろいろな問題がいっぺんに出てくる。これはある意味チャンスです。日本の未来へのテコにしたい。勝負はこれからです。」

(聞き手 編集委員 刀祢館正明)
2011年4月2日(土)朝日新聞13面より

 

日本の強さと弱さ; 危機のときに浮き上がる本当の姿

→English

今回の地震津波の大災害、そしてその被害を拡大している福島原子力事故。こういう、予期しないことが起こったときに、国でも、組織でも、本当の姿が浮かび上がり、それぞれの本当の強さ,弱さが浮かび上がります。情報を隠せない世界で、これは世界中に隠せないのです。

皆さんはどのように感じましたか?

最初の1、2週間、日本のテレビ、新聞などを見ている人たちには、現地の惨状が次々と繰り返し出てきます。今のネット時代、利用しないと本当の姿、有様を想像することも出来ないような状態でした。ありていに言えば、戦時中の「大本営発表」とほとんど違わないのです。最初は新聞もテレビもどこでも同じ、「専門家」の意見もその背後が見え見えです。枝野さんの記者会見が政府の公式見解です。がんばって会見していますが、いろいろ事情はあるのでしょうが、何しろ内容と政府の意思がはっきりしていないためでしょう、わかりにくいのです。そして東京電力、保安院などの記者会見も世界中で見られているのです。

メデイアもひどいものです。基本的に横並び。「記者クラブ制度」も時代遅れのひどいものですが、限られた時間で場違いな質問も結構あって、記者会見では質問するほうへもテレビカメラを向けるべきです。

政府の対応も世界中に丸見えです。元来、日本語がロジカルでなくわかりにくいことは知られていますが、内容が貧弱というのが世界の見方。

世界は日本の原発対処をとても気にしていますが、日本の対応は透明性が低く、理解不可能とあきれている、というところでしょうか。私は国家の信用がメルトダウンという状況になりつつあるのでは、と危惧しています。

政治の「リーダーシップ」はどこに行ってしまったのでしょうか。

日本の弱さと強さは?現場の人たちは強い、「リーダー」たちは秀才かもしれないが修羅場をくぐっていないので危機には弱い、ということでしょう。

以前から言っているように、私はもっぱら「The Economist」など、さらに今回は「New York Times」などをフォローしています。たくさんの意見が出ていますが、一般の国民や消防、自衛隊などの現場の方達の強さ、NGOの活躍、創業者達のすばやい行動には賞賛の声が多いのです。世界中の注目は政府、東電、保安院など日本の組織トップたちの危機管理能力です。
1.http://www.voanews.com/english/news/asia/VOA-Reporters-Reflection-on-Japanese-Tragedy-119013669.html
2. http://www.economist.com/node/18441143?story_id=18441143
3.http://www.economist.com/blogs/babbage/2011/03/post-earthquake_nuclear_crisis&fsrc=nwl 

皆さんと力を合わせて、「失われた20年」から新しい日本を創生することこそが、お亡くなりになった方達へ報いるために私達がするべきことです。

 

 

Health Summit -2

English

2月25日のGlobal Health Forum 2011 の翌日26日(土)、2008,2010年に続いて「Health Summit」(資料1) を開催しました。

ことしは、CSISとの共同作業の紹介もあり、プログラムの毛色がすこし変わったところがありました。

さらに、統一地方選挙を迎えて、民主党を初めとして国会議員の方々は地元に帰っておられる方が多く、去年のような多くの国会議員の参加が得られず、ちょっと残念でした。

このSummitの主な登壇者、プログラムなどについてはHGPIウェブサイト資料1)に掲載されています。

また、報告書などが出来ましたら、ご報告します。

「医療政策」は「健康政策Health Policy」へ、名称変更する時が来ています。