Torontoから-1、‘Wikinomics’の‘成功者’との出会い

→English

前回のカラムでご報告しましたように、私は今トロントに来ています。トロント大学とGRIPSが共同で今年の早い時期から進めているプログラム資料1)のことでトロント大学と打ち合わせをしています。

Munk Centerでの私のセッション終了後、Rob McEwen氏が主催するガードナー賞50周年記念ディナーレセプションにお招きを受けました。氏はカナダを代表するビジネスリーダー 、(資料1)で、Wiki時代のビジネス(以下にご説明します)においても広く知られた著名人です。

Rob McEwen氏は医学研究・医学教育の主要な支援者として知られており、彼の広大な邸宅は、ご想像の通り、トロントでも「超」がつく高級住宅地にあります。

McEwen氏はトロント大学附属病院であるToronto General HospitalにMcEwen再生医療センターという幹細胞研究専門の研究機関を創設しました。私は氏が医学研究の支援者であることを知っておりましたので、ガードナー賞の今年度受賞者の一人である京都大学の山中伸弥教授資料1)にお会いして大変喜んでいらっしゃることを存じていました。言うまでもありませんが、山中先生は胚性幹細胞の使用に伴う倫理的問題に抵触することなく皮膚やその他の細胞を幹細胞にプログラムしなおし、iPS細胞作製という画期的な業績を上げられました。

Img_1913 写真:Rob McEwen氏と

Robさんと彼のビジネスや共通の話題についていろいろとお話をしているうちに突然閃いたのが、彼は ‘Wikinomics’ という本の第一章にオープンイノベーションの代表的なイノベーター起業家として紹介されている人に違いないということでした。そこで「あれはあなたのことだったのですか?」と伺ったら答えは「Yes」でした。私は最近講演などで話をするときによく彼のことを「出る杭」的思考の典型として紹介し、彼によってGoldcorpという金採掘会社が救われ発展した話をします。業績を見ても明らかなようにこの会社は大成功を収めました。 Robさんがどのような考え、やり方でこのような偉業を実現したのかをめぐってお話を伺い、大変楽しい会話となりました。

予期せぬ出会いはどんな時でもとても楽しいものです。たびたびブログに書いていることですが、視野や考えを広く深くしてくれます。いつも言うように「グローバルに考え、グローバルに行動しよう。楽しいことが沢山あるから。」ですね。

オタワでグローバルヘルス、トロントでイノベーション

→English

カナダは来年G8サミット(おそらく最後のG8で最初のG20となるでしょう)の主催国となります。当然のことながら、グローバルヘルスをサミットでの主要な議題とするために、カナダの様々な分野でいろいろな努力が重ねられ、交渉や準備がなされてきたことでしょう。

CCGHRもその一環としてある会議を開催しました(10月25日)。この会議はどちらかといえばリサーチに重点を置いていて、出席した会員約150名のうち25%は海外の方々でしたが、私はここで基調講演に招待されました。大変な熱気で、私もいくつかのワークショップに参加、役員会にはゲストとして出席、G8の議題についてカナダの視点から協議する内輪のセッションにも出席しました。大変有意義で学ぶことも多く、沢山の新しい友人や仲間との出会いにも恵まれた一日でした。

10月の終わり頃のオタワはそれなりに寒いですが、天気は良かったです。ここで、1人の女性の日本人研究者にお会いしました。McMaster大学で学部教育を受け、McGill大学で疫学、生物統計学、産業衛生学の修士号、博士号を取得された方です。彼女は小さいときにほんの数年を日本で過ごし、現在は南アフリカで、アフリカにおけるメンタルヘルスと貧困に関するイギリスとの共同プロジェクトにポスドク・フェローとして参加し、勉強しています。やりがいのあるミッションですね!

次の日はトロントを再訪し資料1)、いくつかの仕事をしました。トロント大学のMunk Center では私のための夕食会をMassey College で開催して下さいました。

その翌日はMunk Centerで「イノベーション、グローバリゼーションと大学」と題するパネルがあり、私の手短な基調講演の後、活発で建設的なパネルセッションが行われました。今後ますます相互依存を強める世界において、一流大学は将来のリーダー達を育成し、彼らをコネクトし、将来の課題に備えさせるための開かれた場にならなければいけないという点では皆さんの意見が一致しているように思いました。現在のグローバルな国際社会では途上国及び低開発国が抱える諸問題やその地域は彼らだけのものではなく私たちのものでもあるのだということを認識しなければなりません。ここでも、日本の女性放射線医師に出会いました。彼女は東京女子医大の出身で、Massey Collegeのresident junior fellowとして医学教育研究の勉強を始めたばかりだそうです。このような経験は彼女のキャリアにおいて広い視野や考え方を身につける貴重な機会ですね。トロント大学は多民族性、多様性、カリキュラムや講義の幅広さで知られる素晴らしい大学ですから。

「岡目八目」、宋 文洲さんの辛口カラム

宋 文洲さん は大変な苦労の後、「ソフトブレーン」で成功した起業家です。時々テレビでも見かけます。北海道大学大学院に留学、その後は苦労しながら日本で成功した起業家の一人です。このような実体験の背景から、日本の「常識」の「非常識」を、素晴らしい筆力で鋭く指摘しています。彼の著書、例えば「やっぱり変だよ日本の営業」でも明確です。何かの機会に2,3度お会いしたことがあります。

ありがたいことに、宋さんはメルマガも書いていますが、彼の意見はその時々に大いに参考になります。お勧めします。

最近では、「官僚よりも民間に問題がある」、「負けたほうがいい」、「社員のモチベーションは上げるな」、「マスコミは国民のレベルを代表する」などなど、素晴らしいです。

ドッキリすることもあるかもしれませんが、気にしないこと。よく読んでみれば、殆どは本質をついたいい意見ですから。大いに考えて見ましょう。ありがたいことです。

昔の人はいいことを言うものですね、「岡目八目」とか。当事者にはなかなか見えないことが多いのです。「日本の常識は世界の非常識」ということはいくらでもあります。これを認識することは、グローバル時代にはとても大事なことです。「内」の人たちにはなかなか見えないものが、「外」からははっきり見えるものです。

「辛口」の宋さんは、お世話になった日本を応援している、と私には思えます。企業、政府、政治、大学等々、大事なポストについている人たち、皆さん、しっかりしてくださいね。

それにしても、感じたことを、読む人に分かるように書くのは難しいことです。宋さんの感性にも感心しますが、表現の能力、書く能力に感心します。

2つのExecutive Session; リーダーシップ、イノベーション、女性のパワーについて考えたこと・感じたこと

→English

最近私は2つのExecutive Sessionに出席する機会がありました。その一つはロンドンで開催された業界トップクラスを誇るグローバルな会社の世界戦略に関する会議です。この会社は最近或る買収合併に成功したばかりです。

この会議のメンバーは全部で10カ国から10人(女性は1人)でしたが、その多くが自国の政治・行政において高い地位にある方々、即ち、大臣、最高裁裁判官、国や地域(EU)の議員であったという点において他の同様な会議とは一線を画していました。

例えば、会議の議長をされたPat Cox氏は欧州議会の議長(2002-04)であられましたし、Chuck Hagel氏は今年1月まで12年間共和党の議員でいらっしゃいました。Hagelさんとは少しお話をしましたが、それだけでも氏が大変思慮深い、人間としても立派な政治家であるということが良く分かりました。彼はブッシュ大統領の対イラン政策を最もはっきりと批判したことでも有名です。年の初めにもブログでご報告しましたが、彼はAtlantic Council というワシントンDCに拠点を置く有力な「シンクタンク」の会長に就任され、そのことは私も知っていました。そして今回彼から直接聞いたのですが、オバマ大統領から外交に関する委員会のメンバーにもなるように頼まれたそうです。大変良いニュースですね。

Pat Cox氏の議事進行は素晴らしかったです。流れるようで暖かく、会社の上層部によるプレゼンからその後の質疑応答、提案まで一切を取り仕切り、各委員や幹部の発言だけでなく席順までメモを取って記録されていました。いつも思うのですが、このように立派な経歴を持つ方々とディスカッションやプライベートな会話を通じて知り合うことができるというのは、大変光栄なことです。実に多くのことを教えられます。ところでついでに申し上げると、この会社の代表者の半分は議長を含め女性でした。

東京に戻ってもう一つのexecutive sessionに出ましたが、こちらは日本のグローバルブランドの会社で、国内での売り上げは年間総売り上げの25%です。CEOを中心とするチームは私たちが議論すべき当日の議題を一生懸命考えてくれました。普段はあまり経験しないような活気に溢れた質疑や討論があって、楽しく会議をすることができました。これは、なぜかというとメンバーがかなり「出る杭」的な人たちだからです。例えばiモードを発明した夏野さん資料1)とか。役員レベルに女性が居ないことはさておいても全15人の会社側出席者のうち、女性は1人だけというのは驚きでした。。

この会社の考えは私から見ると男性の発想であり、且つ男性の考えをターゲットにしています。そこで私からの質問は、日常の買い物をするときや大きな買い物をするときの意思決定は女性がしているという、ニューズウィークの‘The Real Emerging Market’と題する記事でも紹介されている事実に関するものでした。私もニューズウィークの表紙の写真入カラムでこの記事を取り上げていますし、その後の2009年10月26日発行のタイム(米国版)‘What Women Want Now’  (資料1) にも同様な趣旨の記事が出ています。言っておきますが、製品は男性向けであるかもしれませんが、それを買うかどうかの意思決定は想像以上に女性によって行われているのです。

男女共同参画の問題は日本の社会に広く存在する喫緊の課題です。このブログでも繰り返し書いていますし、最近ではジャパンタイムズのインタビューでも述べましたが、女性の活用は日本社会、経済にとって「変革の鍵」となり得るのです。

もう一つこれらの二つのセッションに出て思ったのは、このような大会社の要職におられる方々は、急速にフラット化している世界すなわち‘Open and Demand-driven Innovation’の時代に世の中で何が起きているのかを実感していらっしゃらないのではないかということでした。‘Open and Demand-driven Innovation’はグローバルな現代において、どのビジネス分野にとっても非常に重要な、基本的な考え方となっています。

「外から見る日本」を理解する努力

→English

このところ、「外から見る日本」のことを2度ほど(資料)かなり直接的な表現で書きました。この意見については評価してくれている方たちが結構おられる様子がネットでも伺えます。

ではどうしたらいいのか?ちょっとした例についてもコメントしました。GOETHEという月刊誌のインタビュー記事 です。

テレビもCNN, BBCばかりではないし、また新聞ではThe Economist(発行部数44万程度ですね)」を読まれる方は多いと思いますが、ネット時代をもっともっと利用すべきでしょう。

同じページに渡辺健介さんが出ていたので、見開きの両方のページを提示します。ちょっと考えみてもすごい経歴なのに、なのですが、かれの活動もすごいです。子供たちに素敵な本 「世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく」 (多くの言語にも訳されている)も出版し、またこれを自分で実践もしているのでいす。渡辺くんも、時にお会いして、応援している素晴らしい若者です。感動的な話が、Global Healthで大活躍している笹川陽平さんのblog  にも出ています。

日本の将来を担う若者には、本当にとても素晴らしい方たちがいるのです。

「外から見る日本」への懸念

→English

このカラムを時々訪問してくださる方はすでに感じ取るっておられるでしょうが、私は以前から日本の将来に懸念している一人です。ちょっと以前までは「いざなぎ景気以来」などという妙な「いいわけ」のようなオプチミズムが蔓延していましたが、その当時から警鐘を発していました。例えば2008年正月の東洋経済に掲載された私の記事 です。

私の見解を認めない、認めたくない人たちも多いと思いますが、「リーマン」の時もはじめは「日本は大丈夫」という雰囲気でしたね。でも一般的に言えば、本質的には日本の企業、特に経営陣が弱いと思います。新しい産業も育ちつつありますが、小さいときに既存の大手に邪魔されたり、大手は変化に対応が遅いのです、よくある話ですが。また、グローバル世界での「異質性、多様性」が、多くの日本人にとっては実体験のないこともあり、直感的に感じ取る感性が弱いと思います。

まさに「地球の限界、アジアの成長」 を受けて、日本の政治も、経済も、産業も、大学も正念場ですね。グローバル時代の本質が直感的に理解できない、今までのシステムで出世してきた「リーダーたち」、しかしそれなりに「まあまあ」と思っているので思い切った対応ができないのです。「ぬるま湯のカエル」に喩える人もいるようですが。日本には生かすべき多くの「強み」があるのですから、がんばって欲しいです。「進取の気性」ですね。「弱み」をしっかり認識し、国内ばかりでなく、世界へ目を向け、世界のパートナーと組みながら、行動することです。スピードが大事です。

海外で、「個人」の資格で長く活躍している人たちにはこれが直感的に見え、感じられるのですね。「「外」から見る日本」だからこその直観力です。「日本から見る世界」を基本に考えている大部分の日本の方たちの「世界の日本」とは大きく違います。

この2週間、お二人の日本の学者、研究者の訪問を受けました。一人はどなたでもご存知のPrinceton大学Hisashi Kobayashi教授です。日本のあまりの内向き発想と行動に懸念されて、訪問してくださいました。私も100%先生の認識と同じですし、何をするのか、いろいろ可能性を議論しました。このサイトを訪ねている方にはご理解いただけると思いますが、私もそれなりに努力しているのですが、何しろ自立、自律しているはずの、「知性の集まり」の大学まで内向きですから。特に「一流大学」といわれる大学では、若い学生さんたちにとっては、これが一流なのだ、と思い込んでしまいますから、たまったものではないですね。

2人目はDr Ryo Kubotaです。在米10年の医学研究者でBiotech Venture も起業しています。東京にきた折にお会いしましたが、本当に日本の研究やベンチャーのあり方などに大きな懸念、いったい日本は何をしているのだ、という危機感です。

これは「愛国心Patriotism」というものでしょう。このような経験を通すことで、偏屈な「Nationalism」は生まれにくいと思います。

このお二人の在外日本人に加えて、Finlandの政府系投資ファンドSITRA  (資料)トップの方々、さらに米国のバイオ関係投資ファンド2社も前後して私に話しにこられました。皆さん、話題は同じであり、懸念も、ポイントも同じです。

もっと多くの人たちが、できるだけ若いときに(いくつも失敗できますし、、そこから学べ、賢くなるのですし、、)広い世界に出て、世界を知る、「外」から日本を見る、直感的に感じ取れるようになる実体験が大事だろうと思います。「井の中の蛙、大海を知らず」です。大海を実体験として「知る」、ことは特にグローバル時代には必須の要件です。今回訪問された日本の方たちは、そのような実体験があるからこそ、とても心配しているのです。

なんといってもまだまだ、世界で2,3番の経済大国なのです。しかも、うらやましいほどのいくつもの強みを持っているのですから、皆さん世界に羽ばたいて欲しいです、引きこもりにならずにね。

この2年ほど私と仕事をしているDr William Saitoさん (資料)も、アメリカ生まれの日本人、彼も同じ認識ですが、彼はアメリカで実際に成功したベンチャー経験がありますから、かなり見方がシビアで、日本の制度的弱点を明確に認識しています。何とかしたいと、私ともモガイテいるのですけどね。いろいろ楽しみな仕掛けを作り、種をまいています。

STS Forum、科学技術担当大臣会合、Young Scientistsとのセッション

→English

京都で開催されるSTS Forum (Science and Technology in Society Forum) に参加しました。始まりのときから手伝っています(資料)。世界から政治、ビジネス、科学など広い分野の方々が集まって議論、課題を共有しようという大胆な試みです。

今年は、開会のパネルで副総理、科学技術担当大臣の菅 直人さんの挨拶を兼ねた演説がありました。なかなか好評でした。

私の役割は、第1日に、Nature編集長のPhilip Campbellと科学技術担当大臣会議(写真1-4)で基調講演。24カ国(Africaから9カ国)の大臣がご出席。議長は日本の科学技術政務官、民主党の若手のホープの一人、津村啓介さんです。その後、各大臣からの各国の政策、課題などについて活発な発言がありました。

Dsc_0093_2Dsc_0102

Dsc_0197Dsc_0198

写真1-4; 会議の参加諸氏と

第2日、「Proposals from Young Scientists」で、TWAS などで大活躍している旧友Mohamed Hassan と共同議長。2時間に及ぶセッションでしたが、8人の若手が自己紹介のあと、4つのテーブルに別れ、各テーブル8-10人ほどの参加者と1時間にわたり議論を展開し、最後にまとめていろいろ提言してくれました。なかなか素晴らしいセッションでした。セッション要旨 も見ることができます。何人かの方から、私は若者のほうに入るね、などとからかわれました。

203f3session 写真;5 参加のYoung Scientistsの皆さんと。前列中央は私、スポンサーとなったJSPS小野さん、Hassanさん。

NYASのPresident and CEOのEllis Rubinsteinは途中から参加するよ、といっていたのですが、よそに参加で動けなくなったようでした。NYASでは私も「Scientists Without Borders」、 に諮問委員として参加しています。

ハノイ、ヤンゴンへ

→English

久しぶりにハノイに来ました。今回の目的は2つ、本田財団のYES活動(Young Engineers and Scientists)  (資料1)の一部でもあり、もう1つはヴェトナム政府の科学技術政策をめぐる政府関係者との私的懇談です。

私は常日頃から、多層的に展開する若者の活発な国際交流を通じた将来をになう人材育成こそが、さらに進むグロ-バル時代に対して、日本のとるべき教育政策の基本にあるべき、と考え、機会のあるごとに主張し、発言しています。このサイトを訪れる方はよくご存知のことと思いますが、、。この点で本田財団はヴェトナムなどのASEANの国々やインドへの若者支援のプログラムYES を展開しており、お手伝いしているのです。

同行の先発の皆さんがカンボジアから到着する前にホテルで、私が国際腎臓学会の理事、理事長をしていた10数年以前から知己であるご当地の腎臓分野ではリーダーとなっているThang先生、Ann先生の訪問(写真1)を受けました。Annさんは東海大学へも3ヶ月お招きしました。私がハノイに最初に来たのは17,8年前でしょうか、病院も信じられないほどひどい状況でした。

Img_1878 写真1:向かって左から Dr ThangとDr Ann。

政府関係者とは、科学技術担当局のナンバー2でしょうか、「カCa」さんの主催で元大臣お2人も参加され、かなり議論が沸きました。「カ」さんはアジア学術会議で7,8年来、何度もお会いしていますが、どんどん大事な役割になりますね、うれしいことです。

Img_1885_2 写真2:Caさんと。左から本田財団の石原さん、ついでCaさん、私、そして政策研究大学院の角南さん、現地の担当。

Img_1886_3 写真3:町の電線、すごい混みようです。

夜は偶然ですが、Thangさんの娘さんの結婚披露宴で、飛行場へ向かう前に10分ほどお祝いに立ち寄りました。大勢のお客さんが集まっていました。

バンコックで一泊して、翌日はミヤンマーのヤンゴンへ。素朴な風景にかこまれたヤンゴン工科大学資料1)、 を訪問し、学長先生たちと本田財団YESではどんなプログラムが最適なのか、意見交換しました。その後、日本大使館を訪問、野川大使にご挨拶、さらにJICA事務所を訪問、日本留学経験者の会MAJA(Myanmar Association of Japan Alumni、短期研修も含めて800名ほどの会員ということです)を訪問しました。会長のKyaw先生は私と同世代、東京大学医学部脳外科へ研究生として留学、学位を受けられ、清水教授、佐野教授にお世話になったそうです。懐かしいですね。このような関係こそがこれからの日本にはさらにさらに大事ですし、また、日本の若者ももっともっと留学へ、世界へ武者修行に出かけて欲しいのですが、グローバル時代にあっても、何故か海外留学する人は日本からは減っている という精神的に「内向き、引きこもり」という妙な現象が起こっているようです。とくに男性ですね、問題は。

大学の先生たちもしっかりして欲しいですよ、先生本人たちが「内向きの」なのであればそれは致し方ないとしても、将来を担う若者のことを第一に考えてくれなくては、本当に困ったものです。企業でも似たりよったりですけどね。

夕方、ヤンゴンを出発して、帰途に着きました。あわただしい旅でしたが、いろいろ見聞を広げ、いくつもの素敵な出会いがありました。

翌日成田に到着。昼間は、大学へ行き、夕方からBSフジ「Prime News」の収録へ。「ダボス会議と世界の中の日本」をテーマに、今回の菅副総理の率いる内閣戦略会議「事務長」の古川元久さん、ソフィアバンクの藤沢久美さんと出演しました。ご覧になれましたか?

ダボス会議;世界の中の日本

昨日、思いがけなく、BSフジテレビの番組で「ダボス会議;世界の中の日本」というテーマで論じました。ネットhttp://www.bsfuji.tv/primenews/movie/index.htmlで見れますので、ご覧いただけますとうれしいです。

また、World Economic Forumのサイトで、「Close Up 現代」の国谷さんによるKlaus Schwabさんのダボス会議でのインタビューを見ることができます。こちらもご覧ください。

Asia Innovation Forum開催;「外から」日本を見る目

→English

Dscf0076

先日ご紹介しましたが、元SONY会長の出井さんが主催する「Asia Innovation Forum」が、9月14、15日の両日にわたって六本木ヒルズで開催されました。プログラムをご覧になると分かるように「Group20」 が苦労しながらの作品、いい仕上がりです。大勢の方が参加され、うれしいことでした。会議の運営についてはTwitter、webcastなども取り入れ、いっそうの効果を出そうと工夫しました。

今回は初めからの予定で主たる参加者を日本の方にしたので、日本人でない方は少数派でした。他にも用事があり第1日目のはじめの部分は出られませんでしたが、セッションは快調に進んだようです。スピーカー はそれぞれ一人ひとりの方たちが素晴らしいし、皆さん論客であり、時間の制限のなかで言いたいことも多いので、司会の方は苦労しましたね。司会の方たちも素晴らしかったです。

第2日は一日出席しました。ランチのときの奥山ケンさん資料1)久しぶりにお会いしましたが、雄大な話と実践力は素晴らしいものがあります。また、ベネッセの福武社長の世界でよく知られた名所「直島」の話は素敵、その後の米倉さんのパネル司会も心優しくてとてもよかったです。最後の「Group20」のパネル、時間の関係もあり、ちょっと不満がのこり気味。最後は緒方貞子さんでしたが、社会起業を目指している方たちのセッションもあり、素晴らしい締めくくりでした。

新しい試みとして「Twitter」を使い、またWebcastも見ることができます。事務方、スタッフたち本当にご苦労様でした。

この「Group20」は従来の日本のビジネス界から見れば、かなり際立って異質と見られるかもしれない人たちかもしれません。従来の「エリート」とはまったく違ったグローバル時代に挑戦している実力のある若手のリーダーたちです。でも、発言を聞いていると、基本的には日本から世界を見ること以上にはなれない限界がある、これが弱みだ、と思いました。つまり、日本を本当に「世界からの視点」からはまだ実感し、見ていないのではないでしょうか。でもこれが外国人の日本を見る視点なのですけど。。。。これは実際に日本の組織、企業を辞めて、海外で「個人として」長い生活経験がないと難しいと思います。いくら長期に海外滞在しても、所詮本社の決断にしたがっているのは「長期の出張」ですから、日本社会、日本の会社の文化から出ることができません。この辺がパネルへ参加した外国人からの質問にいくつも現れていると感じました。自分の「強み」と「弱み」を知ることが大事です、皆さん全員が日本を担う大事な人材ですから。

私のまとめの話資料1)は、その辺の日本人の海外での実践、実体験のなさを中心に話しました。女性の活用程度の低さも大きな問題と指摘しました。翌日の「Newsweek International版」(9月21日号)には、「The Female Factor」(トップの写真をご覧下さい。)という特集記事「The Real Emerging Market」が出ていました。私の意見もですが(このサイトでもしばしは出てくるテーマです)、これは世界の趨勢と思います。日本だけが特殊な国などということを考えていてはいけないと思います。で、ちょっときつめのコメントにしました。今回のテーマ「地球の限界、アジアの成長、日本の責任」 は、日本に期待したいからこそ、なのです。まだまだやること、やるべきことはたくさんあります。行動あるのみです。