ガーナ、アクラから-2: 野口英世アフリカ賞シンポジウム

→English

3月9日は、1日「Hideyo Noguchi Afriza Prize Symposium」です。会場もこのHotel内の会議場です。

今回の訪問は、このサイトでも何回か報告しましたが、2年前に始まった日本政府の主催する唯一の賞、「野口英世アフリカ賞 資料1)シンポジウム」委員長としてきたのです。皇太子殿下もご臨席です。Sub-Saharaへは初めてのことですが、うれしいことです。第1回の受賞者のDrs Greenwoodさん、Wereさんも参加。

私の開会の挨拶、Ghanaの副大統領John Mahamaさん、そして皇太子殿下のお言葉です。その後、Drs Greenwood、Wereさんの講演と続きます。ここで、皇太子殿下と副大統領はご退席。

午後は活発なパネル、最後にWereさんの主催するUZIMA財団の若者たちが作った「野口英世ものがたり」の「紙芝居」で2人の若者がせりふをつけ、最後にこの2人が詩を朗読する、という感動的な終わり方でした。この最後のセッションをぜひ撮影してUZIMAのホームページに掲載してくれるようWereさんにお願いしました。できたときには「リンク」しましょう。

夕方に皇太子殿下が再度お見えになり、まず演者、パネリスト等に謁見、その後、皆さん参加のレセプションでした。パネリスト日本財団の笹川会長のblog、3月9日分も見てください。

皇太子殿下には、本当にハードスケジュールで大変です。これからの旅先のお疲れが少ないことを願っています。

今回の訪問についてGhanaでも、日本でもいくつかテレビ、新聞、On-lineなどで報道されています。ほかにもあるでしょうが、以下にいくつか紹介します。

Ghana news coverage;
http://www.graphicghana.com/news/page.php?news=6722
http://www.graphicghana.com/news/page.php?news=6705
http://mobile.ghanaweb.com/wap/article.php?ID=176510
http://mobile.ghanaweb.com/wap/article.php?ID=178171
http://www.afriquejet.com/news/africa-news/japanese-crown-prince-urges-int%27l-effort-against-infectious-diseases-2010031045535.html                                          http://www.breitbart.com/article.php?id=D9EB5MCG0&show_article=1

日本:
<Japan Times Online>
http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/nn20100311a7.html?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+japantimes+%28The+Japan+Times%3A+All+Stories%29
<皇室ニュース> http://worldtimes.co.jp/today/photonews/100310/100310-1.html
<日刊スポーツ>
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20100310-604410.html
<山陰中央新聞>
http://www.sanin-chuo.co.jp/newspack/modules/news/article.php?storyid=1030617011
<47 News> http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010030901000989.html 

ボツワナからフランスワインの中心へ

→English

March2010 Burgundy 010
Romanee Conti

ボツワナに5日間滞在し、2月28日の夕方には別れを告げて、現地を出発。Johannesburg経由で、翌日3月1日の朝にはParis CDG空港に到着。TGVDijonへ(写真1)。そこからBurgundy wineの中心へ向かいます。Route des Grands Cru を走り、誰でも立ち寄ってみたい「Romanee-Conti」 (たった1.8 ha程度の土地ですが、、)(写真topと2)に立ち寄ったあと、まずSavigny les Beauneに到着。 このあたりは、なんといってもBurgundy Wine (資料1)の中心です。40kmにもわたってワイン畑が伸びているのですね。

午後はゆったりと地元のワイナリーのひとつ、「Simon Bize et Fils」写真)で宿泊。ゆったりと時の流れるところです。おいしいワインを何種類も味わいます。

翌日はThe Center of the Burgundy WineといわれるBeauneの街(写真)で半日を過ごしました。落ち着いた町並み、おいしい食べ物、お菓子、チョコレート。昼食は「Caves Madeleine」 (資料1)、 奥様のリカさんは、名前からいうまでもなく日本の方です。

March2010 Burgundy 006 写真1TGVでDijonへ

March2010 Burgundy 008 写真2 Romanee-Conti

March2010 Burgundy 064 Caves Madeleine、リカさんとご主人のRawlandさん。

このあたり、食べ物も自然のものばかり、ワインはもちろん本場、とても素敵な生活です。日本からの若者も何人かがワインつくりなど、修行にきています。中にはここでじっくり腰をすえて生活していく計画の若者もいます。頼もしい限りです。

ここには世界でもよく知られた15世紀にできたホスピス「Hospices les Beaune」写真)があります。

もちろん、このあたりはDijonのマスタード でも有名です。

私はここで2泊して、パリへ向かいます。

医療政策機構の活動と「驚くべき」評価

→English

私は6年ほど前から、「医療政策機構」というNPOを立ち上げ、意識を共有する仲間たちと活動しています。

機構のサイトからもわかるように、国に頼らず、超党派で医療政策の検討、患者の声や社会の声を取り入れるプロセス形成の政策とリーダーシップ形成、また「グローバルヘルス」 主要な3つの柱にして活動しています。有能な意識の高い人たちが参加し、若い人たちにはキャリアの一部として参加してくれる方たちが増えているのもうれしいことです。つまりは、日本の市民社会への転換の促進と、グローバル世界の市民国家への転換を促進する活動ともいえます。

奇数月に朝食会を開催し、会員との対話の機会も作っています。恒例ですが、1月は私がご挨拶を兼ねてお話しました。みなさん、それぞれの立場で医療に関心のあ る方たちばかりです。ですから、今回はちょっと趣向を変えて、自分の立場をはなれて、より客観的に自分の立場を批判的に観察したうえで発言していただく「Q&A」 にしました。皆さんには突然だったのでちょっと難しかったかもしれません。でも、客観的に自分の立場を離れて全体像を俯瞰して自分と自分の属する業界を見る「クセ」をつけることは、政策などを考えるときには特に大事です。「外から見た日本」、「全体のなかの部分」を常に考えることです。ある書評(3段目)にもこのことを書いたことがあります。

2 月10,11日の2日にわたって、恒例の「医療政策サミット2010」を開催しました。これについてはまた報告しますが、民主党政権からは長妻 昭 厚生労働大臣、枝野幸男行政刷新担当大臣(10日任命されたばかりでした)、古川元久内閣府副大臣、津村啓介科学技術等の政務官、また民主党からは小宮山 洋子議員、桜井 充 議員、梅村さとし議員、自民党から川崎二郎議員、鴨下一郎議員、世耕弘成議員、公明党の福島元厚生政務次官など参加され、また医療界、患者会、学会、産業界、メデイア 等、多くの参加をえて多いに議論が沸きました。

ところでとても嬉しいことがひとつ。Pennsylvania大学が世界の「Think Tank」評価 をしています。大学の評価ランキングなども、なにかと話題になっていますが、これは「Think Tank」ランキングです。この2009年の評価で は、全体としては「Brookings Institution」でした。しかし、「Health Policy」のカテゴリーでは、1. Harvard University School of Public Health; 2. Bloomberg School of Public Health, Johns Hopkins Universityと順調なところですが、なんと10位に私たちの「医療政策機構」がRank-Inしているではないですか。これにはびっくりしました が、皆さんのおかげ、そして私たちの活動を広く見え、情報発信するよう、日常的に努力していることも評価されているのでしょう。何と言っても政府系の 「Think Tank」が多い中で大奮闘と思います。政府からまったく独立した、この若い、小さな「Think Tank」にとって大いに励みになることでした。

ダボスから-3

→English

ダボス3日目の29日は、午前は何人かのVIPと個別に面談、午後は2時間の長丁場「Prepared for a Pandemic?」、感染症などの専門家のほかに企業、保険会社などの方も参加したセッションの「Discussion Leader」 の1人として参加しました。去年の春からのH1V1に何が学べるか、政府の役割、企業の準備は、などなどリスク、保険、損失、社員と家族、経済へのインパクト等々、実に多面な議論になり、とても勉強になりました。企業も実に周到に考え、予防策を考えているものだ、と感心しました。この辺が、違う分野の一流の人たちとの議論がとても勉強になり、また楽しいところです。

Bill Gatesさんとばったり出会いましたので、2008年のJakartaの話などちょっと。夕方のメイン会場で「Business Leadership」  、Obama政権の経済諮問会議議長のLawrence Summersの「The US Economic Outlook」、司会のCharlie Roseの柔らかですが、タイミングのよい核心をつく質問はすばらしかったですし、またSummersの対応も見事なものでした。このあたりはウェブで見てください。

夜はまずHarvard大学のレセプションへちょっと顔を出し、Drew Gilpin Faust学長 (資料1)(女性の学長です、知っていますね?)と。今年3月に日本にもこられるとか。夜半すぎに仙石大臣ほか2人の大臣が到着される予定もあり、竹中平蔵さん、朝日新聞の船橋洋一さんたち数人で、久しぶりに中華料理レストランでわが国の政権について話す機会をもてました。となりました。ホテルに帰るとロビーでGrameen BankのYunusさんとばったり。去年と同じですね。去年、そしてすでに今年の1月初めにもバングラデッシュに出かけている日本の学生たち (資料) のことをお話しました。彼らも現地でYunusさんと何回かお会いしています。特に今年の新年の訪問では一橋大学の米倉誠一郎先生 (資料1) も学生と一緒に現地に行かれました。教育者はかくあるべしというようなすばらしい先生です。米倉さんのイノベーター(=Entrepreneur「出る杭」)若者支援、実行力には頭が下がります。

1 IMG_2129 IMG_2128 3 IMG_2131

写真1‐3; 「Toward an East Asia Community?」パネル。

翌朝30日、ホテルをチェックアウトして会場へ「Toward an East Asia Community?」、直嶋経済産業大臣登壇、司会はSingaporeのLee Kuan Yew Business School学部長、Kishore Mahbubaniさん (資料1)。私は前列で田坂広志さん、Lawsonの新浪社長さんたちと(写真)。

4 IMG_2126
写真4; 左から新浪さん、田坂さんと。

次いで、仙石大臣もでられる「Global Economic Outlook」 の前半だけ出席して会場を離れ、帰国の途へ、Zurich空港へ向かいました。このセッションもウェブでご覧ください。Financial Timesの名物カラムニストMartin Wolfの鋭い、しかも軽快な司会というところです。午後は、NHKがホストする道傳愛子さん司会のパネル「The Great Shift East in the Global Agenda」  があり、古川副大臣が登場、ウェブでも見れます。日本でも2月6日(土)、13日(土)にテレビで放映される予定です。

5 IMG_2134
写真5; 竹中さんと。

ZurichからParis経由で成田へ、機中であまり眠れず、ちょっと疲れました。なぜか日本の将来がちょっと心配になりました、私のこのサイトでも繰り返し出てくるテーマですが。30日午後のパネル「Japan in Transition」でもそんな総括だったようですね。

ダボス会議のウェブサイト はなかなか充実しています。皆さんもそれぞれの関心にしたがっていろいろ訪ねてください。ずっしりと、たくさんの情報、背景、解釈、思想などに触れることもできますし、世界へ目を開かせてくれるでしょう。

ダボスから-2

→English

Top IMG_2088
雪の会場場前

28日は雪が少し、それなりに気持ちがいい朝です。朝は7;30から、ダボスの町のもう一方の端まで移動、日本からの参加者たち30名ほどで朝食をとりながら懇談をしました。今回は日本から70人ほどの参加があるようで、うれしいことです。

ところで、この「ダボスから」は、このサイトに「blogroll」で出している石倉洋子さんのサイトにもどんどん出てきますから、そちらもぜひ訪ねてくださいね。石倉さんはこのダボス会議でも司会moderatorとして高く評価されている極めて数少ない日本人です。彼女の努力と考え方は彼女のblogでも感じ取ることができ、とても参考になると思います。

9時からは再びダボスの町の反対へ戻り、「Asian Brainstorming」というセッション。アジア以外の方々が大勢参加され狭い部屋がいっぱいになりました。皆さん、アジアへの関心は高いのです。民族、国家、文化、経済、宗教をはじめとした多様性が特徴です。でも現在の世界の対立のひとつの要素である「一神教、しかも同じ神様を信仰するユダヤ、キリスト、イスラム」が衝突しあうのとは違った多様性のあるアジアの宗教です。このアジアが世界金融崩壊後の世界経済成長の中心ですから注目されるのは当然です。とても活気のある議論でした。

その後は主会場にむかい、いくつかのセッションへ。以前に紹介したFareed Zakariaさん(資料)(写真1)は特に政治問題では、特に出番の多い司会moderatorです。

Zuma Zakaria IMG_2097
写真1;南アフリカのZuma大統領と対話するZakariaさん。

Clinton元米国大統領(写真2)は国連事務総長のHaiti問題担当特使です。今回のHaitiの地震被害で活動していますが、これについて特にアッピールされました。いろいろなHaitiの社会の背景、現状などが知れてとてもためになりました。Haitiは成長が期待されていて投資の対象としてもきわめて優れているのだそうですね。このような見方も特に民間援助の仕方を考える上で大事です。

Clinton IMG_2103写真: Haiti支援を講演するClinton氏。

午後は、世界の化学企業の「社長の方々」の非公開の「Brainstorming」に出席しました。これも、この4年ほどお招きを受けて、グローバル企業経営者の考え方など、とても参考になります。日本からは常連の住友化学米倉会長は経団連会長に決まったばかりなので昨日の1日で帰国されご不在でしたが、三菱化学の小林会長が毎年参加されていますし、2年前は東レの榊原社長も参加されていて、この業界でも日本企業の存在は大きいのです。長年の友人、英国のSir David King 、また中国の大物Siweiさんも私と同じ立場で参加しています。今年は米国下院議員のBrian Bairdさんが参加、政治的プロセスの発言もあり、とても参考になりました。会議のあとBairdさんと2人きりで20分ほど話をしたのですが、意気投合して、とてもよい方でした。

ここまで、ダボスの町の端から端へと、2回ほど往復。

後は主としてメインの会場でのセッションに出ました。これらはウェブサイトで見れるので、ぜひ訪ねてくだい。

Lee Korea IMG_2092 写真; 韓国Lee大統領

韓国のLee大統領(このサイトの1月にUAE原子力発電の件を中心に5報レポートとインド訪問の1報の計6報しています、国のリーダーとして大活躍しています)、今年のG20 のホストです。ハングルで話されましたが、明確なメッセージを伝えて好評だったと思います。

中国の副首相 Li Keqiangの演説、ことしのG8 ホストCanadaのHarper首相(もっぱらG20 を中心に話されましたが、、)、さらに6カ国の首脳のFareed Zakariaの司会によるパネルなど、とてもすばらしいものでした。この最後のセッションでは、会場からの質問はBill Gatesから始まるというものでした。

Japan night IMG_2124
写真; Japan Nightで(向かって右から)NHKの道傳さん、タケダの長谷川さん(パネルで大好評)、日経の岡部さん。

この後は、恒例の「Japan Night」(写真)。今年はJETROがホストで、たくさんのお客様がこられとても盛り上がりました。何しろ日本からの参加者が今年は70名をこえるとかで、今までも一番多かったようです。でも、韓国、中国の参加者の数よりは少なかったようですけどね、、。

Harvard大学のキャンパスから

→English

1月14にBostonに来ました。ここには久しぶりです。15,16日に開催されHarvard大学 School of Public Health (SPH)の「Harvard Center or Population and Development Studies」所長Lisa Berkman 企画の会議です。

健康の社会的要因について議論するもので、ある意味ではWHO Commission for Social Determinants of Health (CSDH) (資料1) の報告の実践へ、具体化へのプロセスとして、第1日目は主要な社会的要因について議論、第2日目には各国の事情とこれらの要因を勘案して、課題を探るというものです。

主催のDr Berkman、学部長のJulio Frenk氏、WHO-CSDH委員長のMichael Marmotの講演、みなすばらしかったです。

15日は、テーマとした社会的要因は「Aging」「Equity from the Start」「Gender Equity」「Health Equity in All Policies, Systems and Programs」「Health People, Health Places」「Political Empowerment」「Intergenerational Transfer and Social Protection」のテーマに分かれて議論。

16日は参加の8 カ国(Brazil, China, India, Japan, Mexico, Uganda, United Kingdom, USA)に分かれて議論。

私が日本代表の役割で、特に健康の社会的要因の研究で多くの業績のある近藤克則さん、もと厚生労働省副大臣、Harvard SPHを基点に、グローバルヘルス政策で活躍している武見敬三さん、岡山大学の高尾総司さん 、Harvard SPH Social EpidemiologyをリードするIchiro Kawachi教授 と日本の課題については議論し、「高齢社会」、「女性の社会進出」、「自殺」、「少子化」、「所得格差」に問題を整理しました。Rapporteurはポスドクのイケダさん、もともと海外が長いそうです。

今回は、8各国の参加でしたが、CSDHを推進するひとつの新しい試みともいえるものでしたが、さすがに英国ではしっかりしたデータに基づきながら、政策立案、遂行しようという政府の姿勢 が明確で、またそのプロセスがとてもうらやましく思いました。日本とは対照的なプロセスです。

今年は、近代科学発祥の場といううたい文句で、The Royal Society王立協会設立350年記念の行事がいろいろ行われますが、さすがに科学(「科学技術」ではありません、、)の歴史と伝統の強い国だな、と感じました。

15日の夕食はHarvard Yard (大学の中心で、1年生はここにある寮に全員が入る、またWidener Library などの主要図書館がある、卒業式も行われる)にある学長の館である(今はお住みになっていないようです) Loeb Houseで夕食。

Library tomoko 090 

 Harvard yard 1 tomoko 092Harvard Yard 088
 Quincy House tomoko 082Another building of Quincy House tomoko 085
         
写真:上から順にWidener Library, Harvard Yardの風景2枚, Harvard Yard の外にある学生寮の1つであるQuincy Houseの建物2枚

16日は私の知っている医学系ばかりでなく、工学、理学系の日本からの留学生、ポスドクや教授の方たちを含めて12人ほどで、私が宿泊しているCharles Hotelの裏にあるLegal Seafoodで食事(写真下)、大いに盛り上がりました。この何人かはこのサイトでも以前ご紹介(資料) した方達です。

Dinner with Students Harvard
写真 Legal Seafoodにて

物理の大学院生、ポスドク終えて帰国してからまた舞い戻った人などなど、皆さん、元気に活躍しています。いつものことですが、とても楽しかったです。5年以上いる人たちも日本とアメリカの間でどちらを拠点にするか、皆さん悩んでいますが、一方では、日本に何か貢献したいという気持ちは強いですね。いろいろ苦労はあるでしょうが、可能性はすばらしいです。このような若い人たちの応援をすることがとても大事なのです。

この時期、天候を心配したのですが、幸いなことに3日間とも快晴でした。

石倉さんの「グローバル アジェンダ セミナー」

→English

このサイトに来てくださる方の多くは石倉洋子さんのことをご存知と思います。私と「世界級キャリアの作り方」という本も出ました。もっとも、彼女がもっぱらリードしてまとめてくれた本ですが。最近も「戦略シフト」という刺激的な本を出版しました。

私のこのサイトでもしばしば紹介していますし、このサイトも彼女の「blog」にリンクしています。時々たずねてください。とても刺激的だと思います。

石倉さんが主宰する「グローバル アジェンダ セミナー」 が毎月1回で、約1年にわたって開催されることになりました。私もお手伝いすることになり、その第1回に参加、お話しする機会をもつことができました。

メールで何回か打ち合わせ。50人プラスの参加者。参加者の「2/3」が20代、30代、しかも女性、男性が「50=50」、これは素敵です。英語で話すと決めて、当日、ちょっと緊張して皆さんに会いに行きました。

当日の様子は、石倉さんのサイト英語版はこちら)をご覧ください。

「知の鎖国:外国人を排除する日本の知識人産業」と、科学研究関係の「事業仕分け」

→English

この刺激的タイトルの本 は、米国で日本について学び (Princeton大学、 Harvard大学PhD)、日本で大学教授を含めて20数年(特派員、文化外交官、学習院大学等で教授など)を過ごした「知日家」の第1人者の1人、Ivan Hallさん の1998年の著書 「Cartels of the Mind: Japan’s Intellectual Closed Shop」 の邦訳です。以下のような構成です。

はじめに; 「ふつうの国」- ただし外国の知識人は受けつけない
第1章; 法律家の上陸- 弁護士がとりつく狭い橋頭堡
第2章; 隔離される報道陣- 外国人特派員
第3章; 学問の府のアパルトヘイト- 外面だけの大学教授
第4章; 通り過ぎていく人たち- 科学者と留学生
第5章; 操作された対話- 批評家に対する脅し
結論; 目を覚まして、日の光を浴びよう

内容も、それぞれに事実であり、鋭い指摘もその通りだと思います。Hallさんとのインタビューこの本の書評 (資料1(amazon.co.jp日本語)2 (Amazon.com))もあります。3年前にも来日して講演 (資料 (有道出人さんのブログより)) しておられます。

これらのHallさんの主張は私が従来から指摘 (資料)しているところです。日本でも「知的レベル」の高い人たちが、大学の先生たちが「鎖国マインド」(資料1) ですから、これでは大学も刺激的でないし、将来を担う学生にも間違った将来像を見せていることになります。このような大学から卒業してくる多くの人たちの社会では、さらに鎖国マインド傾向広がるのです。何とかして欲しいですね。これで日本の将来はいいのでしょうか?大学の先生たち、しっかりしてください。

この本の趣旨は、もう一人の知日家ジャーナリストのカレル・ヴァン ウォルフレンさんの一連の本「日本 権力構造の謎」、「人間を幸福にしない日本というシステム」などを通した分析、主張と同様と私は認識しています。

民主党政権になって、最近「事業仕分け」という極めてオープンで、単純明快なプロセスが話題になりました。以前の中国の「文化大革命」みたいですね。これには学者の世界からのノーベル賞受賞者、大学学長等々の大きな不満と批判がありましたが、一般的には政策のプロセスを国民が理解して点では評価されているようです。何が目的なのか、時間が短いとかの批判はありますし、科学技術に関してはSupercomputerをはじめとして、大型の研究のあり方も一つの話題になりました。どんなものでしょうね。

大型の研究では、計画の時点から海外の専門家も入れて検討すべきですし、大型施設への参加ももっと世界へ開かれたものにして人材育成の材料 (資料1)、の一つとして位置付けるなどすべきと思います。日本の産業基盤に関わるから日本人だけでとか、特許が盗まれるとか、2次的なうわべの言い訳をならべるのですね。世界を変えるような発想 (資料1)は誰から、どこから出てくるのか、もっと考えたほうがいいです。知恵とお金の出し方をもっと考えたほうがいいのです。政策のプロセスが開かれたことはいいことです。

いつもながら、科学者も「鎖国マインド」ですね。

GEW-2: メインイベント-グローバルに活躍する起業家

→English

GEWの今回の特別企画とも言うべきイヴェントが20日にGRIPSで開催されました。

気候変動についてCopenhagenでの「COP15」開催を3週間後に控え、さらに日本では新政権で「2020年までにCO2排出マイナス25%」という画期的目標を掲げたことを受け、さらにObama米国大統領訪日の1週間後というタイミングでの企画です。プログラムを見ていただければ、目的は明確と思います。

まず、開会は駐日Denmark大使による「京都からCopenhagenへ; Copenhagenのスマートな取り組み」というとても素晴らしい講演。日本への期待と強烈なメッセージがありました。

米倉誠一郎先生の司会によるパネルのあと、Dr Gunter Pauli によるまったく発想を違えたこれも素敵な新産業のあり方と理論と実例を示しながらのいつもながらの素晴らしい講演。

昼はHillary Clinton米国国務長官のビデオメッセージに続いて駐日Roos米国大使とNHKの道傳愛子さんとの「Entrepreneurship」をめぐる会話、そして菅 直人副総理からのビデオメッセージです。

内容の一部は「Japan Times」に掲載、また米国大使館ウェブサイトの11月24日付けで報告されています。

午後の3つのセッションでは、特に「日本についての外国人起業家の見解」が、参加者の皆さんにとっても新鮮な見方も多く、とても面白かったと思いました。日本をよく知り、しかもかなり違った見方は、「Japan Times」 が取りあげているように、多くの日本の方にとってはとても刺激的だったと思います。日本人には、このような違いを直感的に感じとる能力が欠けて(資料1)います。これこそが、グローバル時代のイノベーションにとても大事な「異質」、「多様性」の基本なのです。大相撲のもと大関、「小錦Konishiki」さんがおられたので、私も持論の「大学の大相撲化」 (資料1)についてコメントしました。

最後は駐日Norway大使によるRhapsody in Green」という素敵な講演でした。でも、私はドバイDubaiに行くためにこの講演の途中で失礼し、会場を後にし、羽田空港に向かいました。

ところで、このblog の「GEW-1」、「GEW-2」で紹介するGRIPSの16日、20日のプログラムの1部は いずれ日経新聞に出る予定ですので、そのときにまた報告します。楽しみにしていてください。

Torontoから-1、‘Wikinomics’の‘成功者’との出会い

→English

前回のカラムでご報告しましたように、私は今トロントに来ています。トロント大学とGRIPSが共同で今年の早い時期から進めているプログラム資料1)のことでトロント大学と打ち合わせをしています。

Munk Centerでの私のセッション終了後、Rob McEwen氏が主催するガードナー賞50周年記念ディナーレセプションにお招きを受けました。氏はカナダを代表するビジネスリーダー 、(資料1)で、Wiki時代のビジネス(以下にご説明します)においても広く知られた著名人です。

Rob McEwen氏は医学研究・医学教育の主要な支援者として知られており、彼の広大な邸宅は、ご想像の通り、トロントでも「超」がつく高級住宅地にあります。

McEwen氏はトロント大学附属病院であるToronto General HospitalにMcEwen再生医療センターという幹細胞研究専門の研究機関を創設しました。私は氏が医学研究の支援者であることを知っておりましたので、ガードナー賞の今年度受賞者の一人である京都大学の山中伸弥教授資料1)にお会いして大変喜んでいらっしゃることを存じていました。言うまでもありませんが、山中先生は胚性幹細胞の使用に伴う倫理的問題に抵触することなく皮膚やその他の細胞を幹細胞にプログラムしなおし、iPS細胞作製という画期的な業績を上げられました。

Img_1913 写真:Rob McEwen氏と

Robさんと彼のビジネスや共通の話題についていろいろとお話をしているうちに突然閃いたのが、彼は ‘Wikinomics’ という本の第一章にオープンイノベーションの代表的なイノベーター起業家として紹介されている人に違いないということでした。そこで「あれはあなたのことだったのですか?」と伺ったら答えは「Yes」でした。私は最近講演などで話をするときによく彼のことを「出る杭」的思考の典型として紹介し、彼によってGoldcorpという金採掘会社が救われ発展した話をします。業績を見ても明らかなようにこの会社は大成功を収めました。 Robさんがどのような考え、やり方でこのような偉業を実現したのかをめぐってお話を伺い、大変楽しい会話となりました。

予期せぬ出会いはどんな時でもとても楽しいものです。たびたびブログに書いていることですが、視野や考えを広く深くしてくれます。いつも言うように「グローバルに考え、グローバルに行動しよう。楽しいことが沢山あるから。」ですね。