Nプログラム: グローバル時代の内科医たち

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新春早々に、米国で臨床研修を受け、米国の内科専門医の資格を持ち、その後さらに専門医の研修も受けている人たちの集まりがありました。20年前に始まった東京海上の支援で、西元先生が作り上げた「Nプログラム」といわれるもので、New York City (NYC)のBeth Israel Hospitalを中心に3年の内科(内科が中心ですが他にも小児科などにも行く人たちもいますが、、)の研修、その後は皆さんそれぞれ感染症、循環器、血液・腫瘍、腎臓等々のさらなる専門分野の研修へ進む人たちが多いようです。

写真はFBで http://www.facebook.com/harumi.gomi?fref=ts

多くの方たちは帰国し活躍していますが、一部の方はそのまま米国他で活躍しています。先日も紹介した私の後輩、Dr. 桑間もその一人で、NYCでクリニックを開設し、大学の教員として学生や研修医の指導にも大きな貢献しています。NYCでDr. 桑間のお世話になった方も多いはずです。

新春にこの様なキャリアを積んだドクターの集まりがありました。私はこの「Nプログラム」の始まる頃から、できる範囲で西元先生を支援していましたが、これまでに150人ほどの方たちが育っています。私の教えた学生さんたちも何人もいて、今回も久しぶりで、懐かしいひと時を過ごしました。また一人ひとりが、だんだんと周りの人たちへ良い影響を与えている、そして素敵なロールモデルになっています。世界のどこでも信頼される内科医の集まりだと思います。

その背景には米国の臨床研修が、他流試合の連続であり、先輩の受けてきた研修を、時代の変化に合わせながら、常にオープンで、自分たちの受けた良い臨床医を育てるという伝統が、一人ひとりの指導にかかわる医師たちに内在しているからと思います。このような教育の在り方は、それを受けた人でないとわからない、素晴らしい「何か」があるのだと思います。

その本質は質の良い研修、教育を受けた人たちにしかない、自分は後輩にそれを「お返しする」といったものでしょうか。これが教育の本質にある「良き伝統」というものです。

グローバル世界では、このような開かれた他流試合の連続で、良い伝統を引き継いで、3年の間に皆さんが、ある一定の共通点に達している、そのような「よい伝統」を先輩たちが、後輩たちに引き継いでいるのだと思います。ある意味で「Nプログラム卒」は「グローバル標準」、世界のどこでも通用する普遍性を持った内科医たちともいえるでしょう。

それがいまの世界なのです。

 

新春対談、そして2つのイベントへのお誘い

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皆さん、あけましておめでとうございます。

こんなに遅く今年の初ポストとはいかがなものかと思いますが、申し訳ありません。

再び安倍政権となりました。いろいろな会議が立ち上がり、各省庁は補正予算や来年度予算など、正月も返上で大忙しでしょう。

私も何となくせわしなくしています。

今年は皆さんにとってより良い年になることを心から期待していますが、どんなものでしょうか?

さっそくですが、公明新聞の元旦号に公明党の山口代表との「新春対談」が掲載されていますのでご紹介します。短いものですが、私の視点は、国会事故調以降に再開したこのブログに来ていただいている方にはおなじみのことです。

さて、2つの会への参加のお誘いです。

1) 1月14日、午後2時から東京の渋谷で、留学支援をしているAGOSで私のトークがあります。できるだけ対話形式で行きたいと考えています。よかったら参加しませんか?

AOGSはUCLA同窓会メンバーの横山さんの主宰する留学支援の組織です。ULCA学部卒で、あの有名なCollege Basketballの伝説のJohn Woodenチームのマネジャーをやった初めての日本人、東洋人です。このブログにも、何度か紹介しているH-LABプログラム1)を、AOGSとは独立して支援してくれています。

2) 1月29日、午後7時から、これも東京の丸の内で、渋沢健さんたちJCIEと私たちの医療政策機構HGPIとで、今年の6月の横浜で開催される東京アフリカ開発会議「TICAD 5」に向けた活動「アフリカ成長の鍵:グローバルヘルス」を開始します。アフリカに興味のある方たちも、そうでない人たちも、ふるって参加してください。
私も10月にNairobi12)へ行ってきました。

今朝は、USAIDのJay Shighさんのお話を聞くHGPIの朝食会でした。日本の企業と米国のODAの協力なども、これから前向きのテーマです。

何かあわただしい年の始まりですね。

 

目覚め、行動する若者たち「TEDxKeioSFCとH-LAB」

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12月22日は朝早くから慶応義塾大学の藤沢キャンパスへ。TEDxKeioSFCへ参加です。

これは、まず2010年度、2011年度の秋学期に私が担当した「グローバルサイエンスとイノベーション」のコースから始まったのです。学生さんたちとの会話を通じているうちに、TEDxTokyoを一緒に始めたTodd Porterさんをお招きしたのがきっかけです。

私のTAのノジマくん、村井学部長はじめとした大学の支援もあり、学生さんたちがものすごく頑張って開催にこぎつけたのです。

あいにくの雨の寒い冬の日、都心からも離れたSFCに講堂一杯の若者たちが集まりました。

テーマは「Think Like A Child」。皆さんの緊張の中で本当によく頑張ったと思います。Speakerたちの熱い思いを会場の方たちも共有して、熱気がいっぱいにあふれていました。バングラからパレスチナを拠点として活動している税所あつよしくんの圧倒的なプレゼン、彼とも1年半ぶりに会いました。

この日の集まったすべての皆さん、本当に素晴らしかったです。運営した学生さんたちも本当に疲れたでしょう。後からメールでも同じ思いが届きました。

このように一つの目標に向かって、限られた時間に一緒に活動し達成する「チーム」体験。このような実体験は皆さんのこれからのキャリアにとても忘れられない「なにか」、そして大きな自信とインパクトを植え付けたことでしょう。おめでとう、みんな。

私はといえば、最後のセッションで話をしてから東京へ。ごめん。

実は、東京では、これも熱い学部生さんたちの始めた企画の忘年会でした。この活動も私は2年前から支援していた、しかも今年の夏の2年目でとんでもない結果が出始めたものです。それはH-LAB、Harvard College Liberal Arts Without Borders12)です。

最近になって、去年の参加者の中から、Harvard、Yale、その他Ivy Leagueをはじめとした海外のTopの大学へ入学が決まった高校生たちが出てきたのです。うれしいことですね。この様な動きとともに高校生、中学生たちが英米などを中心にした大学への準備を始める人たちが増えているようなのです。

いいことですね。「わかいものは内向き」などと言っている大人も多いようですが、若者たちは他の選択肢がなかった、そんな親たちの世代の人には見えなかっただけのことだと思います。私も繰り返し、主張している1)ところなのですが…。身近なところに具体的なロールモデルがいなければ、海外へ留学するという選択肢も見えてこないだけのことです。

この様な、目覚めた若者たちの活動を、暖かく支援することこそが、大人の世代のすべきことです。

Impact Japanは、そんな気持ちで私たちが作った「出る杭」の若者たち応援の活動基盤の一つです。

時々このサイトを訪ねてみてください。

 

若い人たちのとの交流 「リケジョ」

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「リケジョ」とはなんだ?「理系女子」の略です。

世界の化粧品の大手L’Oreal は‘For Women in Science’という大変に成功しているプログラムを12年前から運営しています。この受賞者からNobel賞を受けた方も出ています。

私もこの賞の審査員1)をしている関係で、日本での活動にも積極的に参加しています。今年のParisの受賞式は、国会事故調のさなかでもあり、残念ながら欠席しました。

しかし、日本の奨励賞授与式には今年も出席、素敵な女性科学者たちにお会いできました。安藤美姫さんが特別受賞をしました。去年は黒木メイサさんの特別受賞でL’Orealもしゃれたことをするなと思う次第です(この2年の日本の受賞式は、このblogで紹介していませんでしたね、申し訳ない)。このころから「リケジョ」といわれ始め、今度の会にも発展したのです。

衆議院総選挙の日となりましたが、大学生や高校生の女子学生さんたちなどが50人ほどあつまり、8つに分かれ「チーム対抗;こんな化粧品があったらいいな」というコンテストです。みなさん、プロジェクトの進め方は練習をしていたようで、その日の即席チームなのでしょうが、45分ほどでまとめ、それぞれが2~3分でのプレゼンもうまいものでした。私もついついいくつかtwitterしました。

最終的に審査員の選んだ賞が2つ、参加者が選ぶ賞が1つですが、驚くことに両方でとても意見が一致していたのです。商品名も挑発的、皆さんの発表も自信満々で上手でしたよ。「恐るべし、リケジョ、いいね」、といったところです。

 
最優秀賞

製品タイトル: 性別を超えたフェロモンアイライナー!!
製品コンセプト: 
・ベースライナー付き多機能アイライナー
・男女別アイライナー(香り・パッケージを分ける)
・世界初!!香りつきアイライナー!!
・日本人男性にも化粧品を広める(韓国風) 

審査員特別賞 

製品タイトル: Butterfly
製品コンセプト:
・リップクリーム + 口紅でキレイな発色
・(ロケット鉛筆方式で)自由にカスタマイズできる
・1つ1つ単体でも使用可能
・本体も自由にデコレーション可能
・取り外し可能なチャーム(ミラー)付き

 
ベストコスメ賞(リケジョからの投票による)

製品タイトル: 雌girl リップ
製品コンセプト:
・X’masデートの勝負アイテム「(彼を)落とせるけど、落ちないリップ」
・15~20代の女性がターゲット
・守りたくなる少女らしさ、惹かれてしまう色っぽさ。欲張り女子の全てがかなう。
・お手軽だけど、手の届くラグジュアリー感で1,800円!

 
いかがですか? 日本L’Orealしゃれたことをしますね。

 

若い人たちとの交流 「長崎大学」

先日、長崎大学へ行った話は報告しましたが、講演のほかに学生さんたちの企画による「白熱クロストーク」1)が企画されていました。学生さんたちだけとの対話。楽しいですね。これも長崎大学の広報誌に掲載されました。

いろいろと参加者の反応を送って頂きましたが、やはり反応は良いですね。まずは「白熱クロストーク」の学生さんから。

・「先日は長崎大学リレー講座の前の、学生との白熱したクロストークをありがとうございました。クロストークの時司会を務めさせていただきました。

本当はリレー講座後すぐにご連絡をすべきだったのですが、遅くなってしまいました。お恥ずかしいのですが、やはり先生にこの気持ちを伝えたくてご連絡しました。

今回、先生とのクロストークで司会を行うにあたり事前に勉強会を主催し、先生のブログや記事を読みあさった中で先生の考えに感激を覚えていた私ですが、クロストークで先生のお考えを生で聞かせて頂き、その意味を深めたことでさらに感銘を受けて、あれからまた成長を少しでもできるように頑張っている毎日です。

先生のお話を聞いて自分のやっていることは間違ってないと思えたこと、世界のフィールドに立てるような人間になりたいと思ったことなど今回先生と共有できた素敵な時間は大きな学びであり宝物です。

私事ですが、先生とお会いする前から韓国、スイス・オランダ、ニカラグアへ研修に行く予定を立てており、家族に猛反対されていたのですが、家族を説得して何日かづつではありますが来年韓国、ニカラグアへの研修。再来年にはスイス・オランダの研修に行けるようになりました。

これからたくさんのことを学んで自分ってこんな人間なんだよ!っと胸をはって日本でも世界でも沢山の人と関わっていけるよう頑張りたいと思っています。まだまだですがその分のびしろもあるはず…。と雑草根性でおります。
そして、今回の学生とのクロストーク、本当にありがとうございました。」

・「先日の長崎大学リレー講座での講演と、それに先立つ学生セッションでのお話、とても感銘を受けました。
自分が何者かを言えるようになる、それが一貫性を持つということ。そしてその一貫性をもった哲学をベースにひとつひとつの決断をしていくこと。

そして海外に行く事で、日本だけでは上手く見つけられていない「これだ」と思えるものへの気づきを得る―それによってもっと自分の可能性が増える。

そういった先生のお話を聴いて、来年4月からの1ヶ月のドイツ短期留学の選考に向けて準備を始めています。選考に合格したら、海外に滞在する事で気づける新たな自分の可能性を見つけたいと思います。今後ともよろしくお願いします。」

以下は講演会からです。

【アンケート結果】

回収数:280件(回収率70%) 高校生 19件(4.8%)、30歳以下(高校生含む) 85件(30.4%)

【アンケートの主な声】

・よくわからない言葉があったが、日本や若者や女性がこれからどうすべきかがわかるような気がした(17歳)。

・原発事故を通して、どんなことが明らかになったのか、今、私たちは何をすべきかがわかりました。まだ若い私たちが、日本だけにとどめるのではなく、世界に公開していくことが重要なのだなと思いました(18歳)。

・現在の日本が抱える問題点とどう改善すべきかを知ることができました(18歳)。

・自分の知識がないのでわからないことが多かったが、世界において私たち若い世代が頑張らないといけないと思いました(17歳)。

・まだ成人ではないが、今後、何を考えるべきかがわかりました(17歳)。

・内容の深い講演でしたが、とてもわかりやすい解説を添えてくださったので、共感できる場面が多々ありました。素晴らしい講演、ありがとうございました(17歳)。

以上は高校生です。

・日本の世界からの見方について勘違いしていた。もっとグローバル化しないといけないと思いました(20歳)。

・最後に私たちにもできることを提示してくださって、できることがあると気づけたことがよかったです(20歳、熊本大学)。

・これまでのゲストとは違う切り口で、とても新鮮でした(22歳)。

・私、世界に出ます(21歳)。

・日本について違う視点から見るきっかけができたと思う(23歳)。

・若者、女性に対するメッセージに心を打たれた。これまで「日本のために」という気持ちをあまり持つことができなかったが、一人ひとりの意識を変えていかなければと思った(21歳)。

以上は大学生の意見です。

・「昨日は大変印象深い講義ありがとうございました。

役所の性格や取扱方法についてのお話は私の思考の中に新たな切り口を作っていただいたように思います。また、Twitterの投稿、フォロワーの話題は非常に興味深くFacebookの利用をはじめた私にとってもやりがいのある宿題をいただきました。

昨日の講義について1点質問があります。黒川様は原発事故調査委員会の話題の中で9つの結論と、7つの提言を紹介されていました。

結論と提言ともに奇数になっていますがこれらは偶然導き出された数なのでしょうか。
それとも、7や9、奇数に何か意図があるのでしょうか。意図があるとすれば、伝える対象によって数はどのように変化するのでしょうか。」
 
・「生徒に何かを伝え、導く仕事に活かせるヒントがあるように感じご連絡いたしました。今夜は期待通りの熱い講演でした。足を運んだ甲斐がありました。

私の専門は経営学・経営組織論ですので、官僚制の逆機能のところはとくによくわかりました。
以下、自身のフェイスブックでのつぶやき投稿です。

黒川清・石倉洋子(2006)『世界級キャリアのつくり方』東洋経済新報社。

これしか読んでなかったけど、黒川先生の講演を聴いた。今夜は日本語でしゃべっておられたけど、どこかの講演会場では英語でもおやりになるんだろうな。

PPTが英語混じりだったし。ふだん何を食べておられるんだろう・・・

ドーピングでもしないと90分フルであの勢いのままトークを続けるのは無理だわ。」

 

皆さん、特に若い人たちに気持ちを伝えられたのはうれしいです。

 

若い人たちとの交流 「See-D」

3年前に始まった「See-D」1)、12月9日の日曜日のGRIPSで開催しました。

前回に比べて、皆さんはるかに良い出来でした。この成果についてはいいずれ掲載できると思いますが、“この6チーム全部が東ティモールで2、3の町作りに、全員で1~2年参加するとずいぶん粋なインパクトがあるかもれないよ”と講評で発言しました。本当によく考えられた計画ばかり、実際のプロトタイプ、そしてプレゼンでした。みなさんすばらしいね。世界の途上国で孤軍奮闘しているポリグルの小田社長さんの厳しい指摘もありがたいことです。明日から、またアフリカへ向かわれます。

FaceBookでも「See-D Contest」を訪問してください。

お元気で活躍しておられます。

 

原子力安全に関する福島閣僚会議、海外の一行の訪問

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「原子力安全に関する福島閣僚会議」が今週末12月15‐17日、福島県の郡山市で、日本国政府の主催、IAEAの共催で開催されます。

ちょうど衆議院選挙の時になってしまいましたね。

参加国は広範なもので、フクシマの原子力発電事故から学ぼうという趣旨です。

私は何人かの海外の識者からこの会議のことを10月ごろに知らされ、「参加するのでしょう?」と言われても、日本「政府」の立場もあり「ふんふん」と頷いていたのです。

1ヵ月ほど前にある国会議員さんが「政府」の担当者に連絡をして、「黒川さんに出席をお願いしないのか?」と言われたようで、外務省の方が見えられました。ちょっと困った様子でしたが、いろいろ話を聞いてみると、政府(「行政府」のことですが)では「私が出席する理由はない」と考えていたのでしょう、私が何かをするなどはプログラムにはない、出席も考えていないのですね。私が無理することもないので遠慮しました。

ところでこの2日間、3つの国の代表団が、別々に私に会いに来られたのです。国会事故調の報告はとても素晴らしい、いろいろ教えてくれ、議論したいということなのです。そして、皆さんがお互いに理解を深める時間を持てた、そして日本の役割、課題などについての意義ある意見交換ができた、と言っておられました。

前回のポストでの私と英米の方たちの反応、さらにこれらの国の国会事故調報告書への対応を見ていると、日本の「真の意味での国際化」の遅れ、というか、考え方の違いがまざまざと出ているように思います。

明日は選挙です。皆さん、必ず投票に行きましょう。いろいろな政党があって迷うでしょうが、候補者の資質を見極め投票することです。民主制度を動かすのは皆さんの一票なのです、すぐには変わらないでしょうけどね。

特に若い人たち、今度の選挙から、あなたたちも意識を変えて、投票することです。日本の将来はこれからのあなたたちが作っていくのですから。

民主制度を機能させるのは時間のかかることなのです。

 

米国の「フクシマ国会事故調」、長崎大学、そして選挙と機能する民主制度

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国会事故調が始まって1年、報告書を提出して5か月がたちました。

米国議会は独立したフクシマ事故調査委員会を科学アカデミーに依頼して立ち上げて、この7月に活動を開始しました(委員のリストはこちら)。

この活動はウェブでも見ることができます。

その第3回は日本で開催され、東京とフクシマ視察の行程です。これは立法府によるも独立委員会ですから、米国側は基本的に、日本側の行政府も関わらないと判断しているようでした。

東京の第1日目は、GRIPSで私のプレゼンと討論に始まる3日間の会議、ヒアリングなどが行われました。各委員も私たちの報告書を詳しく見ていて、国会事故調の評価がとても高いことがわかりました。

基本的に公開ですが、質問は委員に限られていました。この様子はちょっとだけ朝日新聞などに報道されました。

別の日にはDaiwa Capital Markets Conferenceで、「Global Agenda in Post-Fukushima」という基調講演をしました。講演者も参加者も半分以上が日本人ではないので、英語が使用言語のようでした。私は「「国会事故調」は立法府である国会による、憲政史上初めての独立検証委員会」と紹介し、私の話を始めました。

講演後、ある方がこられ、「私は英国で10年ほど大蔵省勤務の公務員、その後は私企業にいるが…」と自己紹介をして、「このような立法府による独立した検証委員会が初めてなんて信じられない…今、英国では2つ委員会が動いているよ…」と伝えに来られました。

海外の評価に比べて、日本では反応が弱いようですが、それは多くの国民も、多くの議員さんたちも、役所の人たちも、民主制度の機能についてよく理解していないのでしょうね。8月16日のブログでも指摘したところです。

また、別の日には、長崎大学に講演で参りました。多くの若者たちが参加しました。結構な数の高校生も参加していいて、高校生たちがすばらしい感想を大学に寄せてきました。

この若者たちが、この国会事故調というプロセスは、立法府の機能強化の一つであり、これが民主制度の基本にあるということを理解できた、ということなのです。

選挙に参加するということはこういう意味なのです。すぐには国の姿は変わらないでしょうけどね。機能する民主制度の構築には時間がかかるのです。

だからこそ、若い人たちはよく考え、選挙に参加し、投票しなくてはいけないのです。日本の将来のためにも、あなたたちの将来のためにも。

 

国会事故調報告書の売れ行きは良好、民主制度は動くのか?

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国会事故調の報告書の売れ行きは悪くないという記事が出て、うれしくなりました。みんなが、チームとしてがんばった成果ですから。

皆さんの私たちへの評価はいかがでしょうか? 海外では信じられないほど評価が高いのです(1)。

皆さん一人ひとりが、選挙の時にも、また皆さんの選んだ国会議員さんたちに、この報告書に書いてある「提案」を実現しようとしているのか、日常的に問いかけてください。

そうして皆さんと議員さんの間に、なんとなく「その雰囲気」が浸透してくるのが、民主制度を機能させる、立法府を動かす、ということなのです。

この選挙というプロセスで、少しずつでも、あなたたちの将来を、日本を、変えていくのです。

選挙は、国の政治へ関与する、国民一人ひとりの大事な行為です。 

 

国連人権理事会の訪問

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2週間ほど前のことですが、国連の人権理事会の特別報告者 (Special Rapporteur) Anand Groverさんの一行が日本を訪問しました。今回のフクシマ原発とその被害の状況等についての調査の一部としてこられたのです。

フクシマの被災者や原発作業者などの状況についてよく調べておられ、約1時間にわたり多くの意見交換をしました。私たち国会事故調の報告書もよく読んでおられました。

日本政府の東北大震災・津波とともに、特にフクシマ原発の被害者対応についての報告プレスは、抑制的ではありますが、プラスも、また不十分なところも的確に指摘していると思います。

このプレス発表は日英語の両方で読むことができます。それほどは長くありませんので、時間のある時にでも目を通してください。以下にそれぞれのサイトをリンクしておきます。

日本語: http://unic.or.jp/unic/press_release/2869/

英 語: http://unic.or.jp/unic/press_release/2869/#entry-english

ビデオ: http://www.youtube.com/watch?v=ET2dVWgOmC4&feature=plcp

 

国際社会は注意深く、多角的に日本の対応から学ぼうとしていると思います。

これは国家の信頼に直結する問題です。