「東大までの人」と「東大からの人」

人材育成こそが国家の根幹 であることは、このカラムでも繰り返し書いているところでです。グローバル時代に大変化を始めている時代への人材育成には従来とはまた違った要素が必要です。

大学教育については小林久志Princeton大学名誉教授も憂慮されており、最近も小林さんのblog記事を紹介したばかりです。小林さんの意見は、今の日本、皆さんが感じている「衰えていく日本」の根本問題について正鵠をえていると思います。特に大学人、大学関係者、文部科学省関係者には小林さんの資料などにも、よく目を通してほしいものです。

2月6日号の「週刊現代」にも「「東大までの人」と「東大からの人」」PDF)という特集記事が「理系、文系」と分けて書かれています。私のコメントも引用されて(On-lineでは3ページ目、pdfでは4ページ目)いますが、皆さんのお考えはいかがでしょうか。「トップ」はどこでも、いつでも社会の目標、標的ですから。それだけ社会への責任が大きいということです。仕方ないですね。

理系ではUniversity of California at Berkeleyから東大で活躍する村山さんが取り上げられています。

すぐれた若者の才能をノビノビと伸ばす、世界に広く、物理的にも、精神的にも開かれた、闊達でオープンな大学、学会の環境づくりが大事です。

大学も、企業も、組織も、横に動けない「タテ」の社会構造は「フラット」な世界には基本的に適さなくなっているのです。

大きな可能性ある若者たちをどのような人材、人財に育てるか、これがグローバル時代の大きな課題 です。内向きの偏差値人間ばかりでは困るのです。どう育てるか、どのような人たちに育ってほしいのか、これこそが大事なのです。大学の教育への使命は重要です。研究も当然ですがこれも、将来の人材育成の大きな計画の一部です。

ダボスから-3

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ダボス3日目の29日は、午前は何人かのVIPと個別に面談、午後は2時間の長丁場「Prepared for a Pandemic?」、感染症などの専門家のほかに企業、保険会社などの方も参加したセッションの「Discussion Leader」 の1人として参加しました。去年の春からのH1V1に何が学べるか、政府の役割、企業の準備は、などなどリスク、保険、損失、社員と家族、経済へのインパクト等々、実に多面な議論になり、とても勉強になりました。企業も実に周到に考え、予防策を考えているものだ、と感心しました。この辺が、違う分野の一流の人たちとの議論がとても勉強になり、また楽しいところです。

Bill Gatesさんとばったり出会いましたので、2008年のJakartaの話などちょっと。夕方のメイン会場で「Business Leadership」  、Obama政権の経済諮問会議議長のLawrence Summersの「The US Economic Outlook」、司会のCharlie Roseの柔らかですが、タイミングのよい核心をつく質問はすばらしかったですし、またSummersの対応も見事なものでした。このあたりはウェブで見てください。

夜はまずHarvard大学のレセプションへちょっと顔を出し、Drew Gilpin Faust学長 (資料1)(女性の学長です、知っていますね?)と。今年3月に日本にもこられるとか。夜半すぎに仙石大臣ほか2人の大臣が到着される予定もあり、竹中平蔵さん、朝日新聞の船橋洋一さんたち数人で、久しぶりに中華料理レストランでわが国の政権について話す機会をもてました。となりました。ホテルに帰るとロビーでGrameen BankのYunusさんとばったり。去年と同じですね。去年、そしてすでに今年の1月初めにもバングラデッシュに出かけている日本の学生たち (資料) のことをお話しました。彼らも現地でYunusさんと何回かお会いしています。特に今年の新年の訪問では一橋大学の米倉誠一郎先生 (資料1) も学生と一緒に現地に行かれました。教育者はかくあるべしというようなすばらしい先生です。米倉さんのイノベーター(=Entrepreneur「出る杭」)若者支援、実行力には頭が下がります。

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写真1‐3; 「Toward an East Asia Community?」パネル。

翌朝30日、ホテルをチェックアウトして会場へ「Toward an East Asia Community?」、直嶋経済産業大臣登壇、司会はSingaporeのLee Kuan Yew Business School学部長、Kishore Mahbubaniさん (資料1)。私は前列で田坂広志さん、Lawsonの新浪社長さんたちと(写真)。

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写真4; 左から新浪さん、田坂さんと。

次いで、仙石大臣もでられる「Global Economic Outlook」 の前半だけ出席して会場を離れ、帰国の途へ、Zurich空港へ向かいました。このセッションもウェブでご覧ください。Financial Timesの名物カラムニストMartin Wolfの鋭い、しかも軽快な司会というところです。午後は、NHKがホストする道傳愛子さん司会のパネル「The Great Shift East in the Global Agenda」  があり、古川副大臣が登場、ウェブでも見れます。日本でも2月6日(土)、13日(土)にテレビで放映される予定です。

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写真5; 竹中さんと。

ZurichからParis経由で成田へ、機中であまり眠れず、ちょっと疲れました。なぜか日本の将来がちょっと心配になりました、私のこのサイトでも繰り返し出てくるテーマですが。30日午後のパネル「Japan in Transition」でもそんな総括だったようですね。

ダボス会議のウェブサイト はなかなか充実しています。皆さんもそれぞれの関心にしたがっていろいろ訪ねてください。ずっしりと、たくさんの情報、背景、解釈、思想などに触れることもできますし、世界へ目を開かせてくれるでしょう。

UAE原子力発電は韓国の勝ち-その5; 積極的な大学交流も

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この1月、このサイトで4回にわたってAbu Dhabi での韓国原子力の競争力にフォーカスして伝えましたが、その理由はここから学ぶことが多く読み取れるからです。

ところで、ここには目標に向けた戦略的なアプローチの大事さ、相手のニーズを十分に汲み取ることの大事さがあります。そして、決断とスピードですね。

このシリーズ「その2」で書いてあるように、原子力関連の研究協力も、人材育成も、韓国の提案の大事な部分でした。その約束の研究協力については、すでに提携交渉が進んでいます。KAIST資料1)、とKUSTARが原子力をはじめとした科学技術の教育、研究で、包括的な協力関係を結びました

このKAISTは、40年の歴史がありますが、21世紀に入ってから、グローバル時代にふさわしい競争力を急速につけています。Nobel受賞の物理学者Laughlinさん (資料1)、をStanford大学から学長に招聘、2006年に、その後任をMITからSuh、Nam Pyo教授 (資料1)、を招聘、メキメキと変わってきています。もちろん授業は英語です。

急速に変化する世界の動きを見ていれば、大変革時代にはこのような思い切った人事も必要です。学長に女性を招聘する大学(Cambridge、Princeton、 Harvard、 MIT、 Univ Pennsylvania、Brown等々)も多く出ています。残念ながら、日本の大学では想像もつかないことですね。グローバル世界で競争する人材を育成しているのです。韓国からの海外へ出て行く留学生の数も、やる気も、なかなかのものです。

このようなことだけを見ても日本の内向き加減は際立っていますね、このサイトでも繰り返し指摘しているところですが。大学 (グレン フクシマさんの投稿です、、、)ばかりでなく、大学の先生たちも、しっかりしてください。学生は将来の人材ですよ、先生たちが内向きでは、どうしようもないのです。

Harvard大学のキャンパスから

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1月14にBostonに来ました。ここには久しぶりです。15,16日に開催されHarvard大学 School of Public Health (SPH)の「Harvard Center or Population and Development Studies」所長Lisa Berkman 企画の会議です。

健康の社会的要因について議論するもので、ある意味ではWHO Commission for Social Determinants of Health (CSDH) (資料1) の報告の実践へ、具体化へのプロセスとして、第1日目は主要な社会的要因について議論、第2日目には各国の事情とこれらの要因を勘案して、課題を探るというものです。

主催のDr Berkman、学部長のJulio Frenk氏、WHO-CSDH委員長のMichael Marmotの講演、みなすばらしかったです。

15日は、テーマとした社会的要因は「Aging」「Equity from the Start」「Gender Equity」「Health Equity in All Policies, Systems and Programs」「Health People, Health Places」「Political Empowerment」「Intergenerational Transfer and Social Protection」のテーマに分かれて議論。

16日は参加の8 カ国(Brazil, China, India, Japan, Mexico, Uganda, United Kingdom, USA)に分かれて議論。

私が日本代表の役割で、特に健康の社会的要因の研究で多くの業績のある近藤克則さん、もと厚生労働省副大臣、Harvard SPHを基点に、グローバルヘルス政策で活躍している武見敬三さん、岡山大学の高尾総司さん 、Harvard SPH Social EpidemiologyをリードするIchiro Kawachi教授 と日本の課題については議論し、「高齢社会」、「女性の社会進出」、「自殺」、「少子化」、「所得格差」に問題を整理しました。Rapporteurはポスドクのイケダさん、もともと海外が長いそうです。

今回は、8各国の参加でしたが、CSDHを推進するひとつの新しい試みともいえるものでしたが、さすがに英国ではしっかりしたデータに基づきながら、政策立案、遂行しようという政府の姿勢 が明確で、またそのプロセスがとてもうらやましく思いました。日本とは対照的なプロセスです。

今年は、近代科学発祥の場といううたい文句で、The Royal Society王立協会設立350年記念の行事がいろいろ行われますが、さすがに科学(「科学技術」ではありません、、)の歴史と伝統の強い国だな、と感じました。

15日の夕食はHarvard Yard (大学の中心で、1年生はここにある寮に全員が入る、またWidener Library などの主要図書館がある、卒業式も行われる)にある学長の館である(今はお住みになっていないようです) Loeb Houseで夕食。

Library tomoko 090 

 Harvard yard 1 tomoko 092Harvard Yard 088
 Quincy House tomoko 082Another building of Quincy House tomoko 085
         
写真:上から順にWidener Library, Harvard Yardの風景2枚, Harvard Yard の外にある学生寮の1つであるQuincy Houseの建物2枚

16日は私の知っている医学系ばかりでなく、工学、理学系の日本からの留学生、ポスドクや教授の方たちを含めて12人ほどで、私が宿泊しているCharles Hotelの裏にあるLegal Seafoodで食事(写真下)、大いに盛り上がりました。この何人かはこのサイトでも以前ご紹介(資料) した方達です。

Dinner with Students Harvard
写真 Legal Seafoodにて

物理の大学院生、ポスドク終えて帰国してからまた舞い戻った人などなど、皆さん、元気に活躍しています。いつものことですが、とても楽しかったです。5年以上いる人たちも日本とアメリカの間でどちらを拠点にするか、皆さん悩んでいますが、一方では、日本に何か貢献したいという気持ちは強いですね。いろいろ苦労はあるでしょうが、可能性はすばらしいです。このような若い人たちの応援をすることがとても大事なのです。

この時期、天候を心配したのですが、幸いなことに3日間とも快晴でした。

女性の活躍はまだまだ

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前回は、国際化に際しての日本企業に内在する「女性への偏見?恐れ?」 があることに言及しました。でも、これは日本では一般的なことで、私もこのサイトでもしばしば発言しているところです。サイト内で「女性」、「男女」、「男女共同」などで「サーチ」してみてください。

これは、男性中心のタテ社会からの変化を、男性、特に社会の上のほうの方々が精神的に抵抗することも理由のひとつでしょう。女性と比べられるのに自信がないのでしょうか?

しかし、経済、購買力の50%以上は女性が担っているのです。しかも日本の人口減といいますが、高齢者とともに、女性の社会進出を促進しない手はありません。これで経済がますます内向き、成長しない、というのは偏見です。キャシー松井さん「Womanomics」と、女性の社会進出と経済成長の関係を分析しています。あくまでも大事なのは、社会制度改革、つまり社会イノベーションです。

また、男性と女性は、基本的にものの見方、価値感もちがうのです。どんな世界になるか、男性中心とは確かに違った社会へと変化 していくでしょう。これは世界の趨勢で、一概に悪いとはいえません。よい例はたくさんあるのです。

大企業の女性トップはだんだん増えてきました。Pepsiは K. Nooyiさん 、Xerox は大転換を指揮したMs Mulcahyさん が退任、会長になり、後任のCEOも Ms U Burns とまた女性、Avonなどなどです。みな好調のようです。中東でも女性の進出が進んでいきますね。

ところで新年早々、アブダビの原子力での韓国の勝利について4回書きましたが、本命フランスの大手Arevaの社長も Ann Leuvergeon (資料1)、女性です。

衆議院選挙で民主と勝利で女性議員数は増えましたが、まだまだ全議員の20%にもいかないのではないでしょうか。

草食系男性と、活躍できる女性の活躍しにくい国、日本はどこへ行くのでしょう。

野村證券とリーマン: 「外」から日本を見る目、「自分」を感じとるセンス

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いまさらながらの 2008年9月の 「リーマンショックLehman shock」以来、世界経済は大変です。いかにWall Streetに集まった「秀才の貪欲」がひどいことになるのか、この1年ほどは「資本主義」の本質論が出始めているのは結構なことです。

その頃です。皆さんも覚えていると思いますが、野村證券がリーマンのアジアと欧州の事業を買い取ったというニュースが流れました。野村も思い切ったことを、しかし、これは野村が世界に展開するにはよい選択という趣旨の報道でした。その通りです。

しかし、すぐに私が感じたことは、野村がこのあたらしい「日本人」でない社員たちを、どう扱えるのか、でした。経営陣にそんな腕力があるのかな、でした。金融業界は、製造業とは、またちょっと違いますしね。頭脳と判断が大きく評価され、そこに「俸給」の価値があるわけですから。

やはりね、という記事があります。去年の夏の「Wall Street Journal」の記事です。英語ですが、がんばって読んでください。

給与の違い等々をどうするのかは、気にはなっていましたが、この記事では女性差別ではないですか。このようなことが「おかしい」と、日本では認識されていないのかも知れません、これは日本の企業では普通だ、と思っている方々も多いでしょうけど、、。海外でこのように報道されているところを見ると、野村證券でこうなら、銀行はもっともっと保守的、大企業も同じだと。「グロ-バル企業などと口では言っても実態は、とても、、」、これが「外」から見た日本ということでしょう。

このような一つ一つの、一見すると社内の都合と考えてしまいがちな小さなことが、実はとても大きな企業の信用問題になり、広がって、国力が落ちていくのです。恐ろしいことです。

だからグローバル世界はいやだ?だから鎖国したい?まさか、そんなことを本気でできると思っているのですか?国の生命線であるエネルギーも食料も、大きく海外に依存しているのに?引きこもり国家ですか? 

石倉さんの「グローバル アジェンダ セミナー」

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このサイトに来てくださる方の多くは石倉洋子さんのことをご存知と思います。私と「世界級キャリアの作り方」という本も出ました。もっとも、彼女がもっぱらリードしてまとめてくれた本ですが。最近も「戦略シフト」という刺激的な本を出版しました。

私のこのサイトでもしばしば紹介していますし、このサイトも彼女の「blog」にリンクしています。時々たずねてください。とても刺激的だと思います。

石倉さんが主宰する「グローバル アジェンダ セミナー」 が毎月1回で、約1年にわたって開催されることになりました。私もお手伝いすることになり、その第1回に参加、お話しする機会をもつことができました。

メールで何回か打ち合わせ。50人プラスの参加者。参加者の「2/3」が20代、30代、しかも女性、男性が「50=50」、これは素敵です。英語で話すと決めて、当日、ちょっと緊張して皆さんに会いに行きました。

当日の様子は、石倉さんのサイト英語版はこちら)をご覧ください。

「ものづくり」と、相手を知った「ものがたり」の違い

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日本の「強さ」は何か。多くの方々が「ものづくり」、「技術」、「匠の技」などといいます。しかし、それだけでは需要を創る、顧客の心をつかみ財布の紐を緩める、新しい市場の開拓には不十分 です。これがグロ―バル時代の「新しい社会的価値の創造」、すなわち「イノベーション」なのです。このサイトでも繰り返し出てくるテーマ です。

さらに、これらの「ものづくり」、「技術」の強さは、アジアの成長がするなかで、アジアの人たちなかなかできない、できにくいことだとも思えません。

では、日本の「弱さ」はなにか?

特に「日米欧」からグローバル市場経済になったこの20年、グローバル世界への大変換です。そこで着眼、大きなビジョン、構想力、戦略と交渉、行動ができるのでしょうか。

相手を知り、顧客へ「ものがたり」を伝える力です。 顧客のニーズを知り、相手を知り、相手の立場で感じ取る力 (Ref.1)。

成長するグローバル社会で欧米諸国、アジア、ラテンアメリカ諸国などと比べて、日本の組織、その「リーダー」達の戦略と決断と実行のスピードはどうでしょうか?この辺が、今の日本の「弱さ」であることを認識し、しっかりコラボレーションのパートナーと組んで、目標へ、スピードをもって進むべきなのです。

1月8日の朝日新聞、朝刊の1面と3面に「日本のすぐれた技術とその課題」がくっきりと取り上げられ、3面には、左下に私のコメントの囲み記事も出ています。私のコメントは、このサイトでも以前から繰り返し指摘していることですが、このように大新聞にキチンと取り上げられるとうれしいです。一時的ではありますが、私のサイトとは、広がる範囲か桁違いに大きいですから。

アラブ首長国United Arab Emiratesの原子力発電は韓国の勝ち-その3

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第1,2報に続いて、いろいろ世界に話題になっている、韓国原子力の勝利ですが、海外、韓国、フランスの対応など、興味深いものがあります。

ところで、前回の2報の記事にあるアブダビの担当責任者「ムハマド王子」 とは「ムハンマド皇太子」、私もお会いしたことがありますが、話をお聞きしていて、とても聡明で思慮深い方であることは歴然です。このムハンマド皇太子が第2報の「#1」にも出てくる「向こうのトップ」ですね。

いつもながらのことですが、The Economist、また韓国の中央日報(日本語版)にもいくつかの動きが読めますし、世界トップであるフランスのショックはいかばかりか、報道 「France24」の「UAE nuclear deal: a French flop?」、さらには、今回の反省に立って、すでに 次の戦略を始めています。

朝鮮日報では、前回の報道にさらに続けて以下のような生々しい経過を伝えてくれます。見出しを抜き出しました。日本にとって参考になることが実に多いと思います。(Chosun Onlineの記事は1週間で見れなくなりますので、本文を資料として引用させて頂だき、ご紹介します)

原発輸出:逆転に次ぐ逆転、交渉の舞台裏(上)
原発輸出:逆転に次ぐ逆転、交渉の舞台裏(下)

原発輸出:UAEの次狙え、海外原発市場開拓で総力戦(上)
原発輸出:UAEの次狙え、海外原発市場開拓で総力戦(下)

原発輸出:「今回の受注でUAEと70年の兄弟に」
原発輸出:「韓国人特有の“やってみよう”精神に感銘」

第1,2報でも書きましたが、では、日本の対応はどうなのでしょうか?この3報で紹介した内容などをよく読んで、自分たちと比べ、考える。何事にも勝ち負けはあるのですから、謙虚に学ぶことが、次への第1歩です。

「トーナメント戦で優勝」(基本的には失敗しない人が上がってきた)した人と、「リーグで優勝」(負けから学びながら強くなった人が上がってきた)した人が組織の上に立つ違い(冨山和彦著の「指一本の執念が勝負を決める」 、「会社は頭から腐る」など(資料1))、こういう場面で出てくる、効いてくるのだ、と思います。若いときに本当の修羅場の経験がない人には、負けたときこそ学ぶ、成長するチャンスと考える、というベンチャー精神、アントレプレナー精神「出る杭」資料1)的な価値観がないのです。

バブル崩壊以後の20年間成長しなかった、「失われた20年」の日本にとって、2010年は正念場です。

グローバルアジェンダと日本

去年の11月のことですが、慶応義塾大学グローバルセキュリテイ研究所が主催する「グローバルアジェンダと日本; 地球社会とグローバルリテラシー」に参加したことは報告 しました。朝日新聞の船橋主筆による米中をめぐる大きな動きと日本の課題、そして船橋さん、私、近藤さん、田村さん、竹中さんの司会によるパネルで、活気のある時間でした。

この報告書「G-SEC Newsletter、No 17」 が出ましたので紹介します。