お正月のいろいろ

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おくればせながら、あけましておめでとうございます。

新春は3日まで休日、4~6日は仕事回りのご挨拶、7~9日は週末でまた休み。

休みが続くのは、なんとなく本を読んだりして、それなりに充実してはいるけど、なんとなしに疲れる。

その間にも認知症の世界審議会に対応して、日本の政策を作る作業でHGPIのチームは大忙し。参加をお願いする要人、関係者へのご挨拶、連絡など。チームの一人は年末年始にかけてロンドンに3日間で往復する強行軍。

そして、HGPIの新春初めの恒例の私のセミナー。多くの皆さんに来ていただき、感謝です。

オーストラリアのミラー大使がいよいよ帰国で、レセプション。カナダ大使館では新春のレセプション。

その間に大相撲初場所の切符をいただき、2度も出かける幸運。

そして、SafeCast1)の新春レセプション。世界に広がる素晴らしい活動で、福島は言うまでもなく、日本中ばかりか、世界にひろがる市民による科学的アプローチ、Citizen-Scienceの信頼は世界に広がっているし、またIAEAにも高く評価されています。

その他にも、新しい時代を開いていく何人もの若者たちといろいろ相談事もあって、応援団としては、これがまた楽しい。

今年はどんな年になるのでしょう。「Post-Truth」とかで、トランプ大統領の就任式を見ているとちょっと心配です。

最近は、私もFacebookにいろいろ書くようにしています。

みなさん、今年もよろしく。

 

神戸、G7保健・厚生大臣サミット、サイドイベントへ

孫さんの自然エネルギー財団の翌日は、神戸に向かいました。G7保健・厚生大臣サミットの関連イベントに参加するのです。

一つは、認知症関係でWHOと厚生労働省の共催によるものです。WDCメンバーのAlzheimer’s Societyの Jeremy HughさんAlzheimer’s Disease InternationalMarc Wortmannさんなど、WDC “仲間” としておなじみの方が何人もおられます。

このパネルでは、「WDCと日本のチャレンジ」というようなテーマで10分ほどのプレゼン。今回は認知症の患者さんとサポートとしている家族、NGO、自治体などの参加もあり、皆さんのご苦労をシェアできるような時間でした。

本当に、本当に重い政治的課題です。

その後、場所を移してWorld Economic Forum Tokyo Officeが開催する長寿・高齢社会についてのセッションに参加しました。GHITも参加です。

高齢社会も難題ですね。いろいろな意見の交換は、いい”ブレスト”になります。

夜は、塩崎厚生労働大臣の主宰によるディナー。WHOのMargaret Chang事務局長(このお二人とはナイロビでもお会いしたばかりですが…)の他、数か国の厚生・保健大臣もご参加でした。

翌日は早々に帰京の途に就きました。

ナイロビへ、TICAD6に参加 ‐2

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8月26日の午前には、ナイロビのヒルトン・ホテルで、私が委員長を務めているHideyo Noguchi Africa Prizeカンファレンスを開催しました。

これには第1回(2003年)と第2回(2008年)の受賞者4名のうち、3名の方が参加してくれました。現地の準備は第1回の受賞者の一人で、ここナイロビで活動しているウェレ(Miriam Were)博士にお願いし、WHO‐AFROの協力を得て開催しました。特にノグチ・アフリカ賞の性格から、アフリカで公衆衛生の分野で活躍している若い人たちをお招きするようにお願いしました。

このノグチ・アフリカ賞の特徴としてアフリカの保健・公衆衛生分野での活躍、貢献があり、受賞者にはケニアのウェレ(Were)博士、ウガンダのコルチイーオ(Coutinho)博士がいらっしゃいます。このお二人は、この分野で活動しているアフリカの若い人たちにとっては、憧れでもあり、また目標となる素晴らしいロールモデルであると考えたからです。もう一人の受賞者Peter Piot博士が参加できなかったことは、以下の私の挨拶にでてきます。

会場は100人ほどで、満員、立ち見の方も多く、熱気にあふれています。私の挨拶、ケニアの保健大臣(代理)、塩崎厚生労働大臣の挨拶、WHO-AFRO代表(代理)の挨拶のあと、今回作成したノグチ・アフリカ賞のビデオ(約6分間のビデオ。英語版で、フランス語の同時通訳付き、日本語の字幕版でした)を上映しました。その後に、ウェレ博士の基調講演、ウェレ博士が主宰するUZIMA財団関係の若者たちのカラテ演武と続きました。

短いブレークのあと、2つのパネル。司会は受賞者のグリーンウッド博士とコルチイーオ博士ですが、お二人の人柄ですね、とても「熱い議論」が続きました。

朝8時半から1時間にわたって、このお二方と議論をした20人ほどのアフリカの若手の方たち、その代表の二人が、この2つのパネルの議論を最後にまとめて、パネルを終わりました。これはとても素晴らしいものでした。みなさんとても優秀です。

終わりには、日本・アフリカ議員連盟会長の逢沢一郎議員にもご挨拶いただきました。

受賞者たちのいつまでも全く変わらない、たぎるような情熱が、特に素晴らしかったですね。これが一番大事なのだな、改めて感じました。

この後は、次の「ナイロビ、TICAD6に参加 -3」に続きます。

ナイロビへ、TICAD6に参加 ‐1

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東大での認知症の会議から帰宅して一休み。8月23日の夜中過ぎに羽田を出発、ドバイ経由で、ナイロビへ向かいました。

今回は、初めてアフリカで開催されることになった第6回のTICAD123)(8月27日、28日)に関連して26日に開催される3つのイベントに出席するためです。

羽田では真夜中なのに大勢の日本の方が、エミレーツ航空のカウンターに並んでいました。皆さん、そのほとんどがTICAD関係の方たちでしょう。こんなに長い列をエミレーツのドバイ行きで見たのは初めてです。受付でも「なぜなのでしょうね」と言っていました。別に秘密でも何でもないので、ちょっと説明をしました。

しかし、物事はわからないものですね。ひょんなことから、「羽田–ドバイ–ナイロビ」とファーストクラスになりました。本当にラッキーなことです。

羽田、ドバイ空港でも何人かの方にお会いしました、みなさんナイロビ行きです。

予定どおりにナイロビに到着。ホテルはヒルトンです。

良い天気、軽井沢のような気候(標高1,800m程度なので)、人も多いし、でも十分に注意ということです。

25日は、現場の視察。26日に私が参加する「Hideyo Noguchi Africa Prize」担当の内閣府の人たちと、またGHIT Fund 関係者などと最後のチェックをしました。

夕方から40年も現地で活躍しておられる佐藤芳之さん12)のご自宅へお招きを受けて訪問。行ってみると何人かのお客さんがおられると思っていたのですが、私だけということでした。

5,000坪ほどの緑豊かな土地に、二階建て300坪ほどのご自宅ということでした。奥様の手料理ですが、これがほとんど自家製のものばかり。ワインも、陶器のお皿も、花も。肉はさすがにお買いになったそうですが、別に500頭ほど飼っておられて、これは市場へ、ということでした。

この広々としたところで生活していると、気持ちも、自宅も、自然に小さいのは息苦しいのでしょうね。わかるような気がします。

東大で認知症の会議、夜はナイロビへ向かう

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8月23日、午後から東大の伊藤記念講堂へ。早期認知症の画像診断と4年間ほどにわたって追跡する米国の「A4」臨床研究に、日本も参加するという、東大医学部の岩坪教授による「お披露目」の会です。

私は始まりの基調講演の担当で、私が世界認知症会議(World Dementia Council)(1)のメンバーであることからです。伊藤謝恩ホールは200人を超える参加者で、多くの関係される方たちの興味を引いているようでした。

私は、WDCの由来と経過について説明し、EUのEPADや米国のGAPのような「政産官」の、しかも世界に広がるマインドで行動するような「プラットフォーム」を日本でも形成することの大事さを、強く主張しました。こんなことが実現するとうれしいのですが、どうなるでしょう。

このようなプラットフォームは大事で、しかも喫緊に必要なことなのですが、日本では大きなチャレンジでもあり、楽しみでもあります。

後日、これに参加していた英国大使館の方から、英国が2013年のG8サミットで始めたこのWDC世界認知症審議会をわかりやすく紹介してくれたと言って、お礼のメールをいただきました。

伊勢志摩G7サミット

2008年の福田総理主催による洞爺湖サミット以来ですが、安倍総理主催のG7サミットが伊勢志摩で開催されています。

サミットで配布される資料の一つに、トロント大学 Munk SchoolのG7/G20リサーチグループによる、イラストもきれいに仕上がった約100ページ超の報告書が提出されています。

ここに、私の寄稿も掲載されていますのでご紹介します。
タイトルは“Japan Must Retain its Position As A Health Leader”です。

ノーベル賞の大村先生の写真も出ていますね。

アムステルダムへ、認知症の会議

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天気に恵まれたゴールデンウィークが明けて早々、アムステルダムへ向かいました。

今年はオランダがEUの主催国で、これはオランダの認知症への取り組みを紹介しつつ、広く共有したいという趣旨です。私は、2013年の英国のG8サミットで発足した世界認知症委員会(World Dementia Council- WDC)のメンバ-としてお招きを受けて以来、この活動をしています。このブログでも何度か報告しているところです。

このWDCは、3ヵ月前のロンドンの会議で、英国政府から独立した、よりグローバルな新しい委員会として出発し、私もそのメンバ-として参加したのです。

この新しいWDCの委員長のYves Joanetteさん、副委員長のRaj Longさんたちとも3ヵ月ぶりにお会いし、英国保健省から出向している事務方の活動もあって移行もスムーズのようで、熱心にこの委員会を進めています。

英国では、認知症は世界の大きな問題の一つとして、これをG8サミットで取り上げ、新たに約100億円の予算を計上し、さらに関連団体などからも約100億円が集まっています。EUとの問題、国内政治問題等々抱えながら、その政治と統治、外交など、また大学、科学研究なども、その内蔵されたダイナミズムには、いつも感心させられます。

去年の6月に、ハーグで行われた会議に参加した時以来のオランダ訪問となります。その間にも、オランダの保健省ナンバー2のMartin van Rijnさんが来日された時も、東京のオランダ大使館で行われたセミナーにご一緒しました。

今回の会場はEU会館です。さすがにオランダですね。会場の設定も派手さはないですがプログラム自体はよく考えられていて、司会進行もそつなく進み、内容がとても充実していました。Martin van Rijnさんの講演に始まり、国会議員(Marijke Vosさん。写真の赤いワンピースの方です)の素敵な司会・進行でいくつかのパネルが進みました。なかなか勉強になる2日でした。

日本は5月の伊勢志摩G7サミットのホストですので、そこで認知症がどう取り扱われるのかよく聞かれましたが、どうでしょうか。関係者のいろいろな活動はありますが。

オランダはチューリップの花盛りです。会場のすぐそばにある、海洋国家であった伝統を象徴する海洋博物館を、しばし訪れました。一度は訪れる価値があるところです。

2日目の夕方は、蘭日貿易連盟の方たちが夕食に誘ってくださいました。この事務局長さん、そして参加したゲストの女医さんのそれぞれと、とんでもない昔の共通の友人、そして出会いがあったことがわかり、とても楽しいひと時を過ごしました。

2泊3日の滞在後、帰りのスキポール空港で、クジラと複数の人たちの感動的な写真が、何かのコンテストの一等賞ということで掲載されていたのでちょっと一枚、お見せします。

ここからオスロへと向かいました。

グローバルヘルス関係会議の一週間

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4月に入ると、5月のG7サミットもあって、そのアジェンダ関係の会議や動きが活発です。G7(はじめはG6)サミットが始まったのは1975年で、1979年の日本がホスト国の時に初めて「Health」というキーワードが提示されたのです

その後も、日本は2000年の沖縄サミットで「グローバルファンド」のコンセプトを提案し、2008年の洞爺湖では「保健政策強化こそが人間の安全保障」を提示した歴史的背景があります。

つまり、グローバル時代になって、昨今、「グローバルヘルス」が世界の大事なアジェンダの「キーワード」になってきていることを、日本は先取りしているような形にもなっているのです。

4月18日(月)にはワシントンのCSISとの共催で、私が主宰しているHGPIがAntimicrobial Resistant(AMR)の問題にフォーカスした会議を開催しました。この詳細は今後CSISのサイトにも出てくることでしょう。この会議はとても内容が濃いもので、議論も的確で、参加者から極めて高い評価を受けたように思います。

19日(火)は英国大使館で、エリザベス女王陛下90歳の誕生日をお祝いする園遊会。Hitchins大使のいつもながらの素晴らしいスピーチに皆さんが感心していました。G7サミットへのアジェンダや認知症などを担当している一等書記官としばらく意見交換の時間を持ちました。

20日(水)の朝は、英国の某シンクタンクのヘッドと会食。東シナ海の状況など、なかなか聞けない話を聞くことができました。来月のG7サミットでは、英・ドイツなど、国内で大問題を抱えているので、日本のアジェンダセッティングはなかなか難しいという点で、私は意見交換しました。いまやG7国のGDPは、世界全体のGDPの50%を切っていますし、世界のアジェンダでもっと大事なのは、今年のG20ホストの中国の動きでしょう。

21日(木)はGlobal Fundの日本の貢献についての超党派の朝食懇談会。自民党は逢沢一郎議員、民進党は古川元久議員です。駐英大使就任直前の鶴岡さんも出席で、いつものことですが、かなり「厳しい」発言をされました。彼には2008年のG8サミットで大変お世話になりました。

22日(金)は日経の主宰する第3回「アジア感染症会議」1)に参加。これには3年続けて参加していますが、最初は基調講演、そして去年と今年は最後のまとめをする機会をいただきました。さらに、今年はGAVIのCEO、Seth Berkeleyさんとの対談を、FTのAndrew Wardさんの司会でたのしく進めることができました。

GAVIの日本の貢献については、私は国債を使うことも考えることを提案しました。GAVIの資金の約20%が英国、ノルウェイなど9か国の国債になっているのです。

今年は、日本とG7サミット、そしてAMRの最近の話題が出ます。日本企業の素晴らしい技術の紹介がいくつもありました。しかし、これを「グローバルでビジネスを」という視点でみると、まだまだ思考が内向きのように感じます、惜しいことです。

でも、この2日間の会議で私どもの運営しているGHITファンドについて、国内外の方たちがコメントしてくださるのでうれしくなりました。これは、ゲイツ財団を組み込んだ全く新しい「Public – Private – Partnership」ですし、国内外の注目度が上がっているのはうれしいことです。

23日(土)はこの会議の2日目。武見敬三議員の格調高いスピーチ、そしてパネルなど。最後に私のまとめで終わりました。

こんな調子で、この1週間は、G7サミットとグローバルヘルスで過ぎていきました。

ところで、私が去年11月にトロント大学のMunk School of Global Affairsで講演をしましたが、そこには「G8/20」の検証をしているグループがあり、そこから今年のG7サミットへ提出する資料の中に、私のコメントも掲載される予定になっています。

いろいろと忙しい1週間でした。

再びトロントへ

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コーネル大学からトロント経由で帰国しましたが、3日後には再びトロントへ来ました。

カナダと日本のイノベーションと、この二国間の協力課題をテーマにした議論です。お互いにあまり注目されていないという意見がいくつも出てきました。なぜでしょうね。基調講演は、BlackBerryの共同創業者Jim Balsillieさん。主賓のテーブルで隣どうしでしたので、いろいろと話が弾みました。

2007年、京都でのことですが、私はもう一人の共同創業者Mike Lazaridisさんの基調講演の司会をしたことがあるという話から始まり、2008年にようやく日本でもBlackBerryが個人顧客にも使えるようになって、私もすぐに使い始めたことなどを話しました。今回の彼の講演では「Freedom to Operate」というキーワードを強調していることなど、いろいろな話題がありました。門司大使もレセンションに参加されました。

ところで、この会議の主宰はCIGIという比較的新しいシンクタンクで、Balsillie School of International Affairsとともに、彼が創立した組織です。

私はカナダとはいろいろ交流もありますし、落ち着いていて、なかなか素晴らしい国と認識しています。大英帝国との歴史的背景を持ったオーストラリアとは、資源大国という点では似ていますが、かなりの違いがあります。これは寒い環境という背景もあるのかもしれません。

私は、日本とカナダの人口は「約4対1」、そして隣にはそれぞれの人口の約10倍もある巨大国がある、そして、隣国との歴史的な背景はあっても、それぞれの「良さと、弱さ」の組み合わせは、これからの世界で新しい可能性があると思っている、という点をコメントしながら、これからの世界を俯瞰した視点からの意見を話題にしました。

最後に、通商大臣 Minister of Trade のChristia Freelandさんが講演されました。ジャーナリストとしてのキャリアもすごいもので、さすがに質疑応答は素晴らしかったです。

ここで紹介するBalsillieさんや、Freelandさんのような方は、日本ではまずめったに出てこない。このような点は、カナダの強みだと思います。

ロンドン、WDCの新しい展開

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2013年、英国のG8サミットで始まったWorld Dementia Council(WDC)の活動については、ここでも何度か報告しました

2年が経過して、いつまでも英国政府だけの支援というわけにも行きませんが、とはいっても、これからの世界の大問題ということで、英国政府の強い支援はありますが、一応は独立した形に移行することになりました。

その会議がロンドンで開催され、私もその委員として参加することになり、アブダビからロンドンへ移動しました。何人かの新しい委員も加わり、共通の友人がいたりで、何となく嬉しくなります。

英国政府はEUに残るのか、離脱するのかの国民投票(Referendum)が6月に行われることになっています。キャメロン首相にとっても大事な時です。

一方、日本では5月にG7サミットがあり、日英の関係からも、認知症は大事なアジェンダの一つになるでしょう。

24日には、企業などが中心となってのCEOiという会合が行われました。多くの企業、財団なども集まり、充実した一日でした。特にBig Dataについては、いくつかの試みがあり、楽しみです。最近の日本でも、IBMの活動や、IBM Watosonとの提携の話題がニュースになったりで、活発な動きも感じられます。