オタワでグローバルヘルス、トロントでイノベーション

→English

カナダは来年G8サミット(おそらく最後のG8で最初のG20となるでしょう)の主催国となります。当然のことながら、グローバルヘルスをサミットでの主要な議題とするために、カナダの様々な分野でいろいろな努力が重ねられ、交渉や準備がなされてきたことでしょう。

CCGHRもその一環としてある会議を開催しました(10月25日)。この会議はどちらかといえばリサーチに重点を置いていて、出席した会員約150名のうち25%は海外の方々でしたが、私はここで基調講演に招待されました。大変な熱気で、私もいくつかのワークショップに参加、役員会にはゲストとして出席、G8の議題についてカナダの視点から協議する内輪のセッションにも出席しました。大変有意義で学ぶことも多く、沢山の新しい友人や仲間との出会いにも恵まれた一日でした。

10月の終わり頃のオタワはそれなりに寒いですが、天気は良かったです。ここで、1人の女性の日本人研究者にお会いしました。McMaster大学で学部教育を受け、McGill大学で疫学、生物統計学、産業衛生学の修士号、博士号を取得された方です。彼女は小さいときにほんの数年を日本で過ごし、現在は南アフリカで、アフリカにおけるメンタルヘルスと貧困に関するイギリスとの共同プロジェクトにポスドク・フェローとして参加し、勉強しています。やりがいのあるミッションですね!

次の日はトロントを再訪し資料1)、いくつかの仕事をしました。トロント大学のMunk Center では私のための夕食会をMassey College で開催して下さいました。

その翌日はMunk Centerで「イノベーション、グローバリゼーションと大学」と題するパネルがあり、私の手短な基調講演の後、活発で建設的なパネルセッションが行われました。今後ますます相互依存を強める世界において、一流大学は将来のリーダー達を育成し、彼らをコネクトし、将来の課題に備えさせるための開かれた場にならなければいけないという点では皆さんの意見が一致しているように思いました。現在のグローバルな国際社会では途上国及び低開発国が抱える諸問題やその地域は彼らだけのものではなく私たちのものでもあるのだということを認識しなければなりません。ここでも、日本の女性放射線医師に出会いました。彼女は東京女子医大の出身で、Massey Collegeのresident junior fellowとして医学教育研究の勉強を始めたばかりだそうです。このような経験は彼女のキャリアにおいて広い視野や考え方を身につける貴重な機会ですね。トロント大学は多民族性、多様性、カリキュラムや講義の幅広さで知られる素晴らしい大学ですから。

「岡目八目」、宋 文洲さんの辛口カラム

宋 文洲さん は大変な苦労の後、「ソフトブレーン」で成功した起業家です。時々テレビでも見かけます。北海道大学大学院に留学、その後は苦労しながら日本で成功した起業家の一人です。このような実体験の背景から、日本の「常識」の「非常識」を、素晴らしい筆力で鋭く指摘しています。彼の著書、例えば「やっぱり変だよ日本の営業」でも明確です。何かの機会に2,3度お会いしたことがあります。

ありがたいことに、宋さんはメルマガも書いていますが、彼の意見はその時々に大いに参考になります。お勧めします。

最近では、「官僚よりも民間に問題がある」、「負けたほうがいい」、「社員のモチベーションは上げるな」、「マスコミは国民のレベルを代表する」などなど、素晴らしいです。

ドッキリすることもあるかもしれませんが、気にしないこと。よく読んでみれば、殆どは本質をついたいい意見ですから。大いに考えて見ましょう。ありがたいことです。

昔の人はいいことを言うものですね、「岡目八目」とか。当事者にはなかなか見えないことが多いのです。「日本の常識は世界の非常識」ということはいくらでもあります。これを認識することは、グローバル時代にはとても大事なことです。「内」の人たちにはなかなか見えないものが、「外」からははっきり見えるものです。

「辛口」の宋さんは、お世話になった日本を応援している、と私には思えます。企業、政府、政治、大学等々、大事なポストについている人たち、皆さん、しっかりしてくださいね。

それにしても、感じたことを、読む人に分かるように書くのは難しいことです。宋さんの感性にも感心しますが、表現の能力、書く能力に感心します。

2つのExecutive Session; リーダーシップ、イノベーション、女性のパワーについて考えたこと・感じたこと

→English

最近私は2つのExecutive Sessionに出席する機会がありました。その一つはロンドンで開催された業界トップクラスを誇るグローバルな会社の世界戦略に関する会議です。この会社は最近或る買収合併に成功したばかりです。

この会議のメンバーは全部で10カ国から10人(女性は1人)でしたが、その多くが自国の政治・行政において高い地位にある方々、即ち、大臣、最高裁裁判官、国や地域(EU)の議員であったという点において他の同様な会議とは一線を画していました。

例えば、会議の議長をされたPat Cox氏は欧州議会の議長(2002-04)であられましたし、Chuck Hagel氏は今年1月まで12年間共和党の議員でいらっしゃいました。Hagelさんとは少しお話をしましたが、それだけでも氏が大変思慮深い、人間としても立派な政治家であるということが良く分かりました。彼はブッシュ大統領の対イラン政策を最もはっきりと批判したことでも有名です。年の初めにもブログでご報告しましたが、彼はAtlantic Council というワシントンDCに拠点を置く有力な「シンクタンク」の会長に就任され、そのことは私も知っていました。そして今回彼から直接聞いたのですが、オバマ大統領から外交に関する委員会のメンバーにもなるように頼まれたそうです。大変良いニュースですね。

Pat Cox氏の議事進行は素晴らしかったです。流れるようで暖かく、会社の上層部によるプレゼンからその後の質疑応答、提案まで一切を取り仕切り、各委員や幹部の発言だけでなく席順までメモを取って記録されていました。いつも思うのですが、このように立派な経歴を持つ方々とディスカッションやプライベートな会話を通じて知り合うことができるというのは、大変光栄なことです。実に多くのことを教えられます。ところでついでに申し上げると、この会社の代表者の半分は議長を含め女性でした。

東京に戻ってもう一つのexecutive sessionに出ましたが、こちらは日本のグローバルブランドの会社で、国内での売り上げは年間総売り上げの25%です。CEOを中心とするチームは私たちが議論すべき当日の議題を一生懸命考えてくれました。普段はあまり経験しないような活気に溢れた質疑や討論があって、楽しく会議をすることができました。これは、なぜかというとメンバーがかなり「出る杭」的な人たちだからです。例えばiモードを発明した夏野さん資料1)とか。役員レベルに女性が居ないことはさておいても全15人の会社側出席者のうち、女性は1人だけというのは驚きでした。。

この会社の考えは私から見ると男性の発想であり、且つ男性の考えをターゲットにしています。そこで私からの質問は、日常の買い物をするときや大きな買い物をするときの意思決定は女性がしているという、ニューズウィークの‘The Real Emerging Market’と題する記事でも紹介されている事実に関するものでした。私もニューズウィークの表紙の写真入カラムでこの記事を取り上げていますし、その後の2009年10月26日発行のタイム(米国版)‘What Women Want Now’  (資料1) にも同様な趣旨の記事が出ています。言っておきますが、製品は男性向けであるかもしれませんが、それを買うかどうかの意思決定は想像以上に女性によって行われているのです。

男女共同参画の問題は日本の社会に広く存在する喫緊の課題です。このブログでも繰り返し書いていますし、最近ではジャパンタイムズのインタビューでも述べましたが、女性の活用は日本社会、経済にとって「変革の鍵」となり得るのです。

もう一つこれらの二つのセッションに出て思ったのは、このような大会社の要職におられる方々は、急速にフラット化している世界すなわち‘Open and Demand-driven Innovation’の時代に世の中で何が起きているのかを実感していらっしゃらないのではないかということでした。‘Open and Demand-driven Innovation’はグローバルな現代において、どのビジネス分野にとっても非常に重要な、基本的な考え方となっています。

日本がまた元気になるには

→English

ジャパンタイムズの2009年10月18日版に私のインタビュー記事(URLPDF )’How Japan can regain its vitality (日本がまたげんきになるには)’が掲載されました。基本的なメッセージは私が日頃からブログで言っていることと同じ、すなわち政権交代、グローバリゼーション、日本の強みと弱み、イノベーション、大学改革、進まない女性の活用などです。

ジャパンタイムズのような新聞は日本に関心を持ってくださる外国の方々に接触し、意見を聞いていただくための重要な手段の一つです。結局、日本という国は変化を要求する「外圧」、かつてペリー提督が率いた「黒船」をまだまだ必要としているのかもしれません.

この記事をお読みになって、ご興味を持っていただけたらと思います。

「外から見る日本」を理解する努力

→English

このところ、「外から見る日本」のことを2度ほど(資料)かなり直接的な表現で書きました。この意見については評価してくれている方たちが結構おられる様子がネットでも伺えます。

ではどうしたらいいのか?ちょっとした例についてもコメントしました。GOETHEという月刊誌のインタビュー記事 です。

テレビもCNN, BBCばかりではないし、また新聞ではThe Economist(発行部数44万程度ですね)」を読まれる方は多いと思いますが、ネット時代をもっともっと利用すべきでしょう。

同じページに渡辺健介さんが出ていたので、見開きの両方のページを提示します。ちょっと考えみてもすごい経歴なのに、なのですが、かれの活動もすごいです。子供たちに素敵な本 「世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく」 (多くの言語にも訳されている)も出版し、またこれを自分で実践もしているのでいす。渡辺くんも、時にお会いして、応援している素晴らしい若者です。感動的な話が、Global Healthで大活躍している笹川陽平さんのblog  にも出ています。

日本の将来を担う若者には、本当にとても素晴らしい方たちがいるのです。

「外から見る日本」への懸念

→English

このカラムを時々訪問してくださる方はすでに感じ取るっておられるでしょうが、私は以前から日本の将来に懸念している一人です。ちょっと以前までは「いざなぎ景気以来」などという妙な「いいわけ」のようなオプチミズムが蔓延していましたが、その当時から警鐘を発していました。例えば2008年正月の東洋経済に掲載された私の記事 です。

私の見解を認めない、認めたくない人たちも多いと思いますが、「リーマン」の時もはじめは「日本は大丈夫」という雰囲気でしたね。でも一般的に言えば、本質的には日本の企業、特に経営陣が弱いと思います。新しい産業も育ちつつありますが、小さいときに既存の大手に邪魔されたり、大手は変化に対応が遅いのです、よくある話ですが。また、グローバル世界での「異質性、多様性」が、多くの日本人にとっては実体験のないこともあり、直感的に感じ取る感性が弱いと思います。

まさに「地球の限界、アジアの成長」 を受けて、日本の政治も、経済も、産業も、大学も正念場ですね。グローバル時代の本質が直感的に理解できない、今までのシステムで出世してきた「リーダーたち」、しかしそれなりに「まあまあ」と思っているので思い切った対応ができないのです。「ぬるま湯のカエル」に喩える人もいるようですが。日本には生かすべき多くの「強み」があるのですから、がんばって欲しいです。「進取の気性」ですね。「弱み」をしっかり認識し、国内ばかりでなく、世界へ目を向け、世界のパートナーと組みながら、行動することです。スピードが大事です。

海外で、「個人」の資格で長く活躍している人たちにはこれが直感的に見え、感じられるのですね。「「外」から見る日本」だからこその直観力です。「日本から見る世界」を基本に考えている大部分の日本の方たちの「世界の日本」とは大きく違います。

この2週間、お二人の日本の学者、研究者の訪問を受けました。一人はどなたでもご存知のPrinceton大学Hisashi Kobayashi教授です。日本のあまりの内向き発想と行動に懸念されて、訪問してくださいました。私も100%先生の認識と同じですし、何をするのか、いろいろ可能性を議論しました。このサイトを訪ねている方にはご理解いただけると思いますが、私もそれなりに努力しているのですが、何しろ自立、自律しているはずの、「知性の集まり」の大学まで内向きですから。特に「一流大学」といわれる大学では、若い学生さんたちにとっては、これが一流なのだ、と思い込んでしまいますから、たまったものではないですね。

2人目はDr Ryo Kubotaです。在米10年の医学研究者でBiotech Venture も起業しています。東京にきた折にお会いしましたが、本当に日本の研究やベンチャーのあり方などに大きな懸念、いったい日本は何をしているのだ、という危機感です。

これは「愛国心Patriotism」というものでしょう。このような経験を通すことで、偏屈な「Nationalism」は生まれにくいと思います。

このお二人の在外日本人に加えて、Finlandの政府系投資ファンドSITRA  (資料)トップの方々、さらに米国のバイオ関係投資ファンド2社も前後して私に話しにこられました。皆さん、話題は同じであり、懸念も、ポイントも同じです。

もっと多くの人たちが、できるだけ若いときに(いくつも失敗できますし、、そこから学べ、賢くなるのですし、、)広い世界に出て、世界を知る、「外」から日本を見る、直感的に感じ取れるようになる実体験が大事だろうと思います。「井の中の蛙、大海を知らず」です。大海を実体験として「知る」、ことは特にグローバル時代には必須の要件です。今回訪問された日本の方たちは、そのような実体験があるからこそ、とても心配しているのです。

なんといってもまだまだ、世界で2,3番の経済大国なのです。しかも、うらやましいほどのいくつもの強みを持っているのですから、皆さん世界に羽ばたいて欲しいです、引きこもりにならずにね。

この2年ほど私と仕事をしているDr William Saitoさん (資料)も、アメリカ生まれの日本人、彼も同じ認識ですが、彼はアメリカで実際に成功したベンチャー経験がありますから、かなり見方がシビアで、日本の制度的弱点を明確に認識しています。何とかしたいと、私ともモガイテいるのですけどね。いろいろ楽しみな仕掛けを作り、種をまいています。

STS Forum、科学技術担当大臣会合、Young Scientistsとのセッション

→English

京都で開催されるSTS Forum (Science and Technology in Society Forum) に参加しました。始まりのときから手伝っています(資料)。世界から政治、ビジネス、科学など広い分野の方々が集まって議論、課題を共有しようという大胆な試みです。

今年は、開会のパネルで副総理、科学技術担当大臣の菅 直人さんの挨拶を兼ねた演説がありました。なかなか好評でした。

私の役割は、第1日に、Nature編集長のPhilip Campbellと科学技術担当大臣会議(写真1-4)で基調講演。24カ国(Africaから9カ国)の大臣がご出席。議長は日本の科学技術政務官、民主党の若手のホープの一人、津村啓介さんです。その後、各大臣からの各国の政策、課題などについて活発な発言がありました。

Dsc_0093_2Dsc_0102

Dsc_0197Dsc_0198

写真1-4; 会議の参加諸氏と

第2日、「Proposals from Young Scientists」で、TWAS などで大活躍している旧友Mohamed Hassan と共同議長。2時間に及ぶセッションでしたが、8人の若手が自己紹介のあと、4つのテーブルに別れ、各テーブル8-10人ほどの参加者と1時間にわたり議論を展開し、最後にまとめていろいろ提言してくれました。なかなか素晴らしいセッションでした。セッション要旨 も見ることができます。何人かの方から、私は若者のほうに入るね、などとからかわれました。

203f3session 写真;5 参加のYoung Scientistsの皆さんと。前列中央は私、スポンサーとなったJSPS小野さん、Hassanさん。

NYASのPresident and CEOのEllis Rubinsteinは途中から参加するよ、といっていたのですが、よそに参加で動けなくなったようでした。NYASでは私も「Scientists Without Borders」、 に諮問委員として参加しています。

学生さんとの交流、blogからの、過去からの出会い

→English

学生さんたちとの交流はいつも楽しいものです。パリから帰って翌日、大阪に来ました。

昔からの友人であり、大阪大学で分子薬理学をリードする倉智教授が中心になって開催している大阪の5大学の学生さんたちを対象にした講演会です。この私のサイトに書いてあるようなことを中心にお話しましたが、特にレセプションでは多くの学生さんたちと盛り上がりました。特に女子学生ですね、元気なのは、いつも指摘している (資料)ことですが。周りにいる男子学生諸君は手招きしてもなかなか近寄ってこないのです。とても元気な男子学生が一人いましたが、この人は自分がしたいことをしっかり持っているのです。どうして?という質問へのお勧めは、やはり「3つのスピーチ」 であり、この場合はSteve Jobsは勿論ですが、Randy Pauschの「Last Lecture」でしょうか。

ご自分のblog (資料) で、この講演会を楽しみにしていたという井上先生にもお会いできました。こんなことも「フラット」な世の中の発信力の繋がり一つといえるでしょう。思いがけない出会いがあるのです。

5日は京都で「Young Scientists」とのセッション、これも楽しかったですね。別にポストします。

9日は開学60周年記念行事の講演で三重大学に来ました。もっぱら、学生さんたちに向けたメッセージでしたが、学長先生以下、喜んで頂けたようです。タイとスペインのお客様もご挨拶。学生さんたちの吹奏楽団(これは有名らしい)の演奏、コーラス、ダンスなどなどもあり楽しいひと時でした。何人かの学生さんが私の本を持ってこられサインをしました。嬉しいです。

会場で、私がロスアンゼルスに住んでいたころ、私のうちに遊びにも来たことがある、という方にもお会いしました。その頃はまだ小学生だったのですとか。そういえば、という感じですが、もうしばらくすると、もっとよく思い出すでしょう。時のたつのは早いものです。

学生さんたち、それぞれの未来をつかんで欲しいです。海の外へも出よう、広い世界に友達をたくさん作ろう、これこそがグローバル時代のありかた、というのが、いつものことですが、私のメッセージでした。大学はもっともっと開かれ場所になって欲しいのです。将来ある若者たちへの責任はとても重いですよ。いくつかできることを提案してきました。

さて1年後、ここで何か起こっているでしょうか、期待していますよ、皆さん。

MITのD-Lab、学生との起業

→English

先日もMITのD-Labを紹介しました。ここで活躍している遠藤くんが、日本を訪問した機会に、ということで私を尋ねてきました。私のイノベーション関係の研究や教育活動に参加してくれているDr William Saitoさんも参加して、いろいろ話が弾みました。遠藤くんは慶応大学で学部、修士を終えて、MITでPhD、現在MITでD-Labに参加しながら、自分の研究活動にも活躍しています。

遠藤さんのD-Labでのテーマは、途上国の義肢(義足、義手等々)を必要としている人たちに、安く、しかも使いやすい義肢を提供しよう という計画です。交通事故、戦争、地雷などで、不自由な生活を強いられているのです。また、現地での義肢は質も悪く、使いにくいとか、なかなか上手くフィットしないとか、すぐに壊れるとか、社会基盤、技術の程度を考えれば、致し方ないところもあるのですが、これを開発して普及させたい、このような人たちの自立を助けたいという、壮大な計画です。素晴らしい活動です。

Img_1889_top 写真; 左からSaitoさん、遠藤くんと

このような活動が実際の社会活動、事業へ発展することも多いようで、上手くいかないのが多いのは当然です。しかし、このサイトに掲載してあるのはまだ続いているものだそうで、起業したものの26%が残っているということです。William Saitoさんはアメリカで学生のときに起業し、それが大成功した人ですが、「この比率はすごいね」、とすぐにコメントしました。本当ですね。

遠藤くんは、世界記録を破れるような高度の義足の開発にも関係しているようですね。高い目標と、とても広い視野での活躍です。慶応の学生のときにソニー研究所北野宏明さん とAIBO の開発にかかわったそうです。

パリ、UNESCO-L’Oreal賞、そして「ソフトパワー」

→English

Dsc00645_1

写真 サンジェルマン教会前

秋のパリはいいですね。9月28日に出かけました。以前にも報告した素晴らしい女性科学者を表彰するL’Oreal賞の選考委員会が29日に開催されるのです。以前も報告 (資料1)しましたね。

到着した28日の夜は、パリのアメリカ病院 (資料1)に 、アメリカでの臨床研修を終えて最近就任した三村先生ご夫妻と夕食。この病院とのお付き合いも10年を超えました。ところで、この三村さんご夫妻お二人とは家族ぐるみでお付き合いがあるのです。特に奥さんの夏チャン(やはりお医者さんです)のご家族とは、長いのです。食事の後はホテル近くのSt Germain de Presへ3人で散歩に出かけました。Top写真はパリで一番古いSt Germain de Pres教会(再建にはVictor Hugoの力があったとか)前です。秋のパリは素敵です。

Dsc00642_2 写真2; St German de PresのCafeで三村夫妻と

29日の選考委員会、素晴らしい5人が選ばれました。大いに議論しましたが、最後は選考委員の皆さんの意見は一致でした。公式発表の後で、また報告しましょう。このL’Orealのような活動は企業としても世界への素晴らしい広報活動であり、これこそがソフトパワーなのです。

Dsc00648_3 3Dsc00649_4_2 4

写真3、4: 選考委員会スナップ

夜は、2年前と同じくL’Orealのご招待でコンサートへ(写真4、5)。前回はIntermissionのところで失礼して帰国の途についたのですが、今回は最後までお付き合い。UNESCO大使館勤務の秋葉さんにバッタリお会いしました。Intermissionでは、私たちはカクテル、演奏終了後は、コンサートホールで夕食、終わったのは12時過ぎでした。

プログラムはPiano、Daniel Barenboim、指揮はChristoph Eschenbach、演奏はOrchestre de Parisです。日本の方も何人か活躍しています。

プログラムは: 
Berlioz; Benvenuto Cellini, ouverture, op. 23; Carnaval romain, ouverture, op 9
Chopin ; Concerto pour piano n. 2 en fa minerur, op. 21 ;  n. 1 en mi mineur, op. 11

Barenboimは素晴らしかったです。お人柄がよく出ていました。

Dsc00665_5  写真5; Barenboim (中央)とEshenbach(左端)

素敵な、豊かな気分の一晩の経験でした。こういうのこそを「ソフトパワー」というのでしょう。伝統であり、洗練されていて、劇場がやたらと立派というわけでもないし。何かというと、「ソフトパワー」とかいって、アニメと言っては「ハコモノ」、いろいろ名前をつけては「国立」とか「自治体立」の美術館とか劇場とか、「ハコ」ばかりが立派で国民の借金ばかりが増えるという国の形。それでいて中身のソフトが弱いのですね、海外から有名どころを招聘してはやたらと高額だったりして。ヨーロッパの音楽の専門家からも話を聞ましたよ、日本公演はもっぱら「おいしい」との評判だ、と。

政権交代でこのような妙な政策はいい加減にして、時代にふさわしい政策への「改革」が始まることを期待しましょう。もう出始めていますね、飛行場と特別会計の関係、ダム工事などの変な仕掛けがバレ始めました。恥ずかしい話が多すぎます。テレビでも新しい大臣が皆さん役所の準備したメモなしで、自分たちの言葉で就任の記者会見でもしゃべり、質問への応答もしています。気がつかないかもしれませんが、皆さんも新鮮に感じているのではないでしょうか。以前、この件についても感想(この第2パラグラフですが、、)を述べていますが、いかがお考えでしょうか。