医療制度の基本的な問題

早いものでもう3月になり、温暖化のせいで桜ももうすぐです。4月の入学式の頃は桜は散ってしまっているでしょう。いよいよ医師国家試験も始まりました。皆がんばってください。ご健闘を祈っています。

今一番の問題はアメリカのイランへの侵攻と、北朝鮮の問題でしょう。そしてこれらの不確定要素のもたらす経済への影響ではないでしょうか。世界中が「デフレ」問題に苦慮しています。日本では新しい日本銀行総裁人事がしばらくの間は話題になっていましたが、蓋を開けてみれば福井総裁。しかも武藤前財務省事務次官が副総裁ですから相変わらず財務省主導になるでしょうし、思い切った財政政策ができるのか疑問です。それにしても日本の経済は悪いですね。産業人もあまりにも責任感が薄いですね。何しろ、日産のゴーンさんも「皆さんは日産の奇跡的な回復といいますが、この間の日産の社員99%は日本人で以前からいた日産の社員なのです」と言っているぐらい、明らかに問題はリーダーにあるのです。歴史観も無い、世界観も無い、自己保身ばかりのリーダーには早く退出してもらいたいですね。政府ばかりが無策なのではないのです。

医療制度はますます改悪が明白です。皆な不安でお金をためて、いざというときに備えるだけです。心配で心配でしょうがないのです。85歳の人がお亡くなりになって、「たんす」から4,000万円も出てきたなどという話を聞くと本当に悲しいですね。笑い話ではないのです。何にもつかわずに心配でお金を使わないで貯めているのです。これでは消費が上向くはずもありません。医療は社会基盤資本ですからもっと公的資金を投入すべきなのです。公的病院に個室等は要りません。公的病院は地域別に診療科を再編成して、無駄をすくなくする必要もあるでしょう。

例えばどうしてすべての公的病院が「自己完結型」で主要診療科を何故全部そろえていなければいけないのでしょうか。どこの病院にも消化器内科、循環器内科、整形外科、消化器外科とか持っている必要は無いのです。その地域での人口と、人口構成の必要等に応じた調整を市民のニーズから算出して再編すればよいのです。そして余計なベッドは減らし、当分人員数はそのままとしておく。サービスはよくなるし、救急以外では少し待たされたりして不便かもしれないけど、そのかわり公的病院では自己負担は10%程度でよいのです。これでいまよりははるかに安心して生活できます。

こうした上で、公的病院でなければ「混合診療」を導入するなどして選択肢を広げればよいのです。「医療特区」では「公的医療保険」を使わないのは当然ですが、こうした上でなら「医療特区」はあっても良いのです。保険の掛け金値上げ、自己負担3割へ、さらに混合診療とくれば皆不安が増すばかり。当たり前ですよね。まず心配ばかりなのですから。お金は使いたくても心配で使えませんよね。皆さんもこのような医療制度の基本的な問題を患者さんや患者さんの家族、あなたの住んでいるコミュニティーと対話を進めてください。結局、医療は医師をはじめとする医療にかかわる人達と患者、そして社会で築き上げるものですからね。

もっともっと社会とあるべき医療制度を討論し政策提案をしないと医療は大変なことになります。先日も、日本医師会の医療制度会議でこの点について「カンカンガクガク」議論してきました。皆さんのご意見をお寄せください。