野口英世アフリカ賞と小泉純一郎氏のご挨拶

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6/19のブログ(「パリから、日本の広報意識の低さについて一言」)で、実際の例として3つの事例を引用していますが、この3つとも、日本のAfricaへの大きな貢献についてでした。地理的な条件もあってか、日本のAfricaでの貢献は、アジアでの貢献に比べて、国内でも国外でもあまり知られていないと思います。上記のコラムで紹介しました、私の発信“Challenges for Japan’s Scientific Community in the 2008 G8 Summit”を、Business Daily Africaで“Analysis: G8 Summit will provide a major test for Japanese scientists”“Comment: Challenges for Japan’s Scientific Community in the 2008 G8 Summit”として掲載してもらいました。ケニアの新聞です。個人のレベルですが、少しでも日本の貢献を知って欲しいからです。On-Line時代の手段ですね。

来年のG8サミットは8年ぶりに日本がホストをするわけですが(7月に洞爺湖で開催)、来年は日本が主役を務め、国連などとAfrica援助の一環として15年前に始めた画期的国家事業、5年に一回開催されるTICAD(Tokyo International Conference on African Development)(こちらも参考に→www.ticad-csf.net/eng/index.htm)の第4回目となる会議が5月に横浜で開催されます。Africa50数ヵ国の国家元首等が東京に集まる、Africa諸国の間ではよく知られた会議です。でもどれだけ皆さんに、そして世界に知られているでしょうか?メディアでも最近は中国のAfrica進出ばかりが取り上げられていますが・・・。

ところで去年、小泉総理がAfricaを訪問されました。その時はEthiopiaとGhanaに行かれましたが、なぜEthiopiaとGhanaだったのかは、後ほど。Ghanaの首都Accraは野口英世が黄熱病で病死したところであり、野口英世記念研究所もあります。ここで小泉総理は日本政府による「野口英世Africa賞」の設立を発表されました。アフリカでの感染症などの疾病対策に貢献した医学研究や医療活動を表彰する国際賞で、この2分野で貢献をされた方を表彰しようというものです(政府のインターネットテレビでも紹介されています)。表彰は5年に一回、第1回は来年のTICADの時に発表される予定で、現在、選考が進行中です。Africa開発、HIV/AIDS、貧困などは皆さんご存知のとおり、世界の大問題です。

さて、小泉前総理は先日、この賞への募金の御願いということで、経団連の理事会にご挨拶に行かれました。そのときのご挨拶がとてもよかったと聞きました。御手洗会長を始め200人ほどの財界のリーダーの前での原稿なしの短いご挨拶だったそうですが、始まる前と後ではその場の雰囲気がガラッと変わったと聞きました。小泉前総理の事務所の許可を得て、挨拶の内容を掲載していますので、ダウンロードしてご覧ください。

 小泉純一郎衆議院議員の経団連常任理事会における挨拶(PDF)をダウンロード

皆さんはどう感じましたか?実にお上手ですね、お話が。メリハリと、ウィットが効いていてとてもいいお話と思います。この話を英語にして、Africaのメディアにも伝えようと考えているところです。

よく考えてみれば、これはまさに財界の方々が「小泉マジック」にかかったとも言えそうですね。ということは、まさに小泉総理が「天才、変人」だということです。実は、歴史的に見ても世の中を変え、科学や技術で世界を変えた人たちは、みんなその時代時代の常識を外れた「変人」なのです。このことは一度、官邸で行なわれた総合科学技術会議で小泉総理の前でも発言しました。みんな笑い出しましたけどね、私はまじめだったのですよ。

これは6/4のブログ(「St Petersburg、そして出口さんから、ドンキホーテへ」)、それから出口さんのメルマガでもお伝えしている、いつの世の中でも「ドンキホーテ」が大事だという主張と一致しているのです。

「特集 日本社会のイノベーション 今、イノベーションがなぜ必要か?」

慶應義塾大学出版会が編集・制作されていて明治31年3月に創刊され、平成10年には創刊100年を迎えた「三田評論」で「特集 日本社会のイノベーション 今、イノベーションがなぜ必要か?」というテーマで、慶応大学経済学部/池尾教授が司会、トヨタ自動車/渡辺社長、内閣府社会経済総合研究所/黒田所長と対談を行いました。

「特集 日本社会のイノベーション 今、イノベーションがなぜ必要か?」(PDF)をダウンロード

女性の社会進出はまだまだ遠い。なぜ?先端科学技術大賞の授賞式と『「最後の社会主義国家」日本の苦闘』

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4日、先端科学技術大賞の授賞式で20分の基調講演をする機会がありました。先日、沖縄でご一緒させていただいた高円宮妃殿下もご臨席です。講演の要旨は以下のとおり。翌日5日の「フジサンケイビジネスアイ」朝刊に掲載されていました。

●黒川清先生・ご講演:「イノベーション25」(注・黒川氏が座長としてまとめた2025年の社会に向けた政府長期戦略指針)の一部にフォーカスしてお話ししたい。その骨子からすると、今回の表彰には不満がある。学生部門の受賞者9人中女性は2人、企業部門では25人中1人だけ。外国人は21年間の歴史でたった1人。これは非常に異常だ。これからの世の中はこんな世の中ではないということを認識してほしい。ここにイノベーションのメッセージがある。
●「蒸気機関の開発」以来、産業・経済・社会のパラダイムには5つの変革の大きな波があった。今は1908年の自動車大量生産によって始まったパラダイム、「石油、自動車、規格品大量生産、消費文化」の極めて成熟したところにいる。そして、71年にインテルがマイクロプロセッサーを開発してから情報社会がインフラになり、インターネット、そしてネットスケープ、リナックス、グーグルなどが登場している。時代を変革するのは、受賞者の皆さんのようなパッション(情熱)とねばり強さを持ち、寝食を忘れて研究に熱中し、行動する人だ。
●インターネットなどを通じてこれから世界は一つになっていく。今までは研究から大量生産まで(一企業内などで)直線的につなげていたが、それでは破壊的イノベーションは出てこない。特にこれからのイノベーションで大事なのは、ヘテロジェネイティー(異質性)、ダイバーシティー(多様性)、アダプティブネス(変化即応性)だ。ダイバーシティーの観点から、冒頭の苦言を申し上げた。
●世界のどこから競争相手が現れてもおかしくない。強い部分は競争で伸ばすが、弱いところは強い人たちと組む戦略が必要。ぜひ世界中に友達を作り、エネルギー、環境、資源、南北問題など世界の出来事を身をもって経験し、起業家精神を共有して解決に取り組んでほしい。そのうえで、日本がどんな国になりたいか、自分の企業がどんな企業になりたいか考えていただきたい。

事実、2006年度の受賞者も学生部門では5人中女性はゼロ。企業研究所部門では20人中女性は1人です。2006年に学生部門で受賞した1人がこの賞では始めての外国人だったということをみても、日本がどんなに鎖国マインドなのか理解できるでしょう。皆さんはどう考えますか。

この点で最近、面白い本がありました。『「最後の社会主義国」、日本の苦闘』(毎日新聞社 2007年3月)というタイトルで、子供の時から15年間を日本で過ごした経験を持つレナード・ショッパさんというアメリカ人による著書です。日本のこともよく知っているし、いくつか著書もあります。使われているデータも正確で、観察も、解釈も鋭いと思います。

日本女性の社会進出は、UNDPでも知られるように、女性の開発指数(Gender Development Index: 選挙権、教育機会や大学進学率等)でみると世界で8番目と素晴らしいのですが、女性の活用指数(Gender Empowerment Index)では世界で43番目となってしまいます。このギャップは女性が活躍する機会を失っていることを示し、非常にもったいないことです。女性の活力、能力をいかに活用できるか、これはこれからの日本の活力への大きな課題なのです。過去にも何度か触れているので、「男女共同参画」等のキーワードで検索してみてください。

以前のような“Feminism”の動きは、老人介護体制の導入等で女性が昔に比べて開放され、さらに自立しながら生活ができる「パラサイトシングル」の出現など、女性はいつまでも一人でいられ、亭主に苦労する必要のない選択肢が増えた。わざわざ結婚もしないし、海外へも出られるし、子供の養育や教育等への負担を考えればこれも避けてしまう(一昔前は日本女性と結婚することはひとつの理想といわれていましたが、今はどうでしょうか?これは男性社会のステレオタイプ的価値観ですが・・・)。その結果、出生率の低下は必死で、男女共同参画などはお題目になり、改革への政治的な力にはならなくなってしまった。だから改革が進まないという趣旨です。言いえて妙ですね。この本の英語のタイトルは「Race for The Exits」です。

さらに、優れたグローバル企業は、多くの規制やエネルギーコストの高い日本から海外へ出るという選択肢を行使できる。選択肢のない人たちや企業だけが日本に残るという、やや情けない社会ともいえます。これがグローバル時代の怖いところです。

ところで、女性のリーダーシップでは今年のForeign Affairs, May/June issueに面白い論文があります。2007/3/32006/1/28のブログで紹介したように、米国Ivy Leagueの8校の中で、Harvard、Princeton、Penn、Brownの4校ではトップが女性です。一方日本では、例えば国立大学の87校中、女性のトップはお茶の水女子大学だけです。さらにこの論文は、政治の世界では女性のリーダーはまだまだ少ないが、世界の多くのNPOのトップは半数以上が女性であること、そして、その意味合いと政治における意義についても述べていて、なかなか面白いものです。ご参考までに紹介します。

2007年7月

第21回 独創性を拓く「先端技術大賞」授賞式
日程: 2007年7月4日(水)
会場: 東京プリンスホテル

島田塾 第38回勉強会
日程: 2007年7月5日(木)
会場: ホテルニューオータニ ガーデンコート
演題: 「On Innovation 25」

交詢社講演
日程: 2007年7月6日(金)
会場: 交詢社
演題: 「大学病院革命」

東京大学医療政策人材養成講座 国際シンポジウム
トップ討論 「日米の医療政策の課題と展望」

日程: 2007年7月16日(月)
会場: 東京大学本郷キャンパス鉄門講堂
演題: 「日本の医療政策のこれから」

第25回天城学長会議
日程: 2007年7月20日(金)
会場: 日本アイ・ビー・エム株式会社 天城ホームステッド
テーマ: 「いま、大学はどうあるべきか~世界的視野に立って~」
講演録はこちら

イノベーション国際会議「GIES2007」、そして企画、監督、出演者の役割り

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去年の9月に第1回を開催したGlobal Innovation Ecosystemという国際会議の第2回を、6月29・30日に開催しました。会議のサイトはwww.gies2007.comです。1日目は経団連会館で、2日目は私が所属している政策大学院(GRIPS)での開催でした。企画は生駒、有本、石倉、私などで、全体を取りまとめる“監督(Director)”は、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の石倉洋子さんでした。1日目はまず私が「イノベーション25」についての報告を、座長という立場から話をしました。「日本語で、ゆっくりと、報告書についてですからね、余計なことは話さないでね」、という監督の指示に従って、時間きっちりでお話をしました。今日の私は「アクター」であって、アクターが勝手に台詞を変えたら舞台はダメになるからね、と私も言っていたのですが、出番の10分前までスライドの順序を変えたり内容を訂正したりして、結構神経を使いました。 皆がそれぞれの役をきっちりと務めてこそ初めて素晴らしい企画、舞台になるのです。スタッフの皆さんご苦労様でした。

私に次いで、Washington DCにある、例の「Innovate America」(通称「Palmisano Report」)を出したCouncil on Competitivenessの会長、Deborah Wince-Smithさんの力強い基調講演がありました。次に、日本学術会議を代表して北沢さんがなかなか味のある講演をしてくれました。これは日本語でしたが、スライドは英語と日本語の両方を使ったものでした。

その後はNew York Academy of Sciences会長のEllis Rubinsteinさん、産業再生機構のCOOを務めた富山和彦さん、日立の中村さん、インドからBagaloreさん(この人がまた面白い人で、共通の友人が多いことも分かりました)、中国からGuさん等が参加したパネルでした。石倉さんの軽やかで、洗練された素晴らしい司会進行で、テンポのいいパネルとなりました。このパネルも全て英語で行われました。会議のプログラム等の詳細や資料等は前述の「GIES2007」のサイトを見てください。 いずれ、ビデオでも見られるようになる予定です。お楽しみに。でもよく考えてみれば、北沢さんと私の講演だけが日本語だったのですね。

現場の雰囲気は、おなじみ出口さんのレポを読んでください。このレポでは、ロシアから帰ったばかりで、私の講演も英語だと勘違いしていたようで、後で訂正されています。成田から直行で会場にこられた帰国早々であり、私のPowerPointの資料も英語でしたので、すっかり私が英語でしゃべっていると勘違いされたようです。でもこれは英語の理解力が日本語と同じレベルで、「トランス」状態になっていたということですね。たいしたものです。

この会議の様子は、書くことでは「プロ」の出口さんのレポのほうが楽しめるので、今回はこの辺で。

Singaporeから、World Economic Forum on East Asiaに参加

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Slovenia、Parisと海外での仕事をおえて帰国し、一日日本で仕事をして、Singaporeに来ました。 毎年1月にダボスで開催される「ダボス会議」(World Economic Forum)のAsia-Pacific/East Asia会議に参加するためです。会議の様子は、World Economic Forumのウェブサイトでみることが出来ます。

ダボス会議の本会議は毎年1月にスイスのダボスで開催されますが、最近では日本でもかなり知られるようになりました。 私はこの6年間、毎年出席していて、会議の様子を何度か紹介しています(2007年2006年等)。この本会議以外にも世界各地で活動を展開しています。www.weforum.orgのサイトを参照してください。

このEast Asia会議は数年前から開催されていますが、日本では去年初めて、東京で開催されました。去年の11月にNew Delhiで開かれたIndian Economic Summitにも参加しましたが、今回は「Innovation “Mantra”」 というパネルに参加です。

このパネルの写真やビデオは下記のサイトで見ることができます。

写真:
www.pbase.com/forumweb/eastasia2007&page=11
www.pbase.com/forumweb/eastasia2007&page=12

ビデオ:
www.youtube.com/watch?v=ryOgSPKOQpY

日本からの参加者は竹中平蔵さんを始めとして、来年のG8サミットのシェルパを務める外務省河野経済審議官、 6/8にも紹介している竹内弘高さん、JETROの塚本さん、社会システムデザインの横山さんなど。皆さん私の知人、友人で、揃って論客です。また、若林環境大臣もご参加で、G8サミットでの日本の考えや立場を話されていました。これも大変よかったです。

帰国したら、早速、民主党の藤末さんがご自身のウェブサイトで紹介してくださいました

機会あるごとに、その機会をつかんで発信し、問いかけ、課題にrelevantな発言をする。そうして日本のプレゼンスをもっともっと上げていかないといけません。

会議に参加された皆さん、ご苦労様でした。

パリから、日本の広報意識の低さについて一言

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SloveniaからParisに来ました。素晴らしい町です。5月の初めにも来ましたが、ここは来るだけでうきうきします。しかし、ちょっと熱いですね、気温30度です。

日本国際問題研究所(JIIA)に、私の書いた記事“Challenges for Japan’s Scientific Community in the 2008 G8 Summit”が掲載されています(PDFはこちらから)

日本の政府は、国内、国外を通じて広報が下手で、とても損をしているということを指摘しています。なんでもお上頼みという意識がそんなことにしてまうのでしょうか。いや、民間企業や大学でも同じことですね。基本的に誰が責任を持っているのか、という意識が低いのでしょう。

3/13のブログ「Jeffrey SachsとMillennium Village Project」や、5/29のNews「住友化学の米倉社長とJ Sachs教授との日経での対談」などは、ささやかではありますが、世界で行われている日本の活動と貢献を広く皆さんに知ってもらいたい、みんなに自信を持ってもらいたいという、私の責任意識の表れなのです。

単に「モノをいわない」、「派手に自慢をしない」、「いずれ分かってくれる」というのはいいのですが、国の事業は国民のお金で行われている事ですし、もっともっと上品に、しかも効果的に、日常的にさりげなく伝えることが必要で、広報活動を戦略的に、上手に展開することは国家戦略として必須だと思います。もっとも、国民のお金であるという感覚が、責任者たちに欠けているところに大きな問題があります。対外広報戦略という意味では、日本人は不得手なのです。

長い間、「よらしむべし、知らしむべからず」が、日本の政府(「お上」)の精神的な基本方針でしたからね。最近の社会保険庁などの問題はその典型ではないでしょうか。人を馬鹿にするのにもほどがあります。政府のホームページを見ても、皆さんに見てもらう、読んでもらおう、なんて意識があるとはとても思えません。担当者にはいつも言っているのですが、やはり担当者では無理なのでしょう。基本的に役所は新しいことについては、できない理由ばかり言う人たちの集まりですから。

アメリカで最も偉大な大統領と多くの人が考えるLincoln大統領が、1861年に行ったスピーチの言葉、“Government of the People, Government by the People, and Government for the People”というのがありますが、この民主主義の基本精神は、今でも日本には定着していないと感じます。

皆さんはどのように考えますか?何ができるのかを考えて、すこしのことでも、ささやかでも、自分の周りから行動に移していくことです。

Chronicleから

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5月に英国のChronicle紙、David McNeillさんのインタービューを受けました。6月1日の「The Chronicle of Higher Education」に私の記事が出ています。 以下のような内容です。ちょっと長目ですが、我慢してください。

http://chronicle.com, Section: International, Volume 53, Issue 39, Page A37)

●Kiyoshi Kurokawa doesn’t mince words. As the government’s first handpicked science adviser, he wants to completely overhaul Japan’s higher-education system. And he believes he has the passion and ? at a sprightly 70 ? the energy to do it.
●"I stay young because I am so angry," he says in his Tokyo office, overlooking Japan’s parliament building. "I am almost exploding at the way the university system bangs down the nail that sticks up" ? a common Japanese proverb about the pressure to conform. "Our young people are not being allowed to excel."

出る杭をたたくのはいけないということです。

●Prime Minister Shinzo Abe apparently agrees. Last October he asked Mr. Kurokawa, a former University of Tokyo professor of medical science, to advise his cabinet on science issues and to chair the Innovation 25 Strategy Council, a panel of professors and industrialists charged with forecasting Japan’s science and technology needs until 2025.
●A key structural weakness, most agree, is the country’s universities, which struggle to generate cutting-edge research and, with few exceptions, languish far down the list of internationally ranked universities. The council published its draft report in February, and the scramble is on to influence policy.

大学の改革はグローバル時代を迎えて待ったなしなのです。

●Unlike the chairman, the report is light on specifics and heavy on rhetoric, particularly about the need for "innovation." But Mr. Kurokawa sees it as a vision statement to inspire change. "Politicians don’t understand detail, so my comments have to be succinct," he says. "I keep my message to the prime minister simple."
●His suggestions include a huge increase in spending on higher education ? currently just 0.5 percent of GDP, compared with 0.9 percent in the United States, according to Japanese government statistics ? and abolishing the inflexible one-day entrance exam that largely determines where one attends college in Japan.

一回の試験で多くの人の進路を決める「大学入試センター試験」なんてものはやめて欲しいのです。 国の教育予算は少ないですが、思い切った改革がなければ、予算のつぎ込みは逆に改革の足を引っ 張ることになりかねないです。

●He wants to force the big universities to teach 20 percent of their courses in English. Just a handful of the most prestigious private universities are even close to this figure. And he wants to send thousands of students on foreign exchange programs.
●For good measure, Mr. Kurokawa would boost the number of foreign undergraduates to 30 percent of enrollment, up from 9 percent now, and appoint more women to senior academic positions. He points out that just one out of the 87 national-university presidents in Japan is female. One of his key reforms when he was president of Japan’s Science Council was increasing the number of women among its 790,000 scientists.

一流大学がまず改革を示さなければ、何も起こりません。女性の思い切った登用も必要です。

Influence From Abroad
●Mr. Kurokawa’s educational philosophy was shaped by 15 years spent practicing and teaching in the United States, where he eventually became a professor of medicine at the University of California in Los Angeles. He says he was initially startled by the "flat" social relations of universities there.

●"I was expecting to be told what to do, but I was told by my mentor: ‘You are a kidney specialist, and if you think this is wrong, you say so. We are partners.’ That shocked me," he says.
●It was this experience that led him to diagnose what he calls the "fundamental defect" of university education in Japan: "The system here is so hierarchical."
●He wants to shake up the koza system, under which a senior professor dominates the intellectual life of each academic department and forces junior colleagues to wait years for promotion.

大学は将来の人材を育てるところです。

●"That kills creativity and innovation," he says. "It has to be reformed so we can nurture our talent." Universities could then become the drivers of new technologies and environmental solutions, he believes.
●It is an ambitious program, and, as he is first to recognize, blocking its way is the deep conservatism of Japan’s educational guardians. Education Minister Bunmei Ibuki recently said that the country should "treasure" the fact that it is "fundamentally, one ethos, one culture, one ethnic rulership, one language, one belief system."

タテ社会の大学では、創造性などというのはなかなか育ちません。

●Prime Minister Abe is cut from the same political cloth, but his natural conservatism appears to have been trumped by fear that Japan’s universities are trailing the rest or the world.
●Whether Mr. Kurokawa’s ideas gain traction remains to be seen. If Mr. Abe loses his bid for re-election this summer, then the former professor may no longer have a soapbox to stand on.
●When he is told how difficult it will be to open up Japanese higher education, Mr. Kurokawa says, he always brings up sumo wrestling, a once ultra-traditional sport now increasingly dominated by foreigners and popular abroad.
●"We want to achieve the sumo-ization of universities," he laughs. "That is my goal."

大学の大相撲化です。

●His aggressive ideas have won praise among some of Japan’s more innovative business leaders. But even they say it is hard to change the country. Mr. Kurokawa is not discouraged. "Revolutions sometimes happen slowly," he says.

改革というのはどこでも、どの分野でも、確かに大変です。「教育、教育、教育」、本当に日本を変えた ければ、これしかないのではないでしょうか。今の「教育」のままでいいとは誰も思っていないと思いま すが、委員会には昔を懐かしむ個人的な教育論的発言をする人が多いですし、教育の専門家もどの 程度、このグロ?バル時代の世界の動きを認識し、大局観を持って考え、発言し、行動しているのか? 若い人達のことを考えると、私はとても不安なのです。

以前、白洲次郎について書かれた本を紹介しましたが、その本の著者、北康利さんが今度は「福澤諭吉」について書いた本が出版されました。白州次郎も、福澤諭吉も、 当時の時代背景を考えてみても、本当にすごい人たちです。いま、こんな人がいるでしょうか。

Sloveniaから、G8科学顧問会議

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14日に沖縄を出発し、15日の朝にパリの空港に到着。一日早くパリ入りしていた内閣府の次田氏と合流して、Sloveniaの首都Ljubljanaへ。そこから迎えの車に乗って、空港から30分ほどのところにあるBledにやって来ました。緑の多いとてもきれいな場所で、日本でいう箱根のようなところです。Lake Bledという湖のほとりのVila BledというHotelにチェックインしました。このHotelは、SloveniaがまだYugoslaviaの一部であった時代に、Tito大統領が宿泊されたこともあるそうで、なかなかのものです。

Sloveniaは、Croatia、Bosnia、Kosovo、Macedoniaなどと共にYugoslavia紛争の場として覚えている方も多いと思います。Yugoslavia連邦の解体へと繋がるSlovenia紛争は、幸いなことに十日間という短い期間で終結し、ほんの少しの犠牲で、1991年に独立を果たしました。人口は200万程度。首都のLjubljanaの人口が30万で、そのうち5万人が大学生という、若い人の多い都市です。町は落ち着いていて、とてもきれいです。

Vila BledとBled湖の風景です。

写真1~4: Vila Bledと湖の風景

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ここに来たのは、G8の科学顧問会議(通称、「Carnegie会議」)に参加するためです。 この会議は、15年前にCarnegie財団の肝いりで始まり、年に2回開催されています。今もCarnegieの名前は残りますが、現在は独立した運営となっています。 元々はG7の会議でしたが、ソ連の崩壊でロシアが加わりG8になり、他にEUも参加しています。英、米、カナダ、日本からは首脳の科学顧問が出席し、EUなどからは科学政策を担当する大臣が参加。なので、国によっては教育担当大臣が参加しています。

今回のホストはEUの科学担当大臣(Commissioner)で、EUの科学技術CommissionerがSloveniaのJanez Potocnik氏ということもあって、この場所で開催されたのです。彼は経済が専門だそうですが、まだ若くてとてもてきぱきとした優秀な方です。EUの担当大臣を3年も勤めているのも頷けます。

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写真5:Bush大統領の顧問John Marburger氏、ドイツのAnnette Schavan文部科学大臣

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写真6:Marburger氏と

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写真7:ロシアのAndrei Fursenko氏、Schavan文部科学大臣と

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写真8:イタリアのFabio Mussi文部科学大臣(写真中央)

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写真9:英国のKing卿

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写真10:King卿、Potocnik氏のスタッフと

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写真11:Potocnik氏と

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写真12:カナダのArthur Carty氏と

(フランスから新任のValerie Pecresse高等教育科学大臣が参加されていましたが、日帰りで帰国されてしまったので、残念ながら写真がありません。)

ドイツで開催されたG8サミット(ハイリゲンダム・サミット)では、予想はされていましたが、ドイツのMerkel首相を始めとするEUと米国の間で、炭素排出量の目標設定で折り合いがつかない雲行きだったそうで(実際そのようだったようで、外務省の方、そして総理からも直接そのように聞きました)、休憩後に、安倍総理が「2050年に50%」という共通目標を提案したことによって、今回の合意となったそうです。この合意については英米の科学顧問から、大変感謝されました。国内の政局はそれどころではないので、この辺りについてはあまり報道されなかったようです(私もG8サミット期間中は国内にいませんでしたので、日本での報道は見ていません)。

案内をしてくれたシェルパの方、それから日本から随行してくださった内閣府の次田さん、ご苦労様でした。

次回のG8科学顧問会議は、12月に英国で、その次は来年4月のG8サミットを前に、日本での開催となります。

 

太平洋科学会議PSA、沖縄から

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Pacific Science Association(PSA)という、1920年に設立された80年の歴史を持つ学会があります。太平洋という地理的にも広い領域で、科学の様々な分野に関わっている学会です。4年に一度、学術総会Congressが開催され、その間にInterCongress Conferenceも開催されています。自然科学ばかりでなく、社会科学の参加も多い会議です。

6月13~18日に、その学術総会が沖縄で開催されました。前回はBangkokで開催され、その総会で、私が会長に選出されました。そのためこの4年間、色々とお手伝いしてきた経緯があります。琉球大学の森田学長、土屋理学部長、また沖縄の大学連合の皆さんや、日本学術会議など、多くの方々のお力で、ここまでこぎつくことができました。おかげで、アジア学術会 との合同の会議も3日間にわたって開催することができ、大変よかったと思います。この会議では秋篠宮殿下がご講演され、また最近では気候変動で世界的に大いに注目されているIPCCのPachauri議長も参加され、素晴らしい会議に発展しつつあります。Pachauriさんとは、色々なところでお会いしていて、日本学術会議関係の会議ではこの数年で3回ほどお招きしています。

PSA学術総会には高円宮妃殿下のご参加も頂き、流暢な「英国英語」(妃殿下はCambridge大学ご卒業です)で開会式のご挨拶をされて、3日間にわたって総会にご参加されました(写真1)。 妃殿下はBirdLife Internationalの名誉会長も勤められ、実に広い分野でのご造詣が深く、15日に行なわれたBiodiversityセッションのKeynote Lectureでは、皆さんが大変な感銘を受ける内容だったと聞いています。残念ながら、私は沖縄を去った後でしたので、この講演を聞くことができませんでした。開会式の後のレセプションでは、その気さくなお人柄と自然や生物等々に関する広い分野の話題で、多くの参加者が妃殿下を囲んでいました(写真2)。

Psa3_2写真1: 開会式での高円宮妃殿下のご挨拶。私の右は土居日本学術会議副会長。

Psa7写真2: 開会式のレセプションで、右から妃殿下、WHO西太平洋事務局長Dr Shigeru Omi、私、Harvard大学Calestous Juma教授

12日にはPSAの理事会、評議員会等が開催されました。無事に新役員も決まり、次回の2009年のInterCongress Conferenceは、French PolynesiaのTahitiで3月に開催する予定となりました。私は次回も参加する予定です。InterCongress ConferenceにはFrench Polynesiaの文部大臣もおいでくださいました(写真3)。多くの友人との再会もあり、また国連大学高等研究所と共催の「Science Policy」のパネルにも参加しました(写真4)。

Vancouverpsaslovenia007写真3: French Polynesia文部大臣ご一向。左から3番目が文部大臣。一番左はPSA事務局のBurke Burnett氏、私の右隣がPSA事務局長Nancy Lewis氏。

Vancouverpsaslovenia009_2写真4: 沖縄出発直前の私と友人達。左から、インド科学技術省Rao氏、途上国科学アカデミー(TWAS)事務局長Hassan氏、国連高等研究所Zakri所長、私、Harvard大 Kennedy SchoolのJuma教授、立命館アジア太平洋大学学長Cassim氏。

SloveniaでG8科学顧問会議が開催されるため、残念ながら、会議途中の14日の昼に失礼して、沖縄を飛び立ちました。

Vancouverから

St. PetersburgからVancouverへとやって来ました。以前にも何度かお話しているWHOのCommission for Social Determinants of Healthの会議が目的です。WHO神戸センター所長の岩尾さんもこられており、いろいろと相談に乗ってもらいました。

Commissionerの提言、「Statement」の大枠が出来上がってきて、いろいろな方の意見を聞くことが中心でしたが、とても厳しい、しかし大変参考になる意見を聞くことができました。このようなプロセスはとても健全です。

夜のレセプション(写真1、2)には、イヌイットの女性シンガー・アーティストのAnglukakさんが特別に来てくれました。とても有名な方だそうです。私は知らなっかたのですが、皆さんはご存知ですか?

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写真1: Commissionのメンバー
左からDr. Yan Guo(中国)、Prof. Frances Baum(Australia)、私、Dr. Monique Begin(Canada、元厚生大臣)、Prof. Sir. Michael Marmot(英国)

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写真2: 同じく左からDr. Hoda Rashad(Egypt)、私、Dr. Gegin、Dr. Giovanni Berlinquer(Italy)、Mr. Ricardo Lagos(Chile前大統領 去年の大統領選挙には規定により出馬できなかったそうですが、今でも人気は高いそうです)

次回の会議は、10月に北京で、そして急遽11月にNew Orleansで開催されることになりました。米国の状況をもっとよく見る必要があるのではないかということです。また、岩尾さんや、今度厚生労働省からWHO本部のAssistant Directorのメンバーになった中谷さん達の力添えもあって、最後の会議は、来年2008年1月に日本で開催されることに決まりそうです。

さて、来年2008年のG8サミットは日本が主催国であり、また、Africaの首脳を5年に一度集め、日本が国連や世界銀行などと開催しているTICAD(Tokyo International Conference for African Development)もあることから、これから日本は世界からの注目を集める絶好の機会となります。では、そこで広報戦略をどう考えるのか?それこそ「国家戦略」のあり方の問題なのだと思います。

Vancouverは落ち着いた、とてもきれいな町です。アジア系の人種も多く、聞くところによると人口全体の40%程度を占めるということです。そのうちの70%は中国系で、Hong Kongが中国に返還されたときに移ってきた人も多いそうです。

夜は、友人であり、Singaporeの生命科学研究の立ち上げに大変貢献した、Chris Tanさんと一緒に出かけました。次の日も一緒にアフガン料理を食べ、それからLas VegasのようなCasinoのある場所に行き、Natalie Coleのステージを楽しみました。60、70年代のスター、Nat King Coleの娘さんで、スクリーンに映し出されたお父さんとのduetは素晴らしかったです。

Casinoのお客さんは東洋人、特に中国系の人が大半でしたが、一方のNatalie Coleのショーには東洋人は極めて少ないというコントラストでした。