The Open at Turnberry

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石川遼君がTiger Woodsと予選ラウンドを同じ組でプレーしたので、今年の第138回全英オープン “The Open”(1860年に始まる明治維新の直前ですね)を夜遅くまでテレビをご覧になった方も多かったでしょう。残念なことに2人とも予選通過できず。Tigerは調子が狂ってしまったのでしょうか?

今回のコースは名門リンクス「Turnberry」です。The Openの開催は4度目。9番と10番ホールに建つ白い灯台は、このリンクスのシンボルマーク。1977年には今回大活躍したTom WatsonがJack Niklausとの激闘を制し、彼としてThe Open 2度目の勝利を飾った場所です。

前回TurnberryでThe Openが開催されたのは1994年のこと。Nick Priceが優勝しました。

ところで、私もここでプレーしたことがあるのです。それも1994年7月、まさにThe Openの1週間前でした。

早朝、Glasgowのホテルを友人と出ると、7月とはいえまだまだ寒い。強い雨に強い風。厚手のセーターを着込んで出かけました。運転手さんに「この天気でゴルフできるの?」と聞くと、「これがゴルフをする天気だよ」といわれました。かし、車で1時間ほど、うれしいことにゴルフ場につくころにはいい天気になりました。

皆さんもテレビでご覧になったとおりの難コース、ラフの草、とにかく難しい。いくつ叩いたか記憶にありません。ロストボールもいくつあったことか。The Open自体は、日本に戻ってからニュースでみました。

ところで今回のTom Watsonは素晴らしかったですね。プレーオフは本当に惜しかったです。もちろん、還暦まで2ヶ月でメジャー優勝なんて大記録。またThe Openの6度の優勝は19-20世紀にわたるHarry Vardonと並ぶ最多勝利のタイ記録だったのですから。

私の好きな「COEDO」ビール

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COEDOビールは「小粒でピリリ」とでも言いますか、とても「おしゃれ」なブランドです。

COEDOとは「小江戸」。そう、埼玉県の川越のことですね。そこで造られるCOEDOビールです。

とにかくウェブサイトを見ても、これがおしゃれ。ゆったりと流れるような雰囲気、英語版もバッチリ。

5種類、5つの色のビール。「瑠璃 -Ruri」「紅赤 -Beniaka」「伽羅 -Kyara」「白 -Shiro」、そして「漆黒- Shikkoku」。

味はそれぞれ特徴があって、色も違う、ラベルも素敵。「あなたのお好みは?」と問いかける風情。時と場合によっても、好みは変わりますよね。

受賞歴も素晴らしいものがあります。感動的でさえありますね。はじめから世界で認められることを狙う戦略。そして、2007年度のモンドセレクションで特別金賞2つを含む、5作品全部が受賞という快挙。2008年度に銀賞の2つは再チャレンジしたもの。これで特別金賞が「瑠璃」「紅花」「漆黒」の3つ、「伽羅」「白」の2つが金賞です。こんな受賞歴のビールが他にあるでしょうか?誰か教えてください。

今年は世界で最も権威のある食品コンテストの1つ「iTQi コンテスト(International Taste and Quality Institute)」で、「紅赤」が最高位三ツ星、その他の4つが二ツ星を受賞。さらにクリスタル賞も受賞。

パッケージデザインも、ビンのデザインでも受賞。

とにかく“差別化”で勝負。ターゲットを絞ったブランド戦略。

グローバル時代のイノベーションの代表的な事例です。

朝霧社長とCOEDOのみなさん、2008年度もおめでとう。素敵です。

インドIIT学生の日本での研修

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ASIMO Demonstration@Honda Aoyama Welcome Plaza from Kihoko Suda on Vimeo.

Indian Institute of Technologyといえば、インド屈指の名門大学で、世界で活躍する多くのリーダーを輩出しています。

そこの優秀な学部学生を対象に、本田財団による“Young Engineers and Scientists”が2007年から開催、表彰されています。インドでは毎年5人が選ばれますが、去年の表彰式で私とIPCCのPachauriさんがお祝いのスピーチをしたことはこのブログでも報告しました。

その後4人の受賞者を日本に招き、2ヶ月間の研究と研修に従事してもらいました(参考)。インドの若者が日本を知り、好きになり、“日本大使”の役割をすることにもなるのですから、とても素晴らしい企画だと思います。日本の学生にも、この反対のことを積極的にさせたいものです。

今年は5人の受賞者全員が日本で2ヶ月を過ごしました。2人は岡崎自然科学研究機構で遺伝子工学を研究し、2人が宮崎市と埼玉県の朝霞市にあるホンダの研究所、そして1人が芝浦工業大学で過ごしました。違う国の研究環境や町の環境。違う価値観、正確な電車に親切な人達など、皆さん、本当に感激の2ヶ月間だったととても喜んでいました。

帰国前にホンダ財団の方々、GRIPSの角南さん、そしてIITの学生さん(1人は参加できませんでした)とお別れの食事会を開催しました。今年の6月に行われたIITの卒業生たち等との交流でお会いした方たちも3人ほど参加して、大変盛り上がりました。

若いときの異国、異文化との出会いはとても大事な財産です。人生の価値観、選択肢が広がります。“フラットな世界”の中で“Connecting Dots”となる可能性もとても大きいのです。

本田財団の方々、学生の指導にあった先生たち、その他関係者の皆さん、本当にご支援ありがとう。

 

佐藤可士和さんの事務所訪問

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佐藤可士和さんはUNIQLOのNYCのフラッグシップ店をはじめ、実にユニークで斬新なデザインから、最近ではプロデュースまで手がける、いま最も注目されている(なんと言ったらいいのか・・・)アートデザイナー、クリエイターです。

彼の作品はご自身のウェブサイトで見ることができるようになっています。このサイト制作の話も伺いました。

著書「佐藤可士和の超整理術」はプロとして本質を突く面白さがあり、読まれることをお勧めします。顧客との関係では、医師と同じ“ドクター”だと書いています。最近では 「佐藤可士和×トップランナー31人」や、彼について書かれた「SAMURAI 佐藤可士和のつくり方」などの本が出ているので、Amazonで調べてみてください。

写真:彼の本とサイン

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実は、紹介してくれる方があって、私の事務所のすぐそばにある彼の「SAMURAI」事務所に出かけました。本に書いてあるとおり、キチ―ンと整理された事務所。椅子が実に正確に並べられている会議室。色調もきれいで、1時間ほどを過ごしました。

まったく他の分野の一流の人に会うのは楽しいものです。学ぶところがたくさんあります。

アーティストでは、最近お会いしたアカデミー賞の加藤久仁生さんも、とても魅力的な人です。

「ノーベル賞とアカデミー賞」対談のその後

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先日、このタイトルにある魅力的な対談の司会をするという機会に恵まれたことをお話しました。

この対談の内容が「週刊ダイアモンド」誌に掲載されましたので、紹介します。(PDF

田中さんと加藤さんお二人の意見や考え方など、楽しめると思います。そして私の「時代の変人が社会を変える」という主張も含まれています。

このブログで「変人」というキーワードでサーチしてみてください。繰り返し、この主張が出てきます。

米国内科学会日本支部

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この米国内科学会日本支部というのはなかなかユニークなものです。なぜ米国内科学会(American College of Physicians- ACP)日本支部があるのか?これについては以前にもご紹介していますので参考にしてください(参考12)。

2004年春の設立以来、ACPの会長の参加も得て、総会を開催しています(活動報告はこちら)。私も設立から関わっており、あと1年ほどGovernor支部長を勤める予定です。

この総会は国内のものとはちょっと違っていて、上下関係があまり感じられないところに特徴があります。これは特に若い人たち、医学生や研修医たちから言われることです。

去年の報告はこのblogでも。

今年の総会は、日本内科学会の協力を得て、4月に東京で開催されました。女性医師の活動や症例検討などに活発な議論が盛り上がり、若い人たちの熱気が感じられた会でした。会場の雰囲気はこちらでご覧下さいまた、去年の総会の報告もこのブログで紹介していますので、見てください。

さらにその2週間後には米国PhiladelphiaでACP年次総会もあり、多くの会員が忙しい中を参加していただけました。

これらの一連の活動報告ができあがりましたので、興味のある方はぜひ目を通して、会の活動状況や多くのメッセージ、写真なども楽しんでください。

グローバル時代のイノベーション

今年の2月、学士会の午餐会「グローバル時代のイノベーション」という講演をさせていただきました。学士会会報 877号(平成21年7月号)に掲載されています。お時間のあるときに、目を通していただけるとうれしいです。

この10数年ほど、世界中で「イノベーション」政策が大流行。私の話しぶりからScienceのインタビューでは「’Innovation’ Mantra」(お題目としてのイノベーション)というタイトルをつけてくれました。「言いえて妙」です。

世界中がどんどん変化していますが、さて日本はどうでしょうか?皆さんのご意見はいかがでしょう。

知的な刺激に満ちた2日間、Azimiさん、宮川さん、池上さんと

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先週の金曜日(6月26日)、広島へ行ってきました。

UNITAR広島事務所の初代所長として6年の任期を勤め上げたNassrine Azimiさん参考)の最後のRoundtableです。「多様性Diversity」をテーマに、MITの宮川繁教授と私が講演をしました。会場は広島平和記念資料記念館の講堂です。この6年間にわたって素晴らしい活躍をされたAzimiさんのファンが大勢集まり、夜はAzimiさんのスタッフたちと、くつろぎながら食事をしました。

講演の様子や資料などの詳細はUNITARのサイト中国新聞に掲載されています。

翌27日は、Azimiさん、宮川さんと3人で安芸の宮島を散策しました。

夕方に帰京。MITの宮川さんに加えて、同じくアメリカで活躍する池上英子さん参考)と楽しく夕食を共にしました。

宮川さんはMITのOpenCourseWareを開発した責任者の一人で、ネット時代の大学教材のありかたを示した方です。また、日本でもよく知られる「敗北を抱きしめて Embracing Defeat」のJohn Dower教授Visualizing Culturesという、きわめてユニークでとても刺激的なコースを提供されている先生です。ペリーの来訪、日露戦争、広島の原爆の被害、資生堂等々が使われています。ぜひこれらのサイトを尋ねてみてください。

池上さんはこのブログで何度も紹介している名著「名誉と順応-サムライ精神の歴史社会学 'The Taming of The Samurai'」、最近では「美と礼節の絆-日本における交際文化の政治的起源 'Bonds of Civility: Aesthetic Networks and the Political Origins of Japanese Culture'」という日本文化史考察の2つの大書を著している方です。メールで交流はありましたが、お会いするのは今回が初めてでした。この2冊とも原作は英語(それぞれHarvard University Press, Cambridge University Pressです)なのですから、すごいことです。

とてもとても知的な刺激に満ちた、充実した2日間でした。

素敵な計画「Grameen Change Makers Program」

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早稲田大学2年生の3人とそのお仲間達が、去年の暮に訪ねてきました。彼らはバングラデッシュを訪問し、その状況に愕然として、「自分たちで何かできないか、そこから日本を変えたい。僕たちはやりますよ!」と。

彼らは、再度バングラデッシュを訪れて、多くの人たちと知り合い、1人は1年間大学を休学して現地で活動を始めました。この1人とは都合で会えなかったのですが、残りの2人が報告を兼ねて来訪されました(彼等のblogはこちら。写真つきで熱い内容です)。

いろいろと計画を進めていますが、その一つが「Grameen Change Makers Program」です。素晴らしい行動力、構想力、実行力です。現地の体験からの発想と、日本への思いがよく出ている計画です。一橋大学の米倉誠一郎先生にもずいぶんアドバイスを頂いているようです。

ここでのポイントは、「現地での体験が大事」ということです。ここから自分の中にある何かに気がつくのです。それでないと現地に意味のある貢献ができないのです。前に書いたコラムでも指摘したところです。

また、大学を1年休学するということも、とても素敵なことです。私は、多くの学生に、学部生の時に1年間の休学したり、交換留学をすることなどを勧めています。大学も休学する学生からお金を取ることもないでしょうが、むしろ大学も、国も、少々の応援資金を出すぐらいのことを考える時だと思います。企業が奨学金を出すのもいいことだと思います。このような若者の交流こそが、日本の将来を作る人材育成には欠かせない、決定的に大事なことです。

この「Grameen Change Makers Program」へ多くの若者の参加と、皆さんの応援をお願いします。大学も、企業も。

もっともっとこのような活動を広げることにこそ、日本の未来がかかっているのです。