福島高校へ出かける

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今年の3月10日に福島原発事故から5年のタイミングで出版した「規制の虜」1)を読んでくれた方たちに誘われて、福島県立高校へ行って来ました。

福島高校は県立安積(あさか)高校とともに福島県ではトップの進学校です。ちなみに安積高校は、福島原発事故の国会による事故調査委員会の報告書の「はじめに」に引用した「日本の禍機」を著した、朝河貫一先生の出身校。朝河博士は日本人で初めて欧米の主要大学の一つ、イエール大学の教授となった人物です。

全校生徒960人ほど、先生、父兄、また近くの方たちも参加して、室内体育館で私の話と質疑で約2時間、みなさん熱心に聞き、活発に質疑をしてくれました。

そのあと、10人ほどの学生たちと私が車座で、他の皆さんもその周りを囲んで討論。初めの発言は一年生、「黒川先生の意見ですが、私は違っていると思います」と。私が「いいねぇ、それはどこ?」で始まりました。本当にいいですね、このようなやり取り。

この後、さらに希望者たち30人ほどと、更に90分近く討論する時間を持ちました。

この午後の半日はとても楽しい時間でした。みなさんもハッピーそう、先生たちも。

ところで、今回の訪問では福島原発の事故当時、相馬高校で教鞭を取っていて、2年後の2013年に相馬高校から東大に入学した「いなむらたける」君の先生だった松村先生にもお会いできました。

この年、震災で大きな打撃を受けた、岩手、宮城、福島の三県から東大に入学した生徒は、三県とも「進学校」といわれる各県の二つの高校からだけでした。「いなむら」君だけがただ一人の例外でした。

この2013年の東大の入学式では、私が祝辞を述べる栄誉を受けました。そのお祝いの式辞のはじめの部分で私は、「いなむら」君と松村先生のことに触れたのです1)。

特に「いなむら」君とご両親は(そして松村先生は多分、後でこのことを聞いて)驚いたことでしょう。まだ会ったこともない私が、祝辞のはじめに突然に自分の名前を呼んだのですから。これは本当に「想定外」のことでしょうね。松村先生には事前にお電話をさせて頂いて、ちょっと「あること」だけを確認させていただきましたが...。

そんな思い出を持っていたものですから、松村先生に初めてお会いできたのは本当にうれしいことでした。

さらに日本のトップの進学校のひとつである灘高校で教鞭を取っていた前川先生。この方も東北大震災の後に灘高校をお辞めになり、福島で教育活動をしていることを知っていました。ですから、前川先生にもお会いできたのはとてもうれしかったのです。

この福島高校での一日は、私が委員長を務めた「国会事故調」の宇田統括の右腕を務めてくれた石橋哲さんがアレンジしてくれたものです。石橋さんは「国会事故調」が終わった後も大学生、高校生と一緒になって、考え、行動する若者たちの支援をしています

翌日の現地の新聞にも、この訪問についてちょっと書いてありました。

素晴らしい人達との素晴らしい一日でした。


いろいろな集まりと出会い

このところ若い人たち、素敵な女性たちの集まりなどに続けて参加する機会がありました。

一つは、女性ばかりで企画・運営している(たまたまなのですが)、ワシントン・ベースの女性たちが始めた企画です。事業で大成功したDr. Sachiko KunoとCSISを拠点にして活動している日本医療政策機構理事の村上博美さんたちが始めた活動です。去年の第一回もパネルにも参加、応援させていただきました。今年の企画も若い女性の活動を支援するワークショップという趣旨で、Dr. Kunoに加えて、シリコンバレーで活躍するAri Horieさんの参加がありました。参加された皆さんがとても元気で良かったです。

もう一つの女性中心の会は、例年のことですがロレアル女性科学者奨励賞の授賞式で、フランス大使公邸で開催されました。3人の素敵な女性科学者、北村未歩さん、田仲玲奈さん、丹治裕美さん、今年はみなさん東京大学でしたね。また特別賞としてMITメデイアラボ で活躍している科学者アーティストのスプツニ子!さん(1)。大使館のレセプションもおしゃれでした。

土曜日の午後は、この秋からUCLAの学部に留学する何人かの若者たちを送り出す応援の会。代官山のちょっとおしゃれな店でした。

その間にも、グローバル世界のなかで、とんでもない大きなことを考え、しかしとても素敵な企画の相談にこられた女性にもお会いしました。

若い人たちではないのですが、先日のアムステルダムでのご縁があり、オランダ大使館でのオランダと日本の交易の会(DUJAT)のお招きを受けて、いろいろご意見を伺う機会がありました。なんといっても話題はBrexit。レセプションでは私の中高同窓の山本学さんもご一緒でした。DUJATの事務局長 Radboud Molijnさんの日本での人生の始まりは、数十年まえに山本さんにお世話になったのが日本で活動することになったご縁だったのです。

そして都内某所で〇〇さんのお誕生日を祝い、数人でディナー。いくつもの素晴らしいワインで時間の過ぎるのを忘れそうになりました。


台北、英国ロイヤル・バレエ団、そして英国大使館で講演

More → The Royal Ballet ”Giselle”

6月は台北で開催されるPacific Science Association(PSA)に出席。10年ほど前に会長に推挙されて、皆さんのおかげで、沖縄タヒチフィジ-クアラ・ルンプールなどでの会議を指揮し、また応援、参加しました。小さいながらも楽しい思い出の詰まった学会の一つです。

台北から帰宅すると、ロンドン訪問中の友人から突然連絡があり、「英国のロイヤル・バレエ団が日本に訪問するのだが、その時に熊本の災害について何かしたいと言っている」という相談を受けました。

早速ロンドンの日本大使館の鶴岡大使と加藤公使に連絡するよう伝え、2日後に帰国したその友人と会いました。ちょうどその日がロイヤル・バレエ団の東京公演の初日でした。何とも突然のことなのです。その友人の話では、ロンドンの日本大使館で、大使、公使ともすぐにこの友人に会って、話を聞いてくれたそうです。感謝、感謝です。

日本学術会議のころから存じ上げている熊本県知事の蒲島さん(素晴らしい、異色の経歴です…)に電話をして事情を話したところ、熊本にもバレエ団があることなども話をしてくれ、すぐに対応をしてくださると言ってくれました。後はこの友人にフォローしてもらいました。

24日(金)はロイヤル・バレエ団の東京の最終公演、ジゼル(Giselle)を観に行くことになりました。そこではバレエ団の関係者の方々が歓待してくださり、素敵な時間を過ごすことができました。

その後の福岡公演を利用して、バレエ団の数人の方が熊本を訪問され、福岡公演のリハーサルには、学生さんとその父兄、さらに熊本バレエ団など、90人を超える方たちが参加する機会を設けてくださり、皆さん楽しい時間を過ごしたそうです。

この思いがけないロイヤル・バレエ団のプレゼントは、震災で大変な時の熊本でのちょっとした明るい話題になったようです。その時の記事をいくつか紹介します。蒲島知事もお喜びだったのではと思います。

朝日新聞:http://www.asahi.com/articles/ASJ6W52W7J6WTLVB007.html

毎日新聞:http://mainichi.jp/articles/20160628/k00/00m/040/056000c

時事通信:http://www.jiji.com/jc/article?k=2016062700737&g=soc

熊本日日新聞:http://this.kiji.is/120725549115424776

The Royal Ballet:http://www.roh.org.uk/news/the-royal-ballet-run-workshops-to-inspire-children-in-japanese-earthquake-zones

翌週には、東京の英国大使館で「多剤耐性菌とワクチン」の講演会のパネル(英国大使のスピーチが日本語でしたので、私も日本語で開会の挨拶をしました)に参加。大使、公使にも、ロイヤル・バレエ団の件のご報告とお礼をお伝えしました。

”Brexit”という世界に衝撃を与えた英国国民投票の前後だったのですが、とてもうれしい出来事でした。

こんな民間外交もいいものですね、関係者のみなさんに喜んでいただけて。


お知らせ

日本経済新聞社が主催する『日経エデュケーションチャレンジ 2016』が7月26日に都内で開催されます。私もサポーターとしてこのプログラムを応援しています。
現在、参加高校生を募集しておりますので、興味のある方は是非こちらをご覧ください。

http://adnet.nikkei.co.jp/a/edu/index.html

 


お知らせ

書籍「規制の虜」の書評を山内昌之先生が書いてくださいました。
 
「一流の組織経験者に学ぶグローバル思考。」(「東京人」2016年6月号 134ページ~135ページ)
 

これまでに「規制の虜」を取り上げてくださった記事はこちらです。