思いがけない出会い

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先日、ダボスからの第4報で、最終日の夜に行われたコンサートで、世界的なViolinistの諏訪内晶子さんが素晴らしい演奏を世界のリーダーの皆さんに聞かせてくれたことを書きました。帰国してしばらくして、突然、諏訪内晶子さんからメールが届き、「ダボス会議での演奏会にいらしていただいたことを、ブログで知りました。今度日本で公演しますので、是非お招きさせてください」と。うれしいやら、びっくりです。

そのYury Bashmet(conductor and Viola) and Moscow Soloistsの公演が12日の夜、Suntory Halllで行われ、家内と一緒に素敵な演奏を一晩楽しみました。ダボスで何回かお会いしているUNIQLOの堂前さんもいらっしゃっていましたし、皇太子殿下もお見えになられていました。

曲目は:
1. JS Bach: Brandenburg Concert No 3 in G major BWV1048
2. WA Mozart: Sinfonia Concertante for Violin, Viola and Orchestra in E flat major K364
3. WA Mozart: Violin Concerto No 2 in D minor K211
4. Bruch: Kol Nidrei Op 47 for Viola ad Orchestra (version with strings)
5. WA Mozart: Serenade No 13 in G major ‘Eine Kleine Nachtmusik’ K525.

諏訪内さんは2曲目と3曲目。BashmetさんはViolaで2曲目と4曲目を演奏されました。

公演が終わって楽屋を訪ねましたが、諏訪内さんのお母様とは以前お会いたことがあって、その時に晶子さんにもちょっとだけお会いしていたことがわかりました。

blogの効用はありますね。思いがけない楽しい夜、そして嬉しいつながりができました。

2008年2月

財団法人大阪バイオサイエンス研究所 創立20周年記念シンポジウム
日程: 2008年2月7日(木) 17:10~18:00 ※公開講演会含む
演題: 「これからの時代、何が違うのか?」

日経環境シンポジウム「経済と環境の共生を実現するグリーンIT投資」
日程: 2008年2月22日(金) 13:00~14:00
演題: 「地球温暖化、環境技術、そして日本」

日本経済‐長くゆっくりとした下り坂

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2月3日(日)のワシントンポスト誌に「日本にとっては長くゆっくりとした下り坂:生産性と人口の低下が経済成長を逼迫している」とありましたが、これは最近の日本に関する特集記事や日本や諸外国で発行されているさまざまな書籍とも関連しています。日本が活力のある経済を取り戻すには改革を力強く推し進めなくてはならないことは明らかであり、残された時間はわずかです。政治の舵取りは今大変かもしれませんが、それでもしっかり行わなくてはなりませんし、ビジネスはコアコンピタンスにフォーカスし、まさに「act globally」する必要があります。日本のビジネス界では60年代のソニーの盛田さんのような存在がもっと必要ですね。

ダボスで「日本:忘れられた大国?」というセッションがあったのですが、モデレーターもパネリストも全員日本人だったことに違和感というか居心地の悪さを覚えました。過去の似たようなセッションには必ず外国人の専門家が含まれていたものです。私はセッションの最後の方に参加したのですが、部屋にはほんの数人の外国人しかいませんでしたし、使われている言語は明らかに日本語でした。(もしかしたら私が部屋に入る前に誰かが英語を使われていたのかもしれませんが・・・)しかも話されている内容がグローバル社会における日本の役割よりも女性の活用や移民政策など国内のことばかりでした。国内のことだったら日本で議論すればいいのではないでしょうか?

名目GDPで見ると日本はまだ世界第二位の経済大国とはいうもののグローバル社会からは身を引きたいつもりなのでしょうか?少なくとも私にはそう見えます。

ダボスから、その4

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ホテルの部屋の窓から見た朝の風景(写真1)。真ん中の遠くにとがった山、これはマッターホルンに似ていますが、Tinzenhornといいます。

1img_1077写真1

会議はいよいよ最終日。総理が朝に到着して、Gates、Blair、Bono等と会談。11時30分からは大ホールで講演があり、壇上にはこの会議を主催するSchwab教授とBlair英国前首相もあがられました。私はといえば、Bonoと彼のスタッフ等と最前列に座りました。やはり、総理はかなり緊張されていたようで、どうしても話し方が早くなりがちでした(写真2)。私は英語で聞いていたのですが、英語訳は原稿があるのでどうしても遅れがちです。講演の内容は良かったと思います。あとは政治家の演説として、うまく編集すればもっとよかったでしょう。Blair氏から3点、Schwab氏から2点ほど質問がありました(写真3)。NHKでもテレビ放映したそうですね。友人から早速メールが入りましたが、皆さんはどう思われましたか?

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写真2

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写真3

総理の演説が行なわれる直前、この大ホールで行なわれたパネルが世界経済の動向に関するもので、超満員。Clinton政権時代の財務長官で、Harvard学長でしたが女性差別失言で学長を退任した超優秀経済学者のSommers氏などが参加されましたが、皆さんに明るい見通しは持っていないようです。このパネルからの流れで、世界経済動向についての質問が総理にあったのですが、パネルのムードとはちょっと違うコメントになってしまったのも致し方ないでしょう。こういう場では臨機応変も問われるのですが、サポート役にはとても余裕がなかったのでしょうね。日本の総理が会議に参加したのは、確か2001年の森総理以来ですから、それだけでも大変に意味がありました。総理もサポートの皆さんも本当にご苦労様でした。5月のTICAD、7月のG8と、国民のためにも、皆さんしっかり頼みますよ。

この後、総理はビジネス関係者の方たちとの昼食会。随行記者やCNN等のインタビューに答えた後、すぐに帰国の途へ着きました。

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写真4 奥田さんと

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写真5 会場で、左から氏家さん、日本碍子の柴田さんご夫妻、奥田さん、私、竹中さん

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写真6 会場で仕事をする私

夜は、ホテルで東京レセプション。石原都知事は来られず、猪瀬副知事がホストでした。その後は会議場でコンサート、諏訪内晶子さんがメインで、Bruchの「Concert, No. 1」とムソルグスキーの「展覧会の絵」でした(「展覧会の絵」を最後まで聞いたのは始めて)。諏訪内さん、素晴らしかったです。これは私の持論ですが、世界の日本人では一般的には女性が輝いています。「個人」としての存在では、男性と比べると断然存在感が違うのです。特に日本では多くが「組織の肩書きあっての男性」たちですから。ダボス会議での“日本の顔”といえば、いつもそうですが、なんと言っても緒方貞子さんなのです。

コンサートの後はソワレ。今年はトルコが主役で、トルコ料理ずくしでした。

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写真7 出井さん、竹内弘高先生ご夫妻、Schwab会長と

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写真8 出井さん、竹内弘高先生ご夫妻、MITメデイアラボのデザインで有名なジョン・マエダ教授

マエダさんはMITでTenureのある超有名教授ですが、これまた冒険で、Rhode Island School of Designの学長を引き受け、6月から移るそうです。いいですね、この精神。こういう人が何人も出てこないと日本の研究も、大学も活性化しませんし、学生、若者も元気は出ませんよね。いつも言っていることですが“個人力”ですよ。

ダボスから、その3

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25日は朝早くからゲイツ財団のDr. Tachi Yamadaと2月に行う東京での会議の打ち合わせ、そしてこちら側の打ち合わせと忙しい午前でした。

午後はイノベーション関係のセッションと、プレナリーの「開発のドライバー」の最初の少しだけ出席。昨日紹介したMs. Nooyi(Pepsi社長)の司会で、Bill Gates、Gordon Brown英国首相、Zoellick世界銀行総裁、Treschow Uniliver会長、そしてTrevor Manuelで行われていました(写真1、2)。

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写真1 左からGates、Brown、Nooyi、Zoellick、ManuelとTreschowさん

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写真2 司会のNooyiさん。

最初のちょっとだけというのは、緒方貞子さんとBono(写真3)、それと日本の有力者で、Africa開発、TICAD、G8サミットと世界からの期待に対して、どのように日本の意識を国内外に示し、行動に移せるか、というテーマで応援団的なセッションがあったからです。トヨタの奥田元会長、塩崎恭久さん、川口順子さん、UNESCOの松浦事務局長、小宮山東大総長などが参加されていました。昨日もBonoのスタッフと会って話しましたし、これからもいろいろと協力し合うことになると思います。Bonoは緒方さんをとても尊敬していて、Africaにおける日本のODA活動は長い歴史があり、欧米のそれとは違って、とても上手くいっていることなど、よく知っています。今年は日本にとって大事な年で、そこに何ができるか、実に真剣に考えています。しかし、いろいろな活動があるものですね。教えられることも多いです。日本で行ったコンサートでは3日間で12万人が来てくれたとか(コンサートでもいろいろな工夫を仕掛けていたようですね、後で聞きました)、皆が何が出来るのか考え、とても情熱を感じるけど、でも政治のレベルでは内外に知られていないことなど、考えてくれていました。

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写真3 会議前のBonoと

また、BonoやGoreをサポートしているSun MicrosystemsのJohn Gageも参加していました。彼とはこの4年ほど、毎年ここダボスで会っています。

皆さんも考えてくださいね。一緒に広い世界へ思いを広げて活動しましょう。

去年の報告にも写真をつけて紹介したGoogle創始者のLarry Page(気候変動やglobal healthなどにもとても関心が高く、Google Foundationも立ち上げ活動しています)、そしてYouTubeのSteve Grove(写真4、5)ともばったり。

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写真4 Larry Page、Steve Groveと

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写真5 一ツ橋大学の竹内弘高さん、ダボス会議のWorld Economy Forum事務局の土屋君、Larry Page、Steve Groveと

(土屋君とSteve GroveはHarvard Kennedy Schoolで一緒だったそうです。だから面白いのです。個人力ですよ、グローバル時代の価値は。)

今夜、総理がZurichに到着されます。明朝、当地に入られ、Blair、Bono、Gates等と会談、そして演説。その後は財界の方たちと昼食と、スケジュールがみっちり詰まっているそうです。演説の原稿を総理自身が本当に気に入っているのか、個人的にはちょっと懸念はありますが、準備された皆さんご苦労様でした。結果は世界の評価です。さて、日本ではどう報道されるでしょうか?外では?表に出ない評価は?

夜は、ASEANのレセプションで沢山の人たちと会いましたが、結局いつものメンバー、Victor Chuさん(彼はどこに行っても顔が広い。仕事とはいえ海外は1年のうち250日以上のようです。すごいエネルギーですね。)とJohn Gageとで隣のホテルのバーへ。そこでHarvard Business SchoolのMichael Porterが合流して楽しい時間をすごしました。これがダボスの楽しさです。

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写真6 Chuさん、Gageさんと

夜11時から、インドが主催する“Bollywood Party”に来てくれと誘われていますが、さてと・・・。

ダボスから、その2

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第1日目の最後に行われた基調講演は米国のRice国務長官でした。今のアメリカとこれからの世界とアメリカの責任について、明確なメッセージをゆっくりと、堂々と話されました。その後、Blair、Kissinger、J. Dimon(JPMorgan and Chase)、KV Kamath(ICICI Bank、India)、IK Nooyi(Pepsi、有名なインドのIIT出身の女性・・・日本の企業で想像できますか?)、DJ O’Reilly(Chevrons)、Wan Jianzhou(China Mobile Communications Corporation)等、世界中の政治、ビジネスのトップが壇上に上がり、いくつかの質疑応答があり、Riceさんの対応も立派なものでした。これが世界なのです。大勢の見ている前での応答です。

今年は特に参加者が多く、しかも国家元首が20人以上こられるそうです。第1、2日目だけでも、Karzai (Afhjanistan)、Musharraf(Pakistan)、Yushchenko(Ukraine)、Simon Perez(Isreal)等々、さらにAl GoreやBill Gatesです。

日本は2001年の森総理以来でしょうか、福田総理がこられます。TICAD、G8サミットのホストとして世界が期待しています。どのようなメッセージを発信されるでしょうか。役所の文章からはるかに離れた、世界第2の経済大国としての首脳に相応しい格調高いパンチの効いた演説であることを期待しましょう。「政治家は言葉」ですからね、国内はともかくとして。海外プレスへの戦略的対応も大事です。

緒方貞子さんは言うまでもなく日本を代表する国際人ですが、竹内弘高、石倉洋子の一ツ橋ビジネススクールの国際派、また竹中平蔵さん等々が、いろいろなパネル、司会などで大活躍です。WorkSpaceというbrainstormingセッションでも、竹内さんの司会は皆を楽しませながら話を進める、いつもながらの腕前です。これはちょっとまねができませんね。

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写真1 会場で鳩山さん、藤崎大使と

夜は東大・慶応大のホスト、帝人・双日の支援で、Japan Sushi Receptionがあり、多くの政治、学会、ビジネスに携わるお客様が大勢こられました。このような催しは財界が率先してすべきですね。ここはあくまでも世界経済フォーラムなのですから。

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写真2 Japan Receptionで
武田製薬の長谷川さん、インドの有名な政治学者で友人のChallaneyさん、経済同友会の桜井さんと

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写真3 NHK「Close-Up現代」の国谷さんと

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写真4 北京大学長と

政治家では中川秀直、尾身幸次、鳩山由紀夫(小沢一郎党首がこられなくなったそうで)、塩崎恭久、古川元久、猪口邦子さん等、ビジネス界からはトヨタの奥田さん、住友化学の米倉さん、経済同友会の桜井(リコー)代表幹事、帝人の長島さん、武田の長谷川さん等、会長や社長が多士済々。藤崎大使、G8サミットシェルパの外務省河野審議官、NHKの今井さん、国谷さん、そして北京大学長のXu Zhihongさん、Gates財団 Global Health InitiativeのDr. Tachi Yamadaも顔を出して、皆さんで日本の貢献などについて話しました。Googleの創始者S. Brimもちょっとだけ顔を出しました。そうそう、iPSで一躍世界に躍り出た京都大学の山中さんも来られてました。

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写真5 竹中さん、Dr. Yamada、Bonoのスタッフ2人と

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写真6 Dr. Yamada、石倉洋子さん、慶応大学の安西塾長と

今年は福田総理が来られるということで、どこまで世界政治のリーダーの一人として、どこまで高い理想と踏み込んだ政治家の発言ができるか?、皆さん期待とちょっとした不安がないまぜ、といった雰囲気といえましょうか。

過去のダボス会議の報告も見てください。お馴染の顔も出ています。

ダボスから

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例年のことですが、1月末にはダボス会議が開催されます。今回で8年連続の出席です。過去にも同じ時期にブログで報告をしているので見てください。

去年からですが、雪がとても少ないです。昨日は少し降りましたが本日は超快晴です。

今年は26日に総理が来られて演説をされるので、いつもより財界人の出席も多いようです。いいことですね。トヨタの奥田会長も24日にいらっしゃるそうです。往路のフライトでは緒方貞子さん、住友化学の米倉社長さん(ご両者ともご夫婦でした)、そしてNHKの今井さんたちとご一緒しました。

さて、23日初日の最初のセッション「Update 2008: Defining Innovation」に参加しました。IDEOTPG GrowthDoblinなど、米国のCEOとPartner、Index(NPO、Denmark)のCEO、それと私の5人で、司会はNussbaumさん(Business Week)で行なわれました。クリーンエネルギー投資、弱者救済、open innovation等の話がメインで、皆がグローバルな課題を中心に問題設定をしているのは頼もしく感じました。ちょっと「おや?」と意外に感じたほどです。TPGのMcGlashanさんの話から、私の友人でもあるSteven Chuの話が出て、そのことを話すと、「彼のことはよく知っている、大変素晴らしい方で、応援している、彼のprojectにも投資しているよ」と言っていました。

さて私は何をしゃべったかというと、“Googleの10年”、“10年前には瀕死だったAppleから、iPod、 iPhoneが”、“大ヒットしているNintendo ‘Wii’で、ビデオゲームに弱いお父さんが孫と遊んで汗をかく”、“Nergroponteの‘One laptop per child’のコンセプトはSoftwareからして画期的”等々、最近のフラットなグローバル社会のinnovationとして例示し、世界が抱える課題への貢献意識が世界中に広がっていることを指摘しました。加えて、2006年、2007年のノーベル平和賞がグローバルの課題に対する回答、つまりinnovationの目標として啓示的であることを話し、皆さん納得してくれたと思います。この辺の問題意識は、1月2日10日のブログなどでも繰り返し発信しているところですので、このブログを見てくださっている方たちには理解していただけるかと思います。

その後、隣に座った二人で相談しあって、新しい提案を出すというセッションがありました。結構面白いアイデアが出るものですね。感心しました。

後で何人かの方が、私の問題提起は明確で、刺激的で、とてもよかったと言ってくださり、嬉しかったです。フィードバックはありがたいです。いいときは褒めましょう、特に子供達をね!

今年のダボス会議ではClimate Changeのセッションが“28”も設けられていて、ビジネス界における問題意識の大きさを示しています。日本の産業だけが閉じこもり症候群に見えます。

その後のセッションでは、去年のノーベル平和賞IPCC座長のPachauriさんにお会いしました。来月、東京にお招きしていますので、楽しみにしていてください。

2050: The Odyssey Begins 他、インタビュー記事

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私のインタビュー記事が最近2つ英文で出ましたのでご紹介します。

1つは、2050: The Odyssey Begins (The Japan Journal January, 2008)というもので、日本の行くへと何をするかについて、私の考えが出ています。このブログをご覧の方たちにはいつも言っていることですが、実行が大事です。いろいろと国内にも問題があることは十分認識した上のことです。できない理由など聞きたくもありません。どのように実行するかが問題なのです。

もう1つは、Science and Development Networkに掲載されたものです。英文で発信することも大事です。できない理由を言う前に、“エリート”さん達、よろしく願いしますよ。

その他の記事・講演録等はこちら ≫≫≫

WHOコミッション、WHO神戸センター、グローバルヘルス

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16日から、WHO Kobe Centerで行なわれているWHO Commission for Social Determinents of Health(CSDH)の会議に来ています。Kobe CenterはCSDHの1つのハブとして機能していて、今回も16人のCommissionersが参加しています。2005年の3月にスタートしたCSDHについてはこのブログでも何度か報告しましたが(北京VanacouverGenevaNairobiなどから)、今回が10回目で最後の会議となり、最終報告を6月に提示する予定となっています。

今回WHO Kobe Centerで会議が開催できたのは、まだ2週間程しか経っていませんが、2007年12月まで所長を務めた元厚生労働省局長の岩尾さんのおかげです。新しく所長に就任されたクマレサン氏にとっても、就任直後の大きな初仕事となってよかったと思います。16日の夜に行なわれたレセプションには、岩尾前所長、クレマサン新所長、兵庫県知事、そして神戸市長なども出席されました。そして、今日17日は阪神淡路地震から13年目となる日。この大震災の被害を受けて、その翌年にこのWHO Kobe Centerができたのです。

CSDHの会議はこれが最後ですし、日本での開催は今回だけになります。今年は日本がTICAD、そしてG8サミットという世界から注目される会議を主催する年であり、また国連のMDG(Millennium Development Goals)の中間年でもあります。“Global Health”は大きな世界的アジェンダの一つです。昨年11月には高村外務大臣も講演でその意義を述べられていて、その講演の内容はLancetにも掲載されました

今年は日本にとって、世界からとてつもなく注目される年であるのと同時に、責任の重い年でもあります。なのに、年末も正月も株価は下がり、なんだか相変わらず内向きのままの沈滞ムードに感じませんか?そんなこともあって、今月末のダボス会議には福田総理も出席され、演説をされることになっています。明日(18日)の所信方針演説、そしてダボス会議の演説と、官邸のスタッフも大変です。

こうした意味を踏まえて、今回はCSDHのCommissionerの皆さんに、まず15日に東京に来ていただき、午前中に福田総理と高村外務大臣を表敬訪問。そして午後には舛添厚生労働大臣を迎えて、「Global Health as Global Agenda」という国際会議を開催しました。

内向きになりがちな日本の方たちへ、もっと世界の問題へ目を向けてほしいという一つの試みでしたが、200人ほどの熱心な方々が参加され、盛会となりました。基調講演もパネルも、みなさんとても素晴らしかったです。Commissionerの方々も大変喜んでおられました。

私もCommissionerの一人として大変嬉しく思いました。皆さんのおかげです。ありがとう。

イラクのサマワからの便り

1月10日のブログで、在米日本大使館の江端さんを写真(4)で紹介しました。去年、ワシントンでお会いしたのが最初ですが、その時に彼が以前イラクのサマワ(Samawah)に赴任していたことを知りました。彼がその時のことを書いたものを頂いていたので、江端さんの了解を得てここにご紹介します。

 「在サマーワ連絡事務所より」

  「サマーワの笑顔のために」
 (「外交フォーラム」 に掲載されたもので、英語版もあります。)

ぜひ、読んでください。日本の若者たちの、素晴らしい活躍を知ってほしいので、ご紹介します。

野依さんとの対談

理研ニュース 1月号に理化学研究所理事長の野依さんとの対談が掲載されました

ご存知のように、野依さんも私も、大学・大学院教育や研究者の育成について、皆さんと同じく熱い思いを持っています。特に、グローバルに活躍する人材を育成するという思いが私たち二人には強いところが、他の多くの方たちと少し違うところかと思います。

少し短いので私たち二人の気持ちが十分にはお伝えできなかったところはありますが、私たちの思いを少しでも汲んでいただければと思います。

日本のGDPは?

元日のブログ「行った年2007年、来た年2008年、日本はどこへ」の中で、「週刊 東洋経済」12月29日/1月5日迎春合併号の「10賢人が語る世界の大変革」という特集に、私の意見が“賢人の意見(?)”として出ていることをお知らせしました。読まれた方も多いと思いますが、本日付けで版権の問題が解禁になりましたので、早速、こちらに掲載しました。ご意見いただければ幸甚です。

 世界に通用する「個人力」がイノベーションの源泉だ(PDF)