GEW;日本経済新聞で広告報道

11月16-20日に開催した「GEW: Global Entrepreneurship Week」についてこのサイトでも2回にわたって報告しました。「GEW -1」、「GEW -2」 です。

この2つの講演会について、日本経済新聞の朝刊(12月22日)に見開き2面にわたって主要な講演を中心に広告報告が出ました。それぞれ[16日」「20日」についての記事を見ることができます。

Abu Dhabi、Khalifa大学

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Washington DCから、Dubaiへ飛びました。6週間前にも同じフライトを飛びましたし、3 週間前にもDubaiへ来ましたから、約6週間に3回Dubai空港に来て、Abu Dhabiへ来たわけです。そして帰りは2回は、Dubai-関西空港へ、1回はDubaiからSingapore経由でした。

今回もKhalifa University (資料1)のお手伝いです。今回から、前National Institutes of Health所長だったElias Zerhouni博士が参加してくれて、とても議論が弾みました。Zerhouni博士はAlgeria出身、医学部を卒業してから渡米、米国でNIHのTopと言う米国政府の医学研究での最も責任の重い、高い地位に就かれました。お付き合い もこの数年ですが、素晴らしい方です。

Khalifa大学はAbu Dhabi政府が大事にしているProjectsの一つで、Zerhouni氏のようなアラブの背景を自分自身の体験としてよく理解している、しかも国際的にも高く信頼されている方の高い立場からの助言が必要と思い、彼にメールしたころ、引き受けてくれたのです。とても助かります。

1日だけの会議でしたが、議論は盛り上がり、しかも内容のある会議でした。理屈ばかりでなく、英米とアラブの両方の価値観、付き合い方を知っている方の参加は大事です。

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写真; Dr ZerhouniとEmirate Palaceのロビーで

最近、米国国務省から、中東担当の科学技術担当の特別顧問Envoyとして、このZerhouniさん、’Science’のEditor-in-ChiefのBruce Albertsさん、そしてNobel化学賞Egypt出身のZuweilさんが発表されたばかりです。米国の科学外交への更なる一歩です。こういう多彩な人材、(資料1)こそがグローバル時代の一つの力ですね。Zuweilさんには何度かお会いしたことがありますが、Albertsさんとは、この約10年、米国科学アカデミー会長時代から、国際科学者の会合や日本学術会議関係などの関係でとてもお付き合いが深くなりました。

Abu Dhabiでは、ちょうどサッカーのクラブで戦うToyota Cupが開催されていました。最後はやっぱりMessi資料1)でしたね。

「知の鎖国:外国人を排除する日本の知識人産業」と、科学研究関係の「事業仕分け」

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この刺激的タイトルの本 は、米国で日本について学び (Princeton大学、 Harvard大学PhD)、日本で大学教授を含めて20数年(特派員、文化外交官、学習院大学等で教授など)を過ごした「知日家」の第1人者の1人、Ivan Hallさん の1998年の著書 「Cartels of the Mind: Japan’s Intellectual Closed Shop」 の邦訳です。以下のような構成です。

はじめに; 「ふつうの国」- ただし外国の知識人は受けつけない
第1章; 法律家の上陸- 弁護士がとりつく狭い橋頭堡
第2章; 隔離される報道陣- 外国人特派員
第3章; 学問の府のアパルトヘイト- 外面だけの大学教授
第4章; 通り過ぎていく人たち- 科学者と留学生
第5章; 操作された対話- 批評家に対する脅し
結論; 目を覚まして、日の光を浴びよう

内容も、それぞれに事実であり、鋭い指摘もその通りだと思います。Hallさんとのインタビューこの本の書評 (資料1(amazon.co.jp日本語)2 (Amazon.com))もあります。3年前にも来日して講演 (資料 (有道出人さんのブログより)) しておられます。

これらのHallさんの主張は私が従来から指摘 (資料)しているところです。日本でも「知的レベル」の高い人たちが、大学の先生たちが「鎖国マインド」(資料1) ですから、これでは大学も刺激的でないし、将来を担う学生にも間違った将来像を見せていることになります。このような大学から卒業してくる多くの人たちの社会では、さらに鎖国マインド傾向広がるのです。何とかして欲しいですね。これで日本の将来はいいのでしょうか?大学の先生たち、しっかりしてください。

この本の趣旨は、もう一人の知日家ジャーナリストのカレル・ヴァン ウォルフレンさんの一連の本「日本 権力構造の謎」、「人間を幸福にしない日本というシステム」などを通した分析、主張と同様と私は認識しています。

民主党政権になって、最近「事業仕分け」という極めてオープンで、単純明快なプロセスが話題になりました。以前の中国の「文化大革命」みたいですね。これには学者の世界からのノーベル賞受賞者、大学学長等々の大きな不満と批判がありましたが、一般的には政策のプロセスを国民が理解して点では評価されているようです。何が目的なのか、時間が短いとかの批判はありますし、科学技術に関してはSupercomputerをはじめとして、大型の研究のあり方も一つの話題になりました。どんなものでしょうね。

大型の研究では、計画の時点から海外の専門家も入れて検討すべきですし、大型施設への参加ももっと世界へ開かれたものにして人材育成の材料 (資料1)、の一つとして位置付けるなどすべきと思います。日本の産業基盤に関わるから日本人だけでとか、特許が盗まれるとか、2次的なうわべの言い訳をならべるのですね。世界を変えるような発想 (資料1)は誰から、どこから出てくるのか、もっと考えたほうがいいです。知恵とお金の出し方をもっと考えたほうがいいのです。政策のプロセスが開かれたことはいいことです。

いつもながら、科学者も「鎖国マインド」ですね。

活気あふれる「Open Research Forum 2009」

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Dubaiから帰国して翌日は「SFC Open Research Forum 2009」という慶應義塾大学SFC研究所主催の研究成果発表会内で行われた「G-SEC第3回年次コンファレンス」の「グローバルアジェンダと日本」(資料1)、パネルに出ました。(リンクはビデオです。)会場では、いくつものプログラムが進行しているようで、若者がたくさん参加してとても活気のある雰囲気でした。

パネルは朝日新聞主筆の船橋洋一さんの素晴らしい基調講演の後、竹中平蔵さんの司会で、パネルは船橋さんのほかには前日までDubai、そして Fujairahへご一緒した田村さん、近藤さんとわたし。あっという間に時間が経ってしまった感じでした。予定された古川元久さんは公務「超」多忙で出席できず。

外から皆日本をよく見えている人たちばかりのパネルで、なかなか活発だったのですが、あっという間に時間が経ってしまった感じで、ちょっと物足りなかったでした。

たぶん、最近の私は基本的には殆ど同じ話(グローバルの変化、日本の「強み」と「弱み)などいついて)をしているのですが、会場に来ておられる方たちが違うと思いますので、くどい位にこの辺のことを話しているのです。

GEW -1: 「Entrepreneur = Change Agent」

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Global Entrepreneurship Week (GEW) は、英国Brown首相の提案で始まり、Kauffman財団が推進する、この時期に世界で同時に開催しながら世界にEntrepreneurshipを広げようというものです。Entrepreneurshipこそがイノベーションを起こす原動力ですから、私も協力しています。去年から本格的になり77カ国で開催、本田財団、GRIPSなどが核になって、日経などいくつかの団体などの支援、協力をえながら、多くの方たちとお手伝いしていますが、今年は88カ国が参加とか。11月16-23日の週とその前後にいろいろな企画が開催されました。

16日、GRIPSでのプログラムは私の基調講演「Entrepreneur = Change Agent」 (上の写真)で始まりました。私の言いたいことは、「Entrepreneurship」は日本にも昔からある行動様式のはず、ではそれに相当する日本語もあるはず、それは「進取の気性」だと。これは「シリコンバレー精神」などを書いている梅田望夫さんが考え出したことですが、まさにその通りと思います。ですから「Entrepreneur = Change Agent」とは:

「進取の気性に溢れる人」 = 「変革者」

これが私のGEW基調講演のメッセージ、ということです。なにもビジネス「起業」する人たちだけではなく、社会やすべての組織で「進取の気性に溢れる人」たちこそが、変革を起こすのだ、ということです。企業、政治、大学、政府、どこでも同じことです。前例にこだわり、できない理由がまず頭に浮かんでくる人は、「進取の気性」の対極にある人たちです。これは歴史的にもいつも正しいのです。

最近の日本は、何故か社会のどこかしこに「進取の気性があふれている感じがしない」ということです。概略が片貝さんのblog にも出ていました。

大企業でも、政府でも、大学でも、組織の多くの人たちに「進取の気性」を植え付け、そのような環境つくりこそが経営者、トップに求められるのです。「進取の気性に溢れる人」が多い、「進取の気性に溢れる組織」、「進取の気性に溢れる社会」、これらがイノベーションを生み出す組織、企業、地域なのです。そして「進取の気性に溢れる国」になれるのです。この100年でも、優良企業といわれているのは常にそのようなものです。どんどん変化する、だから環境の変化に対応できるのです。

10年前に企業のトップだった人の名前を何人挙げられますか?つまり記憶に残るようなトップということですが。なぜ名前を覚えているのでしょうか?これは最近のThe Economistに出ていた記事ですが、特にこの難しい時代にイノベーションを起こす企業リーダーの本質を突いているのでしょうね。

基調講演の後、近くのカナダ大使館へ駆けつけ、この日から2日間にわたって開催される、日本カナダ通商80周年の事業の一つとして開催する「GRIPS- Toronto大学」主催のイノベーションに関するシンポジウムの第1日目へ。そして昼にはGRIPSへとんぼ返り。

GRIPS昼のセッションは石倉洋子さん司会の「デザイン」がテーマで2人のデザイン界の「巨人」、坂井直樹さん奥山清行さんの対談パネル。イノベーションというと「技術革新」などと誤解する傾向の多い、「ものづくり」信仰と技術志向の強い日本の方たちにはとても刺激的なセッションだったと思います。

続いて、この11月19日がPeter Druckerの生誕100年を記念して、野中郁次郎先生の講演があり、その後のプログラムへと進みました。現代史的にもDruckerは特別の存在のようですね。私は、ここからまたカナダ大使館へ戻り、パネルへ。

夜は、GRIPSでのGEW、Canada大使館、そしてUCLA日本同窓会総会の掛け持ち。あわただしい一日でした。

APEC Business Summit、Lee Kwan Yewの対話

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IMG_1968 top Chaingi空港

Singaporeから帰国た11月6日から1週間、いろいろ講演や会議などで忙しく過ごした後、12日はAPECの一部であるCEO Summit へお招きを受け再びSingaporeへとんぼ返り。おおくの企業が参加して盛会でした。プログラムはウェブでご覧になれば分かりますが、多くの参加国政府首脳の講演、パネルなどがあり、とてもいい会議でした。政府間の公式会議は別に開催されているわけですが。Obama大統領の来訪が遅れたので間に合わなかったのは残念でした。講演のヴィデオ、要旨 (資料1)なども見れます。

テーマはなんと言っても経済の現状と各国の政策が中心です。首脳の講演で強いメッセージ(ビデオを見て、聞いて、あなたの評価は?)があり、特によかったのはタイ、マレーシア、韓国などでしょうか。勿論、中国の胡 錦濤さん は、現在の世界の経済を引っ張るエンジンですから講演には力があります。鳩山さんは2日間の会議の最後でしっかりと話されました。来年は日本がホスト国、次は米国ですから、これから1年間、しっかりと2年先を見据えた「グローバル時代の日本」への変化CHANGEの旗を高く掲げ、アジェンダをしっかり構築し、実行して欲しいところです。

IMG_1952 Hatoyama 講演する鳩山首相

パネルでもSovereign Wealth Fundのパネル(Norwayは世界第2のサイズで、投資先選択もクリーン、グリーン度に座標軸をおき、定評があります)。米国商工大臣もなかなかよかったです。勿論、このBusiness Summitでも日本企業が強い力を示して欲しいところですが、日本からの企業トップ参加者は少なく目立ちませんでしたが、楽天の三木谷さんがパネルでなかなか力強い話しをしました。この会議のサイトでいろいろ楽しんでください。

この2日で皆さんに一番の感動を与えたのは、13日の最後のパネル、Singaporeを建国からここまでひっぱってきたLee Kwan Yew前首相(Minister Mentorという肩書きです)の対話でしょう。86歳ですが、かくしゃくとしておられ、その思想も、世界情勢の把握と認識も、将来へのお考えも圧倒的に素晴らしいものでした。私も、とても感動しました。10日ほど前にWhite HouseでObama大統領と会談しています。司会者のこの会談にふれたイントロから、もっぱら対話、会場からの質問にも実に上手く答えるのです。Singaporeの大臣はじめ政府高官にもお会いしましたが、皆さんLee Kwan Yew氏と仕事をしてきたわけですが、「Minister Mentorのような人は世界にも滅多にいないよ」、と親しみと尊敬のこもった返事が返ってきます。会場でお会いした日本の若い起業家社長も「鳥肌が立つようだった」といっていました。

立派なリーダーをもつ国はそれだけのことがあります。多くの有能な人たちを育てているのです。これは政治に限らず、大学、企業、また役所でも同じことです。今の日本社会にあって、特に社会的に高い立場の人たちは、一人ひとりが自分の立場で、自分は何をしているのか、それでいいのか、これを客観的に、冷静に見つめてみることは大事です、「できない理由」 は言わないことです。特に急速に変化しているグローバル時代に何をするのか、これですね。

このような機会にお招きいただいたSingapore政府に大感謝です。

毎日が活動日

Ottawaに始まり、Singaporeで終わった12日間の「世界一周」、会議の連続から帰国しました。

早朝に成田に着いた午後は「日本-スペイン」の科学技術政策についての元宇宙飛行士、科学未来館館長の毛利さん 司会のパネルに出席、久しぶりにスペインの方たちとの対話で楽しめました。六本木の国際文化会館です。

夕方からNature主催のMentorship Award の選考会。今年は日本の番なのです。

さらに翌日の土曜日は同じく国際文化会館で「新渡戸国際塾」第1期塾生主催による「今、どう動くか:現代日本の突破口を探る」 に参加。参加者は若い人たちが大部分で、パネリスト川崎さん長さん井上さん、と私、皆さん日本の常識から見れば「変人」ですが、「グローバル」。これが大事なのです。なかなか活気のある議論が展開されました。すばらしかったです。

後日の話もいろいろ (資料) あります。

翌日は日曜日、五井平和賞の受賞式へ。去年はBill Gates、今年はDr Bruce Lipton。トークセッションも面白かったし、特に「若者が描く科学の未来」の2人の受賞者、Indonesiaからの若者と、AfghanistanからのYale大学医学部で学ぶ若者が、休みのときは祖国の首都Kabulの学校で教えている姿が素晴らしかったです。Afghanistanは今のグローバル世界の一番の不安定要素ですが、このような活動が中長期的に見れば、未来を構築する数少ない可能性と思います。素晴らしい若者たちです。

Torontoからー2、ガードナー財団Global Healthシンポジウム

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ガードナー賞50周年記念の今回、特筆すべき新企画はGlobal Health賞の創設です。グローバルな現代においてグローバルヘルスは重要かつ緊急な課題ですから、この賞は大変タイムリーであると言えるでしょう。初の受賞者はDr Nubia Munoz で、子宮頸がんの原因パピローマウィルスの同定とワクチンの効果に関する世界規模の疫学研究が評価されました。

10月28日の午後、Dr. Munozを主賓に迎えてトロント大学Dalla Lana School of Public Health でガードナー Global Health シンポジウムが開催されました。私は最初のセッション(セッションは2つ)でモデレーターを務めましたが、パネリストはEmory大学、Dr.Jeffrey Koplan 、 Gates 財団、Dr. Tachi Yamada、Wellcome Truse、Dr. Mark Walport、Toronto大学、Dr. Peter Singer  (資料1)というグローバルヘルスの頼もしい4人組でした。パワー溢れるこのセッションを司会するのはとても面白かったです。満席の会場からも熱気を感じました。

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写真1-4:レセプション。写真1;Dr Oliver Smithie (ユーモア溢れるスピーチはいかにも彼らしかったです);写真2;Gairdner Wightman 賞を受賞されたMcMaster大学Dr.David Sackett (左)-臨床疫学とEBMで知られています、とJohn Dirks (ガードナー財団の理事)、写真3;小川先生ご夫妻、山中先生と私;写真4;小川先生、森先生と私

夜のレセプションはトロント大学のMaRSで開かれました。多くの友人、過去のガードナー賞受賞者、今年の受賞者が来られて大変楽しいひと時でした。日本からは小川誠二先生森和俊先生山中伸弥先生の3名の受賞者が出席されました。

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写真:Dr. Blackburnと共に

沢山のゲストに混ざって今年度ノーベル医学生理学賞を受賞されたDr Elizabeth Blackburn(受賞理由はテロメラーゼの発見)と、彼女の元教え子で共同受賞者(三人)の一人Dr. Carol Greiderもお見かけしました。Dr. Blackburnもガードナー賞の受賞者であられますが、L’Oreal女性科学者賞を10周年記念の年に表彰されていて、私は当時、審査委員の一人に加わるという名誉に与かっています。

今日は実に素晴らしい、刺激に満ちた一日でした。本当に光栄で稀有な体験でした。

Torontoから-1、‘Wikinomics’の‘成功者’との出会い

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前回のカラムでご報告しましたように、私は今トロントに来ています。トロント大学とGRIPSが共同で今年の早い時期から進めているプログラム資料1)のことでトロント大学と打ち合わせをしています。

Munk Centerでの私のセッション終了後、Rob McEwen氏が主催するガードナー賞50周年記念ディナーレセプションにお招きを受けました。氏はカナダを代表するビジネスリーダー 、(資料1)で、Wiki時代のビジネス(以下にご説明します)においても広く知られた著名人です。

Rob McEwen氏は医学研究・医学教育の主要な支援者として知られており、彼の広大な邸宅は、ご想像の通り、トロントでも「超」がつく高級住宅地にあります。

McEwen氏はトロント大学附属病院であるToronto General HospitalにMcEwen再生医療センターという幹細胞研究専門の研究機関を創設しました。私は氏が医学研究の支援者であることを知っておりましたので、ガードナー賞の今年度受賞者の一人である京都大学の山中伸弥教授資料1)にお会いして大変喜んでいらっしゃることを存じていました。言うまでもありませんが、山中先生は胚性幹細胞の使用に伴う倫理的問題に抵触することなく皮膚やその他の細胞を幹細胞にプログラムしなおし、iPS細胞作製という画期的な業績を上げられました。

Img_1913 写真:Rob McEwen氏と

Robさんと彼のビジネスや共通の話題についていろいろとお話をしているうちに突然閃いたのが、彼は ‘Wikinomics’ という本の第一章にオープンイノベーションの代表的なイノベーター起業家として紹介されている人に違いないということでした。そこで「あれはあなたのことだったのですか?」と伺ったら答えは「Yes」でした。私は最近講演などで話をするときによく彼のことを「出る杭」的思考の典型として紹介し、彼によってGoldcorpという金採掘会社が救われ発展した話をします。業績を見ても明らかなようにこの会社は大成功を収めました。 Robさんがどのような考え、やり方でこのような偉業を実現したのかをめぐってお話を伺い、大変楽しい会話となりました。

予期せぬ出会いはどんな時でもとても楽しいものです。たびたびブログに書いていることですが、視野や考えを広く深くしてくれます。いつも言うように「グローバルに考え、グローバルに行動しよう。楽しいことが沢山あるから。」ですね。

オタワでグローバルヘルス、トロントでイノベーション

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カナダは来年G8サミット(おそらく最後のG8で最初のG20となるでしょう)の主催国となります。当然のことながら、グローバルヘルスをサミットでの主要な議題とするために、カナダの様々な分野でいろいろな努力が重ねられ、交渉や準備がなされてきたことでしょう。

CCGHRもその一環としてある会議を開催しました(10月25日)。この会議はどちらかといえばリサーチに重点を置いていて、出席した会員約150名のうち25%は海外の方々でしたが、私はここで基調講演に招待されました。大変な熱気で、私もいくつかのワークショップに参加、役員会にはゲストとして出席、G8の議題についてカナダの視点から協議する内輪のセッションにも出席しました。大変有意義で学ぶことも多く、沢山の新しい友人や仲間との出会いにも恵まれた一日でした。

10月の終わり頃のオタワはそれなりに寒いですが、天気は良かったです。ここで、1人の女性の日本人研究者にお会いしました。McMaster大学で学部教育を受け、McGill大学で疫学、生物統計学、産業衛生学の修士号、博士号を取得された方です。彼女は小さいときにほんの数年を日本で過ごし、現在は南アフリカで、アフリカにおけるメンタルヘルスと貧困に関するイギリスとの共同プロジェクトにポスドク・フェローとして参加し、勉強しています。やりがいのあるミッションですね!

次の日はトロントを再訪し資料1)、いくつかの仕事をしました。トロント大学のMunk Center では私のための夕食会をMassey College で開催して下さいました。

その翌日はMunk Centerで「イノベーション、グローバリゼーションと大学」と題するパネルがあり、私の手短な基調講演の後、活発で建設的なパネルセッションが行われました。今後ますます相互依存を強める世界において、一流大学は将来のリーダー達を育成し、彼らをコネクトし、将来の課題に備えさせるための開かれた場にならなければいけないという点では皆さんの意見が一致しているように思いました。現在のグローバルな国際社会では途上国及び低開発国が抱える諸問題やその地域は彼らだけのものではなく私たちのものでもあるのだということを認識しなければなりません。ここでも、日本の女性放射線医師に出会いました。彼女は東京女子医大の出身で、Massey Collegeのresident junior fellowとして医学教育研究の勉強を始めたばかりだそうです。このような経験は彼女のキャリアにおいて広い視野や考え方を身につける貴重な機会ですね。トロント大学は多民族性、多様性、カリキュラムや講義の幅広さで知られる素晴らしい大学ですから。