ゲイツ財団の「枠を外れた」Grand Challenges

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研究申請や研究論文の評価にピアレビューが大事であることは論を待ちません。しかし、「イノベーション」は私の言う「新しい社会的価値の創造」ですから、思いがけないアイデアや、「常識はずれ」「枠を外れた」「出る杭」から生まれることが多いのです。“By definition, peer review is not compatible with innovation”です。

ピアレビューは方法や考え方などから研究の質を保証するのに必須ですが、考え方が「時代の常識」の枠内にとどまるのは、その性質上、いたし方ないところです。

ゲイツ財団のグローバルヘルス分野での活動はつとに知られていますが、2年前から始めたのがGrand Challenges Explorationsです。財団の掲げるミッションに合う、大胆で、「枠を外れた」提案やアイデアを世界中から募集しているのです。提案を2ページに書いて申請し、採用されると1年で10万ドルの研究費がつきます。面白そうな成果が出てくるともっと大きな研究費で、研究継続の可能性があるのです。

びっくりするような面白いアイデア、研究が採用されています。日本からも3つ採用されています。採用されたものの中には、大胆すぎて競争率の高いことで知られるNIHのグラントで落ちている研究申請もあるそうです。

今回のラウンドの締め切りは5月29日。上に紹介したサイトを訪ねて、申請を考えてはいかがでしょうか?

これに似た競争的研究資金は数年前から英国などでも始まっています。今年からCanon財団でも始め、私もお手伝いしています。

でも、どうやって選ぶのでしょうか?ここに工夫の仕方があるのです。これもイノベーションです。

ローマから、G8 SummitのGlobal Health Agenda作りへ

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11日は、例によって成田21:55発、Air Franceの最終便でパリへ向かいました。この3~4年、何度もこの便を使っています。1日仕事をしてからゆっくり成田に行けますし、ヨーロッパに行くのにはとても都合がいいのです。ロンドンなど、上手くいくと、朝から会議があっても、9時半ごろには着いていますから。

12日の朝9時半にローマにつきました。St. Regis Hotelという素敵なホテルにチェックインです。New Yorkから来ている坂野君と合流して、明日の「Global Health Forum」の打ち合わせ。私たちが運営する日本医療政策機構Aspen Institute Italiaの共催で行ないます。Rockefeller財団などの後援も受けています。

これは、去年私たちが開催した「Global Health Summit; Toward TICAD, G8 and Beyond」と同じプロセスを、今年Italyで開催されるG8 Summitに反映させようという試みです。準備会議として去年の12月にも開催しました。

会場はこの豪華なホテルの中です。私たちと共催母体になっているAspen Institute ItaliaのPetroni教授と私の「Welcome Speech」 で始まりました。スピーチの最後に、日本とItalyの2000年、2001年のサミットの功績で「Global Fund」ができたこと、そして2001年のGenoa Summitは現首相のBerlusconiがホストであったことについて触れました。

会場は皆が囲んで議論する形を取っていて、テレビスクリーンが配置されています。写真ができてきたら、もっとお見せしたいと思います。

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写真2、3: 会場の雰囲気

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写真4: SherpaのMassoloさん、WHOのDr Chanさん

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写真5: 私の隣だったTremonti大臣

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写真6: 右からMinister of HealthのHatem El Gabalyさん、WHO Executive Director, Global Health Workforce AllianceのSheikhさん、Executive Secretary of GAVI AllianceのJulian Lob-Levytさん、ActionAid International代表のNoerine Kaleebaさん(Ugandaの方です)

WHO Director GeneralのMargaret Chanさん、またAspen Institute Italiaの会長で現在の大蔵大臣のTremontiさん、ItalyサミットのSherpaのMassoloさん等々が参加してくださいました。私と一緒に洞爺湖サミットでお世話になった武見敬三さんも参加されて、とにかく皆さんで熱心な議論が展開されました。この経済状況のひどい中、今年の夏に開催されるイタリアのG8サミットに少しでも役に立てると嬉しいですね。日本のプレゼンスをあげるためにもね。

ちょうどこの日にThe Lancet, February 14th, 2009; volume 373, number 9663, p.526-7 : に私たちが投稿した「日本でのGlobal Healthへの経験」を中心に書いた記事「Italian G8 Summit: a critical juncture for global health」 が出ました。The Lancetは誰でも登録すればかなりの部分を無料でOn-lineで読むことができます。ぜひ登録されるといいと思います。ここにはOn-line版PDFをリンクしておきます。

RomeではあすからG7財務大臣会議があるということで、今晩はレセプションが開催されるそうです。来週にはG8で医療に関して議論するH8会議、さらにはG8のSherpa会議があるので、関係者はいろいろ忙しそうです。

夜はPeter Singer(Univ. Toronto) (参考), Gates FoundationのDr. Rajeev Venkayya、坂野君とで、この辺では有名なレストランへ。

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写真7: 右から私、Peter Singer (Univ. Toronto), Gates FoundationのDr. Rajeev Venkayya、坂野君

Vankayyaさんは10数年前にも、私に会っているそうです。私がまだ東大の医学部教授のときに、Michigan大学とChief Resident Exchange Programをはじめ、そのときに来たんだそうです。奇遇ですね。

 

再びニューデリーから

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ダボスからミュンヘン経由し、2日の早朝にニューデリーに到着。この1年の間に3回目の訪問となります。

インドは理解し難い、不可思議な国と感じる人も多いでしょう。面白いblogがありますのでご紹介します。ユーモアたっぷり、なかなか面白いです。

さて今回の目的は、去年の夏と同じくJeffery Sachsさんのチームとともに、年に2回開催される(去年の2月は欠席しましたが)インド厚生大臣による国際諮問委員会です(参考12)。ここでの中心テーマは、「農村の医療」です。

The Taj Mahal Hotelにチェックインして早々に、インドの研究者とNGOの方々から、進捗状況や分析の報告があり、そこでの課題等について討論を行ないました。夕方に一休みして、レセプションへと続きました。

翌朝は厚生省の会議室で、大臣を中心に約5時間弱(昼食時も食事を取りながらでした)にわたって、役所からの報告と討論。前回のときも同じでした、大臣は殆どの状況を把握していて、ご自身で解説され、討論にも参加します。この「農村医療」という分野の専門で、事態を良く理解されています。データに見ても、この1年で計画が素晴らしく(といってもまだまだですが)進捗していることが明らかです。感心しました。

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写真1: 諮問会議の様子。インド側、前列左から5人目がRamadoss大臣

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写真2: 同じく、委員会側。右からNorwayの首相顧問Dr. Tore Godal、私、Health Minister of Kenya、Dr. Sachs、Health Minister of Malawi、Health Minister of Rwanda他の方々

インドの状況は、背景が違うとはいえ(インドでさえもがまだましかもしれない部分が多いのですが・・・)、アフリカでも当てはまることが数多くあるだろうということで、Kenya(Professor Peter Anyang’Nyong’o, Minister of Medical Services)、Rwanda(Dr. Richard Sezibera)、Malawi(Minister Khumbo Kachali)から厚生大臣が参加されました。この会議の内容は大変参考になったようで、ここでも活発で建設的な意見交換ができました。

夕方にホテルを出発し、飛行場へ。成田へ向かいました。

またまたロンドンから

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去年の11月につづいて、またロンドン(11/1411/15 )に来ました。

ロンドンへはいつも、成田21時55分発、パリ4時30分着のAir Franceを使います。その朝5時半頃、Charles de Gaulle空港のLoungeでオバマさんが新大統領に決まり、彼の歴史的なスピーチ をTVで聞いたのでした。

今回は、家族計画運動の世界的なNGO、IPPFが資金援助している国や団体との年次会議があり(日本は外務省から参加)、そこで基調講演をします。あまり話題にはなりませんが、本当は多くの社会、健康問題の中でもとても大事なテーマです。特にこのような経済危機の最中ですから、責任が大きいですね。講演の原稿は夜中までかかって書き上げて、読ませてもらいました。講演録をお渡ししたかったこともあったので。日本の対応はJOICEF代表の石井澄江さん (去年の洞爺湖サミットでNGOの代表として大変にお世話になりました)。私の講演の評判はよかったとのことで、ほっとしました。

Dsc00487 写真1:IPPFのパネル

Dsc00483_kk4写真2:大使館から宮川さん、石井さん、私、IPPF Africa Regional Office DirectorのTewodros Melesse.

会議前日の朝にロンドンに到着。早速、Brown首相の科学顧問John Baddington 、続いてWHO Commission ChairのMichael Marmot とお会いしました。その後、西ヶ廣公使邸で公使、経済担当の岡公使、Royal Society の副会長、国際担当のLorna Castletonさんたちと昼食をさせていただき来ました。話題は尽きず、あっという間に時間がたちました。

Dsc00472_marmot 写真3:Prof Michael Marmotと

Dsc00478写真4:西ヶ廣公使、岡公使、Castletonさんたちと

夜にはIPPFの幹部、演者の方々と夕食の機会を持ちました。London塔のすぐ横のレストランです。

Dsc00479写真5、6:London Tower

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翌日のIPPFでの講演後、Heathrow空港からDavosへ向かいました。夜10時ごろにホテル着。今年は過去2年と比べ、雪があります。

グローバルヘルス Global health

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このサイトでいろいろな形で繰り返し出てくるのが、私たちのNPO 「Health Policy Institute, Japan」活動の一つの柱の「Global Health」関係です。これは国内の、そしてグローバル世界のいろいろな方々、たとえば世界銀行、ゲイツ財団、Rockefeller財団、また政府、政府機関とも協力しながら進めています。

これらの活動は「市民社会」活動といえるもので、このような動きムーブメントの推進を通して去年はGlobal Health Summitアフリカ開発会議TICAD4G8サミット等へも貢献できたと思います。このサイト内でもいろいろ「search」してみてください。

世界には、信じられないようなとても不幸な状況の方たちが大勢いるのです。その一つの企画にも参加することができました。以前にも報告しましたが、Imperial College、BBC、Gates財団の協力、Rockhopperの製作「SURVIVAL」 というfilm documentary seriesです。これが一応完成して、ウェブ上で英日独仏語で見ることができます。私もメッセージを出しているのですが、これは日本語で書いてあるのですが、英語でしゃべっています。ちょっと変ですね。

「大学病院革命」、慶應義塾大学病院への提案

慶応義塾医学部新聞(2008年12月20日号、第686号)の1面に、戸山病院長と私の対談、“今こそ建学の精神に立ち戻り、未来へ向けた「大学病院革命を」!”が掲載されました。慶應義塾大学病院の将来がテーマです。

私の論点は「大学病院革命」にも書いた内容で、これまでも機会あるごとに発言していますが、現在の政府が進める第5次医療計画にも通ずる基本的考え方です。

このブログを訪れてくださる方々には何度も言っていることですが、このグローバル時代、何が自分の強みで、何が弱みなのか、何が自分を他と差別する特徴なのか、リーダーの責任は何か、などにも触れてお話ししました。

私は慶應義塾の応援団と自認していますが、対談ではその理由についても触れられています。福沢諭吉の思想と行動とそのスケールを考える時、特にその時代と社会の背景を考えれば考えるほど、とてつもなく大きい人だと感じます。こんな人が今の時代、一人でもいるでしょうか。

この対談に目を通していただき、日本の医療、大学病院の役割とそこへの改革の工程を考え、実行していただければ嬉しいです。

「毎日フォーラム」(2008年12月号)の記事

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「毎日フォーラム」(2008年12月号)の「視点」に私の記事が掲載されました。

小学校を核に「全員参加型PTA」で地域力向上
研究者や大学生は地元学校でボランティア活動を

健康であるためには健康なファミリーが必要で,健康なファミリーには健康な地域コミュニティーが必要だ-。昨年4月に政府の新健康フロンティア戦略会議の座長として「新健康フロンティア戦略」をとりまとめたが、この基本理念を強く訴えている。

内容は子供の健康、女性の健康、働き盛りの健康、高齢者の健康寿命を延ばそうというのが柱で、その中で私が主張したのは、予防を重視した健康作りを進めるうえで、家庭の役割を見直し、地域コミュニティーを強化することだった。都市化、核家族化、少子化、女性の社会進出の進展で文化や伝統とともに家庭や子育てなど世代を超えた知恵の伝承が難しくなり家庭力は弱まり、崩壊しかけている。若い夫婦は子供の突然の発熱に戸惑い、いきおい救急センターに駆け込むことになる。一番の問題は子育ての知恵が継承されておらず家庭力が崩壊しているということだ。

木に例えるなら家庭力、地域力を高めることが根と幹であり、個別の政策はその先の枝であり、葉の部分だ。そうした大局観のない論議をしているから、政策も小手先の対応になりがちだ。

現代社会でこの家庭力を補うのが、地域コミュニティーだ。都市も田舎も、日本はコミュニティーの一体感、結束力がなくなっている。一体感を失ったコミュニティーは、何か起きた時に一番リスクが高い。逆に、普段から一体感があるところは、一人暮らしのお年寄りの異変にも気づきやすく、災害など何かが起きた時に強い。家庭力を作るためには普段から地域力を付ける必要がある。

ヨーロッパは、街中に人が集まる広場があり、価値を共有するような教会など、もともと集まる場所があるが、日本にはそれがない。まずは全国に約2万2000校ある小学校の活用を提言したい。1年生から通う場所なので都会でも地方でも、人の集まる場所として比較的近い場所にある。これを核に時間のあるときにはお年寄りや若者、地区の母親などが集まる。みんなが見ているから先生はより授業に集中できるし、子供たちを先生に任せきりにすることもなくなる。常設の「地域全員参加型PTA」だ。子供が病気になった時も「こうすれば大丈夫」とか、母親同士で教え合う。子どもが病気なら気の合う知り合いに預けたりもできる。普段からそうした関係があると「お医者さんは誰がいい」という話も出て、地域の医師もみんなの仲間になる。自治体は巡回ミニバスなどを提供し、土日もこれらの自発的な地域活動を支援する。

コミュニティーの中では子供の健康、食事などをいろいろな人が見ていて、「朝はご飯をちゃんと食べなさい」とか、学校でお年寄り、他人が注意する場面も出てくる。しかられた経験のない子供が増えている現状では、周りとのこうした関係の構築は大切だ。街でもみんなが子供たちに自然に声をかけるようになり、子供たちも見られているから態度や姿勢もよくなる。多くの人が参加する学校に子供を6時まで留め置くと、大人のいるところで自習、復習、読書、運動、遊びといったさまざまな時間の過ごし方ができるし、親も安心だ。先生も自分の仕事に時間をさけるし、父母との関係もよくなるだろう。

一体感で予防医療に貢献

核家族の中で育った女性は(これは男性もだが)、兄弟姉妹や祖父母との接触が少ない、子供を抱いたりあやしたりする経験は、結婚して出産するまでほとんどしていない。コミュニティーの中では、妊娠時から「子供ができたのね」とか声がかかり、普段から周りが応援するようになると安心できるし、もっと明るい社会になるのではないか。たばこをやめた人や、運動でメタボから脱却した人がいればお互いの話題になり、試してみる。行政のトップダウン施策ではない、一体感のあるコミュニティーが予防医療も充実させる。

また、全国には保健所が約500ヵ所あるが、保健師や看護師などが積極的に地域に出ている地域は比較的には一体感があるという。それらの人たちが地域コミュニティーに入り込み、普段から交流することも大事だ。

もう一つは、大学の教員、大学院生、学生、事務スタッフのみんなが、自分の住んでいるところの近くの少、中、高校に行き、年間20時間程度の地域ボランティア活動(土日も含む)をすることを提唱している。学校の先生と一緒に授業をやれば、院生、大学教員も自分の発揮できる専門性に自信を持つし、先生からは子供たちの教え方を学ぶことになる。さらに大学生、院生にはインセンティブとして将来、学校の先生になれる資格を付与する。ボランティアをやった大学生には学校の先生を志望する人も多く、そういう人たちを30代からでも先生に登用するシステムを作れば教育現場も様変わりするだろう。流動性のある仕事やキャリアのあり方も、小学校を中心にした地域コミュニティーを強固にすると思う。こうしたプログラムは中高校、幼稚園、老人施設、病院などでも展開できる。全員参加型地域社会の形成であり、これを自治体が支援する。

働く女性を支援する組織で、病児保育の「フローレンス」というNPO法人があり、加入者が年間数万円を出し合って運営している。病気の子供を登録した人たちが1日預かってくれて、場合によっては医師に連れて行ってくれる。このようなボトムアップの活動を社会事業といい、担い手を社会起業家と呼んでおり、世界的に広がり始めている。こうした事業の広がりは地域コミュニティーの形成にもいい影響を与える。

コミュニティーは地方自治体などの上から与えられるのではなく、自分たちで作るものだ。世代を超えた交流の場を作っていかなければ、都会も地方も「地域社会のないこと」から日本は崩壊していく。健康も医療も「Back to Basics」で基本に立ち返ることが大事だ。すべての政策は健康な地域のコミュニティー作り、家庭力の回復から始まるということを強調したい。

 小学校を核に「全員参加型PTA」で地域力向上
 研究者や大学生は地元学校でボランティア活動を
 (毎日フォーラム 2008年12月号)

ローマから

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11月1日、Bellagioを朝早く出発。何かのストライキとかで道は込んでいて、Milanoの空港まで3時間。向かったRomeは快晴で、正午ごろ、スペイン広場のすぐ側にあるホテルにチェックイン。昼食をとりながら打ち合わせを行なった後、イタリア外務省へ。外務省の建物はファシスト党本部として計画され、でも建築が間に合わず本来の目的では使われなかったとか。

来年のG8サミット担当のシェルパ、Massoloさん他の政府高官と、日本で行なった「track 2」プロセスの成果と意義、それに基づいたBellagioでの議論の成果、そしてイタリアG8サミットでのGlobal Healthに関する期待などを中心に、1時間ほど討議しました。これほど多くの時間をとっていただけたことに感謝。夕方から大雨です。

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写真1~2: イタリア外務省での会議、SherpaのMassoloさんと

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翌日の2日も雨。午前中は、10年ぶりでしょうか、あわただしくVatican Museumへ行きました。入口の部分が新しい建物になっていました。いつもながら贅を尽くしたすごいコレクションです。いろいろ複雑な歴史、政治と宗教、富と庶民、芸術の力、RaffaelMichelangeloなどなど、人間の活動と宗教、そして歴史の背景について考えさせられます。Sistine Chapel(参考 1 2 )ではほとんど時間切れでしたが、2年前、British Museumの特別展示でみたMichelangeloのデッサンの下絵の一部もありました。想像するだけでも圧倒される大偉業ですね。そして、世界で一番大きいSt. Peter大聖堂にも圧倒されます。次回機会があればもっとゆっくり訪ねたいです。

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写真3~7: Vatican Museumから

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写真: St. Peter大聖堂、坂野、田辺さんと

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私が内閣顧問をしていた時の内閣官房副長官補の安藤さんがご当地の大使で赴任したばかりです。洞爺湖G8サミットのこともよくご存知なので話は早い。遅めの昼食で魚料理を頂きながら、私の今回の訪問の目的、大使からはご当地の様子などを伺いました。経済産業省から大使館に来ておられる戸部さん、私のスタッフの坂野君も参加。来年2月に再びRomeで今回のフォローアップ会議を開催予定ですので、大使のご協力、ご指導もお願いしました。

夜の便で帰国に発たちました。グローバル化時代の各国の政治のあり方の違い、一方では金融、気候変動、食料問題等々があり、各国の政治とグローバル課題の隔離をどう折り合いをつけていくのか、難しい課題です。いろいろ日本とイタリアの政治について考えることのあった旅でした。

米国ではClinton氏の国務長官就任が決まりました。

Bellagioから、「G8 Summit and Global Health」日本からイタリアへ

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イタリア北部のComo湖のほとりBellagioにあるRockfeller財団のセンターにきました。10月29日です。つい最近に雪が降ったばかりです。残念なことに天気はあまりよくありません。

写真1~4: センターの会議室から見たComo湖とまわりの俯瞰

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今年の初めに私たちが主宰する“Think Tank”、Health Policy Institute世界銀行と開催した「Global Health Summit」 で、政府から独立したプロセスで洞爺湖G8サミットのアジェンダ作りの手伝いをしたわけです。今回は同じようなメカニズムがイタリアで可能なのか、現地のいくつかの関係者をお招きして討議し、どう可能にできるのかを模索するため行われました。日本とイタリア政府の公式なサミット議長国の移行とは別に、私たちのThink Tankが取り持つ独立したアジェンダ継続の働きかけです。このようなMultistakeholdersを巻き込んだ政策プロセスは“フラット”になっていく世界の動きであり、それを政府がどう受け止めるか、これも“Transparency”等として政府の評価の一部になってきているのです。

Bellagioetable01写真5: 会議での私とRockefelloer財団を代表して参加のLinda Dormentさん、そしてHealth Policy Instituteの近藤さんと坂野さん

JCIEが中心になって外務省等関係省庁とまとめた報告(参考 1 )を山本理事長(参考 2 )が紹介し、議論にも参加していただきました。

グローバル時代には一国の政治は、グローバルネットワークを持つMutlistakeholders(多様な利害関係者)や、関係するNGOなどを無視しては動きにくくなっているのです。これについては今年のG8環境大臣会議で行った基調講演  でも指摘しているところです。

イタリアの政治プロセスにどのように関われるのか、いろいろ意見を聞き、イタリアでの可能性を探ろうと思います。明日は、ローマへ向かいます。

医療改革へ、また一言

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最近の医療改革の動きは目覚しいものがあります。しかし、どのような政策に基づいて行動に起すのかが、とても重要な所です。関係者がつい自分たちの立場から発言をしてしまうのはやむを得ないところもあります。これが政治のプロセスなのですから。

しかし、一方で歴史的背景に立脚し、中長期的な展望を持った政策という視点からの発言は極めて大事です。どうしても政府案は近視眼的になりがちですから。

私はできるだけこのような立場に立って、このブログ書籍新聞などで発言するようにしています。あまりにも展望を持った政策への発言が少ないと感じるからです。

最近、読売新聞が医療改革への提言を大きく取り上げました(10月16日朝刊)。また、11月21日の読売新聞(21面)「医療ルネサンス No.4479 提言 現場の声1:医療体制、まず効率化を」では私のコメントも掲載されています。記事は以下のような流れでした。

「■読売新聞社の医療改革提言(10月16日朝刊)には、医師ら医療現場からも多くの反響が寄せられた。4回にわたり、その一部と専門家の意見を紹介する。

■医師不足対策として、提言で打ち出したのが「医師の計画配置」だ。地方や、救急、小児科、産科などで医師不足が目立っている。こうした医師の偏在を解消するため、地域・診療科ごとに定員を設け、医師を計画的に配置する。

■まず、医学部卒業後2年間の初期研修を終えた後、専門医を目指して後期研修を受ける若手医師が対象となる。そのために、大学病院や地域の基幹病院、医師会、自治体が中心となって、新たな医師配置機関を都道府県ごとに創設するよう提案した。配属は、医師の希望に基づいて行われるが、希望者の多い診療科や地域では働けない場合もある。読者の医師からは「憲法で保障された『職業選択の自由』『居住・移転の自由』に反するのではないか」という意見が寄せられた。」

なかなかの滑り出しです。

「■これに対し、早稲田大学大学院法務研究科教授の和田仁孝(よしたか)さんは「地域ごとの医師配置を法規制することは難しいが、医療界が自ら工夫して配置の仕組みを作るなら問題ない。診療科の偏在は、専門医に定数を決めれば解決するはず」という見解だ。

■医療機器に敬称を鳴らす著書のある埼玉県済生会栗橋病院副院長の本田宏さんは、「計画配置の考え方は理解できるし、可能だ」と話す。仮に、医師が希望していた渡海の病院の定員枠が埋まり、第2希望の地方勤務になっても、地方での経験は必ず勉強になる、と考えるからだ。「ただし、一度勤務したら戻れない“片道切符”では困る。地方で一定期間、勤務した後は、大学に戻って専門医四角を取れる道を保証するなど、安心して働ける仕組みを作らなければならない」

■政策研究大学院大学教授で内科医の黒川清さんも、医師の計画配置には賛同する。ただ、「地域・診療科ごとに必要な医師数を決めるには、医療提供体制の効率化を進めることが不可欠」と指摘する。救急たらい回しを防ぐため、基幹病院に地域の医師や看護師が常に参加し、24時間体制の救急医療を行う。また大学など大病院は入院医療に専念し、必要なら、外来には開業医も参加するのが効率的だという。黒川さんは「教育、環境など重要課題のほとんどに基本法があるのに、医療にはない。今こそ『医療基本法』を制定し、改革の理念を打ち出す時だ」と話す。」

いかがでしょうか。読売新聞もがんばりますね。皆さんのご意見をお寄せいただけると担当の記者たちも喜ぶでしょう。皆さんも政策のプロセスに少しでも参加しましょう。