世界華商大会へ、神戸から

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日本で始めての世界華商大会が神戸で開かれ、医療についてのパネルにお招きを受けました。

中国からは杭州の浙江大学医学院長の巴徳年(Ba Denian)先生(昔、北海道大学で学ばれました、米国の医学アカデミーの会員でもあります)、Singaporeからは国立大学の臨床薬理学のリーダーのEdmund Lee教授、 Hong Kongからは私とRENAALを一緒に走らせた、Juliana ChanのプログラムのDr. Maggie Ngさん、そして司会は、京都大学の福島雅典教授でした。時間が足りなかったような気がしましたが、議論はなかなかよかったです。各国の競争ですが、私に言わせると、申し訳ないけど日本の遅さは際立っています。なんといっても大事なのは、研究者ばかりでなく、すべての関係者の一人ひとりに「起業家精神」での行動がかけているのだと思います。何度も言うように、これが私の「イノベーション」への中心的メッセージですが。

では、このパネルで私は何語でしゃべるのか。ちょっと不安で前日のレセプションへ参加、幹事の意見を聞きにいきましたが、スライドは英語にして、日本語で話すことにしました。勿論、中国語(Mandarin)、英語、日本語の同時通訳がありました。この会についても、参加者の一人、森下竜一さんが相変わらずすばやい報告をしています

前夜のレセプションでは船橋洋一さん、元日本経済新聞の小島明さん、元フィリピン大統領のラモスさん、言論NPO関係者や多くの友人にお会いしました。山本かなえ経済産業省政務官も見えました。中国大使館からは、中国衛生局から着任しておられる劉 志貴一等書記官にもお会いしました。大統領をされているときからでしょうか、ラモスさんは眼鏡をしていますが、これはレンズの入っていないもので、格好付け。また、最近は使わないそうですが、いつも葉巻きシガーを持っていますが、吸うわけではないのだそうです。これらも「印象」を意識してのことだとか、なかなかですね。

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写真 神戸で友人と。左から小島さん、私、一人おいてラモスさん

翌朝は神戸市長の矢田市長と面会し、神戸市のこれからのバイオ関係の計画等のお話を伺いました。基盤集積はできましたが、これをどのように生かすか、これが課題ですね。

日本で最大に成長しつつある臨床試験企業になっているEPSの厳社長、許常務以下の方々にはいろいろお世話になりました。お礼申し上げます。

20日からは杭州へ行きます。

やはり私は「変人」?「日本のステレオタイプを壊す人」?

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9月19日の朝、横浜パシフィコで行なわれた「BioJapan 2007-World Business Forum」で基調講演をしました。まず始めに、米国のAlnylam Pharmaceuticals CEOのDr. Maraganoreさん(3年ほど前にこの会社のことでお会いしたことがあります)による“Progress in development of a new class of innovative medicines”。次に、DenmarkのNovozymes CEO、Mr. Riisgaardさんの“Bioethanol-A suatainable contritbution to the future energy supply”という題目の講演があって、そして私が“バイオ技術におけるイノベーション:どこへ向かうのか?”というタイトルで話しをしました。

OECDの方たちも見えていて、前夜、6人で夕食をしながら、歓談しました。旧知の方もお二人いました。結構、世界は狭いですね。

ところで、「東京特派員の告白」というカバーのNewsweek日本語版(9月19日号)が出ましたね。この中で、David McNeillさんが「本当の日本を伝えたい」という記事を書いています。彼は英国のIndependent紙の東京特派員ですが、他のいくつかの海外の新聞にも記事を寄稿しています。また彼は“Japan Focus”のコーディネーターでもあります。

さて、“エキゾチックな面の紹介を日本の当局者は好むが”という中見出しの所ですが、こんな一文があります。

「・・・また、日本は巨大な機械で、日本人はそこで働く顔のない働きバチのようなものだというステレオタイプを壊す人物を探し出し、紹介するのも好きだ。日本珍道具学会を主宰する川上賢司、内閣特別顧問の黒川清、デザイナーの高橋盾、作曲家の水嶋一江、和太鼓奏者の林英哲など、日本には個性的で才能豊かな人がたくさんいる。彼らの仕事を記事にまとめることで報酬を得られるのだから、私は恵まれている。・・・」

やはり、私は普通の日本人とは違うのでしょうか?特に気にはしませんが、むしろそのように「真っ当に」見ていただけると嬉しいですね。

夜は、英国の医療政策関係者やIndependent紙など英国メディアの方たちと、会食でした。

イノベーションがつくる2025年の社会を展望して-イノベーターが未来を創る-

2007年5月23日に開催された、第41回「JATES通常総会」での特別記念講演の内容です。

 イノベーションがつくる2025年の社会を展望して-イノベーターが未来を創る-

出典: 「技術と経済」(2007年9月号)

天城学長会議から

毎年7月の終わりに、伊豆の天城で大学学長会議が開催されています。

今回は担当幹事の東海大学高野学長、東京工業大学相沢学長のお招きで、1日目の午後の基調講演に参りました。2日目の朝の基調講演は、JR東海の葛西会長がされるそうです。一般的には、私たち二人は意見がかなり対立していると思われているかもしれませんが、面白い組み合わせと思います。実は葛西さんとは個人レベルでのお付き合いもあって、二人ともどちらかといえば「歯に衣を着せない」ほうですし、歴史観も、哲学も明晰で(とにかく沢山の本を読んでおられる)、気骨のある方として意気投合しています。ですから、葛西さんたちの音頭とりで始まった「海陽学園」という6年一貫、全寮制の男子校の応援もしているのです。人材育成は国家の根幹ですからね。

しかし、この学長会議の最近5~6年の議事録や基調講演などを見てみると、問題点の認識と、課題はすべて議論されつくしていると思いました。最近の大学の状況、社会の変容、グローバル時代の世界の大学をめぐる大きな流れの変わり様、具体的な動きなどについてお話しましたが、私の主張はこのブログを読んでいただいている方にはおなじみのことと思います。

問題は、それぞれの大学で学長という立場の人がどんな決断をして、それを実行するかにかかっているのです、と申し上げました。皆さん問題は十分に分かっておられるのですから、どのようにして自分の信念を実現していくかにかかっていると思います。もちろん難しいがあることも十分に理解しています。それでも、実践していくこと、これこそがリーダー、責任者に求められていることではないでしょうか。学長という立場は評論家でいられるはずがありません。

学長の先生方にはこのことを理解してもらった上で、この会議が終わるまでに一人一人が今年中にやることを紙に書いて約束し、来年のこの会議でどこまで実行できたかを検証することをお勧めしました。そうでもしないと、いつまでたっても前進しませんからね。将来を担う若者たち、学生さんがかわいそうだと思いませんか。

学長先生方、ご苦労様です。でも仕方ないですね、これがお仕事ですから。

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