病院は医師の育成を

2月18日の朝日新聞に私のコメントが掲載されましたので紹介します。

「医局」が存在するのは、日本だけです。東海大でも医局単位ではなく、医学部長が医師を派遣する方式を取ろうと考えています。ただ、教授たちは反対するでしょうね。人事権を学部長に握られると、多くの既得椎を手放さなければならないと考えるからです。既得権の一つに、博士号の授与権があります。これが、関連病院と医局の結びつきを強めてきました。博士号をもらうためには、大学とのコネクションが必要だからです。医学部卒業生全員に博士号を与えれば、この問題は解決します。

昔は大学病院しかできない検査や治療があり、患者を転院させる必要があったことも、関運病院が大学とつながりを持ちたかった理由です。今は、そんなに頼らずに済む時代です。患者に対する情報公開が進んでいます。患者がいい医師を選べるようになれば、大学の人事に依存した病院では立ちゆかなくなっていく。病院が自前で医師を育てたり、スカウトしようとしたりすれば、医局の役割は小さくなっていくでしょう。

ただ、医局が完全に無くなるのは難しいでしょうね。日本は個人が組織の一員としてしか存在していない。そういう杜会の構造が変わらなければ、医局廃止とはならないと思います。