ゲイツ財団の「枠を外れた」Grand Challenges

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研究申請や研究論文の評価にピアレビューが大事であることは論を待ちません。しかし、「イノベーション」は私の言う「新しい社会的価値の創造」ですから、思いがけないアイデアや、「常識はずれ」「枠を外れた」「出る杭」から生まれることが多いのです。“By definition, peer review is not compatible with innovation”です。

ピアレビューは方法や考え方などから研究の質を保証するのに必須ですが、考え方が「時代の常識」の枠内にとどまるのは、その性質上、いたし方ないところです。

ゲイツ財団のグローバルヘルス分野での活動はつとに知られていますが、2年前から始めたのがGrand Challenges Explorationsです。財団の掲げるミッションに合う、大胆で、「枠を外れた」提案やアイデアを世界中から募集しているのです。提案を2ページに書いて申請し、採用されると1年で10万ドルの研究費がつきます。面白そうな成果が出てくるともっと大きな研究費で、研究継続の可能性があるのです。

びっくりするような面白いアイデア、研究が採用されています。日本からも3つ採用されています。採用されたものの中には、大胆すぎて競争率の高いことで知られるNIHのグラントで落ちている研究申請もあるそうです。

今回のラウンドの締め切りは5月29日。上に紹介したサイトを訪ねて、申請を考えてはいかがでしょうか?

これに似た競争的研究資金は数年前から英国などでも始まっています。今年からCanon財団でも始め、私もお手伝いしています。

でも、どうやって選ぶのでしょうか?ここに工夫の仕方があるのです。これもイノベーションです。

La Jollaから、Entrepreneurship会議

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Kauffman財団 は「Entrepreneurship」(「起業家精神」とか、「進取の気性」(梅田望夫:「ウェブ時代 5つの定理」)とでもいいましょうか、何も事業ビジネスのことだけではありませんから)にフォーカスした財団で、去年はGlobal Entrepreneurship Weekを世界に展開し、日本でも本田財団の協力を得て、私の所属する政策大学院大学と京都でいくつかのプログラムが開催しました

このKauffman財団とUCSD(University of California San Diego)の共催で、“What Industry Wants from Universities”というテーマで、米国、英国、日本、カナダの4カ国で2日間の会議が開催されました。各国から数名ずつ参加し(ホスト国の関係者もいるので、米国の参加者は当然多いですが)、政策を含めて議論しました。プログラムの内容もなかなかで、有意義な会でした。特に英国からの参加者の、ウィットに富む発言は会議の議論の進行を和ませました。このセンスは素晴らしいものです。

会議の内容については、いずれWeb等に出たところでお話しましょう。

日本からの参加者は、私の他に、GRIPSの角南さん東北大の原山さん東大先端研のKnellerさん、そしてWilliam Saitoさんの5名でした。これは珍しいメンバーですね。皆さん、ここ数年は日本で仕事をしていますが、海外で教育を受けたりキャリアを積んだ人たちばかりでした。

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写真1: 日本からの参加仲間
このほかの写真はPicasaにUPしています。

気持ちの良い気候と素敵なキャンパス、そして楽しい仲間達というところですかね。何かすっかり気分が晴れやかになりました。会議が終わってから“Calit2”を案内してもらいました。土曜日で人は少なかったですが。

San DiegoはちょうどWBCの始まる直前でした(日本の優勝、素晴らしかったですね)。

しかし、やっぱりCaliforniaは明るい。素敵なところです。

「東大とノーベル賞」、荒野を目指さない若者たち

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このブログで繰り返し出てくるテーマに、「グローバル世界」と「教育・人材」があります。

グローバルな競争の時代に、グローバルな課題に取り組むためには、国家による科学技術への投資は大事です。しかし、これらを実践するのは、結局は一人ひとりの人間です。

安倍政権の時に私が座長として閣議決定をみた「イノベーション25」では、イノベーション、つまり「新しい社会的価値の創造」には、「人づくり」が最も重要で、「出る杭」が大事だと指摘しました。閣議決定の文書にもかかわらず、「出る杭」という言葉が繰り返し出てきます。

さて、昨年はノーベル賞の科学分野で4人の日本の研究者が受賞され、とても明るいニュースになりました。受賞者の皆さんの経歴を見るとお分かりのように、皆さん「出る杭」というか、「枠を外れて」おられますね。

昨年10月から、朝日新聞紙面で隔週月曜日に「GLOBE」という素敵な企画が始まりました。今年の3月18日号に「なぜ東大からノーベル賞が出にくいか」という一文を書きました。東大の出身で、東大で行った研究でノーベル賞を受賞されたのは、小柴先生だけなのです。

コラムを読まれた東大の先生方の中には、不愉快な思いをされる方もおられるとは思いますが、皆さんはいかがお考えですか。広い世界で他流試合をする、これは大事な原則・プリンシプルの問題なのです。

内にばかりこもっていては、せっかくの才能も、新種の「芽」を出し、「大樹」にはならないでしょう。もったいないことです。「井の中の蛙、大海を知らず」(知っているようで、知らないのです)。

「生物資源の保存」シンポジウム、天皇陛下のリンネの記念講演

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12月9日、神戸での学会で「生物資源保存」についてのシンポジウムがあり、基調講演(プログラムフルテキストPDF )にお招きいただきました。講演の前に、生物資源保存の展示 に伺いました。たくさんの資源が集められ、研究されていて、すばらしかったです。皆さん、とてもがんばっています。若い方たちに、「これだけ多いサンプルなのに、すべてに名前がついているのは不思議だと思わない?」と聞きました。

今回私は用意しておいた資料に沿ってお話しましたが(最近は、原則としてpowerpointを使わないことにしているのです)、講演の内容については、このブログを時々読んでくれている方には、見当がつくものだと思います。

資料の順序に沿って話しましたが、講演で特に伝えたかったのは後半部分です。

まず、去年(2007年)リンネの生誕300年にあたって、天皇皇后両陛下がSwedenをご訪問され(参照 1 2 3 )、Uppsala大学(1477年設立)の名誉会員になられました。これはSweden国王を含めて4人しかいないと聞きました。(こちらのサイトでも様々な写真が閲覧できます。

その後、Londonのリンネ学会にも訪問され(参照 1 2 )、陛下の格調高記念講演がありました。それを読んでみるととても感動します。この背景には国民が皇室を尊敬し、誇りに思う基本があると私は考えるのです。格調高い本当にすばらしい内容と構成です。多くの動植物種に学名がついていることのリンネの貢献についても触れられています。ぜひ読んでみてください。

Uppsala02写真: Uppsala大学長Hallbergさん一行が訪日のときにSweden大使館で。陛下の訪問が話題になりました。

この原稿は誰が書いたと思いますか?ほとんどが天皇陛下ご自身としか考えられません。本当にすごいことです。ご公務を考えれば、そのご努力がどれほど大変なものか、想像してみればすぐ理解できると思います。

この陛下のご講演をいつか皆さんにも読んでもらいたい、と思っていたのですが、今回は本当にいい機会でした。

もう一つは、「アメリカ大陸に最初に来たヒトはアイヌ?」という最近の話題です。資料はとにかく集めて整理しておくことが大事なのです。サンプルがなければいくら解析技術が進歩したところで何もできません。

科学でも何でもそうですが、私たちの現在は多くの先人の努力の積み重ねの上に成り立っているのです。小手先の「なんの役に立つのか?」などというばかりの学術政策、研究費配分、役所への陳情など、みな発想からして貧困です。

「毎日フォーラム」(2008年12月号)の記事

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「毎日フォーラム」(2008年12月号)の「視点」に私の記事が掲載されました。

小学校を核に「全員参加型PTA」で地域力向上
研究者や大学生は地元学校でボランティア活動を

健康であるためには健康なファミリーが必要で,健康なファミリーには健康な地域コミュニティーが必要だ-。昨年4月に政府の新健康フロンティア戦略会議の座長として「新健康フロンティア戦略」をとりまとめたが、この基本理念を強く訴えている。

内容は子供の健康、女性の健康、働き盛りの健康、高齢者の健康寿命を延ばそうというのが柱で、その中で私が主張したのは、予防を重視した健康作りを進めるうえで、家庭の役割を見直し、地域コミュニティーを強化することだった。都市化、核家族化、少子化、女性の社会進出の進展で文化や伝統とともに家庭や子育てなど世代を超えた知恵の伝承が難しくなり家庭力は弱まり、崩壊しかけている。若い夫婦は子供の突然の発熱に戸惑い、いきおい救急センターに駆け込むことになる。一番の問題は子育ての知恵が継承されておらず家庭力が崩壊しているということだ。

木に例えるなら家庭力、地域力を高めることが根と幹であり、個別の政策はその先の枝であり、葉の部分だ。そうした大局観のない論議をしているから、政策も小手先の対応になりがちだ。

現代社会でこの家庭力を補うのが、地域コミュニティーだ。都市も田舎も、日本はコミュニティーの一体感、結束力がなくなっている。一体感を失ったコミュニティーは、何か起きた時に一番リスクが高い。逆に、普段から一体感があるところは、一人暮らしのお年寄りの異変にも気づきやすく、災害など何かが起きた時に強い。家庭力を作るためには普段から地域力を付ける必要がある。

ヨーロッパは、街中に人が集まる広場があり、価値を共有するような教会など、もともと集まる場所があるが、日本にはそれがない。まずは全国に約2万2000校ある小学校の活用を提言したい。1年生から通う場所なので都会でも地方でも、人の集まる場所として比較的近い場所にある。これを核に時間のあるときにはお年寄りや若者、地区の母親などが集まる。みんなが見ているから先生はより授業に集中できるし、子供たちを先生に任せきりにすることもなくなる。常設の「地域全員参加型PTA」だ。子供が病気になった時も「こうすれば大丈夫」とか、母親同士で教え合う。子どもが病気なら気の合う知り合いに預けたりもできる。普段からそうした関係があると「お医者さんは誰がいい」という話も出て、地域の医師もみんなの仲間になる。自治体は巡回ミニバスなどを提供し、土日もこれらの自発的な地域活動を支援する。

コミュニティーの中では子供の健康、食事などをいろいろな人が見ていて、「朝はご飯をちゃんと食べなさい」とか、学校でお年寄り、他人が注意する場面も出てくる。しかられた経験のない子供が増えている現状では、周りとのこうした関係の構築は大切だ。街でもみんなが子供たちに自然に声をかけるようになり、子供たちも見られているから態度や姿勢もよくなる。多くの人が参加する学校に子供を6時まで留め置くと、大人のいるところで自習、復習、読書、運動、遊びといったさまざまな時間の過ごし方ができるし、親も安心だ。先生も自分の仕事に時間をさけるし、父母との関係もよくなるだろう。

一体感で予防医療に貢献

核家族の中で育った女性は(これは男性もだが)、兄弟姉妹や祖父母との接触が少ない、子供を抱いたりあやしたりする経験は、結婚して出産するまでほとんどしていない。コミュニティーの中では、妊娠時から「子供ができたのね」とか声がかかり、普段から周りが応援するようになると安心できるし、もっと明るい社会になるのではないか。たばこをやめた人や、運動でメタボから脱却した人がいればお互いの話題になり、試してみる。行政のトップダウン施策ではない、一体感のあるコミュニティーが予防医療も充実させる。

また、全国には保健所が約500ヵ所あるが、保健師や看護師などが積極的に地域に出ている地域は比較的には一体感があるという。それらの人たちが地域コミュニティーに入り込み、普段から交流することも大事だ。

もう一つは、大学の教員、大学院生、学生、事務スタッフのみんなが、自分の住んでいるところの近くの少、中、高校に行き、年間20時間程度の地域ボランティア活動(土日も含む)をすることを提唱している。学校の先生と一緒に授業をやれば、院生、大学教員も自分の発揮できる専門性に自信を持つし、先生からは子供たちの教え方を学ぶことになる。さらに大学生、院生にはインセンティブとして将来、学校の先生になれる資格を付与する。ボランティアをやった大学生には学校の先生を志望する人も多く、そういう人たちを30代からでも先生に登用するシステムを作れば教育現場も様変わりするだろう。流動性のある仕事やキャリアのあり方も、小学校を中心にした地域コミュニティーを強固にすると思う。こうしたプログラムは中高校、幼稚園、老人施設、病院などでも展開できる。全員参加型地域社会の形成であり、これを自治体が支援する。

働く女性を支援する組織で、病児保育の「フローレンス」というNPO法人があり、加入者が年間数万円を出し合って運営している。病気の子供を登録した人たちが1日預かってくれて、場合によっては医師に連れて行ってくれる。このようなボトムアップの活動を社会事業といい、担い手を社会起業家と呼んでおり、世界的に広がり始めている。こうした事業の広がりは地域コミュニティーの形成にもいい影響を与える。

コミュニティーは地方自治体などの上から与えられるのではなく、自分たちで作るものだ。世代を超えた交流の場を作っていかなければ、都会も地方も「地域社会のないこと」から日本は崩壊していく。健康も医療も「Back to Basics」で基本に立ち返ることが大事だ。すべての政策は健康な地域のコミュニティー作り、家庭力の回復から始まるということを強調したい。

 小学校を核に「全員参加型PTA」で地域力向上
 研究者や大学生は地元学校でボランティア活動を
 (毎日フォーラム 2008年12月号)

TIME誌のJet Li

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Jet Li を知っていますか?中国の有名なカンフーマスターで映画俳優です。私は彼のファンで、以前にもブログで彼のNGO、One Foundationでの新しい生き方についてご紹介しました。

ところで、最近のTIME誌に“The Liberation of Jet Li”(Jet Li の解放)と題する記事が載っていました。

このように最初はごく限られた人たちにしか知られていない活動が、次第に世界的なメディアで報道されるようになったという例は、他にもビル・ゲイツの“Creative Capitalism”なんかがありますね。これも以前ブログで取り上げました。

世界は絶えず動いていますが、その変化が数人の運動から始まったものも少なくありません。目を良く見開いて世の中で何が起こっているのかを知ることは大切です。目を覆って変化をやり過ごすことはできないのです。世界はつながっているのですから。

Global Entrepreneurship Week、若い起業家の芽を育てるNPO

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Kauffman財団というEntrepreneurshipをテーマに活動している財団があります。]

この財団が11月17~23日、起業家精神の理解と行動をグローバルに進める企画“Global Entrepreneurship Week”が世界の約80ヵ国で展開されました。日本では、本田財団、私も所属する政策大学院大学GRIPSAsia Productivity Organizationなどが中心となって東京と京都の2箇所で開催しました。東京開催の前日が本田賞の授与式でした。会議の公用語は全部英語。

まずはGRIPSで講演会、次いで“エレベーターピッチ”という「エレベーターの中で出会ったエンジェル投資家に自分のアイデア、企画を30秒で売り込む」という企画がありました。ビデオを見て40近い企画応募から3つが選ばれ、3人一組のプレゼンがありました。Asia Pacific University秋田国際教養大学チームが勝ちました。秋田からの参加者3人はみな女性で日本人学生はいなかったようです。この2校は日本では例外的に本格的な国際化をしている大学です。

APU学部学生、約5,000人の約50%が留学生で、授業の半分は英語。

秋田国際大学の生徒の入学時の偏差値は「80」を超えているそうです。ここは本格的リベラルアーツの小さな大学で、1年目は全員が寮生活、1年間は海外の大学へ留学、入れ替わりで交換留学生が来ているのでキャンパスにいる学生の約40%が海外からの生徒。選択科目の日本語やフランス語などの授業は別ですが、授業は原則全て英語です。

京都では立命館大学で開催されました。ここでも参加した講師は素晴らしく元気があって楽しかったですね。

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写真 京都大学の会場、子供起業家も

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翌日は学園祭の最中だった京都大学の時計台で、NPO法人アントレプレナー開発センターが主催する小学生も参加した、実践的な地域のエコを目指すビジネスのプレゼンとブース出展がありました。この日は全部日本語です。プログラムの雰囲気はイベントのWebサイトで見ることができます。なかなか楽しかったですし、子供たちも学生さんも、皆さんユニークで、面白いことを考えています。企業がちょっと手を貸すと、スルスルと育ちそうなものもあります。すばらしい教育であり、経験だと思います。皆さんで応援しましょう。

主宰する原田きくこさん、がんばっています。皆さんも応援してください。賛助会員、企業からの支援もお願いします。一度、このNPOのWebサイトをたずねてください。子供たち、元気でいいですね。

「ものづくり」から「ものがたり」へ

最近、“「ものづくり」から「ものがたり」へ”といったテーマで発信しています。結構、ご存知の方も増えてきているようです(参考: 1 2 )。うれしいですね。このブログでも繰り返し取り上げているテーマでもあります(参考: 1 2 3 )。

日本の強みは「ものづくり」なんて言ってもダメなのです。一番大事なことは「ものがたり(Story-telling)」。人の心を掴み、「感動」させること。「ものづくり」はその中の一部なのです。

Harvard Business Review(日本語版)の「Opinion」欄をご存知ですか。機会を頂き、今年最後となる12月号に「ものづくり」について書かせていただきました。

 「ものづくり」から「ものがたり」へ
 (Harvard Business Review 日本語版 2008年12月号)

思いがけない偶然があ.ったのですが、これについては読んでみてのお楽しみ。

Summit on the Global Agenda、ドバイから-1

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ロンドンから6時間半のフライト。ちょっと寝不足で11月8日の朝、ドバイ空港に到着しました。ホテルJumeirah Al Qasrにcheck-inして、早々に会場へ。World Economic Forum主催の第1回「Summit on the Global Agenda」 と銘打った壮大なBrain-Stormingです。サイトを見ていただければわかりますが、8つの大きなテーマが更に68のサブテーマに分かれていて、3時間ほど議論の連続でした。私は「Innvation」と「Global Health」のメンバーです。ほぼ集中して「Innovation」のセッションに参加しました。10月に行われた京都のSTS Forum、そして今年1月のダボスでも一緒だったJohn Gageさんともこのセッションでご一緒しました。つい先日紹介したIEDOのTim Brownさんも「Design」のセッションに参加されていて、今年5回目となる遭遇でした。その他にも多くの方たちとの再会がありました。議論と集中力、なかなか疲れるセッションです。会議に参加された石倉洋子さんのblogの4報( 1、 2、 3、 4、)を見ると、この“疲れる”感じがわかるかも知れません。

夜はバスで40分ほどいった砂漠でレセプションがありました。いくつか写真を紹介します。

Dsc00288写真1: 東大の小宮山総長(日帰りだそうです)、田中明彦さん伊藤元重さん秋山弘子さん

Dsc00290写真2: 緒方貞子JICA総裁、駐米藤崎大使ご夫妻と

Dsc00295写真3: 騎馬のデモンストレーション

東京、ロンドンとかなり集中した会議の連続でさすがにちょっと疲れました。

しかし、しかし、なのです。JICA総裁の緒方貞子さんは6日にDubaiからAfganistanのKabulへ行き、国際空港ターミナル竣工の式典に、日本総理大臣の代理としてご参加。そしてトンボ帰りでこの会議へのご参加ですから、本当に頭が下がります。そして夜も私たちと同様に砂漠でのレセプションに参加されました。

世界のどこへ行っても緒方さんの周りには人が集まり、緒方さんに対する心からの畏敬と尊敬がありありと見て取れます。

G8サミット・グローバルヘルスフォローアップ東京会議

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今年の洞爺湖サミットでは、エネルギー、気候変動、食料高騰、さらに金融危機など、急激に出現した大きな問題がありました。しかし、この難しい時に、日本が結構がんばったのです。特にグローバルヘルスにおける、医療提供制度システムとG8とのフォローアップは世界でも特に評価の高い成果でした。

そのフォローアップ会議が11月3、4日に、東京で、外務省などの協力を得てJCIEの主催で開催されました。WHOのMargaret Chan事務総長(写真1。6月のシアトル以来です)、Gates財団グローバルヘルスのトップ、Dr. Tachi Yamada(3週間前のFusionopolisでも一緒でした)、メキシコの前厚生大臣で今度Harvard University School of Public Healthの学部長に決まったDr. Julio Frenk(こんなこと日本の大学で想像できますか?)、そして、The Lancet編集長のRichard Hortonなど、この分野の世界のトップが集まり、議論しました。5月のTICAD4で発表された「野口英世アフリカ賞受賞」のMiriam Wereさんも来られて、再会をお互いに喜びました。本当に多くの日本そして国際社会の関係者が集結した会議でした。皆さんご苦労様でした。

Rimg00192whodg2008113写真1: 左端からUNFPA Tokyo OfficeのMs. Ikegami、UNFPA事務局次長Dr. Mari Simonen、 私、WHO Director General、Dr. Margaret Chan、Academy for Nursing Studies and Women’s empowerment Research Studies 事務局長 Dr. M Prakasamma。

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写真2・3: パネルタイトルと司会の私。左に外務省の山本さん、イタリアの外務省次年度G8担当官のお二人。

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この会議で、日本の意見、そしてプランを固め、次のG8サミットのホスト国Italyへ引き継ごうという日本政府の意思があるのです。これは前厚生労働副大臣だった武見敬三さん(現在Harvard University School of Public Health のSenior Fellow)が動いてくれています。すばらしいことです。このような役所ばかりでなく、多くのグローバルNGOや市民社会運動団体などが関与しながら進める政治的活動は、日本そしてグローバル世界の大きな社会変化といえます(G8環境大臣会合で行なったスピーチなども見てください)。関係者一同におおいに感謝します。私もパネルに参加(写真2、3)しました。レセプションには中曽根外務大臣がご挨拶にみえました。

夜にもいくつかの予定が入っていて、UCLAのManagement SchoolのOlian学部長と、副学長、卒業生の一人で私の友人、渋沢さん(参考: 1 ) とご一緒(写真4)しました。

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写真4: UCLA Management SchoolのOlian学部長、渋沢さん、後ろは同じくAssistant Dean、Dr. Schakelfordさん。

忙しい一日でした。