国家のビジョンと新エネルギーと農業政策

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今年に入り、このブログでいろいろと国家ビジョンについて触れています

元旦のブログに始まり、7日20日21日のブログなどがそうです。それから、13日に書いたブログもこれに関連して、オバマ政権の政策について触れました。

そして今日は、22日の朝日新聞記事word file)で、12月と1月に行った講演に関するものです。これらの講演に関する記事が段々と長いものになってきたので、私の言っている“Story”が明らかになってきたのではないでしょうか。

このグローバル社会の大転換期、日本の危機的状況、オバマ新大統領の誕生、日米そして世界の動向を考えると、このように記事などで私の考えを取り上げてくださることは、本当にありがたいことです。

さて、これらをどのように一歩前に進めたらいいか、皆さんも動き出してください。

「脱・できない理由」

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朝日新聞の夕刊に「窓」という論説委員室のコラムがあります。

12月に行った私の講演を聞いて、村山論説委員が「脱・できない理由」というコラムを書いてくださいました。嬉しいですね。「大賛成!」「その通りだ!」というメールをいくつも頂きました。ありがとうございます。

このコラムは次のように進みます。

■日本は2050年に食糧とクリーンエネルギーの輸出国になる。

■政策研究大学院大学の黒川清教授は一昨年、そんな目標を打ち出してはどうかと当時の安倍首相に助言したことがある。内閣特別顧問だったころだ。

■関係する役所からは、「そんなこと、できっこない」という否定的な反応ばかりが官邸に上がってきたという。

■日本の食糧自給率は40%ぐらいしかない。エネルギーとなると、わずか4%にすぎない。霞ヶ関のお役人でなくても、目標を実現するのはそうとうに難しいことがわかる。

■「でも、なにごとも、できない理由をあげていてはダメなんです」。黒川さんは、そう強調する。インパクトのある目標をわかりやすい言葉で発信し、みんなに「自分は何ができるのか」を考えてもらう。そうやって世の中を変えていくのが政治の仕事というわけだ。

■もうすぐ米国の大統領になるオバマ氏は、グリーン・ニューディール(緑の内需)政策で不況を乗り切る、という明快なメッセージを発信している。それに呼応して、各国が「低炭素社会に向けて何ができるか」を考え始めた。

■いまの日本には、政治のリーダーシップはない。だから、「できない理由」が幅をきかせている。

■黒川さんは最近、あちこちで説いて回っている。「食糧とクリーンエネルギーの輸出は、2030年にでも、実現できます」

<村山知博>

(出典:2009年1月19日(月)朝日新聞夕刊2面)

村山さん、ありがとう。

皆さんはいかがお考えですか。

ワシントンから-2、科学者たちの新しい協力へ

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今回のワシントンでの3日間は、ほとんどを米国科学アカデミーの内部で過ごしました。何人かの方たちとの会談も、アカデミーに来ていただいて行いました。

8日はホテルにチェックインして一休み。午後からは、まずアカデミーの新しい報告書記者発表プレスに参加。共同委員長のJOHN HENNESSY(President of Stanford University)とBRENT SCOWCROFT資料1)、他に3人がプレスに出席しました。すごいメンバーですね。委員会でもアカデミーの会員ばかりでなく、その課題について必要な様々の方々に参加を頂いているのです。

委員会メンバーのJohn GageNorman Neureiter もこのプレスの会場に来ていましたが、私が途中で抜け出したので会えませんでした。John Gageとは翌日、会うことになりますが・・・。

翌日の朝は、NASでHarvard大学のCalestous Juma公開講演に参加。ここでJohn Gageさんに会えたのです。

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写真1-3: 講演するJumaさん;One laptop per ChildのNegroponteのlaptopを持つ女の子;John Gageさん、Jumaさんと

この2日間は、科学アカデミーに立てこもりで、次々といろいろな方たちとお会いしました。アカデミーを構成する3つの組織の各ヘッド、Harvey Fineberg(Institute of Medicine)、Charles Vest(Natl Academy of Engineering)、 Ralph Cicerone(Natl Academy of Sciences)と個別に会談し(Ciceroneさんとは慌しく)、新政権下での両国の科学者たちの協力、計画などについて話し合いました。国際担当局長のJohn Borightさんとほとんど一緒に動き回りました。

また世界銀行Atlantic CouncilFred Kempeさんなど主要なかたがたともお会いし、いろいろと議論しました。

Dsc00467_2写真4: Vestさんと

Dsc00469_2写真5: STS Forum会議、左から私、Rita Colwell さん、Yuan T Lee (資料1)さんなど。

10日は尾身幸次議員の主催するSTS Forumの委員会を開催。活発な議論で一日が過ぎました。ここでもまた、いろいろな友人に会えました。

新しい1年の始まりとして、とてもとても収穫の多い3日間でした。

ここに出てくる方たちは、このblogで何度も出てくるので、「サーチ」してみてください。

ワシントンから-1、オバマ政権首脳人事の「すごさ」と期待

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この3年、正月はじめにワシントンを訪問するのが恒例になっています。今年は例年とはまったく違う雰囲気です。新しい大統領に対する期待が、これまでに彼が人選を行なった閣僚や顧問団が極めて「質」のいいことで、さらに膨れ上がり、希望と期待に溢れているように感じます。

特に科学者たちの間ではエネルギー省長官にNobel物理賞のSteve Chu(Director, Laurence Berkeley National Laboratory)、特に科学に関係ある案件ですが、主任経済顧問にLawrence Sommers(Harvard U.)、科学顧問John Holdren (Harvard U.)、さらにNobel医学生理学賞のHarold Vamus (元NIH長官、現Sloan-Ketteringガンセンター総長)とEric Lander (MIT)、Ocean and Atmospheric庁長官がJane Lubchenco (元ICSU会長)等々、超一流の学者達、しかも従来から低炭素、環境問題等々で発言、活動をしている人たちばかりで固めています。科学者社会でも彼らに対する尊敬、信頼はきわめて高い人たちばかりです。すごいリストです。

今週あたりから、議会のヒアリングが次々と始まるようで、一切のコンタクトは禁じられているということです。猟官運動などと疑われかねないですからね。

エネルギー、環境等についてオバマ政権の方向は明白です。さて、日本は技術だけは「一流・最高」(?)。しかし、政治も、財界産業界も、役所も、メディアも、大学も、利害関係者と大きな抵抗勢力などとの調整ばかりで、「できない理由ばかり」です。もたもたしているうちに世界の潮流から取り残されてしまのでは?とても心配です。日本でも「新しい潮流」の出現が待たれるのですが・・・。

この2・3日、オバマさんの経済政策の一部の発表がありました。この歴史的なグローバル規模の大困難と大転換の時に、この国がすばらしいリーダーを持ったという誇りに近い雰囲気が、国民の間に(といっても直接に聞いたのは私の周りにいる方たちが主ですが、)広がっているようです。時間はかかっても、この問題を、協力しながら乗り越えようという自信がじわじわと湧き始めたというところでしょうか。課題はとてつもなく大きいのですが、世界のリーダーであろうとする国家の意思と国民の意識でしょうか。

日本ではこんな動きが現れないのでしょうか?兆しはありますかね?もどかしい限りです。

しかし、オバマ政権の困難は極めて大きいと思います。国内経済は言うまでもなく、Pakistan、Afganistan、Palestine-Gaza等々、難題は限りなく、しかも急を要することばかりです。

日本は国内問題で手いっぱい。世界への影響も、世界からの期待もそれほどでないので、まだ救われているといったところでしょうかね。本当に大丈夫でしょうか?

新年を迎えて、日本の国家ビジョンを

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去年は本当にひどい年でした。アメリカは新大統領を迎えて、経済危機にさしあたりどう対処するでしょうか。

地球温暖化の問題に対しエネルギー政策はどうあるべきか?これはどこの国でも大きな課題です。福田前総理のときにこの課題についての特別懇談会が設置され、トヨタの奥田さんを座長に、洞爺湖サミットに向けてまとめを準備することになりました。今の政権ではそれどころか、京都議定書の動き自体止まってしまっているようです。“それどころでない”ということもあるでしょうが、ここで誤ってはいけません。これはある意味で日本のチャンスなのです。

私の低炭素社会へのエネルギー政策の考えの一部をまとめた資料があります。皆さんはどうお考えでしょうか?

 ・総理懇談会第2回(4月5日)資料
 ・総理懇談会第3回(4月22日)資料
 ・自民党の農業委員会(加藤紘一座長)資料

私なりに考える日本の国家ヴィジョンは「2030年までに、食糧とクリーンエネルギーの輸出国になる!」というものです。

そのために、10年、20年後の目標を立て、まず第1次、そして第2次5ヵ年計画を書き上げるのです。学者、官僚、企業など多くの参加を得ながら、「ミッション、戦略的ロードマップ、1年ごとの目標」を、省庁横断的に従来の構造を無視して書き上げるのです。

大蔵省も、より革新的な予算を作れ、構造改革への政策推進できるでしょう。もちろん、定期的国民への報告、プロセスの透明性は重要です。

また、これは長期将来計画ですので45歳以下の人で作成していくのです。もちろん、外国人も入れましょう、ヒアリングもいろいろ入れましょう。

以上のような趣旨で、去年の12月8日(月)に資源エネルギー庁主催のエネルギー政策で基調講演を50分、また、12月11日(木)には日本経済新聞主催のエコプロダクトの会議で、両方とも1,000人近い多くの熱心なかたがたがにお話しする機会があり、私の考えを聞いていただきました。講演の全体の概要はこちらで読むことができます。

2030年までにそんなことは不可能だというかもしれませんが、それでは1年前にオバマさんが米国大統領になると予想した人がいますか?

この国家ビジョンは政治と国民の意志の問題なのです。

「Yes, We Can」です。

2009年、日本は、世界はどのような年になるでしょうか。

「生物資源の保存」シンポジウム、天皇陛下のリンネの記念講演

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12月9日、神戸での学会で「生物資源保存」についてのシンポジウムがあり、基調講演(プログラムフルテキストPDF )にお招きいただきました。講演の前に、生物資源保存の展示 に伺いました。たくさんの資源が集められ、研究されていて、すばらしかったです。皆さん、とてもがんばっています。若い方たちに、「これだけ多いサンプルなのに、すべてに名前がついているのは不思議だと思わない?」と聞きました。

今回私は用意しておいた資料に沿ってお話しましたが(最近は、原則としてpowerpointを使わないことにしているのです)、講演の内容については、このブログを時々読んでくれている方には、見当がつくものだと思います。

資料の順序に沿って話しましたが、講演で特に伝えたかったのは後半部分です。

まず、去年(2007年)リンネの生誕300年にあたって、天皇皇后両陛下がSwedenをご訪問され(参照 1 2 3 )、Uppsala大学(1477年設立)の名誉会員になられました。これはSweden国王を含めて4人しかいないと聞きました。(こちらのサイトでも様々な写真が閲覧できます。

その後、Londonのリンネ学会にも訪問され(参照 1 2 )、陛下の格調高記念講演がありました。それを読んでみるととても感動します。この背景には国民が皇室を尊敬し、誇りに思う基本があると私は考えるのです。格調高い本当にすばらしい内容と構成です。多くの動植物種に学名がついていることのリンネの貢献についても触れられています。ぜひ読んでみてください。

Uppsala02写真: Uppsala大学長Hallbergさん一行が訪日のときにSweden大使館で。陛下の訪問が話題になりました。

この原稿は誰が書いたと思いますか?ほとんどが天皇陛下ご自身としか考えられません。本当にすごいことです。ご公務を考えれば、そのご努力がどれほど大変なものか、想像してみればすぐ理解できると思います。

この陛下のご講演をいつか皆さんにも読んでもらいたい、と思っていたのですが、今回は本当にいい機会でした。

もう一つは、「アメリカ大陸に最初に来たヒトはアイヌ?」という最近の話題です。資料はとにかく集めて整理しておくことが大事なのです。サンプルがなければいくら解析技術が進歩したところで何もできません。

科学でも何でもそうですが、私たちの現在は多くの先人の努力の積み重ねの上に成り立っているのです。小手先の「なんの役に立つのか?」などというばかりの学術政策、研究費配分、役所への陳情など、みな発想からして貧困です。

「毎日フォーラム」(2008年12月号)の記事

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「毎日フォーラム」(2008年12月号)の「視点」に私の記事が掲載されました。

小学校を核に「全員参加型PTA」で地域力向上
研究者や大学生は地元学校でボランティア活動を

健康であるためには健康なファミリーが必要で,健康なファミリーには健康な地域コミュニティーが必要だ-。昨年4月に政府の新健康フロンティア戦略会議の座長として「新健康フロンティア戦略」をとりまとめたが、この基本理念を強く訴えている。

内容は子供の健康、女性の健康、働き盛りの健康、高齢者の健康寿命を延ばそうというのが柱で、その中で私が主張したのは、予防を重視した健康作りを進めるうえで、家庭の役割を見直し、地域コミュニティーを強化することだった。都市化、核家族化、少子化、女性の社会進出の進展で文化や伝統とともに家庭や子育てなど世代を超えた知恵の伝承が難しくなり家庭力は弱まり、崩壊しかけている。若い夫婦は子供の突然の発熱に戸惑い、いきおい救急センターに駆け込むことになる。一番の問題は子育ての知恵が継承されておらず家庭力が崩壊しているということだ。

木に例えるなら家庭力、地域力を高めることが根と幹であり、個別の政策はその先の枝であり、葉の部分だ。そうした大局観のない論議をしているから、政策も小手先の対応になりがちだ。

現代社会でこの家庭力を補うのが、地域コミュニティーだ。都市も田舎も、日本はコミュニティーの一体感、結束力がなくなっている。一体感を失ったコミュニティーは、何か起きた時に一番リスクが高い。逆に、普段から一体感があるところは、一人暮らしのお年寄りの異変にも気づきやすく、災害など何かが起きた時に強い。家庭力を作るためには普段から地域力を付ける必要がある。

ヨーロッパは、街中に人が集まる広場があり、価値を共有するような教会など、もともと集まる場所があるが、日本にはそれがない。まずは全国に約2万2000校ある小学校の活用を提言したい。1年生から通う場所なので都会でも地方でも、人の集まる場所として比較的近い場所にある。これを核に時間のあるときにはお年寄りや若者、地区の母親などが集まる。みんなが見ているから先生はより授業に集中できるし、子供たちを先生に任せきりにすることもなくなる。常設の「地域全員参加型PTA」だ。子供が病気になった時も「こうすれば大丈夫」とか、母親同士で教え合う。子どもが病気なら気の合う知り合いに預けたりもできる。普段からそうした関係があると「お医者さんは誰がいい」という話も出て、地域の医師もみんなの仲間になる。自治体は巡回ミニバスなどを提供し、土日もこれらの自発的な地域活動を支援する。

コミュニティーの中では子供の健康、食事などをいろいろな人が見ていて、「朝はご飯をちゃんと食べなさい」とか、学校でお年寄り、他人が注意する場面も出てくる。しかられた経験のない子供が増えている現状では、周りとのこうした関係の構築は大切だ。街でもみんなが子供たちに自然に声をかけるようになり、子供たちも見られているから態度や姿勢もよくなる。多くの人が参加する学校に子供を6時まで留め置くと、大人のいるところで自習、復習、読書、運動、遊びといったさまざまな時間の過ごし方ができるし、親も安心だ。先生も自分の仕事に時間をさけるし、父母との関係もよくなるだろう。

一体感で予防医療に貢献

核家族の中で育った女性は(これは男性もだが)、兄弟姉妹や祖父母との接触が少ない、子供を抱いたりあやしたりする経験は、結婚して出産するまでほとんどしていない。コミュニティーの中では、妊娠時から「子供ができたのね」とか声がかかり、普段から周りが応援するようになると安心できるし、もっと明るい社会になるのではないか。たばこをやめた人や、運動でメタボから脱却した人がいればお互いの話題になり、試してみる。行政のトップダウン施策ではない、一体感のあるコミュニティーが予防医療も充実させる。

また、全国には保健所が約500ヵ所あるが、保健師や看護師などが積極的に地域に出ている地域は比較的には一体感があるという。それらの人たちが地域コミュニティーに入り込み、普段から交流することも大事だ。

もう一つは、大学の教員、大学院生、学生、事務スタッフのみんなが、自分の住んでいるところの近くの少、中、高校に行き、年間20時間程度の地域ボランティア活動(土日も含む)をすることを提唱している。学校の先生と一緒に授業をやれば、院生、大学教員も自分の発揮できる専門性に自信を持つし、先生からは子供たちの教え方を学ぶことになる。さらに大学生、院生にはインセンティブとして将来、学校の先生になれる資格を付与する。ボランティアをやった大学生には学校の先生を志望する人も多く、そういう人たちを30代からでも先生に登用するシステムを作れば教育現場も様変わりするだろう。流動性のある仕事やキャリアのあり方も、小学校を中心にした地域コミュニティーを強固にすると思う。こうしたプログラムは中高校、幼稚園、老人施設、病院などでも展開できる。全員参加型地域社会の形成であり、これを自治体が支援する。

働く女性を支援する組織で、病児保育の「フローレンス」というNPO法人があり、加入者が年間数万円を出し合って運営している。病気の子供を登録した人たちが1日預かってくれて、場合によっては医師に連れて行ってくれる。このようなボトムアップの活動を社会事業といい、担い手を社会起業家と呼んでおり、世界的に広がり始めている。こうした事業の広がりは地域コミュニティーの形成にもいい影響を与える。

コミュニティーは地方自治体などの上から与えられるのではなく、自分たちで作るものだ。世代を超えた交流の場を作っていかなければ、都会も地方も「地域社会のないこと」から日本は崩壊していく。健康も医療も「Back to Basics」で基本に立ち返ることが大事だ。すべての政策は健康な地域のコミュニティー作り、家庭力の回復から始まるということを強調したい。

 小学校を核に「全員参加型PTA」で地域力向上
 研究者や大学生は地元学校でボランティア活動を
 (毎日フォーラム 2008年12月号)

Global Entrepreneurship Week、若い起業家の芽を育てるNPO

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Kauffman財団というEntrepreneurshipをテーマに活動している財団があります。]

この財団が11月17~23日、起業家精神の理解と行動をグローバルに進める企画“Global Entrepreneurship Week”が世界の約80ヵ国で展開されました。日本では、本田財団、私も所属する政策大学院大学GRIPSAsia Productivity Organizationなどが中心となって東京と京都の2箇所で開催しました。東京開催の前日が本田賞の授与式でした。会議の公用語は全部英語。

まずはGRIPSで講演会、次いで“エレベーターピッチ”という「エレベーターの中で出会ったエンジェル投資家に自分のアイデア、企画を30秒で売り込む」という企画がありました。ビデオを見て40近い企画応募から3つが選ばれ、3人一組のプレゼンがありました。Asia Pacific University秋田国際教養大学チームが勝ちました。秋田からの参加者3人はみな女性で日本人学生はいなかったようです。この2校は日本では例外的に本格的な国際化をしている大学です。

APU学部学生、約5,000人の約50%が留学生で、授業の半分は英語。

秋田国際大学の生徒の入学時の偏差値は「80」を超えているそうです。ここは本格的リベラルアーツの小さな大学で、1年目は全員が寮生活、1年間は海外の大学へ留学、入れ替わりで交換留学生が来ているのでキャンパスにいる学生の約40%が海外からの生徒。選択科目の日本語やフランス語などの授業は別ですが、授業は原則全て英語です。

京都では立命館大学で開催されました。ここでも参加した講師は素晴らしく元気があって楽しかったですね。

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写真 京都大学の会場、子供起業家も

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翌日は学園祭の最中だった京都大学の時計台で、NPO法人アントレプレナー開発センターが主催する小学生も参加した、実践的な地域のエコを目指すビジネスのプレゼンとブース出展がありました。この日は全部日本語です。プログラムの雰囲気はイベントのWebサイトで見ることができます。なかなか楽しかったですし、子供たちも学生さんも、皆さんユニークで、面白いことを考えています。企業がちょっと手を貸すと、スルスルと育ちそうなものもあります。すばらしい教育であり、経験だと思います。皆さんで応援しましょう。

主宰する原田きくこさん、がんばっています。皆さんも応援してください。賛助会員、企業からの支援もお願いします。一度、このNPOのWebサイトをたずねてください。子供たち、元気でいいですね。

再びロンドンへ-その2

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WHOコミッションの最後の会議ではすばらしい講演やパネルを聞くことができ、また3年間一緒に仕事をしたCommissionersとは最後のフォーマルな会合でした。この報告書は特異な存在で、WHOが社会要因などというある意味常識的にはタテ社会の管轄範囲を超えた特別委員会なので、当然、実行するには時間も、不可能なことも多くあるでしょう。ここからどう進められるか、これが一番のチャレンジになるのです。これは単に始まりなのです。

これからの「Hot, Flat, and Crowded」(Thomas Friedmanの最新作)な未曾有の地球規模のすごい変化が起こる。そして人間社会が適応していかなければ、とんでもないことが起こるに違いありません。すでに不穏な動きはあちらこちらで起こっています。多くの人が故郷を追われ、暴動、衝突、戦争がいたるところで始まっています。問題はアフリカばかりでありません。Pakistan、Palestine、Iraq、Kashmirなどいたるところです。これからもっとひどくなるのではと懸念されます。世界は貧困、水、食料、エネルギー、そして人の動きなどで、いっそう不安定な動きが頻発するでしょう。

オバマさんが大統領になるなどという、1年前でさえ、世界の誰もが予想さえしなかったようなことが起こり、アメリカが国際社会での信頼を取り戻せそうに感じられたのは一つ明るいニュースです。しかし、オバマさんもアメリカに雇用を取り戻すという選挙公約がありますから、初めは世界のことばかり向いているわけにも行かないでしょう。

グローバル世界では、企業、NGOは、国家の枠組みをこえてグローバル化していくでしょう。しかし、民主国家での政治家は、国内の選挙というプロセスで選ばれなくてはならないのですから、基本的にはローカルなのです。

会議で取ったいくつかの写真を掲載しましょう。会議のサイトとともに、webcastも楽しんでください。5月にG8環境大臣会議でお会いしたHilary Ben(写真1、2)、Paul HuntMary Robinson(写真3、4)などのすばらしい講演をwebcastで視聴することができます。私も2日目午後のCafe Conversationに出ています。

Dsc00241写真1: 環境大臣Hilary Benさん

Dsc00275写真2: Ben大臣と(Ben大臣の胸の赤い花はというと、戦没者を偲ぶ日“Poppy Day”なのです、私も胸につけていました。)

Dsc00276写真3: Mary Robinsonさん

Dsc00280写真4: Mary Robinsonと総合司会 BBCのJohn Humphrysさん

2日目の金曜日、最後のセッションを失礼して、夕方4時半に会場を出発。ヒースロー空港からドバイへ向かいました。

グローバルヘルスと日本を考える、「日本内科学会講演」

今年は、東京アフリカ開発会議があり、G8サミットがあり、日本はグローバル世界から注目された1年でした。しかし、これらの大事な会議が終わってまもなく、福田総理が安倍総理と同じように、就任1年で突然退任されました。

今年の春、私は内科学会総会のパネルにお招きを受けました。過去にも何度かこのような機会をいただきましたが、特に今回はグローバル時代を踏まえて、今盛んに論議が湧き起こっている国内の医療問題や政策関連には触れず、外の世界へとを思いをはせていただけるように世界の中の日本という話をしました。他のパネルの方たちが国内の問題に限定した話が中心になることを考えた上のことのです。

聞いていた方たちから、多くのコメント、励ましをいただきました。

この講演の内容が日本内科学会誌に掲載されましたので紹介します。

 「グローバル世界と日本の課題」(PDFをダウンロード)