空の上、12,000メートルでシャワーを浴びる

→English

Khalifa大学の理事会に参加するので、Abu Dhabiへ2日間出張してきました。成田からEtihad航空の直行便で約11時間の旅でした。

学生の数も、また海外からの教授陣も充実し始めています。工学系が主力ですが、原子力の修士課程の学生さんもいます。韓国からの原子力発電の導入を受けて人材の育成に余念がありません。韓国からは、KAISTなどが中心になって教育、人材育成の支援をしています(参考1)。KAIST学長のDr. Suhさんも来ています。

2日の会議を終えて、帰国の25日はNaritaへ行くEtihad便がないので、Dubaiへ移動、夜中すぎの成田行きのEmirates直行便に搭乗。これがAirBus A380で、しかもFirst Classでした。First Classには4人ほどしかお客さんがおりませんでしたので、到着の1時間前にシャワー施設のある素敵な部屋で、シャワーを使いました。お湯は5分しか出ないのですが、結構ゆったりとシャワーを使うことができました。

12,000メートル上空でのシャワー、さっぱりした気持ちで成田に到着しました。

 

「強さ」と「弱さ」を認識する、日本は変われるのか

→English

3.11から1年半がたちました。

あの大災害で世界が見たものは、巨大津波で多くの親族を失い、生活をすっかり失ってしまったとてつもない被害にあった人たちが、大きな悲しみの中で黙々として、大きな騒動もなく、自分たちで助け合う美しい姿でした。

福島原発事故でも、「フクシマ50」と言われたような現場の人たちの、自己犠牲の献身的な活躍に、ある種の感動を共有したのでは、と思います。

でも、あの大事件から1年半の時間がたって日本には何か変化の兆しが見えているのでしょうか?

私は、国会事故調の始まるチョット前の12月1日に、一緒に仕事をしているHiromi MurakamiさんとJapan Timesに、 "Fukushima crisis fueling the third opening of Japan"という意見を投稿しました。ちょうどTTPが話題になっていた頃でした。「日本の第3の開国はボトムアップからだ」というタイトルです。3.11をきっかけに多くの若者たちが新しい社会構築に活躍をはじめていますが、これらが新しい日本の、「第3の開国」のきっかけになってほしい、という期待です。国全体としては、世界が変化しても、いろいろな利害関係者との利害が複雑に絡まって、TTPや近隣諸国との関係などについての、国の政策がほとんど動かなくなっているからです。

日本の政産官などのリーダーのひどい有様は「3.11」ですっかり世界に知られてしまい、国家の信用は大きく損なわれてしまいました。

このタイトル「Third Opening of Japan」が何人かの目を引いて、3.11の1周年にあたる今年の3月11日に出版されたReconstructing 3.11amazon) というeBook本に"History: Japan's third opening rises from black waters"(by Hiromi Mukrakami and Kiyoshi Kurokawa)というエッセイを掲載していただきました。

しかし、大災害から1年半がたち、復興へ向けて、特にフクシマでは何が起こっているのでしょうか?この日本人の辛抱強さなどが、大きなうねりとなって動き始めているのでしょうか?却って、福島、岩手などの現地で黙々と日常的に働いている方たちを見ると胸が痛みます。政治も、行政も、この多くの被害にあわれた方々の、あきらめにも似た従順性を利用している、というか、少々甘く見て、対策が遅れているのではないかと思えるこの頃です。

そんな時に同じような意見がNew York Timesにも掲載されていました。日本語は「変わり始めた日本人」ですが、英語では“In Fukushima, Surreal Serenity”として掲載されています。クミコ・マキハラさんの記事です。

毎週金曜日午後6時の官邸前での粛々とした「反原発デモ」は、従来と違った自発的な行動のようですが、このような権力に対する意見が目に見える形で出始めたのは、日本人がちょっと変わり始めている一つの証左かもしれません。

しかし、メディアの報道などを見ていても、政治の世界は相も変わらず小粒の権力闘争ばかりで、国家の行方も見えず、変わり映えがしません。政治の力の弱いことをよいことに、各役所は自分たちの「仕事(というか利権の維持)」を粛々と進めながら、何も変えようとしない、既存勢力の恐ろしいほどの抵抗が、変わる世界の情勢の中で、「変われない日本」「漂流する日本」の底流にあるように見えます。

なぜでしょう、どうしたらよいのでしょう。

それは、マキハラさんの記事の最後にあるように、「この国が現在取り組まなければならない難しい課題、それは賞賛に値する日本の人々の忍耐力はそのままに、国家や組織に対する健全な批判精神をどう育てていくか、という事…」なのでしょう。

 

国会事故調 ‐8: FACTAの記事、2つ

FACTAといえば、政治、経済、産業界等に対して素晴らしい切込みで知られた、いわゆる質の高い月刊誌だと思います。

去年の夏にはオリンパスの問題を取材掲載していたところで、この記事から社長が突然解雇され、あの大問題が起こる発端になったことでも知られています。

この編集長の宮嶋さんは、私たち国会事故調が始まってからほとんどすべての委員会に出席されて、鋭い質問を浴びせるので、私もどうなるかとチョット心配をしていました。

でもずいぶんと私たちの活動を応援してくださっていることは、次第にわかり始めました。報告書が出た後、2回ほどこの国会事故調関係の記事を掲載してくれました。

第1回は、10月号に掲載された民主党の荒井 聰議員と私の対談、そして11月号にはこの事故調の調査統括を引き受け、この委員会の推進に中心的な役割を果たしてくれた宇田左近さんの特別寄稿PDF)です。

いつも本質をついてくる宮嶋さんらしい企画として取り上げていただき、うれしかったです。特に宇田さんの特別寄稿は、国会事故調の中の経緯を書き取って、私たち委員の一人一人が知らないところも多く、とても緊張感のあるいい記事になっていると思います。

宇田さんと、彼とこの「大事業」を動かしてくれた人たちみんなに、委員を代表して本当にありがとう。

 

国会事故調 -7: メディアの反応

→English

国会事故調査報告書を発表したとき、メディアの反応は否定的ではなくとも、褒める事のない事は予測していました。それがメディアの特徴だからです。

特に同時に発表した日本語版の「要約」と、英語での「Executive
Summary」の最初の部分が「同じでない」、しかも英語では「日本文化のせい」というフレーズがいくつかのメディアで批判されました。

海外ではThe GuardianFinancial Timesへの投稿で「文化のせいにすると責任を問えない」などと批判されました。

しかし、この「要約」と「Executive Summary」はほぼ同じページ数ですが、内容は違います。

海外メディアでも評価されるコメントは多いようです。

例えばCNNのコメント等です。

http://edition.cnn.com/2012/07/06/opinion/takeshita-fukushima-management/index.html

http://www.pbs.org/newshour/bb/world/july-dec12/fukushima_07-05.html

http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-18718486

特にこのDr. Chackoの記事はよく分析しています。何しろDr. Chackoは、私のことを良く知っていますから。

http://www.huffingtonpost.ca/sunil-chacko/safety-metrics-made-in-ja_b_1680670.html

メディアもいろいろです。海外でも多くの報道がなされました。

 

国会事故調報告書が一般書店で発売開始

すでにお知らせしたように、福島原発の事故から丁度1年6ヵ月の9月11日に、私たちの国会事故調報告書が徳間書店から発売されました。税込で1,680円です。

お近くの書店でもお求めになれるのではないかと思いますが、そうでない時にはアマゾンでもお求めになれます。

皆さんに広く読んでいただき、いろいろご批判もいただきながら、みなさん一人ひとりが、自分たちの選ぶ国会議員に、報告書の「7つの提言」の実現へ協力するつもりなのか、この点を問いかけましょう。

次の選挙でも、この点を問いかけ誰に投票するのか、自分でしっかり考えて行動しましょう。

この行動が、皆さん国民が選ぶ国会議員が、立法府で活躍する大事な仕事の一つだと思います。

そうすることで、政府を、役所を、国民の皆さんがチェックできるのです。

 

国会事故調 -6

私たちの事故調の報告書を国会に提出してから、いろいろなメディアや団体からもお招きをうけています。

先日の二本松市での講演会でもご覧になれますが、それに前後して経済同友会、また、週刊朝日でのパネルなどがご覧になれます。

経済同友会 → http://www.youtube.com/watch?v=mxDyLYHaUFo

週刊朝日 → http://www.ustream.tv/recorded/24905585

週刊朝日は私たちの委員会にもよく出ておられ、また福島についての本も書いている今西さんも参加で、関西弁の入る軽めのノリのセッションになりましたが、いくつかの本音も出て良かったです。

両方ともちょっと長めですが、お時間のある時などにご覧いただけると嬉しいです。

国民が選挙で選ぶ国会議員へ、私たちの提言の実現への圧力となるといいのですが、、。

 

野中郁次郎さんと私の対談のお誘い

去年にも、このカラムでお知らせしましたが、イノベーションで著名な野中郁次郎さんと私の対談をご案内します。

タイトルは、「改めて「震災後」・「日本の将来」を問う」です。

前回と同じようにUniversity of California at Berkeley (UCB) と at Los Angeles (UCLA) の日本同窓会主催の企画で、9月18日(火)、夜7:00開始、東京の新丸ビル内で開催します。

詳細はこちらです→ 
9月18日UCLAイベントのご案内 (PDF)

UCB, UCLA同窓会員でない方も、特に若い人たちの参加を歓迎します。

 

国会事故調 -5: 事故調査委員会の始まりの頃の「意外な」応援メッセージ

→English

国会事故調は、何しろ「憲政史上初」ですから、立ち上げの頃には特にいろいろと苦労しました。

第1回が福島で12月18、19日。第2回は、1ヶ月もたった1月16日なのですから、当時の私たちが見えない先を模索している苦悩もご理解いただけると思います。

その第2回に参加していた英国のThe Economistの記者が、意外なこと(と言ってもこれは私たち事故調の狙いの一つだったのですが、、)を書いてくれました。

“Japan's nuclear crisis; The Meltdown and the media”という何とも刺激的なタイトルです。書いたのは、イニシャルからも第2回に出席していたKen Cukierさんですね。しかも同じ日付けという早業です。

世界に悪評の高い日本メディアの「記者クラブ」についてですが、私たちの委員会もそれを十分に意識して、委員会を誰にでも公開していたのです。しかも英語の同時通訳をつけて。世界にも見ていて貰いたいからです。

この点を的確に、タイムリーに書いてくれたので、私はとても嬉しかったです。

このサイトでも何回か書いていますが(12、他にもいくつもあると思います、このサイトの中で 'search' してみてください)、The Economist は私の好きな週刊誌です。

目のつけどころが「さすが」と思ったことでした。

Ken さん、ありがとう、ちょっと遅くなったけど。

 

Bergenから

→English

Osloを朝早く出発、Bergenへ飛びました。

早速、船でフィヨルド(fjord)ツアーです。小雨模様ですが景色を楽しみながら、4時間ゆっくり過ごしました。

がっちりした大岩、緑豊かな美しい自然、所々に小さな集落がすぎて行きます。

落ち着いた、また豊かな自然と人間の営みの一部が見えます。サケの養殖なども盛んなようです。

冬は厳しいでしょうね。街並みも美しく、「しっとり」 しています。

 

Osloから、Kavli -2

→English

4日の午後、Oslo Concert Hall でのKavliの授賞式は国王の出席もあり、とても素晴らしいものでした。日本でも良く知られた俳優さんで、科学の理解への活動をしているAlan Aldaさん、地元のAse Klevelandさんの司会で進みます。しかも、若いいろいろなジャンルの芸術家を、途中にいれながらの進行です。

これもWeb(12)で見ることができます。とても良いテンポで進みました。一度、こんな式典を企画して見たいなあ、と思いました。

しかし、ステージにおられる国王とこれらの芸術家(クラシック、ジャズ、ラップなど歌ったりの他に、踊ったりもありますから、、、)の距離がとても近くなることがあり、日本ではとても考えられないような距離感でした。

全体として、特に若い人たちを励ます色彩が強いことに、この国の素晴らしい、何かを感じました。

夜は、Oslo City HallでNorway 政府主催の晩餐会に出席。ここでも国王も出席され、とても気楽にメインテーブルについておられます。ここでもいくつかの演奏や合唱などもとても素敵で、気取らず、楽しいものでした。

なにかこの国の頑固でも堅実で大人、しかし、なかなか気が利いているというか、何かがとても違うというお国柄を感じた4日間でした。

明日は朝早く出発して Bergen に行きます。はるばるここまできたのですからちょっと一足伸ばします。