熊本と二人の漱石

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今年は夏目漱石の没後100年で、「漱石」をめぐるいろいろな企画が行われています。

その一つが、「アイラブくまもと、漱石の4年3か月」という創作劇で、夏目漱石が第五高等学校の教師として、熊本で過ごした四年三ヵ月の物語です。

まったくの偶然なのですが、熊本の地震と、英国ロイヤルバレー団の日本訪問、そして蒲島知事とのご縁で、私の曾祖父の黒川 脩(おさむ)「漱石」と夏目 金之助 「漱石」の二人の関係が復活し、10月に熊本、そしてこの12月に東京でこの創作劇が公演されることを知ったのです。

私の曾祖父は、細川藩の御典医でした。また細川幽斎公を元祖とするお家流の俳壇の第九世の宗匠で、「漱石」を名乗っていたのです。

私は東京公演の前夜祭にお招きを受け、いろいろな方とお会いすることができました。

翌日は漱石とは縁の深い「新宿」「四谷区民ホール」で行われた公演に行きました。主役の夏目漱石は浜畑賢吉さんです。

この舞台では、地元の名士「漱石」と、風邪で熱を出して臥せている若い日の夏目「漱石」との愉快なやり取りも出てくるのです。

この劇は実に楽しいものでした。さすが浜畑さんはすばらしかったです。さらに若い漱石をめぐっての皆さんがとても良いのです。

久しぶりに親戚の方たちや、いろいろな方との出会いもあって、和やかな一日を過ごすことになりました。

ご縁は不思議なものですね。

 

日本の新しい医学教育を、人材の育成を通して進める

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12月18日(日)の午前、東大の農学部キャンパスにある弥生講堂で日本臨床疫学会の発足記念講演会がありました。

日本でもようやくこのような学会ができたのですね。新しい時代の医師に必要な素養の一つです。

この学会は、この分野の活動を進めてきたリーダーの一人である福原俊一さん(京都大学教授)の企画に始まるものです。福原さんはこの分野での活動を通して、新しい時代の医師の育成に熱心に取り組んできました。

日本の医学教育、学会の在り方、専門医の作り方、認定の在り方など、世界の時代の流れに比して、日本では20年は遅れていると確信しています。

私が行った20年前の東京大学での最終講義学会での講演医学教育の在り方1)などを見ても、日本の大学の教育がいかに変わっていないことが浮き彫りになってくると思います。

この学会の発足記念講演会の冒頭、ご挨拶の場をいただきましたので、1980年ごろから欧米では始まっていた、しかし、日本では理解されない、いくつかのプログラムを私と仲間たちが始めたことなどをお話ししました。

私の講演のビデオはこちらから見ることができます。また、この時の私のスライドはこちらです。

 

巨大構造物を訪問する:浜岡原発、君津製鉄所・発電所

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12月11日(日)、一日がかりで中部電力の浜岡原子力発電所を、三人の友人と訪問する機会を持つことができました。

福島原発事故をうけて、新しく整備された5つの発電所、津波防壁、かさ上げされたいろいろな器具・構造物、電源車や消火車などを見てきました。

1、2号機は廃炉へ、3~5号機は再稼働に向けて、真面目に安全対策を進めていることころです。

3、4号機の中に行ってみると、これもさらに補強がしてあり、中には複雑な修理のための補強物などがあり、内部を見て回るにも、下から上へ、また下へと、狭い階段と種々なパイプなどがあり、これは本当に大変です。

建屋のトップから使用済燃料棒のタンクの水を見ながら、なぜ最近の福島第二原発で60ガル程度の地震でこの水が減ってしまったのか、などの質問もしました。

しかし、この巨大構造物と、複雑極まりなく縦横斜めにつながりあう器具、チューブなどを見ていると、停電、地震、火事、津波、雨、台風、夜中など、条件の悪いところで、それなりの大きな事故が起きた時に、この巨大で複雑な内部構造の中で、果たして多くの人たちがうまく機能するのか?直感的にでも考えてしまいます。

昔から、人間は巨大構造物を作り、人々を驚かせ、治めてきました。ピラミッド、万里の長城、東大寺の大仏と大仏殿、ヴェルサイユ宮殿、紫禁城などなどです。

この原発のような複雑な機能と巨大構造物を、人間がいざというときに制御できるのか?と直感的に感じてしまうのは普通の感情でしょう。まさに、”畏れ”、”Awesome, Stunning”でした。

Facebookにも「とき放たれたプロテウスを人間がコントロールできるのか、という「根源的な問い」なのだろうか?」と記しましたが...。

13日(火)は、これも一日がかりで、駐日UAE大使のHis Excellency Mr Khaled Omran Sqait Alameri大使たちと、千葉県の君津にある新日鉄住金の製鉄所と、その隣にある東電の火力発電所を訪問しました。これらも巨大建造物です。すごいものです。

ところで、Alameri大使は、私が医学部長をしていた頃に、東海大学工学部電気工学科に留学していた方なのです。うれしいですね、このような関係は。

 

Xiborgの遠藤さん、為末さん、おめでとう

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最近いろいろなところで取り上げられている、Xiborg遠藤 謙さん123)。彼とは、彼がMITの大学院生のころからのお付き合い。PhDを取るまでガンバって、帰国してSONY Computer Science Laboratory(CSL)に。為末 大さんたちと会社を立ち上げ、今度はついに、小池都知事就任で初めて真相が分かってきた話題の豊洲で、素敵な実験的運動場 Brillia Running Stadiumを立ち上げました。所長は為末さん、12月10日の開場式に行ってきました。

東京オリンピックでも使用される材料でできているトラックもあり、障がい者をスーパーマンにしようという高い目標も視野に入れています。

大きな目標で世界を目指して、何年もかけながら、苦しさを乗り越えて活動している若者たち。素敵です、いつも元気と感動をもらっています。

このような若者たちが、停滞する日本を変える力です。東京オリンピックでメダルを目指そう!もちろん、ですよね。

 

日本の農業の情けなさ vs 活躍する若者たち 

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農業改革はTTPとは関係なく日本の大きな課題です。なにしろ、日本農業の価値、可能性はとても高いのですから。

にもかかわらず、農業産物の輸出で稼ぐ力は、アメリカ、オランダ、ドイツ、ブラジル、フランスの順で、日本はなんと世界で「45位」あたりですから、何かおかしいと思いませんか?良いものに価値をつけて、世界に売ることができない日本の弱さの代表例です。

小泉進次郎さんの頑張りで進み始めてはいますが、最近でも農協(JA)の抵抗や、自民党の大きな票田ということで、一時的にせよ腰砕けになるとか、いろいろです。

内閣府の担当からこの問題について意見を聞かせてほしいというので、2日間にわたってヒアリングに参加しました。

農業の現場の方たちは皆さんがんばっているのですが、農家の時給は450~500円程度なのが結構多いようです。これはちょっとひどい状況ですね。

ヒアリングの2日目は、Oisixの高島さんと、Seak「ゆる野菜」の栗田くんといった農業出身ではない方たちの農業事業のヒアリング。「ゆる野菜」モデルは、創業まだ2年半ほどですが、参加の農家の時給は、すでに2,000円近くになっていて、3年目には2,500円ほどを目標にしているそうです。

日本の農業という素晴らしいアセットを生かそうと頑張っている方たちです。

陪席した役所の方たちにも、この2人のプレゼンはインパクトがあったようでした。高島さんは以前から知っており、上場まで果たしている起業家です。栗田くんは私が連れて行きました。

栗田くんはWHILLの経営にかかわっていた頃に知りあったのですが、最近この農業の新しいモデル事業を始めたのです。素敵なビジネスモデルです。

このような若者たちが、停滞する日本を変える力です。みんなで応援しましょう。

 

企業研究所での講演

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パナソニックヘルスケアは、四国松山を拠点としている会社で、10数年前に講演で一度行ったところです。

その後、パナソニックから独立。三洋電機と合併し、KKRという外資が80%の株主で、外から小谷さんという新しい社長を迎えて活動している企業です。最近、三井物産がKKRの株の一部(20%)を購入しました。

このパナソニックヘルスケアの群馬拠点で講演の機会をいただき、出かけてきました。500人ほどの技術者の方たちを対象に行った講演ですが、他の2カ所の研究開発拠点の方々も参加し、活気のあるセッションを持つことができました。

質疑応答も活発で、若い人たちにも元気が感じられました。ただ、ほとんどが男性で、しかも外国の方は中国のをはじめ、ほんのちょっとでした。これは困ったこと、というか弱みですね。

ここでお話ししたことは、”よその会社との合併、外資が大株主となり、外部から社長が来るという、日本で起こり始めた企業としての歴史、統治のあり方の変化が、みんなの気持ちの変化に出てきているのではないか。そしてこれらのあまりなじみのない会社の変化こそが、みんなの意識を全体としてはよい方向に変えてきるのではないか”、ということから始めて、「イノベーション」の意味、これからの課題などについて話をしました。

企業で行う講演は久しぶりでしたので、ちょっとわくわくしました。いい時間を過ごせたと思います。

皆さん、がんばってくださいね、期待していますよ。

福島原発、地震と津波再び:福島原発の事故から何を学ぶのか?

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11月22日(火)の早朝、東日本沿岸でまたM7.4の地震があり、場所によっては1.4Mに達する津波もありました。あの大災害、そして歴史的な福島原発大惨事から5年半のことです。

言うまでもなく、5年前の大惨事に比べれば、幸いにしてそれほどの被害の状況ではありませんが、福島第2原発ではちょっとした事故がありました。その3号基では、保管されている約2,500本の使用済燃料棒を冷やしている水の循環が約100分の間、止まったとのことです。

あまりメディアなどでは取り上げられていませんが、この福島第2原発の事故は、あまり軽く見ることはできないと思いました。

第1に、日本は地震大国という事実です。世界で起こるM6以上の地震の約20%は、日本の周辺で起こっているのです。「地震、かみなり、火事、おやじ」、地震は予測できませんし、「2011.3.11」のような大きな地震の後は地盤の動きが続くので、地震、火山活動は当分のあいだ油断できないということになります。

政府は、南海トラフで大地震が起こるとの想定でいろいろと対策をしているということです。しかも、11月5日が「世界津波の日」となり、この11月26日には高知・黒潮町で世界30か国の360人もの若者の集まりが開催されました。

第2に、日本には、まだ50基という多くの原発があり、その中に多くの使用済燃料棒が原発建屋で水の中に保管されているということです。今回の福島第2原発は、5年以上も止まっていたので、使用済燃料棒の熱もそれほど高くはなかったという幸運もありました。3.11の事故の時には、米国は停止中の福島第1原発4号基で「使用済み燃料棒を冷やす水」の喪失に大きな懸念を持っていたことはよく知られています。

第3に、今度の地震のユレは100ガル以下のものでした。日本の原発は400~600ガル以上の地震にも耐えるように設計され、その対策(”バックフィット”)がされている”建前”になっているのですが、それがどこまで本当に想定されているのでしょうか?「使用済燃料棒の対応」については想定外なのかも?まさかね?とは思いますが。大体、「使用済燃料棒」は建屋の上の方にあるので、地震によるユレは、地表に比べれば、相当なものになるはずです。この「燃料棒を冷やす水」は大丈夫なのでしょうか?

これらの対策にしても、日本の原発は、福島の教訓として何か対応がなされているのでしょうか?川内では?ほかの再稼働予定のものでは?大いに心配です。

あまり聞いたことがないような気もしますね。たとえば「ドライキャストで...」などと時々つぶやいているようですが、具体的に何か進んでいるとも思えませんね。形だけの議論は、その都度しているようにも聞きますが...。

原発の再稼働ばかりを言っている割には、しっかりと対策を進めているような気もしません。今度の事件で、いい加減な対策の一部が、世界の関係者にまたまた「バレてしまった」とも言えます。

ところで、私が委員長を務めた「国会事故調」の報告書の最後に、私のメッセージとして、以下のように記しています。

「...私たちの身近に教訓となり得る現実がある。2004年12月にマグニチュード(M)9.1を記録したスマトラ島沖地震では、翌年にM8.6の地震が、今年(註;2017年7月時点です)も8.6という大地震が起きている。同じことが、今回の東北地方太平洋沖地震で起こらない保証はない。脆弱な福島原子力発電所は言うまでもないが、安全基準が整っていない原子力発電所への対策は、時間との競争である。...」、と。

今回の地震については、New York Timesの記事にも、私のコメントの一部が掲載されています。

日本は、けっこうお粗末な状態なのです。外からは、いろいろ聞こえてきますし、いろいろと聞かれるのですが...。