国会による事故調査委員会報告書 -1

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ご存知のように、私は、今年になって、このblogでも、またtwitterでも、ほとんど発信しませんでした。

それは、今年の1月1日、2日、6日のこのblogで報告したように、去年の12月8日に発足した福島原子力発電所の事故調査委員会、通称「国会事故調」の委員長に任命されたからです。わたしのblogなどで、関係ないことでの私の意見でも誤解されるといけないと考えたからです。

「国会事故調」報告書は「ほぼ6か月」という7月5日に、国会の衆議院、参議院の両議長に提出。ここまでが委員会の役割でしたので、公的には翌日で任務を終了することになりました。

ウェブで「国会事故調」を調べていただくと、いろいろな報道がされています。提出の当日の夜、さらに翌朝にも、テレビなどメデイアに出たりしましたが、これからちょっと落ち着いて、いろいろなところでも、この報告書を委員のみなさんをはじめとして広く国民の皆さんと共有していくことが大事と思っています。

国会から依頼された私たちの提言を国会がどう受け取るのか、この辺りは急変する政治状況などもあり、いろいろ報道されているところですが、私たちは限られた時間の中で、ゼロからのチームつくりに始まり、本当にみんなががんばってくれました。

この報告書は国会に対する「7つの提言」としてまとめられています。これを実現するには国民と広くこの報告の「7つの提言」を共有し、皆さんの選ぶ国会議員の行動を応援していただくことが大事です。これが、3権分立の民主制度での立法府の機能強化になる一つのプロセスです。

最近、岩波書店の「世界」に掲載された私の 「民主主義国家の常識と責任:国会事故調は何を目指したのか」、大まかですが、私の考えが出ています。

原発事故で避難させられている福島の市町村の首長さんたちを訪問しています。皆さん、本当に大変です。

 

国会の福島原発事故調査委員会 -3

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この委員会について今年の初めから2報ポストしました。日本のメデイアの英語版でも書かれているので、海外の友人からもメールなどをいただいています。

ヨミウリ、キョウドウなどの報道です。ほかにもあるかと思いますが、、。

私もできるだけ英語での発信をしていくつもりです。

英語のOn-lineのメデイアでよく知られているHuffingtonpostでも、わたしの友人のDr Sunil Chakoさんの投稿が掲載されています。とてもうれしいです。

皆さんの応援は、私たちにとって大きな励みになります。

 

国会の福島原発事故調査委員会 -2

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元旦にこのサイトでお知らせしたように、去年12月8日に発令された「国会の福島原発事故調査委員会」(動画はこちら)。この8日には国会で衆参両院長からの辞令交付、さらに国会内で、この委員会の10人の委員の発言と、さらに各政党を代表する議員によるこの委員会への思いを述べるセッションがありました。

これらは国会内からライブで放映されました。当日の全委員の発言、及び国会議員からの申し入れの発言の動画は「衆議院TV」でご覧いただけるのです。私の発言は、委員の先頭としてと、また各党の代表のこの委員会への「申し入れ」の後、一番最後です。この日、12月8日は日本帝国海軍による真珠湾攻撃に始まる第2次世界大戦へ日本参戦の70周年の日でした。日本の大悲劇の始まりでした。この偶然の日の国会ですから、これと関連づけて福島原発事故についてちょっと触れました。

また、この委員会の立ち上げの中心人物、官房長官も務めた自民党の塩崎恭久議員は、何回かこの件についてblogで書いておられますし、12月の半ばにはその記録「「国会原発事故調査委員会」立法府からの挑戦状」を出版されました。

しかし、大変な1年の初めです。

 

新たな大チャレンジで2012年が始まる

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あけましておめでとうございます。

この1ヶ月、つまり去年の12月6日以来、このカラムの掲載がありませんでした。twitterも発信しませんでした。

ご存知かもしれませんが、降ってわいたように「国会による、独立した」、「この60年余,憲政史上、初の」といわれる、政府からも、国会からも独立した「福島原子力発電事故調査委員会」の法律が国会を通過し、私がその委員長に任命されたのです。10人の委員とともに、12月8日に衆参両院議長から、国会で辞令をいただきました。

ウェブ上で「ニュース」などで私の名前をサーチすると、この件についていろいろ (資料1)と見ることができます。

とんでもない役目をおおせつかったものです。JST理事長を退任したばかりの北澤宏一さんが委員長を勤める「民間の福島原発事故調」にも参加していましたが、これは辞任しました。

この委員会の難しさは、いずれ折々にお伝えするので感じ取れるかと思いますが、なんと言ってもこの委員会の10人の委員と、いかに委員会のミッションを共有し、調査・検討を進めていくのか。皆さん、それぞれお忙しい方たちですし、また、事務方スタッフも、進め方のルールも、こちらが決めていくのです。委員会で一応のルールが決まるまで、私も発信を遠慮していたということなのです。

何しろ「「憲政史上初」の重み」は、その民主制度上の意義ばかりでなく、「いままで行われたことがない」ところに、数多くの難しい要件があり、この委員会の運営自体が大チャレンジなのです。

早速18(日),19日(月)の両日、委員の皆さんと福島第一原発の事故現場(重装備です、、)をはじめ、原発近くの人の気配(ひとけ)のない大熊町と除染現場、翌日には仮設住宅と別の除染現場資料1)などを訪れて戻りました。

とんでもないサプライズで2011年は終わり、2012年が始まりました。

 

「第3の開国」は国民の自らの手で、新しい動きへ

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「3.11フクシマ」以来、日本国の信頼はかなり落ちていると感じている人は多いでしょう。信頼回復の兆候もあまり感じられないように思います。なぜなのでしょうね。TPP議論、Olympusなども、その一面をあらわしています。

「3.11」で見えたのは現場の人たちの素晴らしい力です。世界に日本人の芯の強い力を見せました。でも、ちょっとおとなしいのも気になります。これも同じことの裏側かもしれません。

しかし、「第3の開国」などのお題目を唱えていた政府に比べて、東日本震災の被害者たちは、それぞれが新しい頑張りを見せ始め、このような動きが「第3の開国」への道筋になっていくきっかけになるかもしれません。

こんな意見を書きました。

 

 

 

St Gallenへのお誘い、参加してみないか?

St Gallen会議 について、私もこの数年、参加する機会があり、このサイトでも(資料)紹介しています。

世界のリーダーや若者たちのとの交流、そしてすばらしい町の大学キャンパスでの充実した時間をすごすことができます。

来年2012年のSt Gallen会議 に参加を考えてみませんか?参加の要綱は「こちら」です。それなりに厳しいハードルがありますが、チャレンジしてください。

 

台北へ、国内でもいろいろと

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ソウル、沖縄の次の週末は台北へ。台湾内科学会での招請講演です。もう一人は米国内科学会の会長のVirginia Hood さん、今年の4月にSan Diego でもお会いしています。

日曜の午後、台北から車で40分ほどのところにあるJiufen (資料1)へ。映画「非情城市」のロケ地、また宮崎駿さんの「千と千尋の神隠し」のモデルにもなった建物や坂道の商店街など、話を伺いました。なかなか、面白いところで一度は訪問されるとよいところと思います。天気のよい日曜だったので、大勢の人、車で大変でしたが、、。  

あまり景気がよくないのでしょうか、昔に比べて、なんとなく台北も元気がないような気がしました。

この週末に前後して、例年の人間ドック検診、UCLAの同窓会、Canon財団の研究グラント審査、米国大使館での今年で2度目のThe Entrenpreneur Awards Japan 2011, Second Annual Awards Ceremonyなどに参加しました。Roos大使の肝いりのイヴェントのひとつです。

毎日があわただしく過ぎていきます、ちょっと困ったものです。

 

CSIS-HGPI、フクシマで会議

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CSIS はWashington DCにある著名な「Think Tank」の1つで、日本の方達にもよく知られています。私たちの「Health and Global Policy Institute (HGPI)」 は、すでにこのサイトでもご案内のように、去年から、いくつかの共同作業をしています

今年の初めには、HGPIと共同で、日本の国会議員さんたちとの会合なども持ち、その成果の一部を発表しているところです。

特にCSISは「3.11」以来、早速に「日本再建への提言」への取り組みを始め、ここでも健康・医療の分野ではHGPIが共同作業をしています。これもこのサイトでお知らせ (資料1)したとおりです。

この「日本再建」の報告発表会が11月3日にWashington DCであり、さらに11月7日の週に東京で開催されました。報告書 はウェブでも見ることができます。

HGPIとの共同作業の部分を中心に報告する会議を11月11日(金)にフクシマで開催プログラムはここへ。約70名の方々が参加され、大変に良い会議となりました。ご協力の皆さまに感謝します。小雨交じりのフクシマでした。

CSISから参加のMichael GreenStephen MorrisonBrian Biles、また日本側から前原民主党政調会長がTPP関係で急遽欠席。桜井 充 民主党政調副会長代理(前財務副大臣、東北大学のお医者さんです)、内堀雅雄福島副知事冨山和彦さん(福島交通の経営者でもある)、東北大学の辻一郎さん他、色々な方が参加してくださいました。

このコメンテイターで参加してくれた出雲正剛さん は在Bostonですが、早くから今回のフクシマで放射能測定や医療対策にかかわってこられました。私の後輩で、日本のお医者さん、卒業して早々に留学、Harvardの内科教授にもなった心臓疾患の分野で大きな業績を上げてきた方です。今は企業をへて、比較的時間の余裕のある仕事をしています。

医療関係テーマは放射能、精神面での対応、医療提供制度改革の3本柱ですが、日米協力で開かれたplatformを作ろうという趣旨です。

東京に戻ってMike, Steve, Brian、出雲さん、牧野義司さん(独立したジャーナリストで、多くの発信をしています)と6人で食事をしました。皆さん今回の会議についてはとても評価は高く、次への一歩を議論しました。充実した一日でした。

出雲さんはガイガー測定器を持って歩いていますが、10uSv/hs以上のところもあるね、と一言。

 

Botswanaとの交流

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去年の初めにBotswana政府の要請で現地を訪問 (資料)、政府各省高官等と会合、視察の機会がありました。そのときの私の提出した「科学技術とイノベーション政策」に関する報告書の提案を受けて、先日、大統領ご一行の来日のときに、外務大臣とお会いする機会がありました。

今回、BotswanaのKedikilwe大臣が旭日大綬章の受勲を受けられ、Botswana大使館主催のレセプションがありました。こじんまりとした、しかしうれしい会でした。

大臣ご滞在中に、ご同行の何人かの局長クラスの方達と1時間ほどの会談の機会を持つことが出来ました。去年の私の提案が議会を通過したので、その報告と今後の相談も、というお話です。できることは、政府レベル以外にも、色々な角度で協力することは大事です。そのような世界になってきているのです。

日本もアフリカ支援を積極的に始めています。特に2,3年前から始まったODAを担当するJICAと、科学技術政策を担当するJSTの協力 (資料)などはなかなかいい政策です。

多層的な人材の交流 はグローバル世界ではとても大事な外交手段の基本です。

 

講演やプレゼンする、打ち合せ会、研究会、講演会など続く

このところ、いろいろな会や委員会などで講演、プレゼン、などが続いています。

文部科学省、中央教育審議会で「グローバル人材」について、これも教育の実践で活躍している船橋 力さんと私がプレゼン。資料などは役所のサイトに出ますのでそのときにリンクします。この後、参加の方々と文部科学省の何人かと近所の安いところで夕食、ここで盛り上がりました。
別の日、「MOT」を推進する会 が発足記念とも言うべきなのでしょうか、元文部大臣の有馬朗人先生が会長をされ、今回、学術振興会の理事長に就任した元慶応義塾塾長の安西祐一郎さんが司会のパネルで、まず基調講演。これも「グローバル人材育成」です。続いて昭和女子大学長の坂東真理子さん、知る人ぞ知る渋谷教育学園長 の田村哲夫さんでした。

その後のパネルは政策通の林 芳正藤末健三両議員も参加して、だいぶ議論が盛り上がりました。しかし、日本はなかなか変われないですね、口では色々言っていますが、、。そこが、私の言っているところなのですが、、。それぞれが言っていること、提案していることを、難しいでしょうかど、どう実践するか、これが大事なのです。

ある夜は、南アフリカ大使館で、Groebler大使と日本の科学技術関係の方々(JST、CSTPなど国連大学や主要大学関係者)が集まって、南アフリカで100年ちょっと前に創設されたUniversity of Free States の研究科長Prof Stroebelをお迎えしたレセプションで、ご挨拶する機会をいただきました。ありがたいことです。前大使のNgubaneさんとは両国の子供の「スピーチコンテスト」 なども開催し、数年前にCape Town へも行きました。

来月、正式に大学院大学になる予定の沖縄科学技術大学院大学の学長になるJonathan Dorfanさん(資料1)も参加。この大学院は、2人の南アフリカ出身の科学者 Syndey Brennerさん(現理事長)とJonathan Dorfan学長におおいにお世話になっていることを、挨拶の最後にご紹介しました。

ある夜は、早稲田のスパコンのラボでも笠原博徳さんのプレゼンがあり、その会にも参加しました.。 私は日本のスパコンなどをめぐる問題、特に企業組織の課題についてコメントしました。院生のプレゼンにも問題あり、とも指摘して、学生さんたちを元気にする試みもしました。研究の成果はなかなか面白いものですが、時にプレゼンがいまいち、なのですね。学生たちもっと自信を持ってプレゼンするようにしてください。この辺は、日本の教育の共通する問題だろうと思います。多くの大学の環境では、学生がのびのびしていないように思います。

私もサポートしている「Learning for All」。これは米国発の素晴らしいプログラム「Teach for America」への段階のステップで、ここへ向けて大変苦労してがんばっているのです。1年半ほど立ちましたが、松田悠介くんをはじめとてもがんばっています。素晴らしい若者たちのグループに成長しています。が、日本の社会の景気などもあり、苦労しています。これは、将来の日本へ向かってとても意義のある、「1石3,4鳥」以上の効果のある素敵なプログラムです。企業、社会、大学などがもっと理解を示して欲しいものです、政府も言うまでもないことですが。

このような会でも感じることですが、「3.11」は、世界に向かって明確に日本の「強さと弱さ」(資料)をまる見えにしてしまいました。

皆さんそれぞれが、自分の言っている意見をどう実現へ行動するのか、はじめは小さい行動でいいのです。これが問われていると、つくづく感じます。