St. Petersburgからもう一度 – Palmisano IBM社長 と 張 トヨタ会長のイノベーション討論

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5日の火曜日は満を持してHermitageに行きました。全てが素晴らしく豪華です。ピヨトル大帝が何もないこの場所に都を作るとご下命されたのが300年前。河口の湿地帯ですから、大変多くの方々が亡くなられたでしょう。冬は想像を絶する寒さでしょうし、悲惨ですね。この辺については、前回紹介したサイトと、出口さんのサイトをぜひご覧下さい。そういえばNapoleonのロシア進攻と敗退も、悲惨な物語でしたよね。

美術館は素晴らしいの一言に尽きます。入り口から階段をあがったところ(写真1)が特に素晴らしく、内部の床の大部分が木で造られているのもいいですね。当時はどんな暮らしをして、何をしていたのでしょう。庶民や農奴といわれる人達はどんな暮らしだったのでしょう。人口の構成もどんなものだったのか・・・。ここの展示品のほとんどが Heritageのサイトで見ることができます。サイトを見るとわかりますが、IBMの支援の大きさが窺えますね。ダヴィンチの絵は20枚もないと思いますが、ここには2つの有名な絵、「Litta Madonna」と「Benois Madonna」が対になって展示されています。見れば、あの絵だなとすぐ分かるものです。また、ルーベンスの「メデューサの頭」が特別展示されていました(これは撮影禁止でした)。マチスのコレクションも素晴らしかったです。これらの絵画は上記のwebsiteでご覧ください。ルーブルやヴァチカンもそうでしたが、大広間は当時の栄耀栄華が垣間見え、素晴らしいものでした。

いくつか写真をお見せしましょう(写真1~6)。小さなカメラで撮影したので少々見難いかもしれません。

Stpetersburg2014_3写真 1: Hermitageの入り口から上がったところ

Stpetersburg2010_3写真 2: ピヨトル大帝謁見の間

Stpetersburg2009_2写真 3: 大広間(1)

Stpetersburg2011_3写真 4: 大広間(2)

Stpetersburg2007_2写真 5: 将軍たちの絵

Stpetersburg2012_2写真 6: 広間

夜は、中庭で催されたIBMのレセプション(写真7、8)に参加しました。レセプションの後、白夜のHermitageで皆さん美術鑑賞をされていましたが、私は帰りました。夜中過ぎに帰ってこられた方も多かったようです。

Stpetersburg2017_2写真 7: Hermitageの中庭で一ツ橋ビジネススクール竹内教授(向かって右)と帝人の長島社長

Stpetersburg2016_2写真 8: 同じく中庭で左はConfederation of Indian Industry(CII)の元会長Mehtaさん、有本さん(右端)

翌日、今回のお目当てであるIBMのBusiness Leadership Forumに出席しました。会場は4日のコラムで紹介したロシア美術館の前にある、Philpharmonicコンサートホールで開催されました。まずPalmisano IBM社長(1991~93年の間、日本IBMに勤務されていらっしゃっいました)のWelcomeスピーチから始まり、ついでトヨタの張会長、その後、この2人が前回紹介した竹内さんの司会によって討論するというものでした。それぞれが45分程度の長丁場でしたが、とても充実した内容で、あっという間に2時間半が過ぎ、皆さん大満足でした。日本からも20人程度が参加しておられましたが、始めから演壇の上にいる3人のうち2人が日本人と、露出も高く、内容も非常に濃いものとなっており、嬉しかったです。特に張さんの質疑応答はとてもよかったです。最近はこのような場面は少なかったですし、皆さん元気が出た、というか自信が出た?のではないかと思いました。竹内さんの司会もとても上手で一級のエンターテイナーのようです。竹内さんは午前中に2つのパネルの司会を任されていました。高い信頼を得ているのですね。立派なものです。

Stpetersburg2018_2写真 9: 会場の前で、日本IBM大歳社長と有本さん、二人は大学で同級とか

この日はいろいろな方が出席されていて、皆さん素晴らしい方ばかりでした。AustraliaのTelstraやSpainのZARA(双方とも特徴のある企業ですね)の方や、Ms. Carlota PerezMs. Rosabeth Kantorのご両人は特に素晴らしかったです。主催がIBMなので、この辺もwebsiteに掲載されていると思います。

いくつか教訓的な言葉がありましたが、みな今度の「イノベーション25」に掲載されています。松坂大輔の言葉ではないですが、私にとっては「自信が確信になりました。」という言葉がぴったりです。しかし、これらが実践できるかどうかです。日本の問題はいつもここにあるのです。少なくとも、私のブログを訪ねてくれている方々なぜかお分かりですね?行動あるのみです。できない理由など聞きたくないですね。

夜は、ロシア民族博物館でレセプションがありました(写真10、11)。翌朝は、午前3時に起床。今、Frankfurt経由でVancouverに向かう機内でこれを書いています。

Stpetersburg2019_2写真 10: 民族博物館の会場の俯瞰してみたところ

Stpetersburg2020_2写真 11: 有本さんと台湾物理研究所所長の呉茂昆(Wu Maw-Kuen)先生

St. Petersburg、そして出口さんから、ドンキホーテへ

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ロシアは初めてですが、ここは夜の11時になっても日が沈まず、ほとんど暗くならないので調子が変ですね。

IBMの主宰する「The IBM Business Leadeship Forum」という会議で、St. Petersburgに来ています。よくご存知かと思いますが、2006年に発表された「Innovate America」の座長をした、Samual Palmisano(IBM Chairman and CEO)が主宰者です。 4年前ほどから毎年開催していて、一ツ橋Business SchoolのDean、竹内さん(2007/1/26のブログに写真が出ています)は常連のようです。彼は、このような国際会議における、日本人では素晴らしいパネリスト。特にモデレーターとしては最高の方です。今回は、St. Gallenでもご一緒したトヨタの張会長や、社会科学研究センター長の有本さんも参加される予定です。

St. Petersburgについては、www.geographia.com/russia/peter01.htmのサイトを参考にするのがよさそうですね。Baltic海に向かって流れ込むNeva川の河口のデルタにあり、18世紀初めにピヨトル大帝が「ヨーロッパへの窓」として作った素晴らしい都市です。やはり、歴史を知らないとあまり面白くいないですね。革命で1917年にモスクワに移るまでロシア帝国の首都でしたし、18~19世紀の栄耀栄華の香りがどこかしこにします。勿論、ロシア革命発祥の地でもあります。

緑がとてもきれいで、公園も広く、木が多くて素晴らしい風景です。冬はとても寒そうですが、それはそれでみなが楽しんでいるそうです。ここには1週間以上滞在する予定です。皆さんもぜひ訪れてみてください。

Hotel Astoriaは、とても便利な所にあります。今日、4日は月曜なのでHermitage Museumは閉館。ということでこのあたりを3時間ほど歩いてきました。しかし、月曜日にも関わらず街は人でいっぱいです。特に若者が多いです。なぜでしょう、夏休みなのでしょうか?車はそれほど多くはありません。この辺りは古い建物が多く、経済成長はまだこれからということでしょう。

まず、国立ロシア美術館に足を運びました。19世紀の終わりにニコライ2世によって立てられたもので、ロシアの伝統的な美術が最も多く収集されているところです。その隣りにはAlexander2世暗殺の場所に立てられた教会があります(写真1-2)。

写真1-2

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最大の見所は、冬の宮殿 Hermitage(写真3-5)。この宮殿は、Empress Elizabethが18世紀に建て、ロシア革命が起こるまでTzarが住まわれていたそうです。美術館としては世界で一番大きく、4大美術館の一つとされています(他の3つは、Metropolitan in NYC、British Museum in London、それとMusee de Louvre in Parisです)。ヨーロッパのコレクションが数多く展示されており、当時ロシアが超大国であった証でもあります。明日にでも行ってみようと思います。

写真3-5

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ところで、これまでも何度か紹介している、出口さんの「Digital New Deal」についてですが、このサイトで私が座長をしていた内閣の「イノベーション25」の応援をしていただいておりました。このサイトには出口さんの書かれている「DNDメールマガジン」もありますので、是非ご覧になってみてください。ちょうど一ヶ月前のことですが、出口さんがロシアに行かれたことが、4/25、5/9、5/16、5/23のメルマガに書かれていて、素晴らしい読み物になっています。なんといっても元記者ですから、書くのは上手です。しかも、カバーする範囲がとても広いですね。

5/16のメルマガでは、細かく、とても臨場感豊かに、St. Petersburgのことが書かれています。なので、St. Petersburgの話はこの辺でやめておきます。ものを見て、体験して、書いて表現する力の差が歴然なので。

この5/16のメルマガには、先日亡くなったチェロの偉人、Rostropovich氏についても書かれています。また、5/23のメルマガでは、CervantesのDon Quixoteについて議論を展開し、出口さんと私のDon Quixoteについてのやり取りと、私が尊敬する野中郁次郎さんの著書、「イノベーションの作法」について述べられています。ぜひぜひ、出口さんが書かれたロシアからのレポートを読んでみてください。なぜDon Quixoteなのか?イノベーションにとって、とてもとても大事なことなのです。

後は、今日、訪問しましたスナップ、数枚の写真で御免こうむります。

写真6 Neva川の向こうに見るPeter and Paul要塞

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写真7-8 Hotel向かいのSt Isaac Cathedralと、向かい側の広場の光景

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St. Gallenから

スイスのSt. Gallen大学で開かれている、第37回のSt. Gallen Symposiumに参加しています。学生の主催にも関わらず、世界から学生が約200人、スイスはもちろん、ヨーロッパの方が多いようですが、世界のビジネス界でリーダーを務める方々が約400人も参加しています。このシンポジウムは早くも37年目を迎えるということです。私がこの6年間参加している「ダボス会議」と同じ頃に発足しているのです。

1日目の5月31日に行われたKeynote Sessionでは、前イラン大統領のKhatamiさん(去年は国連大学で今年はダボス会議でもお会いしました。写真1)などが話され、私もPricewaterhouseCoopersのCEOであるPiazzaさん等と共に、パネルで講演を致しました(写真2)。

これらの内容はSt. Gallen Symposiumのサイトで、video-streamingで見る事ができます。

写真1-2

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皆さんは主にビジネスの話をしていたのですが、私は若者へのメッセージを主体に話しました。学生さん達からも歓声が上がり、とても好評だったようです。パネルの司会をされた英国のLord Griffiths of Fforestfachからも、「最高だ」と喜んでくれました。この後も何人もの方から「素晴らしい」とのお言葉をいただき、学生さんも沢山集まり、夜まで盛り上がりました。日本からも17人ぐらいの学生さんが参加していますが、その約半分が留学生で、Argentine、Singapore、Malaysia、Poland、US等々、多士済々でよかったです。15年ほど前から日本側のお世話をしてくださっている元財務官の行天さん、現財務官の渡辺さん(去年も参加しているそうです)と会場で撮ったスナップ(写真3)と、学生さん達と撮ったスナップをお見せします(写真4)。

写真3-4

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2日目の夜は、この会議を日本側でお世話されている方々と、St. Gallenでは有名なレストランGupfで会食しました。眺めは最高で、またワインセラーがすごいのです。ところが、なんとその日は雨という最悪の天候で、ガスが多くて山の上まで何も見えませんでした。この会食には、先程もご紹介致しました行天さん、渡辺さんはもとより、在ハーグの小和田さんご夫妻、到着されたばかりの張トヨタ会長ご夫妻、スイス大使もされたことのある国松元警察庁長官、阿部スイス大使ご夫妻、堤さん(三菱商事役員で元通産省事務次官)、NHKの今井さんご夫妻、Credit Swissの鈴木会長ご夫妻等々、素敵な方々が出席されました。この方々が中心となって、日本の立場から、色々とこのSt. Gallenのシンポジウムの応援をしていただいているのです。

この場所からコンスタンツ湖が見下ろせ、その向こうがドイツ。そこの近くで毎年Lindau Meeting with Nobel Laureatesが開催されているのです。参加した日本の若い研究者を何人か知っていますが、Nobels賞受賞者達との交流にとても刺激を受け、日本と全く違う雰囲気だという感想をよく聞きます。去年は化学がテーマで野依さんが参加したと思います。第2次世界大戦敗戦後のドイツが、若い研究者の育成を目的に、50数年前に始めたプログラムのようです。人を育てる教育政策とはこうでなくてはいけません。もっと、若者を信じることです。

St. Gallenでは、明日の最終日も出席して、3日にロシアのSt. Petersburgへ向かいます。

住友化学/米倉社長とJeffrey Sachs教授との対談が掲載されました。

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3月に来日されたJeffrey Sachs教授と住友化学/米倉社長と行なった対談が、日経新聞(2007年4月20日朝刊)、THE NIKKEI WEEKLY(Vol 45, No.2, 287/May 28, 2007)16~17面に掲載されました。

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「イノベーション25」への新聞の論説は?

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24日に各社論説委員との懇談があり、「イノベーション25」について早速いくつかの論説が出ました。

5月27日(日)の読売新聞(朝刊 3面)では、「イノベーション 日本の未来がかかっている」 として、次のように書かれていました。

●日本の未来を活性化するために、着実に具体化すべきだ。
●政府が、豊かで、希望にあふれた国造りを目指す、長期戦略指針「イノベーション25」 をまとめた。「イノベーション」は技術革新や社会変革を意味する。「25」は目標年の2025年を指す。
●その名の通り、この指針は、25年までを視野に、難易度の高い技術開発の具 体的目標を掲げ、実現を目指している。
●同時に、技術の実現と普及のために、教育改革や規制制度の見直し、財政支援といった政策課題を提示している。
●人口減少と急速な高齢化で、現状のままでは、日本の生産力は大幅な低下が避けられない。急速に成長する中国は、国内総生産(GDP)でいずれ日本を上回る。インドも、その可能性がある。
●戦略指針は、日本の科学技術力を最大限に生かし、国力を保つための道標として、重要な意義を持っている。
●この中で掲げられた技術目標には、例えば、アルツハイマー病研究の進展を背景に、高齢者の認知症を激減させることがある。高度なロボットの登場で家庭での家事・育児の時間を減らすことなど、他にも多彩な目標が並んでいる。
●認知症が減って高齢者が元気なら、働き方、社会保障制度などは大幅な変革を迫られるだろう。個人の自由な時間の増大は活動の幅を広げ、生活様式を一変させるかもしれない。
●こうして技術と社会の変革がかみ合えば、日本の活力は増す。国際競争力も保てる。ただ、その前提となるのは、優秀な人材の確保だ。

●戦略指針は、今後3年で取り組む課題として、教育・研究の拠点となる大学の変革に力点を置いている。頭の柔軟な若手研究者に、研究費を重点投入する政策はそのひとつだ。
●大学が海外の優秀な人材を教官などに受け入れる取り組みを支援し、採用比率の倍増も目指している。海外に開かれた教育・研究機関でなければ、もう、世界水準の研究はできなくなっている。
●理系と文系の区別なしで学生を募集して幅広い教養を身につけさせたり、英語で授業をしたり、といった取り組みも促す。世界に通用する人材を育成するためには、重要な視点だ。
●欧米先進国も数年前から、「イノベーション」の言葉を冠した政策を打ち出している。問題意識は同じ、ということだろう。うかうかしていると、日本はじり貧になりかねない。
●人材確保や技術開発を巡る競争で、後れを取ってはならない。

また、5月28日(月)の産経新聞(朝刊 2面)では、【主張】「イノベーション25 出る杭を伸ばしてみたい」 というタイトルで、次のような内容でした。

●「イノベーション」という言葉が先進国でさかんに使われるようになっている。簡単に言えば技術革新だが、たんなる発明ではなく、新たな価値と社会的な変化を創造する、内発的で抜本的な変革のことである。
●政府の戦略会議が検討してきた長期戦略指針「イノベーション25」の最終報告がまとまった。イノベーション25は、安倍政権の重要施策のひとつである。2025年までを見通した長期的かつ戦略的な指針という性格を帯びている。
●これからの日本では人口減少と高齢化が避けられない。一方では社会の情報化やグローバル化が急速に進みつつある。地球温暖化に加え、食糧問題やエネルギー問題など多くの課題が山積している。指針には、こうした容易ならざる将来をイノベーションで乗り切っていくための目標や行動計画が盛り込まれている。
●指針の目標は高く設定されている。実現していくには技術だけでなく社会制度の革新とチャレンジ精神が必要だ。真のイノベーションを目指す志の高さを示すものとして評価したい。
●課題を克服することで、経済を発展させ、国際社会にも貢献していきたい。そうした気概がひしひしと伝わってくる内容となっている。
●指針は、イノベーション創出の基礎固めとして社会システムの早期の改革を提言している。これからの3年間に取り組むべき課題も掲げられた。
●その目玉が、「次世代の担い手への投資拡大」や「大学改革」だ。若手研究者向けの研究資金を充実させていくという。大いにやってもらいたい。
●大学などに世界中から頭脳が集まりやすくするために、入国管理の改革も視野に入れている。
●日本の大学を世界に開かれたものにするために、海外の大学との単位互換も促進する。入試で文系・理系の壁を撤廃することで、学問分野の融合を起こし、新たな人材を育成する。
●「出る杭(くい)」を伸ばすという「人づくり」のための異色の方針も示された。これも非常に楽しみだ。
●イノベーション25に対しては総花的という批判もある。変革には痛みも伴う。まずは、国民の理解を得るための呼びかけから始めたい。

この他にも何紙かに掲載されていましたが、私としては、これからの広報戦略が重要だと感じています。

「イノベーション25」 最終報告

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25日に「イノベーション25」の最後の会議が官邸で開催されました。ようやくここまでたどり着いたという感じです。しかし、6月初旬に閣議決定する予定となっていますので、事務方は、関係者や与党を回り、まだまだ息を抜けない状態です。閣議決定の文書に「出る杭」などという言葉が入っていることは想像を絶することです。また、大学の入り口で「文系、理系の区分をなくす」など、かなり思いきった内容も書き込んであります。全文は「イノベーション25」のホームページで見ることができます。

また、座長として高市大臣宛に書いたお手紙、「イノベーション25戦略会議最終とりまとめにあたって」 もホームページで見ることができます。この2週間、スタッフは土日の休みもなく、しかもほとんど徹夜状態での作業でした。“閣議決定を目指す”ということで、各府省の合意を得なくてはならないため、どうしても「骨抜き」になりがちなのです。日本の政策立案と政府の意思決定プロセスにおける重要な課題の一つであることは、皆さんもご存知の通りです。

高市大臣の記者会見の後で、大臣と委員は総理公邸での夕食にお招きをうけ、総理からのねぎらいをいただきました。

この後、新幹線で浜松へ。50周年となる日本腎臓学会の総会に向かい、26日の午前中に特別講演をさせていただきました。

科学顧問の認識、イギリスでは?

ちょうど英国のMargaret Beckett外務大臣が来日されており、英国大使館で催された昼食会にお招きを受けました。この会では、1月にロンドンでお会いしたAshton氏にもお会いできることになっていました。緒方貞子さんをはじめ、多くの政治家、外務省関係者、財界人なども参加されていました。政治家の方々は別途会談があったようです。当然ですが。町村氏、高村氏、金子(一義)氏、小池(百合子)氏、等々もお見えでした。

座席は指定されていたのですが、なんと私は主テーブル。しかもBeckett大臣の隣でびっくりしました。このテーブルは著明な政治家の方々が多く、Beckett大臣の向かいはFry駐日大使で、私の隣は緒方貞子さんでした。もちろん居心地はあまり良くなかったですが、ちょっとお話を聞くと、英国では科学顧問はとても尊敬される立場にあるそうです。何か気恥ずかしいような感じでしたが、彼我の認識の違いに歴史の重みのようなものを感じると共に、責任の重さも感じました。英国の科学顧問David King氏はBlair首相と毎週のようにお会いするそうです。私はというと、毎月一度、安倍総理と2人だけで1時間ほど意見交換をしています。新聞に掲載される「首相の一日」で気がついている方もいるでしょう。

Shigeru Ban氏とその作品“Nomadic Museum”、そして銀座に“NG Hayek Center”

私の友人に坂茂さんという国際的にも著名な若手建築家がいます。去年のNewsweek誌で、世界で最もよく知られている日本人100人(昔の人も含めてです)にも選ばれている方です(100人の中にはもう一人、若手で私も仲良くしている伊藤譲一さんも選ばれています)。「9.11」の跡地、「Grand Zero」国際コンペでも最終の二部門に選ばれておりました。日本でもいくつか建築されたものがありますが、神戸大震災のときの紙の家、HanoverのExpoでの同じく紙で作った日本館などでも有名です。どの作品も本当に素晴らしいです。

  坂茂さんの作品はこちら

“Nomadic Museum”は去年のTimes誌でも紹介され、New York City、Santa Monicaと巡回し、ようやく東京・お台場で披露されました。これも坂さんが設計したもので、156個のコンテイナーを使った実にユニークで、素晴らしい展示場です。Gregory Colbertによる「Ashes and Snow」というタイトルの写真と映像が展示されており、その不思議さに感動します。自然と人間の根源を突き詰めて表現しているような美しさです。こちらの展示は、6月24日までですので、是非一度足を運んでみて下さい。

ところで、彼に以前からお誘いいただいていたSwatchの“HG Hayek Center”という面白い作品のオープニングが夜、銀座中央通り7丁目でありました。彼から話だけは聞いていましたが、本当に面白く、奇抜さは感じられない、なかなか洗練されているユニークなイベントでした。きらびやかな雰囲気はさすがです。ここも一度、訪ねてみてはいかがでしょうか。お台場では坂さんに会えませんでしたが、ここでようやく会うことができました。

でも、腕時計で高いものでは“2,000万円”とか“7,000万円”もするものもありました。バブリーなのでしょうか。私達には、かなり場違いかもしれません。

先日OPENした東京Mid-townのオープニングの時も、ゴージャスというか、こんなんでいいのだろうかと感じました。ここにあるクリニックはJohns-Hopkins大学と提携しています。このことは、私の本「大学病院革命」でも紹介していますので、本も読んでみてください。

ご無沙汰しました。イノベーション25最終段階へ

20070503002 しばらくぶりです。プロバンスからパリ経由で帰って参りました。パリは今が一番いい季節ですね。マロニエの葉の緑がさわやかです。

イノベーション25の最終報告を作り上げるため、この2週間は土日もなく、私もスタッフもほとんど毎日が半分徹夜状態です。大臣の“閣議決定”をという指示で、各省庁はあれこれと大変です。大変ではありますが、みなさんよく仕事をしますし、優秀ですので、このような才能を他にも有効に使えるのではないかと考えてしまいます。私も付き合って、このところ睡眠時間は2~3時間です。メールを真夜中に送信したり、指示したりということもあるのです。

イノベーション25についてはいろいろとメディア等に取り上げられているので、所々で目に触れているかもしれません。内閣府の英文広報誌にも、私のインタビューイノベーション25の中間報告概要が掲載されています。この中間報告はイノベーション25のホームページに英文でも掲載されていますが、高市大臣がゴールデンウイーク中に訪問されたドイツでは、この報告書について色々と聞かれ、注目度が高かったと伺いました。安倍総理もイノベーション25の注目度の高さについて発言されています。あきれたことですが、今までは日本の政策を世界へ発信するという発想そのものがなかったのです。

普段から、日本はその存在を10%程度しか海外で感じさせないのです。精神構造が鎖国である典型的な、そして言い訳も出来ない証拠です。英国はその反対で、その存在を10倍ぐらい感じさせます。考えてください。これは極めて大事な、基本的な国家戦略の一つです。ほとんどが、相手から追われて対応するというパターンです。大きなビジョンがないと戦略がかけない、だから戦術で勝負、ということになるのです。どこかで聞いたような話だと思いませんか。