新たな大チャレンジで2012年が始まる

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あけましておめでとうございます。

この1ヶ月、つまり去年の12月6日以来、このカラムの掲載がありませんでした。twitterも発信しませんでした。

ご存知かもしれませんが、降ってわいたように「国会による、独立した」、「この60年余,憲政史上、初の」といわれる、政府からも、国会からも独立した「福島原子力発電事故調査委員会」の法律が国会を通過し、私がその委員長に任命されたのです。10人の委員とともに、12月8日に衆参両院議長から、国会で辞令をいただきました。

ウェブ上で「ニュース」などで私の名前をサーチすると、この件についていろいろ (資料1)と見ることができます。

とんでもない役目をおおせつかったものです。JST理事長を退任したばかりの北澤宏一さんが委員長を勤める「民間の福島原発事故調」にも参加していましたが、これは辞任しました。

この委員会の難しさは、いずれ折々にお伝えするので感じ取れるかと思いますが、なんと言ってもこの委員会の10人の委員と、いかに委員会のミッションを共有し、調査・検討を進めていくのか。皆さん、それぞれお忙しい方たちですし、また、事務方スタッフも、進め方のルールも、こちらが決めていくのです。委員会で一応のルールが決まるまで、私も発信を遠慮していたということなのです。

何しろ「「憲政史上初」の重み」は、その民主制度上の意義ばかりでなく、「いままで行われたことがない」ところに、数多くの難しい要件があり、この委員会の運営自体が大チャレンジなのです。

早速18(日),19日(月)の両日、委員の皆さんと福島第一原発の事故現場(重装備です、、)をはじめ、原発近くの人の気配(ひとけ)のない大熊町と除染現場、翌日には仮設住宅と別の除染現場資料1)などを訪れて戻りました。

とんでもないサプライズで2011年は終わり、2012年が始まりました。

 

台北へ、国内でもいろいろと

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ソウル、沖縄の次の週末は台北へ。台湾内科学会での招請講演です。もう一人は米国内科学会の会長のVirginia Hood さん、今年の4月にSan Diego でもお会いしています。

日曜の午後、台北から車で40分ほどのところにあるJiufen (資料1)へ。映画「非情城市」のロケ地、また宮崎駿さんの「千と千尋の神隠し」のモデルにもなった建物や坂道の商店街など、話を伺いました。なかなか、面白いところで一度は訪問されるとよいところと思います。天気のよい日曜だったので、大勢の人、車で大変でしたが、、。  

あまり景気がよくないのでしょうか、昔に比べて、なんとなく台北も元気がないような気がしました。

この週末に前後して、例年の人間ドック検診、UCLAの同窓会、Canon財団の研究グラント審査、米国大使館での今年で2度目のThe Entrenpreneur Awards Japan 2011, Second Annual Awards Ceremonyなどに参加しました。Roos大使の肝いりのイヴェントのひとつです。

毎日があわただしく過ぎていきます、ちょっと困ったものです。

 

沖縄科学技術大学院大学の開校式

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このカラムでも何回か紹介している「OIST」(資料1)。政府の承認を経て、11月1日からいよいよ正式に大学院大学 になりました。

日本でも大学のあり方、研究のありかたの議論はされてきましたが、私に言わせれば、基本的に変わることはありませんでした。この件については、このサイトでも時に応じて繰り返しコメントしているところです。

18日に大学としての最初の理事会。私もこのプロジェクトをはじめから支援していましたし、理事の一人として19日午前中、4人の研究者によるセミナーに出席しました。この4人のプレゼンは、本当にinterdisciplinaryな、しかも大きなスコープを持った研究のあり方を見せたようなもので、参加した世界の研究者もその研究のあり方に感心していました。このようなユニークな研究のあり方をさらに推進し、地球課題への貢献が出来るであろうこと、またそのような意識と実行力を持つ次の世代の研究者を育てて行きたいものです。

午後には設立記念式典 が行われました。川端達夫現沖縄担当大臣、このプロジェクトの提案者でもある尾身幸次、また小池百合子元大臣もご参加。仲井真沖縄県知事、稲嶺前知事など内外の方々の参加を得ることが出来ました。主要参加の方々のリストは「OIST」ウェブサイトで見ることができると思います。

4人の方のスピーチがありましたが、その中でも14年間MIT学長を務められ、現在National Academy of Engineering会長、Charles Vest氏による、特にこの新しい研究大学へ向けたメッセージとして「21世紀の大学について」のスピーチはよかったです。これらはすぐにOISTのサイトに掲載されると思います。

あいにくの雨で、この式典は素晴らしい中庭で開催される予定が、講堂での開催に変更になりましたが、幸い午後に雨は少しやみ、記念祝賀の踊りなどが20分ほどですが、中庭で開催されました。

 

ソウルで日韓中の医薬品審査プロセス討論、そして日本の元気な若者たち

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医薬品の承認が、日本では欧米より遅れているという「Drug Lag」のあることが指摘されています。

20年ほど前に日米欧の3極で始まった「ICH -International Conference of Harmonization」が続いていますが、私もその一部にかかわりました。日韓英米の「ガンの治験」についても去年、検討の会議 (資料1)を開催しました。

成長する中韓などにもこのような制度の導入があるわけで、この辺を中心に議論しようと目的で「ある製薬企業」のおさそいで、私が1日半の会議の全体のmoderatorとして、14日(月)からソウルに出かけました。

到着してすぐに、今の韓国 Lee大統領が、この政権の最初の首相を務めたHan Seung-Soo資料1)さんをトップとして開設した「Global Green Growth Institute」をたずねました。事務局長を務めるRichard Samansさんに会うためです。彼がWorld Economic Forum で仕事をしていた頃からの知り合いのです。

翌日から1日半、製薬の審査についての、日韓中の審査制度を中心に色々な議論をしました。

ホテルでの夕食の後、ちょっと繁華街「ミョンドン」に行ってみました。たくさんの若者が多く、なかなかの活気です。ZARA、H&MのそばにUniQloが旗艦店を出しています。このような元気あふれる日本企業ががんばっているのを見るのはちょっと気持ちのいいものです。

1日半の会議では色々な方達に会えましたし、お互いにこれから交流が始まる予感がするのもいいことです。

金浦空港から2時間で羽田空港へ。そこから都心のSwiss大使館へ直行。先日も紹介した「Global Shapers Community」(資料1)とのレセプションです。元気に活躍する若者たちに会うのは楽しいことです、こちらも元気をもらいますし。その後、The Economistの記者と1時間ほど取材をかねて時間を過ごし、夜の11時ごろに帰宅しました。

長い1日でしたが、充実感のあった1日でした。

 

CSIS-HGPI、フクシマで会議

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CSIS はWashington DCにある著名な「Think Tank」の1つで、日本の方達にもよく知られています。私たちの「Health and Global Policy Institute (HGPI)」 は、すでにこのサイトでもご案内のように、去年から、いくつかの共同作業をしています

今年の初めには、HGPIと共同で、日本の国会議員さんたちとの会合なども持ち、その成果の一部を発表しているところです。

特にCSISは「3.11」以来、早速に「日本再建への提言」への取り組みを始め、ここでも健康・医療の分野ではHGPIが共同作業をしています。これもこのサイトでお知らせ (資料1)したとおりです。

この「日本再建」の報告発表会が11月3日にWashington DCであり、さらに11月7日の週に東京で開催されました。報告書 はウェブでも見ることができます。

HGPIとの共同作業の部分を中心に報告する会議を11月11日(金)にフクシマで開催プログラムはここへ。約70名の方々が参加され、大変に良い会議となりました。ご協力の皆さまに感謝します。小雨交じりのフクシマでした。

CSISから参加のMichael GreenStephen MorrisonBrian Biles、また日本側から前原民主党政調会長がTPP関係で急遽欠席。桜井 充 民主党政調副会長代理(前財務副大臣、東北大学のお医者さんです)、内堀雅雄福島副知事冨山和彦さん(福島交通の経営者でもある)、東北大学の辻一郎さん他、色々な方が参加してくださいました。

このコメンテイターで参加してくれた出雲正剛さん は在Bostonですが、早くから今回のフクシマで放射能測定や医療対策にかかわってこられました。私の後輩で、日本のお医者さん、卒業して早々に留学、Harvardの内科教授にもなった心臓疾患の分野で大きな業績を上げてきた方です。今は企業をへて、比較的時間の余裕のある仕事をしています。

医療関係テーマは放射能、精神面での対応、医療提供制度改革の3本柱ですが、日米協力で開かれたplatformを作ろうという趣旨です。

東京に戻ってMike, Steve, Brian、出雲さん、牧野義司さん(独立したジャーナリストで、多くの発信をしています)と6人で食事をしました。皆さん今回の会議についてはとても評価は高く、次への一歩を議論しました。充実した一日でした。

出雲さんはガイガー測定器を持って歩いていますが、10uSv/hs以上のところもあるね、と一言。

 

Global Entrepreneurship Week (GEW) のお誘い

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この3年にわたって11月半ばの1週間、GEW (資料1)が世界で同時開催されています。今年の参加国とそれぞれの主なイベント (資料1)をご参考まで。

わたしのサイトでも紹介 (資料)していますが、日本でも私たちをはじめとして全国的に、もっともっと広げたいのです。

このような活動の仲間たちがこのサイトでも紹介している「Impact Japan」 の設立の背景にもあるのです。

この3年は本田財団  が、このグローバルな活動の中心になっているKauffman財団 の日本側のホストをしていましたが、来年からImpact Japanが対応する予定です。

今年のGEWは11月14-20日にわたって開催されます。東京と京都で、皆さんも参加できる多くのプログラム (資料)があります。ぜひ問い合わせて、よかったら参加を考えてみませんか?素晴らしい仲間達に会えると思います。

来年へ向けて、もっと全国展開を、そして世界へ繋がりを広げる活動です。

日曜日の仙台、TEDxTohokuへ

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秋晴れのすがすがしい日曜日。朝から仙台へ出発。TEDxTohokuに参加です。

ImpactJapanは3年前からTEDxTokyoを主催していますが、チームのPatrick、Toddも久しぶり。今回の大震災を受けて、多くの若者が主催して、特別にTEDxTohokuとして開催されたものです。会場は仙台、東北大学の川内萩ホール。立派なホールです。

新幹線の中で、安倍元総理にばったりお会いしました。岩手の海岸のほうへ講演をかねてお出かけとのこと。「もし帰りがけに時間があれば、仙台にお寄りになり、チョッとお話しませんか?」とお誘いしましたが、いささか無理のようでした、当然ですね、でも残念。

それぞれの演者がすばらしい物語を語ってくださいました。これもライヴで皆さんUstreamで流しました。これらは、あとでネット上で皆さんも見れるようになると思います。皆さん「かたり」がお上手なのですね。特に、気仙沼のオイカワデニムの及川秀子女性社長さんと息子さん3人の話はとても胸を打たれる内容で、さらに話し方がトツトツとしてとてもよかったのです。最後は、Californiaから参加のIDEOのPaul Bennettさんの話。4つの動物のメタフォーで日本へのメッセージでした。パワポの具合がスムーズでなくてチョッと残念でした。

さすが杜の街、仙台。ホールの外は秋らしい天気でとても気持ちのよいものでした。レセプションに参加し、お先に退席し、東京へ。

多くの元気で、日本を災害の現場から変えようという若者との1日はとても楽しいものでした。

 

GOLDで、2つの基調講演

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建部博子さん(資料1)が主宰する第4回GOLD会議が東京のアメリカンクラブで開催されました。今年のテーマは ‘Turning Strategies into Action through 3Cs, Creativity, Collaboration and Connection’です。

基調講演は、オープニングが私、クロージングはアメリカのRoos大使夫人ということで、喜んでお受けしました。Roos夫人はご多忙にも関わらずわざわざ午前中の私のスピーチを聞きに会場までお越し下さり、大変恐縮しました。

私の講演のタイトルは ‘Turn Crisis into Opportunity: Time to Shape and Create New Generation Diversity’ (講演原稿はこちら)。皆さん喜んでくださったようです。講演を終えたあとはしばらくGRIPSの私のオフィスに戻りましたが、Roos夫人の講演 ‘Women’s Leadership: From ‘I can’t’ to ‘I will’ の時間にはもちろん会場に戻って拝聴しました。大変素晴らしいスピーチでした。

会場の80%は女性、しかも多くの外国の方々。皆さん熱心に聞いていらっしゃいましたが、これもGOLDの趣旨を思えば当然でしょう。会議全般の評判も良く、沢山の良いコメントを耳にしました。私のスピーチについてもポジティブな反応が多かったと聞き、とても嬉しかったです。

本当に良い一日でした。

 

 

講演やプレゼンする、打ち合せ会、研究会、講演会など続く

このところ、いろいろな会や委員会などで講演、プレゼン、などが続いています。

文部科学省、中央教育審議会で「グローバル人材」について、これも教育の実践で活躍している船橋 力さんと私がプレゼン。資料などは役所のサイトに出ますのでそのときにリンクします。この後、参加の方々と文部科学省の何人かと近所の安いところで夕食、ここで盛り上がりました。
別の日、「MOT」を推進する会 が発足記念とも言うべきなのでしょうか、元文部大臣の有馬朗人先生が会長をされ、今回、学術振興会の理事長に就任した元慶応義塾塾長の安西祐一郎さんが司会のパネルで、まず基調講演。これも「グローバル人材育成」です。続いて昭和女子大学長の坂東真理子さん、知る人ぞ知る渋谷教育学園長 の田村哲夫さんでした。

その後のパネルは政策通の林 芳正藤末健三両議員も参加して、だいぶ議論が盛り上がりました。しかし、日本はなかなか変われないですね、口では色々言っていますが、、。そこが、私の言っているところなのですが、、。それぞれが言っていること、提案していることを、難しいでしょうかど、どう実践するか、これが大事なのです。

ある夜は、南アフリカ大使館で、Groebler大使と日本の科学技術関係の方々(JST、CSTPなど国連大学や主要大学関係者)が集まって、南アフリカで100年ちょっと前に創設されたUniversity of Free States の研究科長Prof Stroebelをお迎えしたレセプションで、ご挨拶する機会をいただきました。ありがたいことです。前大使のNgubaneさんとは両国の子供の「スピーチコンテスト」 なども開催し、数年前にCape Town へも行きました。

来月、正式に大学院大学になる予定の沖縄科学技術大学院大学の学長になるJonathan Dorfanさん(資料1)も参加。この大学院は、2人の南アフリカ出身の科学者 Syndey Brennerさん(現理事長)とJonathan Dorfan学長におおいにお世話になっていることを、挨拶の最後にご紹介しました。

ある夜は、早稲田のスパコンのラボでも笠原博徳さんのプレゼンがあり、その会にも参加しました.。 私は日本のスパコンなどをめぐる問題、特に企業組織の課題についてコメントしました。院生のプレゼンにも問題あり、とも指摘して、学生さんたちを元気にする試みもしました。研究の成果はなかなか面白いものですが、時にプレゼンがいまいち、なのですね。学生たちもっと自信を持ってプレゼンするようにしてください。この辺は、日本の教育の共通する問題だろうと思います。多くの大学の環境では、学生がのびのびしていないように思います。

私もサポートしている「Learning for All」。これは米国発の素晴らしいプログラム「Teach for America」への段階のステップで、ここへ向けて大変苦労してがんばっているのです。1年半ほど立ちましたが、松田悠介くんをはじめとてもがんばっています。素晴らしい若者たちのグループに成長しています。が、日本の社会の景気などもあり、苦労しています。これは、将来の日本へ向かってとても意義のある、「1石3,4鳥」以上の効果のある素敵なプログラムです。企業、社会、大学などがもっと理解を示して欲しいものです、政府も言うまでもないことですが。

このような会でも感じることですが、「3.11」は、世界に向かって明確に日本の「強さと弱さ」(資料)をまる見えにしてしまいました。

皆さんそれぞれが、自分の言っている意見をどう実現へ行動するのか、はじめは小さい行動でいいのです。これが問われていると、つくづく感じます。

Steve Jobs特集と伝記出版

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 Bloomberg Newsweek TIME

Steve Jobs氏が亡くなって2週間が過ぎました。米国でNewsweek, Times, Bloombergなどの有数なWeekly magazineが彼の追悼特集を出したことは、20世紀後半でもJobs氏がそれだけ極めて傑出した人だったということでしょう。

特にNewsweekとBloombergは他の記事のない、全部がSteve Jobsのみの特別扱い、しかも広告もないのです。これはすごい扱いです。それだけ私達の社会を大きく変えた偉大な天才Artistという扱いでの追悼特集です。

Timesの頃からJobsとのお付き合いのあるWalter Isaacsonが、Timesの特集で付き合いのいきさつも書いていますが、彼の書く「Steve Jobs」の伝記が10月24日に出版されます。早速読んでみたい本、皆さんも本棚に入れておきたい一冊です。

Steve Jobsほど、私達の日常生活を、子供から大人まで、見える、触る、楽しむなど、色々な形で変えた人はいないでしょう。しかも、多くのファンのココロを掴まえて離さない、楽しい、うきうきした気持ちにさせながら、、。

Steve Jobs の生涯を短時間で、全体をまとめて想うにはこのビデオはいいよ。