San Diegoで若者たちとの交流

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San Diegoの最後の日の前夜9時から、UCSDなどで活動している日本からの若い人たちと「飲み会」をしました。

5人がUCSDの学部生として勉強している人、7人が大学院生、あとはベンチャー系などで活躍しているのです。2月にも集まった (資料1)方も数人いましたが、そのとき参加できなかった方達もぜひ会いたいということで、時間がたつのを忘れて楽しいひと時を過ごしました。

背景はいろいろですが学部生の4人は慶応、学習院、ICUとの交換留学で1年勉強に、1人は高校から米国に来ている学部生の方です。皆、本当に生き生きとして、素晴らしいです。4人とも女性です。

大学院生の多くはMaster課程ですが役所などからの方と、「独立系」はPhDへなどで数人、また前回も参加したCONNECTからは米国の方がお1人。

ということで共通語は「broken英語」になりましたが、皆さん、とてもうまい(子供時代などに海外生活の経験ある人が結構いましたー それでないと授業についていくのが大変でしょうが、、)、ドンドンしゃべる。半分が女性です。皆さん、とても元気がいいです。

マキくんのblogにも報告があります。写真も付いていてありがとう。

今回の大災害のこと、日本政府と東電の対応などが当然話題になります。当然のことですが、日本を離れているからこその、「「外」から見る日本」の視点が多いのです。よく見えるのですね。

このblogでも繰り返し述べていることですが、若いときに「個人」として「外」の世界に出てみること、これこそが客観的に世界の中の日本を見る目、感じ取る力をつけるのです。人間形成、キャリア形成にとても大事なことなのです。

でも特に学部生の一番の悩みは「日本での就職」へのハンデイでした。これはおかしいですね。そのように意識付けが行われているのですね、恐ろしいことです。これからの世界での価値はまったく違うし、「フラット」な世界では「ユニークであること、違うこと」が一人ひとりの大きな価値であり、強みになりうるし、「フラット化」が加速されることは間違いないのですし、、。なにも「活躍の場」は日本に限ることはないことを議論しました。

ということで、これからのキャリアについてもいろいろな議論になり、具体的なイメージも皆さんで共有できたように感じました。

石倉洋子さんとの「世界級キャリアのつくり方」も何部か持ってきました。石倉さんの新しい本が近いうちに出ることも伝えました。が、実はちょうどその日に、「グローバルキャリア ―ユニークな自分のみつけ方」 が出版されました。皆さんも、ぜひ読んでください。

このような若者たちの将来が楽しみです。日本の大きな財産です。

 

米国内科学会: San Diegoから

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去年のToronto に続いて米国内科学会年次総会に参加、San Diegoにきています。今年になって南Californiaへは3回目資料1)です。

私たちで日本支部 を創設して8年目、創設のときからGovernor(支部長)を、例外的なのですが2期を勤めることになり、今回無事に卒業となりました。ホッとしました。

会員も1,000人を超え、この8年間毎年成長し、また学生や研修医などの若いStudent Member, Associate Memberが増え、教育や女性医師の活動、またVolunteer活動などでは、いくつかの表彰を受けるなど日本支部の活動は高く評価されています。会員皆さんのおかげです。

今年は、東日本大震災があり、日本内科学会総会・講演会も延期されました。毎年、この日本内科学会の期間中に開催され、米国から会長を迎えて開催されていた日本支部の学術総会も当然のことですが中止になりました。

というわけで、いつものような数の日本からの参加者はSan Diegoの総会へは参加できませんでした。でも、新しいフェローのConvocationでは5人(1人は亀田で臨床教育に多くの貢献をされ、毎年の日本支部学術総会では「一目瞭然」というとても教育価値の高いセッションで皆さんを刺激してくれているGremillion先生) が参加し、「Japan」と呼ばれ皆が起立したときに、皆さんから暖かい拍手がかなり長い間続いてちょっと目がしらが熱くなりました。

私は3つのパネルに登壇しましたし、また医学生のポスターでは横浜市立大学の学生さんが選ばれ参加、また米国St Louis (同じSt Louisで活動していることは偶然だそうで、去年Torontoの総会のときに私を通じて始めて知り合ったそうです、、) でHospitalist として活躍するDrs Ishiyama、Katoくんにも再会することが出来ました。

日本支部のレセプションには、例年のことですがACP元・前・現会長などを含めて多くの日本支部の友人が訪れてくれ、とてもいい会になりました。

この間、皆さんと同じで、私は日本のことが気になっていますから、米国アカデミー、Washington DCの日本大使館ほか、日本の関係者などとの連絡や電話でと、結構忙しくしていました。

皆さん、東北大災害の津波被害のことは話しますが、原発のことでは心配よりは日本のあり方への懸念のほうが本音です。

国境を越えた多くの友人との出会い、知己と信頼を得ることは何事にも変えがたい財産です。

 

TED- 3: Virtual Choirと詩人のことば

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いくつかTEDから紹介していますが、コーラスと詩人の言葉、これもとても高い評価を受けました。

高い評価とは、終わったときの「Standing Ovation」の大体の%でわかります。はっきりわかります。

1つは「Virtual Choir」。話の途中でだんだんテンションが上がってきて、最後には「ええっ?」「ううーん」という感じでしょうか。今の時代だからこそ出来る素晴らしいコラボです。

とても楽しめます。

2つ目は、若い詩人Sara Keyさんのです。2つ目の詩が「Hiroshima」、ちょっと驚きました。レセプションのとき聞いたら日本人とのハーフということでした。素敵な詩人です。

楽しんでください。

危機に見える「エリート」の本質

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今回の大災害、そして原発の事故、日本の状況は「国家の大危機」です。

このところ、3月25日からいくつかポストしましたが、未曾有の危機に政府の反応はどうでしょうか。

4月2日の朝日新聞の「オピニオン 耕論 3.11」に何人かの意見が出ていました。その一人が、大惨事があって、すぐに電話があった冨山和彦さん。「すべては子供のために」です。冨山さんについてはこのblogでも何回か紹介、最近は「カイシャ維新」、「挫折力」 という組織、人間の本質に迫る刺激的な本を出しました。このサイト内で「冨山和彦」でサーチしてください。私の尊敬する経営者の一人です。自分が責任を負っている会社の従業員の放射能への懸念についての電話でした。

この朝日の記事には、彼の忌憚のない意見が出ています。とても参考になると思いますので以下に掲載します。

「すべては「子どものために」    冨山和彦さん (株式会社 経営共創基盤CEO)

■ 私も当事者になりました。福島、茨城、岩手の三つの地方バス会社がうちの子会社です。従業員2100人、バス1200台。自ら被災しながら現地はすぐに運行を再開し、原発周辺からの多数の住民退避や、医療チームの搬送にも対応しました。

■ でも燃料が足りない。私は官邸や各省庁、知り合いの政治家に訴えて回った。なのになかなか動かない。

■ 震災は3月11日、政府が石油備蓄の取り崩しを発表したのは14日、さらに大幅な取り崩しの決定は22日でした。この間、全国で買いだめが進んでしまった。寒冷地で広域激甚災害が起きたら、燃料が被災者の死活問題なることは明明白白です。なぜあんなに時間がかかったのか。

■ 私が直接、政治家や官僚、企業と掛け合って痛感したのは、彼らエリート層の資質の問題です。危機に直面しているのに、決めるべきことが決められない。判断することを避ける。なんだこれは、と思いました。

■ 「上と相談する」「県からの要請が来ていない」「要件に該当しない」。そんな反応ばかりです。保身とメンツと責任転嫁。

■ 指示や命令も、いろいろなところがばらばらなことを言ってくる。行ってみたら、その通りになっていない。こちらからの問題を提起したら、ピンボールマシンのボールのようにあちこちに飛んでいってしまう。

■ 燃料や物資については、政府が早々に被災地でない地域に向けて「しばらく我慢してほしい」と訴えればよかった。原発から30キロ圏内の扱いや、野菜、飲料水の汚染についても「絶対安全とは言えないが、かなり安全」なんていうのは全然だめ。白か黒か言わないと人は動けません。でも、びびったんでしょうね。

■ 私たちはこういう「リスクを取れない、判断できない」人たちを長い間、「エリート」として政と官と民のリーダー層に据えてきた。その結果、この国は頭から腐っているんじゃないか。そんな実感があります。

■ 彼らの多くは東大をはじめ一流大学出です。成績優秀、人格温厚、調整力があり、みんなにいい顔をして組織の階段を上がっていった。でもいざ危機に面したら、批判をこわがり、決められない。逃げる。だから物事が進まない。

■ 決断とは一部に犠牲を強いることです。できない人にリーダーの資格はありません。有事に判断を先送りする人間が、平時に決断できるわけがない。官公庁、企業、政党は人の評価をやり直したらどうでしょう。

■ 修羅場の中で、政官財の誰が役に立ち、誰が役に立たなかったか、逃げたか。記者のみなさんは見ていますね?国民はそれを知りたい。あとで総括して報道してほしい。

■ これからの日本再興で一番大切なことは、すべての政策やプランを「子どもたちにプラスかマイナスか」で判断することです。「国は何をしてくれるか」ではなく、「あなたは国の未来のために何ができるか」を問うこと。それを国民に問う勇気のあるリーダーを選ぶこと。

■ だから町づくりも、さらには国づくりも30代までの若い世代に任せたい。50年後にも生きているだろう彼らが、未来を決めるべきです。

■ それより上の世代は、子どもたちのためにどれだけ犠牲になれるか、当然と思っている既得権益をどれだけ捨てられるか、が問われる。年金受給権も、医療保障も、あるいは年功序列や終身雇用も。それが大事です。すべての政策や復興計画は、子どもたちの未来を軸に考えていく。

■ うちのバスは止まらずにすみました。少数ですが、結果が出るまでやるべきことをやり通した政治家や官僚がいた。さらに、心ある運送業者が自分たちの分を分けてくれるなど、現場の助け合いのおかげです。

■ 現場は立派です。うちの連中のやる気と献身には涙が出ました。震災からわずか5日後に、盛岡から激甚被災地の宮古に路線バスを復活させたんです。その第1号に、いかにも今どきの若者が、支援物資をたくさん抱えて乗り込んできた。満席です。草食系なんてとんでもない。

■ 日本の強みは、我慢し自己犠牲をいとわない、一般の人々です。そして現場の力。自衛隊も消防も立派です。役所も課長以下や自治体の現場がよくやっている。

■ 会社も国も、破滅的な事態が起きると、隠れていたいろいろな問題がいっぺんに出てくる。これはある意味チャンスです。日本の未来へのテコにしたい。勝負はこれからです。」

(聞き手 編集委員 刀祢館正明)
2011年4月2日(土)朝日新聞13面より

 

日本の強さと弱さ; 危機のときに浮き上がる本当の姿

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今回の地震津波の大災害、そしてその被害を拡大している福島原子力事故。こういう、予期しないことが起こったときに、国でも、組織でも、本当の姿が浮かび上がり、それぞれの本当の強さ,弱さが浮かび上がります。情報を隠せない世界で、これは世界中に隠せないのです。

皆さんはどのように感じましたか?

最初の1、2週間、日本のテレビ、新聞などを見ている人たちには、現地の惨状が次々と繰り返し出てきます。今のネット時代、利用しないと本当の姿、有様を想像することも出来ないような状態でした。ありていに言えば、戦時中の「大本営発表」とほとんど違わないのです。最初は新聞もテレビもどこでも同じ、「専門家」の意見もその背後が見え見えです。枝野さんの記者会見が政府の公式見解です。がんばって会見していますが、いろいろ事情はあるのでしょうが、何しろ内容と政府の意思がはっきりしていないためでしょう、わかりにくいのです。そして東京電力、保安院などの記者会見も世界中で見られているのです。

メデイアもひどいものです。基本的に横並び。「記者クラブ制度」も時代遅れのひどいものですが、限られた時間で場違いな質問も結構あって、記者会見では質問するほうへもテレビカメラを向けるべきです。

政府の対応も世界中に丸見えです。元来、日本語がロジカルでなくわかりにくいことは知られていますが、内容が貧弱というのが世界の見方。

世界は日本の原発対処をとても気にしていますが、日本の対応は透明性が低く、理解不可能とあきれている、というところでしょうか。私は国家の信用がメルトダウンという状況になりつつあるのでは、と危惧しています。

政治の「リーダーシップ」はどこに行ってしまったのでしょうか。

日本の弱さと強さは?現場の人たちは強い、「リーダー」たちは秀才かもしれないが修羅場をくぐっていないので危機には弱い、ということでしょう。

以前から言っているように、私はもっぱら「The Economist」など、さらに今回は「New York Times」などをフォローしています。たくさんの意見が出ていますが、一般の国民や消防、自衛隊などの現場の方達の強さ、NGOの活躍、創業者達のすばやい行動には賞賛の声が多いのです。世界中の注目は政府、東電、保安院など日本の組織トップたちの危機管理能力です。
1.http://www.voanews.com/english/news/asia/VOA-Reporters-Reflection-on-Japanese-Tragedy-119013669.html
2. http://www.economist.com/node/18441143?story_id=18441143
3.http://www.economist.com/blogs/babbage/2011/03/post-earthquake_nuclear_crisis&fsrc=nwl 

皆さんと力を合わせて、「失われた20年」から新しい日本を創生することこそが、お亡くなりになった方達へ報いるために私達がするべきことです。