トヨタの問題と苦悩: 外から見る目、外を感じるこころ

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リコール宣言になりましたが、トヨタ問題はしばらく続きそうな気配です。米国でもニュースの扱いは大きいですし、豊田社長も近々にも渡米予定と報道されています。米国議会でもヒアリングの動き、議員の動き、報道や論説等々、日本の報道ばかりでなく、ネット時代はだれでもできることですが、海外の報道はたくさんあります。「Google」すればいいのです。これらを多面的にフォローしていることは大事です。特にこのような日本を代表する企業、しかも今回は海外での問題が大きいのですからね。日本での報道ばかり頼っているのではいけません。特にウェブ時代のメデイア、インターネットでも情報、ネット新聞、雑誌などいいものがいくつもあります。

世界のビジネス関係者に一番読まれているのは、新聞ではFinancial Times (42万ほどの発行部数、日本のメジャー新聞とは桁違いに少ない発行部数ですが世界的インパクトは日本の新聞と比べて段違いです)、週刊誌ではThe Economist ではないか、と私は思うのですが、いかがなものでしょう。記事も世界をカバーし、米国よりでもないし、英国にも辛らつですし、記者の書きぶりもうまいし、客観性が高いと思います。これが英国流かも知れませんが、タイミングのよい、的を得た記事が多く、対象の見方もなるほどと思わせる「プロの仕事」が多いのです。私はこの2誌は好きで「Kindle」に入れています。

英語をあまり読まない人たちには、 「JBPress」というOn-line Pressで一部を読むことができます。私はThe Economist 2009年12月10日号「Toyota Slips Up」「Toyota Losing Its Shine」 で豊田章男さんがJim Collinsの「How the Mighty Falls」を読んで、「トヨタは結構まずいところまできている」と認識しましたとあり、ちょっと気になっていました。The Economistのこの記事の日本語訳主要部分はJBPressに出ています。

The Financial Timesにも最近いくつかのToyota記事が出ていますが、これもJBPress でいくつかも日本語訳(「自らの名声失墜を招いたトヨタ」「よろめくトヨタの御曹司」 、「顧客対応でミソつけたトヨタ、不発に終わるダメージコントロール」「トヨタを脅かす安全性の危機;世界シェアの拡大にひた走った代償」など)を読むことができます。これらの2誌はビジネス関係者には必須でしょう。

ところで技術のトヨタがどうしたのか。電気自動車のブレーキ、アクセルなどについて、米国から発信している冷泉さんがわかりやすく説明しています。これは村上龍さんのウェブメデイアです。これを見ると、「なるほど」とよくわかるところがあります。従来とは電気制御ではメカニズムがブレーキもアクセルも大きく違うのですね。しかし、車の運転する人にとってそんなことは関係ないのです。特にブレーキとアクセルは車の運転では一番大事で、車の運転している人も、乗っている人も、ぶつけられた人も命にかかわる事故に直結するところですから。技術の先端と、製品の市場価値、お客さん、社会への対応を、戦略的に考えておかないといけないのです。

つまり技術だけではない、客を向いた、車の、ドライビングの「ものがたり」を語れるか、ここが大事です。特にアクセル、ブレーキといった人命にかかわるところの管理は最重要です。

Toyotaの記者会見も、前回から繰り返しますが、実にまずいです。どんな会見が社会から好意的に受け入れられるか。これもプロの仕事師チームが必要です。Toyotaの皆さん、がんばってください。