住友化学/米倉社長とJeffrey Sachs教授との対談が掲載されました。

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3月に来日されたJeffrey Sachs教授と住友化学/米倉社長と行なった対談が、日経新聞(2007年4月20日朝刊)、THE NIKKEI WEEKLY(Vol 45, No.2, 287/May 28, 2007)16~17面に掲載されました。

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「イノベーション25」への新聞の論説は?

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24日に各社論説委員との懇談があり、「イノベーション25」について早速いくつかの論説が出ました。

5月27日(日)の読売新聞(朝刊 3面)では、「イノベーション 日本の未来がかかっている」 として、次のように書かれていました。

●日本の未来を活性化するために、着実に具体化すべきだ。
●政府が、豊かで、希望にあふれた国造りを目指す、長期戦略指針「イノベーション25」 をまとめた。「イノベーション」は技術革新や社会変革を意味する。「25」は目標年の2025年を指す。
●その名の通り、この指針は、25年までを視野に、難易度の高い技術開発の具 体的目標を掲げ、実現を目指している。
●同時に、技術の実現と普及のために、教育改革や規制制度の見直し、財政支援といった政策課題を提示している。
●人口減少と急速な高齢化で、現状のままでは、日本の生産力は大幅な低下が避けられない。急速に成長する中国は、国内総生産(GDP)でいずれ日本を上回る。インドも、その可能性がある。
●戦略指針は、日本の科学技術力を最大限に生かし、国力を保つための道標として、重要な意義を持っている。
●この中で掲げられた技術目標には、例えば、アルツハイマー病研究の進展を背景に、高齢者の認知症を激減させることがある。高度なロボットの登場で家庭での家事・育児の時間を減らすことなど、他にも多彩な目標が並んでいる。
●認知症が減って高齢者が元気なら、働き方、社会保障制度などは大幅な変革を迫られるだろう。個人の自由な時間の増大は活動の幅を広げ、生活様式を一変させるかもしれない。
●こうして技術と社会の変革がかみ合えば、日本の活力は増す。国際競争力も保てる。ただ、その前提となるのは、優秀な人材の確保だ。

●戦略指針は、今後3年で取り組む課題として、教育・研究の拠点となる大学の変革に力点を置いている。頭の柔軟な若手研究者に、研究費を重点投入する政策はそのひとつだ。
●大学が海外の優秀な人材を教官などに受け入れる取り組みを支援し、採用比率の倍増も目指している。海外に開かれた教育・研究機関でなければ、もう、世界水準の研究はできなくなっている。
●理系と文系の区別なしで学生を募集して幅広い教養を身につけさせたり、英語で授業をしたり、といった取り組みも促す。世界に通用する人材を育成するためには、重要な視点だ。
●欧米先進国も数年前から、「イノベーション」の言葉を冠した政策を打ち出している。問題意識は同じ、ということだろう。うかうかしていると、日本はじり貧になりかねない。
●人材確保や技術開発を巡る競争で、後れを取ってはならない。

また、5月28日(月)の産経新聞(朝刊 2面)では、【主張】「イノベーション25 出る杭を伸ばしてみたい」 というタイトルで、次のような内容でした。

●「イノベーション」という言葉が先進国でさかんに使われるようになっている。簡単に言えば技術革新だが、たんなる発明ではなく、新たな価値と社会的な変化を創造する、内発的で抜本的な変革のことである。
●政府の戦略会議が検討してきた長期戦略指針「イノベーション25」の最終報告がまとまった。イノベーション25は、安倍政権の重要施策のひとつである。2025年までを見通した長期的かつ戦略的な指針という性格を帯びている。
●これからの日本では人口減少と高齢化が避けられない。一方では社会の情報化やグローバル化が急速に進みつつある。地球温暖化に加え、食糧問題やエネルギー問題など多くの課題が山積している。指針には、こうした容易ならざる将来をイノベーションで乗り切っていくための目標や行動計画が盛り込まれている。
●指針の目標は高く設定されている。実現していくには技術だけでなく社会制度の革新とチャレンジ精神が必要だ。真のイノベーションを目指す志の高さを示すものとして評価したい。
●課題を克服することで、経済を発展させ、国際社会にも貢献していきたい。そうした気概がひしひしと伝わってくる内容となっている。
●指針は、イノベーション創出の基礎固めとして社会システムの早期の改革を提言している。これからの3年間に取り組むべき課題も掲げられた。
●その目玉が、「次世代の担い手への投資拡大」や「大学改革」だ。若手研究者向けの研究資金を充実させていくという。大いにやってもらいたい。
●大学などに世界中から頭脳が集まりやすくするために、入国管理の改革も視野に入れている。
●日本の大学を世界に開かれたものにするために、海外の大学との単位互換も促進する。入試で文系・理系の壁を撤廃することで、学問分野の融合を起こし、新たな人材を育成する。
●「出る杭(くい)」を伸ばすという「人づくり」のための異色の方針も示された。これも非常に楽しみだ。
●イノベーション25に対しては総花的という批判もある。変革には痛みも伴う。まずは、国民の理解を得るための呼びかけから始めたい。

この他にも何紙かに掲載されていましたが、私としては、これからの広報戦略が重要だと感じています。

「イノベーション25」 最終報告

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25日に「イノベーション25」の最後の会議が官邸で開催されました。ようやくここまでたどり着いたという感じです。しかし、6月初旬に閣議決定する予定となっていますので、事務方は、関係者や与党を回り、まだまだ息を抜けない状態です。閣議決定の文書に「出る杭」などという言葉が入っていることは想像を絶することです。また、大学の入り口で「文系、理系の区分をなくす」など、かなり思いきった内容も書き込んであります。全文は「イノベーション25」のホームページで見ることができます。

また、座長として高市大臣宛に書いたお手紙、「イノベーション25戦略会議最終とりまとめにあたって」 もホームページで見ることができます。この2週間、スタッフは土日の休みもなく、しかもほとんど徹夜状態での作業でした。“閣議決定を目指す”ということで、各府省の合意を得なくてはならないため、どうしても「骨抜き」になりがちなのです。日本の政策立案と政府の意思決定プロセスにおける重要な課題の一つであることは、皆さんもご存知の通りです。

高市大臣の記者会見の後で、大臣と委員は総理公邸での夕食にお招きをうけ、総理からのねぎらいをいただきました。

この後、新幹線で浜松へ。50周年となる日本腎臓学会の総会に向かい、26日の午前中に特別講演をさせていただきました。

科学顧問の認識、イギリスでは?

ちょうど英国のMargaret Beckett外務大臣が来日されており、英国大使館で催された昼食会にお招きを受けました。この会では、1月にロンドンでお会いしたAshton氏にもお会いできることになっていました。緒方貞子さんをはじめ、多くの政治家、外務省関係者、財界人なども参加されていました。政治家の方々は別途会談があったようです。当然ですが。町村氏、高村氏、金子(一義)氏、小池(百合子)氏、等々もお見えでした。

座席は指定されていたのですが、なんと私は主テーブル。しかもBeckett大臣の隣でびっくりしました。このテーブルは著明な政治家の方々が多く、Beckett大臣の向かいはFry駐日大使で、私の隣は緒方貞子さんでした。もちろん居心地はあまり良くなかったですが、ちょっとお話を聞くと、英国では科学顧問はとても尊敬される立場にあるそうです。何か気恥ずかしいような感じでしたが、彼我の認識の違いに歴史の重みのようなものを感じると共に、責任の重さも感じました。英国の科学顧問David King氏はBlair首相と毎週のようにお会いするそうです。私はというと、毎月一度、安倍総理と2人だけで1時間ほど意見交換をしています。新聞に掲載される「首相の一日」で気がついている方もいるでしょう。

Shigeru Ban氏とその作品“Nomadic Museum”、そして銀座に“NG Hayek Center”

私の友人に坂茂さんという国際的にも著名な若手建築家がいます。去年のNewsweek誌で、世界で最もよく知られている日本人100人(昔の人も含めてです)にも選ばれている方です(100人の中にはもう一人、若手で私も仲良くしている伊藤譲一さんも選ばれています)。「9.11」の跡地、「Grand Zero」国際コンペでも最終の二部門に選ばれておりました。日本でもいくつか建築されたものがありますが、神戸大震災のときの紙の家、HanoverのExpoでの同じく紙で作った日本館などでも有名です。どの作品も本当に素晴らしいです。

  坂茂さんの作品はこちら

“Nomadic Museum”は去年のTimes誌でも紹介され、New York City、Santa Monicaと巡回し、ようやく東京・お台場で披露されました。これも坂さんが設計したもので、156個のコンテイナーを使った実にユニークで、素晴らしい展示場です。Gregory Colbertによる「Ashes and Snow」というタイトルの写真と映像が展示されており、その不思議さに感動します。自然と人間の根源を突き詰めて表現しているような美しさです。こちらの展示は、6月24日までですので、是非一度足を運んでみて下さい。

ところで、彼に以前からお誘いいただいていたSwatchの“HG Hayek Center”という面白い作品のオープニングが夜、銀座中央通り7丁目でありました。彼から話だけは聞いていましたが、本当に面白く、奇抜さは感じられない、なかなか洗練されているユニークなイベントでした。きらびやかな雰囲気はさすがです。ここも一度、訪ねてみてはいかがでしょうか。お台場では坂さんに会えませんでしたが、ここでようやく会うことができました。

でも、腕時計で高いものでは“2,000万円”とか“7,000万円”もするものもありました。バブリーなのでしょうか。私達には、かなり場違いかもしれません。

先日OPENした東京Mid-townのオープニングの時も、ゴージャスというか、こんなんでいいのだろうかと感じました。ここにあるクリニックはJohns-Hopkins大学と提携しています。このことは、私の本「大学病院革命」でも紹介していますので、本も読んでみてください。

ご無沙汰しました。イノベーション25最終段階へ

20070503002 しばらくぶりです。プロバンスからパリ経由で帰って参りました。パリは今が一番いい季節ですね。マロニエの葉の緑がさわやかです。

イノベーション25の最終報告を作り上げるため、この2週間は土日もなく、私もスタッフもほとんど毎日が半分徹夜状態です。大臣の“閣議決定”をという指示で、各省庁はあれこれと大変です。大変ではありますが、みなさんよく仕事をしますし、優秀ですので、このような才能を他にも有効に使えるのではないかと考えてしまいます。私も付き合って、このところ睡眠時間は2~3時間です。メールを真夜中に送信したり、指示したりということもあるのです。

イノベーション25についてはいろいろとメディア等に取り上げられているので、所々で目に触れているかもしれません。内閣府の英文広報誌にも、私のインタビューイノベーション25の中間報告概要が掲載されています。この中間報告はイノベーション25のホームページに英文でも掲載されていますが、高市大臣がゴールデンウイーク中に訪問されたドイツでは、この報告書について色々と聞かれ、注目度が高かったと伺いました。安倍総理もイノベーション25の注目度の高さについて発言されています。あきれたことですが、今までは日本の政策を世界へ発信するという発想そのものがなかったのです。

普段から、日本はその存在を10%程度しか海外で感じさせないのです。精神構造が鎖国である典型的な、そして言い訳も出来ない証拠です。英国はその反対で、その存在を10倍ぐらい感じさせます。考えてください。これは極めて大事な、基本的な国家戦略の一つです。ほとんどが、相手から追われて対応するというパターンです。大きなビジョンがないと戦略がかけない、だから戦術で勝負、ということになるのです。どこかで聞いたような話だと思いませんか。

2007年5月

社団法人関西経済連合会 産業・科学技術委員会
日程: 2007年5月14日(月)
会場: 関西経済連合会会議室
演題: 「『イノベーション』で日本を変える」

国際エグゼクティブフォーラム朝食会
日程: 2007年5月22日(火)
会場: パレスホテル
演題: 「イノベーションの課題」

社団法人科学技術と経済の会
日程: 2007年5月23日(水)
会場: ホテルグランドパレス
演題: 「日本のイノベーションを担う若手技術者教育」

第50回 日本腎臓学会学術総会
日程: 2007年5月26日(土)
会場: アクトシティ浜松
演題: 「日本腎臓学会の課題」